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I-52I-52オリエンタルモーター総合カタログ 2017/2018

I-52 ギヤヘッド

ギヤヘッド■ACモーター用ギヤヘッドACモーター用ギヤヘッドは主に動力用として連続的に使用されるため、高許容トルク、長寿命、低騒音、減速比ラインアップの充実を重要視して設計しています。

●直交軸ギヤヘッド直交軸ギヤヘッドは、スペースが限られた場所で有効に取り付けがおこなえ、カップリング等の動力伝達部材を削減できる(中空軸ギヤヘッド)など、使いやすさを重視した製品です。当社の直交軸ギヤヘッドには、ハイポイドギヤを使用した直交軸・中空軸ギヤヘッドと直交軸・中実軸ギヤヘッド、ウォームギヤあるいは、ねじ歯車を使用した直交軸・中空軸ギヤヘッドと直交軸・中実軸ギヤヘッドがあります。

◇ハイポイドギヤモーター軸にハイポイドギヤを採用していることにより、出力軸により大きな歯車を配置でき、出力トルクを上げることができます。また、減速比によっては、減速段数を削減することもできます。ハイポイドギヤはかみ合いが複雑なため、歯車間のバックラッシやかみ合い位置を精密に調整する必要があります。そのため、一度組み付けたギヤードモーターは、モーター部と減速機部が分離できない構造になっています。

最終段の大歯車

ハイポイドの小歯車

ハイポイドの大歯車出力軸(中空)

直交軸ギヤードモーターの構造図

●ハイポイドギヤ食い違い軸の間に動力を伝達する円錐形の歯車で歯すじが曲線のものです。

オフセット

ハイポイドギヤの構造

◇ウォームギヤ平歯車と同程度の古い歴史を持った歯車ですが、加工が困難であることや、効率が低いことから、平歯車に比べ限られた用途に使われました。しかし、当社では軸を直角にできることと高減速比に対応できるという長所を活かし、さらにすすみ角を大きくすることにより通常のウォームギヤより効率を上げて製品化しました。

●ウォームギヤ1枚または2枚以上の歯数を持ったねじ状の歯車ウォームとそれと噛み合うウォームホイールにより動力を伝達するものです。

ウォーム

ウォームホイール

◇ねじ歯車ねじ歯車は単体では普通のヘリカルギヤです。しかし、平行軸ヘリカルギヤはお互いにねじれ角が等しく、ねじれ方向が逆の歯車同士が噛み合っているのに対し、ねじ歯車は軸が直角になるようにねじれ角を設計しています。ねじ歯車は点接触のため、比較的軽負荷で使われることが多く、当社直交軸ギヤヘッドでは主に低減速比で使用しています。

●ねじ歯車はすば歯車を食い違い軸(交わらず平行でもない2軸)に利用したものです。

直交軸ギヤヘッドでのねじ構造

中空軸タイプ

中実軸タイプ

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I-53I-53

技術資料 I-53

選定計算

モーター

電動アクチュエータ

ファン&サーマルマネジメント

寿命

AC小型標準モーター

スピードコントロールモーター

ステッピングモーター

ACサーボモーター

ギヤヘッド

電動アクチュエータ

ファン&サーマルマネジメント

●平行軸ギヤヘッド当社の平行軸ギヤヘッドは平歯車および、はすば歯車(ヘリカルギヤ)を採用しています。特にはすば歯車(ヘリカルギヤ)は低騒音化と高強度化に着目して採用しています。

●平歯車歯すじが軸に平行な直線からなる円筒歯車です。

●はすば歯車歯すじがツルマキ線である円筒歯車です。平歯車より噛合率が大きいため、音が静かで強度の面でも有利ですが、軸方向に荷重がかかるので設計時に注意が必要です。

◇GVギヤヘッド(K Sシリーズ、K シリーズ、US2シリーズ、DSCシリーズ)

GVギヤヘッドは、ギヤケース剛性の向上および更なる歯車加工技術の向上、組立技術の高精度化により低騒音化を図っています。強度が高い浸炭焼き入れ歯車の採用と、軸受の大径化により従来のGN-Kギヤヘッドに比べて2∼3倍大きい許容トルクを達成し、定格寿命10,000時間を実現しました。

