新発信地表示システムと位置情報通知システムの 統合のあり...

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新発信地表示システムと位置情報通知システムの 統合のあり方に関する検討会 報告書 平成 21 年 3 月 総務省消防庁防災情報室

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  • 新発信地表示システムと位置情報通知システムの

    統合のあり方に関する検討会

    報告書

    平成 21 年 3 月

    総務省消防庁防災情報室

  • はじめに 119番通報は国民と消防を結ぶホットラインとして、その機能を果たしてきたところですが、火災や救急事案に直面した通報者から正確な情報を聴取することは困難なことが多く、消防の先人達は通報場所の特定に大変苦労してきました。 このような中で、固定電話については、昭和62年の発信地表示システムの運用開始により、これまで困難であった通報場所の特定が即時に可能となり、消防活動の立ち上がりが飛躍的に向上し、多くの効果をあげてきました。 また、平成7年頃から携帯電話が急速に普及していますが、携帯電話からの119番通報の場合、通報者が地理不案内のことも多く、通報場所の特定がきわめて困難でありました。同様に平成13年から、サービスが開始されたIP電話についても、通報場所を特定する仕組みがなく、新たな通報場所特定の仕組みの誕生が期待されていたところです。 このような中で、平成19年4月より携帯電話・IP電話については位置情報通知システムの運用が開始され、従来では通報場所の特定が困難であった山間部における速やかな救助事例が報告されるなど、より迅速な消防活動に寄与しています。 これらのシステムは消防本部に普及しているところですが、2つのシステムが必要となるため、指令装置が複雑化することなどが懸念されていました。 このような背景のもと「新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあり方に関する検討会」では、消防本部の実情に応じた統合のあり方や統合の時期等について検討・協議を行ってまいりました。 本検討会において、統合された位置情報通知システムの運用開始時期が決定され、運用開始に向けた準備が着々と進んでいるところですが、この場をお借りして、委員の方々をはじめ、関係者のご尽力に対して感謝を申し上げる次第です。 最後に、統合された位置情報通知システムが円滑に運用され、消防本部への導入が進むことを願うとともに、今後進展が予測される消防の広域化など、さらなる消防力の拡充に寄与し、ひいては国民生活の安心・安全に資するよう期待してやみません。

    平成21年3月 新発信地表示システムと位置情報通知システムの 統合のあり方に関する検討会 座長 早稲田大学大学院 国際情報通信研究科教授 加納 貞彦

  • 概要版

  • 「新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあり方に関する検討会」の概要版

    平成20年12月22日

    目 的

    平成19年度に検討された「固定電話からの緊急通報の発信地を表示する新

    発信地表示システムと携帯・IP電話等からの緊急通報に係る位置情報通知シ

    ステムとの統合を図るための技術研究業務」中間報告書を踏まえ 両システステムとの統合を図るための技術研究業務」中間報告書を踏まえ、両システ

    ムの統合のあり方に関する検討を行うことを目的とする。

    検 討 項 目

    統合の効果

    ・消防本部の実情に応じた統合のあり方について

    ・統合の時期について など

    統合の効果

    ・消防本部の位置情報通知システムの単純化

    ・新発信地表示システムのランニング経費の一部削減(検索制御装置レンタ

    ル費用、端末設備保守費用、発信地検索用回線利用料など)

    情 情 が

    運用開始時期

    ・位置情報通知システムにて、すべての位置情報の受信が可能になるため、

    新発信地表示システムの導入コストが不要

    平成21年度第3四半期(並行運用期間は運用開始から6年間)※ すでに新発信地表示システムを導入している場合は、並行運用期間内に位置情報通知システム(統合型)への移行が必要。また、新発信地表示システムを未導入で、新たに固定電話の位置情報を取得する場合は、位置情報通知システム(統合型)の導入が必要。

    1

  • システム名称 システムの概要

    東西の固定電話からの 番通報に係る位置情報

    システム名称の定義

    発 信 地 表 示 シ ス テ ム

    NTT東西の固定電話からの119番通報に係る位置情報を消防本部に通知するシステム。音声についてはアナログ回線を、位置情報についてはアナログ専用線を用いていた。昭和62年より、運用が開始されているが、新発信地表示システムに切り替えられたため、現在は運用されていない。

    NTT東西の固定電話からの119番通報に係る位置情報を消防本部に通知するシステム 音声に いてはデジタル回

    新発信地表示システムを消防本部に通知するシステム。音声についてはデジタル回線(緊急通報呼用ISDN回線)を、位置情報についてはフレームリレー回線を用いている。平成10年より、運用が開始された。

    位置情報通知システム

    携帯・IP電話からの119番通報に係る位置情報を消防本部に通知するシステム。音声については原則デジタル回線(緊急通報呼用ISDN回線)を 位置情報についてはIP位置情報通知システム

    (携帯・IP)(緊急通報呼用ISDN回線)を、位置情報についてはIP-VPN回線を用いている。平成19年4月より運用が開始されている。消防本部の受信方式は「指令台連動方式」と「簡易型端末方式」の2種類がある。

    位置情報通知システム

    平成21年度第3四半期より運用が開始される予定。新発信地表示システムを位置情報通知システム(携帯・IP)に統合したもの。音声についてはデジタル回線(緊急通報呼用

    (統合型) ISDN回線)を、位置情報についてはIP-VPN回線を用いている。消防本部の受信方式は「指令台連動方式」のみ。なお、消防本部に通知される位置情報としては、携帯・IP電話と各消防本部の契約などにより固定電話が付加される。

    旧位置情報通知シ ム

    IP電話からの119番通報に係る位置情報を通知するためにIP電話事業者負担により設置されたシステム。平成1年 り各消防本部 望 応じ 設置されたも旧位置情報通知システム

    (IP電話事業者)5年頃より各消防本部の要望に応じて設置されたもので、1事業者につき1台のパソコンが必要。デジタル(ISDN)回線により位置情報が送信され、文字による住所情報を表示する。位置情報通知システム(携帯・IP)運用開始までの代替とされ、原則、平成22年3月までに運用を終える予定。携帯電話の位置情報には対応しない。

    ※ なお、位置情報通知システムは、並行運用終了までの間、便宜上、位置情報通知システム(携帯・IP)と(統合型)を区別する。

    2

  • 1.統合の形態

    位置情報通知システム(携帯・IP)において新発信地表示システムを統合することにより、

    統合により不必要に!

    位置情報通知システム(統合型)にて、すべての位置情報の受信が可能になるため、新発

    信地表示システムの導入コストやフレームリレーの使用料が不要となる。

    N T T東西

    携帯事業者

    IP電話事業者

    発信地表示センター

    位置情報通知サーバー

    位置情報通知システム

    新発信地表示システム 消防本部

    統合

    フレームリレー網

    IP-VPN網

    2.消防本部のシステム形態別の分類

    消防指令システムの導入形態ごとに消防本部を分類すると、下表のように8つ(Ⅰ~Ⅷ)のシステム区分に分けられるのシステム区分に分けられる。

    新発信地表示システム導入済み 新発信地表示システム未導入

    位置情報通知システム

    (携帯・IP)導入済み

    位置情報通知

    システム未導入

    位置情報通知システム

    導入済み

    位置情報通知

    システム未導入指令台連動

    方式

    簡易型端末

    方式

    指令台連動

    方式

    簡易型端末

    方式

    ※カッコ内は平成20年12月1日現在の消防本部数(平成20年度中導入予定含む)

    指 令 台

    シ ス テ ム

    導 入 済 み

    Ⅰ(132)

    Ⅱ(25)

    Ⅲ(172)

    Ⅳ(35)

    Ⅴ(20)

    Ⅵ(296)

    指 令 台

    シ ス テ ム

    未 導 入

    Ⅶ(2)

    Ⅷ(125)

    ※カッコ内は平成20年12月1日現在の消防本部数(平成20年度中導入予定含む)

    3

  • 3.システム区分ごとの経費

    (1) 新規導入経費(全国平均値)

    新発信地表示システムと位置情報通知システム(携帯 IP電話)の導入及新発信地表示システムと位置情報通知システム(携帯・IP電話)の導入及び運用保守に係る費用は全国平均で下表のとおりである。

    区分 項目費用(万円)

    Ⅰ~Ⅷ

    A 新発信地端末設備買取総額 2,249

    B 新発信地端末設備レンタル料 1,077

    C 発信地検索用回線利用料 101

    新発信地表示

    システム

    D 新発信地端末設備保守費用 130

    E 発信地検索サービス利用料

    452F 発信電話番号送出料

    G 発信エリア識別サービス利用料

    H ナンバー・ディスプレイサービス利用料

    位置情報通知

    システム

    I 位置情報通知指令台連動方式導入経費 1,500

    J 位置情報通知簡易型端末方式導入経費 250

    (2) 改修経費(各社見積の平均)

    各システム区分ごとの指令台メーカ5社による統合改修経費の平均は下表のとおりである。

    システム

    (携帯・IP)

