新しい年を迎えて新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。...

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陸運と安全衛生 №570 平成 29 1 1 日(毎月 1 1 日発行) (1) 新しい年を迎えて 陸上貨物運送事業労働災害防止協会会長 川合正矩 危険箇所 みんなで共有 話し合い すぐに改善 安全職場 平成 29 年 1 月 №570 発行所 陸上貨物運送事業労働災害防止協会 108-0014 東京都港区芝 5 丁目 35 2 安全衛生総合会館内 03-3455-3857 代表 http://www.rikusai.or.jp (印刷物による年間購読料 3,600 円) 「年末・年始労働災害防止強調運動」実施中 新年おめでとうございます。 平成 29 年の新春に当たり、日頃から労働災 害防止活動にご尽力いただいている会員事業 場の皆様をはじめ関係の方々に心から感謝申 し上げます。 さて、当協会では、陸運業の労働災害を中 期的な観点から防止するために、平成 25 年度 から 29 年度までを計画期間とする「陸上貨物 運送事業労働災害防止計画」(以下「5 か年計 画」といいます)に基づき対策の推進を図っ ております。 この 5 か年計画では、労働災害による死亡 者数を計画期間中に 20%以上減少させ、また、 死傷者数を 10 %以上減少させるなどの目標 を掲げ、重点的な労働災害防止に取り組んで いるところです。 陸運業における労働災害による死亡者数は、 平成 28 12 月現在速報値(平成 28 1 11 月)では前年同期に比べ△27.5%と大幅 に減少しました。その内訳は、交通事故によ るものが 59.5%と半数以上を占め、主に荷役 作業に関係する、はさまれ・巻き込まれ災害 10.8%と続いています。 一方、休業 4 日以上の死傷者数は、平成 22 年から 26 年まで 5 年連続で増加しましたが、 27 年に減少に転じ、増加傾向に歯止めがかか ったところです。しかしながら、平成 28 12 月現在速報値(平成 28 1 月~11 月)で は、前年をわずかに上回っており、予断を許 さない状況にあります。 このため、5 か年計画の最終年度である本 年は、上記の状況を踏まえ、本部・支部、会 員事業者が一体となって、計画的・継続的な 安全衛生活動を推進し、はまされ・巻き込ま れ、墜落・転落等荷役関係災害の防止及び交 通労働災害の防止を最優先に、総力を挙げて 取り組むこととしております。 具体的には、平成 29 年は次の取組を重点と して行うこととしています。 第一は、荷主等と連携した荷役災害防止対 策の強化です。 陸運業の死傷災害の多くを占める荷役災害 が、荷主等の構内で多く発生していることか ら、荷主等と連携した荷役災害防止対策の推 進が必要であるとして、平成 25 年厚生労働省 から「陸上貨物運送事業における荷役作業の 安全対策ガイドライン」(以下「荷役ガイドラ イン」といいます)が示されました。 昨年は、荷役ガイドラインの周知を含め陸 運業の荷役災害防止担当者への研修会等を全 国で実施いたしました。本年は、当協会とし て昨年に引き続き、荷役ガイドラインの周知 フォークリフト荷役技能検定2級の実施結果について (7) トラック運転者を使用する事業場に対する平成27 年の監督指導、送検の状況について ・・・ (8)~(9) 厚生労働省安全衛生部長 年頭所感 ・・・・ (4)~(5) 職場の安全衛生自主点検表 ・・・・・・・・・・・・・・・ (10) 国土交通省自動車局長 年頭の辞 ・・・・・・ (5)~(6) 小企業無災害記録表彰 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (11) 労働災害発生状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (11) 新しい年を迎えて 会長年頭挨拶 ・・・・・ (1)~(2) 年末・年始労働災害防止強調運動実施中 ・・・・・ (2) 厚生労働省労働基準局長 年頭所感 ・・・・・・・・・ (3) 警察庁交通局長 年頭挨拶 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (6)

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Page 1: 新しい年を迎えて新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。 平成29 年の年頭に当たり、改めて日頃の労

陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1 回 1 日発行) (1)

新しい年を迎えて

陸上貨物運送事業労働災害防止協会会長 川合正矩

危険箇所 みんなで共有 話し合い すぐに改善 安全職場

平成 29年1 月 №570 発行所 陸上貨物運送事業労働災害防止協会

〒108-0014 東京都港区芝 5 丁目 35 番 2 号 安全衛生総合会館内 ☎03-3455-3857 代表

http://www.rikusai.or.jp (印刷物による年間購読料 3,600 円)

