LoRaを活⽤した茶園ネットワークの形成による、分散茶園の省⼒管理と茶⼯場の品質コントロールを核とした、茶業経営⼀貫技術体系の実証
静岡県スマート茶業実証コンソーシアム令和元年11⽉
1(農⽔省HPより)
取組の背景・静岡県は全国の茶⽣産量の4割を⽣産・16,500haの茶園が平坦地から中⼭間地域に分布・約500の共同茶⼯場、法⼈茶⼯場が茶園の約8割を管理・急須で⼊れて飲む緑茶の需要が減少し、荒茶価格、農業所得は低下・ペットボトル飲料、てん茶(抹茶)、輸出向け緑茶の需要は拡⼤、⾼級茶も底堅い需要
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⽬標とする茶⽣産構造のイメージ
中⼭間地
平坦地大規模化、低コスト化
高級茶、輸出向け有機茶
○流通販売業者と連携した、需要に応じた茶の⽣産構造へ転換(平坦地では⼤規模化、低コスト化、中⼭間地域は⾼級茶、輸出向け有機てん等を⽣産)
⇒スマート農業技術を導⼊し、⽣産構造の転換を促進
課題
・1戸の生産者が10~30箇所の茶園を管理、共同茶工場・法人茶工場は200~500箇所の茶園を管理・一番茶期(4~5月)、二番茶期(6月)には、ほぼ毎日、茶園を巡回
・共同茶工場では、個々の組合員が経験則で摘採時期を判断・組合員により生葉の品質が異なるため、混合製造する荒茶の品質が低下
・法人茶工場等では、従業員が誤って別の茶園を摘採するなどの作業ミスが発生・特に農薬、除草剤の誤散布は、安全安心な茶生産に大きな影響
[課題1]茶園が分散 ⇒ 巡回・観察作業に多くの時間
[課題2]⽣産者による⽣葉品質のバラツキ ⇒荒茶の品質が低下
[課題3]作業の進捗管理が困難
[実証するスマート農業技術]①⽣産者の作業の進捗を⾒える化し、栽培技術を⾼位平準化する技術②分散茶園の⽣育を⾒える化し、茶園管理を効率化する技術③不慣れな⽣産者でも乗⽤型茶園管理機を⾼精度で操作できるアシスト技術④作業の適期を⾒える化し、⾼級茶やドリンク原料等の需要に対応した⽣葉の管理技術⑤統⼀的にデータを収集、分析し、⽣産⽅法を改良、評価する技術 3
コンソーシアムの体制
JAハイナン(農)茶夢茶夢ランド菅⼭園 33ha(農)エコグリーン勝間⽥ 34ha<JGAP認証取得>
(株)ハラダ製茶農園 60ha<GLOBAL.G.A.P.認証取得>
⽣産者
NECソリューションイノベータ(株)
⺠間企業
カワサキ機⼯(株)
(株)マキノハラボ
経済産業部(進⾏管理)
静岡県等
農林技術研究所茶業研究センター
志太榛原農林事務所
農研機構果樹茶業研究部⾨
連携
(⼀財)AOI機構
3⼯場計127ha
生産者の茶園分布(イメージ) 4
1 作業記録ツールを⽤いた作業の省⼒化の実証
[現在の状況]・3つの茶⼯場(実証者)で計約600ヶ所の茶園のほぼ全てをマップ化済み・ICT端末を使⽤した作業データの取得を順次開始[めざす成果]・作業データの分析により、作業時間を要している作業内容、茶園を把握し、作業を改善・作業⼿順などの改善により、作業時間を削減
[取組内容]・⽣産者がICT端末にインストールした作業記録ツール(アグリノート)を⽤いて記帳・茶園マップを作成し、茶園の分布、作業場所等を⾒える化
【マップ化の状況】
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2 リモートセンシングによる茶園管理作業の省⼒化の実証[取組内容]・分散茶園にフィールドサーバー(画像カメラ、気温)を設置し、LoRaを活⽤して⾃動計測・ドローンで茶園を撮影し、病害⾍の発⽣状況を把握・JA環境保全型農業ネットワークシステムを活⽤して気象・病害⾍発⽣データを把握
[現在の状況]・フィールドサーバーを試験設置し、効果的なカメラ位置等を検証中・ドローンでの撮影条件を検証中