    J 位置情報通知簡易型端末方式導入経費 250

    K IP-VPN利用料 48

    項目費用(万円)

    Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ

    統合改修経費(各社見積もりの平均)

    569 2,399 2,655 990 2,724 3,0802,373

    +指令台導入

    2,866

    +指令台導入

    (3) 各システム区分ごとの改修シミュレーション

    次項以降にシステム区分ⅠからⅥまでの区分ごとのシミュレーションを示す。

    システム区分ⅣからⅥについては、新発信地表示システムが未導入のため、新発信地表示システムを導入した場合と位置情報通知システム(統合型)を導入した場合との比較を行っている。

    システム区分Ⅶ、Ⅷについては、Ⅵとほぼ同様であるため、シュミレーションを省略する。なお、システム区分Ⅶ及びⅧでは別途指令台導入経費が発生する。

    4

  • 【指令台導入済み-新発信地表示システム導入済み-位置情報通知システム(携帯・IP)導入済み(指令台連動方式)】

    シミュレーションの条件・システムの更新サイクルを8年間と仮定

    ① システム区分Ⅰ

    ・1年目に区分Ⅰのシステムを構築・位置情報通知システム(統合型)への移行前後の運用経費を比較するため、6年目に改修を実施すると仮定

    3,500

    4,000

    4,5004,480

    3,178

    (万円)

    統合せずに新発信地表示システム(レンタル)、指令台連動方式の位置情報通知システム(携帯・IP)の両システムを導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)1年目の導入経費 3,178万円=B+C+E~H+I+K2年目以降の運用経費 1,678万円=B+C+E~H+K

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    3,000

    1,069

    500

    731 731 731 731 731 731731

    1,678 1,678 1,678 1,678 1,678 1,678 1,678

    1 23

    45

    67

    8

    500500

    (年)統合せずに新発信地表示システム(買取)、指令台連動方式の位置情報通知システム(携帯・IP)の両システムを導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)1年目の導入経費 4,480万円=A+C+D+E~H+I+K2年目以降の運用経費 731万円=C+D+E~H+K

    統合に係る改修及び運用経費(ランニングコスト)6年目の改修経費 1,069万円=E~H+K+L7年目以降の運用経費 500万円=E~H+K

    統合の効果

    すべての位置情報を取得する体制が構築されているため、移行経費及び移行後の運用経費が検討のポイント

    ・新発信地表示システムレンタルの場合、移行経費が単年度の運用経費より安価のため、コスト削減の効果は即時的。・新発信地表示システム買取りの場合、移行後の運用経費は移行前の経費と比較し、200万円ほど削減されるため、システムの改修を行った年を含めて3年間、位置情報通知システム(統合型)を運用すると、位置情報通知システム(携帯・IP)を継続して運用する場合の経費を下回ることになる。

    位置情報通知システム(統合型)を導入した 運用経費の 統合化対応費用の回収期間位置情報通知システム(統合型)を導入した場合との比較モデル

    運用経費の削減額

    統合化対応費用の回収期間(統合化への対応を行った年度含む)

    新発信地表示システムをレンタルで利用している場合 1,178万円/年 1年間新発信地表示システムを買取りで利用している場合 231万円/年 3年間

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  • 【指令台導入済み-新発信地表示システム導入済み-位置情報通知システム(携帯・IP)導入済み(簡易型端末方式)】

    ② システム区分Ⅱ

    シミュレーションの条件・システムの更新サイクルを8年間と仮定・1年目に区分Ⅱのシステムを構築

    2,500

    3,000

    3,500

    2,899

    3,230

    1,9281,678 1 678

    (万円)

    統合せずに新発信地表示システム(レンタル) 、簡易型端末方式

    の位置情報通知システム(携帯・IP)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)1年目の導入経費 1,928万円=B+C+E~H+J+K2年目以降の運用経費 1,678万円=B+C+E~H+K

    ・1年目に区分Ⅱのシステムを構築・位置情報通知システム(統合型)への移行前後の運用経費を比較するため、6年目に改修を実施すると仮定

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    500500

    731 731 731 731 731 731 731

    1,678 1,678 1,678 1,678 1,678 1,678 1,678

    1 2 3 45

    67

    8(年)

    統合に係る改修及び運用経費(ランニングコスト)6年目の改修経費 2,899万円=E~H+K+L7年目以降の運用経費 500万円=E~H+K

    統合せずに新発信地表示システム(買取)、簡易型端末方式の位置情報通知システム(携帯・IP)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)1年目の導入経費 3,230万円=A+C+D+E~H+J+K2年目以降の運用経費 731万円=C+D+E~H+K

    統合の効果

    すべての位置情報を取得する体制が構築されているが、簡易型端末方式のため、指令台連動方式と比較すると効率性の面で課題があり、移行方式の選択が検討のポイント

    ・新発信地表示システムレンタルの運用経費と比較して位置情報通知システム(統合型)へ移行後の運用経費は、約1/3となるため、改修を行った年を含めて3年間、位置情報通知システム(統合型)を運用すると、位置情報通知システム(携帯・IP)を継続して運用する場合の運用経費を下回る。・新発信地表示システム買取りの場合、位置情報通知システム(統合型)への移行経費が比較的高価で、かつシステム移行前の運用経費と移行後の運用経費の差が小さいため、改修費用の回収期間は10年以上。

    位置情報通知システム(統合型)を導入した場合との比較モデル

    運用経費の削減額

    統合化対応費用の回収期間(統合化への対応を行った年度含む)

    新発信地表示システムをレンタルで利用している場合 1,178万円/年 3年間新発信地表示システムを買取りで利用している場合 231万円/年 11年間

    6

  • 【指令台導入済み-新発信地表示システム導入済み-位置情報通知システム(携帯・IP)未導入】

    ③ システム区分Ⅲ

    シミュレーションの条件・システムの更新サイクルを8年間と仮定・1年目に区分Ⅲのシステムを構築

    2,500

    3,000

    3,500

    3,1552,932

    1 630

    統合せずに新発信地表示システム(レンタル)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)1年目以降の運用経費 1,630万円=B+C+E~H

    ・1年目に区分Ⅲのシステムを構築・位置情報通知システム(統合型)への移行前後の運用経費を比較するため、6年目に改修を実施すると仮定

    (万円)

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    500500

    683 683 683 683 683 683 683

    1,630 1,630 1,630 1,630 1,630 1,630 1,630 1,630

    1 2 3 45

    67

    8

    500

    (年)

    統合せずに新発信地表示システム(買取)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)1年目の導入経費 2,932万円=A+C+D+E~H2年目以降の運用経費 683万円=C+D+E~H

    統合に係る改修及び運用経費(ランニングコスト)6年目の改修経費 3,155万円=E~H+K+L7年目以降の運用経費 500万円=E~H+K

    統合の効果

    7年目以降の運用経費 500万円=E~H+K

    携帯・IP電話の位置情報が取得できないため、これを取得するための移行方式の比較が検討のポイント

    ・新発信地表示システムレンタルの運用経費と位置情報通知システム(統合型)へ移行後の運用経費を比較すると、1/3以下となる。システムの改修に要する経費を支出しても、この年を含めて3年間、位置情報通知システム(統合型)を運用すれば、新発信地表示システムのみを継続して運用する場合の経費を下回る。・新発信地表示システム買取りの場合、位置情報通知システム(統合型)移行経費が比較的高価で、かつシステム移行前後の運用経費の差が小さいため、移行費用の回収期間は10年以上。

    位置情報通知システム(統合型)を導入した場合との比較モデル

    運用経費の削減額

    統合化対応費用の回収期間(統合化への対応を行った年度含む)

    新発信地表示システムをレンタルで利用している場合 1,130万円/年 3年間新発信地表示システムを買取りで利用している場合 183万円/年 15年間

    7

  • 【指令台導入済み-新発信地表示システム未導入-位置情報通知システム(携帯・IP)導入済み(指令台連動方式)】

    ④ システム区分Ⅳ

    シミュレーションの条件・システムの更新サイクルを8年間と仮定・1年目に区分Ⅳのシステムを構築

    2,500

    3,0002,980

    1,678 1,678 1,678 1 678

    (万円)統合せずに新発信地表示システム(レンタル)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)3年目以降の運用経費 1,678万円=B+C+E~H+K

    ・位置情報通知システム(統合型)への移行前後の運用経費を比較するため、3年目に改修を実施すると仮定

    500

    1,000

    1,500

    2,0001,548

    48

    1,490

    500 500 500 500 500

    731 731 731 731 731

    , 1,678 1,678 1,678

    0

    1 2 34

    56

    78

    48 48 4848

    4848

    48

    (年)

    統合せずに新発信地表示システム(買取)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)3年目の改修経費 2,980万円=A+C+D+E~H+K4年目以降の運用経費 731万円=C+D+E~H+K