「「年年末末・・年年始始労労働働災災害害防防止止強強調調運運動動」」実実施施中中

新年おめでとうございます。

平成 29 年の新春に当たり、日頃から労働災

害防止活動にご尽力いただいている会員事業

場の皆様をはじめ関係の方々に心から感謝申

し上げます。

さて、当協会では、陸運業の労働災害を中

期的な観点から防止するために、平成 25 年度

から 29 年度までを計画期間とする「陸上貨物

運送事業労働災害防止計画」(以下「5 か年計

画」といいます)に基づき対策の推進を図っ

ております。

この 5 か年計画では、労働災害による死亡

者数を計画期間中に 20%以上減少させ、また、

死傷者数を 10%以上減少させるなどの目標

を掲げ、重点的な労働災害防止に取り組んで

いるところです。

陸運業における労働災害による死亡者数は、

平成 28 年 12 月現在速報値(平成 28 年 1 月

~11 月)では前年同期に比べ△27.5%と大幅

に減少しました。その内訳は、交通事故によ

るものが 59.5%と半数以上を占め、主に荷役

作業に関係する、はさまれ・巻き込まれ災害

が 10.8%と続いています。

一方、休業 4 日以上の死傷者数は、平成 22

年から 26 年まで 5 年連続で増加しましたが、

27 年に減少に転じ、増加傾向に歯止めがかか

ったところです。しかしながら、平成 28 年

12 月現在速報値(平成 28 年 1 月~11 月)で

は、前年をわずかに上回っており、予断を許

さない状況にあります。

このため、5 か年計画の最終年度である本

年は、上記の状況を踏まえ、本部・支部、会

員事業者が一体となって、計画的・継続的な

安全衛生活動を推進し、はまされ・巻き込ま

れ、墜落・転落等荷役関係災害の防止及び交

通労働災害の防止を最優先に、総力を挙げて

取り組むこととしております。

具体的には、平成 29 年は次の取組を重点と

して行うこととしています。

第一は、荷主等と連携した荷役災害防止対

策の強化です。

陸運業の死傷災害の多くを占める荷役災害

が、荷主等の構内で多く発生していることか

ら、荷主等と連携した荷役災害防止対策の推

進が必要であるとして、平成 25 年厚生労働省

から「陸上貨物運送事業における荷役作業の

安全対策ガイドライン」(以下「荷役ガイドラ

イン」といいます)が示されました。

昨年は、荷役ガイドラインの周知を含め陸

運業の荷役災害防止担当者への研修会等を全

国で実施いたしました。本年は、当協会とし

て昨年に引き続き、荷役ガイドラインの周知

○ ○ フォークリフト荷役技能検定2級の実施結果について (7)○ ○ トラック運転者を使用する事業場に対する平成27○ 年の監督指導、送検の状況について ・・・ (8)~(9)○ 厚生労働省安全衛生部長 年頭所感 ・・・・ (4)~(5) ○ 職場の安全衛生自主点検表 ・・・・・・・・・・・・・・・ (10)○ 国土交通省自動車局長 年頭の辞 ・・・・・・ (5)~(6) ○ 小企業無災害記録表彰 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (11)○ ○ 労働災害発生状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (11)

新しい年を迎えて 会長年頭挨拶 ・・・・・ (1)~(2)

年末・年始労働災害防止強調運動実施中 ・・・・・ (2)厚生労働省労働基準局長 年頭所感 ・・・・・・・・・ (3)

警察庁交通局長 年頭挨拶 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ (6)

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陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1 回 1 日発行) (2)