GVギヤヘッド

ギヤケース

ギヤシャフト

モーターピニオン

ギヤフランジ

◇GN-Kギヤヘッド(ワールドKシリーズ、SMKシリーズ、トルクモーター)

GN-Kギヤヘッドは、噛み合い周速が早く、騒音に最も影響が大きいモーターピニオンとそれに噛み合う歯車に、はすば歯車を採用し低騒音化を図っています。

GN-Kギヤヘッド

ギヤケース

ギヤシャフト

支柱モーターピニオン

軸受保持板2 軸受保持板1

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I-54I-54オリエンタルモーター総合カタログ 2017/2018

I-54 ギヤヘッド

■ブラシレスモーター用ギヤヘッドブラシレスモーターは最高回転速度が3000∼4000r/minと高いため、これに組み合わせられるギヤヘッドは高速回転時でも低騒音であること、および高出力モーターの特性を活かすために高許容トルク、長寿命であることが求められます。当社のブラシレスモーター用ギヤヘッドは、ACモーター用ギヤヘッドと同じ構造を持つ平行軸ギヤヘッドと、平行軸構造で中空軸仕様を実現した中空軸フラットギヤヘッドをラインアップしています。

●中空軸フラットギヤヘッド高減速比でも許容トルクが飽和しないように設計しています。高許容トルクが必要な用途にも適した製品です。また、スペースが限られた場所で有効に取り付けがおこなえ、カップリング等の動力伝達部材を削減できます。さらに薄型ブラシレスモーターとの組み合わせであるため、直交軸機構を採用しなくてもコンパクトな取り付けが可能です。中空軸フラットギヤヘッドの構造は、歯車軸の配置を長手方向に延ばすことで空間容積を従来の平行軸ギヤヘッドよりも広げており、ギヤケース剛性の向上と歯車および軸受の大径化を同時に達成しました。これにより平行軸構造のままで出力軸の中空化を達成し、製品の高許容トルク化、長寿命化を実現しました。また、平行軸構造であるため直交軸機構に比べて歯車の伝達効率が高いというメリットもあります。

モーターピニオン

ギヤケース

中空シャフト

ギヤフランジ

中空軸フラットギヤヘッドの構造図

■ ステッピングモーター、サーボモーター用ギヤ

ステッピングモーター、サーボモーター用ギヤヘッドは高精度位置決め用途として、高精度、高許容トルク、高速回転(サーボモーター用)を重要視して設計しています。また、バックラッシを小さくするための機構を開発し、モーターと組み合わせた状態でバックラッシを保証しています。一般にステッピングモーターは同じ取付角で比較するとACモーターより出力トルクが大きくなり、サーボモーターは高速で回転するため、これらのモーター特性を損なわないように高トルク対応、高回転速度対応しています。以下に代表的な制御モーター用ギヤの原理構造を示します。

●THギヤ ◇原理と構造

THギヤは平歯車減速機の出力段とそれに噛み合う歯車にテーパーギヤを採用しています。テーパーギヤは軸方向に連続的に転位を変化させたものです。このテーパーギヤ同士を矢印の方向に微調整しながら噛み合わせ量を調整しバックラッシを抑えています。

テーパーギヤ

軸受軸受

テーパーギヤ

テーパーギヤ

出力軸

THギヤの最終減速段の構造

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I-55I-55

技術資料 I-55

選定計算

モーター

電動アクチュエータ

ファン&サーマルマネジメント

寿命

AC小型標準モーター

スピードコントロールモーター

ステッピングモーター

ACサーボモーター

ギヤヘッド

電動アクチュエータ

ファン&サーマルマネジメント

●TSギヤ ◇原理と構造

TSギヤは歯車加工の高精度化および熱処理での寸法変化量を考慮した歯車加工を実施することで、バックラッシへの影響を低減しています。また、出力軸の歯車については熱処理後に高精度仕上加工を実施して熱処理による寸法変化の影響をなくしています。これにより、TSギヤは特別な調整機構の必要ないシンプルな構造を実現しています。

