darwin tolentino/sandro herrera dialoue 9-11 1...

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Analog Dialogue 49-11 1 多用途/高精度のシングルエンドto差動回路、 コモン・モードの調整機能によりダイナミック・ レンジを向上 著者:Darwin Tolentino/Sandro Herrera 差動信号は、優れた S/N 比、ノイズ耐性、 2 次高調波歪み 特性が求められる回路で特に威力を発揮します。こうし た回路の例としては、高性能 A/D コンバータ( ADC )の 駆動回路やHi-Fi オーディオ信号のコンディショニング回 路が挙げられます。シングルエンド信号を差動信号に変 換する回路(以下、シングルエンド to 差動回路)につい ては、以前、Analog Dialogue で「Versatile, Low Power, Precision Single-Ended-to-Differential Converter (多 用途、低消費電力、高精度のシングルエンド to 差動回 路)」 1 という記事を公開しました。この記事では、大幅 に特性を改善したシングルエンドto 差動回路を紹介しまし た(図1 )。この回路では、非常に高い入力インピーダン スを実現するとともに、バイアス電流が最大で2nA 、オフ セット電圧(入力換算)が最大で 60μV 、オフセット・ド リフトが最大で 0.7μV/ ℃という高い性能が得られていま す。この回路には、アナログ・デバイセズ( ADI )が提 供する差動アンプIC AD8476 」とオペアンプIC OP117 7 」を使用しました。差動ゲインが 1 AD8476 OP1177 を帰還ループ内でカスケード接続することにより、上述し たような高い性能を実現しています。 V OP V ON V IN V REF V OCM A1 A2 OP1177 AD8476 10 k10 k10 k10 k–5 V +5 V +5 V –5 V 1 性能を改善したシングルエンド to 差動回路 例えば、温度センサーや圧力センサーの出力に適用するシグナ ル・コンディショニング回路など、多くのアプリケーションで は、より広い出力ダイナミック・レンジが求められます。また、 コモン・モード電圧を調整できる回路であれば、リファレンス によってフルスケール電圧が決まる多くのADCとのインターフ ェースを確立するうえで非常に便利です。 ループ内の差動アンプのゲインを1よりも大きくすると、回路 全体としての出力ダイナミック・レンジが高く大きくなりま す(図2)。その出力は次式で表せます。 V OUT, DIFF = V OP V ON =2( V IN (1 + R F R G )– V REF ) R G を開放にすると、この回路全体のゲインは 2 になりま す。オペアンプ A1 OP1177 )からの出力は次式で表せ ます。 V OUT, OP1177 = V OUT, DIFF G DIFF, A2 + V REF OP1177 の出力には常にV REF が加算され、その出力ヘッド ルームに制限を与えることに注意してください。ほとん どのアプリケーションでは、出力ダイナミック・レンジ を最大化するために V REF (出力コモン・モード電圧)は 電源電圧の中心に設定します。図 2 において、差動アン IC ADA4940 」を使用した回路のゲインは 2 です。つ まり、ループ内にゲインが 1 よりも大きい差動アンプを 配置しています。この場合、 A2 の差動ゲインによって A1 の出力電圧は小さくて済むので、 A1 の出力が飽和す るのを避けることができます。 ±5V の電源を使用する場 合、 OP1177 の出力振幅は代表値で 4.1V です。図 2 の回路 の場合、 V REF 0V に設定すると、差動出力電圧の振幅は ±8V になります。 A2 のゲインを 3 に設定すると、出力 ダイナミック・レンジはさらに広くなり、この回路にお ける最大出力電圧振幅に達します。ゲインを 1 2 3 設定可能な「 ADA4950 」といったアンプも、 A2 として の使用に適しています。 V OP V ON V REF V OCM A1 A2 ADA4940 OP1177 10 k20 k20 k10 kV IN R G R F –5 V +5 V +5 V –5 V 2. ダイナミック・レンジを改善したシングルエンド to 差動回路

