4 モチベーションの向上
モチベーション向上
職場風土の整備
個人の自律性の確保
資質の向上
業務のシステム化
公平性の確保
サポート制度
自発的研修
(自己研鑽)
職員研修
生活基盤の安定
地域社会での交流
余暇の活用
「私」生活の充実
公 務 = 仕 事 「 私 」 生 活
働きがいのある仕事の創造
(業務の分析・評価・見直し) コミュニケーションの改善 ⇔ 幅広い交流
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働く意欲をいかに高めるか
働く意欲(モチベーション)については、今あらゆるシーンでマネ
ージメントの中核として注目を集め、これからの時代を拓り開く組織
づくりにおいて最も重要なキーワードです。
モチベーションとは、自らの士気(モラール)を高め、やる気を出
す力のことです。
そのモチベーションを高めるには、まず自分自身が果たす役割や責
任を自覚し、目標を達成しようとする意識を持って行動することが大
切です。
1 資質の向上
2 職場風土の整備
3 「私」生活の充実 この三つの要素の充実・整備を図ることが、各職場において「コミュ
ニケーションの改善」や、各事業の上位施策と関連づけながら「業務の
見直し・改善」を進めることとなり、ひいては施策が実現することによ
る市民の幸福を実感し、仕事の達成感を共有することにつながります。
そうした一つひとつの積み重ねが、新たな施策の展開につながり、モ
チベーションの向上に結びつきます。
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(1)資質の向上
市民一人ひとりが豊かさとゆとりを実感できる魅力ある地域社会の形
成を図る上で、わたしたち自治体職員が果たす役割は、ますます重要に
なっています。
これまでのように、一定能力の資質を維持、確保するための研修にと
どまることなく潜在能力を掘り起こすプログラムを取り入れます。また、
特別な資格・能力・技術を有する職員の活用を図り、あわせて施策推進
に有用な資格取得を促すインセンティブとなる方策を進めます。
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ア 職員研修
職員研修は、業務に関わる能力開発など非常に重要な役割を担ってい
ます。所属部署において業務に直接関係する能力開発を中心に行われる
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)と、所属部署を離れて職員研修所等が主
催する研修との両輪を十分に機能させ、研修成果のいっそうの向上を図
ります。
また、民間(NPO を含む)との連携、協力による多彩な研修プログラム
を設けるほか、職員の意欲的な受講を支援する カフェテリア方式(科目選
択性)の採用、自主的な研修を奨励するための優れた政策研究に対する表
彰、これまでも進めている大学院入学について協力関係にある大学との
連携を進めるなど創意工夫をこらした研修制度の確立につとめます。
なお、研修によっては効果測定を行うなど研修効果をより上げる手法
も検討することとします。
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イ 自発的研修(自己研鑽)
自治体存立の第一義的目的は、「住民の福祉の増進」です。
自らの公務に関することはもちろん、より幅広い政策分野についても
積極的に調査研究を行い、研鑚を深め、相互に刺激・激励しあいながら
資質の向上に取り組みます。
各職場においても、より広い視野、より高い視点から、自己研鑽に取
り組む職員をサポートする職場風土の醸成に努めます。特に、“庁内人材
バンク”などの創設によって、様々な場面で人材を活用していくことが人
を活かし、やりがいのある環境に変えていきます。
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(2) 職場風土の整備 わたしたちが日々の業務を行っている職場は、モチベーション向上の
ために非常に大きな影響力があります。
職員個々の資質がいかに優れたものであっても、それを発揮できる場
がなかったり、発揮し続ける環境が乏しくては人は容易に育ちません。
当然のことながら、組織の能力・活力も最大限に発揮できません。
人を育み組織を活性化する職場風土づくりは、職場のより多くの人の
理解と協力がなければ成功しません。職員一人ひとりの抱えている課題
と困難な事情に目を向けるとともに、仕事における課題と問題意識につ
いて自由闊達な意見交換が図れるなど、自主性と自律性を十分発揮でき
る職場づくりが大切です。
そうした視点にたって、職員一人ひとりが自ら考える意識づけを行い、
有言実行する気風づくりを進めます。それは夢への挑戦を促す積極性を
生み出し、仕事を通して自己実現することにつながります。
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ア 業務のシステム化
上司がリーダーシップを発揮し、組織や職場のもつ事業に対して、
課題・目標を明確に提示します。併せて職員間・職場間の意見交換の
機会を設け、情報の共有化により緊密な連携を図ります。
各職場において業務マニュアルを作成し、その過程で業務の全体像
と問題点を共有化し、事務の改善を図ります。
各職場から効果的な改善案が積極的に提案されるよう、新鮮な感覚
を取り入れたコンテスト方式など多様な事務改善運動を進めます。
人事異動については、様々な職務を経験することで多様な能力・可
能性を引き出すためジョブ・ローテーションの確立をめざし、積極性を引
き出すための庁内公募制、職員意向調査などについて検討します。
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イ 個人の自律性の確保
年度当初に、係員から部長に至る全職員が自ら年間の目標(職員マニ
フェスト)を掲げ、仕事の達成感、充実度を確認しながら自律性を高め
る気風を育みます。
資質向上のための各種研修などの充実とともに、自己研鑽を進める
ための行政資料室の充実と各種資料のデータベース化に努めます。
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ウ 公平性の確保
地方公務員をとりまく大きな変革期にあって、年功序列方式だけで
はこれからの時代を乗り切れません。めざす職員を育むためにも、新
たな人事・給与制度の研究が求められています。「人材育成」の視点