に努めるとともに、労働災害が増加傾向にあ

るロールボックスパレット作業に対する安全

教育を進めてまいります。

第二は、交通労働災害等の防止です。

労働災害による死亡者数の約半分は、依然

として交通事故によるものです。また、陸運

業では、高年齢自動車運転者の割合が高くな

っており、年齢とともに心身機能の変化も見

られ、高年齢者ほど労働災害にあうリスクが

高いということがあります。

このため、交通労働災害防止のためのガイ

ドラインに基づく取組を進めるとともに、当

協会が取りまとめた「高年齢者に配慮した交

通・荷役災害防止の手引き」(図書)等も活用

しながら、交通労働災害の防止を推進してま

いります。

第三は、健康確保対策の推進です。

陸運業の健康診断における有所見者数の割

合は、他業種に比し高い水準にあり、さらに

脳・心臓疾患による労災認定件数は、業種別

で最も多く、また、精神障害等の認定件数も、

業種別で最多です。

こうした状況を踏まえ、過労死等の大幅減

少を目指し、「過労死等防止セミナー(仮称)」

を全日本トラック協会等関係機関と連携の上

開催するとともに、ストレスチェックの実施

とその結果に基づくメンタルヘルス対策を一

層推進します。

第四は、フォークリフト荷役技能検定制度

の本格的な実施を図ることです。

一昨年から開始したこの荷役技能検定は、

フォークリフト運転者の安全・正確・迅速な

荷役作業の技能を評価し認定するもので、技

能の向上を通じて労働災害の防止に寄与する

ことを目的とするものです。安全作業はもと

よりフォークリフトに係る事故全般の減少に

つながる有効な制度であることを、陸運業の

みならず製造業や流通業等フォークリフト荷

役作業を行うすべての事業者に理解されるよ

う、周知に努めてまいります。

昨年は、2級検定試験を4月と10月の2回、

全国 17 か所で実施しました。本年は、2 級検

定試験の実施回数や実施場所の拡大の検討等

に加え、新たに 1 級検定試験を実施すること

とし、積極的な推進を図ってまいります。

陸運業界は従業員の高齢化、人手不足など

多くの課題を抱え、厳しい経営環境にありま

すが、働く方々が健康で、安全に働くことが

できる労働環境の改善と、経営トップが先頭

に立った積極的な安全衛生活動の推進が何よ

り重要です。

会員事業場の皆様には、当協会の活動に引

き続きのご理解とご尽力を賜りますようお願

い申し上げますとともに、「年末・年始労働災

害防止強調運動」(12 月 1 日~1 月 31 日)が

実施されておりますこの時期に、「職場の安全

衛生自主点検」の実施など労働災害防止の取

組になお一層のご高配を賜りますよう重ねて

お願い申し上げます。

この一年が希望と活力に溢れる良き年とな

りますよう祈念いたしますとともに、皆様方

のご健勝とご発展をお祈り申し上げ、新年の

ご挨拶とさせていただきます。

年年末末・・年年始始 労労働働災災害害防防止止強強調調運運動動 実施中

平成 29年 1月 31日まで

陸災防では、昨年 12 月 1 日から 1 月 31 日まで年末・年始労働災害防止強調運動を実施してお

ります。この機会に合わせて、死傷災害の多くを占める荷役災害の防止を中心として、次の労働災

害防止対策の徹底にお取り組みください。

①「荷役ガイドライン」に基づく荷役災害防止対策の実施

② 今号 10ページ掲載の「職場の安全衛生自主点検表」による自主点検の実施

③ 交通労働災害防止のためのガイドラインに基づく対策の実施

④ 冬期における積雪、凍結による転倒災害、交通労働災害等の防止対策の実施

Page 3: 新しい年を迎えて新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。 平成29 年の年頭に当たり、改めて日頃の労

陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1 回 1 日発行) (3)

平成 29年労働基準局長年頭所感

厚生労働省労働基準局長 山越敬一

あけましておめでとうございます。

新年を迎え、心からお慶び申し上げます。

本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

平成 29 年の年頭に当たり、改めて日頃の労

働基準行政への御理解と御協力に感謝申し上

げますとともに、今後の労働基準行政の展開

について述べさせていただきます。

労働基準行政の主な役割は、労働時間や賃

金など労働条件の確保、労働者の健康と安全

の確保、労災保険の適正かつ迅速な給付、労

使関係の調整や個別労働紛争の防止でござい

ます。

本年も、働く方々が安心して安全に働くこ

とができるよう、次の施策を中心に取り組ん

でまいります。

第一に、長時間労働の是正についてです。

法規制の執行強化として、昨年、全ての労

働局に「過重労働特別監督監理官」を新たに

任命するなどの体制の強化を図るとともに、

監督指導の対象を月80時間超の残業を把握し

た全ての事業場に拡大するなどの取組を行っ

てきました。

今後とも、長時間労働の是正を図るための

監督指導等の取組を進めてまいります。

第二に、労働基準法改正案についてです。

仕事と生活の調和を図るとともに生産性の

向上を実現するため、労働者一人ひとりの健

康確保にしっかり取り組み、労働者が創造的

な能力を発揮しつつ、効率的に働くことがで

きる環境を整備する必要があります。

そうした考えの下、一昨年、労働基準法等

の改正案を国会に提出いたしました。現在、

継続審議中ですが、法案の早期成立を図って

まいります。

また、「働き方改革実現会議」において、今

後、働き方改革実行計画が取りまとめられる

予定であり、これを踏まえ、長時間労働の抑

制に向けて実効性のある対応を図ってまいり

ます。

第三に、最低賃金の引上げについてです。

最低賃金の引上げについては、「ニッポン一

億総活躍プラン」において、全国加重平均が

1,000 円となることを目標に掲げるとともに、

中小企業、小規模事業者の生産性向上等のた

めの支援や取引条件の改善を図ることとされ

ております。

今年度の地域別最低賃金額については、全

国加重平均で 823 円となり、最低賃金が時間

額表示となった平成14年以降で最大の引上げ

(25 円)となりました。

最低賃金引上げの環境整備としては、中小

企業に対する助成金の拡充等を行うとともに、

下請等中小企業の取引条件改善に向けて、政

府全体で対応策の検討を進めております。

最低賃金の引上げとその環境整備に向け、

関係省庁とも連携して、しっかりと取り組ん

でまいります。

第四に、労働災害防止対策についてです。

平成 29 年度は、平成 24 年度からの 5 か年

計画である第 12 次労働災害防止計画(12 次

防)の最終年度となります。

12 次防では、5 年間で死亡災害及び休業 4

日以上の死傷災害を 15%以上減少させること

を目標としています。しかしながら、死亡災

害は着実に減少しているものの、休業 4 日以

上の死傷災害は現状で平成 24 年と比べて約

3%の減少にとどまっております。

特に、第三次産業では労働災害が増加傾向

にあることから、企業全体での災害防止を促

す新たな取組を行うとともに、重点業種であ

る建設業、製造業、陸上貨物運送事業におけ

る対策を徹底し、12 次防の目標達成のために

全力で取り組んでまいります。

以上の施策を中心に職員一同、全力を挙げ

て取り組んでまいりますので、今後とも、一

層の御理解、御協力を賜りますようお願い申

し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

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陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1 回 1 日発行) (4)

