造 2. 鋳造sokeizai.or.jp/japanese/publish/200706/20160507.pdf2016/05/07  · 9 鋳 造 vol.57...

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7 Vol.57 2016No.5 SOKEIZAI 2. 鋳造 2. 1 鋳造全般 2. 1. 1 産業動向 2. 1. 1. 1 生産動向 我が国鋳造産業の平成 27年の生産金額は、1 兆 9,512 億円、対前年比 1.5 % 減と再び減少した。これを材料別 にみると、鉄系鋳物では、銑鉄鋳物の生産金額は、6,787 億円、同4.1%減と再び減少し、生産量では3,328千トン、 同4.4%減と同じく減少に転じた。鋳鉄管は、1,257億 円、同10.9%増、生産量も 398 千トン、同10.9%増と ともに4年連続の増加となった。鋳鋼は生産金額が1,100 億円、同 8.4 % 減、生産量は 157 千トン、同 8.9 % 減と 4 年連続して減少となった。 非鉄金属鋳物では、銅合金鋳物の生産金額が 968億 円、同1.6%増と 2 年連続して増加したが、4 年続けて 1 千億円を下回った。生産量も 78,024トン、同1.2%増 となったものの 4 年続けて 8 万トンを下回った。アル 2.1.1.1 平成 23 27 年の鋳造品生産金額 生産金額(百万円) 前年比 H26 構成比率 平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年 743,846 726,828 694,045 707,415 678,725 95.9% 34.8% 425,879 404,938 382,247 386,884 375,694 97.1% 19.3% 球状黒鉛鋳鉄 317,967 321,890 311,798 320,531 303,031 94.5% 15.5% 91,772 105,390 109,733 113,360 125,728 110.9% 6.4% 18,705 16,896 17,873 17,752 17,150 96.6% 0.9% 140,368 123,450 116,640 120,043 109,958 91.6% 5.6% 108,018 96,022 87,730 95,239 96,804 101.6% 5.0% アルミニウム合金鋳物 258,255 274,406 271,737 282,146 284,939 101.0% 14.6% 557,737 580,614 568,674 587,431 583,914 99.4% 29.9% アルミニウム合金 513,386 538,278 532,851 553,149 554,263 100.2% 28.4% 亜鉛合金など 44,351 42,336 35,823 34,282 29,651 86.5% 1.5% 52,264 50,698 51,910 56,527 53,973 95.5% 2.8% 合計 1,970,965 1,974,304 1,918,342 1,979,913 1,951,191 98.5% 100.0% 出所:経済産業省 生産動態統計確報 ・ 年報 2.1.1.2 平成 23 27 年の鋳造品生産重量 生産重量(t) 前年比 H26 構成比率 平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年 3,528,348 3,586,692 3,480,998 3,482,226 3,327,974 95.6% 61.6% 2,182,813 2,209,307 2,135,900 2,117,743 2,022,905 95.5% 37.4% 球状黒鉛鋳鉄 1,345,535 1,377,385 1,345,098 1,364,483 1,305,069 95.6% 24.1% 299,916 330,216 344,788 359,507 398,730 110.9% 7.4% 39,513 36,558 45,929 44,132 43,075 97.6% 0.8% 218,181 202,713 181,679 172,302 156,997 91.1% 2.9% 83,163 79,571 73,433 77,113 78,024 101.2% 1.4% アルミニウム合金鋳物 383,978 420,530 413,804 417,299 418,530 100.3% 7.7% 930,474 1,006,287 984,842 1,001,099 975,680 97.5% 18.1% アルミニウム合金 902,028 978,523 958,503 975,508 951,715 97.6% 17.6% 亜鉛合金など 28,446 27,764 26,339 25,591 23,965 93.6% 0.4% 6,582 6,396 6,357 6,702 5,861 87.5% 0.1% 合計 5,490,155 5,668,963 5,531,830 5,560,380 5,404,871 97.2% 100.0% 出所:経済産業省 生産動態統計確報 ・ 年報

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7

鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

2. 鋳造

2. 1 鋳造全般

2. 1. 1 産業動向

 2. 1. 1. 1 生産動向 我が国鋳造産業の平成27年の生産金額は、1 兆 9,512億円、対前年比 1.5%減と再び減少した。これを材料別にみると、鉄系鋳物では、銑鉄鋳物の生産金額は、6,787億円、同4.1%減と再び減少し、生産量では 3,328 千トン、同4.4%減と同じく減少に転じた。鋳鉄管は、1,257億

円、同10.9%増、生産量も 398 千トン、同10.9%増とともに4年連続の増加となった。鋳鋼は生産金額が1,100億円、同8.4%減、生産量は 157 千トン、同8.9%減と 4年連続して減少となった。 非鉄金属鋳物では、銅合金鋳物の生産金額が 968億円、同1.6%増と 2 年連続して増加したが、4 年続けて1 千億円を下回った。生産量も 78,024トン、同1.2%増となったものの 4 年続けて 8 万トンを下回った。アル

表 2.1.1.1 平成 23~ 27年の鋳造品生産金額

生産金額(百万円) 前年比 H26構成比率平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年

銑 鉄 鋳 物 743,846 726,828 694,045 707,415 678,725 95.9% 34.8%ね ず み 鋳 鉄 425,879 404,938 382,247 386,884 375,694 97.1% 19.3%球 状 黒 鉛 鋳 鉄 317,967 321,890 311,798 320,531 303,031 94.5% 15.5%

鋳 鉄 管 91,772 105,390 109,733 113,360 125,728 110.9% 6.4%可 鍛 鋳 鉄 18,705 16,896 17,873 17,752 17,150 96.6% 0.9%鋳 鋼 品 140,368 123,450 116,640 120,043 109,958 91.6% 5.6%銅 合 金 鋳 物 108,018 96,022 87,730 95,239 96,804 101.6% 5.0%アルミニウム合金鋳物 258,255 274,406 271,737 282,146 284,939 101.0% 14.6%ダ イ カ ス ト 557,737 580,614 568,674 587,431 583,914 99.4% 29.9%

アルミニウム合金 513,386 538,278 532,851 553,149 554,263 100.2% 28.4%亜 鉛 合 金 な ど 44,351 42,336 35,823 34,282 29,651 86.5% 1.5%

精 密 鋳 造 品 52,264 50,698 51,910 56,527 53,973 95.5% 2.8%合計 1,970,965 1,974,304 1,918,342 1,979,913 1,951,191 98.5% 100.0%

出所:経済産業省 生産動態統計確報 ・ 年報

表 2.1.1.2 平成 23~ 27年の鋳造品生産重量

生産重量(t) 前年比 H26構成比率平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年

銑 鉄 鋳 物 3,528,348 3,586,692 3,480,998 3,482,226 3,327,974 95.6% 61.6%ね ず み 鋳 鉄 2,182,813 2,209,307 2,135,900 2,117,743 2,022,905 95.5% 37.4%球 状 黒 鉛 鋳 鉄 1,345,535 1,377,385 1,345,098 1,364,483 1,305,069 95.6% 24.1%

鋳 鉄 管 299,916 330,216 344,788 359,507 398,730 110.9% 7.4%可 鍛 鋳 鉄 39,513 36,558 45,929 44,132 43,075 97.6% 0.8%鋳 鋼 品 218,181 202,713 181,679 172,302 156,997 91.1% 2.9%銅 合 金 鋳 物 83,163 79,571 73,433 77,113 78,024 101.2% 1.4%アルミニウム合金鋳物 383,978 420,530 413,804 417,299 418,530 100.3% 7.7%ダ イ カ ス ト 930,474 1,006,287 984,842 1,001,099 975,680 97.5% 18.1%

アルミニウム合金 902,028 978,523 958,503 975,508 951,715 97.6% 17.6%亜 鉛 合 金 な ど 28,446 27,764 26,339 25,591 23,965 93.6% 0.4%

精 密 鋳 造 品 6,582 6,396 6,357 6,702 5,861 87.5% 0.1%合計 5,490,155 5,668,963 5,531,830 5,560,380 5,404,871 97.2% 100.0%

出所:経済産業省 生産動態統計確報 ・ 年報

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8 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

ミニウム鋳物は、2,849億円、同1.0%増と 2 年連続して増加した。生産量も 419 千トン、同0.3%増と 4 年連続して40万トン台を継続した。ダイカストは、5,839 億円、同0.6%減と微減となった。生産量では 976 千トン、同2.5%減と再び 100万トン台を下回った。平成23 ~ 27年の生産金額と生産重量の推移を表 2.1.1.1および表2.1.1.2に示す。 平成 2 年(1990年)からの生産金額推移を図 2.1.1.1で見ると、バブルが崩壊した平成 2 年の2.5兆円をピークに低下に転じ、平成14年(2002年)には1.7兆円まで落ち込んだものの平成19年(2007年)には 2.4兆円まで回復した。しかし平成20年(2008年)秋に発生したリーマンショックによる世界的な金融危機の発生により急激な生産減を余儀なくされ、平成21年(2009年)には1.6兆円まで落ち込んだ。平成22年以降回復したものの、平成23年(2011年)の東日本大震災などもあり平成27年まで 1.9兆円台で推移している。なお、平成27年の全生産額に占める非鉄鋳物比率は 49.1と 4 年連続して上昇し、これまで最高の平成19年と同率となった。

 2. 1. 1. 2 鋳造業を取り巻く動向 我が国鋳造産業の総事業所数は、平成 2 年(1990年) の 4,241 工場をピークに平成25年で 1,985 工場と

この 20年間で半減している。業種別では、銑鉄鋳物の59.4%減に対してダイカストは生産量の増加を反映して 36.7%減に止まっている。この事業所数の推移を図2.1.1.2に示す。 地域別の鋳物生産量については、銑鉄鋳物の県別生産量を日本鋳造協会が公表している。表 2.1.1.3に県別銑鉄鋳物生産量の上位 20 の県を示す。第 1 位愛知県1,265 千トン、第 2 位栃木県 219 千トン、第 3 位福島県 191 千トン、第 4 位島根県 172 千トンまでは、前年と同様の順位であった。静岡県が 6 位から 5 位、広島が 7 位から 6 位、岡山が 9 位から 8 位、岐阜が 13位から 12位、富山が 14位から 13位、茨城が 15位から 14位、山形が 20位から 18位へ、順位が上がった。一方、長野が 5 位から 7 位、大阪が 8 位から 9 位、新潟が 12位から 15位、滋賀が 18位から 19位、京都が 19位から20位へと下がった。 銑鉄鋳物業の平成27年の倒産・転廃業は、日本鋳造協会調べによれば、倒産 1 件、転業 3 件、廃業 7 件の合計11件であった。直近 4 年間の倒産比率と平成23年までの 19年間の平均倒産比率を比較すると、直近 4 年間の倒産比率は、減少傾向にあるものの 32.1%と平成23年までの 13.7%に対して 2.3倍を超える高い水準となっている。これを表 2.1.1.4に示す。

1990年

1995年

2000年

2001年

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

精密鋳造品 47 45 47 49 45 40 44 46 47 54 60 43 51 52 51 52 56 54

ダイカスト 520 485 465 434 465 506 551 600 675 732 697 444 577 558 581 569 587 584

軽合金鋳物 312 300 289 265 269 256 260 279 307 320 309 207 263 258 274 280 282 285

銅合金鋳物 112 98 70 69 67 75 83 82 115 133 129 84 96 108 96 91 96 97

鋳鋼品 223 174 138 141 126 122 122 143 160 175 187 133 137 131 128 129 124 110

銑鉄鋳物(含鋳鉄管、可鍛鋳鉄) 1,2671,080 905 817 764 821 849 913 973 1,0011,048 677 851 858 849 820 846 839

非鉄鋳物比率(ダイカスト・銅合金・軽合金) 38.0 40.5 43.1 43.3 46.2 46.0 46.8 46.6 48.2 49.1 46.7 46.3 47.4 47.0 48.1 48.4 48.5 49.1

0

10

20

30

40

50

60

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

(%)(単位:10億円)

出所:素形材年鑑、経済産業省 生産動態統計より作成

図 2.1.1.1 材質別生産金額の推移

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9

鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

 鋳造業の主なユーザー業界の動向を表 2.1.1.5に示す。鋳造業の最大のユーザーである自動車産業は、少子高齢化を背景とした国内需要の落ち込みが懸念され始めた平成12年初頭から、新興国を中心とする海外での旺盛な需要を取り込むため、海外生産を急速に増加している。表 2.1.1. 5 に我が国自動車産業の国内海外生産台数の推移をみると、平成12年には国内生産60%、海外生産40%であったものが、平成19年に海外生産が国内生産を上回り、その後海外生産比率が増加し、平成26年には国内生産40%、海外生産60%に比率が逆転している。この間の日本国内での生産台数は、平成19年の約1160万台をピークに減少し、平成21年以降は1000万台を割っている。 工作機械の年間受注量は平成23年13,262億円、平

  出所:素形材年鑑、経済産業省 工業統計(産業編)より作成

図 2.1.1.2 材質別事業所数の推移

表 2.1.1.3 銑鉄鋳物の県別生産重量・生産金額

順位(2014年順位)

都道府県名

2014 年 2015 年生産量

(千トン)生産金額(億円)

生産量(千トン)

生産金額(億円)

1 ( 1 ) 愛 知 1,286 2,354 1,265 2,2812 ( 2 ) 栃 木 230 405 219 4323 ( 3 ) 福 島 211 389 191 3554 ( 4 ) 島 根 170 309 172 3025 ( 6 ) 静 岡 125 249 125 2486 ( 7 ) 広 島 122 288 123 2837 ( 5 ) 長 野 136 290 106 2278 ( 9 ) 岡 山 87 163 86 1589 ( 8 ) 大 阪 88 237 82 22010(10) 兵 庫 77 202 71 18511(11) 埼 玉 75 171 70 16112(13) 岐 阜 72 172 69 17613(14) 富 山 69 138 69 13914(15) 茨 城 67 128 68 13815(12) 新 潟 73 208 67 19716(16) 岩 手 67 148 67 14917(17) 三 重 56 108 52 10418(20) 山 形 46 78 44 7219(18) 滋 賀 51 148 38 11220(19) 京 都 50 54 36 46

出所:日本鋳造協会ホームページより作成

1990年

1995年

2000年

2002年

2004年

2006年

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

ダイカスト

非鉄金属鋳物

鋳鋼品

銑鉄鋳物(含鋳鉄管、可鍛鋳鉄)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

1,006

1,24195

1,899

1,02895

1,432

83292

1,164

69980

970

66182

902

63777

873

62684

882

65087

887

57181

838

57078

808

57664

829

52975

817

50969

770

894 836 746 685 715 724 763 693 657 690 664 637

表 2.1.1.4 倒産比率の比較

期間 倒産件数a

倒産転廃業合計 b

倒産比率 a/b%

平成 5 年~平成23年 66 481 13.7平成24年~平成27年 17 53 32.1出所:日本鋳造協会発行の最近の鋳造業界動向

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10 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

成24年 12,124億円、平成25年 11,170億円、平成26年15,094億円、平成27年 14,806億円と毎年 1 兆円を超えるレベルで推移している。しかし、図 2.1.1.3によれば工作機械の生産台数は、それまで受注額に比例して増減していたが、平成24年の 93,649台から平成25年は56,814台へと大幅に減少した。平成26年 99,352台、平成27年 101,566台へと回復したものの受注額に比例した増加とはなっていない。為替レートの変動による海外調達の動きを反映しているといえる。

表 2.1.1.5 主なユーザ業界の生産動向

自動車生産台数(台)

08 年上期

平均比

産業機械受注

(億円)

08 年上期

平均比

工作機械受注

(億円)

08 年上期

平均比

建設機械出荷

(億円)

08 年上期

平均比

新設住宅着工戸数(戸)

08 年上期

平均比

ウェイト関係生産台数(台)

08 年上期

平均比08 年度

上期平均 1,009,507 100.0 6,318 100.0 1,300 100.0 2,259 100.0 90,598 100.0 31,580 100.0 08 年

下期平均 917,771 90.9 4,661 73.8 865 66.5 1,657 89.8 91,650 101.2 26,108 82.7 09 年

上期平均 553,609 54.8 3,554 56.2 247 19.0 1,017 45.0 66,148 73.0 9,105 28.8 09 年

下期平均 768,811 76.2 3,365 53.3 440 33.8 1,020 45.1 65,253 72.0 11,792 37.3 10 年

上期平均 807,022 79.9 4,104 65.0 734 56.5 1,316 58.2 63,609 70.2 15,956 50.5 10 年

下期平均 797,332 79.0 3,851 61.0 896 68.9 1,659 73.4 71,917 79.4 20,461 64.8 11 年

上期平均 579,593 57.4 4,429 70.1 1,124 86.5 1,712 75.8 65,925 72.8 19,722 62.5 11 年

下期平均 828,101 82.0 4,347 68.8 1,082 83.2 2,102 93.0 73,095 80.7 24,446 77.4 12 年

上期平均 874,666 86.6 5,256 83.2 1,061 81.6 2,025 89.6 69,227 76.4 23,477 74.3 12 年

下期平均 782,443 77.5 3,483 55.1 960 73.9 1,784 79.0 77,906 86.0 23,168 73.4 13 年

上期平均 779,066 77.2 4,130 65.4 866 66.6 1,756 77.7 75,177 83.0 20,827 66.0 13 年

下期平均 828,070 82.0 3,826 60.6 1,000 76.9 1,940 85.9 88,103 97.2 24,761 78.4 14 年

上期平均 844,300 83.6 4,723 74.7 1,168 89.9 1,962 86.8 72,630 80.2 24,653 78.1 14 年

下期平均 784,633 77.7 4,783 75.7 1,348 103.7 2,086 92.3 76,081 84.0 26,081 82.6 15 年

上期平均 773,997 76.7 5,128 81.2 1,349 103.8 1,987 87.9 73,435 81.1 25,334 80.2 15 年

下期平均 771,125 76.4 3,921 62.1 1,119 86.1 1,899 84.1 78,115 86.2 24,295 76.9

出所:日本鋳造協会発行 最近の鋳造業界動向

表 2.1.1.6  我が国自動車産業の国内海外生産台数の推移

平成 12 年 平成 13 年 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 平成 19 年国内生産台数 a 10,140,796 9,777,191 10,257,315 10,286,018 10,511,518 10,799,659 11,484,233 11,596,327海外生産台数 b 6,288,330 6,679,593 7,652,466 8,607,563 9,797,551 10,606,157 10,972,243 11,859,761合計 c 16,429,126 16,456,784 17,909,781 18,893,581 20,309,069 21,405,816 22,456,476 23,456,088海外生産比率 b/c 38.3% 40.6% 42.7% 45.6% 48.2% 49.5% 48.9% 50.6%

