日米欧における医薬品開発への大学等の寄与に関す...

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日米欧における医薬品開発への大学等の寄与に関する動向 平成 28年 7月 5日 ライフサイエンス委員会創薬研究戦略作業部会 (第 6 回) 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 戦略推進部 ※本資料は、平成28年4月21日開催の同作業部会(第4回)に提出した速報資料の最終版である。

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日米欧における医薬品開発への大学等の寄与に関する動向

平成 28年 7月 5日 ライフサイエンス委員会創薬研究戦略作業部会 (第 6 回) 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 戦略推進部

※本資料は、平成28年4月21日開催の同作業部会(第4回)に提出した速報資料の最終版である。

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資料2
Page 2: 日米欧における医薬品開発への大学等の寄与に関す …日米欧における医薬品開発への大学等の寄与に関する動向 平成 28年 7月 5日 ライフサイエンス委員会創薬研究戦略作業部会

1.調査の背景と目的 2.調査方法 (日・米・欧主要国) 3.調査結果 大学等及び大学等発ベンチャー企業 (アカデミア)における (1) アカデミア由来の医薬品/開発品の動向 (2) アカデミアが売り手のディールの動向 (3) アカデミアによる臨床試験の動向 4.調査における今後の課題 参考資料

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目次

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AMEDでは、創薬支援の一環として、「創薬支援技術基盤プラットフォーム事業」や 「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」を行い、大学、医療機関、公的研究機関 (以下、大学等と記す)や大学等発ベンチャー企業における研究成果の実用化を推進している。

今後の課題として、上記事業の成果を活かしつつ、大学等や大学等発ベンチャー企業が蓄積してきた基礎

研究・要素技術研究などの成果を、着実かつ迅速に医薬品開発に結び付けるための取組みを検討することが必要である。

上記課題に関する基礎データを得ることを目的として、既存の医薬関連データベースを用い、日米欧にお

ける大学等、及び大学等発ベンチャー企業(以下、アカデミアと記す)による医薬品開発の動向を調査した。

具体的には、2010年以降の(1)アカデミア由来*の医薬品/後期開発品の動向、(2)アカデミアが売

り手* *の創薬技術や創薬シーズに関わる取引状況の動向、(3)アカデミアによる臨床試験* * *の動向、の 3つの観点から状況分析することにより、実用化に至った、あるいは実用化に至る可能性が高い創薬シーズの収集・状況特徴の把握を試みた。

3

* Cortellis Competitive Intelligence(CCI)における“Originator Company“(創製者)に索引されている組織が、アカデミアである場合を指す。創製者は、医薬品の基本特許(主として物質特許)で判定されている(CCIの詳細は、25ページを参照のこと)。

**Recapにおける“Seller”(売り手)に索引されている組織がアカデミアである場合を指す(Recapの詳細は、25ページを参照のこと)。 ***原則として、Cortellis Clinical Trials Intelligence(CTI)における“Sponsor”(臨床試験を主導する組織)に索引されている組織がアカデミアである場合を指す(CTIの詳細は、 25ページを参照のこと)。

調査の背景と目的

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調査内容 調査対象国 調査対象 調査方法

(1) アカデミア由来の医薬品/開発品の動向

−全般 日本、米国、

欧州主要 5ヶ国(英、独、仏、伊、西)

2010年以降の上市済み医薬品及び2012年以降にフェーズ3以上となった開発品1,165品目**のうち、アカデミアを創製者***とする166品目

Cortellis Competitive Intelligence (以下、CCI)

2016年1月5日にデータ抽出。

− 希少疾病用医薬品

-優先審査指定医薬品

-画期的医薬品

(ファーストインクラス)

同上の166品目を、日米欧の各国別に評価****。

-上記のうち日本で開発履歴のある医薬品/開発品 34品目

-上記のうち米国で開発履歴のある医薬品/開発品 130品目

-上記のうち欧州*****で開発履歴のある医薬品/開発品 94品目

Cortellis Regulatory Intelligence (以下、CRI) 上記に加え、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)等のウェブサイト情報を適宜使用。

(2) アカデミアが売り手の 創薬技術や創薬シーズに関わる取引状況 (特許権使用許諾、資産買収、ジョイントベンチャー、特許の譲渡)の動向

日本、米国、

欧州主要 5ヶ国

アカデミアからの特許導出に関わるディール

-2010年~2015年に契約を締結したもの

-特許や資産の取引が関係しない共同研究やノウハウに関するものは対象外

対象特許件数 723件(うち、日本は19件)

Recap

2016年2月9日にデータ抽出。

(3) アカデミアによる臨床試験の動向

日本、米国、

北欧、西欧、

計 43ヶ国

アカデミアが主導する近年の臨床試験 12,121試験(2012年以降に終了、もしくは2015年に実施中の試験)

Cortellis Clinical Trials Intelligence(以下、CTI)

2016年1月5日にデータ抽出

調査対象機関:アカデミアとして大学等 (大学、医療機関、公的研究機関)及び大学等発ベンチャー企業 (1990年以降に設立*された、大学等からのスピンアウト企業 )。対照として、その他企業 (製薬企業等、民間発ベンチャー企業)。

4

***基本特許(物質、用途など)を基にしたCCI上の索引で、1医薬品/開発品につき1組織となる。 ****日米欧共通で開発・上市されている医薬品を含むため、各国の品目の合計値は166品目とならないことに留意。*****調査対象である欧州主要5か国。

調査方法(日・米・欧主要国)

*研究から医薬品上市までに20年かかると言われ、本調査対象となる医薬品上市年が2010年 以降であるため、1990年以降に設立された企業をベンチャーとして取り扱うこととした。 **医薬品/開発品全体の1,165品目は、アカデミア発、製薬企業等発、民間発ベンチャー企業発、その他由来不明から成る。医薬品/開発品には、イメージング剤も含まれる。

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1. アカデミア由来(大学等および大学等発ベンチャー企業が創製者)の医薬品/開発品は、「がん」が品目数・割合ともに最も多かった (43品目、疾患領域全体の21%)。

2. 次いで、アカデミア由来医薬品/開発品が占める割合が高い疾患領域をみると、「皮膚疾患・眼疾患」 (19品目、20%)、 「呼吸器疾患・耳鼻咽喉疾患・アレルギー疾患」(9品目、20%)であった。

3. 複数の疾患領域に該当するものとして別解析を行った「生活習慣病」はアカデミアの貢献はなく、「疼痛」についても極めて少なかった。一方で、「イメージング」のアカデミアの割合が高かった(53%)。

疾患領域別の医薬品/開発品の数* 生活習慣病、疼痛、イメージング領域における アカデミア由来の医薬品/開発品の数と割合**

大学等

大学等発

ベンチャー企業 その他企業 合計

感染症 14 7 155 176

がん 24 19 159 202

免疫系疾患・炎症性疾患・血液系疾患 3 2 54 59

内分泌代謝疾患 10 8 127 145

精神疾患・行動障害 2 3 48 53

末梢・中枢神経疾患 11 8 133 152

皮膚疾患・眼疾患 5 14 76 95

循環器疾患・腎疾患 3 7 56 66

呼吸器疾患・耳鼻咽喉疾患・アレルギー疾患 6 3 47 56

消化器疾患 4 1 41 46

筋骨格疾患 2 1 31 34

尿路・生殖器疾患 3 1 27 31

その他 3 2 45 50

90 76 999 1,165

5

60件中0件(0%) 49件中1件(約2%) 19件中10件(約53%)