    位置情報通知システム(携帯・IP)のみを継続統合に係る改修及び運用経費(ランニングコスト)3年目の導入経費 1 490万円=E~H+K+L

    統合の効果

    位置情報通知シ テ (携帯 ) みを継続する場合の経費1年目の導入経費 1,548万円=I+K2年目以降の運用経費 48万円=K

    3年目の導入経費 1,490万円 E H+K+L4年目以降の運用経費 500万円=E~H+K

    固定電話の位置情報が取得できないため、これを取得するための移行方式の比較が検討のポイント

    ・固定電話の位置情報を取得するためには、新たに新発信地表示システムを導入する方法もあるが、レンタル及び買取りの場合の導入経費のいずれと比較しても、位置情報通知システム(統合型)に移行する経費の方が安価である。また、運用経費についてもレンタル及び買取りの場合のいずれと比較しても、位置情報通知システム(統合型)の経費が安価であるため、指令台システムの改修を行い、位置情報通知システム(統合型)に移行する方がコスト的に優位である。

    位置情報通知システム(統合型)を導入した場合との比較モデル

    運用経費の削減額

    統合化対応費用の回収期間(統合化への対応を行った年度含む)

    新発信地表示システムをレンタルで利用する場合 1,178万円/年 1年間新発信地表示システムを買取りで利用する場合 231万円/年 1年間

    8

  • 【指令台導入済み-新発信地表示システム未導入-位置情報通知システム(携帯・IP)導入済み(簡易型端末方式) 】

    ⑤ システム区分Ⅴ

    シミュレーションの条件・システムの更新サイクルを8年間と仮定・1年目に区分Ⅴのシステムを構築

    2,500

    3,000

    3,500 3,2242,980

    1 678

    統合せずに新発信地表示システム(レンタル)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)3年目以降の運用経費 1,678万円=B+C+E~H+K

    ・位置情報通知システム(統合型)への移行前後の運用経費を比較するため、3年目に改修を実施すると仮定

    (万円)

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    298

    48

    500 500 500 500 500

    731 731 731 731 731

    1,678 1,678 1,678 1,678 1,678 1,678

    0

    1 2 34

    56

    78

    48 48 4848

    4848

    48

    500

    (年)

    統合せずに新発信地表示システム(買取)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)3年目の導入経費 2,980万円=A+C+D+E~H+K4年目以降の運用経費 731万円=C+D+E~H+K

    統合に係る改修及び運用経費(ランニングコスト)

    統合の効果

    統合に係る改修及び運用経費(ランニングコスト)3年目の改修経費 3,224万円=E~H+K+L4年目以降の運用経費 500万円=E~H+K

    位置情報通知システム(携帯・IP)のみを継続する場合の経費1年目の導入経費 298万円=J+K2年目以降の運用経費 48万円=K

    携帯・IP電話の位置情報を取得できるが、簡易型端末方式のため、指令台連動方式と比較すると効率性の面で課携帯 IP電話の位置情報を取得できるが、簡易型端末方式のため、指令台連動方式と比較すると効率性の面で課題がある。また固定電話の位置情報が取得できない。この2点を解決するための移行方式の比較が検討のポイント

    ・固定電話の位置情報を取得するためには、新たに新発信地表示システムを導入する方法もあるが、指令台システムの改修を行い、位置情報通知システム(統合型)に移行する方がコスト的に優位である。また、簡易型端末における効率性の課題を解決する観点からも位置情報通知システム(統合型)を導入する方が望ましい。

    位置情報通知システム(統合型)を導入した場合との比較モデル

    運用経費の削減額

    統合化対応費用の回収期間(統合化への対応を行った年度含む)

    新発信地表示システムをレンタルで利用する場合 1,178万円/年 3年間新発信地表示システムを買取りで利用する場合 231万円/年 3年間

    9

  • 【指令台導入済み-新発信地表示システム未導入-位置情報通知システム(携帯・IP)未導入】

    ⑥ システム区分Ⅵ

    シミュレーションの条件

    4,000

    4,5004,480

    3 178

    (万円)

    統合せずに新発信地表示システム(レンタル) 、指令台連動方

    式の位置情報通知システム(携帯・IP)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)3年目の導入経費 3,178万円=B+C+E~H+I+K4年目以降の運用経費 1,678万円=B+C+E~H+K

    ・システムの更新サイクルを8年間と仮定・区分Ⅳは全てのシステムを1、2年目は未導入と仮定・位置情報通知システム(統合型)導入前後の経費を比較するため、3年目に導入すると仮定

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    3,000

    3,500

    ,

    3,580

    500

    731 731 731 731 731

    3,178

    1,678 1,678 1,678 1,678 1,678

    0

    500

    1 2 3 45

    67

    8

    500 500500

    500500

    731 731

    (年)

    統合せずに新発信地表示システム(買取)、指令台連動方式の位置情報通知システム(携帯 IP)を導入する場合の経費

    統合の効果

    統合に係る改修及び運用経費(ランニングコスト)3年目の導入経費 3,580万円= E~H+K+L4年目以降の運用経費 500万円=E~H+K

    の位置情報通知システム(携帯・IP)を導入する場合の経費及び運用経費(ランニングコスト)3年目の導入経費 4,480万円=A+C+D+E~H+I+K4年目以降の運用経費 731万円=C+D+E~H+K

    すべての電話の位置情報が取得できないため 最も経済的な導入方式の選択が検討のポイントすべての電話の位置情報が取得できないため、最も経済的な導入方式の選択が検討のポイント

    ・すべての電話の位置情報を取得するために、新発信地表示システムと位置情報通知システム(携帯・IP)を導入する方法もあるが、位置情報通知システム(統合型)を導入する方がコスト的に優位である。

    位置情報通知システム(統合型)を導入した場合との比較モデル

    運用経費の削減額

    統合化対応費用の回収期間(統合化 の対応を行 た年度含む)場合との比較モデル 削減額 (統合化への対応を行った年度含む)

    新発信地表示システムをレンタルで利用する場合 1,178万円/年 2年間新発信地表示システムを買取りで利用する場合 231万円/年 1年間

    10

  • 報告書

  • 新発信地表示システムと位置情報通知システムの

    統合のあり方に関する検討会報告書

    目次

    1 検討会の概要 ............................................................. 1

    1.1 開催の背景 ............................................................ 1

    1.2 開催状況 .............................................................. 2

    1.3 検討会開催要綱 ........................................................ 3

    1.4 検討会構成員名簿 ...................................................... 4

    2 位置情報通知関連システム名称の定義 ........................................ 5

    3 システムの現状 ........................................................... 6

    3.1 システムの概要 ........................................................ 6

    3.2 導入状況 .............................................................. 7

    3.3 導入及び運用保守に係る費用 ............................................ 8

    4 システムの技術的な統合形態 .............................................. 10

    4.1 統合化技術研究について ............................................... 10

    4.2 統合化にあたって必要な改修作業等 ..................................... 10

    4.3 統合化実現にあたっての課題 ........................................... 11

    4.4 NTT 東西から提示された統合化方式 ...................................... 17

    5 システム導入状況分類に応じたシステム統合のあり方 ........................ 19

    5.1 システム導入状況分類に応じた区分 ..................................... 19

    5.2 システム区分ごとの費用概算と改修等に必要な期間について ............... 21

    5.3 システム区分ごとに必要となる作業項目のまとめ ......................... 37

  • 6 運用開始時期と運用開始までに解決すべき課題 .............................. 38

    6.1 運用開始時期及び並行運用期間 ......................................... 38

    6.2 運用開始時期までの暫定対応 ........................................... 40

    6.3 保守運用体制等 ....................................................... 40

    6.4 その他 ............................................................... 42

    7 まとめ .................................................................. 43

  • 1

    1 検討会の概要

    1.1 開催の背景

    消防本部において NTT の加入電話(以下「固定電話」という。)からの 119 番緊急

    通報着信時に発信元を特定する仕組みとして、アナログ回線を利用した発信地表示

    システムが昭和 62 年に運用開始され、その後、平成 10 年に ISDN 回線を利用した

    『新発信地表示システム』に移行した。

    一方、携帯電話及び IP 電話等からの 119 番緊急通報着信時に発信元を特定する仕

    組みとしては、平成 19 年 4 月より携帯・IP 電話等からの 119 番緊急通報に係る『位

    置情報通知システム(携帯・IP)』の運用が開始された。

    このことにより主要な電話種別からの 119 番緊急通報に係る位置情報通知体制が

    整備されたが、消防本部においては、消防指令業務を遂行する際に新発信地表示シ

    ステムと位置情報通知システム(携帯・IP)の 2つのシステムを使い分ける必要が

    あった。

    そのため、消防指令業務をより効率化することを目的に、平成 17 年度に実施され

    た「IP ネットワークを用いた 119 番通報のあり方に関する研究懇談会」において、

    新発信地表示システムと位置情報通知システム(携帯・IP)の統合化が提言された。

    この提言を受け、平成 18 年度に新発信地表示システムと位置情報通知システム

    (携帯・IP)の統合化に向けた課題のうち、NTT 東日本及び NTT 西日本(以下「NTT

    東西」という。)の設備上の課題について、総務省消防庁より NTT 東西へ技術検討

    を依頼したところ、両システムの統合化に係る NTT 東西側の設備上の技術的な課題

    は解決可能であることが報告された。

    一方、消防本部側の設備上の課題については、平成 19 年度に総務省消防庁におい

    て技術的課題を中心に整理し技術検証試験を行った。

    その結果、統合されたシステムが問題なく機能することが検証されたため、「固定

    電話からの緊急通報の発信地を表示する新発信地表示システムと携帯・IP 電話等か

    らの緊急通報に係る位置情報通知システムとの統合を図るための技術研究(中間報

    告書)平成 20 年 3 月 総務省消防庁防災情報室」(以下「統合化技術研究」という。)