平成 20 年 平成 21 年 平成 22 年 平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年国内生産台数 a 11,575,644 7,934,057 9,628,875 8,398,630 9,943,077 9,630,181 9,774,665 9,278,321海外生産台数 b 11,651,428 10,117,520 13,181,462 13,383,629 15,825,398 16,756,754 17,476,219 -合計 c 23,227,072 18,051,577 22,810,337 21,782,259 25,768,475 26,386,935 27,250,884 9,278,321海外生産比率 b/c 50.2% 56.0% 57.8% 61.4% 61.4% 63.5% 64.1% 0.0%出所:自動車工業会ホームページデータより作成

0

20000

40000

60000

80000

100000

120000

平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年

生産

台数

93,64994,282 99,352

74,718

56,814

101,566

出所:経済産業省 生産動態統計より作成

図 2.1.1.3 平成 22年~ 27年の工作機械の生産台数推移

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鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

 2. 1. 1. 3 世界の鋳物動向 平成26(2014)年の世界鋳物生産量は、約 1 億 518万トン、対前年比 2.3%増と 5 年連続して増加し、2 年連続して 1 億トン台を維持した。生産量第 1 位は中国で、46,200 千トン、同3.8%増と平成22(2010)年以降は 5 %以下の伸びに止まっている。第 2 位のアメリカは 11,997 千トン、同1.6%とリーマンショック後 4 年連続して増加している。第 3 位のインドも 10,021 千トン、同2.2%と 2 年連続増加し、1 千万トン台を回復し

た。日本は、引き続き第 4 位の 5,538 千トンと前年の横ばいに推移した。第 5 位のドイツは、5,247 千トン、同1.2% 増と再び増加した。トルコが第10位の 1,750 千トン、同13.4%増と大きく増加して初めて上位 10 か国の仲間入りをした。これに対して、ブラジルが 2,737 千トン、同10.9%減、フランスが 1,729 千トン、同1.1%減となり、フランスは上位 10 か国から外れた。表 2.1.1.7および図 2.1.1.4に世界の鋳物生産量および上位 10 か国の生産量の推移を示す (角田悦啓)

表 2.1.1.7 世界の鋳物生産量と上位 10か国の生産量対前年比較単位:千トン

順位 国 名 2014 2013 対前年比% 順位 国 名 2014 2013 対前年比

%世界合計 105,182 102,781 2.3 6 ロシア 4,200 4,100 2.4

1 中国 46,200 44,500 3.8 7 ブラジル 2,737 3,071 ▲ 10.92 アメリカ 11,997 11,807 1.6 8 韓国 2,631 2,562 2.73 インド 10,021 9,810 2.2 9 イタリア 2,025 1,971 2.74 日本 5,538 5,538 0 10 トルコ 1,750 1,543 13.45 ドイツ 5,247 5,187 1.2 11 フランス 1,729 1,748 ▲ 1.1

出所:Modern Casting 2015 年12月号

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

世界合計 68311 70209 73555 79745 85741 91368 94919 93449 80343 91674 98593 99799 102781 105183

中国 14889 16262 18146 22420 24421 28094 31270 33500 35300 39600 41260 42500 44500 46200

アメリカ 11871 11812 12070 12314 12897 12455 11819 10784 7408 8238 10008 11789 11807 11997

インド 3155 3267 4038 4623 6111 7179 7771 6841 7443 9053 9994 9344 9810 10021

日本 5841 6111 6111 6386 6656 6912 6961 6711 4386 4758 5474 5343 5538 5538

ドイツ 4643 4595 4723 4964 5108 5481 5840 5784 3902 4794 5467 5214 5187 5247

ロシア 6200 6200 6200 6300 7620 6900 7800 7800 4200 4200 4300 4300 4100 4200

ブラジル 1760 1971 2249 2829 2969 3087 3227 3355 2297 3241 3344 2860 3071 2737

韓国 1683 1714 1784 1857 1899 1968 2024 2066 2135 2234 2340 2436 2562 2631

イタリア 2393 2441 2441 2441 2541 2637 2743 2638 1669 1971 2213 1960 1971 2025

フランス 2527 3018 2485 2466 2343 2408 2472 2388 1737 1957 2047 1800 1748 1729

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

左軸目盛り:国別生産量 線グラフ

出所:Modern Casting 2015年12月号データより作成

図 2.1.1.4 世界の鋳物生産量の推移

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12 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

2. 1. 2 技術・研究動向

 鋳造産学界における主な出来事を以下に紹介する。 日本鋳造工学会の平成27年 1 月~12月の研究・技術論文を内容別にみると、鋳鉄関連 14報、鋳鋼関連 1 報、アルミ及び銅合金関連 17報、ダイカスト関連 3 報、鋳型関連 2 報、CAE 関連 4 報、設備関連 3 報となっており、特集号は 6 月号に「鋳造品の高強度化技術と評価法」、8 月号に「鋳物の割れ」、12月号に「銅合金鋳物の最近の進展」が掲載された。また、「鋳造工学概論」の連載が継続し、品質管理と環境対策の事項まで解説され完了した。そして、新たに「鋳造要素技術概論」の連載が始まり、ダイカスト技術の基礎から応用までの解説が継続している。球状黒鉛鋳鉄の疲労1)~5)、鋳鋼の曲げ疲労6)、鋳鉄及びアルミニウム合金鋳物の疲労特性についての解説7),8)や鋳鉄溶湯性状の判定に関する研究9)、アルミニウム合金の凝固組織に関する研究10)~13)、鋳ぐるみ、表面処理や切削性に関する検討14)~16)、湯流れの検証及び CAE によるシミュレーションの新提案17)~22)

の研究論文があった。銅及び銅合金鋳物 JIS (H5120)改正に伴う調査23)~25)や非鉄金属鋳物の凝固割れに関する調査26),27)、最新鋳造 CAE の動向と展望に関する解説28),29)などが言及された。 同学会の第166回全国講演大会は平成27年5月22日~25日に東京都新宿区の早稲田大学(西早稲田キャンパス) で開催され、131件の研究発表(オーガナイズドセッションと YFE 大会の講演を含む)と技術講習会があった。講演の内訳は鋳鉄関連 22報、鋳鋼関連 5 報、非鉄合金関連 42報、ダイカスト関連15報、鋳型関連18報、CAE 関連 9 報、設備関連 9 報などと日中交流招待講演と日韓交流招待講演があった30)。パネルディスカッションとして、「鋳物を愉しむ」と題して、4 名のパネリスト(神戸洋史副会長、清水一道企画委員長、山浦秀樹行事企画委員長、旗手稔人材育成委員長)と西直美氏(関東支部企画委員長)の司会・コーディネートによって、鋳造業界の未来を担う人財を育てるには学会ではどのように今後取り組んでいけば良いかについて参加者との意見交換も入れて開催された。技術講習会は「QC 手法を用いた鋳造現場改善の進め方」をテーマとし、「QC の概要と問題解決の進め方について」、

「QC7 つ道具の演習」と「事例発表(鋳鉄部門と非鉄部門)と講評」の 3 つのセッションに分けられ、2 名の講師と 4 社の発表と 1 名の講評社によって QC の実践教育演習と取組み方に関する理解度の向上が図られた31)。 つづく第167回全国講演大会は平成27年10月23日~

26日に室蘭市の室蘭工業大学で日本鋳造協会秋季大会と同時開催され、119件の研究発表と特別講演、技術講習会があった32)。講演の内訳は鋳鉄関連 29報、鋳鋼関連 5 報、非鉄合金関連 32報、ダイカスト関連 9 報、鋳型関連 20報、CAE 関連 8 報、設備関連 6 報などであった。特別講演として、木村鋳造所・菅野利猛氏の「韮山反射炉の研究と世界遺産登録」と経済産業省素形材産業室長・遠山毅氏の「素形材産業を巡る現状と課題」と旭山動物園長・板東元氏の「いのちのかがやき」があり、参加者は大きな関心をもって聴講していた。技術講習会は「鋳造現場のカイゼン- 3Dから ACE への変革-」と題し、「造型・砂処理設備」と「注湯設備」と「集塵設備」と「検査設備」の 4 つのセッションに分けて、5 名の講師による現状と開発動向及び将来展望までの内容が説明された33)。同時開催の日本鋳造協会の講演会はキャスト・若林誠氏からの「海外市場への挑戦」と、瓢屋・曽根孝明氏からの「鋳造歩留りを 10%以上向上させる新押湯方式の開発」と、札幌高級鋳物・奥田由利氏と村瀬鉄工所・村瀬充氏からの

「北海道地区会員による経営講演」の 4 名の講師による経営戦略や鋳造方案の考え方と取組みに関する提言があった。 日本鋳造協会が主催する「鋳造カレッジ」は 2007年度から開始され、現在では鋳鉄コース、銅合金コース、軽合金コースと鋳鋼コースの 4 コースが設立されている。さらに、鋳鉄の「上級コース」も 2014年から運用され、この事業は鋳造業界における人材育成に関する一翼を担っている。同協会の鋳造ジャーナルでは高熱効率ルツボ式保持炉や耐火煉瓦の開発34),35)、鋳鉄用押湯の開発36)、中子製作の新手法37)や AFS 会長のブルース・ディーンスト氏によるアメリカ鋳造産業の動向38)

などが紹介された。 素形材センターでは「3Dプリンタ」に関する情報として、鋳造分野への活用状況39)、砂型積層工法を活用した金型量産への適用40)や 3 次元造形技術を核としたものづくり革命41)などが紹介された。中小企業における鋳造イノベーション42)、鋳造現場における見える化・診断技術43)、さらには鋳造業におけるロボットの活用事例44)やダイカストの最新技術動向45)などが特集として報告され、ドイツで開催された GIFA46)など、鋳造分野における新しい技術や設備については今後の動向として把握しておく必要がある。

(旗手 稔) 参考文献1 )河﨑ら : 鋳造工学, 87 (2015) 1, p.3

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13

鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

2 )船曳ら : 鋳造工学, 87 (2015) 3, p.1753 )船曳ら : 鋳造工学, 87 (2015) 6, p.3694 )堀川ら : 鋳造工学, 87 (2015) 6, p.3755 )旗手ら : 鋳造工学, 87 (2015) 6, p.3826 )原田ら : 鋳造工学, 87 (2015) 1, p.527 )野口ら : 鋳造工学, 87 (2015) 6, p.3808 )茂泉 : 鋳造工学, 87 (2015) 6, p.3889 )菅野ら : 鋳造工学, 87 (2015) 1, p.910)才川ら : 鋳造工学, 87 (2015) 1, p.3911)後藤ら : 鋳造工学, 87 (2015) 2, p.10912)柳楽ら : 鋳造工学, 87 (2015) 8, p.55213)大坪ら : 鋳造工学, 87 (2015) 10, p.69514)日高ら : 鋳造工学, 87 (2015) 1, p.2215)及川ら : 鋳造工学, 87 (2015) 9, p.64716)生田ら : 鋳造工学, 87 (2015) 5, p.23117)金澤ら : 鋳造工学, 87 (2015) 1, p.2918)中江ら : 鋳造工学, 87 (2015) 1, p.4619)福田ら : 鋳造工学, 87 (2015) 7, p.44620)棗 : 鋳造工学, 87 (2015) 9, p.63621)平田ら : 鋳造工学, 87 (2015) 10, p.70222)久保 : 鋳造工学, 87 (2015) 11, p.75923)伊藤ら : 鋳造工学, 87 (2015) 12, p.83624)岡根ら : 鋳造工学, 87 (2015) 12, p.84025)後藤ら : 鋳造工学, 87 (2015) 12, p.84426)高井ら : 鋳造工学, 87 (2015) 8, p.56927)高井ら : 鋳造工学, 87 (2015) 8, p.57628)大中ら : 鋳造工学, 87 (2015) 3, p.198

29)大中 : 鋳造工学, 87 (2015) 4, p.26530) 日本鋳造工学会 第166回全国講演大会講演概要集

(2015) 5 月31) 日本鋳造工学会編 : 技術講習会資料「QC 手法を用いた

鋳造現場改善の進め方」(2015) 5 月32) 日本鋳造工学会 第166回全国講演大会講演概要集

(2015) 10月33) 日本鋳造工学会編 : 技術講習会資料「鋳造現場のカイゼ

ン- 3Dから ACE への変革-」(2015) 10月34)岡田ら : 鋳造ジャーナル, Vol. 11 (2015) 2, p.2635)岡田ら : 鋳造ジャーナル, Vol. 11 (2015) 12, p.1636)菅沼ら : 鋳造ジャーナル, Vol. 11 (2015) 12, p.2237)J. Ziemba ら : 鋳造ジャーナル, Vol. 11 (2015) 2, p.3838)鋳造ジャーナル, Vol. 11 (2015) 11, p.1839)中井 : 素形材, Vol. 56 (2015) 2, p.3840)小岩井 : 素形材, Vol. 56 (2015) 9, p.2141)伊藤 : 素形材, Vol. 56 (2015) 11, p.4142) 素形材 2 月号「特集 中小企業における鋳造イノベー

ション」, Vol. 56 (2015) 2, p.1-3743) 素形材8月号「特集 素形材加工の見える化・診断技術」,

Vol. 56 (2015) 8, p.1-2744) 素形材11月号「特集 素形材産業におけるロボットの

導入と活用事例」, Vol. 56 (2015) 11, p.1-2745) 素形材 3 月号「特集 2014 日本ダイカスト会議・展示

会に見るダイカストの最新技術動向」, Vol. 56(2015)3, p.1-44

46)森田 : 素形材, Vol. 56 (2015) 9, p.33

2. 2 銑鉄鋳物

2. 2. 1 ねずみ鋳鉄

 2. 2. 1. 1 産業動向 平成27年のねずみ鋳鉄の生産重量・生産金額・平均単価を表 2.2.1.1に示す。生産重量は 2,023 千トン、

前年比4.5%減と 3 年連続して減少した。用途別では64.1%を占める自動車用が、1,284 千トン、同5.4%減と3 年連続して減少した。同じく11.9%を占める産業機械器具用は 241 千トン、同4.1%減と 4 年連続して減少した。その他一般・電気機械用 192 千トン、同3.9%減、

表 2.2.1.1 平成 27年ねずみ鋳鉄鋳物の生産重量・生産金額・単価

用途 生産重量(トン)

構成比率(%)

前年比(%)

生産金額(百万円)

構成比率(%)

前年比(%)

単価*

(円 /kg)前年単価

(円 /kg)

一般・電気機械用産業機械器具用 240,982 11.9 95.9 54,461 14.7 95.4 226.0 227.4金属工作・加工機械用 109,329 5.0 103.5 21,175 5.3 103.9 193.7 193.1その他一般・電気機械用 192,015 9.5 96.1 54,075 14.2 98.8 281.6 273.7

輸送機用自動車用 1,283,724 64.1 94.6 203,840 54.9 95.9 158.8 156.6その他輸送機用 136,163 6.9 93.9 25,510 6.8 97.4 187.3 180.8

その他用 60,692 2.8 104.0 16,633 4.1 103.8 274.1 274.5合計 2,022,905 100.0 95.5 375,694 100.0 97.1 185.7 182.8

* 単価 = 生産金額 / 生産重量出所:経済産業省 生産動態統計

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14 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

その他輸送機用 136 千トン、同6.1%減と再び減少した。これに対して、金属工作・加工機用は 109 千トン、同3.5%増と 2 年連続して増加、その他用は、61千トン、同4.0%増とそれぞれ 3 年ぶりに増加した。 生産金額は、3,757 億円、同2.9%減と再び減少した。用途別では、54.9%を占める自動車用が 2,038 億円、同4.1%減となり、産業機械器具用も 545 億円、同4.6%減とともに 3 年連続して減少した。その他一般・電気機械用 541 億円、同1.2%減、その他輸送機械用は 255 億円、同2.6%減と再び減少した。これに対して金属工作・加工機械用は 212 億円、同3.9%増、その他用は 166 億円、同3.8%増とそれぞれ 3 年ぶりの増加となった。 生産金額を生産重量で割ったいわば統計から見たねずみ鋳鉄の平均単価の動向は、前年の182.8円から 185.7円へと 2 年連続して上昇した。用途別では、産業機械器具用とその他用の低下を除いて、2 年連続して 2 ~