[めざす成果]・画像で茶の⽣育状況を把握し、茶園の巡回、観察に要する作業時間を削減・ドローン等の調査データを活⽤して防除時期等を把握し、防除⾯積、防除作業時間を削減
【フィールドサーバーで撮影】地上から4.5m
地上から2m
地上から1m
設置位置を変えて検証中
高度:12m 角度:約90°
高度:6m 角度:約45°
【ドローンで撮影】
防霜ファンの支柱に設置
【JA環境保全型農業ネットワークシステム】
※7地点の気温、雨量などをHPで公開
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[現在の状況]・追加装備するシステムを作成し、茶園での試験を実施中。
[めざす成果]・作業の⾃動化により、作業時間を削減・作業者による農薬散布量の違いが⼩さくなり、作業精度が向上
3 乗⽤型防除⾃動防除操縦システムによる軽労化の実証[取組内容]・既存の乗⽤型防除機に安定⾛⾏機能、防除操作を⾃動化する機能を追加装備・併せて、稼動場所や⾛⾏時間等の作業データを記録する作業管理履歴装置を追加装備
改良予定の乗⽤型防除機[追加装備機能]・うねに沿った安定走行機能(前進、後進)・走行速度に応じた農薬散布量の調整・噴口の高さ調整 など 7
[現在の状況]・秋冬番茶のおいて収集した教師データを活⽤してAI解析⼿法を構築中・茶⽣産データ管理システムを茶⼯場に導⼊し、データを取得中
[めざす成果]・⼀定の開葉数で摘採することで、品質の均⼀化、収量性が向上し、荒茶販売額が増加
4 茶⽣育ステージのAI解析技術等による品質管理の実証[取組内容]・AI解析技術を⽤いて、フィールドサーバー等で撮影した新芽の画像から開葉数を解析・解析した開葉数を基に摘採(収穫)を⾏い、茶の品質、収量の均⼀性を向上・茶⽣産データ管理システムを茶⼯場に導⼊し、⽣産データを⼀元管理
0.2葉期 4.5葉期
少 多開葉数
多
少
収量
品質の評価
高
低
収量
品質
[取組のイメージ]
① ② ③
・①、②、③の生葉を混合して製造すると荒茶品質が低下
・目的とする収量、品質を目指して生葉の品質を均一化8
[現在の状況]・実証者の⼀部でGAP認証⽀援サービスを導⼊し、データの記録管理等を開始
[めざす成果]・記録や書類整理、認証機関による審査等に要していた作業時間を削減
5 GAP⽀援サービスとの連携による作業時間の削減[取組内容]・実証者はGAP認証を取得済であるが、管理作業に多くの時間を要する・GAP認証⽀援サービスを導⼊し、農業⽣産⼯程管理に要する時間を削減
営農情報 新規/改定後のGAP
GAP認証⽀援サービス
不⾜する管理点を抽出
[取組のイメージ]
WEB上のサイトにおいてGAPの点検項⽬(管理点)に関連付けて営農情報、記録など様々な情報を登録
・記録の登録状況を見える化
・認証機関に対して、本サービス上で「実践・記録」情報を開示することにより、審査・認証を円滑化 9
データの⼀元化と分析○取得データを分析し、作業時間の削減、販売額の向上に向けた改善を実施
[達成⽬標]○作業時間25%削減○荒茶販売額10%拡⼤
データの集積、⼀元化
作業管理ツール リモートセンシング AI解析技術茶⽣産データ管理システム
⾃動防除操縦システム GAP認証⽀援サービス10
ご清聴ありがとうございました
本実証課題は、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:茶C01、課題名:LoRaを活用した茶園ネットワークの形成による、分散茶園の省力管理と茶工場の品質コントロールを核とした、茶業経営一貫技術体系の実証」(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の支援により実施しています。