平成 29年 安全衛生部長 年頭所感

厚生労働省労働基準局安全衛生部長 田中誠二

明けましておめでとうございます。新年を

迎え、皆様の御健康と御繁栄を心からお祝い

申し上げます。

平成 29 年の念頭に当たり、改めて日頃の労

働安全衛生行政へのご支援とご協力に厚く御

礼申し上げますとともに、今後の安全衛生行

政の展開について述べさせていただきます。

まず、労働災害の防止についてです。

平成 29 年度は、平成 24 年度を初年度とす

る5か年計画である第12次労働災害防止計画

(12 次防)の最終年度となります。

12 次防では、平成 29 年までに平成 24 年と

比較して死亡災害及び休業 4 日以上の死傷災

害を 15%以上減少させることを目標として

いるところです。死亡災害については着実に

減少し、平成 28 年 11 月末速報値では平成 24

年比で約 17%の減少となっているものの、休

業4日以上の死傷災害は約 3%の減少にとど

まっており、目標達成のためには相当の取組

が必要となっています。

特に、労働災害が増加傾向にある第三次産

業(小売業、社会福祉施設、飲食店)におい

ては、複数の店舗、施設を展開する企業傘下

の事業場での災害が多く見られており、この

原因として、各店舗・各施設には安全衛生担

当者がいないなど店舗・施設単位での安全衛

生活動が十分に実施されていない状況が見ら

れます。このため、本年より企業・法人全体

の安全意識を高め、本社・本部が主導して全

社的に災害防止の取組を行い、安全衛生水準

の向上を図ることを目的とした「働く人に安

全で安心な店舗・施設づくり推進運動」を展

開してまいります。

また、製造業においては、コンピューター

制御技術の進展を踏まえ、新たに制御の機能

を付加することで安全を確保する方策である

「機能安全」に係る技術上の指針等を定めた

ところであり、機械等による災害防止のため、

その普及を図ってまいります。建設業におい

ては、2020 年東京オリンピック・パラリンピ

ック競技大会に向けた施設建設工事の安全衛

生対策の推進、陸上貨物運送事業においては、

引き続き多発している荷役作業における労働

災害防止の徹底など、重点業種における取組

を加速するなど、12 次防の目標達成に向けて

全力で取り組んでまいります。

次に、メンタルヘルスや過重労働による健

康障害防止対策についてです。

昨今、過重労働の問題が大きく取り上げら

れていますが、働き過ぎから心身の健康を損

なうようなことはあってはならないことです。

厚生労働省では平成 27 年 12 月から、医師等

による心理的な負担の程度を把握することを

目的としたストレスチェック制度を施行し、

事業者の皆様に取り組んでいただいていると

ころですが、今般、「「過労死等ゼロ」緊急対

策」をとりまとめ、取組の一環として、長時

間労働される方に対する産業医による面接指

導等が着実に実施される仕組みの構築やメン

タルヘルス対策に係る企業本社に対する特別

指導など働く方のメンタルヘルス対策・過重

労働による健康障害防止対策をより充実させ

てまいる所存です。

申し上げるまでもなく、生産性向上や組織

の活性化のためには働く方が健全であること

が必要不可欠であり、この観点から事業者の

皆様にも、心身の健康づくりのための取組を

推進していただきたいと思います。

次に、化学物質対策についてです。

昨年、化成品等の製造事業場において、化

学物質を取り扱う複数の方が膀胱がんを発症

する事案が発生しました。平成 24 年には、ご

承知のとおり印刷業において多くの労働者が

胆管がんを発症する事案が明らかになってい

ます。新たな職業がん事案が続いて明らかに

なったことを受け止め、化学物質対策の徹底

に取り組んでまいります。

多種多様な化学物質による健康障害防止の

ためには、昨年 6 月から義務化された化学物

質のリスクアセスメントが重要な役割を果た

します。厚生労働省においては、「ラベルでア

クション」を合言葉に、ラベル表示と安全デ

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陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1 回 1 日発行) (5)

