論文タイトル:
SHAPE-COG ILLUSION-複合現実感体験時の視覚刺激による重心知覚の錯覚現象-
発表者:
松井 政裕(早稲田大)
クロスモーダルWS輪講発表 2014/01/22
著者:
木村朝子,杣田明弘,面迫宏樹,柴田史久, 田村秀行(立命館大学)発表雑誌・会議:
日本バーチャルリアリティ学会論文誌,16(2), 261-269, 2011-06-30
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この研究を一言で言うと
重心の異なったCG映像を実物体に投影することで、視覚、力覚間のクロスモーダル効果を起こし、実物体の重心位置の知覚が変化するという錯覚の検証
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磁気センサー:頭部+実物体の位置姿勢の取得
HMD:カメラキャプチャー
マスキング
MR Platform System:Mixed Reality 空間を作成
実験①の目的
実験①視覚刺激が重心知覚に与える影響
CG画像を重畳表示した状態で実物体を持ち、
視覚情報上の重心と力覚情報上の重心に
違和感がないかを問う
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実験①の評価方法
• 評価方法:
見た目と重心位置が「合っている」「少し合っている」「違和感がある」の3件法を使用したアンケートを実施
• 被験者 成人13名• 刺激
A1-4(縦に長くなる条件)
B1-4(横に長くなる条件)
C1-4(取手が端についてる条件)
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実験①の成果
結果
• AとBの条件において、多くの被験者が少なからず「合っている」と答えている
• A4やB4の様な極端な条件でも少なからず「合っている」と答えている人の割合が多い
考察
• 視覚情報により重心位置が変化する可能性が示唆された
• 極端に異なる映像でも多少なりとも重心位置の変化を感じる 5
実験②の目的
実験②
錯覚時に知覚される重心位置の計測
実物体にCG画像を重畳表示し、
知覚した重心位置を計測
• 被験者 成人13名• 刺激
D1-11(徐々に重心が下がる条件) 6
実験②の評価方法
• 評価方法:
重心があると思われる位置をカーソルでCG上に示す
⇒被験者が視覚情報によって引きずられた重心の位置を定量的に評価できる
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実験②の成果
結果
CG画像の重心位置が大きくなる⇒知覚された重心位置が大きくなる。
⇒知覚された重心位置の増加は鈍る。
考察
視覚上の重心位置が力覚上の重心位置に影響を与えているが、視覚上の
重心位置と実物体の重心位置の差が大きくなるほど影響は徐々に弱くなる。 8
発表者の評価:ここが面白い
• 視覚映像によって重心を
変化できるところ
たとえば、
バーチャル剣道
短い棒でも、CG映像で
長い棒だと感じる
フォーム矯正
重心の位置を変化させる事でフォームの改善が行える
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発表者の評価:ここが疑問
• 試行数が不明
各条件何試行行ったかで、腕の疲れや回答の精度
が大きく変わってくると思う
• 同一の重さや重心位置を使うことの問題点
被験者が同一の重さや重心位置で持ち続けている
と気づけば実験結果にバイアスがかかるのでは?
• 男女間の差や被験者の筋力などに対する影響は存在するか?
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発表者の評価:展開・応用のためのアイデア
• 映像の種類による影響が存在するのでは?
素材(鉄、木、綿など)、物体(コップ、バッド、板など)による差が大きそう
• 内容物の視覚映像化でさらに複雑な錯覚ができるのでは?
スケルトンのカバンで、カバンの
底に重しがある映像とカバンの上部
に重しがある映像では重心知覚に
差があるかも
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紹介されていた関連研究
複合現実感における視覚と触覚の融合効果を利用した物体形状提示に関する実験的検討
筑波大学の中原、北原、太田らの研究.実際に物体にCG映像を重畳提示する装置を作成し、被験者に実際の物体と異なる形状のCG映像を提示する。被験者はCG映像を見ながら実物に触れる。その際、実際の形状と異なったCG上の形状を触っていると錯覚しやすい。
size weight illusion
Charpentier(1891)の研究。同一の質量である
にかかわらず、その物体の体積によって異なる重さに感じられるという錯覚。具体的には体積の大きいものは軽く感じられ、小さいものは重く感じられる。
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ご清聴ありがとうございました
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