3%程度増加している。自動車用は前年の 156.6 円から158.8 円へと前年の1.9%増から2.9%増へと単価が上昇している。電気料金等のエネルギーコスト増に伴う価格転嫁の影響と考えられる。ねずみ鋳鉄の平成27年の月別生産動向及び平成22~27年の生産重量推移を図2.2.1.1及び図 2.2.1.2に示す。

(角田悦啓)

 2. 2. 1. 2 技術・研究動向 日本鋳造工学会誌「鋳造工学」における平成27年 1月~12月の鋳鉄関連14報のうち、ねずみ鋳鉄に関する研究・技術論文は 5 報であった。2 回の全国講演大会では鋳鉄関連51報のうち、ねずみ鋳鉄に関する研究は13報が発表された。鋳造欠陥1)、切削性2)、減衰特性3)、黒鉛成長を調査した報告4)や、フェーディングによる黒鉛形態制御5)、溶解素材を検討した報告6)があった。

出所:経済産業省 生産動態統計より作成

図 2.2.1.2 平成22~27年ねずみ鋳鉄鋳物の生産金額・生産重量推移

出所:経済産業省 生産動態統計より作成

図 2.2.1.1 平成27年ねずみ鋳鉄鋳物の生産量推移

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

重量(トン)

1月

金額(百万円)

165,735

170,528

177,862

171,526

153,148

178,427

185,927

144,689

176,328

174,965

165,052

158,718

30,31731,428

32,97032,205

28,948

33,22734,357

27,03432,344

32,60330,719

29,542

2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

11月

12月

2,159 2,190 2,209 2,136 2,119 2,023

4,479 4,258 4,049 3,8223,872 3,757

05001,0001,5002,0002,5003,0003,5004,0004,5005,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年

重量(千トン) 金額(億円)

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15

鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

また、溶接性を調査した報告7)、Al を添加して偏析を調査した報告や高温酸化特性を観察した報告8),9)などもあった。また、鋳造条件で変化する密度を測定した報告10)や高 Si 組成で D型共晶黒鉛鋳鉄を溶製する技術を開発した報告11)もあった。さらに籾殻由来のバイオコークスを使用することによる溶湯への加珪効果を検証した実験12)などについても報告があった。 海外雑誌 AFS では市販接種剤の接種効果13)や Cr 及び Mo 添加と接種処理による高強度化14)について報告された。 (旗手 稔)

 参考文献1 ) 枝根ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.252 ) 土屋ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.533 ) 菊池ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.194 ) 國井ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.205 ) 菅野ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.216 ) 大岩ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.227 ) 門井ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.238 ) 鳥山ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.289 ) 千田ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.2910) 望月ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.65

11) 山本ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集 p.66

12) 冨田 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集p.67

13) I. Riposan et al.: AFS Transactions,“Increasing the Inoculant Potency of Commercial Inoculating Alloys in Induction Melted Gray Cast Iron”, Vol.123 (2015), p.227

14) L. Stuewe et al . : AFS Transactions,“Effect of Chromium and Mo lybdenum Add i t i on and Inoculation Treatment on High-Strength Gray Cast Iron Solidification and Shrinkage Defects”, Vol.123

(2015), p.261

2. 2. 2 球状黒鉛鋳鉄

 2. 2. 2. 1 産業動向 平成27年の球状黒鉛鋳鉄の生産重量・生産金額・平均単価を表 2.2.2.1に示す。鋳鉄管を除く球状黒鉛鋳鉄の生産重量は 1,310 千トン、前年比4.2%減と再び減少した。用途別では、49.9%を占める自動車用が 850 千トン、同2.7%減、同じく11.6%を占める産業機械器具用は 198 千トン、同5.5%減、その他一般・電気機械用は 95 千トン、同9.7%減といずれも再び減少した。金属工作・加工機械用は 10.5 千トン、同3.7%減と 2 年連続して減少、その他用は 86 千トン、同7.3%減と 4 年連続して減少した。一方、鋳鉄管は、399 千トン、同10.9%増と 4 年連続して増加した。 鋳鉄管を除く生産金額は、3,030億円、同5.5%減と再び減少した。用途別では、43.3%を占める自動車用が 1,855億円、同4.2%減、11.3%を占める産業機械器具用は 484 億円、同6.3%減、金属工作・加工機械用は 21

表 2.2.2.1 平成 27年球状黒鉛鋳鉄鋳物の生産重量・生産金額・単価

用途 生産重量(トン)

構成比率(%)

前年比(%)

生産金額(百万円)

構成比率(%)

前年比(%)

単価(円 /kg)

前年単価(円 /kg)

一般・電気機械用産業機械器具用 197,554 11.6 94.5 48,351 11.3 93.7 244.7 246.5金属工作・加工機械用 10,476 0.6 96.3 2,093 0.5 99.4 199.8 193.4その他一般・電気機械用 94,688 5.6 90.3 25,873 6.0 92.1 273.2 268.3

輸送機用自動車用 850,494 49.9 97.3 185,454 43.3 95.8 218.1 221.2その他輸送機用 66,003 3.9 90.2 16,220 3.8 89.6 245.7 248.1

その他用 85,854 5.0 92.7 25,040 5.8 92.5 291.7 293.1計 1,305,069 76.6 95.8 303,031 70.7 94.5 232.2 234.8

鋳鉄管 398,730 23.4 110.9 125,728 29.3 110.9 315.3 335.4合計 1,703,799 100.0 98.7 428,759 100.0 98.8 251.6 255.8

* 単価 = 生産金額 / 生産重量出所:経済産業省 生産動態統計

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16 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

億円、同0.6%減、その他一般・電気機械用は 259億円、同7.9%減、その他輸送機械用は 162億円、同10.4%減、その他用は 250億円、同7.5%減と再び減少した。鋳鉄管は 1,257億円、同10.9%増と大きく増加し、2 年連続して増加した。 鋳鉄管を除く球状黒鉛鋳鉄の単価は、前年の 234.8円から 232.3円へと低下した。用途別では、金属工作・加工機械用及びその他一般・電気機械用を除いて低下した。 (角田悦啓)

 2. 2. 2. 2 技術・研究動向 日本鋳造工学会誌「鋳造工学」における平成27年 1月~12月の鋳鉄関連 14報のうち、球状黒鉛鋳鉄に関する研究・技術論文は 9 報であった。2 回の全国講演大会では鋳鉄関連 51報のうち、球状黒鉛鋳鉄に関する研究は 31報が発表された。 引け性や溶湯性状1)~ 3)と接種の関係4)、黒鉛の結晶成長5)~ 7)、鋳物モジュラスと黒鉛量との関係8)について調査した報告などが発表された。また、機械的性質と合金元素量との関係を調査した報告9)~11)、高温引張特性12)や疲労や衝撃及び摩耗特性、硬さや弾性特性などの静的機械的性質を調査した研究13)~21)など、非破

      出所:経済産業省 生産動態統計より作成

図 2.2.2.2 平成22~27年球状黒鉛鋳鉄鋳物の生産金額・生産重量推移

        出所:経済産業省 生産動態統計より作成図 2.2.2.1 平成27年球状黒鉛鋳鉄鋳物の生産金額・生産重量推移

108,655110,519

114,392112,234

100,528112,023

117,65494,004

112,578111,099

107,223104,160

24,96525,696

27,23725,878

23,124

26,76627,681

20,802

26,00025,870

25,17023,842

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

重量(トン) 金額(百万円)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

11月

12月

1,311 1,345 1,377 1,345 1,364 1,305

2,877

3,180 3,2193,118

3,205

3,030

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年

重量(千トン) 金額(億円)

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17

鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

壊検査及び金型鋳造への適用検討した研究22),23)についても報告された。また、溶接性、被削性や腐食特性に関する報告24)~ 26)、表面処理技術27)についての調査などが報告された。 海外雑誌 AFS では、鋳放しオースフェライト球状黒鉛鋳鉄に関する研究28)、高 Si で Mo 含有球状及び CV黒鉛鋳鉄の中温度脆化や厚肉部におけるチャンキー黒鉛の生成と防止に関する研究29),30)、また球状黒鉛の生成とオーステナイト凝固との関係に関する研究31)についても報告された。

(旗手 稔)

 参考文献1 ) 山口ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.362 ) 佐々木ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概

要集 p.313 ) 福尾ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.1054 ) 明石ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.375 ) 前田ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.156 ) 安田ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要

集 p.167 ) 小谷ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.488 ) 藤尾ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.509 ) 井上ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.5110) 信木 : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要集

p.8711) 永海ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.9012) 石川ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.9113) 清水ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.4714) 山根ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要

集 p.46

15) 廣瀬ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要集 p.93

16) 川野ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要集 p.94

17) 長谷川ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集 p.71

18) 張ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集p.77

19) 松木ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集 p.24

20) 北岡ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要集 p.27

21) 安藤ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集 p.95

22) 堀川ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要集 p.92

23) 糸藤ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要集 p.96

24) 加藤ら : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要集 p.130-132

25) 辻野 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集p.25

26) 千葉ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集 p.26

27) 及川ら : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集 p.30

28) S. Mendez et al.: AFS Transactions,“Processing Thickness Window for As-cast Ausferritic Castings”, Vol.123(2015), p.219

29) D. Li et al.: AFS Transactions,“Brittleness at Medium Temperature of Spheroidal Graphite, Mixed Graphite, and Compacted Graphite High-Silicon Molybdenum Cast Irons”, Vol.123(2015), p.243

30) O. Knustad et al . : AFS Transactions,“Chunky Graphite: Formation and Prevention in Heavy-Section Castings”, Vol.123(2015), p.255

31) J. Qing: AFS Transactions,“Examination of Nodular Graphite Formation and Austenite Solidification in Ductile Iron”, Vol.123(2015), p.271

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18 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

2. 3 鋳鋼品

2. 3. 1 産業動向

 平成27年の鋳鋼の生産環境は、26年と比較し国内製造業の不振、需要家の海外生産移転や海外製鋳鋼品の流入増加により、鋳鋼品需要は大きく低迷した。国内では、一昨年から続くマイナス傾向に歯止めがかからず、厳しい状況の 1 年であった。なお、全体的には 4年連続の減少となり、過去最低水準となった。27年の鋳鋼品の月別生産推移を見ると年初より多少凸凹はあるが、主力の土木建設・鉱山機械は減少が止まらず、船舶向けは微増にとどまるなど、年間を通じてすべての月が前年割れであった。その結果として、鋳鋼の 27年生産実績は 15万6997トンと前年比 8.9%(1 万5305トン)の減少となり、4 年連続のマイナスとなった。加えて、直近のピークだった 20年実績(29万8720トン)に対しては 52.6%程度の水準である。国内需要、輸出別では国内需要が前年比 9.6%減少し、単体輸出は 11.1%

増加した。これは主力機種の国内需要落ち込みから全体における輸出向けの比率が増加した格好で、輸出比率は未だ 4.4%と低い水準にとどまっている。表2.3.1.1は鋳鋼機種別生産実績であるが、鋳鋼品の全19 需要機種の内、17機種が前年実績を下回り、上回ったのは 2機種に留まった。26年よりも前年割れの機種が増加し、鋳鋼業を取り巻く環境は悪化の一途となっている。 図 2.3.1.1および図 2.3.1.2に鋳鋼主要機種の生産推移を示した。量産小物鋳鋼品の最大の需要先である土木建設・鉱山機械向けは、中国向けの停滞や資源価格下落による鉱山開発案件の減少が続いた。昨年よりも状況は悪く年間を通じて低調で前年実績比 20.8%だった。最盛期であった 23年実績(5 万8819トン)からは約45.9%の水準まで落ち込んだ。また、もう一つの主力機種である船舶向けは、国内受注量や建造量の安定により同5.3%増加と 2 年連続の増加となった。自動車向けはトラックの好調な販売により期待されたが、海

表 2.3.1.1 鋳鋼機種別生産実績

機種別

平成 25 年(2013) 平成 26 年(2014) 平成 27 年(2015)生産量(t)

構成比(%)

前年比(%)

生産量(t)

構成比(%)

前年比(%)

生産量(t)

構成比(%)

前年比(%)

ロ ー ル 6,243 3.4 111.8 6,980 4.1 111.8 6,564 4.2 94.0金 型 4,555 2.5 110.8 4,036 2.3 88.6 3,921 2.5 97.2鋳 鋼 管 12,202 6.7 101.9 9,629 5.6 78.9 8,034 5.1 83.4バ ル ブ ・ コ ッ ク 9,842 5.4 87.7 9,361 5.4 95.1 8,611 5.5 92.0自 動 車 10,563 5.8 101.2 10,484 6.1 99.3 8,170 5.2 77.9鉄 道 車 両 2,956 1.6 99.2 2,395 1.4 81.0 2,344 1.5 97.9船 舶 29,998 16.5 87.2 31,345 18.2 104.5 33,006 21.0 105.3土 木 建 設・ 鉱 山 機 械 41,033 22.6 78.3 34,084 19.8 83.1 26,997 17.2 79.2運 搬 機 械 5,382 3.0 64.5 4,029 2.3 74.9 3,292 2.1 81.7破砕機・摩砕機・選別機 13,266 7.3 97.9 13,884 8.1 104.7 13,100 8.3 94.4ポンプ・圧縮機・送風機 5,152 2.8 94.0 5,394 3.1 104.7 4,524 2.9 83.9プ レ ス ・ せ ん 断 機 9,329 5.1 111.6 9,086 5.3 97.4 8,101 5.2 89.2圧 延 機 1,287 0.7 40.0 1,067 0.6 82.9 882 0.6 82.7発 電 用 機 器 12,636 7.0 104.1 11,965 6.9 94.7 11,385 7.3 95.2工 業 炉 3,689 2.0 83.2 4,019 2.3 108.9 3,847 2.5 95.7武 器 ・ 航 空 機 397 0.2 97.3 434 0.3 109.3 366 0.2 84.3成 形 機 械 508 0.3 91.5 773 0.4 152.2 320 0.2 41.4各 種 施 設 5,252 2.9 100.7 5,846 3.4 111.3 6,617 4.2 113.2そ の 他 7,389 4.1 93.3 7,491 4.3 101.4 6,916 4.4 92.3合 計 ・ A 181,679 100.0 89.6 172,302 100.0 94.8 156,997 100.0 91.1

国 内 需 要自社用・B 28,426 15.6 85.0 26,807 15.6 94.3 21,358 13.6 79.7外販用 148,252 81.6 90.2 139,267 80.8 93.9 128,717 82.0 92.4

小 計 176,678 97.2 89.3 166,074 96.4 94.0 150,075 95.6 90.4輸 出 5,001 2.8 101.3 6,232 3.6 124.6 6,922 4.4 111.1外 販 比 率(A-B)/A% 84.4 0.9 84.4 0.0 86.4 2.0

出所 : 経済産業省 生産動態統計

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19

鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

外生産加速や鋳鋼からの素材転換等により同22.1%減と大きく下落した。その他の主要な需要機種の生産動向では、発電用機器は国内水力向けは安定していたが火力向けが停滞し、同4.8%減と 2 年連続マイナスとなった。また、破砕機・摩砕機・選別機は復興需要は落ち着き、オリンピック関連需要も鮮明にはならず同5.6%減少となった。また、破砕機関連は海外製品の流入も大きかった。 また、図 2.3.1.3は鋳鋼工場数と生産量の推移であるが、生産工場数は前年比 2 工場減の 74工場であった。 一方、平成27年中における鉄スクラップ、ニッケル、フェロクロム、モリブデン、フェロマンガン等の原材料・副資材について、鉄スクラップは昨年と同様に価格下落が年間を通じて続いた。また、ニッケルなど合金鉄については、中国をはじめとする新興国の需要減退などあり、価格は落ち込んだ。ただし、製造コストの占

める割合で大きな電力料金については高止まりの状況下で事業者を圧迫する要因となっている。

(関山裕介)

2. 3. 2 技術・研究動向

 (一社)日本鋳鍛鋼会 鋳鋼技術委員会では平成26年 1月に当会が発行した「鋳鍛鋼業界 NEW ビジョン」に示されている“目指すべき方向性”に沿って、各種事業を推進している。具体的には、①シミュレーション技術 (更なる実用化)、②操業技術 (省エネルギー溶解、欠陥防止)、③造型新技術 (人工砂 ・ 塗型 ・ バインダー、砂再生)、④作業環境 (集塵、防塵)、などのテーマを中心に、委員会並びに傘下部会にて活動を行っている。 以下に、委員会、部会における報告・検討から各社の取り組みおよび技術的対応について紹介する。

(1)品質改善 品質管理研究部会における検討では、「溶解中の成分不具合の低減」、「押湯配置の見直しによる亀裂の改善」、「鋳ぐるみ中子より発生するガスのガス抜き対策について」、「塗型剥離現象の改善」、などの事例が報告された。 また、鋳鋼技術情報交換会では、「砂の管理項目」について、発表・意見交換を行った。出席会社の半数以上で人工砂が導入されているが、砂の管理項目と確認頻度については、各社プロセス・使用砂が異なるために独自の設定が行われており、人工砂ワンサンド化を実施している会社は管理方法を強化している傾向にあることがわかった。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90船舶

土木建設・鉱山機械

鋳鋼管

破砕機・摩砕機・選別機

バルブ・コック

発電用機器

生産量(千トン/年)

H27H26H25H24H23H22H21H20H18 H190

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

2月 11月

船舶土木建設・鉱山機械自動車プレス・せん断機鋳鋼管発電用機器

生産量(トン)

