digraj-gd 07/17/2011 竹渕瑛一

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ゲームデザインにおいてコンセプトや面白さという言葉がよく使われる。これをアニメなどの例から制作の現場を文学的に解釈することで、この2つの言葉がゲームデザインにどのような影響・混乱を与えているのか分析し、批判する。

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Page 1: DiGRAJ-GD 07/17/2011 竹渕瑛一

現代思想で読み解いたコンセプトと面白さへの批判

神奈川工科大学 竹渕瑛一

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もくじ1. 自己紹介2. アニメを例にした共同幻想と自己幻想について3. コンセプトと面白さへの批判4. 参考文献

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自己紹介

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神奈川工科大学情報学部情報メディア学科速水研所属

企画屋志望でプログラムとか 3DCGとかやっています

文学は企画の味付けでやっているつもりでした

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ちなみに、卒研テーマは

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仮想的に彼女とクリスマスを楽しむ方法の考案

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アニメを例にした共同幻想と自己幻想について

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これから話す内容について 思想家の吉本隆明が提唱した概念 共同幻想

国家、会社、学校、サークルなどのコミュニティが持つ観念

コミュニティが形成する空気や思い込みなど 対幻想

プライベートな関係で完結する観念 友達、家族、親友、漫画家と編集

自己幻想 自己の中だけで完結する観念 妄想や自己満足な制作活動など

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最近のアニメですごいなと思った例 魔法少女まどか☆マギカ

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まどマギに見る作家性 劇団イヌカレー、蒼樹うめ、虚淵玄、新房昭之の存在 それぞれに強烈な個性がある その裏に何人ものスタッフが関わっている

メインのクリエイターの作家性が重視されている スタッフは創作性を犠牲にその作家性を守った

まどマギという概念が共有された過程を共同幻想を使って説明してみる

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新房監督の自己幻想 まどマギを作りたいというイメージ

企画案や妄想など これを作りたいという欲望

新房

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自己幻想が中核の人らと共有される 会議や議論を通して対幻想が生まれる

モワモワした企画案に情熱が注がれる 魂、こだわりなどなどが共有される

虚淵 うめ 新房 イヌカレー

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対幻想が企画書となってスタッフと共有 企画書の中には既に熱意やビジョンが流れ込んでいる なんとなくの雰囲気・空気感 監督から読み取れる何か

ダークなシナリオ 魔法少女を変え

監督の口からではなく企画書によって語られ

る11

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対幻想がやがて共同幻想に

虚淵 うめ 新房 イヌカレー

企画書だけでなくそこに含まれた熱意や魂が共有される スタッフは敏感になんとなく読み取ってしまう

熱意なるほど

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次第にスタッフらの意識に共同幻想が現れる スタッフ間で完成予定のまどマギが意識され始める

こういうのを作るんだろう 中核スタッフが描いた熱意などもスタッフに流れ込む

イヌカレー空間

虚淵

ほむほむ

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同時に共同幻想は権力となる 共有された意識はスタッフに影響を与える

完成させなくてはならない気持ち こういうイメージのものを作らなくてはならない気持ち

作れ!

完成させないと

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共同幻想により権力が身体化する スタッフは必要なものを無意識に作り始める

素材そのものやそのクオリティなどなど こういうのを作ればいいんだな、という雰囲気

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身体化された意識で共同幻想は自らを形作る

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共同幻想は必要としているものをピックアップしていく 一人の自己幻想のように振る舞う 共同幻想が作品を一つ一つ積み上げていく

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まるでスタッフを道具に制作している

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『まどかマギカ』という人間があたかも制作を行っている 手足のように使う様子は Star Craft IIのようでもある 監督だって例外じゃない

権力

ゲーム制作でも同じことが言えるのでは?

作るぞ!

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コンセプトと面白さへの批判

意識の共有で起こる問題とは何か

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コンセプトという言葉はあやふやなのでは?