平歯車

軸受

軸受軸受

平歯車

平歯車

出力軸

TSギヤの最終減速段の構造

●FCギヤ ◇原理と構造

FCギヤとは、フェースギヤ(円盤状の歯車)と平歯車で構成された直交軸のギヤです。当社独自の高精度加工によりフェースギヤの小型化、高強度化に成功し、バックラッシを抑えた小型直交軸を実現しました。

フェースギヤ平歯車

ステッピングモーター

●PSギヤ ◇原理と構造

PSギヤは、遊星歯車機構のギヤです。太陽歯車、遊星歯車、内歯車の3つの基本部品で構成されています。中心軸に取り付けられた太陽歯車(一段タイプではモーターシャフトになります。)の外側に複数の遊星歯車があり、内歯車を介して中心軸の周りを公転しています。遊星歯車の公転がキャリアを介して出力軸の回転になります。

内歯車

太陽歯車遊星歯車

内歯車

太陽歯車

遊星歯車キャリア

PSギヤの断面図

太陽歯車: 中心に位置する歯車で入力軸になっています。遊星歯車: 複数の外歯車で太陽歯車を中心に公転します。

各遊星歯車はキャリアに取り付けられ、キャリアにはギヤ出力軸が固定されています。

内歯車 : ギヤケースに固定された円筒状の歯車で内側に歯が刻まれています。

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I-56I-56オリエンタルモーター総合カタログ 2017/2018

I-56 ギヤヘッド

●PNギヤ ◇原理と構造

PNギヤはPSギヤと同じ遊星歯車機構のギヤです。各部品の加工精度を向上させた上に、バックラッシ除去機構を採用し仕様値3分以内のバックラッシを実現しています。バックラッシ除去機構は内歯車と遊星歯車をそれぞれ上下2段に配置し、内歯車を円周方向にひねっています。そのため上段の内歯車と遊星歯車はCW方向側のバックラッシを除去し、下段の内歯車と遊星歯車はCCW方向側のバックラッシを除去しています。

下段

太陽歯車

上段遊星歯車下段遊星歯車

下段遊星歯車と

上段遊星歯車の関係

上段

下段

上段

上段歯車 CW方向バックラッシ除去

上段遊星歯車

上段内歯車 CW方向のみトルクを伝達

下段歯車 CCW方向バックラッシ除去

下段遊星歯車

下段内歯車 CCW方向のみトルクを伝達

太陽歯車

下段遊星歯車

太陽歯車

上段遊星歯車

下段内歯車

上段内歯車

下段遊星歯車

上段遊星歯車

太陽歯車

◇角度伝達精度入力パルス数から計算される出力軸の理論的な回転角度と実際の回転角度の誤差を言います。任意の位置から、出力軸を1回転測定したときの誤差の最小値と最大値の幅で表します。

取付角寸法別角度伝達精度取付角寸法[mm] 角度伝達精度[arcmin]

28, 42 6(0.1°)60 5(0.09°)90 4(0.07°)

●HPGギヤ ◇原理と構造

薄肉弾性歯車技術を遊星歯車減速機の内歯車へ応用した遊星歯車減速装置です。これにより内歯車の弾性変形を利用し、調整機構なしで低バックラッシを実現しました。遊星歯車減速機は、太陽歯車と遊星歯車、遊星歯車と内歯車がそれぞれ同時にかみ合う構造となっています。このため、部品の寸法精度のみでバックラッシを小さくすると、寸法誤差の影響でかみあい部が干渉し、回転トルクのむらや、騒音の原因となります。このような問題を解決するために、かみあい部の干渉を緩和する機能および、十分な強度をかねそなえた「薄肉弾性内歯車」が開発され、画期的な構造の遊星歯車減速機であるハーモニックプラネタリが誕生しました。ハーモニックプラネタリは、減速機寿命の範囲内でバックラッシ変化がほとんどありません。

クロスローラベアリング

薄肉弾性内歯車 入力軸継手(セットスクリュー)✽ギヤ交換はできません

シールドベアリング

モーター取付フランジ

(Copyright © 1999 HARMONIC DRIVE SYSTEMS INC. All Rights Reserved.) ●ハーモニックプラネタリは、株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズの登録商標です。