*CCIデータ(2016年1月時点)。フェーズ3以上及び2010年以降上市医薬品、 医薬品/開発品の最高開発段階の適応症に対して1つ疾患領域を付与し、集計。

** CCIデータ(2016年1月時点)。フェーズ3以上及び2010年以降上市医薬品、生活習慣病(糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症)及び疼痛については、最高開発段階の適応症が生活習慣病もしくは疼痛であるものを抽出・集計。 なお、イメージングに分類される医薬品/開発品は、がん病巣等といった疾患部位の可視化などを目的に利用されている。

調査結果(1)アカデミア由来の医薬品/開発品の動向 −医薬品/開発品全体におけるアカデミア由来品の特徴(疾患領域等別、日米欧全体)−

生活習慣病 疼痛 イメージング

その他企業

60

100%

アカデミア由来

10

53%

その他企業

9

47%

アカデミア由来

1

2%

その他企業

48

98%

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1. アカデミア由来(大学等および大学等発ベンチャー企業が創製者)の医薬品/開発品は、品目数では、「低分子」薬が最も多いが (87品目)、同製品カテゴリ全体に占める割合は比較的少なかった (12%)。

2. 品目数では少ないものの、「核酸医薬」、「遺伝子治療」、「再生医療/細胞療法」ではアカデミア由来医薬品/開発品の割合が高く、それぞれ、26%、67%、46%であった。

「再生医療/細胞療法」では、大学等と大学等発ベンチャーとが同じ割合を占める (それぞれ 23%)。 「遺伝子治療」では、大学等は0件であったのに対し、大学等発ベンチャーが2件、67%を占める。

3. アカデミア由来医薬品/開発品の割合が最も低いのは「抗体医薬」であり、同製品カテゴリ全体に占める割合は約8%に留まった。

アカデミア由来医薬品/開発品が抗体医薬に占める割合が低いのは、抗 PD-1抗体の例で見られるように、アカデミアでのターゲット分子発見と医薬としての基本特許(物質特許)が結びつかないことによるものと考えられる。

製品カテゴリ別の医薬品/開発品数*

大学等

大学等発

ベンチャー企業 その他企業 合計

抗体医薬 5 5 104 114

核酸医薬 3 3 17 23

遺伝子治療 0 2 1 3

再生医療/細胞療法 7 7 17 31

ワクチン 15 9 88 112

低分子 49 38 666 753

ペプチド 6 8 59 73

その他生物製剤 13 11 71 95

6 * CCIデータ(2016年1月時点)。フェーズ3以上及び2010年以降上市医薬品、1医薬品/開発品に対して複数の製品カテゴリを付与し、集計した。

調査結果(1)アカデミア由来の医薬品/開発品の動向 −医薬品/開発品全体におけるアカデミア由来品の特徴(製品カテゴリ別、日米欧全体)−

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日本 米国 欧州

その他

22

65%

希少疾病用

医薬品指定

12

35%

その他

36

38%

その他

55

42%

希少疾病用

医薬品指定

75

58%

希少疾病用

医薬品指定

58

62%

1. アカデミア由来の希少疾病用医薬品は、米国と欧州ではアカデミア由来医薬品/開発品全体の約60%を占めるのに対して(それぞれ75品目、58品目中) 、日本では 12品目中 35%に留まった。

2012-2014年に承認された新薬(新規有効成分)全体では、希少疾病用医薬品の割合は米国では 40%弱、欧州では約20%に過ぎないことからも、欧米ではアカデミア創薬に占める希少疾病用医薬品の割合が高いことが特徴と言える(データ略)。

2. 疾患領域別集計では、欧米では「がん」、「内分泌代謝疾患」の順に希少疾病用医薬品指定数が共通して多い。一方日本においては、「内分泌代謝疾患」に最も多い6品目が指定されており、「がん」は 2品目が指定されているのみであった(データ略)。

3. 製品カテゴリ別集計では、日米欧共通で「低分子」薬の割合が最も高かった (日米欧それぞれにおける指定数全体の 43~46%、データ略)。

日米欧におけるアカデミア由来の希少疾病用医薬品の数と割合*

7 34件中12件(約35%) 130件中75件(約58%) 94件中58件(約62%)

* CCIデータ(2016年1月時点)。フェーズ3以上及び2010年以降上市医薬品を対象。希少疾病用医薬品に複数回指定されていても、1品目として集計。フェーズ 3以降のアカデミア由来医薬品/開発品として、日本 34品目、米国 130品目、欧州 94品目を分析。

調査結果(1)アカデミア由来の医薬品/開発品の動向 −アカデミア由来の希少疾病用医薬品の特徴(日米欧別)−

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1. 米国が、品目数と割合の双方で最多 (56品目、約44%)であり、一方日欧は品目数が少なかった (それぞれ3品目)。

2. 米国において疾患領域別に見ると、「がん」の指定数が最も多く(指定数22で、同国における指定数全体の約40%)、次に多い「内分泌代謝疾患」の約3倍の指定数であった(データ略)。

3. 米国において製品カテゴリ別に見ると、「低分子」薬が多かった (指定数29で、同国における指定数全体の50%超、データ略)。

日米欧におけるアカデミア由来の優先審査指定医薬品*の数と割合**

8 34件中3件(約9%) 130件中56件(約44%) 94件中3件(約3%)

*本分析ではCRIデータを基に、日本( 優先審査指定)、米国( Fast-track、QIDP、Breakthrough therapy)、欧州(Accelerated assessment)に指定されているものを優先指定医薬品とした。 ** CCIデータ(2016年1月時点)。フェーズ3以上及び2010年以降上市医薬品を対象。優先審査に複数回指定されていても、1品目として集計。フェーズ 3以降のアカデミア由来医薬品/開発品として、日本 34品目、米国 130品目、欧州 94品目を分析。1品目で、複数の適応疾患で優先指定されていても、1品目として集計。

調査結果(1)アカデミア由来の医薬品/開発品の動向 −アカデミア由来の優先審査指定医薬品の特徴(日米欧別)−

Fast-track/Breakthrough therapy 4 3%

欧州米国

Fast-track

46

35%

日本

その他

31

91%

優先審査

9%

その他

74

57% その他

31

91%

Accelerated assessment

3%

Breakthrough therapy

5

4%QIDP

1

1%

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1. 日米欧共通して、アカデミア由来医薬品/開発品の半数以上が画期的医薬品に該当した。

2. 品目数は米国が最多(76品目)、割合は日本が最も多かった(68%、但し、品目数は米国の約1/3)。

3. 疾患領域別では、欧米は「がん」が最多(米国 22品目、欧州 17品目)、日本では「がん」と「内分泌代謝疾患」が最も多かった (それぞれ 5品目、データ略)。

