経済学に見る個人行動モデルの特徴 the feature of individual...

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経済学に見る個人行動モデルの特徴 20 世紀初頭を中心に― 田中啓太(名古屋大学大学院経済学研究科 研究員) The Feature of Individual Behavior Model in Economics Focusing on the early 20th century Tanaka, Keita (Nagoya UniversityⅠ. 序論 本報告は、企画セッション「社会秩序と行為選択を巡る史的検証」(企画責任者:江口友朗 立 命館大学産業社会学部・准教授)の企画目的に基づき、19 世紀後半から 20 世紀にかけての経 済学にみられる個人行動(アクター)の行動仮説を方法論的側面から検討する。 これまで経済学の純粋理論は、意思決定の論理的な一貫性を前提とする行動を理論仮説とし て採用していく一方で、倫理やモラルサイエンスとして扱われる行動の側面を切り離す形で発 展してきた。これに対し A. センは、ミクロ経済学の前提として広く共有されている経済人 Homo-Economics)の仮定を、「合理的な愚か者」と呼び批判した。また、現代の行動経済学 や認知心理学の分野における経験的研究では、現実の人間行動に非合理的側面があることが明 らかにされつつある。こうした状況に対する一つの解決方策として、経済学の理論的前提と見 なされているアクターの合理的行動モデルを方法論的に再評価する必要があると考えられる。 こうした点を踏まえて本報告は、現代のミクロ経済学の方法論的枠組みが確立された当初に 着目する。現代の経済学の方法論的な基礎を構築した人物として知られる L.ロビンズ(Lionel Robbins 1898-1984)は、『本質と意義』の序文において L. v. ミーゼス(Ludwig von Mises 1881-1973)と P. H. ウィックスティード(Philip Henry Wicksteed 1844-1927)から影響を 受けていることを明言している。S. Howson(2004, 2011)O’Brien(1988, 1990)のロビンズ研 究によって、ロビンズの経済学方法論が展開されている『経済学の本質と意義』(Robbins, 1 st 1932 / 2 nd 1935 / 3 rd 1984 / 1957.)にウィックスティードの影響があることも明らかとなっ た。そこで本報告は、L. ロビンズや L. v. ミーゼス、P. H. ウィックスティードを中心とした 経済学説の比較検討を行いながら、経済学が前提とする行動仮説を人間像として析出し、今日 のミクロ経済的アプローチとの差異を明らかにしてみたい。これまでロビンズは、経済学の前 提に含まれていた道徳的な価値判断を否定し、価値判断に中立的な純粋経済学の基礎を定式化 した人物と理解されている。こうした中で彼の方法論的個人主義は、経済人の仮定と同一視さ れることも珍しくない。本報告では、ロビンズの個人行動モデルの性質を、ミーゼスとウィッ クスティードの言説と対比しながら検討していく。 Ⅱ. 従来のロビンズ理解に見られる個人行動の性質 新オーストリア学派の I. カーズナーは、新古典派経済学に対する議論の中で、完全知識を前 進化経済学会第18回金沢大会発表論文 2014年3月1516日 in 金沢大学

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経済学に見る個人行動モデルの特徴

―20 世紀初頭を中心に―

田中啓太(名古屋大学大学院経済学研究科 研究員)

The Feature of Individual Behavior Model in Economics

Focusing on the early 20th century

Tanaka, Keita (Nagoya University)