平成 29年 「年頭の辞」

国土交通省自動車局長 藤井直樹

ータシート(SDS)の入手・交付の徹底を図

るとともに、リスクアセスメントの実施の推

進に取り組んでまいります。

最後に、現在検討中の「治療と仕事の両立」

についてです。

現在政府では「働き方改革実現会議」にお

いて、「治療と仕事の両立」の推進について検

討しております。厚生労働省では昨年 2 月に

「事業場における治療と職業生活の両立支援

のためのガイドライン」を策定したところで

すが、今後、企業文化の改革、企業と医療機

関の連携強化、患者に対する相談支援の充実

などにより、治療と仕事の両立が普通にでき

る社会を目指して取り組んでまいります。

以上のように、安全衛生行政として取り組

むべき課題は山積しておりますが、働く方の

安全と健康の確保について、厚生労働本省・

都道府県労働局・労働基準監督署も含め、行

政一丸となって、労働災害防止団体や関係団

体の皆様とも連携し、全力で取り組んでまい

りますので、引き続き、皆様方の一層の御支

援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。

皆様、新年あけましておめでとうございます。

平成 29 年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨

拶を申し上げます。

国土交通省としては、自動車は社会経済活

動に不可欠かつ人々の生活にとって最も身近

な乗り物であるとの認識の下、一体となって、

(1)安全性、環境性能の向上

(2)生産性の向上

(3)サービスの向上

を三本の柱として、施策を推進して参ります。

自動車の安全対策については、昨年 6 月の

交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会の

取りまとめを踏まえつつ、着実に取組を推進

して参ります。特に、昨今相次いで発生して

いる高齢運転者による交通事故については、

自動運転技術をはじめとした先進安全技術の

活用により事故を防止する観点から、更なる

対策について早急に検討して参ります。安全

基準については、前面衝突時の乗員保護基準

の強化を行うほか、安全効果の高い先進安全

技術について基準化・義務化の検討を進める

など、引き続き、強化・拡充を図って参ります。

先進安全自動車(ASV)推進プロジェクト

については、平成 28 年 3 月に、ドライバー異

常時対応システムに関するガイドラインを策

定しました。引き続き先進安全技術の開発・

普及の促進に努めてまいります。

事業用自動車の事故削減に向けた取組につ

いては、運輸安全マネジメント制度の推進、

衝突被害軽減ブレーキやデジタル式運行記録

計・映像記録型ドライブレコーダーの普及促

進などを着実に実施し、安全・安心の確保に

万全を期して参ります。

また、事業用自動車の運転者による疾病運

転の防止を目的として、議員立法として提出

されていた「道路運送法及び貨物自動車運送

事業法の一部を改正する法律」が昨年 12 月 9

日に成立したところです。国土交通省では、

健康管理に関する取組を更に推進することに

加え、脳疾患や心疾患などの早期発見に効果

的なスクリーニング検査について、医学的知

見を踏まえた調査研究を実施し、事業者とし

て取るべき対応を含んだガイドラインを作成

すること等を検討して参ります。

トラック事業は、我が国の経済と人々の暮

らしを支えている重要な産業です。他方、そ

の担い手のほとんどは中小事業者の方々であ

り、荷主等に対して立場が弱く適正な運賃が

収受できない、荷主都合の待ち時間を余儀な

くされているなどの課題があります。さらに、

トラック事業に関しては、荷主との取引だけ

でなく、下請多層構造のなかでの元請事業者

と下請事業者との間の取引環境にも課題があ

ると認識しております。

このような課題認識のもと、まず、荷待ち

時間等長時間労働の改善に向けて、「トラック

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陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1 回 1 日発行) (6)

輸送における取引環境・労働時間改善協議会」

の枠組みの中で、荷主とトラック事業者が共

同でその改善に取り組むパイロット事業を、

昨年に引き続き全国で実施していく予定です。

さらに、荷主との取引についても、根本政

務官より荷主を所管する経済産業省村松副大

臣及び農林水産省細田大臣政務官に対し、荷

主への働きかけにご協力いただけるよう、昨

年 12 月に要請しました。

今後もこれらの取組を通じて、トラック輸

送の取引環境の改善及び長時間労働の抑制に

しっかりと取り組んで参ります。

人材確保に向けては、労働条件の改善が何

よりも重要です。トラックについては、前述

した協議会の枠組みを活用し、荷主も含めた

関係者が一体となってその改善に取り組むと

ともに、中継輸送の推進により、宿泊を伴わ

ない勤務形態を可能とするなど、より幅広い

方に運転者として活躍いただける環境づくり

も後押しして参ります。

加えて、女性の採用拡大に向けて、トラガ

ール等のキャンペーンを通じ、女性ドライバ

ーの採用に向けた取組や、子育て中の女性が

働き続けることのできる環境整備を行ってい

る事業者を支援・PR することにより、女性の

新規就労・定着を図ってまいります。

最後になりましたが、自動車に関わられて

いる皆様方が、この一年、それぞれの分野に

おいて大いにご活躍され、一層のご発展を遂

げられますことを祈念いたしまして、年頭の

ご挨拶とさせていただきます。

(要旨)

新年おめでとうございます。

皆様方には、日頃から陸上貨物運送事業に係

る交通事故防止対策につき、格別な御配慮をい

ただきますとともに、警察行政の各般にわたり、

深い御理解と暖かい御支援をいただいており、

厚く御礼を申し上げます。

さて、平成 28 年中の交通事故情勢につきまし

ては、11 月末現在で、交通事故発生件数、死者

数及び負傷者数のいずれも減少傾向で推移して

おり、このまま推移すれば、いずれも昨年の数

を下回るものと思料されます。

これも皆様方を始めとする関係各位の御尽力

の賜であると改めて感謝申し上げる次第であり

ます。

しかしながら、交通事故死者に占める高齢者

の割合が過半数を占め、また、長野県軽井沢町

で多数の死傷者が出る貸切バスの転落事故が発

生したほか、高齢運転者による交通死亡事故が

続発し社会的耳目を集めるなど、交通事故情勢

は依然として厳しい状況にあります。

こうした情勢を踏まえ、警察といたしまして

は、悲惨な交通事故を 1 件でも減少させ、政府

が目標とする「世界一安全な道路交通」を実現

すべく、高齢者の事故防止を始めとする総合的

な交通事故抑止対策を一層強力に推進していく

こととしております。

また、本年 3 月には、高齢運転者や貨物自動

車に係る交通事故防止等を目的とした改正道路

交通法が施行されます。

現下の厳しい交通事故情勢の中で交通死亡事

故等抑止の効果を上げるためには、警察と関係

機関・団体が連携を一層強化し官民一体となっ

て諸対策に取り組んでいくことが不可欠と考え

ております。

貴協会におかれましては、貨物運送事業の職

域における交通安全の取組の推進に御尽力いた

だいているところであり、貨物自動車に係る交

通事故防止が更に図られるとともに、事業に携

わる運転者が一般ドライバーの模範となってい

ただくよう、適切な運行管理や効果的な運転者

教育の実施について、なお一層の取組をお願い

申し上げます。

結びに、貴協会のますますの御発展と、皆様

の御健勝、御多幸を祈念いたしまして、新年の

挨拶とさせていただきます。

交通局長年頭挨拶

警察庁交通局長 井上剛志

Page 7: 新しい年を迎えて新年を迎え、心からお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。 平成29 年の年頭に当たり、改めて日頃の労

陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1回 1 日発行) (7)

陸災防では、フォークリフト運転技能講習修了者等を対象として、より安全で正確かつ迅速な作

業を評価・認定し、労働災害の防止に寄与することを目的として、平成 27 年度より「フォークリフ

ト荷役技能検定」を実施しています。平成 28 年度第 2 回 2 級試験は 10 月 26 日(水)に全国 11 か

所(北海道、岩手、宮城、秋田、福島、埼玉、千葉、長野、静岡、愛知、福岡)で 2 級試験を実施

し、延べ 88 名(学科 84 名、実技 76 名)が受検、45 名が合格する結果となりました。 受検者と合格者の概要

科目別

受検者

科目別

合格者

科目別

合格率

検定

合格者

検定

合格率

一部

合格者

学科 66名 66名 77% 45名 51%

学科 25名

実技 43名 43名 54% 実技 7 名 注1:表中、検定合格率は、検定合格者(45)/延べ人数(88)〔%〕により算出したもの。 注2:表中、一部合格者は、科目別合格者のうち、検定合格者を除いた者の数を表したもの。

各試験科目の概要

試験科目 学科

(300点満点)

実技

点検(200点満点) 運転(500点満点)

最高点 294点 200点 490点

平均点 256.5点 178点 320点

学科試験

学科試験の内容は、関係法令、走行装置、荷

役装置、力学、荷役一般から出題しています。

科目別合格率は 77%と、前回までの平均 54%

と比べて大幅に上昇しました。このうち、走行

装置、荷役装置、力学については正答率が高か

ったものの、関係法l令及び荷役一般で誤解答

が多く見受けられました。関係法令は、労働安

全衛生法の基礎的な部分から出題していますが、

フォークリフト運転士テキストの関係法令部分

や、過去の問題も参考になります。

荷役一般については、「荷役作業安全ガイドラ

イン」及び「はい作業主任者技能講習テキスト」

から基本的な部分を多く出題しています。問題

文をよく読めば自ずと答えが出てくる問いもあ

りますので、慌てずに回答いただければと思い

ます。

点検試験

実技試験のうち点検試験は、多数の受検者が

合格レベルに達していましたが、標準時間を超

えている方がやや多かったようです。点検する

箇所は予め決まっていますので、事前に時間内

に終了できるように練習していただきたいと思

います。

運転試験

運転試験でも標準時間を超えてしまった方が

非常に多く、中には打ち切り時間を超えた方(運

転試験が失格になります)もいました。時間の

短縮を図るには、コースに慣れておくことが何

より重要ですので、できるだけコースを設定し

て練習をしていただきたいと思います。なお、

運転コースのレイアウトや運転試験動画は、ホ

ームページで公表していますので、参考にして

ください。

減点項目別にみると、「指差呼称の安全確認」、

走行操作時における「停止線での一旦停止位置

不良」で減点された方が多く見受けられました。

また、今回は「障害物との接触」の項目でも減

点となった方がやや多く見受けられました。狭

いコースの中では旋回時にフォークの先端又は

カウンターが衝突することが多いのですが、日

常の作業の中では荷や人との接触の可能性もあ

る部分ですので、フォークリフトの特性を意識

しながら、安全な作業に取り組んでいただきた

いと思います。

次回開催予定について

次回の検定は平成 29年 10 月に開催を予定し

ています。受検案内等の詳細は、平成 29 年 1

月にホームページに公表します。

是非、多くの方々に当検定をご受検いただき

ますとともに、今回、残念ながら不合格だった

方、学科・実技のいずれかに合格された方にお

かれましては、再度の受検をお待ちしています。

【フォークリフト荷役技能検定について】

平成 28 年度第 2 回 フォークリフト荷役技能検定2級の実施結果について

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陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1回 1 日発行) (8)

はじめに

厚生労働省では、全国の労働局や労働基準

監督署などの労働基準監督機関が、トラック、

バス、タクシーなどの自動車運転者を使用す

る事業場に対して行った監督指導や送検の状

況を取りまとめました。

この取りまとめの中から、トラックを使用

する事業場に対して行われた監督指導や送検

の状況について紹介します。

1 監督指導状況

⑴ 労働基準関係法令の主な違反内容

※ 以下、表中の()内は違反率

監督実施事業場数 2,783

(100.0%)

労働基準関係法令

違反事業場数

2,390

(85.9%)

⑵ 改善基準告示の主な違反内容

監督実施事業場数 2,783

(100.0%)

改善基準告示違反事業場数 1,944

(69.9%)

