cosminexusとsap erpパッケージの連携 -連携方法のご · pdf fileii はじめに...

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SOA基盤

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i All Rights Reserved. Copyright © 2009, Hitachi, Ltd.

前書き uCosminexus Service Platform、uCosminexus Service Architect、uCosminexus Application Server

は、経済産業省が 2003 年度から 3 年間実施した「ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト」の技術開発

の成果を含みます。

■商標類

・ABAP は、SAP AG のドイツ及びその他の国における登録商標または商標です。

・Eclipse は、開発ツールプロバイダのオープンコミュニティである Eclipse Foundation, Inc.に

より構築された開発ツール統合のためのオープンプラットフォームです。

・IIOP は、OMG 仕様による ORB(Object Request Broker)間通信のネットワークプロトコルの名称です。

・iWay および iWay Software は,Information Builders, Inc.の米国およびその他の国における

登録商標です。

・Java 及びすべての Java 関連の商標及びロゴは、米国及びその他の国における米国 Sun

Microsystems, Inc.の商標または登録商標です。

・MyEclipse は、米国 Genuitec 社の商品名称です。

・mySAP は、SAP AG のドイツ及びその他の国における登録商標または商標です。

・Oracle は、米国 Oracle Corporation 及びその子会社、関連会社の登録商標です。

・R/3 は、SAP AG のドイツ及びその他の国における登録商標または商標です。

・SAP は、SAP AG のドイツ及びその他の国における登録商標または商標です。

・SAP NetWeaver は、ドイツおよびその他世界各国における SAP AG の商標または登録商標です。

・SOAP(Simple Object Access Protocol)は、分散ネットワーク環境において XML ベースの情

報を交換するための通信プロトコルの名称です。

・UNIX は、X/Open Company Limited が独占的にライセンスしている米国ならびに他の国に

おける登録商標です。

・WebSphere は、米国における米国 International Business Machines Corp. の登録商標です。

・Windows は、米国およびその他の国における米国 Microsoft Corp.の登録商標です。

・Windows Server は、米国 Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標です。

・その他製品名などの固有名詞は各社の商品名、商標および登録商標です。

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はじめに

このドキュメントでは、エンタープライズサービスバスを備えたプロセス統合基盤ソフトウェア Cosminexus サー

ビスプラットフォームと SAP AG(本社:独ワルドルフ、 高経営責任者:へニング・カガーマン/以下、SAP)の E

RP パッケージの連携について解説を行い、また、実際に Cosminexus サービスプラットフォームから ES を呼出

す手順について紹介するもので、次の基準にもとづいて記述しています。

1. 対象とする読者

Cosminexus サービスプラットフォームと SAP の ERP パッケージを連携してサービス統合システムを開発する立

場にある業務 SE を対象としています。本書によって、Cosminexus サービスプラットフォームと SAP の ERP パッ

ケージの連携に関する基礎知識を習得することができます。

2.対象とする製品

・ Windows Server 2003 または 2008

・ uCosminexus Service Architect 08-10 および uCosminexus Service Platform 08-10

・ mySAP ERP または、SAP ERP 6.0 SR3 または、SAP R/3 と次のアダプタ

iWay Business Service Provider および iWay Application Systems Adapter for SAP ERP

<本書での表記>

BAPI: Biometric Application Programming Interface

BPEL: Business Process Execution Language

BPM: Business Process Management

CRM: Customer Relationship Management

DBQ: Database Queue

ECC: ERP Central Component

ERP: Enterprise Resource Planning

ES: Enterprise Services

ESB: Enterprise Service Bus

IDoc: Intermediate Document

MQ: Message Queue

RFC: Remote Function Call

SCM: Supply Chain Management

SOA: Service Oriented Architecture

WSDL: Web Service Definition Language

XML: Extensible Markup Language

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Contents

1. 予備知識 .............................................................................................................................................................................................. 1

1.1 Cosminexusサービスプラットフォーム ........................................................................................................................... 1 1.2 SAPのERPパッケージ .......................................................................................................................................................... 5 1.3 CosminexusとSAP ERPの連携 ...................................................................................................................................... 7