    にて取りまとめを行ったところである。

    しかし、消防本部において「今後どのようにシステム統合化を進めていくべきな

    のか」という統合のあり方等については、さらに検討を進めることが必要であると

    されていた。

    このため、本検討会では、統合化技術研究を踏まえ、消防本部の実情に応じた統

    合のあり方や統合の時期等について引き続き検討を行った。

  • 2

    1.2 開催状況

    全 3回の検討会の開催状況は、以下のとおり。

    ● 第 1 回検討会

    日時:平成 20 年 10 月 24 日(金)14:00~17:00

    会場:全国町村会館 2階 ホール B

    議事:- 開催要綱確認

    - 座長選出

    - 検討会の進め方について

    - 新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあり方につ

    いて

    ● 第 2 回検討会

    日時:平成 20 年 11 月 21 日(金)14:00~17: 00

    会場:法曹会館 2階 高砂ホール

    議事:- 第 1 回「新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあ

    り方に関する検討会」議事概要

    - 新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあり方につ

    いて

    - 報告書(案)について

    ● 第 3 回検討会

    日時:平成 20 年 12 月 19 日(金)13: 30~16:30

    会場:虎ノ門パストラルホテル本館 8階 しらかば

    議事:- 第 2 回「新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあ

    り方に関する検討会」議事概要

    - 新発信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあり方につ

    いて

    - 報告書(案)について

    - その他

  • 3

    1.3 検討会開催要綱

    1.3.1 目的

    平成 19 年度に検討された「固定電話からの緊急通報の発信地を表示する新

    発信地表示システムと携帯電話・IP 電話等からの緊急通報に係る位置情報通

    知システムとの統合を図るための技術研究業務」中間報告書にもとづき、新発

    信地表示システムと位置情報通知システムの統合のあり方に関する検討を行

    うことを目的とする。

    1.3.2 検討事項

    本検討会は統合に関する次の事項について検討を行う。

    (1)消防本部の実情に応じた統合のあり方について

    (2)統合の時期について

    (3)統合に伴う諸手続き(確認書等)について

    (4)その他必要な事項について

    1.3.3 委員の委嘱 検討会の委員は、学識経験者、行政機関、消防機関、関係事業者等のうちか

    ら消防庁国民保護・防災部長が委嘱する。

    1.3.4 委員及び運営

    (1)委員の任期は、原則として開催期間とする。

    (2)検討会に座長を置き、委員の互選によってこれを定める。

    (3)座長は、検討会を主宰する。

    (4)検討会に座長が指名する座長代理を 1名置くことができる。

    (5)検討会は、必要があるときは、外部の関係者の出席を求め、意見を聞く

    ことができる。

    (6)その他、検討会の運営に関し必要な事項は、座長が決定するところによ

    る。

    1.3.5 開催期間

    検討会の開催期間は、平成 20 年 10 月から平成 21 年 1 月末を目途とする。

    1.3.6 事務局

    検討会の事務は、総務省消防庁国民保護・防災部防災課防災情報室が処理す

    る。

  • 4

    1.4 検討会構成員名簿(敬称略・五十音順)

    [委員]

    氏 名 主 要 現 職

    柿崎 隆幸 小樽市消防本部 警防課長

    金子 和幸 盛岡地区広域行政事務組合消防本部 通信指令課長

    (座長)

    加納 貞彦 早稲田大学大学院 国際情報通信研究科教授

    川﨑 孝夫 足利市消防本部 通信指令課長

    木村 俊次 富士通株式会社 セキュリティソリューション本部

    セーフティソリューション統括部システム部プロジェクト課長

    後藤 亨 ソフトバンクテレコム株式会社 コミュニケーション・ネットワーク本部

    コミュニケーション・ビジネス管理室接続管理課課長

    小淵 和治 KDDI 株式会社 渉外・広報本部 渉外部担当部長 au 企画調整グループ グループリーダー

    小松 直保 全国消防長会 事業部長

    関口 泰彦 沖電気工業株式会社 システムソリューションカンパニー

    官公ソリューション本部 システム第四部 部長

    高橋 欽司 さいたま市消防局 警防部指令課情報システム推進室長

    高橋 孝輔 株式会社日立製作所 トータルソリューション事業部

    公共・社会システム本部 公共システム部技師

    田代 正夫 塩谷広域行政組合消防本部 警防課長

    土持 恵一 日本電気株式会社 消防・防災ソリューション事業部第二システム部マネージャー

    長尾 一郎 総務省消防庁 国民保護・防災部 防災課 防災情報室長

    藤本 敏己 神戸市消防局 総務部施設課長

    北條 仁康 東日本電信電話株式会社 コンシューマ事業推進本部営業推進部

    IP フロント部門 IP フロント部門長

    布袋田 博之 東京消防庁 総務部情報通信課長

    松本 俊久 西日本電信電話株式会社 マーケティング部電話サービス部門電話サービス部門長

    山根 賢一 株式会社富士通ゼネラル 情報通信ネットワーク事業部第二開発部部長

    [オブザーバー]

    氏 名 主 要 現 職

    小林 一 警察庁 生活安全局地域課 課長補佐(地域技術)

    藤井 啓造 警察庁 情報通信局通信施設課 課長補佐(回線・電波)

    竹内 勲 警察庁 情報通信局通信施設課 専門官(基幹通信)

    山下 敬介 総合通信基盤局 電気通信事業部 電気通信技術システム課 課長補佐

    [事務局] 総務省消防庁防災情報室

    森田 晃司 総務省消防庁 国民保護・防災部 防災課防災情報室 課長補佐

    相越 英樹 総務省消防庁 国民保護・防災部 防災課防災情報室 総務事務官

  • 5

    2 位置情報通知関連システム名称の定義

    システム名称 システムの概要

    発信地表示システム 固定電話からの 119 番通報に係る位置情報を消防本部に通知するシステム。音声に

    ついてはアナログ回線を、位置情報についてはアナログ専用線を用いていた。昭和 62

    年より運用が開始されているが、新発信地表示システムに切り替えられたため、現在

    は運用されていない。

    新発信地表示システム 固定電話からの 119 番通報に係る位置情報を消防本部に通知するシステム。音声に

    ついてはデジタル回線(緊急通報呼用 ISDN 回線)を、位置情報についてはフレームリ

    レー回線を用いている。平成 10 年より運用が開始された。

    位置情報通知システム

    (携帯・IP)

    携帯・IP 電話からの 119 番通報に係る位置情報を消防本部に通知するシステム。音

    声については原則デジタル回線(緊急通報呼用 ISDN 回線)を、位置情報については

    IP-VPN 回線を用いている。平成 19 年 4月より運用が開始されている。消防本部の受

    信方式は「指令台連動方式」と「簡易型端末方式」の 2種類がある。

    位置情報通知システム

    (統合型)

    平成 21 年度第 3四半期より運用が開始される予定。新発信地表示システムを位置情

    報通知システム(携帯・IP)に統合したもの。音声についてはデジタル回線(緊急通

    報呼用 ISDN 回線)を、位置情報については IP-VPN 回線を用いる。消防本部の受信方

    式は「指令台連動方式」のみ。

    なお、消防本部に通知される位置情報としては、携帯・IP 電話と各消防本部の契約

    などにより固定電話が付加される。

    旧位置情報通知システム(IP

    電話事業者)