12月10月9月8月7月6月5月4月3月1月

図 2.3.1.1 主な機種の生産量推移 図 2.3.1.2 主な機種の月別生産量推移

77 77 76 74

281293 299

198207

218203

182172

157

0

50

100

150

200

0

50

100

150

200

250

300

350

工場数

鋳鋼生産量

生産量(千トン/年)

工場数

7676 76 76 76 76

H27H26H25H24H23H22H21H20H19H18

図 2.3.1.3 鋳鋼工場数と生産量

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20 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

 このほか、鋳造シミュレーション関連では、ソフトメーカーのプレゼンテーションを通して鋳造シミュレーション技術に関する知識を深めることと、事例発表を含めて方案・鋳造シミュレーション担当者同士の情報・意見交換を行うことを目的とした「鋳造シミュレーションゼミナール」を 2 回開催した。

(2)自動化・省力化 鋳鋼技術情報交換会において、「省力化システムの導入事例」、「重筋作業の省力化について」などのテーマについて報告があった。 「省力化システムの導入事例」では、木型管理システムとして、木型の基本情報管理に加えて、バーコードリーダー端末を用いた入出庫情報の管理を行っている例や、製品の寸法測定をレーザートラッカー(3 次元測定器)で行う作業時にタブレット端末を用いて手元で確認しながらの採寸作業を可能とした例などが挙がった。 また、「重筋作業の省力化について」では、小物製品のグラインダー仕上げ作業において、形状に合わせて製品位置が調整できるような電動昇降作業台を設置した例や、従来人力で運んでいた重量物についても吊手をつけてクレーンでの運搬を可能とした例が挙がったが、今後解決すべき課題が多いテーマであることが窺がわれた。

(3)製鋼関連 鋳鋼 ・ 製鋼研究部会では、「作業改善(安全・環境)」がテーマに取り上げられた。その中で、安全に対する取り組みの中で、危険性のある作業を改善した事例では、出鋼ピットの転落防止柵を自動開閉化することにより、閉め忘れの問題を解決した例や、溶湯測定時に溶湯温度計のケーブルが足に引っかかり転倒するリスクを除去するためにコードレス(無線式化)に変更した例が報告された。また、安全体感道場を設置して安全の基礎教育を行っている会社や、安全対策の報告会として安全交流会を行っている会社の報告もあった。 加えて、作業環境の改善については、電気炉におけるノロかき作業時に作業性を損なわないように工夫を施した防熱板を設置して作業者に対する熱の温度を下げた事例が紹介された。

 また、機関誌「鋳鋼と鍛鋼」には製鋼関連として「真空脱ガス溶解設備の導入について」、「アーク炉天井の水冷パネル化による耐火物原単位削減」、「燃料転換による取鍋予熱の省エネ化への取り組み事例」が寄稿された。

(4)技術・技能伝承教育 多くの会社で作業員の年齢構成が、経験豊富な 40 歳代が少なく、50歳代以上と 30歳代以下とで年齢ギャップが生じている状況が続いている中で、各社経験の少ない若手を対象とした教育が OJT を中心に推進されている。 具体的取り組みとして、年間の活動計画を立てて毎月「作業ポイントの練習会」を監督職が評価まで行い実施している例や、過去の作業不良を題材として教育している例などが挙げられた。また、指導役のシニア社員と教わる側の若手社員の間に主任・班長クラスの社員を入れることにより、双方のコミュニケーションを円滑にしている旨の報告もあった。

(5)品質保証体制の整備 当会が原案作成団体となっている鋳鋼関連 JISの見直し作業を鋳鋼規格研究部会で行っている。 JIS G 0307

(鋳鋼品の製造、試験及び検査の通則)の 2014版発行に伴い、市場からの問い合わせを想定した鋳鋼材料 JISの引用規格の置き換え一覧表の作成を進めている。 また、鋳鋼品の放射線透過試験研究部会では、鋳鋼品の放射線透過試験におけるデジタル化に対応した規格作成 (JIS G 0581 〔鋳鋼品の放射線透過試験方法〕 /JIS G 0585 〔鋳鋼品の放射線透過検査〕 の改正) を念頭に置いて、情報収集や勉強会などの活動を行っている。その活動の一環として「溶接継手の放射線透過試験方法-デジタル検出器による X線及びγ線撮影技術」のJIS 作成に原案作成委員として参画した。

(加納信雄)

 参考文献日本鋳鍛鋼会 : 第199,200回鋳鋼技術委員会資料日本鋳鍛鋼会 : 鋳鋼と鍛鋼 (2015) No.542,543

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鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

2. 4. 1 産業動向

 平成24年から平成27年における銅合金鋳物の生産量を用途別に表 2.4.1.1に示す。平成27年の生産量は78,024トンで、前年比 101.2%であり、増加に転じた前年を維持している。平成23年以降はほぼ 7 万トン台である。生産金額も 96,804 百万円と前年比 101.6%と前年を維持している。自己消費量は 21,215 トンで、全生産量の 27.2%を占めており、生産量は前年比 103.0%で増加している。なお、銅合金鋳物用地金の生産は 76,148トンであった。銅合金鋳物の生産量は鉄系鋳物を含む全鋳造品 5,404,872トンの 1.4%に相当する。 生産量を用途別にみると、管継手を含むバルブ・コック用途が 27,694トンであり、全体の 35.5%を占め、前年比 98.1%で、銅合金鋳物の中では一番多い。次いで輸送機械用途が 21,284トンで全体の 27.3% で多く、前年比 107.1%と最も高い伸びを示した。産業機械器具用途は 13,265トンで全体の 17.0%であり、前年比 100.1%

と維持した。軸受メタル用途の生産量は 8,338トンで全体の 10.7%であり、前年比は 103.6%と増加した。これら一般機械用途全体の生産量合計は 49,298トンで、全体の 63.2%にあたる。電気機械用を含むその他の用途の生産量は 7,445トンで全体の 9.5%、前年比は 96.7%であった。銅合金鋳物の生産量は増加しているものの、平成19年以前の10万トン台への回復には至っていない。生産量の増加により生産金額も前年より増加している。用途別鋳造品の平均単価を表 2.4.1.2(表 2.4.1. 1 より算出)に示す。全用途の単純平均単価は1,241円/kg であり、前年比 100.5%に増加した。生産金額が最も多いバルブ・コック用途では 1,119円/kg で一番低く前年比は 98.8%に低下した。産業機械器具用途が 1,391円/kg で最も高く、前年比は 101.1%であった。次いでその他用が 1,322円/kg で高く、前年比 98.1%であった。輸送機械用途は 1,282円/kg で、前年比 104.4%と最も高い伸びを示した。

2. 4 銅合金鋳物

表 2.4.1.1 銅合金鋳物の用途別生産量の推移

年生産量

用途別

平成 24 年(2012) 平成 25 年(2013) 平成 26 年(2014) 平成 27 年(2015)

生産量(t)

前年比(%)

構成比(%)

生産量(t)

前年比(%)

構成比(%)

生産量(t)

前年比(%)

構成比(%)

生産量(t)

前年比(%)

構成比(%)

金額(百万円)

金額前年比(%)

一般機械用

産業機械器具用 14,271 94.8 17.9 12,783 89.6 17.4 13,247 103.6 17.2 13,265 100.1 17.0 18,456 101.2 軸受メタル用 7,883 94.3 9.9 7,025 89.1 9.6 8,048 114.6 10.4 8,338 103.6 10.686 10,239 100.0 バルブ・コック用 26,805 96.4 33.7 27,199 101.5 37.0 28,236 103.8 36.6 27,694 98.1 35.5 30,993 96.9

(小計) 48,960 95.6 61.5 47,007 96.0 64.0 49,531 105.4 64.2 49,298 99.5 63.2 59,688 98.7 輸送機械用 22,706 98.3 28.5 18,958 83.5 25.8 19,882 104.9 25.8 21,284 107.1 27.3 27,276 111.8 その他用 7,906 89.3 9.9 7,469 94.5 10.2 7,701 103.1 10.0 7,445 96.7 9.5 9,841 94.9 合 計 79,571 95.7 100.0 73,434 92.3 100.0 77,113 105.0 100.0 78,027 101.2 100.0 96,804 101.6

出所:経済産業省 生産動態統計

表 2.4.1.2 銅合金鋳物の用途別製品の単価

年生産量

用途別

平成 24 年の単価 平成 25 年の単価 平成 26 年の単価 平成 27 年の単価金額

(円 /kg)前年比(%)

金額(円 /kg)

前年比(%)

金額(円 /kg)

前年比(%)

金額(円 /kg)

前年比(%)

一般機械用

産業機械器具用 1,341 97.2 1,383 103.1 1,377 103.1 1,391 101.1 軸受メタル用 1,229 90.4 1,271 103.4 1,272 103.4 1,228 96.5 バルブ・コック用 1,121 94.0 1,098 97.9 1,133 97.9 1,119 98.8

(小計) 1,202 94.3 1,202 100.0 1,221 100.0 1,211 99.2 輸送機械用 1,195 88.2 1,133 94.8 1,227 94.8 1,282 104.4 その他用 1,268 98.2 1,307 103.1 1,347 103.1 1,322 98.1 合 計 1,207 92.9 1,195 99.0 1,235 99.0 1,241 100.5

出所:表 2.4. 1. 1 より算出

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22 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

2. 4. 2 技術・研究動向

 近年の水質基準の改正に伴い、鉛フリー銅合金鋳物の統合化・規格化が必要となり、2006年及び 2009年に銅及び銅合金鋳物規格 JIS H 5120、銅合金連続鋳造鋳物 JIS H 5121、鋳物用銅合金地金 JIS H 2201 が改正された。今回、5 年ごとの見直しに合わせ上記 3 種類の規格について原案の作成が行われた。改正原案では、Cu-Zn 系の黄銅鋳物をベースに耐脱亜鉛性及び耐エロージョン-コロージョン性等の耐食性を向上させ、鉛フリー及び低鉛組成とすることによって、給水用具・給水管用各種部品に適用可能な黄銅鋳物として、今回新たに耐脱亜鉛黄銅鋳物として、CAC210系

(Cu-Zn-Sn-Pb 系合金)、CAC220系 (Cu-Zn-Bi 系合金) 及びCAC230系 (Cu-Zn-Sn-Bi 系合金) を定義し、CAC211、 CAC 221、 CAC 231、 CAC 232 の 4 種類をそれぞれ追加した。ビスマス青銅鋳物 CAC900系において、CAC901及び CAC902に比べて亜鉛含有量を 12 ~17%と増加させ、すず含有量を低下させたビスマス青銅鋳物 CAC905 及び CAC906 (Cu-Sn-Zn-Bi 合金) を追加した。その他、CAC804成分規格値の見直し、既存鉛フリー合金の残余成分の見直し、耐力及び硬さの記載が行われ、さらに鋳造品のリサイクルと分類記号について検討された。なお、本原案を基に平成28年 3月に JIS H 5120、JIS H 5121、JIS H 2201 は改正された。 改正原案の作成に先立ち、日本鋳造工学会銅合金研究部会及び日本鋳造協会銅合金技術委員会の合同委員会では、新提案合金の特性評価実験が共同で行なわれ、その結果を基に以下の報告がなされた。 山田ら1)は、6 種類の新提案合金の耐食性について、給水用具関連部材に使用されている既存の JIS 銅合金を比較材として評価を行った。脱亜鉛腐食試験において、新提案材の代表成分の最大脱亜鉛深さは、100µm以下であり、既存合金の CAC804及び CAC902と同等の耐脱亜鉛腐食性を示した。CAC221及び CAC232では、Al または Si の含有量によっては脱亜鉛腐食深さが大きくなるが、脱亜鉛腐食の大きい比較材の CAC203と比べ良好であった。エロージョン-コロージョン試験では、提案材である CAC211、CAC231、CAC905及び CAC906 は、CAC902 と同等の耐エロージョン-コロージョン性を示した。CAC221 及び CAC232 と比較材の CAC804、すずを含有させた CAC804+Sn、CAC203 及び C3771 では、腐食環が見られ、300µm 以上の最大侵食深さを示したことから、CAC902 と比べ耐エロージョン-コロージョン性が劣る結果となった。

応力腐食割れ試験において、新提案材は、C3771 及びCAC203 と比較して応力腐食割れ感受性が低いことが明らかになった。 伊藤ら1)は、引張試験による機械的性質の評価及び階段状試験片による肉厚感受性などの評価を行い、性能の確認を行った。本結果を基に JIS 原案では、CAC211、CAC231、CAC232、CAC905 及び CAC906では、引張試験の規格値を 195N/mm2 以上、伸び 15%以上とし、CAC221 では、215N/mm2 以上、伸び 20%以上とした。 岡根ら1)は、新提案合金の被削性について評価を行った結果を報告した。これまでの JIS 改正時には主に旋削の切削抵抗にて評価を行っていたが、今回は、熱のこもりやすい加工も想定して、ドリル加工におけるスラスト比とトルク比を評価、新提案合金の被削性を評価した。結果、旋削、ドリル加工いずれにおいても、新提案合金の被削性は CAC406 より劣ることを報告した。 後藤ら1)は、CAC804 にすずを添加した時の各種特性を検討した。すずを添加することにより、鋳塊組織を微細化させることにより、鋳造欠陥は大きく減少させることが出来る。添加されたすずは 相に多く固溶され、延性の低下を引き起こす。耐エロージョンコロージョン性に関して試験を実施した 2 条件いずれもすずを添加させることにより重量減少が小さくなることを報告した。 丸山ら1)は、CAC411 の残余成分であるりんが鋳造性等の性質に及ぼす影響を検討した。CAC411 ではりん量が増加しても伸びの低下は小さく、りん量が約0.1mass% まで増加しても JIS 規格で求められる 15%以上の伸びを示した。りんの増加によって流動性は向上し、耐圧性は良好であった。また、EPMA による元素分布測定の結果、硫化物の近傍にりんとニッケルから成る領域が認められ、ある程度の量のりんはニッケルとの化合物として存在することが示唆されることを示した。 舟木ら1)は、Cu-Sn-Ni-Bi 系青銅合金に 1.0mass%以下の硫黄を添加して、as cast で多量の金属間化合物

(規則格子相) が層状に整列した共析組織を発現する鋳造用銅合金について、溶体化処理と時効を施して規則格子相を再析出させ、析出挙動と共析組織の詳細な観察から、その時効硬化や低摩擦係数特性発現のメカニズムについて検討した。 (岡根利光)

 参考文献1 )鋳造工学, 87 (2015) 12

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鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

2. 5. 1 産業動向

 アルミニウム鋳物(砂型鋳造、重力金型鋳造、低圧鋳造、高圧鋳造、スクイズ鋳造等の鋳造品で、ダイカストを除く)の用途別生産量の平成24年から27年までの推移を表 2.5.1.1に示す。アルミニウム鋳物の生産量は、平成20年以前は 40万トン台であったが、平成18年の 435,420トンをピークに、平成21年には、291,923トンまで減少した。平成22年に 38万トンまで戻り、平成24 年には 40万トン台まで回復した。平成27年は418,530 トンで、前年比 100.3%とわずかに増加した。自己消費量は、243,119トンで、前年比 99.6%であり、内製率は、58.1%を占める。アルミニウム鋳物の内製率は他の素形材品目に比較して高く、また、年々内製率が増加してきたが、平成26年、27年とわずかながら減少した。アルミニウム鋳物の生産量は鉄系を含めた全鋳造品の生産量 5,404,872トンの 7.7%を占め、生産金額は 14.6%を占めている。アルミニウム鋳物用地金の生産は、新地金が 164,481トン、二次地金が 333,088トンで、合計 497,569トンであった。前年と比較して、新地金が増加し、二次地金が減少している。

 アルミニウム鋳物の平成27年の用途別生産量と構成比率を見ると、自動車用途が 391,028トンで前年比101.2%とわずかに増加し、全生産量の 93.4%と高い割合を占めている。一般機械用途は 8,247トンで前年比 99.1%と減少し、全体の2.0%であった。自動車以外の輸送機械用途は 7,965トンで前年比 111.2%、全体の1.9%、電気機械用途を含むその他の用途が 11,290トンで前年比 96.0%、全体の 2.7%であった。平成26年は全ての用途分野で前年を上回ったが、平成27年は輸送機械用途では前年を上回ったものの、一般機械用途とその他の用途では減少傾向にあった。アルミニウム鋳物の用途では、平成10年頃に自動車用が 90%を超えてから、高い比率を維持し続けている。また、生産金額においても同様の傾向にある。 アルミニウム鋳物の単価を表 2.5.1.2に示す。平成27年の全用途の平均単価は 681円/kg で、昨年より上昇し、平成22年、23年の値とほぼ同等となった。自動車以外の輸送機械用鋳物の単価が最も高く、1,860円/kg、次いで一般機械用鋳物が 1,252円/kg であった。いずれも低下傾向にある。自動車用鋳物の単価は最も低く、638円/kg であるが、前年よりも上昇した。

2. 5 アルミニウム鋳物(ダイカストを除く)

表 2.5.1.1 アルミニウム鋳物の用途別生産量の推移(ダイカストを除く)

年生産量

用途別

平成 24 年(2012) 平成 25 年(2013) 平成 26 年(2014) 平成 27 年(2015)

生産量(t)

前年比(%)

構成比(%)

生産量(t)

前年比(%)

構成比(%)

生産量(t)

前年比(%)

構成比(%)

生産量(t)

前年比(%)

構成比(%)

金額(百万円)

金額前年比(%)