Ⅰ. 序論

本報告は、企画セッション「社会秩序と行為選択を巡る史的検証」(企画責任者:江口友朗 立

命館大学産業社会学部・准教授)の企画目的に基づき、19 世紀後半から 20 世紀にかけての経

済学にみられる個人行動(アクター)の行動仮説を方法論的側面から検討する。

これまで経済学の純粋理論は、意思決定の論理的な一貫性を前提とする行動を理論仮説とし

て採用していく一方で、倫理やモラルサイエンスとして扱われる行動の側面を切り離す形で発

展してきた。これに対し A. センは、ミクロ経済学の前提として広く共有されている経済人

(Homo-Economics)の仮定を、「合理的な愚か者」と呼び批判した。また、現代の行動経済学

や認知心理学の分野における経験的研究では、現実の人間行動に非合理的側面があることが明

らかにされつつある。こうした状況に対する一つの解決方策として、経済学の理論的前提と見

なされているアクターの合理的行動モデルを方法論的に再評価する必要があると考えられる。

こうした点を踏まえて本報告は、現代のミクロ経済学の方法論的枠組みが確立された当初に

着目する。現代の経済学の方法論的な基礎を構築した人物として知られる L.ロビンズ(Lionel

Robbins 1898-1984)は、『本質と意義』の序文において L. v. ミーゼス(Ludwig von Mises

1881-1973)と P. H. ウィックスティード(Philip Henry Wicksteed 1844-1927)から影響を

受けていることを明言している。S. Howson(2004, 2011)、O’Brien(1988, 1990)のロビンズ研

究によって、ロビンズの経済学方法論が展開されている『経済学の本質と意義』(Robbins, 1st

1932 / 2nd 1935 / 3rd 1984 / 訳 1957.)にウィックスティードの影響があることも明らかとなっ

た。そこで本報告は、L. ロビンズや L. v. ミーゼス、P. H. ウィックスティードを中心とした

経済学説の比較検討を行いながら、経済学が前提とする行動仮説を人間像として析出し、今日

のミクロ経済的アプローチとの差異を明らかにしてみたい。これまでロビンズは、経済学の前

提に含まれていた道徳的な価値判断を否定し、価値判断に中立的な純粋経済学の基礎を定式化

した人物と理解されている。こうした中で彼の方法論的個人主義は、経済人の仮定と同一視さ

れることも珍しくない。本報告では、ロビンズの個人行動モデルの性質を、ミーゼスとウィッ

クスティードの言説と対比しながら検討していく。

Ⅱ. 従来のロビンズ理解に見られる個人行動の性質

新オーストリア学派の I. カーズナーは、新古典派経済学に対する議論の中で、完全知識を前

進化経済学会第18回金沢大会発表論文 2014年3月15-16日 in 金沢大学

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提とする形式的な経済主体観を「ロビンズ的経済人」と呼び、これを批判的に取り上げた。新

古典派経済学を批判する文脈でロビンズを取り上げた I. カーズナーの主張は、ロビンズに対す

るこれまでの解釈の代表例と見なすことができる。彼は、「ロビンズ卿によって古典的議論がな

されて以来、個人の活動の経済的な側面は、達成すべき諸目的間への希少な手段の配分という

形で示され、理解されてきた」(Kirzner, 1973, p. 32 / 訳 1985, p. 36)と述べた上で、経済主

体の行動が「効率性の確保の問題、あるいは、目的達成より得られる満足の『極大化』という

言葉で表現される」(Kirzner, 1973, p. 32 / 訳 1985, p. 36)ことを確認する。その上で、彼は、

「経済化、すなわち極大化を志向する個人によってのみ構成されているとする市場は、我々が

理解しようとしている市場プロセスを形成していない」(Kirzner, 1973, p. 31 / 訳 1985, p. 35)

と主張した。ここでカーズナーは、満足の極大化を行う個人を「ロビンズ的経済人」(Kirzner,

1973, p. 34 / 訳 1985, p. 38)と呼び、新古典派経済学の方法論を代表するものとして批判す

る。彼が指摘する最大の問題とは、「ロビンズ的経済人」の有効性が完全知識の世界に限定され

ることにあった。カーズナーは、現実の市場状態を不完全知識下にあるものと捉えているため1)、

完全知識を前提とする「ロビンズ的経済人」を現実的な人間行動モデルとして採用しないので

ある2)。これらのことから、カーズナーの言う「ロビンズ的経済人」とは、完全予見の下で極

大化を行うことで合理的に行動する、いわゆる経済人―ホモ・エコノミクス―のモデルと捉え

る事が出来る。

一方、B. J. コールドウェルの議論は、カーズナーのように、ロビンズとホモ・エコノミクス

を直接結びつけるものではない。コールドウェル(1982 / 訳 1989)は、ロビンズの方法論的

立場を次のようにまとめている。

「…ライオネル・ロビンズの方法論的立場を言い換えるならば、次のようになろう:

経済学の基本的な一般法則は、実在に対する自明の命題である:目的は多数あり順序

づけることができる。手段と時間には限りがあり、それらは代替的に適用することが

できる。また、現在と未来の機会に関する知識は不完全ないし不確実であるので、期

待が重要性を持つ。この最後の困難を扱うために、合理性(選択における無矛盾性)

と完全な予見という説明のための仕組みが、実在への第 1 次近似となるような単純化

を行う仮定として、通常援用される。最後に、これらの基本的な公準は、現実世界の

条件を反映する補助公準と結びつけられ、経済理論の適用を可能にする。」(Caldwell

1982, p. 103 / 訳 p. 140)

コールドウェルは、ロビンズが論じた経済学方法論における基本的仮定に、財の希少性、個

1)「もちろん人間は、完全な知識の世界で機能しているわけではない。」(Kirzner 1973, p. 35 /

訳 1985, p. 42) 2)「完全知識の均衡世界から、不完全知識の不均衡世界へと、注意を移行させた場合には、も

はやロビンズ的な経済化の分析を通じて研究を行うことは不可能である。」(Kirzner 1973, p.

35 / 訳 1985, pp. 42-43)

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人的評価尺度、一つ以上の生産要素の存在、の 3 点を挙げた上で、これらの仮定には合理的行

動の仮定が含意されていないことを指摘している。そして、ロビンズの合理的行動を、心理的

快楽主義、貨幣獲得に限定された動機、あるいは倫理的に妥当な行為ではなく、「選択の無矛盾

性」―A が B より選好され、B が C より選好されるならば、A が C より選好されること―と

して解釈する(Caldwell, 1982 p. 101 / 訳 p. 138)。つまりコールドウェルは、ロビンズの合理

性概念を「選択の無矛盾性」と捉え、実在への第 1 次近似として通常援用される非現実的な仮

定の 1 つと位置づけたのである。

ここまでに述べたカーズナーとコールドウェルによるロビンズ理解は、次のように整理する

ことができる。ロビンズの言説に対し、カーズナーは経済人の仮定を、コールドウェルは選択

行為の無矛盾性の仮定を、それぞれ見出しているのである。それではロビンズの論述における、

経済人や選択行為の無矛盾性の仮定について検討したい。

Ⅲ. ロビンズの個人行動モデル

Ⅲ-1 個人行動と無矛盾性

『経済学の本質と意義』の中でロビンズは、「矛盾が無い consistent」行動という意味での合理

的行動の考察を行っている。

「…合理的という言葉がたんに『矛盾がない』ということを意味するものと解釈され

るかぎり、この種の仮定がまさしくある種の分析的構造にはいってくるということは

正しい。均衡状態においては分割可能な諸財の相対的重要さはそれらの価格〔の比〕

に等しい、という有名な一般法則は、もしわたくしが A を B より選好しかつ B を C

より選好するならば、わたくしはまた A を C より選好する、という意味においてお

のおのの最終の選択の間に相互に矛盾がないという仮定、要するに完全な均衡におい

ては、さらにそれ以上の「内部的裁定操作」(internal arbitrage operations)によって

利益を受ける可能性が全く排除される、という仮定をまさしく含んでいるのである。」

(Robbins 1935, pp. 91-92 / 訳 p. 139。〔 〕内は訳者による。)

これは、コールドウェルの解釈によるロビンズの合理性―選択の無矛盾性―を指している。

この引用文を見る限り、コールドウェルの見解は妥当である。しかしながら、ロビンズは、続

けて以下のように述べる。

「完全な合理性の仮定がこの種の構造にあらわれるということは全く正しい。しかし

ながら、経済学的一般法則は、行動に完全に矛盾がない事態の説明に限られる、とい

うのは正しくない。たとえ目的に矛盾があるとしても手段はその目的に関して希少で

あるかもしれない。交換・生産・変動―すべては、人々が自己のなしつつあることの

意味内容を完全には知っていない世界におこるのである。消費者の需要を最も完全に

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充足することと、関税あるいはこの種の障害によって外国商品の輸入を阻止すること

を同時に望むことはしばしば矛盾する(すなわちこの意味において不合理である)。

しかもそれはよくなされることである。この場合経済学はその結果生ずる事態を説明

する資格がない、とだれがいうであろうか?」(Robbins 1935, pp. 92-93 / 訳 pp.