    IP 電話からの 119 番通報に係る位置情報を通知するために IP 電話事業者負担によ

    り設置されたシステム。平成 15 年頃より各消防本部の要望に応じて設置されたもの

    で、1 事業者につき 1 台のパソコンが必要。デジタル(ISDN)回線により位置情報が

    送信され、文字による住所情報を表示する。

    位置情報通知システム(携帯・IP)運用開始までの代替とされ、原則、平成 22 年 3月

    までに運用を終える予定。携帯電話の位置情報には対応しない。

    ※ 位置情報通知システムは、固定電話からの位置情報取得の有無により、位置情報通知システム(携帯・IP)と(統

    合型)を区別する。

  • 6

    3 システムの現状

    3.1 システムの概要

    新発信地表示システムは、NTT 東西で管理している固定電話の位置情報を各消防

    本部に対して送信するもの。ネットワークは発信地表示センタ、フレームリレー網、

    検索制御装置等の受信装置から構成される。

    図 3-1.新発信地表示システムの概要

    位置情報通知システム(携帯・IP)は、携帯・IP 電話の位置情報を各消防本部に

    対して送信するもの。ネットワークは携帯電話事業者及び IP 電話等事業者の位置情

    報通知サーバ、IP-VPN 網、消防本部の位置情報受信装置から構成される。

    図 3-2.位置情報通知システム(携帯・IP)の概要

    消防機関庁舎消防機関庁舎

    検索制御装置統計管理端末

    指令台ホスト指令制御装置

    ISDN網

    受付指令台

    監視サーバ

    ルータ ルータ

    ルータ ルータ

    ルータ

    TADSU

    HUB

    HUB

    プリンタ

    西発信地表示センタ西発信地表示センタ

    監視サーバ

    ルータ

    顧客DB 顧客DB

    ルータ

    顧客DB 顧客DB

    FR網

    東発信地表示センタ東発信地表示センタ

    119番

    消防機関庁舎消防機関庁舎

    検索制御装置統計管理端末

    指令台ホスト指令制御装置

    ISDN網

    受付指令台

    監視サーバ

    ルータ ルータ

    ルータ ルータ

    ルータ

    TADSU TADSU

    HUB

    HUB

    プリンタ

    西発信地表示センタ西発信地表示センタ

    監視サーバ

    ルータ

    顧客DB 顧客DB

    ルータ

    顧客DB 顧客DB

    FR網

    東発信地表示センタ東発信地表示センタ

    119番

    携帯電話事業者網

    位置情報通知サーバ

    IP電話事業者網

    位置情報通知サーバ

    119

    119

    消防本部庁舎

    加入者DB

    測位サーバ

    携帯電話事業者

    IP電話等事業者

    携帯電話

    IP電話

    音声受付音声受付

    位置情報受信位置情報受信

    消防本部庁舎

    位置情報受信装置自動出動装置

    地図検索装置

    指令制御装置指令台

    指令台指令制御装置

    音声受付音声受付

    位置情報受信位置情報受信簡易型位置情報受信装置

    指令台と連動するケース

    指令台と連動しないケース

    位置情報NW網(IP-VPN)

    NTT東西の公衆電話交換網(ISDN)

    携帯電話事業者網

    位置情報通知サーバ

    IP電話事業者網

    位置情報通知サーバ

    119

    119119

    消防本部庁舎

    加入者DB

    測位サーバ

    携帯電話事業者

    IP電話等事業者

    携帯電話

    IP電話

    音声受付音声受付

    位置情報受信位置情報受信

    消防本部庁舎

    位置情報受信装置自動出動装置

    地図検索装置

    指令制御装置指令台

    指令台指令制御装置

    音声受付音声受付

    位置情報受信位置情報受信簡易型位置情報受信装置

    指令台と連動するケース

    指令台と連動しないケース

    位置情報NW網(IP-VPN)

    NTT東西の公衆電話交換網(ISDN)

  • 7

    項目 新発信地表示システム 位置情報通知システム

    (携帯・IP)

    運用開始年度 H10 年 H19 年 4 月

    電話サービス種別 NTT 加入者電話 携帯・IP 電話

    位置情報送信方式 位置情報取得(Pull)方式 位置情報通知(Push)方式

    位置情報取得(Pull)方式

    位置情報送信用回線 フレームリレー IP-VPN

    回線速度 128kbps 64kbps

    システムの技術仕様 NTT 東西独自仕様 技術条件書※に準拠

    送信電文フォーマット 独自の固定長電文 XML

    指令台の受信方式 指令台連動方式 指令台連動方式

    簡易型端末方式

    ※ 携帯電話・IP 電話等からの緊急通報に係る位置情報通知システム技術的条件書

    (平成 18 年 3 月 総務省消防庁国民保護・防災部防災課防災情報室)

    表 3-1.新発信地表示システムと位置情報通知システム(携帯・IP)

    3.2 導入状況

    平成 20 年 12 月 1 日現在(平成 20 年度中の導入予定含む)

    新発信地表示システム 位置情報通知システム(携帯・IP)

    329 本部 214 本部

    買取 レンタル 指令台連動方式 簡易型端末方式

    311 本部 18 本部 167 本部 47 本部

    カバー人口 カバー人口

    9,326 万人 7,435 万人

    表 3-2.システムの導入状況について(1)

    図 3-3.システムの導入状況について(2)

  • 8

    3.3 導入及び運用保守に係る費用

    3.3.1 新発信地表示システムの導入及び運用に係る費用

    「固定電話からの緊急通報の発信地を表示する新発信地表示システムの導入

    状況に係る調査について」(平成 20 年 7 月 25 日付消防情 117 号)により、導

    入及び係る経費に関し全消防本部に対して実施したアンケート結果は表 3-3

    のとおりである。

    費用項目 合計 1 本部当りの

    平均支出費用

    端末設備(検索制御装置等)買取総額

    ・新発信地表示システムを利用するために必要な設備の買取費用

    ・主要項目として「検索制御装置」、「統計管理端末」、「付属機器」、「設

    備工事費」から構成

    67 億 4,906 万円

    ※311 消防本部分累計額 2,249 万円/装置

    端末設備(検索制御装置等)レンタル料

    ・新発信地表示システムを利用するために必要な設備のレンタル料

    ・主要項目は端末設備買取料と同様

    1 億 8,325 万円/年

    ※18 消防本部分 1,077 万円/年

    発信地検索用回線利用料

    ・発信地検索に必要なフレームリレー回線費用

    ・回線数により課金

    3 億 2,201 万円/年

    ※329 消防本部分 101 万円/年

    端末設備(検索制御装置等)保守費用

    ・新発信地表示システムを利用するための設備の保守費

    4 億 430 万円/年

    ※311 消防本部分 130 万円/年

    発信地検索サービス利用料

    ・NTT の構築する新発信地表示システム専用のデータベース利用料(管轄人

    口区分により課金)

    14 億 8,904 万円/年

    ※329 消防本部分 452 万円/年

    発信電話番号送出料

    ・ナンバー・ディスプレイによる番号通知の有無に関わらず、要求発信電話

    番号をデジタル信号にて送出するための費用

    ・119 用回線数により課金

    発信エリア識別サービス利用料(オプション)

    ・発信エリアの識別に必要な番号情報を送出するための経費

    ・番号情報 1番号ごとに課金

    ナンバー・ディスプレイサービス利用料

    ・ナンバー・ディスプレイを利用するための費用

    ・119 用回線数により課金

    ※ 上記項目のほか、DSUや配線にかかるレンタル料が発生する場合がある。

    表 3-3.新発信地表示システムの導入及び運用に係る費用

  • 9

    3.3.2 位置情報通知システム(携帯・IP)の導入及び運用に係る費用

    各メーカからのヒアリング及び「携帯電話・IP 電話等からの 119 番通報に係

    る位置情報通知システムの導入等に関するマニュアル(第 3版)」(2008.9 月)

    に基づく導入及び運用に係る費用は表 3-4のとおりである。

    費用項目 合計

    受信装置導入費用

    ・「指令台連動方式」と「簡易型端末方式」の

    2種類

    ・「指令台連動方式」導入に係る費用は 1,500

    万円程度

    ・「簡易型端末方式」導入に係る費用は 250 万

    円程度

    指令台連動方式 1,500 万円×167 本部=25 億 500 万円

    簡易型端末方式 250 万円×47 本部=1億 1,750 万円

    受信装置保守費用 指令台連動方式

    指令台保守費用の一部となるため、受信装置

    のみの保守費用は不明

    簡易型端末方式 ~数十万円程度/年(指令台メーカによる)

    IP-VPN 利用料

    ・位置情報受信に必要な回線利用料

    ・利用料は 2回線につき、月額約 4万円

    4 万円×12 月×214 本部=1億 272 万円/年

    表 3-4.位置情報通知システム(携帯・IP)の導入及び運用に係る費用

    導入状況をまとめると以下のとおりである。

    ① 平成 20 年 12 月 1 日現在、329 本部(平成 20 年度中の導入予定含む)が新

    発信地表示システムを導入済みである。

    ② 新発信地表示システムの導入コストとして、67 億 4,906 万円が支出されて

    いる。

    ③ 新発信地表示システムの運用コストとして、23 億 9,860 万円が毎年支出さ

    れている。

    ④ 平成 20 年 12 月 1 日現在、214 本部(平成 20 年度中の導入予定含む)が位

    置情報通知システム(携帯・IP)を導入している。

    ⑤ 位置情報システムの導入コストとして、26億2,250万円が支出されている。

    位置情報通知システム(携帯・IP)の運用コストとして、IP-VPN 利用料

    1 億 272 万円のほか、別途保守費用が毎年支出されている。

  • 10

    4 システムの技術的な統合形態

    4.1 統合化技術研究について

    システムの統合にあたっては位置情報受信方式、位置情報電文の変換方法、固定

    電話の位置情報と携帯・IP 電話の位置情報が重畳する際のトラフィック等に関して

    課題があると考えられたが、平成 19 年度、総務省消防庁で実施した統合化技術研究

    において以下の方式により統合化されたシステムが問題なく機能するとともに最も

    効率的であることが確認されている。

    ① 位置情報通知方式(Push 方式)と位置情報取得方式(Pull 方式)の併用

    ② 発信地表示システム側(発信地 DB センタ)で位置情報電文の変換を実施

    ③ 接続回線として IP-VPN を使用し、位置情報通知システム(統合型)で固定電

    話からの緊急通報に係る発信地情報を受信する(IP-VPN は 2 回線であることが

    望ましい)