◇角度伝達精度入力パルス数から計算される出力軸の理論的な回転角度と実際の回転角度の誤差を言います。任意の位置から、出力軸を1回転測定したときの誤差の最小値と最大値の幅で表します。

取付角寸法別角度伝達精度取付角寸法[mm] 角度伝達精度[arcmin]

40 5(0.09˚)60 4(0.07˚)90 4(0.07˚)

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I-57I-57

技術資料 I-57

選定計算

モーター

電動アクチュエータ

ファン&サーマルマネジメント

寿命

AC小型標準モーター

スピードコントロールモーター

ステッピングモーター

ACサーボモーター

ギヤヘッド

電動アクチュエータ

ファン&サーマルマネジメント

●ハーモニックギヤ ◇原理構造

減速機としては比類ない優れた位置決め精度を発揮するハーモニックギヤは、金属の弾性力学を応用したわずか3点の基本部品(ウェーブ・ジェネレータ、フレクスプライン、サーキュラ・スプライン)から構成されています。

ウェーブ・ジェネレータ

サーキュラ・スプライン

フレクスプライン

ウェーブ・ジェネレータ楕円形カムの外周に肉薄のボールベアリングがはめられており、全体が楕円形状をした部品です。ベアリングの内輪は楕円形カムに固定しており、外輪はボールを介して弾性変形します。モーターシャフトに取り付けられています。

フレクスプライン肉薄のカップ状をした金属弾性体の部品です。カップ開口部外周に歯が刻まれています。フレクスプラインの底部にギヤ出力軸が取り付けられています。

サーキュラ・スプライン剛体の内歯車です。内周にフレクスプラインと同じ大きさの歯が刻まれており、フレクスプラインより歯数が2枚多くなっています。外周はギヤケースに固定されています。

ウェーブ・ジェネレータ

フレクスプライン

サーキュラ・スプライン

0゜ 基本部品 3点を組み合わせます。フレクスプラインはウェーブ・ジェネレータによって楕円状にたわめられ、楕円の長軸の部分でサーキュラ・スプラインと歯が噛み合い、短軸の部分で歯が完全に離れた状態になります。

90゜ サーキュラ・スプラインを固定し、ウェーブ・ジェネレータ(入力)を時計方向へ回すと、フレクスプラインは弾性変形し、サーキュラ・スプラインとの歯の噛み合い位置が順次移動していきます。

360゜ ウェーブ・ジェネレータが1回転すると、フレクスプラインはサーキュラ・スプラインより歯数が2

枚少ないため、ウェーブ・ジェネレータの回転方向とは逆方向へ、すなわち反時計方向へ、歯数差2

枚分だけ移動します。この動きを出力として取り出し、減速しています。

◇精度についてハーモニックギヤは、一般の平歯車による減速機とは異なり、バックラッシ(歯の噛み合い遊び)がありません。同時に噛み合う歯数が多く、歯のピッチ誤差や累積ピッチ誤差の回転精度への影響が平均化され、高い位置決め精度が得られます。また、ハーモニックギヤは減速比が高いため、出力軸に負荷トルクが加えられたときのねじれは、モーター単体や他のギヤードモーターに比べても非常に小さく、高剛性です。剛性が高いので、負荷変動に強く、安定した位置決めが可能です。高い位置決め精度や剛性が要求される場合は、以下の特性を参考にしてください。

◇角度伝達精度入力パルス数から計算される出力軸の理論的な回転角度と実際の回転角度の誤差を言います。任意の位置から、出力軸を1回転測定したときの誤差の最小値と最大値の幅で表します。

4.03.02.01.0

0

−4.0−3.0−2.0−1.0

0 240 300 36018012060出力軸角度 [˚]

誤差

[arc

min

] 角度伝達精度

品名 角度伝達精度[arcmin]CRK513-H□ 3(0.05˚)AR24-H□、CRK523-H□ 2(0.034˚)AR46-H□、AZM46-HS□

1.5(0.025˚)RKS543-HS□、CRK543-H□

AR66-H□、AZM66-HS□

RKS564-HS□、CRK564-H□

PKP262-H□

AR98-H□、AZM98-HS□1(0.017˚)