4. 製品カテゴリ別では、日米欧共通で「低分子」薬の割合が最も高かった(日米欧それぞれの全体の 42~51%、データ略)。

日米欧におけるアカデミア由来の画期的医薬品/改良型医薬品*の数と割合* *

9

34件中23件(約68%) 130件中76件(約58%) 94件中52件(約55%)

*本分析では、画期的医薬品とは、ファーストインクラスと同義であり、同じ対象疾患・同じ作用機序をもつ上市済み医薬品がない場合に当該医薬品とした。また、開発中(フェーズ3)の医薬品については、原則としてCCIでの作用機序および開発中の疾患情報に基づき、同作用機序・同適応症の医薬品の先行品が当該市場(日米欧)で上市されていない場合に画期的医薬品とした。 * * CCIデータ(2016年1月時点)。フェーズ3以上及び2010年以降上市医薬品を対象。優先審査に複数回指定されていても、1品目として集計。フェーズ 3以降のアカデミア由来医薬品/開発品として、日本 34品目、米国 130品目、欧州 94品目を分析。1品目で、複数の適応疾患で画期的医薬品であっても、1品目として集計。

調査結果(1)アカデミア由来の医薬品/開発品の動向 −アカデミア由来の画期的医薬品の特徴(ファーストインクラス、日米欧別)−

日本 米国 欧州

画期的医薬品

23

68%

改良型医薬品

11

32%

画期的医薬品

76

58%

改良型医薬品

54

42%

画期的医薬品

52

55%

改良型医薬品

42

45%

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1. 疾患領域について

① 大学等及び大学等発ベンチャー企業 (アカデミア)由来の医薬品/開発品は、日米欧共通の傾向として、疾患領域では 「がん」領域が数でも割合でも多く、次いで「皮膚疾患・眼疾患」 、「呼吸器疾患・耳鼻咽喉疾患・アレルギー疾患」で多かった。

② 各疾患領域に跨がるものとして別解析を行った 「生活習慣病」ではアカデミア由来医薬品/開発品は無く、「疼痛」についてもアカデミアの貢献は極めて少なかった。

一方で、「イメージング」については、アカデミア由来医薬品/開発品の割合が高かった。

2. 製品カテゴリについて

① 「低分子」薬の数が多かった。品目数では少ないものの、「核酸医薬」、「遺伝子治療」、「再生医療/細胞医療」では、 全体に占めるアカデミア由来医薬品/開発品の割合が高かった。

② 一方で、「抗体医薬」のアカデミア由来医薬品/開発品の割合は低かった。

アカデミア由来医薬品/開発品で抗体医薬の割合が低かった理由として、抗PD-1抗体の例で見られるように、アカデミアでのターゲット分子の発見と医薬としての基本特許 (物質特許)が結びつかないことにより、アカデミアが創製者として抽出されなかったためと考えられる。

競争が激しい領域において医薬品開発を進めていく際には、一層の戦略的アプローチが必要だと考えられる。

3. 希少疾病用医薬品について

① 欧米のアカデミア由来医薬品/開発品では、過去5年間に上市した医薬品およびフェーズ3に至った開発品のうち、希少疾病用医薬品の研究開発が全体の 60%前後を占めていたが、日本では 35%であった。

特に 2012-2014年に承認された新薬(新規有効成分)全体でみると、希少疾病用医薬品の割合は米国では 4割弱、欧州では約 2割に過ぎないことからも、欧米ではアカデミア創薬に占める希少疾病用医薬品の割合が高いことが 1つの特徴と言える。

10

調査結果(1)アカデミア由来の医薬品/開発品の動向−まとめ−

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253

4355

12

3

15

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

2010-2012 2013-2015

ジョイントベンチャー

(戦略的提携)

資産買収

特許権使用許諾

期間① 期間②

1. 全体のディール数 は、2010~2012年で 261件、2013~2015年で 462件で、1.7倍以上増加。

2. ディールタイプの内訳の大半が、特許権使用許諾であった。ジョイントベンチャーと資産買収は全体からみると件数は少ないが、2010~2012年に比べて2013~2015年では2倍以上に増加(それぞれ3件 ⇒15件、5件 ⇒12件に増加) 。

年代別ディールタイプの集計***

ディール計261件 ディール計462件

以降、 特許権使用許諾を対象に分析

*本調査の対象としたディールのタイプは、特許権使用許諾 (ライセンス、オプション契約、共同研究、共同開発)、資産買収、ジョイントベンチャー (戦略的提携)、特許の譲渡とした。特許権使用許諾のうち、共同研究は開発費の分担なし、共同開発は開発費用の分担ありで区別。

**特許や資産の取引を伴わない共同研究やノウハウに関するものは、対象外とした。

***Recap(2016年 2月時点)において、2010年以降の日米欧のアカデミアからの導出ディール(売り手がアカデミア)を対象。1ディールにつき1ディールタイプを付与。期間別・ディールタイプ別に集計。

****Recapは基本的に英語で公表されたディールを収録しているため、日本語でのみ公表されたディールに関しては収録されていない可能性が高いことに留意(2010年~2015年で日本のディールは19件収載されているが、この数は実際のディール数よりかなり少ないと考えられる)。

調査結果(2)アカデミアが売り手のディールの動向 −年代別集計(日米欧全体)−

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2010-2012 2013-2015 合計

感染症 34 40 74

がん 72 152 224

免疫系疾患・炎症性疾患・血液系疾患 13 28 41

内分泌代謝疾患 15 29 44

精神疾患・行動障害 2 3 5

末梢・中枢神経疾患 26 50 76

皮膚疾患・眼疾患 17 14 31

循環器疾患・腎疾患 5 5 10

呼吸器疾患・耳鼻咽喉疾患・アレルギー疾患 2 4 6

消化器疾患 4 5 9

筋骨格疾患 0 1 1

尿路・生殖器疾患 1 2 3

その他 62 102 164

253 435 688

1. 2010~2012年に比べると、2013~2015年では、「がん」領域のディール件数が2倍以上に増加 (72件から152件に増加)、ディール全体の約1/3を占めた。 2. ディール件数が2倍近く増加した領域は、「免疫系疾患・炎症性疾患・血液系疾患」、「内分泌代謝疾患」、 「末梢・中枢神経疾患」であった。

疾患領域別ディールの数*(特許権使用許諾に限定)

12 * Recapデータ(2016年 2月時点)。 2010年以降の日米欧のアカデミアからの導出ディール(売り手がアカデミア)を対象。1ディールにつき1疾患領域を付与。期間別・疾患領域別に集計。

調査結果(2)アカデミアが売り手のディールの動向 −疾患領域別(日米欧全体)−

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1. 「創薬シーズ」、「創薬探索技術」に関するディールが、全体の約 1/3を占めていた。 2. 2010~2012年に比べると、2013~2015年では、「創薬探索技術」に関するディールの増加が顕著(2.4倍)。

大学等では「創薬技術」に関するディールが多いのに対し、大学等発ベンチャー企業では「創薬シーズ」に関するディールが多かった。

大学等および大学等発ベンチャー別の取引対象** 取引対象(アセット)別ディールの数*

13

* Recapデータ(2016年 2月時点)。 2010年以降の日米欧のアカデミアからの導出ディール(売り手がアカデミア)を対象。1ディールにつき1取引対象(アセット)を付与。期間別・取引対象(アセット)別に集計。 特許権使用許諾に限定した集計であり、特許や資産の取引を伴わない共同研究やノウハウは対象外。

