clt晴海pj 0214リリース案 final -...
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2019年2月14日 報道関係各位
三 菱 地 所 株 式 会 社
真 庭 市
隈研吾建築都市設計事務所
三菱地所株式会社、岡山県真庭市ま に わ し
および隈研吾建築都市設計事務所は、木質系の建築資材「CLT」
を活用した「CLT 晴海プロジェクト」に取り組みます。本プロジェクトでは、三菱地所が事業主とな
り、東京都中央区晴海の土地に、隈研吾建築都市設計事務所によるデザイン監修のもと、岡山県真庭
市産の CLT 材を使用した施設を建築します。
本施設は、三菱地所として首都圏初(竣工時点)の CLT を使用した計画です。2019 年秋から 2020
年秋までの 1 年間、CLT の魅力を伝えるとともに、文化・情報の発信拠点としての運用を予定してい
ます。晴海での運用後は、部材をリユースし、岡山県真庭市の国立公園蒜山ひるぜん
に移築する予定です。移
築後は、観光及び芸術・文化発信拠点として利用される計画で、隈研吾氏によるデザインを活かし
た、蒜山高原一帯の新たなランドマークとして生まれ変わります。なお、本事業推進において、地方
創生推進交付金制度や企業版ふるさと納税制度などの活用検討も進めています。
三菱地所は、宮城県仙台市泉区「泉パークタウン」内での高層賃貸マンション開発計画「(仮称)泉
区高森 2 丁目プロジェクト」や、沖縄県・下地島空港の「みやこ下地島空港ターミナル」で CLT を活
用した開発を行ってきました。グループとしても CLT 推進に注力しており、本プロジェクトは設計監
理を株式会社三菱地所設計、施工は三菱地所ホームで執り行います。
岡山県真庭市は、最大生産能力 3 万㎥/年の国内最大規模の CLT 工場を擁しています。これまでに
市営住宅や教育施設、ホテル、住宅、オフィスなど 10 件以上の CLT 建築が竣工しており、自治体とし
て CLT の普及推進に力を入れています。 隈研吾建築都市設計事務所は、建築家 隈研吾氏による木材を活用した設計・デザインを、世界各地で
展開してきました。本プロジェクトでは、CLT パネルの構造を活かした移築が容易な構造として、都市
と地方をデザインでつなぎます。 三菱地所、真庭市および隈研吾建築都市設計事務所は、本プロジェクトを通じ、「都市と地方との資
源(経済)・文化の循環」の実現を目指していきます。
三菱地所・岡⼭県真庭市・隈研吾建築都市設計事務所の共同プロジェクト 「CLT 晴海プロジェクト」始動
〜国産材を⽤いた CLT で、地⽅創⽣にチャレンジ〜
▲晴海でのイメージパース ▲岡山県真庭市へ移築後のイメージパース
【1.CLT 晴海プロジェクト 物件概要】
所 在 地 東京都中央区晴海 3 丁目 2 番地 22 号
(移築後)岡山県真庭市蒜山地内
事 業 主 三菱地所株式会社
敷 地 面 積 6,529.09 ㎡
設 計 監 理 株式会社三菱地所設計
デザイン監修 隈研吾建築都市設計事務所(協力 江尻建築構造設計事務所)
施 工 三菱地所ホーム株式会社
建 物 用 途 展示施設、店舗他(予定)
建 物 規 模 パビリオン棟:地上 1 階建、屋内展示棟:地上 2 階建、展示別棟:地上 1 階建
建 物 構 造 木(CLT)造、鉄骨造
スケジュール 2019 年 5 月 既存解体完了、新築工事着工
2019 年 9 月 竣工、運営開始予定
2020 年 9 月 真庭市宛譲渡、解体工事開始予定
2020 年 10 月 真庭市への移築開始予定
2021 年 5 月 真庭市での運営開始予定
CLT 材
東京都中央区晴海
2019 年 5 月~2020 年 9 月(予定)
岡山県真庭市
2021 年 5 月~(予定)
建物移築
▲プロジェクト概念図
晴海
通り
パビリオン棟
屋内展示棟
展示別棟
至 銀座方面
【2.プロジェクトの立地】
N
N
展示別棟 屋内展示棟
パビリオン棟
▲晴海での立地 ▲晴海での配棟イメージ図
▲岡山県真庭市での移築先予定
「国立公園蒜山」
▲岡山県真庭市での配棟イメージ図(予定)
勝どき駅
© OpenStreetMap contributors
【3.デザインについて】