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Analog Dialogue 49-11 1

多用途高精度のシングルエンドto差動回路

コモンモードの調整機能によりダイナミック

レンジを向上著者Darwin TolentinoSandro Herrera

差動信号は優れたSN比ノイズ耐性2次高調波歪み特性が求められる回路で特に威力を発揮しますこうした回路の例としては高性能ADコンバータ(ADC)の駆動回路やHi-Fiオーディオ信号のコンディショニング回路が挙げられますシングルエンド信号を差動信号に変換する回路(以下シングルエンド t o差動回路)については以前Analog Dia logueで「Versa t i le Low Power P rec i s ion S ing le -Ended- to -Di ff e ren t i a l Conve r t e r(多用途低消費電力高精度のシングルエンド t o差動回 路)」 1という記事を公開しましたこの記事では大幅に特性を改善したシングルエンド to差動回路を紹介しました(図1)この回路では非常に高い入力インピーダンスを実現するとともにバイアス電流が最大で2nAオフセット電圧(入力換算)が最大で60μVオフセットドリフトが最大で0 7μVという高い性能が得られていますこの回路にはアナログデバイセズ(ADI)が提供する差動アンプIC「AD8476」とオペアンプIC「OP117 7」を使用しました差動ゲインが1のAD8476とOP1177を帰還ループ内でカスケード接続することにより上述したような高い性能を実現しています

VOP

VONVIN

VREF

VOCM

A1

A2

OP1177

AD8476

10 kΩ

10 kΩ

10 kΩ

10 kΩ

ndash5 V

+5 V+5 V

ndash5 V

図 1 性能を改善したシングルエンド t o差動回路

例えば温度センサーや圧力センサーの出力に適用するシグナルコンディショニング回路など多くのアプリケーションではより広い出力ダイナミックレンジが求められますまたコモンモード電圧を調整できる回路であればリファレンスによってフルスケール電圧が決まる多くのADCとのインターフェースを確立するうえで非常に便利です

ループ内の差動アンプのゲインを1よりも大きくすると回路全体としての出力ダイナミックレンジが高く大きくなります(図2)その出力は次式で表せます

VOUT DIFF = VOP ndash VON = 2 (VIN ( 1 +RF

RG) ndash VREF)

R Gを開放にするとこの回路全体のゲインは2になりますオペアンプA1(OP1177)からの出力は次式で表せます

VOUT OP1177 =VOUT DIFF

GDIFF A2+ VREF

OP1177の出力には常にV REFが加算されその出力ヘッドルームに制限を与えることに注意してくださいほとんどのアプリケーションでは出力ダイナミックレンジを最大化するためにV REF(出力コモンモード電圧)は電源電圧の中心に設定します図 2において差動アンプ IC「ADA4940」を使用した回路のゲインは2ですつまりループ内にゲインが 1よりも大きい差動アンプを配置していますこの場合A 2の差動ゲインによってA 1の出力電圧は小さくて済むのでA 1の出力が飽和するのを避けることができますplusmn5Vの電源を使用する場合OP1177の出力振幅は代表値で41Vです図2の回路の場合V REFを0Vに設定すると差動出力電圧の振幅は約plusmn8VになりますA2のゲインを3に設定すると出力ダイナミックレンジはさらに広くなりこの回路における最大出力電圧振幅に達しますゲインを123に設定可能な「A D A 4 9 5 0」といったアンプもA 2としての使用に適しています

VOP

VON

VREF

VOCM

A1A2

ADA4940OP1177

10 kΩ

20 kΩ

20 kΩ

10 kΩ

VIN

RG

RF

ndash5 V

+5 V+5 V

ndash5 V

図 2 ダイナミックレンジを改善したシングルエンド t o差動回路

Analog Dialogue 49-112

半分あるいは変換回路の中間レベルの電位に設定できますV OCMは基本的にはV INと並ぶもう1つの入力として

振る舞います2個の抵抗の値はR2

RF=

R1

RGとなるよう

に選ぶ必要があります

重ね合わせの原理によりV INが0のとき出力電圧は必ずV O C Mと同一の値になりますまたV O C Mは出力コモンモード電圧を設定する値であり差動出力は0になりますR 1=R GR 2=R Fとすると出力電圧は以下の各式で表すことができます

VOP = (RF

RG) VIN + VOCM

VON = ndash (RF

RG) VIN + VOCM

VOUT DIFF = 2 (RF

RG) VIN

調整可能な出力コモンモード電圧

この回路は入力信号のコモンモード電圧から独立して出力コモンモード電圧を調整できるよう改変することができますそれにより単電源アプリケーションからADCへのインターフェースを確立するために必要な処理の自由度と利便性が高まりますつまりグラウンドをリファレンスとする入力信号からコモンモード電圧の高い差動信号へと変換する処理が容易になるということです この改変は入力端子にR 1とR 2という2個の抵抗を追加することで実現できます(図3)ここでR 2はV OCMに接続します必要であれば入力アンプA1をデュアル構成の「O P 2 1 7 7」に置き換え2つ目のオペアンプを入力バッファとして使用することにより入力バイアス電流を大幅に低減することも可能です