140-141)

この引用文から明らかなように、ロビンズは、現実の行動に矛盾があることを認めている。

この意味で彼は、経済主体の行動規範の内に論理的な矛盾を含めて考えている。このように、

彼は選択の無矛盾性を意味する合理性概念を完全に否定したように考えられる。ただしロビン

ズは、選択の無矛盾性の想定を完全に拒絶せず、これを擁護する。

「もちろん、事実は、完全に矛盾がないという意味における完全な合理性の仮定は、

たんに、現実に対する接近の種々の段階において経済分析にもちこまれる、心理学的

性質をもった一群の仮定のうちの一つである、ということである。往々仮定するのが

便利な完全な予見というのは、同じような性質の仮定である。これらの仮定をする目

的は、現実の世界が、これらの仮定があらわれる構造と一致するという信念を助長す

ることにあるのではなく、むしろ現実の世界ではただ他の多くの傾向とともにのみ働

いているいくつかの傾向をきりはなして研究し、次にこのようにして得られた知識を

いっそう複雑な事態の説明に適用するため、比較と対照によって引き返すことを可能

ならしめるということにあるのである。」(Robbins 1935, pp. 93-94 / 訳 pp. 142-143)

このことから、選択の無矛盾性を意味する合理的行動は、経済学を構築していくための公理

として見なされる所与の前提ではなく、現実の経済現象を単純化して分析するための仮定と位

置づけることができる。換言すればロビンズは、「完全合理性や完全予見の仮定を積極的に取り

外そうとするのでなく、より複雑な事態を説明するための比較と参照のベンチマークとして、

これらの仮定を擁護することに終始している」(塩野谷 2009, p. 291)のである。

Ⅲ―2 経済学と経済人の仮定

ロビンズは、経済人の仮定を次のように位置づけている。

「もし経済人はたんに説明のための仕組―議論の展開のある段階においてきわめて

慎重に使用される第一次の近似であり、議論が完全に展開せられたときにはその手順

を正当化するためにいかなる形においてもかような仮定は用いられずまた必要とさ

れない―にすぎないということが一般に理解されているならば、それがかような普遍

的な妖怪であるということはありそうもないことである。」(Robbins 1932, p. 90 /

1935, p. 97 / 訳 pp. 147-148)

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このようにロビンズは、経済人としての個人行動モデルを積極的に採用しているとは言えな

い。この理由は、次のように明らかである。

「われわれは異なった財は異なった限界において異なった価値をもつと仮定するけ

れども、なぜこれらの個々の価値評価が存在するかを説明することは、われわれの問

題の一部と考えないのである。われわれはこれらの価値評価を所与と考える。われわ

れに関するかぎり、われわれの経済主体は、純粋の利己主義者・純粋の利他主義者・

純粋の禁欲主義者、純粋の官能主義者、あるいは―はるかにありそうなもの―これら

すべての衝動のまじりあったかたまりでありうる」(Robbins 1932, p. 87. / 1935, pp.

94-95. / 訳 pp. 143-144.)