本プロジェクトでは、CLT パネルを現しあらわし
(構造材が見える状態での仕上げ)で使い、木目の美しさを最
大限生かしたデザインとしました。解体のうえ移設・再築が可能となっており、フレキシブルでサスティナ
ブルな建築を実現します。
パビリオン棟のあみだ状に組合せた混構造は折り紙を連想させ、そのデザインからは日本らしさを感じら
れるように意識しました。本施設では様々な催しが検討されていますが、訪れた人々が空間を通じて木材に
触れ合うことで、都市と地方をつなぐレガシーとなる建築を目指します。
■パビリオン棟の概要
あみだ構造の CLT パネルがグリッ
ト上に平面構成され、大きな内部空間
を生み出します。強度の高いヒノキ材
の CLT を使用しており、パビリオン
棟の上部には透過性のあるガラス屋根
をかけ、内部でのイベントや展示が行
える環境を実現します。
現しとする木の耐久性に考慮した計
画としており、建物全体の鉛直荷重は
鉄骨の通し柱で負担し、それを補強す
るように CLT が構造体として機能し
ます。
▲パビリオン棟内部イメージ図(予定)
パビリオン棟 屋内展示棟
強化合わせガラス
庇
▲パビリオン棟内部空間模式図(晴海での配棟)
■パビリオン棟の構造について
構造材料としての CLT パネルの新たな活用として、柱梁構
造の梁の一部分を CLT により構成。鉄骨造と CLT 造の新たな
混合構造の可能性を提案しています。
鉄骨柱接合部と CLT パネルは、CLT パネルに挿入した鋼板
をドリフトピンでとめることによって一体化。さらに移築を想
定し、鉄骨柱とパネルユニット接合部の間をボルト接合するこ
とで、各パネルユニットがボルトの付け外しで個別に取り外し
ができる移築可能でサスティナブルな構造システムを実現し
ます。
【4.移築先「国立公園蒜山」について】
名 称:国立公園蒜山
所在地:岡山県真庭市 蒜山エリア
面 積:約 186 ㎢
国立公園蒜山は、大山隠岐国立公園内にあり、
標高 600 メートルの高原地帯で、年間 240 万人
の観光誘客を誇る西日本有数のリゾート観光
地です。日本有数の飼育数を誇るジャージー牛
の牧場やホースパーク、塩釜の冷泉、グランピ
ング施設、スキー場、ワイナリー、遊園地、延
長30キロにも及ぶサイクリングロード、600
年の伝統をもつ郷原漆器など、豊富な観光資源
を有しています。
▲「国立公園蒜山」広域図
▲「国立公園蒜山」イメージ
●ご参考:CLT について
CLT は Cross Laminated Timber の略で、板の層を各層で互いに直交するように積層接着した大判パネ
ルのことです。1995 年頃からオーストリアを中心として発展してきた新しい構造材で、日本での取り組みは
2010 年ごろから本格的にスタートしました。CLT の強度性能などに関する各種実験は、国立研究開発法人
森林総合研究所や国立研究開発法人 建築研究所などの機関において取り組まれています。
構造用の建築材料として利用するためには、基本的には JIS(日本工業規格)または JAS(日本農林規格)
で認められた材料でなければなりませんが、CLT は 2013 年 12 月に JAS 制定されました。
これまでは CLT を構造材として用いるためには、建築物ごとに精緻な構造計算を行い、国土交通大臣の
認定※を受けることが必要でしたが、CLT を利用するための一連の建築基準法関連告示の施行により、許容
応力度計算などの通常の計算で設計できるようになりました。
※建築基準法第 20 条第 1 項第一号に基づく大臣認定。
構造設計手法に関する検討も進められています。例えば、2015 年度から 2016 年度にかけて防災科学技
術研究所兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)において、各種の実大震動台実験が行われました。
これらにより CLT の材料の強度や CLT を用いた建築物の地震時の挙動、CLT パネル工法の設計手法の検
証が行われました。また、強度や設計法に関する実験に加えて、3 階建て以下の準耐火構造ならば CLT を防
火被覆なしの「現し」で利用できるようにするための防耐火関連の実験や検討も進められました。
以上