アジアの経済成長の動向 - agi · 2014. 5. 2. · •...

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アジアの経済成長の動向 産業政策と物流ロジスティクスグループ長 主任研究員 坂本 1 お話しする内容 アジアの経済成長の動向を統計データから 分析(GDP、人口、1人当たりGDPGDPの伸 び率、日本との貿易、金融、株式、為替)。 11カ国、地域を対象(日本、中国、香港、韓国、 台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、 シンガポール、タイ、ベトナム)。 中国がアジアの中心になる。 北九州市への示唆。 2 4

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  • アジアの経済成長の動向

    産業政策と物流ロジスティクスグループ長

    主任研究員 坂本 博

    1

    お話しする内容

    • アジアの経済成長の動向を統計データから分析(GDP、人口、1人当たりGDP、GDPの伸び率、日本との貿易、金融、株式、為替)。

    • 11カ国、地域を対象(日本、中国、香港、韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)。

    • 中国がアジアの中心になる。• 北九州市への示唆。

    24

  • 世界の中のアジア

    3

    0 20 40 60 80 100

    19701980199020002011

    GDP(PPP)

    アジア

    米国

    その他

    0 20 40 60 80 100

    19701980199020002011

    人口

    アジア

    米国

    その他

    (注)GDP(合計):17兆米ドル→70兆米ドル、人口:33億人→67億人(1970~2011年)。(出所)Penn World Table(http://www.rug.nl/research/ggdc/data/penn‐world‐table)

    GDPのシェア(PPP)

    4

    39.65

    30.73

    2.096.27

    4.12

    7.01

    1.762.76

    0.98

    3.64 0.991990年

    日本 中国香港 韓国台湾 インドネシアマレーシア フィリピンシンガポール タイベトナム

    20.12

    54.13

    1.207.07

    3.475.10

    1.56

    1.65 1.24

    2.85

    1.622011年

    日本 中国香港 韓国台湾 インドネシアマレーシア フィリピンシンガポール タイベトナム

    5

  • GDPのシェア(名目値)

    5

    70.92

    9.24

    1.766.18

    3.76

    2.87 1.091.12

    0.892.020.15

    1990年

    日本 中国香港 韓国台湾 インドネシアマレーシア フィリピンシンガポール タイベトナム

    34.51

    42.35

    1.436.56

    2.734.98 1.69

    1.321.53 2.17

    0.73

    2011年

    日本 中国香港 韓国台湾 インドネシアマレーシア フィリピンシンガポール タイベトナム

    GDPのシェア

    • PPP(Purchasing Power Parity、購買力平価)名目値に対して、国内の時系列での価格調整と国際間の価格調整を行ったもの。

    • アジアの上昇、米国の相対的低下。• 日本の相対的地位の低下。• 中国の相対的地位の上昇および逆転。

    66

  • 人口のシェア

    7

    7.16

    65.850.34

    2.52

    1.19 10.84

    1.073.61

    0.183.34

    3.93

    1990年

    日本 中国香港 韓国台湾 インドネシアマレーシア フィリピンシンガポール タイベトナム

    6.14

    64.320.35

    2.351.13

    11.77

    1.404.610.25

    3.38

    4.31

    2011年

    日本 中国香港 韓国台湾 インドネシアマレーシア フィリピンシンガポール タイベトナム

    人口のシェア

    • アジアのシェアの低下。• 中国、インドネシア、日本の順でシェアの大きな変化はない。

    • 日本のシェアが徐々に減少(人口の伸び率が低い)。

    • 国際的な人口移動はほとんどない。• 人口の自然増加率の低下がそのまま国力の低下につながる。

    87

  • 1人当たりのGDP

    9

    名目値(米ドル) PPP(米ドル)1980 1990 2000 2011 1980 1990 2000 2011

    日本 9,377 25,388 37,633 46,407 16,824 23,801 29,800 31,867中国 318 360 957 5,439 1,315 2,005 3,465 8,189香港 5,703 13,271 24,932 34,161 15,888 26,495 31,847 33,638韓国 1,719 6,291 11,598 23,067 4,561 10,702 19,128 29,272台湾 2,385 8,124 14,704 20,006 7,674 14,899 23,320 29,963インドネシア 526 679 773 3,495 1,878 2,778 2,904 4,217マレーシア 1,913 2,612 4,168 9,977 6,346 7,079 9,466 10,837フィリピン 764 797 1,048 2,370 2,835 3,284 3,202 3,487シンガポール 4,989 12,874 24,063 50,087 18,918 23,879 30,885 47,873タイ 705 1,547 1,997 5,318 3,023 4,679 5,814 8,200ベトナム 44 96 396 1,392 987 1,088 1,830 3,659