ロビンズの考慮する経済主体は、利己主義に限らず、利他主義、及び禁欲主義等、あらゆる

価値評価の基準に沿って行動する可能性を持つ。個人が様々な基準に基づいて価値評価を行う

ために、価値評価の内容や、その結果としての行動は個人間で異なる可能性が高い。この意味

でロビンズにおける個人行動には個人間における異質性が重視されていると考えられる。他方、

経済人の概念は、各個人が自己の効用極大化傾向を持つという、個人間でのある種の同質性を

想定している。この同質性によって、例えば効用の個人間比較を用いた経済分析が可能となる。

ここに、経済学にホモ・エコノミクスを仮定する一つの意義があると考えられる。しかしロビ

ンズにおいては、効用の個人間比較は否定されている。このことからも、ロビンズが経済人の

仮定を積極的に採用していないことが明らかとなる。

小括

本節の検討によって、これまで指摘されてきた経済人の仮定や選択の無矛盾性の仮定は、ロ

ビンズの経済学方法論と必ずしも同一視できないことを確認することができた。それでは本節

が検討したロビンズの観点は、彼が影響を受けたと述懐するミーゼスやウィックスティードと

どのように関連しているのだろうか。

Ⅳ ミーゼスの個人行動モデル

本節は、ロビンズと同様な目的―手段概念を考慮する個人行動の類型として、ミーゼスの行為

理論を概観し、経済人の仮定や行動の無矛盾性の想定に対する観点を整理していく3。

ミーゼスは、「人間は行為する」という命題によって人間と他の哺乳動物を区別している

(Mises 1978 / 訳 p. 5.)。ここでの行為概念は、ミーゼスによって以下のように定義されてい

る。

3 ロビンズとミーゼスの合理性概念を中心とした対比については、田中啓太(2011)「L. ロビン

ズと「合理的経済人」をめぐって—方法論的個人主義の観点からー」(第 15 回進化経済学会名

古屋大会報告)を参照。

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「人間行為とは目的的行動を言う。換言すれば、行為とは、意思が実行されて手段に

変えられることであり、目的や目標を目指す事であり、刺激に対し、環境の諸条件に

対して自我が意味を伴った反応をする事であり、人間の生存を決定する宇宙の状態に

対する人間の意識的な調整である」(Mises 1949 / 1966 / 訳 1991, p. 35.)

「行為するとは、目的を追求すること、すなわち目的を選択肢、目的達成の手段に訴

えることである。」(Mises 1978 / 訳 p. 5.)

ミーゼスは、「行為」の概念そのものに、「目的—手段」関係が存在すると定義する。彼によ

ると、意識的な目的追求が存在することは「自明の真理」であり、「この認識の真実性は、A と

非 A の区別と同様に自明であり、人間精神に不可欠」(Mises 1978 / 訳 p. 6.)な事実である。

このようにミーゼスは、人間の精神的な作用である「目的—手段」関係を人間行為のアプリオ

リなカテゴリーとして位置づける。

また、「行為」の合理性について、ミーゼスは、「人間行為は必然的に合理的である」(Mises,

1966 / 訳 p. 43.)と述べる。「行為」の反対語として「当事者の意思によって制御出来ない身

体諸器官と本能が、刺激に対して示す反応」(Ibid. p. 44.)が挙げられていることから、「行為」

は植物的な反作用と対立する程度に合理的な行動である、とも表現出来るだろう。

こうした「行為」する主体は、完全知識や、行動の論理的な無矛盾性、経済人といった仮定

に限定されるような厳格な行動を規定されているわけはない。ミーゼスはこれらの概念に対し、

ロビンズと比較してより明確に否定的である。

「人間行為学と経済学は、すべての人が絶対に妥当な理念によって動かされ、科学技

術に関する完全な知識を持っていると仮定したときの人間の意味と行為は扱わない。

というのは、絶対的な妥当性や全知というような概念は、誤りを犯しやすい人間を対

象とする科学の枠組みの中には入る余地がない。」(Ibid. pp. 115-116.)

ミーゼスの「人間行為学」は、現実のあるがままの人間行為を扱うが故に、全知というより

もむしろ誤りを犯す人間を対象としている。ミーゼスによれば、「人間に全知は否定されている。」

(Ibid. p. 29.)のである。従って、「行為」の類型において、研究者によって恣意的に完全知識

を仮定する必要は無いのである。

また、「行為」にかかわる無矛盾性について次のように述べる。

「論理学的一貫性という概念(すなわち無矛盾)を人間行為学的一貫性という概念(す

なわち志操堅固ないし同じ原則への固執)と混同してはならない。・・・志操堅固と

合理性は全く別次元の概念である。ある人の価値評価が変化したのに、かつて抱いて

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いた行為原則を志操堅固のためにのみ根気強く守っているのならば、そのような行為

は合理的ではなくて、頑固に過ぎないであろう。・・・これに対して論理学的体系は

首尾一貫していなければならないし、矛盾のないものでなければならない。なぜなら、

全部分と全定理の共存を含意しているからである。行為をする場合には、必然的に時

間的順序があるから4、このような首尾一貫性はあり得ない。」(Ibid. p. 126.)