一般機械用 7,624 88.9 1.8 7,765 101.8 1.9 8,326 107.2 2.0 8,247 99.1 2.0 10,325 98.1

輸送 

機械用

自動車用 396,478 110.4 94.3 387,865 97.8 93.7 390,051 100.6 93.5 391,028 100.3 93.4 249,296 101.2その他用 5,662 101.3 1.3 6,692 118.2 1.6 7,161 107.0 1.7 7,965 111.2 1.9 14,816 105.6(小計) 402,140 110.3 95.6 394,557 98.1 95.3 397,212 100.7 95.2 398,994 100.4 95.3 264,113 101.4

その他用 10,766 99.6 2.6 11,482 106.7 2.8 11,761 102.4 2.8 11,290 96.0 2.7 10,501 93.2合  計 420,530 109.5 100.0 413,804 98.4 100.0 417,299 100.8 100.0 418,530 100.3 100.0 284,939 101.0

自己消費量(t)236,787 111.1 56.3 246,291 104.0 59.5 244,100 99.1 58.5 243,119 99.6 58.1 - -出所:経済産業省 生産動態統計

表 2.5.1.2 アルミニウム鋳物の主要用途別重量単価の推移

用途別製品重量単価(円 /kg)

平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年一般機械用品 1,289 1,275 1,264 1,252自動車用品 610 614 632 638

その他輸送機械用品 2,095 1,977 1,960 1,860その他の用品 1,011 927 958 930

全体平均 653 657 676 681出所:経済産業省 生産動態統計データより算出

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24 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

2. 5. 2 技術・研究動向

 平成27年のアルミニウム鋳造に関する技術開発や研究は、主に、アルミニウムの鋳造割れ、凝固組織の形成、溶湯や溶解関係、凝固特性などについて行われた。基礎的な研究が多いが、双ロール鋳造法や型レス鋳造法といった新しい技術に関するものも報告された。 日本鋳造工学会が出版している「鋳造工学」第87巻第 8 号は「鋳物の割れ」特集号となっている。アルミニウム合金の各種の割れの分類から始まり、非鉄金属合金の鋳造割れ感受性、熱応力解析による凝固割れ予測、アルミニウム合金の固液共存状態の引張特性とその試験法に関する従来の研究がレビューとしてまとめられている。また、最近の研究についての論文も多数掲載されている。富山大学の才川らのグループは鋳造割れを生じやすい Al-Mg-Si 合金系の割れ性について、系統的に研究している1)~ 3)。Al-2 ~ 6%Mg-0 ~ 3%Si 合金を用いて Si 及び Mg の含有量の変化に伴う鋳造割れ性を検討した1)。合金の溶質濃度が高まるにつれて鋳造割れ面積率は減少する傾向を示し、特に 4Mg-3Si、6Mg-2Si及び 6Mg-3Si においては鋳造割れ面積率が 70 ~ 75%と最も低くなった。これは、初晶 α-Al 相の晶出形態に起因するものと考えられた。また、この合金に Ti-B 及び Sr を添加して、鋳造割れ性を検討した2)。いずれの合金系においても Ti-B 含有量の増加に伴い鋳造割れ面積率が減少する傾向が認められた。一方で、Sr を添加した場合、6Mg-3Si 合金においてのみ鋳造割れ面積率が著しく減少した。鋳造割れが減少した合金系においては、いずれの場合も結晶粒が著しく微細化していた。Al-6%Mg-3%Si 合金に Sr を 0 ~0.12% 添加した場合の添加量と鋳造割れ性との関係が明らかになった3)。Srを添加しない場合、鋳造割れ面積率は 80%であったが、Sr の添加に伴い鋳造割れ面積率は減少し、0.04%で 0となる。さらに添加量を増すと再び鋳造割れが発生するようになった。この現象は、Mg2Si 共晶相の微細化が要因であると予測された。 安達、橘らは、T字形状の AC4C合金鋳物を用いて鋳造割れの実験を行い、鋳造方案、Ti-B、Sr の影響について調査した4)~ 6)。T字形状及び逆T字形状鋳物を比較したところ、T字形状鋳物にのみ垂直部とそれに隣接する水平部との境界部に鋳造割れが観察された4)。また、鋳造割れ抑制のために T-B 及び Sr 添加の影響を調査した。Ti-B 単独添加、Sr 単独添加、Sr と Ti-Bの複合添加によっても、T字形状鋳物の表面から内部に向かう亀裂を抑えることはできなかった。ただし、

Ti-B 単独添加により割れの深さは 1/2 以下に抑制された5)。 柳楽らは、SPring-8 を用いて、固相率 47~55%のAl-Cu 合金の固液共存体における変形挙動の時間分解その場観察を行った7)。固液共存体の変形挙動を二種類のひずみ速度を用いて、三次元で観察することができた。変形時には、固相粒子の再配列が生じ、平均固相率よりも低い固相率を有したせん断帯が形成される。固相粒子の再配列に残留液相の流動が追随しなくなると割れが生じることが明らかになった。固相粒子の再配列と液相の流動を考えたモデルを用いると割れの発生を予測できることが示唆された。一方、早稲田大学の吉田らのグループは、アルミニウム合金の凝固過程における半凝固引張試験を行い、弾粘塑性構成式を用いて、凝固割れを予測しようとしている8)~10)。 森中らは、過共晶 Al-Si 合金の凝固組織について検討した11)。P を添加しない Al-17%Si 合金を用いて一方向凝固を行い、初晶 Si 相が晶出しない領域 (PSFZ)の形成機構を検討した。初晶 Si 相がチラー接触部に生成したものの、これを除くほぼ全域が PSFZ となった。PSFZ は初晶 Si が成長できずに共晶凝固が行われた領域であると予測し、初晶 Si 相の成長速度と Al 原子の移動速度との関係から説明した。また、半凝固鋳造法における初晶 α-Al 相の粒状化現象を解明するために、Al-7%Si 合金溶湯を液相線温度直上及び過熱度 100℃から注湯した12)。液相線温度直上から注湯すると、多数の初晶 α-Al 相が得られた。この理由として、核生成数密度の上昇に伴い個々の結晶の成長速度が低下することから、固液界面に堆積する溶質量の減少により界面安定性が増加するためであると考えた。また、結晶成長時の溶湯流動により、固液界面に堆積する溶質が過熱度 100℃から注湯した場合よりも拡散されることが関係すると考察している。 大坪らは、AC4C 合金鋳物の表面を部分的に溶融させ急冷凝固させることによりその特性を変化させることを目的に、基礎検討を行った13)。スポット溶接機で通電溶融凝固させた AC4C 合金の組織は微細に生成し、中央部では共晶 Si が排出された粒状組織、中間部では比較的大きな α-Al 相、外周部では α-Al 相間隙に共晶Si が晶出した組織を生成した。入熱量が 400J の場合、試料全体に微細組織が生成した。硬さは中央部よりも外周部の方が高く、外周部の硬さは最大で通電溶融凝固前の約 2 倍の硬さを示し、T6 処理材と同等の硬さを示した。 AC7A 合金に代表される Al-Mg 系合金は、高靱性、

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高耐食性部材としての需要が拡大してきている。しかし、この系の合金は、溶湯酸化がしやすく欠陥の原因となること、また、溶湯品質評価に関する報告もあまり多くない。日本鋳造工学会第167回全国講演大会で、Al-Mg 系合金の溶湯品質に関する報告があった14)~17)。佐藤らは Al-4%Mg 合金の溶湯酸化とその酸化機構14)

について、岩清水らは Al-Mg 系合金中の微量成分が溶湯品質評価に与える影響15)について、内海らは Al-Mg系鋳造合金の流動性とひけ性に及ぼす戻り材の影響16)

について、また、齋藤らは Al-Mg 合金鋳物の金属組織に及ぼす結晶粒微細化剤の影響17)についてそれぞれ報告している。Al-Mg 系合金はそれほど適用されてこなかったが、近年その特性が見直されて、需要が増加していることが想像できる。 新しい鋳造法の研究も進みつつある。原田らは、鋳造用アルミニウム合金のリサイクル材を展伸材へ利用可能とし、アップグレードリサイクルによる用途拡大を目指すために、優れた急冷能を有する縦型双ロールキャスト法を用いることを検討した18)。0.15 ~ 0.8%のFe を添加した A356 合金を用いて双ロールキャストを行った。鋳造まま材において、0.8%Fe 添加材では組織中に 10 ~ 20µm程度の Fe 系化合物が観察されたが、0.15%及び 0.5%Fe 添加材では観察されなかった。冷間圧延及び焼鈍しを行った試料では、Fe 量増加に伴って最大引張張力並びに耐力は増加し、破断ひずみは減少した。ロールキャスト法による急冷凝固によって Fe系化合物が微細化するため、0.8%Fe を含む試料でも15% 以上の破断ひずみを示した。これらの実験結果から、A356 アルミニウム合金のリサイクル材に縦型双ロールキャスト法を適用することで、混入した不純物Fe の無害化や表面品質の改善が成された板材を作成することが可能となり、本合金のアップグレードリサイクルによる用途拡大が期待できる。 八百川、杉浦らは、展伸用アルミニウム合金で複雑・可変断面の中空部品を一体成形できる引上げ式の型レス鋳造技術を開発した19),20)。湯面に設置した形状規定部材 (フロート) の開口部を通して、引き上げ開始部

材 (スタータ) の端部を溶湯に浸漬し、フロート上部に設置した冷却ノズルからエアを噴出させ、スタータを冷却しながら引き上げると溶湯が連続的に凝固しながら引き上げられ、成形体が得られる。本工法を用いて自動車のクラッシュボックスを試作し評価したところ、優れた結果が得られた。

(神戸洋史)

 参考文献1 )才川清二,他 : 鋳造工学,87 (2015) 1, 39.2 )才川清二,他 : 鋳造工学,87 (2015) 8, 538.3 )才川清二,他 : 鋳造工学,87 (2015) 8, 561.4 )安達充,他 : 鋳造工学,87 (2015) 8, 531.5 )安達充,他 : 鋳造工学,87 (2015) 8, 545.6 ) 橘洋志,他 : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会概要

集 (2015), 57.7 )柳楽知也,他 : 鋳造工学, 87 (2015) 8, 552.8 ) 高井量資,他 : 日本鋳造工学会第166回全国講演大会概

要集 (2015), 8.9 ) 広原嶺,他 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会概要

集 (2015), 82.10) 角田達也,他 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会概

要集 (2015), 83.11)森中真行,他 : 鋳造工学, 87 (2015) 2, 117.12)森中真行,他 : 鋳造工学, 87 (2015) 9, 627.13)大坪文隆,他 : 鋳造工学, 87 (2015) 10, 695.14) 佐藤健二,他 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会概

要集 (2015), 39.15) 岩清水康二,他 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会

概要集 (2015), 40.16) 内海宏和,他 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会概

要集 (2015), 41.17) 齋藤壱実,他 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会概

要集 (2015), 42.18)原田陽平,他 : 鋳造工学, 87 (2015) 11, 772.19) 八百川盾,他 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会概

要集 (2015), 35.20) 杉浦直晋,他 : 日本鋳造工学会第167回全国講演大会概

要集 (2015), 36.

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26 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

2. 6. 1 産業動向

 2015年のダイカスト生産量は、表 2.6.1.1に示すように975,681tで、2014年に比較して約2.54万t(約2.5%)減少し、僅かに 100万 t 台を下回った。また、2015年の生産金額は 583,914百万円で 2014年の 587,431百万円より僅かに 0.6%減少した。 合金別の生産量は、アルミニウム合金ダイカストが951,715tで対前年比 97.6%と減少した。また、亜鉛合金ダイカストは 20,357tで対前年比 96.9%、その他のダイカストの生産量は 3,608tで対前年比 78.7%と大幅に減少した。合金別の生産量の構成比は、アルミニウム合金が 97.5%、亜鉛合金が 2.1%、その他の合金が 0.4%であった。 合金別の生産金額は、アルミニウム合金ダイカストが 583,914百万円で対前年比 99.4%とほぼ横這いであった。しかし、亜鉛合金ダイカスト 26,498百万円で対前年比 87.1%、その他の合金の生産金額は、3,153百万円で対前年比 82.0%といずれも大幅に減少した。また、合金別の生産金額の構成比率は、アルミニウム合金が94.9%、亜鉛合金が 4.5%、その他の合金が 0.5%であった。

 1950 年以降の生産量の推移を表 2.6.1.2および図2.6.1.1に示す。ダイカスト全体の生産量は、1960年代半ば以降に自動車産業の発展に伴って増加した。第一次、第二次オイルショック及びバブル崩壊で一時的に生産量が減少した時期があったが、マクロ的には右肩上がりに増加してきた。特に 2002年以降の生産量は、

2. 6 ダイカスト

表 2.6.1.1 ダイカストの合金別、用途別生産量

合金 年合 計 一般機械用 電気機械用 自動車用 二輪自動車用 その他用

自己消費生産量

(t)金額

(百万円)生産量(t)

金額(百万円)

生産量(t)

金額(百万円)

生産量(t)

金額(百万円)

生産量(t)

金額(百万円)

生産量(t)

金額(百万円)

アルミニウム

2015 951,715 554,263 28,207 23,490 17,454 20,396 847,977 468,579 27,191 19,069 30,886 22,729 30,3832014 975,508 553,149 29,260 23,232 17,911 20,327 869,473 468,556 28,592 19,210 30,271 21,824 317,289

前年比 97.6% 100.2% 96.4% 101.1% 97.4% 100.3% 97.5% 100.0% 95.1% 99.3% 102.0% 104.1% 95.3%

亜鉛2015 20,357 26,498 10,995 18,596 93,362 7,902 8,4192014 21,009 30,436 11,834 23,008 9,174 7,398 8,935

前年比 96.9% 87.1% 93.0% 80.7% 102.0% 106.7% 96.0%

その他

2015 3,608 3,1532014 4,582 3,846

前年比 78.7% 182.0%

合計2015 975,681 583,9142014 1,001,009 587,431

前年比 97.5% 99.4%出所:経済産業省 生産動態統計

表 2.6.1.2 ダイカスト合金別生産量推移

年 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2013 2014 2015ダイカスト生産量(t) 1,244 40,309 220,421 433,910 752,035 833,223 980,850 984,842 1,001,099 975,681

構成比(%)

アルミニウム 59.6 66.8 71.5 85.1 91.8 96.5 97.2 97.2 97.4 97.5 951,715t亜鉛 23.0 30.1 26.9 14.1 7.5 3.0 2.3 2.3 2.1 2.1 20,357t

その他 17.4 3.1 1.6 0.8 0.7 0.6 0.5 0.5 0.5 0.4 3,608t出所:経済産業省 生産動態統計、素形材センター 素形材年鑑

図 2.6.1.1 ダイカストの生産量推移

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鋳 造

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著しい伸びを示し、自動車の輸出が大変好調なことに牽引されたものであった。しかし、2007年にアメリカで発生したサブプライムローン問題、2008年秋のリーマン・ブラザーズの経営破綻によって、世界的な金融危機に発展し、世界経済が急速な縮小を余儀なくされ、2009年のダイカスト生産量は急減した。2010年には自動車、家電などの購入に対する政府の補助金の支給による需要増や、中国を始めとする海外の急激な回復による生産増が影響して V字に近い回復を見せた。しかし、翌 2011年 3 月に発生した東日本大震災の影響で再び生産量が低下した。2012年以降は100万 t 前後で推移している。 合金別では、構成比率の高いアルミニウム合金が2007年までは順調に増加し110万 t を超えたが、2011年には 70万 t 近くまで大幅に低下し、翌年は再び回復して 100万 t 近くまで戻している。2015年はピーク時

(2007年)の 87.2%の生産量であった。亜鉛合金に関しては1973年以降徐々に減少を続けており、2015年はピーク時(1973年)の 28.4%であった。その他の合金については、2000年以降急増していたが、2004年以降減少を続け 2015年はピーク時(2003年)の 47.6%であった。 2015年のアルミニウム合金ダイカストの用途別生産量は 2014年に比べて、その他用を除いて 3 ~ 5 %程度減少した。また、自己消費(内製分)も 5 %程度減少した。亜鉛合金ダイカストの用途別生産量は、2014 年に比較して自動車用が 5 %減少し、その他用は 2 %程度増加した。 2000年以降の用途別構成比の変化を図 2.6.1.2に合金ごとに示す。アルミニウム合金の 2015年の構成比率は自動車用が 89.1%、電気機械用が 1.8%、自動車用が89.1%、二輪自動車用が 2.9%で 2014年と同じ構成比率であった。その他用は僅か(0.1%)に増加した。亜鉛合金では、自動車用の比率が年々増加する傾向にあったが、2015年では自動車用が 54.0%、その他用が 46.0%で、2014年に比較して自動車用の割合が減少した。 1980年以降におけるダイカストのキログラム当たり平均価格の推移を合金別に表 2.6.1.3、図 2.6.1.3に示す。アルミニウム合金は、1980年以降価格が低下し続けており、2002年では 514円/kg であったが、原材料価格が上昇したために 2006年以降ほぼ横這い状態で、2015年は 582円/kg で僅かに減少した。一方、亜鉛合

表 2.6.1.3 ダイカストのキログラム当たり平均価格の推移          (円/kg)年 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2013 2014 2015 ’15/’14

アルミニウム合金 752 707 654 603 532 532 557 556 567 582 102.0%亜 鉛 合 金 854 1,094 1,141 1,328 1,046 1,313 1,610 1,480 1,449 1,302 97.9%そ  の  他 961 919 814 1,012 1,289 1,157 1001 800 839 874 104.9%

