2
細胞質
siRNA
RNA-induced silencingcomplex(RISC)形成
siRNA配列に相補的なmRNA
mRNA切断
〜21 nt
siRNA
siRNAの体内動態
腎排泄
RNasesによる分解
肝臓
siRNAは静脈内投与後
酵素的分解や腎排泄によって速やかに排除される
Drug Delivery System (DDS)
RNA interference (RNAi)
核酸治療におけるDrug Delivery System(DDS)の必要性
3
クッパー細胞
肝類洞血管内皮細胞
肝実質細胞
ApoE
LDLR
ApoE-LDLRを介した肝細胞選択的な取り込み
肝臓
++
+
pH低下を感受して正に荷電
pH 7.4
N
O
O
N
O
OH+
pH<6.5
pH感受性脂質
++
+
+
+
+
++
+
+
細胞内バリア突破(エンドソーム脱出)
エンドソーム
RNA干渉による遺伝子発現抑制
肝臓標的型LNP
50 nm
透過型電子顕微鏡像
直径約60 nmの油滴様構造を有する粒子
脂質成分:pH感受性カチオン性脂質/コレステロール/PEG脂質
siRNAsiRNAをナノ粒子内部に
封入することで生体内安定化
肝実質細胞
基盤技術:肝臓標的型脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle; LNP)
4
>10 mg/kg
~0.06 mg/kg
~0.01 mg/kg
従来
技術
独自
技術
約1,000倍の活性向上に成功
DODAP
第一世代(YSK05)
第二世代(YSK13)
基盤技術:独自のpH感受性カチオン性脂質の開発
Yamamoto N, Sato Y et al., J. Hepatol. 64: 547-555 (2016)Sato Y et al., Mol. Ther. 24: 788-795 (2016)
Watanabe T, Hatakeyama H, Matsuda-Yasui C, Sato Y et al., SciRep 4, 4750 (2014)Sato Y et al., J. Control. Release 163: 267-276 (2012)
肝臓における活性(F7, ED50)
5
2017/9/20 Press Release
APOLLO Phase 3 study of patisiran, an investigational RNAi therapeutic being developed for patients with hereditary ATTR amyloidosis with polyneuropathy
神経障害スコア, QOL P<0.00001 vs. Placebo
非常に良好な結果が得られ来年にも承認される見通し→ 世界初のsiRNA医薬の実現が期待されている
Patisiran (Alnylam Pharmaceuticals)
pH感受性カチオン性脂質(DLin-MC3-DMA)
現在最も開発が進んでいるsiRNA送達システム
競合技術について
6
従来技術の問題点
・低いエンドソーム脱出効率(2-4%)-最も開発の進む技術でもbioavailabilityは低く
大きな伸びしろを残している
・蓄積毒性の懸念-pH感受性カチオン性脂質の生体内における
蓄積が細胞障害を引き起こす
7
新規pH感受性カチオン性脂質開発における基盤技術
YSK12 PCT/JP2015/064196siRNA YSK12-LNP
Diameter: 180±6 nmPDI: 0.072±0.024Zeta-potential: 5.8±0.6 mVsiRNA encapsulation: 94.2±0.8%
BMDCにおける遺伝子ノックダウン
世界で最も汎用かつ強力なsiRNA導入試薬
ヒト免疫細胞株における遺伝子ノックダウン
核酸導入の困難な多くの細胞種に強力な遺伝子ノックダウンを誘導可能
8
新規pH感受性カチオン性脂質開発の戦略
誘体化
変更①
変更②
足場2
足場2親水性部位(第3級アミノ
基含有)
OH足場1
足場1
エステル結合(生分解性リンカー)
リンカー → 保存
模式図 親水性部位: 主にpKaに影響
足場1: 足場全長、疎水性に影響
足場2: 疎水性、流動性等物性に影響
構造・物性・機能の多様性
親水性部位 × 足場1 × 足場2
YSK12 PCT/JP2015/064196
多様な構造を有するpH感受性カチオン性脂質のライブラリを構築することで各アプリケーションに最適なシステムを選定することが可能
9
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
3 4 5 6 7 8 9 10
%Charg
ed lip
id
pH
親水性部位の化学構造と酸乖離定数(pKa)
CL1A
CL2A
CL3A
CL4A
CL5A
CL6A
CL7A
CL8A
CL9A
CL10A
CL11A
CL12A
CL13A
CL14A
CL15A
Benchmark
親水性部位の構造を変化させることで任意の酸乖離定数(pKa, 4.5-8.2)に調節可能
親水性部位を変化させたpH感受性カチオン性脂質を含有する各LNPのpKaを測定
10
0.1
1
10
4.5 5.5 6.5 7.5 8.5
IC50
(nM
siRNA)
pKa