⑶ 過去 3 年間の監督指導状況

27年 26年 25年

監督実施

事業場数 2,783 2,765 3,016

労働基準関係法令

違反事業場数

2,390

(85.9%)

2,311

(83.6%)

2,500

(82.9%)

27年 26年 25年

改善基準告示

違反事業場数

1,944

(69.9%)

1,845

(66.7%)

1,980

(65.6%)

2 監督指導事例

臨検監督(労働基準監督官が事業場へ訪問

し行う監督指導)を実施したところ、改善基

準告示を上回る長い拘束時間の状況、割増賃

金の未払い等が認められたため指導し、改善

された事例

【概要】

■ 臨検監督を実施し、タコグラフ等の内容

から、労働日数及び労働時間の実態を確認。

■ 時間外労働時間数が1か月 135時間を超

えており、時間外・休日労働に関する労使

協定(以下、「36 協定」という。)の協定時

間を超えて、時間外労働を行わせていたこ

とを確認。

【指導内容】

1 36 協定の限度時間を超えて時間外労働

を行わせ、かつ、1 か月の拘束時間が 320

時間を超えていること。

[指導]

労働基準法第 32 条(労働時間)、改善基

準告示違反(1 か月の拘束時間)を是正勧

告し、併せて時間外労働の削減及び過重労

働による健康障害の防止についても指導

2 1 日の最大拘束時間が 16 時間を超えて

いること。

[指導]

改善基準告示違反(1 日の拘束時間)

3 継続 8時間以上の休息期間を与えていな

いこと。

[指導]

改善基準告示違反(休息期間)

【指導後の会社の取組】

● 安全会議での周知徹底や荷主への要請

等に取り組み、時間外労働時間数が 100 時

間未満となり、1 か月の拘束時間が 293 時

間未満になる等、違反を是正した。また、

1 日の休息期間が 8 時間以上となった。

(参考)トラック運転者に係る改善基準告示

・1 か月の総拘束時間:原則 293 時間以内(労使協定締結の場合、320 時間以内)

・1 日の総拘束時間:13 時間以内を基本とし、延長する場合であっても 16 時間以内

・休息期間:継続 8 時間以上

5.7%

22.5%

62.1%

0% 50% 100%

休日

割増賃金

労働時間

主な違反内容(労働基準法)

21.5%

34.0%

43.7%

45.1%

55.5%

0% 50% 100%

最大運転時間

連続運転時間

休息期間

総拘束時間

最大拘束時間

主な違反内容(改善基準告示違反)

【厚生労働省公表】

トラック運転者を使用する事業場に対する平成 27年の監督指導、送検の状況について

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陸運と安全衛生 №570 平成 29 年 1 月 1 日(毎月 1回 1 日発行) (9)

3 送検の状況

⑴ 労働基準関係法令違反により送検した件数

平成 27年 平成 26年 平成 25年

52 40 48

⑵ 送検事例

<事例1>

脳・心臓疾患事案を発生させる等、違法な

長時間の時間外労働を行わせたとして法人及

び事業主を送検

【概要】

■ 脳・心臓疾患を発症した運転者(死亡)