** Recapデータ(2016年 2月時点) 2010年以降の日米欧のアカデミアからの導出ディール(売り手がアカデミア)、1ディールにつき1取引対象(アセット)付与、組織別・取引対象(アセット)別に集計、特許権使用許諾に限定した集計、特許や資産の取引を伴わない共同研究やノウハウは対象外。

2010-2012 2013-2015 合計

創薬シーズのみ 103 139 242

創薬シーズとプラットフォーム技術又は研究の組み合わせ 13 10 23

創薬探索技術 62 148 210

創薬改変技術 2 2 4

創薬製造技術 10 10 20

その他創薬技術 63 126 189

253 435 688

調査結果(2)アカデミアが売り手のディールの動向 −取引対象(アセット)別(日米欧全体)−

大学等 大学等発ベンチャー企業

創薬シーズに関するディール

250

38%

創薬技術に関するディール

410

62%

創薬シーズに関するディール

15

54%

創薬技術に関するディール

13

46%

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1. 「低分子」(化合物、ライブラリー提供および合成方法)、 「診断」、「抗体医薬」の3技術で、ディール件数全体の 40%以上を占めた。 2. 特に、「診断」に関するディールでは増加率が高く、 2010~2012年に比べると 2013~2015年では6.6倍に 増加 (13件 ⇒48件)。 3. 「低分子」は2.3倍、「抗体医薬」も2倍に増加 (それぞれ59件 ⇒138件、16件 ⇒32件に増加)。

14

創薬技術別、年代別のディール数と割合*

*Recapデータ(2016年 2月時点)。2010年以降の日米欧のアカデミアからの導出ディール(売り手がアカデミア)を対象。 1ディールに複数創薬技術を付与したため、ディールの合計が多いことに留意。創薬技術別・年代別に集計。特許権使用許諾に限定した集計であり、特許や資産の取引を伴わない共同研究やノウハウは対象外。 **DDS:薬物送達システム(Drug Delivery System) *** ADC:抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate)

**

***

2010-2012 2013-2015 合計 合計%

低分子 59 138 197 28.6%

診断 13 48 61 8.9%

抗体医薬 16 32 48 7.0%

ワクチン 26 12 38 5.5%

バイオマーカ/コンパニオン診断薬 12 14 26 3.8%

DDS 8 16 24 3.5%

幹細胞療法 11 12 23 3.3%

細胞治療 8 14 22 3.2%

医療機器/装置 5 17 22 3.2%

ゲノミクス 7 14 21 3.1%

ターゲット探索 9 9 18 2.6%

遺伝子治療 5 11 16 2.3%

ペプチド 6 8 14 2.0%

遺伝子組み換え動物 0 8 8 1.2%

核酸医薬 4 2 6 0.9%

バイオインフォマティクス 1 3 4 0.6%

ジェネリック医薬品 2 2 4 0.6%

バイオシミラー 1 2 3 0.4%

アジュバント 2 0 2 0.3%

ADC 2 0 2 0.3%

その他 56 73 129 18.8%

調査結果(2)アカデミアが売り手のディールの動向 −創薬技術別(日米欧全体)−

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2010-2012 2013-2015 合計

基礎研究 64 152 216

前臨床 57 63 120

フェーズ1 6 8 14

フェーズ2 9 3 12

フェーズ3以上 5 3 8

1. 「基礎研究」段階でのディールが、全体の半数以上(58%)で、「前臨床」段階と合わせると、 全体の90%を占めた。 2. 2010~2012年に比べると、2013~2015年では「基礎研究」段階でのディールが顕著に増加(2.4倍)。

契約締結時の開発段階別、年代別ディールの数*

15

* Recapデータ(2016年 2月時点) 2010年以降の日米欧のアカデミアからの導出ディール(売り手がアカデミア)を対象。契約締結時の開発段階別・年代別に集計。特許権使用許諾に限定した集計であり、特許や資産の取引を伴わない共同研究やノウハウは対象外。但し、 1ディールにつき1開発段階(契約締結時)が付与されているが契約時の開発段階が不明・非該当の技術/製剤改良ディールは除いていることに留意。

調査結果(2)アカデミアが売り手のディールの動向 −契約締結時の開発段階別(日米欧全体)−

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大学等

4116%

大学等発ベ

ンチャー企

52%

ライセンス

オプション

以外

20782%

2010-2012

大学等

5011%

大学等発ベ

ンチャー企

31%

ライセンス

オプション

以外

38288%

2013-2015

1. 2010~2015年の間、全ディールの 15%前後を占めた。

2. 契約締結時期は、「基礎研究」での締結が 70%近くを占めており、次いで「前臨床」の割合が高い。

アカデミアのライセンスオプションの数と割合(年代別)* 導入時開発段階別のライセンスオプションの数と割合**

<ライセンスオプション契約>

ライセンサー(特許実施権許諾をする者)よりライセンシー(受ける者)に

対し、ある技術等の企業化の検討に必要な情報・資料などを提供・使用させ、

定められた期間(オプション行使の期間)内に当該する技術について主とし

てライセンス契約を締結するかどうかの選択権を与える契約。

16

アカデミアのライセンス オプションは46件(18%)

アカデミアのライセンス オプションは53件(12%)

*Recapデータ (2016年 2月時点)。 2010年以降の日米欧のアカデミアからの導出ディール(売り手がアカデミア)を対象。特許権使用許諾ディールに限定した集計。

** Recapデータ(2016年 2月時点) 2010年以降の日米欧のアカデミアからの導出ディール(売り手がアカデミア)を対象。ライセンスオプションディールに限定した集計。但し、 契約時の開発段階が不明・非該当の技術/製剤改良ディールは除いているため、左記のライセンスオプション数と一致しないことに留意。

2069%

27%

517%

14%

13%

2010-2012

23

68%

8

23%

2

6%

1

3%

2013-2015

基礎研究

リード化合物

前臨床

フェーズ1

フェーズ2

フェーズ3

調査結果(2)アカデミアが売り手のディールの動向 −ライセンスオプション契約の動向(日米欧全体)

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1. 疾患領域別では、「がん」領域の位置づけが高い一方で、「免疫系疾患・炎症性疾患・血液系疾患」、「内分泌代謝疾患」、「末梢・中枢神経疾患」に関するディールの増加が注目された。

2. 製品カテゴリー別では、「低分子」(化合物、ライブラリー提供および合成方法)、「診断」、「抗体医薬」に関する3技術で、ディール件数全体の40%以上を占めた。

3. 契約締結時期は、「基礎研究」および「前臨床」段階が中心であったが、近年は「基礎研究」段階で契約締結する傾向が強まっていた。

4. ライセンシーのリスク回避策の一手段として、「ライセンスオプション契約」が15%程度用いられていた。その殆どは、「基礎研究」段階から「前臨床」までの早期開発段階にあるものであった。