2. 連携パターン ...................................................................................................................................................................................... 8 2.1 一般的な連携パターン .......................................................................................................................................................... 8 2.2 その他の考えられる連携パターン .................................................................................................................................. 10

3. ESの利用例....................................................................................................................................................................................... 11 3.1 想定パターン ........................................................................................................................................................................... 11 3.2 環境構築 ................................................................................................................................................................................... 12 3.3 ESを使った例題 ..................................................................................................................................................................... 13

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1. 予備知識

1.1 Cosminexusサービスプラットフォーム

Cosminexus サービスプラットフォームは、BPEL 準拠のビジネスプロセス管理(BPM)とサービスをメッセージで

連携するエンタープライズサービスバス(ESB)でワンストップサービスを実現するためのミドルウェアです。製品構

成は大きく二つにわけられます。

• ビジネスプロセス管理、エンタープライズサービスバスおよび標準アダプタ

• 接続用途ごとに用意されたオプションアダプタおよびゲートウェイ

それぞれの製品構成について説明します。

1.1.1 ビジネスプロセス管理、エンタープライズサービスバスおよび標準アダプタ

次の二つの製品が、Cosminexus サービスプラットフォームの基本構成になります。

• uCosminexus Service Architect

Eclipse プラットフォーム上で動作する開発環境

• uCosminexus Service Platform

J2EE プラットフォーム上で動作する実行環境

多様なサービスと連携(サービス連携機能)・Webサービス ・既存システム(ホスト、uCosminexus OpenTP1ほか)・データソース(DB、ファイル) ほか

サービス呼出

データ変換

アダプタ

サービスアダプタ定義画面

BPM/ESB基盤開発環境 uCosminexus Service Architect

サービス利用者

ビジネスプロセス設計者/実装者

BPM/ESB基盤uCosminexus

Service Platform

ビジネスプロセス定義画面

データ変換定義画面

実行履歴

サービス呼出

アダプタ

DB

File

リクエスト受付

ビジネスプロセス(BPEL)

アダプタ

サービスリクエスタ

(Servlet等)

BP呼出

・SOAP・WS-Reliability

サービス接続/メッセージルーティング

詳細設計ドキュメント

障害発生時、実行履歴を利用して利用者がリクエストを再投入することなくエラー発生サービスからプロセスを再開可能

図 1.1-1 Cosminexus サービスプラットフォームの基本構成

ESB 上で動作するアダプタを介して、さまざまなプロトコルのサービスとの接続を可能にします。また、BPEL 準

拠のビジネスプロセス管理により、業務の流れに沿って、複数のサービスを自動的に呼び出し、ワンストップサー

ビスを可能にします。

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基本構成に含まれるアダプタは、次のプロトコルをサポートしています。

• SOAP

SOAP アダプタを利用すると、ESB への受付と ESB からの呼び出しの同期型通信が可能です。ESB を

任意の WSDL で定義した Web サービスとして呼び出したり、ESB から任意の WSDL で定義した Web

サービスをリモートで呼び出したりすることができます。

• RMI-IIOP

EJB アダプタを利用すると、ESB への受付と ESB からの呼び出しの同期型通信が可能です。ESB を固

定インタフェースで定義した Session Bean で呼び出したり、ESB から任意のインタフェースで定義した

Session Bean をリモートで呼び出したりすることができます。

• SQL

DB アダプタを利用すると、ESB から RDB への接続が可能です。SQL 定義を利用して、ESB 内のデー

タと RDB のマッピングを実現しています。

• DBQ

DBQ アダプタを利用すると、データベースをキューとして、uCosminexus TP1/Server Base Enterprise

Option と J2EE との間で、非同期型のメッセージ送受信が可能です。

• WS-Reliability

WS-R アダプタを利用すると、標準化団体 OASIS で標準化された、インターネット向けのオープンな非

同期通信プロトコルを利用して、メッセージ送受信が可能です。

ビジネスプロセス(BPEL)

uCosminexus Service Platform

SOAPアダプタ

EJBアダプタ

DBアダプタ

DB(HiRDB,Oracle)

Webサービス(Cosminexus,他社システム)

DBQアダプタ

WS-Rアダプタ

EJB(Cosminexus)

SOAP RMI-IIOP SQL

uCosminexus TP1/Server Base Enterprise Option

DBQ

WS-Reliability対応システム

(Cosminexus)