図 2.6.1.2 ダイカストの用途別生産比率推移

図 2.6.1.3 ダイカストのキログラムあたりの平均価格推移

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平成27年の素形材産業年報

金は、1995年まで上昇し続けて 1996年に急激に低下した後はほぼ横這いで 2000年以降は上昇し続けていたが、2015年は1,302円/kgと2014年に引き続き減少した。その他の合金は 1999年以降 1,100~1,200円/kg で推移していたが 2007年以降低下傾向にあったが 2013 年に下げ止まり、2015年は 874円/kg と僅かに増加した。

2. 6. 2 技術動向

 2015年は日本ダイカスト会議 / 展示会が開催されない年であったため、ダイカストの技術動向を伺う情報が少なかった。そんな中で素形材、型技術などに掲載された記事を中心にダイカストの生産技術に関するトピックスを紹介する。

(1)ダイカストマシン ダイカストは 0.1s以下の短時間に充填を完了するため、その間に起こっている現象を様々なセンサーを用いて計測し、フィードバック制御することは、品質の安定化にとって重要である。東芝機械では、射出ピストンの位置、速度、鋳造圧力、真空度、型内溶湯圧力をモニタリングし予め記憶された良品波形データと鋳造状態の比較することで、品質の安定化を図るシステムを導入している1)。また、ダイカストマシンの稼働中に発生したトラブルを故障診断機能により容易に復帰できるシステムを搭載するなど、ダウンタイムの極小化を図っている。 宇部興産機械では、従来の低圧鋳造法に精密ガス加圧制御やビスケット加圧機構を付与した新しいタイプの鋳造プロセス、ハイブリッド・フィル・キャスティングを開発している2)。金型温度は 250~300℃と高く設定し、10~15kPaの極低圧ガスを溶湯に作用させてキャビティに充填し、充填完了後にはセンターピンにより 10MPaの圧力で加圧する。この方法により、大物のサスペンションメンバーの試作を行っている。この方法ではガスの巻き込みが少ないため、T6 熱処理が可能で、ダイカストに比べて高い引張特性が得られる。

(2)ダイカスト金型技術 岐阜大学と寿金属工業では、金型温度、金型の歪み、型締め時の入れ子の接触状態などを計測し、ダイカストマシンのプラテン、タイバーなどを含めた大規模解析にそれらのデータを適用して鋳バリの発生原因となるダイカスト金型の変形について予測する手法を開発した3)。ADC12 ダイカストで検証した結果、解析で得られた金型の隙間と鋳バリの厚さとは対応しており、本方法の有用性が確認された。

 ダイレクト 21 では、独自に開発した射出速度、圧力といったダイカストマシン情報、充填時間、キャビティ内溶湯圧力、キャビティ内ガス圧などの金型内情報を計測するシステムを用いて、品質管理を行う方法について提案している4)。また、得られた計測データは、LAN を活用して集めてダイカスト工場管理システムとして生産と品質の構築を社内で共有化できる。

(3)その他の技術 青木科学研究所では、従来の原液少量塗布型油性離型剤の欠点である付着温度依存性を改善した離型剤を開発した5)。油性離型剤は付着温度幅が狭く、特に低温の金型に塗布した場合に基油が乾燥せずに離型被膜が形成されなかった。これに対して、低温での乾燥性を向上させることで金型の低温部での付着生を向上させることができた。 日産自動車では、アルミニウム合金ダイカスト製シリンダブロックの鋳鉄ライナーの代わりに溶射被膜を形成することでエンジン性能を向上させる技術を開発した。ダイカストの場合、ひけ巣やブローホールなどの鋳巣が発生し、溶射した場合に健全な被膜を成しにくい。そこで、短時間充填、金型キャビティの高真空化、油性離型剤適用、金型温度制御などの技術を用いて最適化をはかった。本技術は、第31回素形材産業技術賞の経済産業大臣賞を受賞した。 リョービでは、多品種小ロット生産に対応した生産ラインを達成するため、ロボットを活用した鋳造からバリ仕上げまでのダイカスト一貫生産ラインを構成している6)。ロボットを駆使することで生産ラインは再現性に優れ、柔軟性が高く多品種に対応できる汎用性に優れる。また、ロボットによる生産工程の設計にはロボットシュミレータを活用することで、設備設計段階で効果的かつ効率的なラインの設計が可能となる。

2. 6. 3 研究動向

 鋳造工学、軽金属などに掲載された研究成果について、それらの主なものを以下に簡単に紹介する。

(1)機械的性質 アーレスティの柳原らは、Al-10%Si-0.3%Mg 合金ダイカスト材及び重力金型鋳造材のT5 処理後の硬さに及ぼす凝固組織の影響について調査した7)。ダイカスト材のミクロ組織は重力金型鋳造の場合と異なり、アームが未発達のセルラーデンドライトあるいはセル状の成長形態となり、マクロ的には 5 層からなる組織を呈した。T5 処理することで、共晶相の硬さは変化しない

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が、初晶 α-Al の硬さが上昇するために鋳物の平均的な硬さが浄書することを明らかにした。 アイシン精機の辻らは、自動車のクラッシュボックスをターゲットとして Fe含有量を 0.3%以下とした高真空法による Al-Si-Mg 系合金ダイカストの鋳造品質と機械的性質の関係を調査した8)。鋳巣の大きさはφ0.5mm 以下で、T6 処理することで、0.2%耐力はADC12 より劣るが、伸びは 5.8 倍と優れ、展伸材並みの高靱性が得られることを見いだした。 大紀アルミニウム工業所の渡辺らは、高速充填と低速充填で Al-10%Si-7%Cu 合金をダイカストして疲労試験を行った8)。低速充填したダイカストはT6 処理を行った。高速充填の鋳放しの疲労強さは、ADC12 より若干下回るが、T6 処理品は ADC12 より著しく疲れ強さが向上することを示した。

(2)鋳造欠陥 早稲田大学の志賀らは、ADC12 合金鋳物の凝固時の割れに起因する熱応力を予測するための弾塑性クリープ構成式について、計装化 I ビーム試験鋳型を用いて検討した9)。I ビーム型に鋳込んだ ADC12 の冷却時に生ずる熱応力を連続的に測定し、解析結果と比較することで、熱応力解析の精度を検証した。また、弾塑性クリープ構成式には回復を考慮した構成式に取り入れることで、熱応力、残留応力を精度良く予測することができた。 ものつくり大学の小保方らは、引張試験片形状の金型を用いて ADC12 合金の割れを変位センサーによる計測と解析とを照合した10)。割れは、180~200℃程度に冷却された段階で発生し、冷間割れであることが確認された。また、CAE解析では、250℃以上で割れ発生が予測された。 早稲田大学の柴田らは、ダイカストに発生する破断チル層の定量化方法について検討し、新たに CFI 法を提案した8)。CFI は、試験片の破断面に露出した全ての破断チル層の外接円径を測定して 2 乗し、その合計を破断面の投影面積で割って 100倍した値であり、ランナー部で評価した CFI は製品部の機械的性質と相関が認められ、破断チル層のインラインでの評価が期待できる。 同じく早稲田大学の柴田らは、ダイカストの破断チル層対策についてワイブル解析を用いて評価した 8)。破断チル層対策は、TiB 添加、粉体潤滑剤、断熱スリーブを用いて行った。引張強さと破壊確率の関係より、断熱スリーブと TiB 添加が最も引張強さのばらつきが少なく、破断チル層対策に効果的であることを見いだした。

 都立産研の佐藤は、亜鉛合金ダイカストのブリスターテストを行い、発生したふくれの形態からダイカストに含まれるガスの挙動について調査した10)。鋳放し試料と加熱試料の密度測定を行い、加熱前後のポロシティ量の変化を調べたところ、離型剤塗布なしに比較して離型剤塗布した場合は、離型剤の分解ガスによりふくれが助長され、ポロシティ量が著しく増加した。 三重大学の金澤らは、CFD(数値流体力学)シミュレータを用いて、ダイカストの空気の巻き込みを最小化可能な湯口方案の最適化を検討した8)。解析は、スプルー、分岐ランナー、扇型ランナーに分けて行い、定常状態のランナー内の空気の残留量、終端部に於ける溶湯充填の均一性及び速度ベクトルの均一性の 3 つの評価関数を用いた。その結果、最適形状を見いだし、実鋳造との整合性が得られた。同じく、三重大学の高辻らは、CFD シミュレータを用いて射出スリーブに注湯時の溶湯の動揺を考慮したプランジャー速度入力の導出を行った10)。評価値はスリーブ内の空気量をスプルー先端部の溶湯閉塞率で加重平均した値として示した。その結果、空気閉じ込めの発生しない条件を見いだすことができた。また、同じく三重大学の金澤らは、ランナー内での空気巻き込みを低減するために遺伝的アルゴリズムを基本とした形状最適化を提案している11)。解析で得られた最適形状と標準的なランナーを透明樹脂で作製し、水モデルによる可視化実験を行ったところ、標準のランナーでは屈曲部において多量の空気の巻き込みがあったが、最適化ランナーではほとんど巻き込みを発生することがなく、最適化手法であることが検証された。

(3)湯流れ、伝熱 東北大学の門口らは、垂直吸引式流動性試験機を用いてキャビティ内を流動中の溶湯の温度変化と流動停止機構について調査した8)。Al-1.2%Si、Al-2.4%Si は流路閉塞型流動停止するため、流動停止時の溶湯温度、流速の低下は小さいが、Al-7.8%Si 合金では固液共存幅が大きいため、マッシー型流動停止となり、流動先端の温度低下、流速の低下が大きいことなどを見いだした。 東北大学の李らは、射出スリーブに低温で溶湯と注湯することで、セミソリッドスラリーを形成するスリーブ法を用いて、キャビティ内の流動性に及ぼす鋳造条件の影響について調査した8)。注湯温度及び射出タイムラグを変化させたところ、注湯温度が 620℃(スリーブ法)では、射出タイムラグを 0 ~ 10s まで変えても流動性に大きな差が認められなかったが、注湯温度が660℃、700℃(従来法)では、射出タイムラグ 10sでは

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30 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

著しく流動性が低下した。その差はミクロ組織にも現れ、前者は粒状組織を、後者は粗大なデンドライト組織を呈していた。 広島総合技研の寺山らは、ダイカストの増圧時における溶湯と金型間の熱伝達係数の測定法に関して調査した10)。スリーブとプランジャーを模した加圧装置にADC12 溶湯を 830℃で鋳込み、75MPa で加圧凝固させた。その際に、溶湯内と金型内に設置した熱電対で温度変化を測定し、その温度変化から熱伝達係数を計算した。多項式近似法と陽的差分法で計算したところ、熱伝達係数の経時変化に差はなかったが、温度分布には大きな差が認められた。同じく、広島総合技研の寺山らは、増圧時の溶湯と金型間の熱伝達係数に及ぼす加圧力及び離型剤の影響について調査した10)。加圧力を25MPaと75MPa とした場合、熱伝達係数は加圧力が大きいほど高くなった。また、油性離型剤と粉体離型剤で比較したところ、粉体離型剤の方が熱伝達係数は低い値を示した。 アーレスティの武田らは、アルミニウムダイカストの中子ピンの熱挙動を表面温度・熱流束計測により評価した。その結果、肉盗み部などの熱の溜まりやすい箇所で冷却が不十分な場合に、金型表面温度は長時間にわたって固相線温度を超えているが、冷却が十分な場合には固相線温度に達しないことや、充填時の金型表面温度の上昇は鋳物形状によって大きく変化しないが、その下がり方は、鋳物と金型の冷却状態によって決まることなどを見いだした。

(4)その他 豊田中研の八百川は、ADC12 の溶湯補給性に及ぼすゲート厚さと Na と Sr の影響について調査した 8)。圧力伝達時間は、ゲートが厚いほど長くなり、ゲート部の凝固時間と一致すること、ゲート厚さを厚くするとキャビティ先端部の凝固時間が短くなる。また、Na、Sr を添加すると、共晶凝固の過冷度が増加して、ゲート部と先端部の凝固時間が長くなり、溶湯補給性が良好になり鋳巣量が低減する。

  東 北 大 学 の 上 島 ら は、Zn-12%Al-y%Cu-x%Mg (y=1,5、x=0.05 ~ 1.0)合金の機械的特性の経年劣化、クリープ特性に及ぼす Cu 及び Mg の影響について調査した10)。その結果、経年劣化は Cu 量が多いほど軽減され、Mg が多いほど延性が失われることから、最適な組成として Zn-12%Al-%%Cu-0.4~0.5%Mg が見いだされた。 大紀アルミニウム工業所の鏑木らは、Al-8%Si-Mn-Mg 系合金の引張特性に及ぼす Fe の影響について調査した10)。Fe を 0.1~0.5%の範囲で変化させて ASTM試験片をダイカストし、引張特性を調べたところ、引張強さ、0.2%耐力はほとんど変化が見られなかった。伸びのばらつきの範囲で破面上に現れた最大の Fe 系化合物の面積と伸びとの関係を調査したところ、Fe 含有量が多いほど最大化合物の面積は大きくなり、伸びが低下した。同じく大紀アルミニウム工業所の團野らは、同合金の耐食性に及ぼす Cu 及び Cr の影響について調査した10)。Cuは耐食性を阻害する元素であるが、0.1%Cuを添加した合金に Cr を添加することで腐食減量が減少したが、Cu の量が増加すると腐食減量が増加した。実験の範囲内では 0.2%Cr、0.1%Cu で腐食減量が最小となった。

(西 直美) 参考文献1 )豊島 : 素形材,56 (2015), 8, 23.2 )佐々木 : アルトピア,45 (2015), 11, 33.3 )新川 他 : 型技術 30 (2015), 3, 54.4 )長澤 : 型技術 30 (2015), 3, 63.5 )素形材 30 (2015), 1, 20.6 )井澤 : 30 (2015), 11, 24.7 )柳原 他 : 軽金属,65 (2015) 15.8 ) 日本鋳造工学会第166回全国講演大会講演概要集(2015).9 )志賀 他 : 鋳造工学 87 (2015) 453.10) 日本鋳造工学会第167回全国講演大会講演概要集(2015).11)金澤 他 : 鋳造工学 87 (2015) 29.

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鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

2. 7 精密鋳造

出所:経済産業省 生産動態統計データより作成

図 2.7.1.3 平成27年精密鋳造品売上高の推移

2. 7. 1 産業動向

 わが国の精密鋳造品の生産規模の推移を図 2.7.1.1に示す1)。この図は平成 7 年(1995年)以降の生産重量と売上高の推移を示している。平成21年(2009年)に世界同時不況の影響を受けて生産重量・売上高ともに減

少したが、その後平成22年(2010年)からは毎年回復傾向を示してきた。平成27年(2015年)は自動車用が生産重量で 12.5%減少したが、売上高では 2.8%増加した、しかしガスタービン用は生産重量では 17.6%減少し、売上高でも 13.5%減少し、この影響で全体の生産重量は前年比 12.6%減少し売上高も前年比 4.5%減少して 540億円となった。

 平成26年(2014年)から 2 年間の月別推移を図2.7.1.2に示す。平成27年は上期と比較して下期では生産重量および売上高ともに低迷している。自動車関連は好調が続いているが、中国経済の減速傾向や原油価格の低迷によるガスタービン、建設機械、ポンプ・バルブなど産業機械分野の景況が精密鋳造業界にも影響を及ぼしていると考えられる。 図 2.7.1.3に平成27年(2015年)の月別・用途別売上高の推移を示す。自動車用および航空機・武器用が年間を通して安定な売上高を示したが、ガスタービン用のみが下期にかけて売上高が順次減少している。 表 2.7.1.1に平成27年の各用途別生産実績を示し、その概況を以下に報告する。

表 2.7.1.1 平成 27年(2015年)の用途別生産実績

用途 生産重量 売上高重量(t) 前年比(%) 構成比(%) 金額(億円) 前年比(%) 構成比(%)

一般機械用 723 86.3 12.3 50 96.4 9.2 自動車用 4,029 87.5 68.8 226 102.8 41.9

航空機・武器用 90 99.0 1.5 31.6 103.8 5.9 ガスタービン用 751 82.4 12.8 205 86.5 38.0

その他用 267 105.0 4.6 27 104.1 5.0 合計 5,861 87.4 100 540 95.5 100

出所:経済産業省 生産動態統計

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

0

100

200

300

400

500

600

700

売上

高(億

円)

重量

(トン)

1514131211100908070605040302010095 96 97 98 99

売上高 重量

0

100

200

300

400

500

600

700

0

10

20

30

40

50

60

売上高(億円)

重量(トン)

月H26年 H27年1211101211101 2 3 4 5 6 7 8 9 1 2 3 4 5 6 7 8 9

売上高 重量

出所:経済産業省 生産動態統計データより作成

図 2.7.1.1 精密鋳造品売上高と生産重量の推移

出所:経済産業省 生産動態統計データより作成

図 2.7.1.2 平成26年~27年精密鋳造品売上高と生産重量の推移

0

10

20

30

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

ガスタービン用 一般機械用

自動車用 航空機・武器用

その他用

売上高(億円)

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32 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.5