RKS596-HS□

これは無負荷条件での値(ギヤ部参考値)です。しかし実際の用途においては、必ず摩擦負荷が発生し、摩擦負荷に応じた変位を生じます。摩擦負荷が一定の場合、一方向運転では変位は一定ですが、正逆両方向から運転をおこなうときは往復で2倍の変位を生じます。その変位は、次のトルク―ねじれ特性から推測することができます。

トルク―ねじれ特性グラフのトルク―ねじれ特性は、モーター軸を固定し、出力軸に正逆転方向より徐々に負荷(トルク)を加えたり減らしていったときの変位(ねじれ)を測定したものです。このように出力軸に負荷が加えられると、ギヤのばね定数の関係で変位が発生します。

B'

B

ねじれ角

ヒステリシスロス

-許容トルク

+許容トルク

A'

A

0

トルク

ねじれ角―トルク特性

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I-58I-58オリエンタルモーター総合カタログ 2017/2018

I-58 ギヤヘッド

この変位は、停止時に外力が加わる場合や摩擦負荷が加わった状態で駆動する場合に発生します。この傾きは、負荷トルクの大きさにより、以下の3つの区分におけるばね定数で近似でき、計算により推定することができます。

1. 負荷トルクTLがT1以下TL

K1= [min]θ

2. 負荷トルクTLがT1を超えT2以下

= + TL − T1

K2[min]θ1θ

3. 負荷トルクTLがT2を超える

= + TL − T2

K3[min]θ2θ

計算により決まるねじれ角は、ハーモニックギヤ単体のものです。ねじれ角

K3

K2

K1

トルクTT2T1

θ1

θ2

θ

ねじれ角―トルク特性計算に用いる数値

項目品名 減速比

T1 K1 θ1 T2 K2 θ2 K3

N·m N·m/min min N·m N·m/min min N·m/minCRK513-H50 50 0.075 0.03 2.3 0.22 0.04 5.9 0.05CRK513-H100 100 0.075 0.04 1.7 0.22 0.05 4.5 0.06AR24-H50

500.29 0.08 3.7 − 0.12 − −

CRK523-H50 0.29 0.12 2.6 0.75 0.17 5.4 0.2AR24-H100

1000.29 0.1 2.9 1.5 0.15 11 0.21

CRK523-H100 0.29 0.21 1.4 0.75 0.24 3.4 0.26AR46-H50

50 0.8 0.64 1.25 2 0.87 2.6 0.93AZM46-HS50RKS543-HS50CRK543-H50AR46-H100

100 0.8 0.79 1.02 2 0.99 2.2 1.28AZM46-HS100RKS543-HS100CRK543-H100AR66-H50

50 2 0.99 2 6.9 1.37 5.6 1.66AZM66-HS50RKS564-HS50CRK564-H50PKP262-H50 50 2 0.84 2.4 6.9 1.1 6.5 1.4AR66-H100

100 2 1.37 1.46 6.9 1.77 4.2 2.1AZM66-HS100RKS564-HS100CRK564-H100PKP262-H100 100 2 1.2 1.7 6.9 1.3 5.5 1.8AR98-H50

50 7 3.8 1.85 25 5.2 5.3 6.7AZM98-HS50RKS596-HS50AR98-H100

100 7 4.7 1.5 25 7.3 4 8.4AZM98-HS100RKS596-HS100

ヒステリシスロストルク―ねじれ特性に見られるように、正逆方向に許容トルクまで加えた後にトルクをゼロにしても、ねじれ角は完全にゼロにならず、わずかなねじれが残ります。(図B-B’)これをヒステリシスロスと呼び、このヒステリシスロスは2分以内になるよう設計されています。停止時に外力が加わる場合、慣性駆動で加減速トルクが加わる場合、駆動中に摩擦負荷が加わる場合など、負荷をゼロにしてもこのヒステリシスロスにより、わずかなねじれが残る場合があります。

ロストモーションハーモニックギヤはバックラッシが全くないので、ギヤの精度を示す目安をロストモーションとして表しています。ロストモーションとは、ギヤ出力軸に許容トルクの約5%のトルクを加えたときに生じる変位の合計です。

ロストモーション

ねじれ角

負荷トルク

トルク


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