    4.2 統合化にあたって必要な改修作業等

    NTT 東西と消防本部において、ソフトウェア改修等が必要になる。特に消防本部

    側においては、これまで固定電話の位置情報を新発信地表示システムの端末設備(検

    索制御装置等)からフレームリレー経由で取得していたものを、位置情報通知シス

    テム(統合型)受信装置から IP-VPN 経由で取得出来るようにするため、指令台シス

    テムの設定変更やソフトウェアの改修が必要になる。

    図 4-1.統合化システム

    IP-VPN

    通知サーバ

    通知サーバ

    フレームリレー発信地DBセンタ発信地

    DBセンタ

    通知サーバ

    通知サーバ

    位置情報受信装置

    位置情報受信装置

    携帯電話

    事業者

    IP電話

    事業者

    NTT東西

    消防本部

    インターフェース変換

    インターフェース変換

    消防本部

    指令台システム

    指令台システム

    指令台システム

    指令台システム

    簡易型端末

    IP-VPN

    通知サーバ

    通知サーバ

    フレームリレー発信地DBセンタ発信地

    DBセンタ

    通知サーバ

    通知サーバ

    位置情報受信装置

    位置情報受信装置

    携帯電話

    事業者

    IP電話

    事業者

    NTT東西

    消防本部

    インターフェース変換

    インターフェース変換

    消防本部

    指令台システム

    指令台システム

    指令台システム

    指令台システム

    簡易型端末

  • 11

    装置種別 必要な設備改修 発生しうるコストの概算等

    消防本部の指令台システム ・システムの設定変更等

    ・ソフトウェア改修等

    5.2 参照

    消防本部の簡易型端末 ・位置情報取得機能の追加 4.3.1 参照

    新発信地表示システム

    (発信地 DB センタ)

    ・電文変換に関するアプリケーショ

    ンの機能追加

    (固定長電文→XML)

    ・IP-VPN 網への接続

    NTT 東西負担

    表 4-1.統合化に当たり、必要な改修作業等

    4.3 統合化実現にあたっての課題

    位置情報通知システム(統合型)の実現に当っての技術的な課題は、平成 19 年度

    に行った統合化技術研究において既に検討されている。ここでは技術的な課題とは

    別に、位置情報通知システム(統合型)の実現に際し、主に運用面での課題を検討

    する。

    4.3.1 簡易型端末の位置情報取得機能の具備について

    位置情報通知システム(携帯・IP)には、指令台連動方式と簡易型端末方

    式があるが、簡易型端末を利用し、固定電話からの 119 番通報にかかる位置

    情報の取得を可能にするためには、位置情報取得(Pull 方式)機能の具備が

    必要となる。

  • 12

    指令台連動方式 簡易型端末方式

    装置の特徴 位置情報通知システム(携帯・IP)における位

    置情報通知(Push 方式)及び取得(Pull 方式)の

    各機能に対応

    位置情報通知システム(携帯・IP)における位

    置情報通知の機能のみに対応(位置情報取得(Pull

    方式)機能は具備していない)

    統合に伴う

    課題

    位置情報通知システム(携帯・IP)と新発信地

    表示システムでは、位置情報の受信及び要求を行

    う装置(位置情報通知システム(携帯・IP)では

    位置情報受信装置、新発信地表示システムでは検

    索制御装置)がそれぞれ別である。このため、指

    令台システムでは、緊急通報の電話種別によりこ

    れらの装置に処理を振り分けている。

    システムの統合により同一の装置(位置情報通

    知システム(統合型))での処理が可能となるため、

    この処理方法を変更するソフトウェアの改修等が

    必要となる場合がある。

    簡易型端末は位置情報取得(Pull 方式)機能を

    有さないため、この機能を付加する必要がある。

    ただし、音声と非連動のため指令制御装置から

    緊急通報の発 ID(電話番号)を取得できず、位置

    情報取得要求を行うためには緊急通報の発 ID(電

    話番号)を手入力するなどの措置が必要である。

    (図 4-2参照)