から人事制度を構築するに際しては、公平性はもちろんのこと、透明
性、公正性、納得性を確保する仕組みづくりは不可欠です。
女性職員の登用は、組織と人の活性化、成熟度を測る生きた尺度と
言えます。昇任・昇格のみならず、仕事の役割分担、進め方などあら
ゆる場面で男女共同参画を基本にシステムの再構築を進めます。
仕事を進める上で、マネジメントサイクルの情報の共有化や職場会
議等でのコミュニケーションを十分に図り、柔軟な体制がとれる職場
づくりに努めます。
施策や事務事業の執行にあたって、公平性を確保し、内部・外部
を問わず常に説明責任が果たせる仕組みづくりを進めます。
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エ サポート制度
職員が心身ともに健康に働き続けるためには、職員自身の健康管理
と、生活設計をサポートする職場での環境づくりが大切です。
従前からの健康管理・啓発事業のほか、からだの健康やメンタルヘル
ス相談がいつでも身近に行える体制を整えるなどその充実を図るとと
もに、業務の内容・進め方などの見直し、職員間・職場間の協力体制
づくりなどにより、負担の均衡化と時間外勤務の縮減を進めます。
次世代育成支援特定事業主行動計画(安心して子育てできる職場プ
ログラム)に基づき、性別・年齢・職種等を問わず、誰もが生き生き
と働きつづけられる職場体制づくりに努めます。
これらを進めていくには、管理職員等が日常的に職員とのコミュニ
ケーションを図ることができる職場環境をつくることが不可欠です。
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(3) 「私」生活の充実
公務を離れたプライベートな時間の使い方は、わたしたち職員個々
様々ですが、思いのほか「まとまった時間」になります。その活用は、
個人が抱える悩み、ストレス、疎外感などを解消、緩和できる大きな
要素となります。
また、職場を離れたところで行われている趣味の活動、地域の活動
などはクォリティー・オブ・ライフ(生活の質)の向上につながり、よ
り広いステージで人間性を育くむこととなります。
余暇活用から産み出される精神的ゆとりは、仕事におけるモチベー
ションを大いに高めるものであり、「私」生活の充実に向けたサポー
トを積極的に進めます。
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ア 生活基盤の安定
職場における人間関係や仕事の悩みについて、同僚や先輩、上司に
相談できればそれに越したことはありません。しかし、そこでは解決
されない事例が多々あります。
困りごとや悩み事を胸の内に抱え込むことは、ストレスを蓄積しフ
ィジカル面でも健康を害することとなります。一方、家庭や職場外の
人間関係の形成はその解消、改善に非常に重要な役割を果たします。
イ 地域社会での交流
わたしたち公務員は、職務時間外においても積極的に地域に貢献し
たいものです。
一番身近な地域社会との関係、例えば PTA 活動、リサイクル運動、
子ども会活動、地域清掃など自治会活動、老人ホームなどでのボラン
ティア活動をはじめ様々な社会活動、地域活動に参加し、世代・職業
の枠をこえた交流を通じて、人間性をさらに高め、広げていきましょ
う。
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ウ 余暇の活用
職場でのストレスを解消するためにはスポーツ、レクリエーショ
ンなど積極的に余暇を活用することが重要です。
仕事を忘れて打ち込めるスポーツや趣味をもつことは、心身両面
の健康づくりにつながります。また地域におけるネットワークを広げ、
職員の退職後の世界を広げることにもつながります。
心のゆとりをもたらし、人生をより豊かに彩るための余暇活用を
大いに進めましょう。
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お わ り に
この基本方針の中核となる「人材育成基本方針についての提言」は、
平成 16 年(2004 年)7 月につくられた若手職員を中心とする作業部会
及び中堅職員で構成する検討会から生み出されたものです。
作業部会ではいわゆる「KJ 法」に基づき職場の問題点・課題等につい
て 17 回にわたる研究・議論を重ねました。その過程で各委員は、各々の
職場と職員を思い浮かべながら課題・問題をつきつめ、めざす職場づく
り、職員像に思いをこめて作業、検討を進めました。
この基本方針は、職場・職員への信頼と共感、親しみと期待をこめて
練り上げられたものであり、仕事の最前線、現場から生み出された方針
です。
人材は活気ある職場でこそ育てられます。また人材育成の成否は、職
員一人ひとりの意識改革にかかっています。各部・室・課においてこの
基本方針を改革のダイナマイト(起爆剤)とし、職場風土を変革し人材を育
成する具体的な手立て、対応が進められますようお願いします。
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注釈
ナショナル・ミニマム(国家による最低基準)の達成から、ローカル・オプティマム(地方自
治において、地域の利用者に最適なサービスを提供すること)の実現への転換について 憲法第 8 章に規定されているように地方自治の運営は地方自治の本旨に基づいて行わなければなら
ない。“地方自治の本旨”とは、住民自治と団体自治から成り立つという考え方であり、地方自治にと
っては、そのどちらも欠くことのできないものである。
平成 13 年に発足した地方分権改革推進会議は、それまでに 6 年間活動してきた地方分権推進委員
会の報告結果を受け、地方公共団体の行財政改革の推進等行政体制の整備について審議を行ってきた
が、先の平成14年 6月の中間報告並びに平成16年5月の意見書に方向性の一つとして示されている。
具体的には、地方分権推進の究極の目的は、住民自治の拡充としながら、これを実現するために必
要な当面の推進方策は団体自治の拡充であると述べている。
地方公共団体は、それぞれの地域住民のニーズに応えて、地域ごとに最適の施策の組み合わせを探
求し、その実現に努力すべきであるとし、そうした地域が選択する地域ごとの最適状態を「ローカル・
オプティマム」と定義づけ、「これからの時代にわが国が追求すべき行政上の目標は、ナショナル・ミ
ニマムの達成からローカル・オプティマムの実現へと転換されるべきである。」としている。