5. 日本のディールは、19件で、全体の2.8%に過ぎなかった。この数値は、実数(不明)より明らかに少ないと考えられることから、本調査結果は主として欧米のディール動向である点に留意が必要。

17

調査結果(2)アカデミアが売り手のディールの動向−まとめ−

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1. アカデミア主導の臨床試験は、アカデミア以外(その他企業)の主導を含む臨床試験全体の3分の1以下であった。

2. 米国は、アカデミア主導の臨床試験の数が最も多く、かつフェーズ 1; 1/2、と2において最大規模であった。

3. 欧州のアカデミア主導臨床試験において、フェーズ2は米国の半分以下ではあるが、フェーズ2/3; 3は最も多く、フェーズ2とほぼ同程度であった。

4. 日本のアカデミア主導臨床試験は、どのフェーズにおいても最も少なかった。

18

*CTIデータ(2016年 1月時点)。2012年以降に終了した臨床試験及び2015年末時点で実地中とみなされる臨床試験の中で、日米欧**に所在地を持つアカデミアが主導した臨床試験を対象***。国別・フェーズ別に集計、但し、同じ臨床試験が3極にわたって実施されている場合は、各国で重複集計となる点に留意。

**臨床試験での欧州の範囲については、北欧および西欧を対象とし、対象国は国連の地域分類に準拠し、東欧10ヶ国を除外した43ヶ国である。

*** 原則として、CTIのSponsor欄に日米欧のアカデミアがある場合としている。しかし、Sponsor欄が空欄である場合は、Collaborator欄に日米欧のアカデミアであれば採用した。

****CTIでは、日本の臨床試験情報として、Japic(日本医薬情報センター)、UMIN(大学病院医療情報ネットワーク)、JMACCT(日本医師会治験促進センター)の臨床試験登録システムに登録された情報を収載。従って、未登録の医師主導の臨床研究は、対象外であることに留意。

*****健常人を対象にしたフェーズ1臨床試験は、欧米においても登録されていない場合があることに留意。

フェーズ別の臨床試験数集計*

調査結果(3)アカデミアによる臨床試験の動向 −フェーズ別−

4,104

16,077

13,399

82

433

148

1,275

4,623

1,380

454

1,956

1,792

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

フェーズ 1; 1/2

フェーズ 2

フェーズ 2/3; 3

アカデミア以外

日本

米国

欧州

アカデミア主導

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疾患領域別、開発段階別臨床試験数*

1. アカデミア主導臨床試験は「がん」領域が全体の約50%を占めて最多、うちフェーズ2の割合が最多(67%)。

2. 「循環器疾患・腎疾患」領域は2番目に多いものの、「がん」の約1/8の規模であった。

AMED_TA フェーズ 1; 1/2 フェーズ 2 フェーズ 2/3; 3 合計 合計%

感染症 97 344 271 712 5.9%

がん 1034 4,120 938 6092 50.3%

免疫系疾患・炎症性疾患・血液系疾患 109 327 162 598 4.9%

内分泌代謝疾患 97 311 258 666 5.5%

精神疾患・行動障害 75 407 244 726 6.0%

末梢・中枢神経疾患 106 445 306 857 7.1%

皮膚疾患・眼疾患 50 143 141 334 2.8%

循環器疾患・腎疾患 114 373 458 945 7.8%

呼吸器疾患・耳鼻咽喉疾患・アレルギー疾患 36 184 148 368 3.0%

消化器疾患 31 149 117 297 2.5%

筋骨格疾患 22 105 105 232 1.9%

尿路・生殖器疾患 23 61 107 191 1.6%

その他 99 355 211 665 5.5%

19

*CTIデータ(2016年 1月時点)。 2012年以降に終了した臨床試験及び2015年末時点で実地中とみなされる臨床試験の中で、日米欧**に所在地を持つアカデミアが主導した臨床試験が対象***。疾患領域別・フェーズ別に集計、但し、疾患領域は1臨床試験に複数付与されている場合があることに留意。

**臨床試験での欧州の範囲については、北欧および西欧を対象とし、対象国は国連の地域分類に準拠し、東欧10ヶ国を除外した43ヶ国である。

*** 原則として、CTIのSponsor欄に日米欧のアカデミアがある場合としている。しかし、Sponsor欄が空欄である場合は、Collaborator欄に日米欧のアカデミアであれば採用した。

調査結果(3)アカデミアによる臨床試験の動向 −疾患領域別、開発段階別(日米欧全体)−

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1. アカデミア主導臨床試験は「低分子」薬が全体の60%を占め、「抗体医薬」、「ペプチド」、「その他生物製剤」の順に試験数が多かった。

2. 「遺伝子治療」、「再生医療/細胞治療」、「核酸医薬」で、フェーズ1の割合が高い傾向が見られた(それぞれ同製品カテゴリ全体に占める割合は 58%、41%、37%)。

製品カテゴリ別・開発段階別臨床試験数*

フェーズ 1; 1/2 フェーズ 2 フェーズ 2/3; 3 合計 合計%

抗体医薬 310 1,368 323 2,001 16.5%

核酸医薬 11 13 6 30 0.2%

遺伝子治療 29 18 3 50 0.4%

再生医療/細胞療法 45 60 4 109 0.9%

ワクチン 80 189 33 302 2.5%

低分子 1,019 4,428 1,766 7,213 59.5%

ペプチド 132 442 218 792 6.5%

その他生物製剤 124 459 162 745 6.1%

20

* CTIデータ(2016年 1月時点)。2012年以降に終了した臨床試験及び2015年末時点で実地中とみなされる臨床試験の中で、日米欧**に所在地を持つアカデミアが主導した臨床試験を対象***。製品カテゴリ別・フェーズ別に集計、但し、製品カテゴリは1臨床試験に複数付与されている場合があることに留意。

**臨床試験での欧州の範囲については、北欧および西欧を対象とし、対象国は国連の地域分類に準拠し、東欧10ヶ国を除外した43ヶ国である。

*** 原則として、CTIのSponsor欄に日米欧のアカデミアがある場合としている。しかし、Sponsor欄が空欄である場合は、Collaborator欄に日米欧のアカデミアであれば採用した。

調査結果(3)アカデミアによる臨床試験の動向 −製品カテゴリ別、開発段階別(日米欧全体)−

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1. ランダム化比較試験(RCT)が、アカデミア主導臨床試験全体の半数以上を占めた(6,521試験、54%)。

2. 疾患領域別では、「がん」領域のRCT数が最多(1,993試験)で、次いで「循環器疾患・腎疾患」(781試験)、

「末梢・中枢神経疾患」(702試験)の順であった。

3. 疾患領域別の割合をみると、「精神疾患・行動障害」(89%)が最も高く、次いで「循環器疾患・腎疾患 」(83%)、「末梢・中枢神経疾患」(82%)の順であった (データ略)。