    表 4-2.指令台連動方式と簡易型端末方式の特徴と課題

    図 4-2.簡易型端末に位置情報取得機能を付与した際の課題

  • 13

    緊急通報種別 従来の簡易型端末

    位置情報取得(Pull 方式)機能を具備

    した簡易型端末

    指令台連動

    方式

    指令台あり 指令台なし 指令台あり 指令台なし

    NTT 加入者電話 × × ○ ○ ○

    NTT 加入者電話

    (184) × × ○注 × ○

    携帯・IP 電話 ○ ○ ○ ○ ○

    携帯・IP 電話

    (184) × × ○注 × ○

    注:指令台にて発 ID(電話番号)強制取得可能であることが条件

    表 4-3.方式ごとの位置情報取得可否

    電話事業者 誤った発信者番号に対する位置情報取得要求があった場合の対応

    携 帯 4 社

    誤った発信者番号と同じ番号の発信者が、位置情報取得要求の 20 秒前までに同じ消防本部の

    管轄で緊急通報を行っていた場合、当該発信者の位置情報を取得し、位置情報を送信する。

    このような非常にレアなケースへの対応を行うのは非常に困難である。

    I P 電 話 A 社 当社の位置情報通知システム(携帯・IP)では、24 時間以内に通話履歴が存在しない場合は、

    当社顧客の発信者番号であってもタイムアウトエラーを送信する機能が既に具備されている。

    I P 電 話 B 社

    誤った発信者番号に対する位置情報要求に基づき、関係の無い加入者の位置情報を送信してし

    まう可能性があるので対応できない。

    また、対応するにしても多大な開発コストを要する。

    IP 電話 C~J 社 誤った発信者番号に対する位置情報取得要求については、位置情報の送信を抑止する機能を備

    えている。

    I P 電 話 K 社

    問い合わせの番号が通話中かどうかの確認は行っているが、正しい消防機関から照会されてい

    るかどうかのチェック機能は具備していない。

    対応には高額の改修費用が見込まれる。

    表 4-4.電話事業者の対応可否

  • 14

    また、簡易型端末の手入力等の簡易型端末改修コストを簡易型端末メーカご

    とにまとめた結果を以下に示す。

    簡易型端末

    メーカ 統合のために必要な事項 必要となる費用の概算 必要な期間

    A 社 簡易型端末ソフト改修 (※開発費用)500 万円 約 6ヵ月

    B社 簡易型端末ソフト改修 200 万円 2ヵ月

    C社 簡易型端末ソフト改修 200 万円 2ヵ月

    ※見積条件

    ・簡易型端末から発 ID(電話番号)を手入力することにより発信地及び位置情報要求を行う。

    ・指令台設備は発 ID(電話番号)強制取得機能を有することを前提とする。

    ・指令台設備と簡易型端末の発 ID(電話番号)連動機能については、共通フォーマットの制定が必要なため

    積算対象外とする。

    表 4-5.簡易型端末メーカの簡易型端末改修の概算費用及び期間

    位置情報通知システム(携帯・IP)の受信装置には、前述のとおり指令台連

    動方式と簡易型端末方式があるが、指令台連動方式により固定電話からの位置

    情報を取得することは消防本部側設備及び各事業者側設備の双方において問

    題ないと考えられる。

    一方、簡易型端末方式は位置情報取得(Pull 方式)機能を有していないた

    め、現行の簡易型端末を改修し、この機能を具備させる必要がある。具体的に

    は指令台等に表示された発 ID(電話番号)を簡易型端末に指令員が手入力す

    るか、もしくは指令台と簡易型端末を接続し、自動的に発 ID(電話番号)を

    取得させ、この発 ID(電話番号)に基づき取得要求を行うことが想定される。

    しかし、手入力する場合、誤った発 ID(電話番号)を入力し、これによっ

    て位置情報が通知され、災害発生場所とは異なった場所へ消防車両が出動して

    しまう危険性がある。

    また、指令台と簡易型端末を接続する場合、誤った発 ID(電話番号)を取

    得する危険性はないが、多大な改修費が必要となり、低廉な費用により位置情

    報を取得できる簡易型端末のメリットが損なわれると考えられる。

    上記二点の理由から、固定電話からの位置情報を受信するのは「指令台連動

    方式」のみとする。ただし、携帯・IP 電話等からの位置情報のみを受信する

    場合については簡易型端末方式を用いても構わないものとする。

    なお、簡易型端末方式は従前のとおり、位置情報取得(Pull 方式)機能を

    具備せず、携帯・IP 電話等からの 184 通報には対応しないものとする。

  • 15

    4.3.2 位置情報受信装置の処理能力について

    システムが統合化されることにより IP-VPN 網に固定電話からの位置情報が

    重畳されることになる。これにより IP-VPN 網へのトラフィック等が増加する

    が、現状の回線で問題ないことは統合化技術研究にて確認されている。

    今回、消防本部の位置情報受信装置の負荷が増えることについて、その処理

    能力に問題がないかを指令台メーカ 5社にヒアリングした結果(表 4-6)、基

    本的には、現在の位置情報通知システム(携帯・IP)受信装置において、対応

    可能であると考えられる。

    ただし、広域化等により緊急通報数が大幅に増大する場合、位置情報通知シ

    ステム(携帯・IP)受信装置の処理性能を増強することが必要となる場合もあ

    る。

  • 16

    指令台

    メーカ メーカの見解

    A 社

    弊社が開発している位置情報受信サーバは、1日の事案処理件数を最大 8,000 件と設計している。こ

    れは 1分間に平均 5.5件の処理性能を有していることになる。

    また、弊社事例では、大規模消防様の 1日の平均 119 着信件数(全ての 119 回線)は約 800 件であ

    り、受信サーバはこれの約 10 倍の処理能力を有していることになる。

    従って、統合化によるトラフィック増加は特に問題ないと考える。

    B 社

    固定電話の位置情報のトラフィック増加による位置情報受信サーバの技術仕様及びハードウェア的

    問題はないと判断する。

    固定電話の位置情報のトラフィック増加に対する処理は、位置情報受信装置のハードウェア処理能

    力に依存するが、現在、弊社位置情報受信装置にて採用しているハードウェア処理能力にて対応可能

    と考える。

    なお、消防広域化や指令室共同運用化及び政令指定都市等の位置情報のトラフィックが大幅に増加

    する場合は、位置情報受信装置のハードウェアに処理能力の高い機器を採用する必要があると考える。

    C社

    検討結果については以下のとおり。

    1 前提条件

    中間報告書での想定「最大トラフィック数=30 分間に 900 件」に基づき検証

    2 位置情報受信装置処理能力について

    弊社の位置情報受信装置の処理能力について検証

    ① 1 秒未満/件(接続検知~位置情報受信処理~レスポンス送信までの時間)

    ② 上記より全件数を順列に 1件ずつ処理した場合でも、1,800 件以上/30 分の処理能力がある。

    ③ 位置情報受信装置における位置情報処理は並列処理されるため、処理能力は②以上となる。

    よって、報告書で想定される 30 分間に 900 件という最大トラフィック数は、現状の位置情報受

    信装置にて処理可能と考える。

    D 社

    平成 19 年より位置情報通知システム(携帯・IP)を導入しているが、当時納めた位置情報受信装置

    においても、1日当たり 500 件以上の通報及び通報輻輳時には、1分当たり 60 件以上の受信処理能力

    を有している。

    現在検討されている新発信地システム統合に伴うトラフィック増加においても問題なく動作すると

    考える。

    E 社

    弊社の位置情報受信装置は、現行の携帯電話と IP 電話のみの受信およびトラフィックを前提に構築

    されており、1分間に 20 件程度を目処として耐えうるような想定で構築している。

    このため、固定電話の位置情報が加わり、想定以上の着信件数がある場合は、対応出来ない恐れが

    あるため、現行機器から対応可能なハードウェアへの更新が必要になることがある。

    表 4-6.固定電話からの位置情報が重畳されることによる位置情報受信装置への影響

  • 17

    4.4 NTT 東西から提示された統合化方式

    現在、NTT 東西が検討している統合化の形態は、図 4-3に示すようなものになっ

    ている。

    図 4-3.NTT 東西から提示された統合化方式(概要)について

    具体的には、NTT 東西の提案については以下のとおりである。

    ① 位置情報の送信方式は、位置情報取得(Pull)方式にのみ対応する。

    ② 指令台連動方式には対応するが、簡易型端末方式には対応しないものとする。

    ③ NTT 東西側の設備改修費用は、NTT 東西が負担する。

    ④ 消防本部にて必要な改修費用は、消防本部が負担する。

    ⑤ 統合化により端末設備(検索制御装置等)やフレームリレーが不要となる。

    ⑥ 平成 21 年度第 3四半期を目途として、統合化に対応する。

    ⑦ 統合化した際の電文フォーマットは、位置情報通知システム(XML)に合せる。

    上記の統合化方式については、統合化技術研究にて確認された内容と同等のもの

    である。システム統合化後、指令台連動方式では、新発信地表示システムにおいて、

    必要とされた端末設備(検索制御装置等)は不要となるほか、回線も IP-VPN のみ

    で十分であるため、フレームリレー回線も不要となる。システム統合の前後で必要

    とされる費用項目は表 4-7に示すとおりである。

    現行方式位置情報取得(Pull)方式発信地DBセンタから

    IP-VPNへ接続するインタフェース構築が必要

    公衆網ISDN

    位置情報受信装置

    ①緊急通報呼

    発信地DBセンタとIP-VPNを接続

    発信者 NTT東西 消防本部検討の方向性 開発経費 位置情報送信方式

    発信地DBセンタ

    IP-VPN

    検索制御端末

    ②発信者情報検索

    ③発信者情報転送

    FR網

    指令台設備

    IP-VPN接続

    統計端末

    現行方式位置情報取得(Pull)方式発信地DBセンタから

    IP-VPNへ接続するインタフェース構築が必要

    公衆網ISDN

    位置情報受信装置

    ①緊急通報呼

    発信地DBセンタとIP-VPNを接続

    発信者 NTT東西 消防本部検討の方向性 開発経費 位置情報送信方式

    発信地DBセンタ

    IP-VPN

    検索制御端末

    ②発信者情報検索

    ③発信者情報転送

    FR網

    指令台設備

    IP-VPN接続

    統計端末

  • 18

    項目 統合前 統合後 備考

    発信地検索サービス利用料 ○ ○

    発信地検索用回線利用料 ○ × IP-VPN 利用料が別途必要

    発信電話番号送出料 ○ ○

    発信エリア識別サービス利用料 ○ ○

    ナンバーディスプレイサービス利用料 ○ ○

    端末設備レンタル料 ○ × 位置情報通知システム(統合型)導入費用

    が別途必要

    端末設備買取費用 ○ × 位置情報通知システム(統合型)導入費用

    が別途必要

    端末設備保守費用 ○ × 位置情報通知システム(統合型)保守費用

    が別途必要

    表 4-7.システムの統合前後で必要となる新発信地表示システムの費用

    消防庁において実施した統合化技術研究の内容と、NTT 東西から提案された方式

    に相違がなく、また、統合によって新発信地表示システムの費用の一部(発信地検

    索用回線利用料、端末設備レンタル料、端末設備買取費用、端末設備保守費用)を

    削減できるなどの経済的なメリットが認められるため提案を採用することとする。

    なお、発信地検索サービス利用料については関係機関と引き続き、今後協議して

    いくこととする。

    また、IP‐VPN 区間及び位置情報通知システム(統合型)の消防側受信設備に関

    する事項については「携帯電話・IP 電話等からの緊急通報に係る位置情報通知シ

    ステム技術的条件書」(平成 18 年 3 月 総務省消防庁国民保護・防災部防災課防災

    情報室)に準拠するものとする。

  • 19

    5 システム導入状況分類に応じたシステム統合のあり方

    5.1 システム導入状況分類に応じた区分

    消防指令システムの導入形態ごとに消防本部を分類すると、表 5-1のように 8

    つのシステム区分に分けられる。

    新発信地表示システム導入済み 新発信地表示システム未導入

    位置情報通知システム

    (携帯・IP)導入済み 位置情報通知システム

    (携帯・IP)未導入

    位置情報通知システム

    (携帯・IP)導入済み 位置情報通知システム

    (携帯・IP)未導入 指令台連動

    方式

    簡易型端末

    方式

    指令台連動

    方式

    簡易型端末

    方式

    指令台

    システム

    導入済み

    Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ

    指令台

    システム

    未導入

    Ⅶ Ⅷ

    表 5-1.消防本部のシステム形態別の分類

    なお、前項において固定電話からの位置情報を受信するのは「指令台連動方式」

    のみとすることが適当とされたことから、位置情報通知システム(統合型)におい

    て、各種電話からの緊急通報に係る位置情報通知を受信するためには、以下の設備

    が必要になる。

    ① 指令台システム

    ② 指令台連動方式の位置情報通知システム(統合型)

