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Page 1: SSC 目的 SSCSSC 習熟が起こらない可能性が示唆された。 運動習慣ごとに特徴的な身体の動かし方が身に付き、該当運動以外で身体能 力が発揮されない場合がある。SSC

・運動習慣ごとに跳躍の機会の不足や跳躍動作そのものの相違が存在する。その結果、単純な歩行などの生活動作や伸張性反射を用いない跳躍では、

SSC習熟が起こらない可能性が示唆された。運動習慣ごとに特徴的な身体の動かし方が身に付き、該当運動以外で身体能

力が発揮されない場合がある。SSC応用の初歩として、身についた特徴的な動きや癖を把握する必要がある。

運動習慣の違いに着目した伸長-短縮サイクル局面での下肢筋力発揮と日常動作への応用の可能性

渡辺峻1、村山敏夫2、亀岡雅紀1、松山健太郎1 、宮嶋秀彰1

1新潟大学大学院教育学研究科、2新潟大学教育学部

スポーツの視点だけでなく、SSCが組み込まれた日常動作にも注目する必要性

はじめに筋の伸長-収縮サイクルを活用したSSC(Stretch Shortening Cycle)は、強いパワーを発揮できることから多くのスポーツに取り入れられている。

研究方法

SSCは筋肉への負担が大きくなりやすく、運動強度もそれに伴って強まりがちなため、

競技特性の強い動作である。

測定プロトコル

結果・考察

SSCを利用した動作に運動習慣の違いが与える影響

SSC(Stretch Shortening Cycle

目的 ・運動習慣別に、SSCを利用した運動動作の遂行能力の測定と確認をする。

・SSCを利用した安全な日常生活での動作を考察する。

まとめ

・今後はアンケートの内容も幅を広げ、より多くの運動習慣を対象に測定を行っていく。

・より跳躍動作に集中、専念しやすい測定器を用いて運動習慣以外の要因が結果に作用しにくくする。また筋電図等も用い、運動習慣ごとにより明確な

SSCの遂行能力を考察する。

今後の課題

・本研究では異なる運動習慣を持つ方を対象に測定を行った。・運動内容はSSCを利用した代表的な動作であるリバウンドジャンプ(RJ)とした。

・測定実施前にアンケートによる運動習慣の把握、確認を行った。〇対象者

男性91名 女性37名 計128名 (21.1±5.3歳)

〇使用測定器

・運動習慣無し 24名・陸上競技 13名

・体操競技 5名

・バスケットボール 20名・バレーボール 16名・硬式テニス 30名

・卓球 20名

・筋力を発揮するまでの時間短縮・筋を急速に伸長させることで伸張性反射が発生する。

・腱が「バネ」のように作用し、弾性エネルギーを貯蔵、再利用できる

発揮筋力が強まる

・測定器の上で両手を腰に当て直立し、測定者の合図で10秒間のRJ測定を行った。・測定器からはみ出す、落ちるといったことなく連続して5回以上ジャンプができた場合を成功とし、失敗時は対象者に確認を取ったうえで再度測定を行った。

・測定前に練習を各自で行ってもらい、さらに測定直前にも測定器上で数回の試技を行うことで、安定して測定を進行できるよう留意した。

・測定時はIEEE1394ビデオカメラを同期してRJ中の映像を録画した。・測定結果をもとに、RJ指数を算出し、SSCを利用した動作の遂行能力を評価した。 Zebris FDM 1.5

(Inter Reha製)IEEE1394ビデオカメラ(Inter Reha製)

測定の様子接地時間

滞空時間

=1/8*g(重力加速度)*ta2(滞空時間)/tc(接地時間)RJ(リバウンドジャンプ)指数

・zebris FDM1.5 ・IEEE1394ビデオカメラ

〇運動習慣区分

(ともにInter Reha製)

測定前に素早く・高く

跳ぶように呼びかけ

各運動習慣別のRJ指数と跳躍高跳躍高平均値

13.875cmRJ指数平均値

0.684

各平均値とも全運動習慣中最低値であった。測定後半にかけての数値の伸びが見られず、SSCを活用する方法がわからない・身についていない様子であった。

跳躍高平均値21.706cm

RJ指数平均値1.157

他の跳躍動作が頻繁に組み込まれている競技と比較しても大差のない高値が示された。SSCを活用したスプリットステップや、プレーの前後左右への不規則かつ素早い移動という特徴が影響したと

推測できる。

跳躍高平均値19.165cm

RJ指数平均値0.973

シュート時やリバウンド時の跳躍動作の多さから高値が示されると予想したが、比較的低値の結果となった。しゃがみ込みからの跳躍が主であるため、

SSCでの跳躍に不慣れであったことが影響したと考えられる。

跳躍高平均値17.165cm

RJ指数平均値0.817

移動距離、跳躍回数などの少なさから、比較的低値の結果となった。また、着地時に膝が外方向に屈曲する様子が多くの対象者から見られた。高速に横移動を繰り返す中で、衝撃を和らげるために身についたものと考えられる。

跳躍高平均値21.875cm

RJ指数平均値1.171

跳躍動作の多さから、予想通りの高値を示す結果となった。コート内での移動量が少なく跳躍回数が多いことや、アタックやブロック時にみられる咄嗟の素早い跳躍動作が影響したと考えられる。

跳躍高平均値22.1cm

RJ指数平均値1.36

対象者数が少なかったものの、全体的に高値を示した。多くの種目で跳躍動作がみられ、短時間で大きな力を生み演技に取り入れる必要がある点からSSCが習熟していると考えら

れる。

跳躍高平均値跳躍:26.66cm 競走22.313cm

RJ指数平均値跳躍:1.7362 競走1.347

跳躍競技・競走競技ともに高値を示した。高く遠くに跳躍する動作や、速く走る際には下肢筋力を最大限に発揮する必要があり、必然的にSSCも習熟したことが考えられる。

特に跳躍競技における走り幅跳び・高跳びは瞬間的に下肢筋力を強く発揮する必要があり、全体と比較してかなりの高値を示したと考えられる。

運動習慣の違いによってSSCの筋力発揮に大きな差が見られた ・階段を上る際に意図的につま先で上ようにする。・高所の物を手に取る際も可能な範囲でジャンプや

背伸びをしてチャレンジしてみる。低強度の動きの中でSSCを使う機会を増やし、SSCに慣れることで日常的にSSCを使えるようになる。

階段・段差の上り下りの際の踏み外しの防止や障害物を咄嗟に避ける際の瞬発力の向上が実現できる。結果として、生活中に潜む危険を回避しやすくなり、安全な生活が実現できる。

接地時間を短く、滞空時間を長くする意識づけ

n=24

n=30

n=20

n=16

n=20

n=5

n=13

n=128

応用

跳躍高・RJ指数ともに運動習慣の影響を受けると言える。

運動習慣中の跳躍動作に応じて測定値の変化が見られた。

運動習慣無し群は相対的に両測定値とも低値を示した。運動習慣の影響が明確に表れていることが示唆される。

RJ指数が2点付近の高値を示した対象者の、ほとんどが、高頻度で跳躍動作を行う運動習慣を持っていた。

両測定値ともに低値

対象者は少ないが、全員がRJ指数1以上の高値を示した。

同一運動習慣内だが測定値のばらつきが目立つポジションの影響も考えられる

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