ここでミーゼスは、選択の無矛盾性を、人間行為における固執の意識と区別した上で、これ

を拒絶している。彼は、「人間の理性が無謬ではなく、手段を選択・利用する際に、しばしば誤

りを犯すということは事実である。求める目的に適しない行為は期待外れとなる。それは目的

に反するが合理的である。」(Ibid. p. 44.)と論じ、矛盾を持った行動であっても「行為」の合

理性は保持されると論じる。つまりミーゼスは、個人行動モデルに行動の無矛盾性を仮定して

いないのである。

更に彼は、経済人の仮定を明確に批判する。

「経済学を、ホモ・エコノミクスという理念型の行動を説明したものと解釈したのが、

ドイツの経済学的国家学の歴史学派とアメリカの制度学派の根本的誤りであった。こ

の学説によると、伝統的ないし正統派的経済学は、あるがままの、行為するがままの

人間の行動を扱わずに、仮構的仮定的人間像を扱う。それは、「経済的」動機、すな

わち最大限の物的ないし貨幣的利潤を獲得しようという意図によってのみ動かされ

ている存在を描いている。このような存在に対応するものは実在の中に存在していな

いし、また決して存在した事がなかった。」(Ibid. p. 85.)

「経済学は実在する人間の実在する行為を扱う。その定理が論じるのは、理想的人間

でも完全な人間でもなく、伝統的な経済人(ホモ・エコノミクス)という幽霊でも、

平均的人間という統計学的概念でもない。人間のすべての弱さと限界を持った者、生

きているままの、行為しているままの、あらゆる人間がカタクラティクスの主題であ

り、あらゆる人間行為が人間行為学のテーマである。」(Ibid. p. 659.)

このようにミーゼスは、経済人の仮定や行動の無矛盾性の想定に対して批判的である。ただ

しミーゼスの見解は、これらのミクロ経済学的な想定をある程度擁護したロビンズの見解と完

全に同じとは言えない。コールドウェルが指摘したようにロビンズは、これらの想定を完全に

拒絶したわけではないのである。

4 ミーゼスによれば、一個人において二つの行為は同時にはあり得ない。例えば、ある行為に

おいて a>b と選好し、別の行為において b>c と選好するとしても、a>b>c となる時間を通じた

普遍の価値順位は構成されない。ミーゼスは、一個人において非同時的な行為から抽象される

価値順位が矛盾する可能性を持つ、と述べる。(Mises 1966 / 訳 pp. 126.)また、原文では注

釈に P. H. ウィックスティードとロビンズの名が挙げられている。

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Ⅴ ウィックスティードの経済学

ロビンズのように、経済主体を純粋な利己主義者と同一視しない観点は、ウィックスティー

ドと共通のものであろう。このことは、Wicksteed(1933)におけるロビンズの序文からも明ら

かとなるであろう。

「ウィックスティードが著書を出す以前は、経済学の全体系というものは、自己中

心主義や快楽主義の動機によって刺激された経済人の世界という仮定のうえにたっ

ているとの見解に賛成することは、知識人にとっていまだ可能であった。本書を読ん

だ人にとっては、かかる見解の表明はもはや学問的誠実性と両立しない」(Robbins

1933, p. xxi)

ここには、ウィックスティード以前の経済学は快楽主義的な動機のみに従う経済人の仮定を

前提としていたと整理された上で、ウィックスティードの言説は経済人の仮定の上にたってい

ないことが述べられている。こうしたウィックスティードの立場は、The Common Sense of

Political Economy (1910 / 1933)において、次のように明確に述べられた。

「我々は、何が経済的な動機を構成するかではなく、何が経済的な関係を構成する

かについて考えなければならない。これによって、古い経済学の文献で広く扱われて

きた経済人(the Economic Man)という単純化された心理学的な仮定を放棄す

る。・・・我々は、たったいくつかの動機のみに駆られる想像上の人間ではなく、・・・

複雑な衝動や欲求―利己的か利他的か、または物質的か精神的かを問わず―に駆られ

る、我々が日常的に観察する人間を取扱う」(Wicksteed 1933, p. 4. ()は引用者による

原文の抜き出し。)