    ※ 既に指令台連動方式導入済み消防本部の場合は、ソフトウェアの改修が必要に

    なる他、音声回線に係る改修等が必要になる場合がある。

    次節に、システム区分ⅠからⅥまでのシステムの導入並びに運用に係る費用のシ

    ミュレーション結果を示す。なお、シミュレーションにあたっては主要な指令台メ

    ーカ 5 社から、必要となるソフトウェア改修作業等の費用概算と必要な期間につい

    て、表 5-2を前提条件としてヒアリングを実施した。

    システム区分ⅠからⅢについては、現状のシステム構成を継続する場合の導入及び

    運用費用と、新発信地表示システムから位置情報通知システム(統合型)に移行し

    た場合の費用の比較を行っている。

    また、システム区分ⅣからⅥについては、新発信地表示システムが未導入のため、

    新発信地表示システムを導入し、更に位置情報通知システムを導入する場合と、当

  • 20

    初から位置情報通知システム(統合型)を導入する場合との比較を行っている。

    したがって、システム区分Ⅰ~Ⅲの費用に係るシミュレーションは、現行の費用

    と位置情報通知システム(統合型)への移行に伴い発生する費用の比較を行ってい

    るのに対し、システム区分Ⅳ~Ⅵの費用に係るシミュレーションは、共に今後発生

    する費用を比較しているため前提が異なる。また、システム区分Ⅶ、Ⅷについては、

    別途指令台購入費用が必要となるが、位置情報通知システムの統合に要する費用に

    ついては、システム区分Ⅵと同等なので、ここでは省略する。

    なお、次項のシミュレーションのうち、IP-VPN 回線利用料については平成 20 年

    度中の実績に基づき実施しているが、「位置情報通知用 IP-VPN 及び携帯電話等から

    の 119 番通報に係る位置情報通知システムの導入等に関するマニュアル(第 3 版)

    の送付について」(平成 20 年 9 月 24 日付 消防情第 160 号)で通知したとおり、平

    成 21 年度以降は IP-VPN 利用料は変更される予定であるので留意されたい。

    指令台

    メーカ 見積前提

    A 社

    ・全てのシステム区分において、統合化後は「指令台連動方式」として積算する。

    ・IP-VPN 回線申請費、利用料及び発信地検索サービス利用料は含まない。

    ・開発期間を含めた運用開始までに必要な期間を示す。

    ・強制発 ID(電話番号)ログ出力は弊社標準のものとし、また移行による教育期間等、詳細は別途とする。

    ・周辺サブシステムの交換費用や個別仕様対応費用は除く。

    B 社

    ・全てのシステム区分において、統合化後は「指令台連動方式」として積算する。

    ・IP-VPN 回線申請費、利用料及び発信地検索サービス利用料は含まない。

    ・開発期間を含めた運用開始までに必要な期間を示す。

    ・指令台システムはデジタル対応(ISDN119 回線)であることを前提としている。

    C 社

    ・全てのシステム区分において、統合化後は「指令台連動方式」として積算する。

    ・IP-VPN 回線申請費、利用料及び発信地検索サービス利用料は含まない。

    ・開発期間を含めた運用開始までに必要な期間を示す。

    ・新規指令台が同時期に整備され、指令台、簡易型端末ともに弊社製であること。(区分Ⅶ、Ⅷ)

    D 社

    ・全てのシステム区分において、統合化後は「指令台連動方式」として積算する。

    ・IP-VPN 回線申請費、利用料及び発信地検索サービス利用料は含まない。

    ・開発期間を含めた運用開始までに必要な期間を示す。

    ・新発信地システムの撤去費は含まない。

    ・積算価格には現地工事費、調整費を含む。

    E 社

    ・全てのシステム区分において、統合化後は「指令台連動方式」として積算する。

    ・IP-VPN 回線申請費、利用料及び発信地検索サービス利用料は含まない。

    ・開発期間を含めた運用開始までに必要な期間を示す。

    表 5-2.見積前提条件

  • 21

    5.2 システム区分ごとの費用概算と必要な期間について

    5.2.1 システム区分Ⅰ

    指令台システム 新発信地表示システム 位置情報通知システム

    (携帯・IP)

    位置情報通知

    システム(携帯・IP)

    の方式

    導入済み 導入済み 導入済み 指令台連動方式

    指令台

    メーカ 統合のために必要な事項 必要となる費用の概算 必要な期間

    A 社 ・指令台システムの設定変更等 95 万円 2 週間~4週間

    B 社

    ・指令台システムソフト改修(①)

    ・新発信地表示システム撤去(②)

    ①500~700 万円

    ②50 万円

    合計 550~750 万円

    約 12 ヵ月

    C 社 ・指令システムソフト改修

    ・現地調整費

    1,300 万円

    (税抜) 5 ヶ月

    D 社 ・指令台システムソフト改修 500 万円 4 ヶ月

    E 社

    ・新発信地表示システムへの問合せルート変更

    ・位置情報通知システム

    (接続装置への固定電話問合せルート追加)

    ・指令台システムソフト改修

    300 万円 約 3ヶ月

    表 5-3.システム区分Ⅰ各社見積

    区分 項目 費用(万円)

    新発信地

    A 新発信地端末設備買取総額 2,249

    B 新発信地端末設備レンタル料 1,077

    C 発信地検索用回線利用料 101

    D 新発信地端末設備保守費用照 130

    E 発信地検索サービス利用料

    452F 発信電話番号送出料

    G 発信エリア識別サービス利用料

    H ナンバー・ディスプレイサービス利用料

    位置情報通知

    I 位置情報通知指令台連動方式導入経費 1,500

    J 位置情報通知簡易型端末方式導入経費 250

    K IP-VPN 利用料 ※3.3.2 参照 48

    統合 L 統合改修経費 ※上記表の各社平均 569

    表 5-4.システム区分Ⅰ 費用一覧

  • 22

    図 5-1.システム区分Ⅰにて 6年目で改修した場合のシミュレーション

    本システム区分の消防本部は、新発信地表示システム及び指令台連動方式に

    よる位置情報通知システム(携帯・IP)を導入済みである。

    既にすべての位置情報を取得する体制が構築されているため、位置情報通知

    システム(統合型)への移行経費及び移行後の運用経費が検討のポイントとな

    る。

    まず、新発信地表示システムをレンタルで利用している場合、位置情報通知

    システム(統合型)への移行に係る改修経費が単年度の運用経費より安価であ

    り、システム移行によるコスト削減の効果は即時的である。

    次に、新発信地表示システムを買取りで利用している場合、システム移行後

    の運用経費は、移行前と比較し、200 万円ほど削減される。

    すなわち、システムの改修を行った年を含めて 3年間、位置情報通知システ

    ム(統合型)を運用すると、移行のために相応の費用を負担したとしても、位

    置情報通知システム(携帯・IP)を継続して運用する場合の経費を下回ること

    になる。

    したがって、新発信地表示システムをレンタル及び買取りで利用している場

    合のいずれも、早期に指令台システムを改修し、位置情報通知システム(統合

    型)に移行することが適当と考えられる。

    最後に、位置情報通知システム(統合型)を導入した場合、運用経費がどの

    程度削減されるかを表 5-5 に記載しておく

    位置情報通知システム(統合型)を導入した場合

    との比較モデル 運用経費の削減額

    統合化対応費用の回収期間

    (統合化への対応を行った年度含む)

    新発信地表示システムをレンタルで利用した場合 1,178 万円/年 1年間

    新発信地表示システムを買取りで利用した場合 231 万円/年 3年間

    表 5-5.システム区分Ⅰにおける運用経費の削減額

  • 23

    5.2.2 システム区分Ⅱ

    指令台システム 新発信地表示システム 位置情報通知システム

    (携帯・IP)

    位置情報通知

    システム(携帯・IP)

    の方式

    導入済み 導入済み 導入済み 簡易型端末方式

    指令台

    メーカ 統合のために必要な事項

    必要となる

    費用の概算 必要な期間

    A 社 ・指令台連動方式位置情報通知システムの導入 1,000 万~4,000 万円 180 日

    B 社

    ・指令台連動方式位置情報通知システムの導入(①)

    ・簡易型端末の撤去(②)

    ・新発信地表示システム撤去(③)

    ①3,000 万円

    ②10 万円

    ③50 万円

    合計 3,060 万円

    約 12 ヵ月

    C 社

    ・指令台連動方式位置情報通知システムの導入

    ・指令台システムソフト改修

    ・現地調整費

    3,100 万円

    (税抜) 7 ヶ月

    D 社

    <直収済みユーザ(H10 年以降対象)>

    ・指令台連動方式位置情報通知システムの導入(①)

    ・指令台システムソフト改修(②)

    ・簡易型端末の撤去(③)

    <直収未ユーザ(H16 年以降対象)>

    ・指令台連動方式位置情報通知システムの導入(①)

    ・指令台システムソフト改修(②)

    ・指令台音声回線改修(③)

    ・簡易型端末の撤去(④)

    ①800 万円

    ②500 万円

    ③10 万円

    合計 1,310 万円

    ①800 万円

    ②500 万円

    ③50 万円

    ④10 万円

    合計 1,360 万円

    4 ヶ月

    E 社

    ・指令台連動方式位置情報通知システムの導入