    1人当たりのGDP

    • 2000年以降中国が急上昇でタイを抜くも、日本には遠くおよばない。

    • 名目値で日本はシンガポールに抜かれる。• PPPの場合、日本は香港に抜かれ、台湾、韓国も接近する。

    • 2011年の日中差:8.5(名目値)→3.9(PPP)。

    108

  • GDPの伸び率(%、2000~13年)

    11

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    2000

    .Q1

    2000

    .Q3

    2001

    .Q1

    2001

    .Q3

    2002

    .Q1

    2002

    .Q3

    2003

    .Q1

    2003

    .Q3

    2004

    .Q1

    2004

    .Q3

    2005

    .Q1

    2005

    .Q3

    2006

    .Q1

    2006

    .Q3

    2007

    .Q1

    2007

    .Q3

    2008

    .Q1

    2008

    .Q3

    2009

    .Q1

    2009

    .Q3

    2010

    .Q1

    2010

    .Q3

    2011

    .Q1

    2011

    .Q3

    2012

    .Q1

    2012

    .Q3

    2013

    .Q1

    2013

    .Q3

    日本

    中国

    香港

    韓国

    台湾

    インドネシア

    (出所)『東アジアへの視点』経済指標データ(詳しくは雑誌に記載)

    GDPの伸び率(%、2000~13年)

    12

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    20

    2000

    .Q1

    2000

    .Q3

    2001

    .Q1

    2001

    .Q3

    2002

    .Q1

    2002

    .Q3

    2003

    .Q1

    2003

    .Q3

    2004

    .Q1

    2004

    .Q3

    2005

    .Q1

    2005

    .Q3

    2006

    .Q1

    2006

    .Q3

    2007

    .Q1

    2007

    .Q3

    2008

    .Q1

    2008

    .Q3

    2009

    .Q1

    2009

    .Q3

    2010

    .Q1

    2010

    .Q3

    2011

    .Q1

    2011

    .Q3

    2012

    .Q1

    2012

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    2013

    .Q1

    2013

    .Q3

    日本

    マレーシア

    フィリピン

    シンガポール

    タイ

    ベトナム

    9

  • GDPの伸び率

    • 急落後の急上昇は基準値が下がることによる影響(リーマンショック、東日本大地震、タイの洪水)。

    • 中国が平均して高い(直近は陰り)。• 日本が平均して低い。• 中国をはじめとするアジアの成長を無視することはできない。

    13

    日本の輸出(%、2000~13年)

    14

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    2000

    2001

    2002

    2003

    2004

    2005

    2006

    2007

    2008

    2009

    2010

    2011

    2012

    2013

    ベトナム

    タイ

    シンガポール

    フィリピン

    マレーシア

    インドネシア

    台湾

    韓国

    香港

    中国

    10

  • 日本の輸入(%、2000~13年)

    15

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

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    45

    5020

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    2001

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    2008

    2009

    2010

    2011

    2012

    2013

    ベトナム

    タイ

    シンガポール

    フィリピン

    マレーシア

    インドネシア

    台湾

    韓国

    香港

    中国

    日本との貿易関係

    • 日本側の統計。• 輸出:52兆円→70兆円(2000~13年)。• 輸入:41兆円→82兆円(2000~13年)。

    • アジア向け輸出の比率は上昇。• アジアからの輸入の比率は横ばい。• 輸出、輸入ともに中国のシェアが上昇。

    1611

  • M2の伸び率(%、2000~13年)

    17

    -10

    -5

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    2000

    .01

    2000

    .07

    2001

    .01

    2001

    .07

    2002

    .01

    2002

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    2003

    .01

    2003

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    2004

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    2004

    .07

    2005

    .01

    2005

    .07

    2006

    .01

    2006

    .07

    2007

    .01

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    2008

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    2008

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    2009

    .01

    2009

    .07

    2010

    .01

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    2011

    .01

    2011

    .07

    2012

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    2012

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    2013

    .01

    2013

    .07

    日本

    中国

    香港

    韓国

    台湾

    インドネシア

    M2の伸び率(%、2000~13年)