WS-Reliability

図 1.1-2 標準アダプタ

なお、非同期通信で非 XML メッセージを扱う場合は、オプション製品の uCosminexus 日立コード変換を利用

して、データ変換エンジンの中で、文字コード変換を行います。

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1.1.2 接続用途ごとに用意されたオプションアダプタおよびゲートウェイ

基本構成に含まれるアダプタ以外に接続用途ごとに用意されたオプションアダプタとゲートウェイを利用して、

既存システムとの連携が可能です。

• プロトコルアダプタ

ファイルプロトコル

次のオプション製品が提供するファイルアダプタを利用すると、ESB からファイルの読み書きが可能で

す。

• uCosminexus Service Adapter for Flat Files

MQ プロトコル

次のオプション製品が提供する MQ アダプタを利用すると、ESB から MQ プロトコルを介しての接続が

可能です。

• uCosminexus Service Adapter for Message Queue

TP1/RPC プロトコル

次のオプション製品が提供する OpenTP1 アダプタを利用すると、ESB から TP1/RPC プロトコルを介し

ての接続が可能です。

• uCosminexus Service Adapter for TP1

• アプリケーションアダプタ

ERP システム

次のオプション製品を利用することにより、既存 ERP 資産を活用したシステム間連携を実現します。

SAP R/3 および Oracle E-Business Suite (Oracle EBS)をサポートしています。

• iWay アダプタ

iWay アダプタは、iWay Business Service Provider と接続対象の ERP システムごとに用意された次のア

ダプタを組み合わせて使用します。

・ iWay Application Systems Adapter for SAP ERP

・ iWay Application Systems Adapter for Oracle Applications

Object Wrapper システム

次のオプション製品が提供する Object Access アダプタを利用すると、既存の Object Wrapper システ

ムで動作する業務処理をサービスとして利用できます。

• uCosminexus Service Adapter for Object Access

• レガシーゲートウェイ

次のオプション製品を利用することにより、メインフレームや uCosminexus Open TP1 システムから ESB に

対してメッセージを送受信できます。プロトコルアダプタと異なり、ゲートウェイサーバを仲介して、ESB と

接続します。

• uCosminexus TP1 Gateway

• uCosminexus TP1 Gateway for Message Queue

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ビジネスプロセス(BPEL)

uCosminexus Service Platform

iWayアダプタ

OracleEBS

SAPERP

uCosminexus OpenTP1

ファイルアダプタ

ファイルMQシステム

(TP1/Message Queue,WebSphere MQ,

日立ホスト)