図1の回路ではV REFが入力のリファレンスとなりますこれに対し図3の回路の入力はグラウンドを直接的にリファレンスとして差動出力に変換されますこの場合V O C Mを調整することにより入力のリファレンスはグラウンドに保ちつつ出力コモンモード電圧をシフトすることができますV OCMはリファレンス電圧の

VOP

VON

To ADC

VREF

VOCM

A2

ADA4940

A1

OP1177

20 kΩ

20 kΩ

10 kΩ

10 kΩ

VIN R1

R2

CF

RG

ndash5 V

+5 V+5 V

ndash5 VRF

( a)コモンモード電圧を調整可能にしたシングルエンド t o差動回路

1

3

VON

VOP

VIN

CH1 A B D1200 Vdiv00 mV ofst265

CH2 A B D1200 Vdiv5000 mV265

CH2 DC1M200 Vdivs20000 V

Timebase 26 micros500 microsdiv625 kS 125 MSs

Trigger C3 DCStop 000 VEdge Positive

CH1 A B D1200 Vdiv00 mV ofst2626

CH2 A B D1200 Vdiv5000 mV2626

CH2 DC1M200 Vdivndash20000 V

Timebase 26 micros500 microsdiv625 kS 125 MSs

Trigger C3 DCStop 000 VEdge Positive

1

3

VON

VOP

VIN

( b)入力波形と出力波形青がV I N赤がV O P 黄がV O Nコモンモード電圧は 0 V

図 3 出力コモンコード電圧を調整可能にした回路とオシロスコープで取得した入出力波形

( c)入力波形と出力波形青がV I N赤がV O P 黄がV O Nコモンモード電圧は 2 5 V

Analog Dialogue 49-11 3

帯域幅と安定性

2個のアンプはサーボループの構成に含まれる複合型の差動出力アンプとして機能しますOP1177OP2177の オープンループゲインとA D A 4 9 4 0の差動ゲインが組み合わされてこの回路全体のオープンループゲインが決まりますその結果回路全体の帯域幅が定まりますまた複数のポールが組み合わせられることによりループに位相シフトが生じますA 2のゲインを高くするとその帯域幅が狭くなり回路全体の安定性に影響が及ぶことがあります設計者は回路全体の周波数応答をチェックしどの程度の補償が必要なのかを見積もらなければなりません大まかに言えば帰還システムの安定性を確保するには周波数軸における回路全体の オープンループゲインが -20dBdecの割合でロールオフしてユニティゲインに達することが必要ですこれについてはゲインが最小(ゲインが2)のアプリケーションではループゲインが最大位相余裕が最悪になるので特に重要なポイントになりますまたトータルのゲインを高くすると帯域幅が減少し帰還ループの位相余裕が増大するので安定性が向上しますループゲインが低下するとより低い周波数でユニティゲインに達しますループゲインは次式で表されます

[ループゲイン]= (AOL 1st Amp )(ADiff 2nd Amp )β

β =12

(RG

RG + RF)

出力が差動形式でその一方の出力だけから帰還がかか

ることから帰還率βは基本的に12 になります

ADA4940ではゲインが2の場合帯域幅が50MHzになります一方O P 11 7 7のユニティゲイン帯域幅は約4MHzです図3の回路はOP1177とクローズドループゲインによって制限される約1MHzの帯域幅に対して安定です本稿の冒頭で紹介した記事で指摘しましたが異なるオペアンプを使用した際に安定性を満たすための条件が成立しない場合には図3(a)に示すように帯域幅を制限するためのコンデンサを使用することが可能ですこのコンデンサは帰還ループ内のRFと共に積分回路を構成し回路全体の帯域幅を次式のように制限します

12

times1

2πRFCF

このコンデンサと帰還抵抗はトータルの帯域幅が上式によって制限されるように選択することができます

関連資料1 Sandro Herrera Moshe Gers tenhaber 「Versa t i le Low Power Prec is ion S ingle-Ended- to-Diffe ren t ia l Con-ver te r」 Analog Dia logue 46-10

著者

Darwin Tolent ino(darwin tolent inoanalogcom)はADIフィリピンのLinear Prec is ions Technologyグループのテスト開発エンジニアです製造 試験技術グループでアンプリニア ICコンバータ向けのテストソリューションを開発してきました2000年にADIに入社し半導体業界で17年間にわたって実績を積み重ねています歴史とアナログ回路設計に関心を持っています

Darwin Tolentino

Sandro Herrera(sandro her reraanalog com)はマサチューセッツ州 ウィルミントンにあるADIの In tegra ted Ampl i f ie r Produc ts( IAP)グループに所属する回路設計エンジニアです主にゲインが固定 可変 プログラマブルな完全差動アンプの設計に携わっていますマサチューセッツ工科大学で学士号と修士号を取得しています2 0 0 5年8月にA D Iに入社しました