    18

    -5

    0

    5

    10

    15

    20

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    50

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    .01

    2006

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    .01

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    .01

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    .07

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    .01

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    .01

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    2012

    .01

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    2013

    .01

    2013

    .07

    日本

    マレーシア

    フィリピン

    シンガポール

    タイ

    ベトナム

    12

  • 金融市場

    • 貨幣供給(現金、普通預金、定期預金、外貨預金など)。

    • 伸び率が大きいと経済成長の助けになるが、インフレなどの副作用もある。

    • 中国、ベトナムの伸び率が大きい。• 日本の伸び率は低い。アベノミクスが始まっても5%弱の伸び率(インフレを警戒し過ぎ)。

    19

    株価指数の変化(2000=100)

    20

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    2000

    .01

    2000

    .07

    2001

    .01

    2001

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    2002

    .01

    2002

    .07

    2003

    .01

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    .07

    2004

    .01

    2004

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    2005

    .01

    2005

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    .01

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    .01

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    .01

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    .07

    2011

    .01

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    .01

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    .01

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    日本

    中国

    香港

    韓国

    台湾

    インドネシア

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  • 株価指数の変化(2000=100)

    21

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    2003

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    .01

    2004

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    2005

    .01

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    .01

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    2008

    .01

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    .01

    2011

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    2013

    .01

    2013

    .07

    日本

    マレーシア

    フィリピン

    シンガポール

    タイ

    ベトナム

    株式市場

    • 2000年の平均を100として指標化。• 必ずしも経済(景気)の先行指標とはならない。

    • 日本は2000年のミニバブル以降下落、2003年ごろから回復、リーマンショック後再び回復。

    • 中国のみ、リーマンショックから下落傾向。• 他の国は、基本上昇傾向。

    2214

  • 為替レートの変化(2000=100)

    23

    60

    80

    100

    120

    140

    2000

    .01

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    .01

    2002

    .07

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    2004

    .01

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    2005

    .01

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    .07

    2006

    .01

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    .01

    2007

    .07

    2008

    .01

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    2009

    .01

    2009

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    2010

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    2013

    .01

    2013

    .07

    日本

    中国

    香港

    韓国

    台湾

    インドネシア

    為替レートの変化(2000=100)

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    60

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    2000

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    .01

    2001

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    2002

    .01

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    .01

    2003

    .07

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    .01

    2004

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    2005

    .01

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    .07

    2006

    .01

    2006

    .07

    2007

    .01

    2007

    .07

    2008

    .01

    2008

    .07

    2009

    .01

    2009

    .07

    2010

    .01

    2010

    .07

    2011

    .01

    2011

    .07

    2012

    .01

    2012

    .07

    2013

    .01

    2013

    .07

    日本

    マレーシア

    フィリピン

    シンガポール

    タイ

    ベトナム

    15

  • 為替市場

    • 2000年の平均を100として指標化。• 対米ドルの為替レート。

    • アベノミクスで円高調整も2000年代初頭ほどではない。

    • インドネシア、ベトナムが通貨安傾向。• 元は上昇傾向、ウォンの直近は上昇傾向。• 他の国は、基本上昇傾向も、2013年は下落気味。 25

    中国の台頭

    • 2000年以降顕著になる。• 2013年のGDPは名目値で日本の約2倍。• 経済規模では日本との差が広がるばかり。• 1人当たりではまだ日本におよばない。• 経済大国と発展途上国の2面性を有効利用。

    • 大国であることを認めざるを得ない。• 質が伴わないがゆえの政治的対立。

    2616

  • アジア内でポスト中国を考える

    • NIEs(韓国、台湾、香港、シンガポール)。• 人口の多い国(インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー)。

    • 人口の少ない国(マレーシア、カンボジア、ラオス、ブルネイ)。

    • 市場性を考えると、人口の多い国が魅力的。• カギはインフラ(交通系を中心に、日本の協力が不可欠)。

    27

    北九州市の地位の低下と課題

    • GDPの全国比(1975~2010年度):北九州市:1.15→0.69%、福岡市:1.40→1.32%。

    • 人口の全国比:0.95→0.76%(0.90→1.14%)。• 福岡市と北九州市の格差が拡大。• アジアの中でも数字上は地位が低下。

    • 当面逆転は難しい。• 潜在性をどれだけアピールできるか。• どれだけアイデアが生まれ、実行できるか。 28

    17