日立ホスト他社ホスト

レガシーゲートウェイ

OpenTP1アダプタ

XML⇔バイナリ変換、EBCDIK/KEIS⇔Unicode変換もサポート

Object Accessアダプタ

Object Wrapper

WebSphereMQ

MQアダプタ

TP1/RPCRFC, BAPI,

IDoc

In terface Tables,Concurrent Programs,

Oracle APIMQ

図 1.1-3 オプションアダプタ

iWay アダプタとゲートウェイ製品を除き、オプションアダプタを利用するためには、別途、実行環境製品と対応

するオプションの開発環境製品が必要となります。

また、非 XML メッセージを扱う場合は、オプション製品の uCosminexus 日立コード変換を利用して、データ変

換エンジンの中で、文字コード変換を行う必要があります。

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1.2 SAPのERPパッケージ

SAP R/3、mySAP ERP、および SAP ERP 6.0 (以下、SAP ERP)は、ERP 市場 大手のソフトウェアメーカーであ

る SAP の ERP パッケージです。自社のソフトウェアを中心に各種サービスを提供するソリューションベンダーであ

り、近年では SOA 市場におけるミドルウェアにも手を広げています。ここでは、次の二つの点について、説明しま

す。

• SAP ERP の歴史

• SAP ERP との連携方式

1.2.1 SAP ERPの歴史

• SAP R/3

Windows や UNIX のオープンプラットフォームで動作するクライアントサーバ型のシステムであり、1992

年に公式発表されました。SAP R/3 は、ABAP と呼ばれる SAP 独自のプログラム言語で実装されており、

財務会計、管理会計、販売、在庫購買、生産計画/管理などの業務に必要なモジュールをほとんど備

えています。企業のビジネスプロセスをこのパッケージにあわせられない場合、つまり、パッケージに予

め用意されている機能では満足できない場合は、追加開発(アドオン)する必要があります。

なお、SAP R/3 Enterprise 4.7 が SAP R/3 の 終バージョンになり、それ以降は、SAP ERP の基盤と

して、SAP NetWeaver を採用し、アーキテクチャを大きく変更しました。

• mySAP ERP

SAP R/3 の後継製品「mySAP ERP」が 2004 年にリリースされ、統合アプリケーションプラットフォーム

「SAP NetWeaver」を基盤にした新しいアーキテクチャに刷新されました。このタイミングで、Web サービ

スへの対応もされ、RFC イネーブルされた汎用モジュールを Web サービス化できるようになりました。

mySAP ERP では、CRM や SCM などを含む Business Suite を提供しており、従来の R/3 の部分につい

ては、ECC(ERP Central Component) 5.0 としてモジュール提供されました。

なお、ECC の実装言語は、ABAP のままで、ECC の基盤である SAP NetWeaver も ABAP で実装され

ています。

• SAP ERP 6.0

2006 年に SAP ERP Central Component(ECC)のバージョンを 6.0 とし、基盤の SAP NetWeaver のバー

ジョンは 7.0 となりました。また、機能拡張パッケージとして Enhancement Package を組み込むことにより、

再定義された Web サービス「Enterprise Services (ES)」が利用できるようになりました。この Web サービ

スは、RFC イネーブルされた汎用モジュールとはインタフェースが異なっています。

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1.2.2 SAP ERPとの連携方式

SAP R/3 の時代から、サードパーティのアプリケーションと SAP ERP を連携するため、次のようなインタフェー

スを提供していました。

• RFC

• IDoc

• BAPI

RFC は Remote Function Call の略で、呼出元と異なるシステムで動作する汎用モジュールをさします。SAP

ERP に入ってくる方向をインバウンド、SAP ERP から出ていく方向をアウトバウンドと呼んでいます。外部のシステ

ムから SAP ERP を呼ぶ場合には、C、C++や JavaTM の実装言語をサポートしたライブラリを使って呼び出します。

IDoc の場合は、EDI システムとの連携を主とした、IDoc(Intermediate Document)と呼ばれる構造化されたデー

タを交換するためのインタフェースになります。一方、BAPI は、Business API と呼ばれるビジネスオブジェクトを意

識したインタフェースになっています。これらのインタフェースは、同期または非同期でリアルタイムに連携するた

めのインタフェースとなります。

上記のようなアプリケーションインタフェースとは別にバッチインプットと呼ばれる連携インタフェースがあります。

これは、バルクデータを転送するための、主な連携方法となります。このインタフェースは、リアルタイムに近いデ

ータ転送には不向きで、通常バッチでのデータ転送に利用されます。

リアルタイムに SAP ERP と連携するためには、RFC/IDoc/BAPI などのインタフェースを使って、C/C++や Java

で連携部品を開発する必要があります。これを避けるために、通常はプレビルドされた SAP アダプタを購入し、ノ

ンプログラミングで外部接続を実現しようとします。

Cosminexus サービスプラットフォームでは、アイウェイ・ソフトウェア日本支社との協業により、プレビルドされた

SAP アダプタとして iWay アダプタを提供しています。iWay アダプタを導入することにより、連携部品を開発するこ

となしに SAP ERP と接続することができるようになります。

mySAP ERP がリリースされてからは、ABAP で開発された RFC イネーブルされた汎用モジュールを Web サー