平成27年の素形材産業年報

(1)一般機械用 生産重量 723トンで前年比 13.7%減少し、売上高も50億円で 3.6%減少した。ポンプ・バルブ類などの減少が影響している。

(2)自動車用 生産重量は 4,029トンと前年比 22.5%も減少したが、売上高では 226億円と前年比 2.8%増加した。自動車用の中でもターボチャージャ・ホットホイールの生産が好調であり、ホイールの売り上げが増加したため単位重量当たりの売上高が改善されている。世界市場でターボチャージャ搭載自動車が増産されており、今後もこの趨勢は続くと期待されている。世界のターボチャージャ・ホットホイールの生産高の 60%を占める日本の精密鋳造業界では、引き続き増産を行う体制整備を継続している。

(3)航空機・武器用 生産重量は 90トンで前年とほぼ変わらず、売上高では 31.6億円と前年比 3.8%増加した。欧米で量産が開始されたボーイングB787 およびエアバスA350XWB などの新機種に搭載される最新ジェットエンジンの製作に、日本のエンジンメーカもそれぞれ 15%程度のリスクシェア・パートナーとして開発に参画しており、これら新規開発エンジン用の精密鋳造品の生産が寄与してくるものと期待されている。 防衛予算の増額が行われているが、米国からの購入が多く国内需要は今後も期待できないと思われる。

(4)ガスタービン用 ガスタービン用精密鋳造品の生産重量は 751トンと前年比 17.6%減少し、売上高でも 205億円と前年比13.5%減少した。グローバルな市場を相手としているこの分野でも、中国経済の低迷とそれに端を発する原油価格の低下およびこれに伴う発展途上国の資金調達の困難さなどが市場を低迷させ始めた。

(5)その他用 その他の分野の生産重量は 267トンで前年比 5 %増加し、売上高でも 4.1%増加した。スポーツ・レジャー用が減少を続けている一方で、医療用機器および部品が少しずつ増加しているものと思われる。今後もこの方向は変わらないと思われる。

2. 7. 2 技術・研究動向

 平成27年 5 月22日から 25日に行われた日本鋳造工学会の第166回全国講演会でオーガナイズドセッションが行われ、精密鋳造研究部会で共同研究された精密

鋳造用ワックスの強度と粘度の特性把握技術の標準化に向けての報告が行われた2)。また平成27年10月23日から 26日に行われた同じく第167回全国講演会では、

「精密鋳造の最新技術」というオーガナイズドセッションが行われ、精密鋳造用パターンワックスの最新の再生・再利用技術が紹介された。また 3Dプリンタを用いてセラミック中子を迅速製作する技術開発が産学官の共同開発により進展している状況が報告された。またターボチャージャの増産需要に対応して、ターボホイールの大量生産に貢献するためにパターン成形・パターン組立・造型および鋳造までの全ての工程を自動化するための研究開発動向が報告された3)。 日本鋳造協会の「精密鋳造技術委員会」が 4 回開催され、この中で「パターンワックスの特性把握技術の開発」「3Dプリンタを用いた迅速試作方法の確立」および「精密鋳造用鋳型の高温特性の把握」の 3 つの研究テーマについて共同開発について実施している。これらのテーマは全て「精密鋳造品の高品質化および高付加価値化」を目指すものである4)。 日本鋳造協会では精密鋳造にかかわる若手技術者の入門書を編纂する作業を進めてきたが、足掛け 3 年がかりで業界全体が協力して「ロストワックス精密鋳造法」を編纂し、平成27年 7 月に産業図書株式会社から出版に漕ぎつけた5)。この種の精密鋳造に関する入門書としては、日刊工業新聞社から昭和48年に初版が発行された「精密鋳造法」が有るのみで、これも既に廃版となっていた。精密鋳造に関する最新技術についても網羅されており入門書として最適な内容となっている。この教科書本の版権は日本鋳造協会から台湾鋳造学会に譲渡され中国語に翻訳されて平成27年12月に台湾鋳造学会から出版されて、中国語圏の技術者にも参考書として利用できることになった6)。 海外企業の動向については、米国精密鋳造協会主催の第62回 ICI 技術会議および関連展示会がイリノイ州ショーンバーグ市で 10月18日から 21日に掛けて行われた 7)。今回の参加者は展示会も含めて540名となった。技術報告および展示会場で目立ったのは、精密鋳造品の大型化に対応するために、造型設備・鋳造設備および後処理設備の大型化を如何に低コストで実現させるかの生産技術に関する報告および展示が多く報告された。また 3Dプリンタ技術の精密鋳造分野への適用技術の開発に関するテーマが多数報告されているが、最近数年間かけて 3Dプリンタを用いてセラミック中子を迅速製作する方法が「実用化に限りなく近くなった」との報告があり、日本国内での開発よりも先行して研

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鋳 造

Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

究・開発が行われていると感じた。 中国鋳造協会・精密鋳造分会の第14回精密鋳造分会年会および関連の展示会が、11月17日から 20日まで江蘇省無錫市で開催された8)。隔年に行われる精密鋳造専門の中国国内会議であり、最先端の国営企業の報告も含まれているので、中国の技術水準が垣間見れる会議である。参加者は 620名と多く、会議論文概要集に掲載された 84 の論文の内 44 件の報告が休みなく 15分間隔で行われた。今回は中国の精密鋳造業界でトップの売上高を誇る IMPRO 社の会長兼 CEO の陸瑞博氏から「IMPRO の道」と題して過去 17 年間の急成長の要因を解説する特別講演があり、11月20日に行われたIMPRO 社工場見学と合わせてみると、中国精密鋳造業界の近年の急成長の要因が理解できるものであった。技術講演では、西安中航動力精密鋳造公司から Ni 基合金を用いたエンジン用スワラーの技術開発や、貴州安吉航空精密鋳造公司からの大型チタン合金エンジン部品の生産技術開発の報告など、中国精密鋳造技術の高さを報告していた。一方では環境汚染の防止対策を中国政府が推し進めていることを受け、精密鋳造業界でも政府指針に従った環境保護および従業員の安全と健康維持に注力するような「業界指針」が示されこれを遵守するよう要請されていた。

 平成28年 5 月17日から 20日の間で第14回世界精密鋳造会議(WCIC)がフランスのパリ市内で行われる。世界の精密鋳造業界を代表する欧州 EICF、米国 ICI および日本の JFS が共同で開催する 4 年に 1 度の世界会議であり、世界の最新技術の報告が有ると期待される。この国際会議には日本から 3 件、中国からも 3 件そして台湾から 1 件とアジアからの技術報告が行われる予定である。 (那須征雄)

 参考文献1 ) 経済産業省 : 鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計年報・同月

報 (2015)2 )日本鋳造工学会 : 第166回全国講演大会・講演概要集3 )日本鋳造工学会 : 第167回全国講演大会・講演概要集4 ) 筑後一義他 : 日本鋳造協会・精密鋳造技術委員会資料

27-1-5 など5 ) ロストワックス精密鋳造法 :(一社)日本鋳造協会ロスト

ワックス精密鋳造教本編集委員会編,産業図書株式会社 2015年 7 月24日初版発行

6 ) 脱蝋精密鋳造法 : 台湾鋳造学会中華民国 104年12月 2日初版発行

7 ) (一社)日本鋳造協会 : 鋳造ジャーナル 2015年12月号, Vol.11, No.12, P44-46

8 ) (一社)日本鋳造協会 : 鋳造ジャーナル 2015年12月号, Vol.11, No.12, p34-37

2. 8 学会・業界活動

公益社団法人 日本鋳造工学会

 平成27(2015)年度、日本鋳造工学会は、今年の 5 月に開催する第72回世界鋳造会議(WFC2016)開催のための準備活動を本格的に展開した。講演発表件数は、ポスター発表を含め 200件を超え、展示会参加企業 140社程度、参加登録者も 800名を超えそうな状況である。また活動資金として多くの企業や団体、個人の方々から、多大なご寄附をいただき、順調に準備が進んだ。 平成24年(2012)年度から進めてきた第 2 期長期ビジョン活動として、高校生を対象に理系に興味を持ってもらうための「理系学生応援プロジェクト」を北海道で 2 回開催、小中学生を対象にした「こども鋳物教室」全国版の展開、全国講演大会開催時、学生と企業のマッチング交流会等を実施した。昨年度にトライアルを行った鋳物を学ぶ学生を対象にした「鋳物コンテスト」を開催した。これは、課題となる鋳物の図面を

提示し、CAE を駆使して鋳型を設計し 3Dで鋳型製作、注湯実施後その結果を評価するものである。今回は PRが不十分だったせいか参加校が 4 校と少なかった。次年度から更に多くの学校や研究室からの参加が得られるようにしたい。 事業活動として、新たに鋳造工学に関する相談事業を追加した。その他学術講演会、講習会開催、調査研究、表彰および奨励、広報誌等による普及活動、図書発行などである。 学術講演会等は第166回全国講演大会を早稲田大学西早稲田キャンパスで開催、講演発表 131件、「鋳物を愉しむ―鋳造業界の未来を担う人材を育てる―」というテーマで 4 名のパネラーによるパネルディスカッション、YFE大会は「若手が語る鋳物の未来」というテーマで、鋳造カレッジ修了生による 10件の講演、新東工業鋳造技術研究奨励金受賞者や日下賞受賞者による講演を行なった。7 件のオーガナイズドセッション、

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平成27年の素形材産業年報

また日中韓の交流講演を開催し、活発な質疑が行われた。同時に「学生のための企業紹介コーナー」およびカタログ展示会では PRタイムの部屋を設定した。工場見学会は 5 コースで実施した。 第167回全国講演大会は、北海道の室蘭工業大学で(一社)日本鋳造協会と合同で開催した。日本鋳造協会の講演と合わせ 124件、特別講演 3 件、研究部会によるオーガナイズドセッション、豊田賞、技術賞の受賞講演を行った。同時に学生鋳物コンテスト、工場見学会、技術展示会を実施した。 その他、大会開催時の技術講習会、地域に密着したテーマで講演会、シンポジウム、YFE大会、こども鋳物教室、工場見学会、日本鋳造協会主催の鋳造カレッジに協力、素形材センターと共催の研修講座、技術セミナーの開催を行った。鋳造カレッジは昨年度立上げた上級コースの第 2 年目を開催し、17名の上級鋳造技士が生まれた。4 年目を迎えたキャスティングスオブザイヤー賞は、2 件 2 企業の製品を表彰した。 鋳造に関する調査研究においては、各技術分野の専門家による研究、調査、技術交流を進め、研究成果は研究報告書やシンポジウムの開催により公開した。各部会は下記のテーマにより研究を実施した。 ①鋳鉄の品質向上に関する研究 ② 鉛フリー銅合金、特に新 JIS 合金並びに低鉛青銅

鋳物の諸特性に関する研究 ③ アルミニウム合金鋳物の熱処理に付随する諸現象

の統一的理解 ④生型砂管理技術の再構築-Ⅱ ⑤特殊鋳型システムと環境適応化に関する研究 ⑥技術の統合・最適化によるダイカストの生産性向上 ⑦鋳造 CAE の活用と最適化 ⑧グローバリゼーションに対応した鋳造設備 ⑨鋳造品の非破壊評価技術の精度向上 ⑩銅合金鋳物のダイカスト・金型鋳造に関する研究 ⑪ ねずみ鋳鉄の片状黒鉛組織定量評価法に関する研究 ⑫ 精密鋳造 造形工程における各種材料特性と 3Dプ

リンタの模型への応用 その他、それぞれの地域により技術委員会、鋳造技術部会、現場鋳造技術研究会、鋳物研究会、支部間合同研究会などを開催した。 表彰および奨励事業では、日本鋳造工学会大賞、論文賞など各賞の表彰を行い総計 31件授与した。若手研究奨励金 5 名、新東工業鋳造技術研究奨励金 1 名、若手活動支援金 2 名、奨励賞を 33名に授与した。 全国講演大会においては学生優秀講演賞の授与を

行った。各支部や地域では、功労賞、奨励賞や助成金の授与などの表彰、奨励を実施した。 広報誌等の発行による普及啓発事業では、学会誌「鋳造工学」を毎月発刊し、最新の研究論文・技術論文をはじめ、技術報告、解説、連載講座として鋳造要素技術概論の開始、現場技術改善事例、レビュー、鋳造業界で働く人のインタビュー記事、海外生活体験レポート、Q&A コーナー、また今年は特集を 3 回組み、研究者、技術者および経営者のいずれの方にも役立つ情報を掲載した。特記事項として会誌「鋳造工学」へ投稿する論文の電子投稿化を開始し、投稿から査読、掲載までの期間短縮に向けて動き始めた。また、8 学協会との共同発刊の英文誌「Materials Transactions」に本会会員の投稿を積極的に推進した。その他、全国講演会講演概要集、技術講習会テキスト、シンポジウムテキスト、研究報告書や支部会報の発刊を進めた。 図書発行事業は、「基礎から学ぶ鋳造工学」を発刊、相談事業では会員内外からの相談に対応した。

一般社団法人軽金属学会

 軽金属学会では、第94回シンポジウム「次世代自動車の車体軽量化における材料・加工技術の開発トレンドⅡ~軽金属材料の競合たちの現状と将来展望~」が6 月 4 日に開催された。自動車関連のシンポジウムは、平成25年の「次世代自動車の車体軽量化における材料・加工技術の開発トレンド~究極のマルチマテリアル車体を目指して~」以来である。今回は、アルミニウムやマグネシウムなどの軽合金材料の競合材料あるいは共生材料となる高張力鋼板や CFRP などの軽量材料の現状や将来を知ることで、軽金属材料の研究開発の方向性を見出すための参考としてもらえればという趣旨であった。受講者は約80名であり、アルミニウム関係者だけではなく、他業種からの参加者も多かった。また、第97回シンポジウム「アルミニウム溶解炉における複合酸化物の異常生成」が 12月14日に開催された。アルミニウム溶解炉や保持炉において異常生成する複合酸化物 (通称「オバケ」) は、炉壁耐火物の寿命低下や操業時の熱損失の増加、溶湯の汚染などの重要な問題を引き起こすため、その改善が望まれている。本テーマは軽金属学会の研究部会において研究されたものであり、今回その研究成果が報告された。 軽金属学会第128回春期大会が 5 月16、17日に東北大学青葉山キャンパスで開催された。160件の講演発表および 45件のポスターセッションがあり、アルミニウ

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Vol.57(2016)No.5 SOKEIZAI

ム合金鋳造関係が 5 件、マグネシウム合金鋳造関係が4 件報告された。また、第129回秋期大会が 11月21、22日に日本大学生産工学部津田沼キャンパスで開催された。175件の講演発表および 43件のポスターセッションがあり、アルミニウム合金鋳造関係が 10件、マグネシウム合金鋳造関係が 1 件報告された。 近年、軽金属学会における鋳造関係の講演発表は減少している。今年の講演の傾向としては、アルミニウム合金のミクロ組織の生成過程や機械的性質、熱処理や割れに関する発表が目についた。ダイカストの方案や冷却に関する研究報告もあった。また、マグネシウム合金では、射出成形やリサイクル材に関する研究も報告された。

(神戸洋史)

一般社団法人日本鋳造協会

 平成27年度の活動概況は次のとおり。1. 鋳造産業ビジョンに基づき実施してきたこの 10年

間の協会事業および業界の取組みについての総括を行い、「鋳造産業ビジョンの全体評価」を取りまとめた。

2. 鋳造業界の喫緊の課題である電気料金値上げ問題について、特に再生可能エネルギー固定価格買取制度

(FIT) の見直し要望を政府関係機関に行った。3. 8 月に、自動車産業適正取引ガイドラインおよび素

形材産業取引ガイドラインの周知状況に関するフォローアップ調査を行い、政府へ報告して両ガイドラインの追加改訂を要望した。2月に、ユーザ宛ての「健全な取引並びに安定供給に向けたお願い」、「鋳物用貸与模型の取扱に関するお願い」文書を発行した。

4. 球状黒鉛鋳鉄の歩留り向上委員会のこれまでの 10年間の研究結果を報告書に取り纏めた。環境・エネルギー対策では、CO2 削減に関するアンケートを引き続き実施した。7 月に、精密鋳造業の若手技術者のための精密鋳造用教科書を出版した。

5. 「JIS G5901 (鋳型用けい砂)」および「JIS H2022 鋳物用銅合金地金」「JIS H5120 銅および銅合金鋳物」「JIS H5121 銅合金連続鋳造鋳物」の原案作成を行った。

6. 鋳造カレッジを関東・東海・関西地区の 3 箇所で、鋳鉄コース・鋳鋼コースの 2 コースを開催し、合計70名が受講終了した。当協会が認定する鋳造技士は平成27年度までの 9 年間で累計 730名となった。新人教育研修プログラム「鋳造入門講座(鋳鉄コース)」

は、受講生 37名により実施した。鋳造カレッジ上級コース「鋳鉄材料・溶解・凝固・材質コース」は、17名が受講した。また、砂・造型に関するカリキュラムの作成を行い、鋳鉄材料・溶解・凝固・材質コースと併せて、新たに鋳鉄材料・砂型コースのカリキュラムを作成した。鋳造技術研修会を、東京、金沢、名古屋にて延べ 6 回開催し、181名が受講した。新たに軽合金鋳造技術研修会を実施した。IT 化の推進のために「鋳造 3D-CAD 操作技能研修会」を実施した。

7. 6月にGIFAおよびイタリア・ドイツへ量産・非量産・非鉄の 3 チーム 74名の視察団を派遣した。5 月に第3 回アジア鋳造フォーラムを東京で開催した。10月のアメリカ精密鋳造協会の年次大会に出席し、ICI技術講演会およびび展示会に参加した。