Sandro Herrera

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半分あるいは変換回路の中間レベルの電位に設定できますV OCMは基本的にはV INと並ぶもう1つの入力として

振る舞います2個の抵抗の値はR2

RF=

R1

RGとなるよう

に選ぶ必要があります

重ね合わせの原理によりV INが0のとき出力電圧は必ずV O C Mと同一の値になりますまたV O C Mは出力コモンモード電圧を設定する値であり差動出力は0になりますR 1=R GR 2=R Fとすると出力電圧は以下の各式で表すことができます

VOP = (RF

RG) VIN + VOCM

VON = ndash (RF

RG) VIN + VOCM

VOUT DIFF = 2 (RF

RG) VIN

調整可能な出力コモンモード電圧

この回路は入力信号のコモンモード電圧から独立して出力コモンモード電圧を調整できるよう改変することができますそれにより単電源アプリケーションからADCへのインターフェースを確立するために必要な処理の自由度と利便性が高まりますつまりグラウンドをリファレンスとする入力信号からコモンモード電圧の高い差動信号へと変換する処理が容易になるということです この改変は入力端子にR 1とR 2という2個の抵抗を追加することで実現できます(図3)ここでR 2はV OCMに接続します必要であれば入力アンプA1をデュアル構成の「O P 2 1 7 7」に置き換え2つ目のオペアンプを入力バッファとして使用することにより入力バイアス電流を大幅に低減することも可能です

図1の回路ではV REFが入力のリファレンスとなりますこれに対し図3の回路の入力はグラウンドを直接的にリファレンスとして差動出力に変換されますこの場合V O C Mを調整することにより入力のリファレンスはグラウンドに保ちつつ出力コモンモード電圧をシフトすることができますV OCMはリファレンス電圧の

VOP

VON

To ADC

VREF

VOCM

A2

ADA4940

A1

OP1177

20 kΩ

20 kΩ

10 kΩ

10 kΩ

VIN R1

R2

CF

RG

ndash5 V

+5 V+5 V

ndash5 VRF

( a)コモンモード電圧を調整可能にしたシングルエンド t o差動回路

1

3

VON

VOP

VIN

CH1 A B D1200 Vdiv00 mV ofst265

CH2 A B D1200 Vdiv5000 mV265

CH2 DC1M200 Vdivs20000 V

Timebase 26 micros500 microsdiv625 kS 125 MSs

Trigger C3 DCStop 000 VEdge Positive

CH1 A B D1200 Vdiv00 mV ofst2626

CH2 A B D1200 Vdiv5000 mV2626

CH2 DC1M200 Vdivndash20000 V

Timebase 26 micros500 microsdiv625 kS 125 MSs

Trigger C3 DCStop 000 VEdge Positive

1

3

VON

VOP

VIN

( b)入力波形と出力波形青がV I N赤がV O P 黄がV O Nコモンモード電圧は 0 V

図 3 出力コモンコード電圧を調整可能にした回路とオシロスコープで取得した入出力波形

( c)入力波形と出力波形青がV I N赤がV O P 黄がV O Nコモンモード電圧は 2 5 V

Analog Dialogue 49-11 3

帯域幅と安定性

2個のアンプはサーボループの構成に含まれる複合型の差動出力アンプとして機能しますOP1177OP2177の オープンループゲインとA D A 4 9 4 0の差動ゲインが組み合わされてこの回路全体のオープンループゲインが決まりますその結果回路全体の帯域幅が定まりますまた複数のポールが組み合わせられることによりループに位相シフトが生じますA 2のゲインを高くするとその帯域幅が狭くなり回路全体の安定性に影響が及ぶことがあります設計者は回路全体の周波数応答をチェックしどの程度の補償が必要なのかを見積もらなければなりません大まかに言えば帰還システムの安定性を確保するには周波数軸における回路全体の オープンループゲインが -20dBdecの割合でロールオフしてユニティゲインに達することが必要ですこれについてはゲインが最小(ゲインが2)のアプリケーションではループゲインが最大位相余裕が最悪になるので特に重要なポイントになりますまたトータルのゲインを高くすると帯域幅が減少し帰還ループの位相余裕が増大するので安定性が向上しますループゲインが低下するとより低い周波数でユニティゲインに達しますループゲインは次式で表されます

[ループゲイン]= (AOL 1st Amp )(ADiff 2nd Amp )β

β =12

(RG

RG + RF)