について、36 協定の協定時間である 1 か

月 70 時間を超えて時間外労働を行わせて

おり、最長で 1 か月約 134 時間の時間外労

働が認められたことから、法人及び事業主

を送検。

■ また、当該時間外労働に対する割増賃金

を支払っていなかったため、併せて送検。

【被疑事実】

1 36 協定の限度時間を超えて時間外労働

を行わせた。

2 時間外労働に対する割増賃金を法定の率

(25%)以上で計算し支払っていなかった。

<事例2>

違法な時間外労働及び休日労働について是

正勧告を受けたにもかかわらず違反状況を是

正しなかったため、法人及び支店長を送検

【概要】

■ 運転手 4 名に対し、36 協定で協定した

時間(1 か月 120 時間)、回数(2 週間につ

いて 1 回)を超えて、1 か月最長で約 86

時間の時間外労働を行わせ、うち 1 名に対

して、6 か月間に合計 12 回の休日労働を

行わせていたことから、法人及び実行行為

者である支店長を送検。

■ 当該事業場は、過去にも運転者が死亡す

る追突事故を発生させ、時間外労働につい

て送検されており、また、直近の労働基準

監督機関と地方運輸機関との合同監督に

おいて、違法な時間外労働及び休日労働に

ついて是正勧告を受けていたが、違反状態

を是正しなかった。

【被疑事実】

36 協定の協定時間、協定回数を超えて時

間外労働及び休日労働を行わせた。

<事例3>

運転者が死亡する交通災害を発生させる等、

違法な長時間の時間外労働を行わせたとして

法人及び事業主を送検

【概要】

■ 走行中の車輌運搬車が、赤信号で停止し

ていた大型トレーラーの後部に追突し、当

該車輌運搬車の運転者が死亡。

■ 同運転者について、事故の直近 50 日間

における時間外労働時間数が 190 時間以

上に及んでおり、36 協定の協定時間である

1 か月 80 時間を超えて時間外労働を行わ

せた事実が認められたため、法人及び事業

主を送検。

【被疑事実】

36 協定の協定時間を超えて時間外労働を

行わせた。

4 国土交通省との連携

地方運輸機関との相互通報

自動車運送事業に従事する自動車運転者の

労働条件の改善を図るため、労働基準監督機

関と地方運輸機関が、その臨検監督等の結果

(改善基準告示違反等)を相互に通報してい

ます。

【相互通報制度の実施状況】

労働基準監督

機関から通報

した件数

労働基準監督

機関が通報を

受けた件数

平成 27年 821 376

平成 26年 864 312

平成 25年 974 256

おわりに

自動車運転者は、依然として長時間労働の

実態にあり、脳・心臓疾患の労災請求件数及

び認定件数が最も多い職種です。

厚生労働省では、引き続き、自動車運転者

を使用する事業場に対し、労働基準関係法令

などの周知・啓発に努め、問題があると考え

られる事業場については監督指導を行うなど、

自動車運転者の適正な労働条件の確保に取り

組んでいきます。

荷役災害防止の担当者への安全衛生教育研修会開催のお知らせ 1 月から 3 月にかけまして、宮城、福島、千葉、神奈川、新潟、山梨、兵庫、奈良、和歌山、岡

山、愛媛にて参加費無料の「荷役災害防止の担当者への安全衛生教育研修会」を開催いたします。

開催時間は 13:00 から 16:00 です。開催日及び会場につきましては、陸災防ホームページまたはhttp://www.rikusai.or.jp/public/kyoiku/niyaku-guideline_kyouiku/201701-03.pdf をご覧ください。

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陸運と安全衛生 №570 平成 29年 1月 1日(毎月 1回 1日発行) (10)

「年末・年始労働災害防止強調運動」を実施しております。この機会

に職場の自主点検にお取り組みください。

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陸運と安全衛生 №570 平成 29年 1月 1日(毎月 1回 1日発行) (11)

平成 28 年 12 月 7 日現在

平成 28 年 12 月 7 日現在

平成 28 年 12 月 7 日現在

資料出所:厚生労働省 (注) 上記 2表の右端の列の「その他」は、「墜落・転落」~「交通事故(その他)」以外をまとめたもの。詳細は、http://www.rikusai.or.jpに掲載

第5種(15年間) ・日星運輸株式会社 神奈川県支部 第2種( 5年間) ・有限会社栗田産業本社営業所 静岡県支部

陸運労災防止協会の表彰制度による小企業無災害記録事業場 〔平成28年11月〕

死亡者数 構成比 死亡者数 構成比 増減数 増減率 死傷者数 構成比 死傷者数 構成比 増減数 増減率

(人) (%) (人) (%) (人) (%) (人) (%) (人) (%) (人) (%)

全 産 業 762 100.0 827 100.0 -65 -7.9 95,963 100 94,814 100 1,149 1.2

製 造 業 144 18.9 141 17.0 3 2.1 21,938 23 21,835 23 103 0.5

鉱 業 6 0.8 9 1.1 -3 -33.3 160 0 172 0 -12 -7.0

建 設 業 252 33.1 291 35.2 -39 -13.4 12,536 13 12,954 14 -418 -3.2

交通運輸業 13 1.7 20 2.4 -7 -35.0 2,693 3 2,674 3 19 0.7

陸上貨物運送事業 74 9.7 102 12.3 -28 -27.5 11,567 12 11,556 12 11 0.1

港湾荷役業 10 1.3 6 0.7 4 66.7 241 0 249 0 -8 -3.2

林 業 33 4.3 35 4.2 -2 -5.7 1,357 1 1,406 2 -49 -3.5

農業、畜産・水産業 32 4.2 29 3.5 3 10.3 2,232 2 2,230 2 2 0.1

第三次産業 198 26.0 194 23.5 4 2.1 43,239 45 41,738 44 1,501 3.6

前年比較平成28年1月~11月 平成27年1月~11月 平成28年1月~11月 平成27年1月~11月

[速報値]前年比較

[速報値]

死亡 死傷

[速報値] [速報値]

合計 墜落・転落 転倒 飛来・落下 崩壊・倒壊 激突されはさまれ・巻き込まれ

交通事故(道路)

交通事故(その他)

その他

全 産 業 762 203 19 37 49 65 113 179 1 96

製 造 業 144 22 4 14 12 13 53 7 0 19

建 設 業 252 120 6 11 23 19 14 31 0 28

交 通 運 輸 業 13 2 0 0 0 0 3 8 0 0

そ の 他 279 56 7 7 11 31 35 89 1 42

陸上貨物運送事業 74 3 2 5 3 2 8 44 0 7

同上対前年増減 -28 -13 2 0 -9 0 -2 -6 0 0

合計 墜落・転落 転倒 激突 飛来・落下 崩壊・倒壊 激突されはさまれ・巻き込まれ

交通事故(道路)

交通事故(その他)

動作の反動・

無理な動作その他

陸上貨物運送事業 11,567 3,287 1,693 874 655 322 620 1,333 763 6 1,676 338

同上対前年増減 11 -67 -7 6 31 -51 7 36 -17 -1 85 -11

項目

業種

業種、事故の型別死亡災害発生状況 (平成 28 年 1 月~11 月)

業業種種別別労労働働災災害害発発生生状状況況

業種、事故の型別死傷災害発生状況 (平成 28 年 1 月~11 月)

業種

業種 項目

項目