疾患領域別ランダム化比較試験数**

ランダム化比較試験の全体数と割合* ランダム化

比較試験

非ランダム化

比較試験

その他試験

(非盲検試験を含む)合計

感染症 503 98 111 712

がん 1,993 1,717 2,382 6,092

免疫系疾患・炎症性疾患・血液系疾患 318 122 158 598

内分泌代謝疾患 465 84 117 666

精神疾患・行動障害 644 23 59 726

末梢・中枢神経疾患 702 72 83 857

皮膚疾患・眼疾患 238 37 59 334

循環器疾患・腎疾患 781 52 112 945

呼吸器疾患・耳鼻咽喉疾患・アレルギー疾患 295 38 35 368

消化器疾患 202 31 64 297

筋骨格疾患 177 22 33 232

尿路・生殖器疾患 153 12 26 191

その他 366 113 186 665

21

*, ** CTIデータ(2016年 1月時点)。 2012年以降に終了した臨床試験及び

2015年末時点で実地中とみなされる臨床試験の中で、日米欧**に所在地を持つ

アカデミアが主導した臨床試験を対象***。但し、疾患領域は1臨床試験に複数付与されている場合があることに留意。

**臨床試験での欧州の範囲については、北欧および西欧を対象とし、対象国は国連の地域分類に準拠し、東欧10ヶ国を除外した43ヶ国である。

*** 原則として、CTIのSponsor欄に日米欧のアカデミアがある場合としている。しかし、Sponsor欄が空欄である場合は、Collaborator欄に日米欧のアカデミアであれば採用した。

非ランダム化比較試験

2,318

19%

ランダム化比較試験

6,521

54%

その他試験

(非盲検試験を含む)

3,282

27%

調査結果(3)アカデミアによる臨床試験の動向 −ランダム化比較試験 (日米欧全体)−

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1. 日本のアカデミア主導臨床試験の98%が日本で実施されており、米国などで実施されているが限定的であった。

2. 米国のアカデミア主導臨床試験の95%が米国で実施されており、残りはカナダなどがあるが数は限られていた。

3. 欧州(東欧を除く)のアカデミア主導臨床試験は、EU主要5カ国を中心に実施されているが、その他の欧州諸国 など広い地域で実施されていた(データ略)。

臨床試験数 割合

大学等 大学等

臨床試験実施国 大学 大学+企業 大学発ベンチャー 大学 大学+企業 大学発ベンチャー

日本 650 7 0 98% 1% 0%

米国 6 1 2 1% 0% 0%

英国 6 0 0 1% 0% 0%

ヨーロッパ 4 0 1 1% 0% 0%

スペイン 3 1 1 0% 0% 0%

アジア 4 0 0 1% 0% 0%

オーストラリア 4 0 0 1% 0% 0%

ベルギー 3 0 1 0% 0% 0%

韓国 3 1 0 0% 0% 0%

カナダ 2 0 1 0% 0% 0%

デンマーク 2 0 1 0% 0% 0%

ドイツ 2 1 0 0% 0% 0%

アイルランド 3 0 0 0% 0% 0%

イタリア 2 1 0 0% 0% 0%

北アメリカ 2 0 1 0% 0% 0%

ポーランド 1 1 1 0% 0% 0%

スウェーデン 2 0 1 0% 0% 0%

日本 臨床試験数 割合

大学等 大学等

臨床試験実施国 大学 大学+企業 大学発ベンチャー 大学 大学+企業 大学発ベンチャー

米国 6752 36 112 93% 0% 2%

カナダ 307 5 26 4% 0% 0%

オーストラリア 82 2 11 1% 0% 0%

プエルトリコ 87 0 1 1% 0% 0%

英国 50 5 26 1% 0% 0%

ドイツ 37 5 25 1% 0% 0%

南アフリカ 53 3 1 1% 0% 0%

イタリア 37 5 12 1% 0% 0%

フランス 19 5 18 0% 0% 0%

スペイン 23 5 13 0% 0% 0%

臨床試験数 割合

大学等 大学等

臨床試験実施国 大学 大学+企業 大学発ベンチャー 大学 大学+企業 大学発ベンチャー

フランス 976 14 6 23% 0% 0%

英国 701 13 5 17% 0% 0%

ドイツ 685 21 6 16% 0% 0%

イタリア 558 10 5 13% 0% 0%

スペイン 456 7 3 11% 0% 0%

オランダ 340 14 3 8% 0% 0%

ベルギー 301 10 4 7% 0% 0%

デンマーク 245 5 0 6% 0% 0%

スイス 225 3 1 5% 0% 0%

オーストリア 198 6 2 5% 0% 0%

米国 欧州

22

各国のアカデミア主導臨床試験の実施国ランキング(上位国)*

* CTIデータ(2016年 1月時点)。 2012年以降に終了した臨床試験及び2015年末時点で実地中とみなされる臨床試験の中で、日米欧**に所在地を持つアカデミアが主導した臨床試験を対象***。国別・フェーズ別に集計、但し、同じ臨床試験が3極で重ねて実施されている場合は、各国で重複集計となる点に留意。

**臨床試験での欧州の範囲については、北欧および西欧を対象とし、対象国は国連の地域分類に準拠し、東欧10ヶ国を除外した43ヶ国である。

*** 原則として、CTIのSponsor欄に日米欧のアカデミアがある場合としている。しかし、Sponsor欄が空欄である場合は、Collaborator欄に日米欧のアカデミアであれば採用した。

調査結果(3)アカデミアによる臨床試験の動向−実施国(日米欧別)−

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1. アカデミア主導の臨床試験を開発段階別にみると、POCを取得するフェーズ2の臨床試験が多かった。

2. 日米欧3極でのフェーズ別の臨床試験数を比較すると、日本は全フェーズにおいても最も少なく、米国は全般的に多かった。欧州はフェーズ2は米国の半分以下の試験数ではあるが、フェーズ2/3およびフェーズ3は最も多く、フェーズ2とほぼ同程度の臨床試験数である点が特徴的であった。

バイオベンチャーが多い米国では、アカデミアでフェーズ2の間にPOCが確立すると企業へ導出される一方、欧州ではアカデミアでフェーズ3まで実施する傾向が米国よりも強いことが考えられる。

3. 疾患領域別では、日米欧の共通点として「がん」領域の位置づけが最も高かった。

4. 製品カテゴリー別では 「低分子」薬が多かった。

5. 臨床試験実施国を見ると、臨床試験主導組織の所在国内で臨床試験の大半が実施されているものの、欧州のアカデミアは、欧州圏を越えて実施していた。日本の場合は、少ないながら米国での実施が2番目に多かった。

23

*原則として、CTIのSponsor欄に日米欧のアカデミアがある場合としている。しかし、Sponsor欄が空欄である場合は、Collaborator欄に日米欧のアカデミアであれば採用した。

調査結果(3)アカデミアによる臨床試験の動向−まとめ−

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ディールについて、日本のデータは欧米と比べると著しく少なく、日米欧のデータが等分に得られなかったため、三極を厳密に比較することは出来なかった。今後、アンケート調査やインタビュー調査等を通じて積極的にアカデミアのディール情報を大学TLO等より収集し、日本の実態を把握する必要があると考えられる。

抗 PD-1抗体の例で見られるように、アカデミアでのターゲット分子(PD-1)の発見と、医薬としての基本特許 (ヒト化抗体に関する物質特許)が結びつかない場合、本調査ではアカデミアが創製者として抽出されなかった。アカデミアのターゲット分子発見が、医薬の基本特許に結びつくまでに時間を要する場合、こうした例が生じうると考えられ、そのプロセスを明らかにするための詳細な事例調査が必要と考えられる。