ビス化することができるようになりました。このため、連携部品の開発は不要になっています。また、SAP ERP6.0

の Enhancement Package でプレビルドされた Web サービス(ES)を利用することができ、より便利になっています。

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1.3 CosminexusとSAP ERPの連携

Cosminexus サービスプラットフォームと SAP ERP の連携のメリットについて、説明します。

• 既存の uCosminexus OpenTP1 システムの活用

1.3.1 既存のuCosminexus OpenTP1 システムの活用

今後のエンタープライズシステムを ERP パッケージに置きかえたり、Java アプリケーションで新規開発したいと

いうニーズがあります。一方、uCosminexus OpenTP1 で開発した COBOL や C で開発した業務システムが数多く

残っており、既存資産を全て刷新するには、設計難易度が高く、リスク(費用・業務移行等)も大きいといった悩み

があります。

このような場合、既存資産を活かしつつ、段階的にシステムを刷新するために、エンタープライズバスを利用

することができます。Cosminexus サービスプラットフォームは、uCosminexus OpenTP1 システムとの連携の親和

性がよく、段階的にシステムを 適化するのに適した製品といえます。

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2. 連携パターン

ここでは、SAP ERPとの連携パターンを分類して、適用するCosminexusサービスプラットフォームのシステムの

構成について説明します。

2.1 一般的な連携パターン

SAP ERP との連携を検討する場合、次の二つに分類して、連携システムの構成を考えます。ここでは、それぞ

れの場合のシステム構成について、説明します。

• Web サービスのインタフェースを装備しない SAP ERP との連携

• Web サービスのインタフェースを装備した SAP ERP との連携

2.1.1 Webサービスのインタフェースを装備しないSAP ERPとの連携

SAP R/3 は、Web サービスのインタフェースを装備していません。このような場合、iWay アダプタを利用して、

Cosminexus サービスプラットフォームとの連携システムを構築できます。

顧客管理システム(uCosminexus OpenTP1)

OS:Windows Server 2003

uCosminexus Service Platform

データベース(HiRDB,Oracle)

状態管理実行履歴

販売見積サービス(SAP R/3)

クライアント

生産管理システム(レガシーシステム)

レガシーゲートウェイ

顧客検索 見積作成

OpenTP1アダプタ

ビジネスプロセス

iWayアダプタ

開発環境

OS:Windows XP など

uCosminexus

Service Architect

ビジネスプロセス定義サービスの関連付けデータ変換定義

実行環境

SOAPアダプタSOAP

アダプタ

iWay Application Systems Adapter

for SAP ERP

iWay Business

Service Provider

SAP JCo

図 2.1-1 iWay アダプタを使った連携例

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Cosminexus サービスプラットフォームと iWay アダプタは内部で SOAP プロトコルを経由して接続します。接続

定義に必要な WSDL は、iWay アダプタが動作するサーバに Web ブラウザでアクセスして取得します。図 2.1-1

は Cosminexus サービスプラットフォームから SAP ERP を呼び出す例となっていますが、SAP ERP から

Cosminexus サービスプラットフォームを呼び出すことも可能です。

なお、SAP ERP との連携は、RFC、IDoc、または BAPI インタフェースで利用できる範囲となります。

2.1.2 Webサービスのインタフェースを装備したSAP ERPとの連携

mySAP ERPやSAP ERP 6.0 は、Webサービスのインタフェースを装備しています 1。このような場合、iWayアダ

プタを利用しなくても、Cosminexusサービスプラットフォームとの連携システムを構築できます。

顧客管理システム(uCosminexus OpenTP1)

OS:Windows Server 2003や UNIXサーバなど

uCosminexus Service Platform

データベース(HiRDB,Oracle)

状態管理実行履歴

販売見積サービス(SAP ERP 6.0)

クライアント

生産管理システム(レガシーシステム)

レガシーゲートウェイ

顧客検索 見積作成

OpenTP1アダプタ

ビジネスプロセス

SOAPアダプタ

開発環境

OS:Windows XP など

uCosminexus

Service Architect

ビジネスプロセス定義サービスの関連付けデータ変換定義

実行環境

図 2.1-2 iWay アダプタを使わない連携例

Cosminexus サービスプラットフォームと SAP ERP は SOAP プロトコルで直接接続します。接続定義に必要な

WSDL は、SAP ERP から取得します。図 2.1-2 は Cosminexus サービスプラットフォームから SAP ERP を呼び出

す例となっていますが、SAP ERP から Cosminexus サービスプラットフォームを呼び出すことも可能です。

1 ESを利用しない場合は、連携したいサービスに関して、RFCイネーブルされた汎用モジュールをWebサービス化できることを事前に

確認してください。

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なお、SAP ERP に Web サービス経由で接続するためには、ABAP で開発された RFC イネーブルされた汎用

