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最近の就業者の労働時間と労働時間帯の関連に関する実証分析
2015年9月7日(月) 総務省統計局労働力人口統計室
長尾 伸一 野村 大輔
2015年度統計関連学会連合大会
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研究の目的
■女性の活躍推進等のため、ワークライフバランスの推進が課題となっている。
■「裁量労働制」「フレックスタイム制」という新たな働き方に注目が集まる中、最近の就業者がどのように働いているかを分析することが従前以上に重要となっている。
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社会生活基本調査の概要
■5年ごとに実施している国民の生活時間の配分及び自由時間等における主な活動について調査し、国民の社会生活の実態を明らかにすることを目的としている。
■調査年の10月に調査。10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。
■対象世帯については、連続する2日間を調査している。(例えば、日曜日と月曜日、水曜日と木曜日等)
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社会生活基本調査の特徴
■国勢調査や労働力調査は、月末一週間の就業時間を調査。
■社会生活基本調査は、曜日ごとの生活行動及び、1日(24h)の時間帯ごとの生活行動が把握可能。
■労働時間の特徴を詳細に分析するツールとして有効な手段と成り得る。
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社会生活基本調査から計算する時間帯別従業者率
■今回の分析では、2001年、2006年、2011年の社会生活基本調査3回分のデータを利用した。
■生活時間に関する15分刻み(24時間を96区分に分割)のデータから「仕事」時間を特定し、男女別、職業別、正規・非正規別等の属性ごとに時間帯あたりの従業者率を推計した。
時間帯別従業者率=「当該時間帯に働いている雇用者」/ 「総雇用者」
今回の分析対象は、22歳~65歳までに限定 5
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時間帯別従業者率のイメージ
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2011年正規(21825)
2011年非正規(4579)
(時)
(%) 男性(月~金)
グラフの下の面積が1日当たりの労働時間として計算できる。日曜日から土曜日までを足し上げれば週当たりの労働時間となる。
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男女、職業別、正規・非正規別一週間あたりの労働時間の推移(男性)
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総数(職業計)
管理的職業従事者
技術者
保健医療従事者
教員
その他の専門的・技術的
職業従事者
事務従事者
商品販売従事者
販売類似職業従事者
生活衛生サービス職業
従事者
飲食物調理従事者
接客・給仕職業従事者
その他のサービス職業
従事者
保安職業従事者
農林漁業従事者
生産工程従事者
輸送・機械運転従事者
建設・採掘従事者
運搬・清掃・包装等従事者
男性(正規)
2001年 2006年 2011年
(時間)
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総数(職業計)
管理的職業従事者
技術者
保健医療従事者
教員
その他の専門的・技術的
職業従事者
事務従事者
商品販売従事者
販売類似職業従事者
生活衛生サービス職業
従事者
飲食物調理従事者
接客・給仕職業従事者
その他のサービス職業
従事者
保安職業従事者
農林漁業従事者
生産工程従事者
輸送・機械運転従事者
建設・採掘従事者
運搬・清掃・包装等従事者
男性(非正規)
2001年 2006年 2011年
(時間)
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男女、職業別、正規・非正規別一週間あたりの労働時間の推移(女性)
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総数(職業計)
管理的職業従事者
技術者
保健医療従事者
教員
その他の専門的・技術的
職業従事者
事務従事者
商品販売従事者
販売類似職業従事者
生活衛生サービス職業
従事者
飲食物調理従事者
接客・給仕職業従事者
その他のサービス職業
従事者
保安職業従事者
農林漁業従事者
生産工程従事者
輸送・機械運転従事者
建設・採掘従事者
運搬・清掃・包装等従事者
女性(正規)
2001年 2006年 2011年
(時間)
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総数(職業計)
管理的職業従事者
技術者
保健医療従事者
教員
その他の専門的・技術的
職業従事者
事務従事者
商品販売従事者
販売類似職業従事者
生活衛生サービス職業
従事者
飲食物調理従事者
接客・給仕職業従事者
その他のサービス職業
従事者
保安職業従事者
農林漁業従事者
生産工程従事者
輸送・機械運転従事者
建設・採掘従事者
運搬・清掃・包装等従事者
女性(非正規)
2001年 2006年 2011年
(時間)
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正規社員(男性)の特徴
9
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男女、平日・土日別、時間帯別従業者率の状況-正規(全職業計)
10 職業分類は、日本標準職業分類が2009年に改定されたため、厳密な比較をする際には注意を要する。
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2001年正規(27220)
2011年正規(21825)
(時)
(%) 男性
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2001年正規(44680)
2011年正規(36356)
(時)
(%) (土日)男性
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2001年正規(12177)
2011年正規(9999)
(時)
(%) 女性(月~金)
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2001年正規(20306)
2011年正規(16703)
(時)
(%) 女性(土日)
(月~金)
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ふだんの一週間の就業時間から長時間労働になりやすい者の属性分析(Probit分析)
■社会生活基本調査では、ふだんの一週間の労働時間(7区分)を調査している。このうち、男性の正社員について、週労働時間60時間以上の者の属性をプロビットモデルで分析した。
■被説明は、「週60時間以上」=1及び「週60時間未満」=0として、説明変数は、年齢階級、職業、教育、配偶関係とした。
11
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ふだんの一週間の仕事時間から長時間労働になりやすい者の属性分析
12
表の数値は、左から係数、P値、有意水準(有意水準***P値
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ふだんの一週間の仕事時間から長時間労働になりやすい者の属性分析
13
■ 長時間労働になりやすさ(長時間労働になる確 率)は、職業別では、教員、商品販売従事者、 生活衛生サービス職業従事者、飲食物調理従事者 などで、高くなっている。 ■ 一方で、事務従事者は、長時間労働になりやすさ の低下に寄与。 ■ 年齢階級別では、22~24歳、25~29歳の若年層 で、長時間労働になる確率が高くなっている。
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正規職員の時間帯別従業者率(教員)
教員
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2001年正規(807)2011年正規(726)
(時)
(%) 男性
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2001年正規(1382)2011年正規(1254)
(時)
(%) (土日)男性(月~金)
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正規職員の時間帯別従業者率 (商品販売従事者)
商品販売従事者