この部分に明らかなように、ウィックスティードは経済学の対象である人間の動機を利己的

なものに限定せず、利他的な動機も含めた複雑なものとして捉えている。従って、彼は、明ら

かに経済人の仮定を拒絶していると言える。つまりウィックスティードは、純粋な利己主義と

いう単純化された状態を仮定することを避け、あらゆる動機に影響される複雑な人間を経済学

の対象としているのである( Drakopoulos 2011, p. 465)。

またウィックスティードは、日常的に経験される人間の行動は矛盾しうるものであることを

指摘している。

「しかしながら、人間の選好が完全に無矛盾であることは恐らくないであろう。つ

まり、私が A を B より好み、B を C より好むとき、それは私が A を C より好むこと

を意味しない。ある人は、安いという理由でナイフのために1シリング払うことを望

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み、またそれが高いという理由でパンフレットのために1シリング払うことを拒むか

もしれないが、パンフレットかナイフかを直接選択する際に、彼はパンフレットを選

ぶかもしれない。つまり、彼は、ナイフを1シリングより好み、1シリングをパンフ

レットより好むが、パンフレットをナイフより好むことがありうるのである。」

(Wicksteed 1933, p. 33)

ここでウィックスティードは、3 つの財を巡る選好の推移関係が現実的に成り立たない例を

示した。このことは Steedman(1986)によっても、「ウィックスティードは、個人の選好体系が

常に推移的 transitive(ウィックスティードの用いた言葉は無矛盾 consistent)であると仮定

しなかった」(Steedman 1986, p. 296. ()は原文。) と指摘されている。従って彼は、経済主体

に対して選好の推移性が常に満たされる仮定を前提としていないのである。

Ⅵ 結論

本報告の検討から次のような内容を示唆することが出来る。本報告は、ロビンズとミーゼス、

ウィックスティードの類似性を、経済人の仮定と行動の無矛盾性の仮定に着目して検討した。

この検討から、ロビンズが自ら影響を受けたと述べるミーゼスとウィックスティードの言説は、

ロビンズの経済学方法論において、経済人の仮定や行動の無矛盾性の仮定を公理として採用し

ていない点で類似していると言える。こうした 3 者の類似性によって、O’Brien (1988)が、「ロ

ビンズの方法論的な仮定は古典派経済学によるものであり、…オーストリア学派の方法論もロ

ビンズのそれと酷似し、ミクロ経済学的な合理化は、ミーゼスやウィックスティードの影響が

ある」(O’Brien 1988, p. 24)と整理した、ロビンズの学問的基礎の多様性を裏付けるものであ

る。

また経済人の仮定を積極的に肯定しなかった 3 者の観点を考慮すると、ロビンズの経済学方

法論は現代ミクロ経済学の方法と必ずしも同一と言えない面がある。この点について塩野谷

(2009)は、「ロビンズは、サイモンが問題としたように、完全合理性や完全予見の仮定を積極的

に取り外そうとするのでなく、より複雑な事態を説明するための比較と参照のベンチマークと

して、これらの仮定を擁護することに終始している。合理的経済人の仮定も、単に説明のため

の道具に過ぎないと言う」(塩野谷 2009, p. 291.)と整理した上で、「このような擁護の仕方は、

彼の個人間効用比較の不可能性の主張とあいまって、彼を主流派経済学の傀儡とみなす偏った

解釈を生み出した」(Ibid. p. 291.)と指摘している。本報告による 3 者の共通点の指摘によっ

て、従来のような主流派経済学の枠組みにとらわれない、より多様なロビンズの経済学方法論

が明確となるであろう。そして、こうしたロビンズの見直しによって、現代の主流派経済学の

潮流を超えるような経済学の見方が 20 世紀初頭に存在したことが明らかとなるであろう。

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