モジュールを Web サービス化したり、プレビルドされた Web サービス(ES)を利用するために Enhancement

Package をインストールしたり、また、その他の方法で SAP ERP が提供する Web サービスが利用可能な状態にし

ておく必要があります。

2.2 その他の考えられる連携パターン

新の SAP ERP は Web サービスをサポートしており、iWay アダプタを導入しなくても接続できるようになりま

した。しかし、次のような場合、開発および運用コストの面で、iWay アダプタを利用することも考えられます。

• Oracle E-Business Suite との連携

• SAP R/3 から 新の SAP ERP へのバージョンアップ

2.2.1 Oracle E-Business Suiteとの連携

グループ会社あるいは部門ごとでベンダの異なる ERP を導入しており、全社的にシステム統合をしたい場合

があります。対象となる ERP として、SAP ERP と Oracle E-Business Suite があった場合、連携する Web サービス

の運用を iWay アダプタに集約するということが考えられます。

2.2.2 SAP R/3 から最新のSAP ERPへのバージョンアップ

2.1.1のシステム構成で既に運用を開始した後、SAP ERPをバージョンアップする場合があります。 新のSAP

ERP では Web サービスをサポートしており、iWay アダプタは不要となります。しかし、iWay アダプタを不要にして

直接 SAP ERP へ Web サービスで接続する場合、連携システム側の接続インタフェースが変更になり、連携シス

テム側に改修が必要となります。このような場合、iWay アダプタを継続利用することが考えられます。

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3. ESの利用例

ここでは、Cosminexus と SAP ERP との連携において、Cosminexus サービスプラットフォームから SAP の ES を

呼び出す場合の利用例について簡単に説明します。

3.1 想定パターン

このパターンでは、サービス・リクエスタから SOAP プロトコルで ESB に接続後、SOAP アダプタを介して SAP

ERP 上の ES のオペレーションを呼び出し、ビジネスプロセスで決められたシナリオを実行します。

サービスリクエスタ

uCosminexus Service Platform

データベース(HiRDB,Oracle)

SAP ERP 6.0

SAP NetWeaver

SAP ECC 6.0

ES (Enterprise Services)

SOAPアダプタ

サービスオペレーション

ビジネスプロセス

SOAP受付

SOAP

ライブラリ

要求・応答の流れ

ユーザによるインタフェースやフローの設計、開発が必要なモジュール

自動生成されるモジュール

(凡例)