出力が差動形式でその一方の出力だけから帰還がかか

ることから帰還率βは基本的に12 になります

ADA4940ではゲインが2の場合帯域幅が50MHzになります一方O P 11 7 7のユニティゲイン帯域幅は約4MHzです図3の回路はOP1177とクローズドループゲインによって制限される約1MHzの帯域幅に対して安定です本稿の冒頭で紹介した記事で指摘しましたが異なるオペアンプを使用した際に安定性を満たすための条件が成立しない場合には図3(a)に示すように帯域幅を制限するためのコンデンサを使用することが可能ですこのコンデンサは帰還ループ内のRFと共に積分回路を構成し回路全体の帯域幅を次式のように制限します

12

times1

2πRFCF

このコンデンサと帰還抵抗はトータルの帯域幅が上式によって制限されるように選択することができます

関連資料1 Sandro Herrera Moshe Gers tenhaber 「Versa t i le Low Power Prec is ion S ingle-Ended- to-Diffe ren t ia l Con-ver te r」 Analog Dia logue 46-10

著者

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Darwin Tolentino

Sandro Herrera(sandro her reraanalog com)はマサチューセッツ州 ウィルミントンにあるADIの In tegra ted Ampl i f ie r Produc ts( IAP)グループに所属する回路設計エンジニアです主にゲインが固定 可変 プログラマブルな完全差動アンプの設計に携わっていますマサチューセッツ工科大学で学士号と修士号を取得しています2 0 0 5年8月にA D Iに入社しました

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帯域幅と安定性

2個のアンプはサーボループの構成に含まれる複合型の差動出力アンプとして機能しますOP1177OP2177の オープンループゲインとA D A 4 9 4 0の差動ゲインが組み合わされてこの回路全体のオープンループゲインが決まりますその結果回路全体の帯域幅が定まりますまた複数のポールが組み合わせられることによりループに位相シフトが生じますA 2のゲインを高くするとその帯域幅が狭くなり回路全体の安定性に影響が及ぶことがあります設計者は回路全体の周波数応答をチェックしどの程度の補償が必要なのかを見積もらなければなりません大まかに言えば帰還システムの安定性を確保するには周波数軸における回路全体の オープンループゲインが -20dBdecの割合でロールオフしてユニティゲインに達することが必要ですこれについてはゲインが最小(ゲインが2)のアプリケーションではループゲインが最大位相余裕が最悪になるので特に重要なポイントになりますまたトータルのゲインを高くすると帯域幅が減少し帰還ループの位相余裕が増大するので安定性が向上しますループゲインが低下するとより低い周波数でユニティゲインに達しますループゲインは次式で表されます

[ループゲイン]= (AOL 1st Amp )(ADiff 2nd Amp )β

β =12

(RG

RG + RF)

出力が差動形式でその一方の出力だけから帰還がかか

ることから帰還率βは基本的に12 になります

ADA4940ではゲインが2の場合帯域幅が50MHzになります一方O P 11 7 7のユニティゲイン帯域幅は約4MHzです図3の回路はOP1177とクローズドループゲインによって制限される約1MHzの帯域幅に対して安定です本稿の冒頭で紹介した記事で指摘しましたが異なるオペアンプを使用した際に安定性を満たすための条件が成立しない場合には図3(a)に示すように帯域幅を制限するためのコンデンサを使用することが可能ですこのコンデンサは帰還ループ内のRFと共に積分回路を構成し回路全体の帯域幅を次式のように制限します

12

times1

2πRFCF

このコンデンサと帰還抵抗はトータルの帯域幅が上式によって制限されるように選択することができます

関連資料1 Sandro Herrera Moshe Gers tenhaber 「Versa t i le Low Power Prec is ion S ingle-Ended- to-Diffe ren t ia l Con-ver te r」 Analog Dia logue 46-10

著者

Darwin Tolent ino(darwin tolent inoanalogcom)はADIフィリピンのLinear Prec is ions Technologyグループのテスト開発エンジニアです製造 試験技術グループでアンプリニア ICコンバータ向けのテストソリューションを開発してきました2000年にADIに入社し半導体業界で17年間にわたって実績を積み重ねています歴史とアナログ回路設計に関心を持っています

Darwin Tolentino

Sandro Herrera(sandro her reraanalog com)はマサチューセッツ州 ウィルミントンにあるADIの In tegra ted Ampl i f ie r Produc ts( IAP)グループに所属する回路設計エンジニアです主にゲインが固定 可変 プログラマブルな完全差動アンプの設計に携わっていますマサチューセッツ工科大学で学士号と修士号を取得しています2 0 0 5年8月にA D Iに入社しました

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