8. 5 月に総会に併せて春季大会講演会を東京で開催、10月に秋季大会講演会を北海道室蘭市において日本鋳造工学会と合同開催した。若手経営者全国大会を9 月 (石川県金沢市) に講演会・工場見学会、2 月 (東京) に講演会を開催した。

日本ダクタイル鋳鉄協会

1.総会・特別講演会・技術発表会・工場見学会 平成27年の総会・特別講演会・技術発表会・工場見学会を、平成27年 3 月 5 日~ 3 月 6 日に福島県白河市で開催 ・特別講演会  テーマ :「生産性向上・改善のヒントを学ぼう」  1.ものづくり生産性向上活動の歴史  2.生産性向上に対する考え方   2.1 Q・C・D の優先度   2.2 人と設備の生産性  3.IE と品質管理手法について   3.1 IE 手法   3.2 品質管理手法  4.改善のための発想法 ・技術発表会 (1)「鋳型搬送定盤台車の改善による稼働率向上」 (2)「 ダクタイル鋳鉄の機械的性質に及ぼす鋳型温度

の影響」 (3)「 押湯重量を50%削減する空気断熱押湯スリーブ

の研究報告」 (4)「コントロールバルブ中子生産ライン改善活動」 (5)「 DISA造型ラインの型ばらし時間延長による厚

肉品対応」

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平成27年の素形材産業年報

 ・工場見学会   日立オートモティブシステムズハイキャスト株式

会社を見学2.秋季シンポジウム  平成27年 9 月18日・東京都北区「北とぴあ」で開催。  テーマ :「 DCI 材料特性の再認識」“ダクタイル鋳

鉄の実力を見直そう !” (1) 基調講演 :「鋳鉄・鋳造品の強度の考え方―機械

技術者との対話のために―」 (2)「打痕不良の発生原因と対策」 (3)「 Cu、Mn、Sn 添加によるダクタイル鋳鉄管の高

強度化」 (4)「ダクタイル鋳鉄の引張、伸び特性と組織制御」 (5)「 高ヤング率を求めてねずみ鋳鉄からダクタイル

鋳鉄へと移行された部品について」 (6)「 非磁性・超低温用の高強度オーステナイトダク

タイル鋳鉄製品の製造技術開発」3.生産に役立つ基礎講座 ・ 第 1 回(通算 8 回): 平成27年 6 月26日・東京都

北区「北とぴあ」で開催   テーマ : 「鋳込み作業の基本と鋳造方案」および

「塗型の考え方」 ・ 第 2 回(通算 9 回): 平成27年 8 月28日・東京都

北区「北とぴあ」で開催   テーマ :「 初心者の為のダクタイル溶湯処理と炉

前熱分析法」   第 1 講座 :「溶湯処理技術の歴史・基本・動向」   第 2 講座 :「炉前熱分析の有効性」 ・ 第 3 回(通算10回): 平成27年11月13日・東京都

北区「北とぴあ」で開催   テーマ :「 現場で使える品質管理と問題解決手法」4.DCI NEWS 4 月に 46号、12月に 47号を発行し、会員並びに官公庁、関係諸団体に配布した。5.研究委員会 平成26年より「各社 DCI 溶湯の比較~熱分析による溶湯性状の検証~」をテーマに継続活動中である。 第二ステップとして、熱分析と引け巣の関係について調査を実施している。

一般社団法人日本アルミニウム協会

 平成27年度は主に下記の事業について取り組んだ。Ⅰ アルミニウムの需給に関する調査および研究 1.内外のアルミニウム需給動向に関する調査

 2.需要見通しの策定  (1) アルミニウム圧延品の需要見通しを策定し、

公表した。  (2) 関係団体と協力して、アルミニウム製品総需

要見通しを取りまとめて公表した。Ⅱ  アルミニウム産業に関する情報の収集および統計

の作成 1.アルミニウムに関する統計の作成  (1)アルミニウム圧延品・はくに関する統計の作成    圧延品・はくについて自主統計調査を実施し、

次の統計資料を取りまとめた。  (2)アルミニウム製品等に関する統計の作成    アルミニウム粉、車輪等ついて自主統計の取り

まとめを行うとともに、他機関の統計情報を収集・整理して次の統計資料を作成した。

  (3)統計システムの改善・合理化に関する活動    インターネットを利用した統計システムを用い

て、統計データの迅速な作成・開示。 2.内外のアルミニウム産業動向に関する調査  (1) 米・欧・中国などのアルミニウム団体 (IAI、

AA、EAA、中国有色金属工業協会、韓国非鉄金属協会、インドアルミ協会、ブラジルアルミ協会等) と交流し、アルミに関する情報および統計情報の交換等を実施した。

  (2) 英文統計資料「ALUMINIUM STATISTICS」を作成し、ホームページに掲載すると共に海外諸団体との交流に活用。

  (3) 海外のアルミニウム産業動向について、関連情報を会員へ紹介した。

  (4) 内外のアルミニウム関連統計、情報を収集整理し「アルミニウムデータブック」を作成した。

 3.国際交流の推進   海外のアルミニウム関連団体および関連諸機関の

国際会議、研究発表会への代表者派遣、あるいは参加希望者に対する便宜供与等をおこなうとともに、海外よりの来訪者の受け入れ等、積極的に国際交流を行って、情報収集に努めた。

  (1) IAI、EAA、AA 等 と 連 携 の 上、REACH、RoHS等の環境規制や健康問題、アルミニウム・スチュワードシップ・イニシアティブ (ASI)等に関する情報収集を行った。

  (2) 世界のアルミニウム団体・企業と連携の上、LCA 等アルミニウムに関するデータの整備を行った。

  (3) 国際アルミニウム協会専務理事会議等へ参加した。

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  (4) 中国有色金属工業協会との交流促進 : 中国アルミニウムフォーラム等へ参加した。

   当協会を代表し会長によるスピーチを実施。また適宜、講演を行った。

Ⅲ  アルミニウム産業に係る資源・エネルギーの合理化、有効利用に関する調査研究

  省エネルギーおよび省資源に関する活動Ⅳ  アルミニウム産業に係る環境の整備・保全および

安全衛生に関する調査および研究Ⅴ  アルミニウム産業の構造改善、合理化に関する調

査および研究 1.アルミニウム圧延品物流効率化 2.IT化の推進 3.アルミニウム原料関連Ⅵ  アルミニウムの生産・利用・需要開拓等に関する

調査および研究 1.需要開拓活動  (1)アルミニウム産業における技術戦略の企画   ① アルミニウム技術戦略ロードマップの改定に

向けた研究の実施。   ② 短中期需要開拓活動の推進     アルミの土木製品(橋梁のアルミ化)を中心と

して、復興・インフラ等の分野での需要拡大を模索した。

  (2)自動車のアルミ化  (3)鉄道車両へのアルミニウム利用  (4)土木製品のアルミ化    「 アルミニウム合金製土木構造物設計・製作指

針(案)」の土木学会での認証を得た。  (5)カラーアルミ建材普及  (6)建築構造材へのアルミニウム利用  (7)耐食性評価  (8)アルミニウム飲料缶の普及促進 2.標準化・特許に関する調査・研究 3.受託事業Ⅶ アルミニウムに関する広報、表彰および出版 1.広報活動  (1) ホームページやフェイスブック、ツイッター

などで、一般消費者に PR するための活動を行った。

  (2)小中学生向け「絵画コンクール」の実施。  (3) 子供向け学習用教材の小学校・科学館等への

配付 等。 2.NET7 活動の展開   学生向け講演会・工場見学会の開催、工場見学の

随時受け入れ、共同ウェブサイト「メタルワンダーアベニュー」の維持管理および更新を行った。

Ⅷ 人材育成に関する事業   アルミニウム産業の次代を担う人材を育成するた

め、企業の若手技術者・研究者を対象とする製造中核人材育成事業を推進すると共に、大学生を対象とした人材育成講座を開催した。

一般社団法人日本マグネシウム協会

 平成27年度の主な活動概要は次のとおり1.普及活動、会員への対応 ・ マグネシウムによるものづくりの安全対策の強化

を図るため、マグネシウム切削加工マニュアル「マグネシウムの安全切削と切りくずの後処理」を発刊し、発刊と合わせてマニュアルの内容に基づいた講演会を実施した。

   また、「マグネシウムの取扱い安全講習会」も例年とおり 2 回開催した。

 ・ 医療分野、輸送機器分野、表面処理技術に特化した内容の講演会を開催し、各分野の最近の動向を紹介した。

 ・ 九州支部の活動として、九州地区におけるマグネシウム産業発展のため、技術者教育セミナーを開催した。

 ・ 機関誌「マグネシウム」の発刊、メールマガジン「マグネシウム通信」の配信、2 回の会員情報交流会の開催などにより会員への情報提供に努めた。

2.研究事業 ・ 「自動車マグネシウム適用拡大委員会」、「マグネシ

ウム合金高速車両構体実用化技術委員会」を組織し、輸送機器分野におけるマグネシウム合金需要拡大に向けた検討を実施した。

 ・ 革新的新構造材料等技術開発事業により、国内外における難燃性マグネシウム合金の開発動向について調査を実施した。

 ・ 消火器開発委員会を設置し、マグネシウム用の新たな消火器の開発に向けた検討を実施した。

3.標準化事業 ・ マグネシウムの ISO 国内審議団体として、マグネ

シウムに関わる ISO 規格に対応すると共に、ISO/TC79/SC5 および ISO/TC79 国際会議へ代表者を派遣した。

 ・ 高機能 JIS 等整備事業により、マグネシウム合金の燃焼特性を評価する JIS 制定へ向けた検討を実施した。

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平成27年の素形材産業年報

4.国際交流および情報収集 ・ 国際マグネシウム協会主催の国際会議などへ代表

者を派遣し、国際交流および各国のマグネシウムに関する情報収集を行った。また、国内のマグネシウム関連情報を英文化し海外に発信した。

5.褒賞、人材育成 ・ 平成26年度(第18回)日本マグネシウム協会賞と

して、特別功労賞 2 件、功績賞 1 件、奨励賞 2 件、技術賞 1 件を表彰した。

 ・ 工業系の学生からマグネシウムの特性を活かした製品デザインを募集し、優れた作品の表彰を行う第25回学生マグネシウムデザインコンテストを実施した。

 ・ 各種学会の講演大会などで研究発表を行う学生を対象に奨学金を交付する齋藤マグネシウム学生奨学金制度を実施した。

一般社団法人日本ダイカスト協会

1.検定事業 亜鉛合金ダイカスト品質証明制度2.調査研究 (1)経営アンケート調査 (2)ダイカストの受注動向調査 (3)ダイカスト工場の労働災害調査 (4)エネルギー等使用量調査 (5)金型保管に関するアンケート調査 (6)ダイカストの鋳肌評価技術に関する調査研究 (7) Al-Mg 系合金ダイカストの製造技術向上に関す

る調査研究 (8) 急冷相変態を利用した亜鉛合金ダイカストに関

する調査研究 (9) 熱処理したマグネシウム合金ダイカストの機械

的性質および組織に関する調査研究3.出版 (1)会報ダイカスト(1 月・7 月) (2)ダイカストの鋳肌評価技術に関する調査研究 (3) 亜鉛合金ダイカストの実体強さと顕微鏡組織の

調査研究 (4)ダイカスト工場の安全作業マニュアル4.講演会・工場見学会・セミナー (1)経営講演会(10月大阪、1 月東京)   10月・大阪 講演 「女性と外国人労働者の活用」    1月・東京 講演 「今後の日本の展望」

 (2)広報工場見学会   11月・ 岐阜県内 1 社 対象 : 大学(学生・教育者)・

公的研究機関研究員 参加者 : 21名 (3)第 8 回環境保全セミナー   11月・ 東京 「化学物質のリスクアセスメント・ス

トレスチェック義務化・省エネ設備更新と補助金の活用について」 参加者 : 32名

(4)ダイカスト技術交流会    8月・ 東京 「小野田賞・菅野賞受賞記念講演ほか」

参加者 : 68名   12月・ 東京 パネルディスカッション「ダイカス

トの鋳造欠陥・不良対策」参加者 : 44名(5)アルミセミナー    8月・ 東京 「ADC3の特性向上による用途拡大」

 参加者 : 71名(6) YDEC(ヤング ダイカスティング エンジニアーズ

コミュニティ)    1月・ 東京 「第 9 回 YDEC 技術講座 : 不良と対策

の勘所」 参加者 : 43名    3月・ 東京 「第10回 YDEC 技術講座 : 最新周辺技

術」 参加者 : 51名(7)技術委員会セミナー   10月・東京 「技術・技能研修講座」 参加者 : 56名   11月・ 東京 「第 3 回ダイカスト技術セミナー : 材

料を制する者はダイカストを制する」 参加者 : 46名

    9 月・ 愛知 「第 4 回女子社員ダイカストセミナー :工場見学」 参加者 : 48名

   11 月・ 東京 「第 3 回女子社員ダイカストセミナー :生産管理手法」 参加者 : 65名

    6 月・ 東京 「スキルアップ研修 : ダイカストの品質評価」 参加者 : 9 名

    7 月・ 東京 「スキルアップ研修 : アルミニウム合金溶湯の品質評価」 参加者 : 10名

    3 月・ 東京 「スキルアップ研修:PQ2線図」 参加者: 14名

    2 月・東京 「基礎知識習得講座」 参加者 : 55名    7 月・東京 「新入社員研修」参加者 : 81名5.式典    5 月・ 東京 創立60周年記念式典およびパーティー

出席者 : 186名

日本ダイカストマシン工業会

1. 昨年度に引き続き一般財団法人素形材センターへ運営事務等を委託。

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鋳 造

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2. 生産性向上設備投資促進税制の証明書発行業務を実施。

3. 平成26年度補整予算 地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金に係る証明書を発行。

4.技術セミナー 平成28年 2 月 5 日(金)に第16回技術セミナー「ダイカスト製造と設備に係る最新技術」を開催。5.概括的短期需要見通し 平成28年 3 月に「平成28年ダイカストマシン概括的短期需要見通し」を発表。6. 国際標準化機関(ISO)のダイカストマシンを含む、

鋳造機械の専門委員会(TC)の設置提案の対応。

一般社団法人日本バルブ工業会

 平成27年度の主な活動は次のとおり。1.セミナー・研修会 (1)若手社員研修会  平成27年 7 月 2 日~ 3 日、8 月 6 日~ 7 日 (2)国際委員会セミナー  「海外進出の A to Z」  平成27年 9 月15日 (3)安全保障貿易管理説明会  平成28年 1 月 18 日 (4)自動弁部会主催セミナー  「ハイブリッド金属 3Dプリンタの現状」  平成28年 2 月19日 (5)技術研修会 ①「水素社会実現に向けた NEDO の取り組み」」 ②「水素の大規模貯蔵輸送技術と展望」  平成28年 3 月24日2.新技術研究開発プロジェクト (1) 有害物質規制の対応技術調査Ⅱ(ニッケル溶出

問題)3.一般向けイベント (1)第 5 回バルブフォト五七五コンテスト

鋳型ロール会

1.総会 平成27年 5 月13日 出席者 16名 場所 : 日立金属高輪和彊館 ・ 平成26年度事業報告および平成27年度事業計画の

審議・承認 ・ 経済産業省製造産業局素形材産業室 専門職 北

村貴直様のご臨席をいただいた。

2.技術部長会 平成27年10月 9 日 出席者 15名 場所 : 住友重機械ハイマテックス㈱ ・ 会員の技術担当部長による、課題の発表・討議を

実施。3.賀詞交歓会 平成28年 1 月 8 日 出席者 39名 場所 : 日立金属高輪和彊館 ・会員会社出席にて賀詞交歓会を開催した。 ・ 経済産業省製造産業局素形材産業室 室長 遠山

毅様、専門職 橋本千晃様、鴫原明里様のご臨席をいただいた。

日本金属継手協会

 配管用金属継手の製造メーカーを正会員とし、可鍛継手、溶接継手、フランジ、高圧継手、排水鋼管継手等の規格に関する標準化、技術的な調査と実験、市場に係る統計、需要者への宣伝、啓蒙などの活動を行っている。平成27年度の主な活動を以下に示す。1.標準化活動 (1) JIS 規格への対応として、JIS B 2316「配管用鋼

製差込み溶接式管継手」の、JIS 改正原案作成委員会 第 1 回委員会を 3 月に開催した。

 (2)当協会規格のうち、次の 8 規格を改正発行した。 ・ JPF MP 008 :2015「水道用ライニング鋼管用ねじ

込み式管端防食管フランジ」 ・ JPF SP 005 :2015「鋼製突合せ溶接式径違いエルボ」 ・JPF SP 006 :2015「鋼製突合せ溶接式クロス」 ・ JPF SP 008 :2015「大口径キャップの形状および寸法」 ・JPF SZ 021 :2015「管継手のシャルピー衝撃試験」 ・JPF SZ 031 :2015「溶接部の引張試験」 ・ JPF SZ 033 :2015「配管突合せ溶接式管継手に対す

る引張試験の適用範囲および実施要領」 ・ JPF MDJ 002 :2015「排水鋼管用可とう継手 (MD

ジョイント)」 (3) 当協会資料関連では、「正しいねじ込み配管の手

引 (改訂第 5 版)」を発行した。2.技術セミナー 当協会の会員向け第 9 回技術セミナーを、東京、大阪で 12月に開催し、次の 3 テーマを説明した。 ・正しいねじ込み配管の手引 (改訂第 5 版) ・ 排水鋼管用可とう継手の基礎 および厨房排水配管

の実態と対応製品 ・鋼製溶接式管継手の規格改正状況