アカデミア主導の臨床試験について、日米欧における傾向の違いが一部明らかになった。その理由を明らかにするためには、臨床試験に関する基盤整備の状況等について、更に詳細な調査が必要と考えられる。

24

考察

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<参考>本調査で使用したデータベース等

25

上記は全て、トムソン・ロイター社のデータベース。 上記データベースに加え、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所(NIBIO)のウェブサイト情報を適宜使用。

データベース名 収録情報概要 特徴

CORTELLIS COMPETITIVE INTELLIGENCE

(CCI)

医薬品競合情報 医薬品、特許、文献、企業情報、 臨床試験、ディール、学会・研究会、プレスリリースなど

世界中の医薬品に関する情報を収録し、包括的な競合情報をワンストップで提供する医薬品に特化したデータベース。3年前より、日本語のみの情報についても日本語の分かる編集者が索引付けをしている。

CORTELLIS CLINICAL TRIALS

INTELLIGENCE (CTI)

臨床試験競合情報 臨床試験、学会・研究会、文献、 プレスリリースなど

20,000以上の情報源から世界中の 医薬品、医療機器、バイオマーカの臨床試験情報を収集し、適応症や適格基準などユニークな情報を提供。23万件を超す臨床試験情報は、全世界で同一の基準で収録されている。 日本でカバーしているレジストリ:Japic、UMIN、JMACCT

CORTELLIS REGULATORY

INTELLIGENCE (CRI)

薬事規制情報 各国の規制要件比較、規制文書、 規制変更モニタリング、など

国ごとに異なる規制関連項目や要件を抽出・リスト化した一覧表、優先審査指定医薬品情報などを収録したリストも提供している。日本における申請・承認の情報は、1994年以降から収録し、2007年以降はPMDAの発表に準拠している。

RECAP 包括的なディール情報 ディール金額、企業名、疾患エリア、アライアンス開発ステージ、など

1973年以降の40,000件を超すディール情報を収録し、医薬品だけでなく、医療機器、ジェネリックなどのディールを幅広く提供するデータベース。米国については、SEC filingsや契約書原文コピーも収録している。

*英語以外の現地言語、例えば日本語でのみ発表されているディール情報については、収録されていない。

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<参考>本調査における疾患領域分類

疾患分類名* 特記事項

感染症 寄生虫症、ワクチンなど

がん

免疫系疾患・炎症性疾患・血液系疾患 呼吸器アレルギーは含まない

内分泌代謝疾患 糖尿病合併症を含む

精神疾患・行動障害

末梢・中枢神経疾患 痛みを含む

皮膚疾患・眼疾患

循環器疾患・腎疾患

呼吸器疾患・アレルギー疾患・耳鼻咽喉疾患 呼吸器感染症は含まない

消化器疾患

筋骨格疾患

尿路・生殖器疾患

その他 がん以外の新生物等

別解析: 生活習慣病(糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症)、疼痛、医療イメージング**

*上記疾患分類にあたり、国際疾病分類ICD-10、FDAの諮問委員会の情報を参考にした。 **複数の疾患領域に該当し、かつ医療ニーズが高まっている疾病や症状として、生活習慣病と疼痛を別解析した。 加えて、FDAで諮問委員会が設置され(Medical Imaging Drugs Advisory Committee)、注目が高まっている医療イメージングについて、別解析した。 26

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<参考>本調査における製品カテゴリ分類

製品カテゴリ 特記事項

抗体医薬 抗体医薬(抗体/低分子複合体を含む)

核酸医薬 アンチセンス、RNAiなど

遺伝子治療 遺伝子導入を伴う治療法

再生医療/細胞治療 細胞導入を伴う治療法

ワクチン 予防用又は治療用のワクチン

低分子化合物 低分子医薬品

ペプチド医薬 3-50のアミノ酸の配列の場合 ※50を超える場合はタンパクとしてその他に分類

その他生物製剤 組換えタンパク等の医薬品

27

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<参考>調査方法詳細ー医薬品/開発品分析①ー

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調査内容 調査対象国 調査対象 調査方法

(1) アカデミア由来の医薬品/開発品の動向

−全般 日本、米国、

欧州主要 5ヶ国(英、独、仏、伊、西)

2010年以降の上市済み医薬品及び2012年以降にフェーズ3以上となった開発品1,165品目*のうち、アカデミアを創製者**とする166品目

Cortellis Competitive Intelligence (CCI)

2016年 1月5日にデータ抽出。

− 希少疾病用医薬品

-優先審査指定医薬品

-画期的医薬品

(ファーストインクラス)

同上の166品目を、日米欧の各国別に評価。

-上記のうち日本で開発履歴のある医薬品/開発品 34品目

-上記のうち米国で開発履歴のある医薬品/開発品 130品目

-上記のうち欧州で開発履歴のある医薬品/開発品 94品目

Cortellis Regulatory Intelligence (CRI) 上記に加え、PMDA、FDA、EMAのウェブサイト情報を適宜使用。

医薬品分析における調査内容概要

医薬品分析における対象医薬品の定義

調査対象機関は大学等(大学、医療機関、公的研究機関)及び大学等発ベンチャー企業(1990年以降に設立***)が創製者(CCIでは、Originatorと表現されている)

フェーズ3以降の医薬品であること

日米欧(欧州は、EU5(英、独、伊、仏、西))で開発・上市されていること

フェーズ3については、日米欧(EU5)において、2012年以降に実施中のフェーズ3があること(現在において活動があると推定できるもの)

上市済み医薬品については、日米欧(EU5)において、2010年以降に上市されていること(それ以前は除外)

他適応症で上市されていないこと

バイオシミラー、併用療法でないこと

日付が記載されていないものは除外

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*医薬品/開発品全体の1,165品目は、アカデミア発、製薬企業等発、民間発ベンチャー企業発、その他由来不明から成る。 **基本特許(物質、用途、製剤特許など)を基にしたCCI上の索引で、1医薬品/開発品につき1組織となっている。 ***研究から医薬品上市までに20年かかると言われており、本調査対象となる医薬品上市年が2010年以降であるため、1990年以降に設立された企業をベンチャーとして取り扱うこととし、それ以前に設立されているものを製薬企業とした。また、民間発ベンチャー企業と製薬企業を「その他企業」とした。

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<参考>調査方法詳細ー医薬品/開発品分析②ー

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調査対象の絞込方法

↓CCIを用いて、日米欧において現在フェーズ3以上の医薬品情報を取得した

↓日米欧の上市品に関しては、2010年以降に上市した医薬品のみを対象とした

↓フェーズ3は、2012年以降にフェーズ3となったもののみを対象とした

(中断したフェーズ3を除き、アクティブなフェーズ3を対象とする為)