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2001年正規(2820)2011年正規(949)
(時)
(%) 男性
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2001年正規(4657)2011年正規(1560)
(時)
(%) (土日)男性(月~金)
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正規職員の時間帯別従業者率 (生活衛生サービス職業従事者)
生活衛生サービス職業従事者
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2001年正規(68)2011年正規(84)
(時)
(%) 男性
0
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0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
2001年正規(138)2011年正規(129)
(時)
(%) (土日)男性(月~金)
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正規職員の時間帯別従業者率 (飲食物調理従事者)
飲食物調理従事者
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2001年正規(327)2011年正規(261)
(時)
(%) 男性
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2001年正規(580)2011年正規(463)
(時)
(%) (土日)男性(月~金)
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正規職員の時間帯別従業者率 (輸送・機械運転従事者)
輸送・機械運転従事者
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2001年正規(2292)2011年正規(1408)
(時)
(%) 男性
0
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2001年正規(3792)2011年正規(2270)
(時)
(%) (土日)男性(月~金)
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週60時間以上労働している者が10年前に比べて減少している要因を分析するため、ブリンダー・オハカ分解により、以下のように推計した。60時間以上の労働になる者の確率を線形で仮定し、以下の確率関数を推計。
iは個人、Pは60時間以上の労働を1、それ以外は0をとる変数、Xkは第k説明変数、βkは係数、εは誤差項を表す。
𝑃𝑃𝑖𝑖2001 = �𝛽𝛽𝑘𝑘2001𝑚𝑚
𝑘𝑘=0
𝑋𝑋𝑘𝑘,𝑖𝑖2001 + 𝜀𝜀𝑖𝑖2001
𝑃𝑃𝑖𝑖2011 = �𝛽𝛽𝑘𝑘2011𝑚𝑚
𝑘𝑘=0
𝑋𝑋𝑘𝑘,𝑖𝑖2011 + 𝜀𝜀𝑖𝑖2011
19
2001年と2011年の労働時間の変化の要因分析(Blinder-Oaxaca分解)
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2001年から2011年までの推計値の変化を以下のように分解した。
𝑃𝑃�2001 − 𝑃𝑃�2011 = ∑ �̂�𝛽𝑘𝑘2001 𝑋𝑋�𝑘𝑘,𝑖𝑖2001 − 𝑋𝑋�𝑘𝑘,𝑖𝑖2011 + ∑ 𝑋𝑋�𝑘𝑘,𝑖𝑖2011(�̂�𝛽𝑘𝑘2001 − �̂�𝛽𝑘𝑘2011)𝑚𝑚𝑘𝑘=0𝑚𝑚𝑘𝑘=0
※P及びXの「━」は平均値を、βの「ハット」は推計係数を表す。
属性効果:職業別や年齢階級別等の従業者数の構成が変化 したことによる効果 係数効果: 職業別や年齢階級別等の、それぞれの属性に おける長時間労働になる確率の変化による効果 20
2001年と2011年の労働時間の変化の要因分析(Blinder-Oaxaca分解)
属性効果 係数効果
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21
「属性効果」と「係数効果」の推計値
表の数値は、左から係数、P値、有意水準(有意水準***P値
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2011年における長時間労働になる確率は、2001年に比べ低下。
職業別に係数効果をみると、事務従事者や商品販売従事者が、長時間になる確率の低下に寄与。一方で、教員は上昇に寄与。
年齢階級別に係数効果をみると、45~49歳及び50~54歳で上昇に寄与。
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「属性効果」と「係数効果」の推計値
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非正規社員(男性)の特徴
23
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男女、平日・土日別、時間帯別従業者率の状況-非正規(全職業計)
24 職業分類は、日本標準職業分類が2009年に改定されたため、厳密な比較をする際には注意を要する。
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2001年非正規(2924)
2011年非正規(4579)
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(%) 男性
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2001年非正規(4825)
2011年非正規(7736)
(時)
(%) (土日)男性
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2001年非正規(11630)
2011年非正規(13509)
(時)
(%) 女性(月~金)
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2001年非正規(19686)
2011年非正規(22629)
(時)
(%) 女性(土日)
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1週間の就業時間別従業者の割合 (技術者) 技術者
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2011年
(%) 男性(正規)
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2011年
(%) 男性 (非正規)
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1週間の就業時間別従業者の割合 (事務従事者)
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(%) 男性(正規)
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(%) 男性 (非正規)
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1週間の就業時間別従業者の割合 (飲食物調理従事者)
飲食物調理従事者
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(%) 男性(正規)
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(%) 男性 (非正規)
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■女性の労働時間の分析 ■勤務間インターバル(時間外労働などを含む1日の最終的な勤務終了時から翌日の始業時までの時間)の推計方法の検討
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今後の課題
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■2000年代における男性長時間労働に関する計量分析-「労働力調査」による検証-
太田聰一、黒田祥子、玄田有史,2010,統計研修所リサーチペーパー
■人々はいつ働いているか?-深夜化と正規・非正規雇用の関係-
黒田祥子、山本勲,2011,RIETI Discussion Paper ■労働時間の経済分析 山本勲、黒田祥子 日本経済新聞出版社 ■The Blinder-Oaxaca decomposition for linear regression
models: Jann Ben, 2008, The Stata Journal
29
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ご清聴ありがとうございました。