図 3.1-1 パターンの構成例

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3.2 環境構築

3.2.1 Cosminexusサービスプラットフォームの環境構築

想定パターンでは、開発環境としてuCosminexus Service Architect 08-10 2、また、実行環境として

uCosminexus Service Platform 08-10 が必要です。テスト・デバッグの目的であれば、uCosminexus Service

Platformは必要ありません。サービス・リクエスタは、MyEclipseが提供するWebサービスエクスプローラのような

Webサービスクライアントのツールで代用するか、ユーザプログラムを開発してください。サービス・リクエスタを開

発するためには、SOAPのクライアントのライブラリが必要です。uCosminexus Service ArchitectやuCosminexus

Service Platformに同梱されているライブラリを利用することができます。

3.2.2 SAP ERP 6.0 の環境構築

ES は 新の SAP ERP 6.0 でサポートされています。ただし、本ドキュメントを執筆する時点(2009 年 11 月)では、

Enhancement Package を別途インストールする必要がありました。SAP ERP 6.0 を構築する前に、ES が利用可能

か確認してください。

環境構築後、Web サービスとして利用するためには、追加で次の設定が必要になります。

1) Web サービスを管理するための soamanager トランザクションの設定

2) Web サービスのインタフェース(wsdl)の閲覧のための設定

3) 接続対象の Web サービスに対するエンドポイントの設定

soamanager トランザクションがサポートされていない場合は、wsconfig トランザクションで代替できます。

2 08-10 に対して、 新のパッチを適用してください。

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3.3 ESを使った例題

3.3.1 概要

SAPがビジネススイート製品の一部として提供している 新のES定義が収められたWebサイトES Workplaceに

アクセスする場合の呼出し手順をご紹介します 3。ES Workplace上では、業務知識なしでも、ESを試せるように、

いくつかのESを"Simple Sample"という外部から利用できる形で公開しています。その中の「CREATE SALES

ORDER BASED ON SALES HISTORY」というシナリオを利用します。

以下、「CREATE SALES ORDER BASED ON SALES HISTORY」と呼ばれる”Simple Sample”について、簡単

に説明します。

このサンプルは、既存の受注書(Sales Order)を使って、新しい受注書を作成するシナリオになっています。

1. 初に、「Find Sales Order Basic Data by Buyer and Basic Data」という ES を呼び出し、購買者 ID

によって、過去の受注書を検索します。

2. 次に、受注書を選択した後、「Read Sales Order_V1」という ES を呼び出して、受注書の詳細情報を

取得します。

3. 後に、取得した受注書の受注パラメータを変更し、「Create Sales Order」という ES を呼び出して、

新しい受注書を作成・登録します。

3.3.2 連携手順例

次の手順で連携シナリオを実装します。

1. 次の ES の WSDL を取得します。

Find Sales Order Basic Data by Buyer and Basic Data Read Sales Order_V1 Create Sales Order

2. 上記の WSDL を使って、ES に接続するアダプタを定義します。

3. シナリオにしたがって、ビジネスプロセスを定義します。

これで完了です。

3 ES Workplace の URL は http://esworkplace.sap.com になります。今回の実機確認では、”Simple Sample”のシナリオ確認後、

Enterprise Serivce が利用できるローカルな環境を作って、接続確認しています。

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(1) ES の WSDL の取得

ES Workplace で接続テストする場合は、ES Workplace のトップページから、「Simple sample

applications for enterprise services consumption」→「Create Sales Order Based On Sales History」→

「Enterprise Services Used」へ辿っていって、各サービスの WSDL を取得します。

ローカルの SAP ERP 環境より WSDL を取得する場合は、soamanager トランザクションを使って、WSDL

を取得します。検索キーは Web サービス定義名で、次の表の通りです。

表 3.3-1 ES に対応する Web サービス定義の検索キー

ES Web サービス定義名

Find Sales Order Basic Data by Buyer

and Basic Data

ECC_SALESORDER005QR

Read Sales Order_V1 ECC_SALESORDERERPV1001QR

Create Sales Order ECC_SalesOrderCRTRC

(2) アダプタの定義

(1)で取得した三つの WSDL より、それぞれアダプタを定義します。アダプタの定義は、WSDL を入力と

するだけで、自動で生成されます。次の図 3.3-1 は、Cosminexus サービスプラットフォームの開発環境の

アダプタ定義画面です。

図 3.3-1 アダプタ定義例

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(3) ビジネスプロセスの定義

シナリオにしたがって、ビジネスプロセスを定義します。

ビジネスプロセスの定義は次の三つのステップで構成されます。

1. ビジネスプロセスの受付パラメタを定義する。

2. ES のサービス呼出と、その呼び出し順序を定義する。

3. ES のサービスの入力パラメタとビジネスプロセスの応答パラメタを定義する。

次の図 3.3-2 は、Cosminexus サービスプラットフォームの開発環境のビジネスプロセス定義画面です。

これで、連携シナリオは完了です。

図 3.3-2 ビジネスプロセス定義例

(4) 接続確認

今回は、サービス・リクエスタを、MyEclipse の Web サービスエクスプローラで代用して、接続確認しまし

た。ビジネスプロセスの呼び出しに定義した WSDL を指定して、Web サービスエクスプローラを起動しま

す。起動後、入力値を指定して実行すると、画面上に結果が表示されます。

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図 3.3-3 接続確認結果

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おわりに

このドキュメントでは、Cosminexus サービスプラットフォームと SAP ERP の連携について解説しました。また、

実際に Cosminexus サービスプラットフォームから ES を呼出す手順について、”Simple Sample”を使って紹

介しました。

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Cosminexus とSAP ERP パッケージの連携 -連携方法のご紹介

2009年12月第1版発行お問い合わせ先:株式会社 日立製作所 ソフトウェア事業部 販売推進部[email protected]

インターネットで製品情報をご覧いただけます。http://www.hitachi.co.jp/cosminexus/http://www.cosminexus.com/