↓この段階で、1,165医薬品/開発品が調査対象となった

↓各医薬品の最高開発段階の適応症(Indication)に対して、

AMED指定の疾患領域、製品カテゴリを付与した。

↓創製者のアカデミア・企業判定*と所在地の調査

↓大学、医療機関、公的研究機関は大学等とした

↓それ以外の企業については、右のツリー図の通りに分類**した

↓この段階で、1,165医薬品/開発品のうち166医薬品/開発品***が

アカデミア由来医薬品/開発品

↓各種基礎集計を実施

オリジネーター組織

医療機関/公的研究機関 その他の民間企業

製薬企業ベンチャー企業

大学等発 その他

大学等 大学等発ベンチャー企業 その他ベンチャー企業 製薬企業

企業の由来

設立1990年以降

*研究から医薬品上市までに20年かかると言われており、本調査対象となる医薬品の上市年が2010年以降であるため、逆算して1990年以降に設立された企業をベンチャーとして取り扱うこととし、それ以前に設立されているものを製薬企業とした。

**大学等(大学、医療機関、公的研究機関)及び大学等発ベンチャーを「アカデミア」、民間発ベンチャー企業と製薬企業を「その他企業」とした。また分類の際に、企業の設立年や企業の由来が不明であった企業については、「その他企業」として扱った。 ***166医薬品/開発品については、表「アカデミア・企業判定の分類内訳」に詳細を記載した。

大分類 創製者カテゴリ 創製者カテゴリの説明 機関数 医薬品数

アカデミア由来

大学等 病院を含む創薬に関わる公的研究機関 74 90

大学等発ベンチャー 公的研究機関のスピンアウト企業 72 76

その他企業

民間発ベンチャー 民間発の企業 47 62

製薬企業等 バイオ医薬品企業等 265 563

由来不明 上記4カテゴリに分類できないもの 306 374

764 1,165

アカデミア・企業判定の分類内訳

オリジネーター組織判定ツリー図

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<参考>調査方法詳細ー医薬品/開発品分析③ー

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調査対象の詳細調査・分析

↓アカデミア由来の166医薬品/開発品についての詳細調査・分析を実施した

・希少疾病用医薬品の指定の有無の調査・分類

日本:PMDA、厚生労働省およびNIBIO*等のウェブサイトで特定

米国:FDAのウェブサイトで特定

欧州:EMAのウェブサイトで特定

・画期的医薬品** /改良型医薬品であるかの調査・分類

CCIのDrug reportに収録されている情報

ファーストインクラスのレビュー論文

各医薬品の承認時のニュースやプレスリリース

・通常審査/優先審査指定医薬品であるかの調査・分類

CCIのDrug reportに収録されている情報

CRIに収録されている申請・承認関連情報

各当局(PMDA, FDA, EMA)の医薬品の承認情報

*NIBIO:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所 **開発中(フェーズ3)の医薬品については、原則としてCCIの作用機序および開発中の疾患情報に基づき、同作用機序・同適応症の医薬品の先行品が当該市場(日米欧)で上市されていない場合に画期的医薬品とした。

各医薬品について、各国での希少疾病用医薬品指定(フェーズ3以上及び上市された医薬品を含む)状況を調査。医薬品によっては複数回指定される場合がある。

各医薬品について、各国での画期的医薬品(フェーズ3以上及び上市された医薬品を含む)状況を調査。医薬品によっては3極にわたっている場合もある。

各医薬品について、各国での優先審査指定医薬品(フェーズ3以上及び上市された医薬品を含む)状況を調査。医薬品によっては複数回指定される場合がある。

Page 31: 日米欧における医薬品開発への大学等の寄与に関す …日米欧における医薬品開発への大学等の寄与に関する動向 平成 28年 7月 5日 ライフサイエンス委員会創薬研究戦略作業部会

<参考>調査方法詳細ーディール分析ー

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ディール分析における対象ディールの定義

調査対象ディールは大学等(大学、医療機関、公的研究機関)及び大学等発ベンチャー企業(1990年以降に設立)が売り手のディール*(RecapではSellerもしくはBuyerと表現されている)

Recapに収録**されていて、2010年以降に締結されたディールであること

日米欧(欧州は、EU5(英、独、伊、仏、西))の機関のディールであること

下記表のタイプに該当するディール***であること

ディール分析における調査内容概要

調査内容 調査対象国 調査対象 調査方法

(2) アカデミアが売り手の 創薬技術や創薬シーズに関わる取引状況 (特許権使用許諾、資産買収、ジョイントベンチャー、特許の譲渡)の動向

日本、米国、

欧州主要 5ヶ国

アカデミアからの特許導出に関わるディール

-2010年~2015年に契約を締結したもの

-特許のないノウハウに関するものは対象外

対象特許件数 723件 (日本の組織19件)

Recap

2016年 2月9日にデータ抽出。

特許権使用許諾(License)

ライセンス(Basic License 《Licensee takes over》)

ライセンスオプション(License Option《Option to take a license》)

共同研究****(Collaboration 《Shared responsibilities》)

共同開発****(Co-Development/Co-Development Option)

資産買収(Asset purchase)

ジョイントベンチャー[戦略的提携](Joint Venture)

特許の譲渡(IP Only)

*索引に加えて、ディール情報から目視確認により売り手を判別した。

** Recapは基本的に英語のディールを収録しているため、日本語での契約に関しては収録されていない可能性が高く、この数値を持って、日本のディール数が少ないと結論づけることはできない。

***すべてのディールについて、契約上の独占権(Exclusivity)および調査時点までのオプション権の行使有無、ディールの継続状況は考慮していない。

****共同研究は開発費の分担なし、共同開発は開発費用分担あり。通常は開発段階、承認申請時のマイルストーン金額や販売時のロイヤリティ契約が伴う。

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調査内容 調査対象国* 調査対象 調査方法

(3) アカデミアによる臨床試験の動向

日本、米国、

北欧、西欧、

計 43ヶ国

アカデミアが主導する臨床試験 12,121試験

(2012年以降に終了、もしくは2015年に実施中の試験)

Cortellis Clinical Trials Intelligence(CTI)

2016年 1月5日にデータ抽出

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臨床試験分析における調査内容概要

<参考>調査方法詳細ー臨床試験分析ー

臨床試験分析における対象臨床試験の定義

調査対象臨床試験は大学等(大学、医療機関、公的研究機関)及び大学等発ベンチャー企業(1990年以降に設立)が主導して実施した臨床試験(CTIでは、Sponsorとして表現されている)

開発段階がフェーズ1/2、フェーズ2(2、2a、2b)、フェーズ3(3、3a、3b)であること

日米欧*いずれかに本拠地を持つ組織が主導していること

大学等および大学等発ベンチャー企業が主導している臨床試験もしくは

主導組織が不明で大学等および大学等発ベンチャー企業が資金提供している臨床試験**

2012年以降に終了した臨床試験と2015年時点で実施中とみなされること(アクティブな臨床試験を抽出するため)

*臨床試験の分析では、欧州は北欧および西欧を対象としており、対象国は国連の地域分類に準拠し、東欧10ヶ国を除外した43ヶ国を対象とする。

**CTIではSponsorに日米欧のアカデミアが1組織でも含まれれば対象とした。一方、Sponsorが空欄の場合は、Collaborator欄に日米欧のアカデミアである場合も対象とした。