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BACK GROUND

・ CPR =用手胸骨圧迫〈血流の維持〉+陽圧換気〈酸素化の維持〉・人工呼吸のための胸骨圧迫中断は血流を低下させる・心原性の院外心停止患者を対象とした観察研究では中断するよりも持続的に胸骨圧迫をする方が高い生存率を示すとあった・そこで EMS 隊員たちによって行われる CPR で持続的な胸骨圧迫、胸骨圧迫を中断する方、どちらが生存率、神経機能、有害事象の発生率に影響を与えるか研究することとした

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PICOP: 院外心停止の患者に対してI: 持続的な胸骨圧迫をするかC: 人工呼吸のために胸骨圧迫を中断するかO: 生存率と神経学的予後を改善するか

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METHODStudy design and oversight

・この試験は院外心停止の患者を含むようなランダム化試験に参加したことのある北米の 10 臨床施設やその地域の EMS 施設を含んだネットワークであるResuscitation Outcomes Consortium(ROC) によって行われた

・そのうち8つの施設と 114 の EMS 施設がこの試験に参加した・患者の同意は事後承諾

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METHODPatient population適格基準

訓練をうけた EMS 隊員によって胸骨圧迫をされた非外傷性の院外心停止の成人除外基準

EMS 隊員が心停止を目撃した人、 DNR にサインをした人、外傷の人、心停止の原因の窒息性の人、コントロール不可能な出血または失血の人、訓練を受けなかった EMS 隊員によって最初に CPR された人、 CPR の前に機械によって胸骨圧迫を受けた人、施設に到着する前に高度な呼吸管理をされた人※ 再発性の Vf に対する抗不整脈薬の試験に平行登録している人も少数いた

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METHODStudy intervention

・試験デザイン: クラスター無作為化試験(施設毎に 1:1 に割り付け)非同期的 10 回 / 分の陽圧換気+ 100 回 / 分の胸骨圧迫 (continuous 群 )VS

30:2 で胸骨圧迫と人工呼吸を行う群 (interrupted 群 )

・1年に2回それぞれのグループがクロスオーバーされた。・試験登録にはお試し期間( run-in   phase )と本登録( active  

phase )とを設けて評価・ CPR のプロセスデータはモニター付きの除細動器のデータで評価された

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METHODOutcomes

・ Primary outcome : 生存退院率・ Second outcome : modified   Ranking スコア (0 ~ 6 の尺度で、3以下は良好な神経機能を示す ) を用いた退院時の神経機能、  Hospital-

free survival 、・ Hospital-free survival は退院後の生存期間と定義

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METHODSTASTICAL ANALYSIS過去の試験結果を元にしたデータより、両側検定

(p=0.05) で 90% の検出力を得る試験を行うには 23600 人の患者 ( それぞれのグループが11800 人ずつ ) が必要であると見積もった。

・有効性に関しては active-enrollment phase 期間の全ての患者を対象とした。・安全性に関しては active-enrollment phase 、

run-in phase どちらともの期間の全ての患者を対象とした・ 95% 信頼区間は中間解析の調整で計算された・中間解析は6か月毎に行われた

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METHOD・予後因子のある、無しによって定義されたサブグループの中で primary outcome や

secondary outcome に対する治療効果が個々に調査された。・また二つの per-protocol解析でも調査された。・一つ目の per-protocol解析は CPR の過程をオートアルゴリズムにより解析したもので、二つ目の

per-protocol解析は CPR の過程を研究共同者によって解析したものである

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PER-PROTOCOL解析

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RESULT

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SCREENING AND RONDOMIZATION

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CHARACTERISTICS( PRETREATMENT:TABLE1)

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CHARACTERISTICS( POSTTREATMENT:TABLE2)

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PER-PROTOCOL解析・オートアルゴリズムによって CPR の過程を評価した

per-protocol解析により、 continuous 群で6108 人、 interrupted 群で 7371 人が除外された

・この per-protocol解析では治療後の EMS提供者や患者の特徴に有意差があった。 Intervention 群に比べて control 群の方がより shockable rhythm ( VF や PEA )や入院前の挿管になる確率が高かった。

 

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PRIMARY AND  SECONDARY OUTCOME(TABLE3)

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ADDITIONAL ANALYSES

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DISCUSSION・院外心停止患者において、 continuous 群が

interrupted 群に対し生存率および神経予後で上回ることはなかった。・ continuous 群が interrupted 群に対し退院後の生存期間が短く、救急搬送または入院する可能性が低いことがわかった。・ per-protocol解析では、 continuous 群が

interrupted 群に対し比較して生存率は低かった。

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DISCUSSION・以前の観察研究では Shcockable rhythm がある患者では中断を伴う場合よりも継続的に行われた方が有意に生存率の上昇を認めていた。・しかし専門外の人によって胸骨圧迫を行われた非心原性の心停止患者、または EMS提供者によって行われた

shockable rhythm の無い患者では、継続的な胸骨圧迫は結果として大きな改善は認められなかった。・また以前の研究では、継続的な胸骨圧迫を行うときに

CPR の過程や、同時に行われていた他の手技(エピネフリン投与、換気マスク装着など)について評価していなかった

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DISCUSSION・最初に継続的胸骨圧迫を施行したという研究では、ほとんどの患者がバッグバルブマスクを用いた陽圧換気で人工呼吸されていたが、その他にどんなことが行われたかについては報告がなかった・以前の研究でみられた改善点のいくつかは、継続的な胸骨圧迫だけによるものというよりは CPR プロセスの改善や治療システムの改善、ホーソン効果によるものだったのかもしれない

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DISCUSSION・今回すべての患者の 90% の CPR の過程についてのデータを集めてそれぞれのグループで CPR のパターンを検討してみた・結果、患者に施行された CPR の質は現代の evidence-

based practice guideline と一致した・しかし、オートアルゴリズムを用いた per-protocol解析では、 continuous 群または interrupted 群どちらにも分類できなかったため多くの患者が除外された・また continuous 群よりも interrupted 群の方が多く除外されたため、群間で不均衡が生じてしまった

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LIMITATION

1 . 1回あたりの胸骨圧迫の時間差は群間であまりなかった2. クロスオーバー前の期間にそれぞれのグループの患者数に差があったり、期間に差があったり、参加中止となった

EMS 施設があった+患者や EMS提供者の治療の特徴も群間で違いがあった3. 心肺蘇生後のケアの質が院外心停止後の結果に関与しているのだが、心肺蘇生後のケアに関しては評価していなかった4. 酸素化や分時あたりの換気について計測していなかった。

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CONCLUSION

 院外心停止患者において、 EMS提供者による CPR 中に胸骨圧迫が継続的に行われても、中断を伴って行われた場合と比較して、有意に高い生存率および良好な神経機能が得られることはなかった。


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