各アプリケーションにおける遺伝子ノックダウンのpKa依存性
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
1.1
1.2
4.5 5.5 6.5 7.5 8.5
CD31 e
xpre
ssio
n
pKa
0
20
40
60
80
100
120
140
4.5 5.5 6.5 7.5 8.5
%FVII
pro
tein
pKa
親水性部位を変化させたpH感受性カチオン性脂質を含有する各LNPの遺伝子ノックダウン活性とpKaとの関連性を評価
HeLa細胞(in vitro) 肝実質細胞(in vivo) 肝臓血管内皮細胞(in vivo)
標的細胞(アプリケーション)によってそれぞれ異なる最適なpKaが存在
pKa調節技術によって標的ごとに最適なLNPを選定することが可能
11
0.1
1
10
6.2 6.4 6.6 6.8 7 7.2 7.4
IC50
(nM
siRNA)
pKa
従来よりも強力なin vitroノックダウン活性を示す新規足場構造を同定
In vitro培養細胞における遺伝子ノックダウン活性:足場構造の影響
疎水性足場構造が異なるpH感受性カチオン性脂質を含有する各LNPのin vitro培養細胞における遺伝子ノックダウン活性を評価
従来の疎水性足場
新規の疎水性足場
親水性部位を固定
12
世界トップクラスの遺伝子ノックダウン活性(ED50 0.0025 mg/kg)を達成
In vivo肝臓における遺伝子ノックダウン活性
CL4H6(pKa 6.30)
YSK05-LNP(第1世代)
0
20
40
60
80
100
0.0005 0.005 0.05 0.5
%FVII
pro
tein
siFVII dose (mg/kg)
MC3-LNP
0
20
40
60
80
100
0.0005 0.005 0.05 0.5
%FVII
pro
tein
siFVII dose (mg/kg)
YSK13-LNP(第2世代)
0
20
40
60
80
100
0.0005 0.005 0.05 0.5
%FVII
pro
tein
siFVII dose (mg/kg)
CL4H6-LNP(第3世代)
各LNPのマウス肝実質細胞におけるFVIIノックダウン活性を評価
13
In vivo肝臓内におけるsiRNAの残存量
R² = 0.7332
0
20
40
60
80
100
0.1 1 10 100
%FVII
pro
tein
siRNA (ng/g, 24h)
各LNPを0.01 mg siRNA/kgでICRマウスに静脈内投与
→ 各時間における肝臓中siRNAをqRT-PCR法により定量
文献値(ED50: 1.65±0.80 ng/g, ED80: 15.4±8.0 ng/g)と同等の値→ 24 hr後のデータは遺伝子ノックダウンに関与するsiRNAを定量している
CL4H6-LNPが効率的にエンドソームから脱出しsiRNAを細胞質へ送達していることを示している
Landesman Y et al. Silence 2010, 1:16
0
20
40
60
80
100
120
140
160
YSK05 YSK13 CL4H6
siRNA (
ng/g liv
er)
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
YSK05 YSK13 CL4H6
siRNA (
ng/g liv
er)
4.8倍
投与30分後 投与24時間後 ノックダウン効率との相関
第1世代 第2世代 第3世代 第1世代 第2世代 第3世代
17.3倍
14
YSK05-LNP(第1世代)をマウスに静脈内投与後の肝臓を観察
核(Hoechst33342) 血管(FITC) 脂質(DiI) siRNA(Cy5) Bars: 50 mm
Merge siRNAs
細胞質中に拡散したsiRNAが一部観察される(黄色矢印)
In vivo肝臓内のsiRNA局在
15
核(Hoechst33342) 血管(FITC) 脂質(DiI) siRNA(Cy5) Bars: 50 mm
Merge siRNAs
YSK13-LNP(第2世代)をマウスに静脈内投与後の肝臓を観察
細胞質中に拡散したsiRNAが一部観察される(黄色矢印)
In vivo肝臓内のsiRNA局在
16
In vivo肝臓内のsiRNA局在
CL4H6-LNPがsiRNAを効率的に細胞質へ送達している
Merge siRNAs
核(Hoechst33342) 血管(FITC) 脂質(DiI) siRNA(Cy5) Bars: 50 mm
CL4H6-LNP(第3世代)をマウスに静脈内投与後の肝臓を観察
17
In vivoにおける安全性
10
100
1000
10000
100000
PBS YSK13-C3 CL4H6
(IU
/L)
AST ALT
各LNPを単回投与した際のマウスにおける肝毒性を評価
Dose: 7 mg siRNA/kg (ED50の2,800倍)
従来技術よりも高い安全性を実現
(第2世代) (第3世代)
18
新技術の特徴・従来技術との比較
•脂質ライブラリの構築と酸乖離定数を任意に調節する技術によって応用の多様性が拡大。
•エンドソーム脱出効率が従来技術と比較して向上したことで世界トップクラスの遺伝子ノックダウン活性が実現した。
•高量投与時における安全性が向上した。