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あくまでだいたいの物しか説明できてない 短い単語で意思を共有できるわけがない 個々の生き方や価値観が違うのに共有できるわけがない

あやふやな部分は適当なもので埋められる 共同幻想はあやふやな部分を埋めようとしてしまう 今さっき考えたこと、いい案、面白い案

面白いという概念も同罪

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理想的なプロジェクトの流れ1. 既に企画が出来上がっている2. 中核のクリエイターと足りない部分を埋める3. 全スタッフが本来あるべき完成品に向けて制作を行う

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企画の妄想(自己幻想)

某監督

あー、こんなゲーム作りたいな誰か作ろうよ!

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どういう風に作るかどんなゲームなのか

既に脳内でゲームが完成している

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企画の立案・練り上げ(対幻想)

某監督

こんなゲーム作りたいんだけど足りない部分で何か意見ある?

某ディレクター

某美術

ふくらはぎ成分が足りない

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企画案

完成形として蛇足ではなく、足りないピースをはめてゆく

そのストーリーなら伝説の剣を登場させるべき

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プロジェクトの始動(共同幻想)

某監督

企画書

こういう企画のゲームを作ります

いいね!

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具体的

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制作開始(共同幻想の権力)

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作らないと

企画が本来持つ姿をスタッフ全員で取り戻す!

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あくまで理想!そうでないとどうなるか!

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どうしてこうなった!

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妄想段階からあやふや 自己幻想があやふやなまま対幻想を媒介に共同幻想が云々

つまり、スタッフ全体が何を作りたいのか意識できないマリオっぽいもの作って

イタリア人ドンキーコング

タルを使ったゲーム!

舞台はナポリ一択!

スタッフが勝手な提案を始める

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どうしてこうなった!

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自己幻想を共有した中核スタッフがいない 脳内企画からいきなりプロジェクトを立ち上げる

いきなりアサインされたディレクター

たぶん、こういうの

デザイナーたち

指示する

完成したもの

作る

おそらく、たぶん

なんか違う

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意思伝達と完成された妄想が重要

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自己幻想 対幻想 共同幻想

自己幻想が伝達される流れ

対幻想を媒介として企画のイメージがスタッフに伝達される

対幻想ですべて共有されてないと共同幻想もフワフワとしたイメージで進んでしまう

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そうなるとコンセプトや面白いは邪魔な存在

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コンセプトだけではそのイメージを通じ合えない その形を取り戻すのに明確なイメージを形成できない 常になんとなくで曖昧なものを作り始めてしまう

価値観

言葉が伝える意味は価値観によって削られたり、付け足されたりする

価値観

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そうなるとコンセプトや面白いは邪魔な存在

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面白い意見・腹案があることはイメージできていない 蛇足をではなく、足りない部分を埋める 完成品に近づくにはこうであるべき、という意見が理想

これを作りたいのに こうなってしまう

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ゲームをデザインしていく中で重要なこと

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企画案は中核スタッフで固めておく 当然、自己幻想の段階で妄想が具現化されている その脳内妄想の具現化の段階で曖昧だと共有できない

ガンダム

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ゲームをデザインしていく中で重要なこと

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共同幻想は出来上がった時から走り出す 数人ならまだしも何十人の認識を改めるのは不可能 必要なものはすでにあって穴埋め作業だけにする

スタッフたちは既に完成されたものをデザインする

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今後のゲームデザインについて提言

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短い文章や面白い説明は使わない 受け手の生き方や価値観によって間違って受け取られる そのゲームを語ることで形そのものを互いに作っていく

気兼ねない場所でできるだけ多く語り合うこと 形式的な会議やプレゼンでは語り切れない どこまで穴がなく、漏れのない企画にするか

だいたいこんなのが文学っぽい分析です

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参考文献 ロラン・バルト『文学の記号学』みすず書房( 1981) ロラン・バルト『記号の国』みすず書房( 2004) 町田健『ソシュールのすべて――言語学でいちばん大切なこと』研究社( 2004)

吉本隆明『共同幻想論』河出書房( 1968) 竹田青嗣『フロイト思想を読む――無意識の哲学』 NHKブックス( 2008)

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ご清聴ありがとうございました