給油時エバポとvoc、大気オゾンの関係 - kanagawa...

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給油時エバポとVOC、大気オゾンの関係-含ORVRシステムの説明-

2014年1月29日

神奈川県シンポジウム『ガソリンベーパーを考える』

1

2014年1月29日

日産自動車(株)

環境・安全技術渉外部

岡山 紳一郎

目次

1.大気中のオゾンの現状

2.エバポに関する基礎情報

3.エバポ低減とオゾンの関係

4.ORVRシステムについて

2

目次

1.大気中のオゾンの現状

2.エバポに関する基礎情報

3.エバポ低減とオゾンの関係

4.ORVRシステムについて

3

VOCは、オゾン生成要因の1つ

・VOCはオゾン生成要因の1つである。・Top事象はオゾンの大気環境基準達成であり、

VOCの大気環境基準は存在しない(VOCはPM2.5の2次生成にも関与あり)

光化学反応で生成する大気中のオゾン大気環境基準

4

自動車起因VOC

工場排出VOC

家庭起因VOC

植物起因VOC・・・

駐車時エバポ※DBL

給油時エバポ排気HC

NO2

走行時エバポ※RL

停車直後エバポ※HSL

※)詳細は、Appendix参照

要因群

NO2 オゾン CO

Annual 24H平均 1H平均 8H平均 1H平均 24H平均 8H平均 1H平均

日本 -0.04-0.06ppm

- - 0.06ppm10ppm

20ppm -

米国

日米欧のNO2、オゾン等空質基準

日本のオゾン1時間平均基準値は世界的にも厳しい

5

米国(連邦)

0.053ppm - 0.100ppm 0.075ppm提案:0.06-0.07

- - 9ppm 35ppm

米国(加州)

0.030ppm - 0.18ppm 0.070ppm 0.09ppm -

9.0ppm(6ppm:8H 8H Lake Taohe)

20ppm

EU40μg/m3【0.021ppm】

- 200μg/m3【0.106ppm】

120μg/m3【0.06ppm】

- -10mg/m3【9ppm】

-

WHOガイドライン

40μg/m3【0.021ppm】

-200μg/m3【0.106ppm】

100μg/m3【0.05ppm】

- - - -

日本のオゾン大気環境基準の達成状況達成率は一般局でも0.5%と厳しい状況が続いている

出典:環境省HP2013より2011年度データの解析結果

一般局

6

自排局

欧州の大気オゾン状況

南欧/地中海地域でオゾン空質120μg/m3未達(特に夏季)

7出典:EEA報告書2012より

米国のオゾン;基準に対する現状(2012/7月状況)

ORVRが導入されているカリフォルニア州でもオゾン問題は未解決

8Source: EPA HP @14.Feb.2013

目次

1.大気中のオゾンの現状

2.エバポに関する基礎情報

3.エバポ低減とオゾンの関係

4.ORVRシステムについて

9

ガソリン車からの蒸発ガス=エバポとは?燃料蒸発ガスとは、①破過(ガソリンベーパー)と

②透過(パーミエーション)、③給油時エバポ(ガソリンベーパー)

チェックバルブベントライン ベーパーライン

ロールオーバーバルブ

パージコントロールバルブ②透過

10

給油口拡大図③給油時エバポ

キャニスタ

燃料ホース

①破過

出典:JSAE Symposium 2013.11.15、岡山ら

日本の自動車のエバポ/ガソリンスタンドのVOC排出量

思いのほか、植物VOCが多い!!!全人為起源VOC排出量比;自動車エバポ=3.7%、

燃料蒸発(給油ロス)=5.3%。

拡大図

2010年推計

11出典:JATOPデータより作図 VOC量 kt/year

目次

1.大気中のオゾンの現状

2.エバポに関する基礎情報

3.エバポ低減とオゾンの関係

4.ORVRシステムについて

12

オゾン低減に対する給油時VOCのポテンシャル

・給油時VOCはアルカン類が主であり、

オゾンになりにくい(MIRが低い)成分が主である。

オゾン低減を考える場合、VOCのTotal値で議論しても解決にならない。

13

⇒VOCの個別成分に注目する必要がある。

☆オゾン反応性:MIR:Maxim Incremental Reactivityに注目すべき (詳細は、Appendix参照)

Less than 30 degrees

<b.p.>

Regular

40

60

80

Ratio %, (End Air -Start Air)/ HC Total

エバポ中の個別物質とオゾン反応性:MIR②

Fuel

Paraffin

Olefin

Aroma

Fuel DBL

Paraffin

Olefin

Aroma

給油時は概ね30℃以下であり、アルカンが多い⇒(オゾン生成能低い)

Less than 30 degrees

<b.p.> 給油時成分

14

0

20

Ratio %, (End Air

1.35

1.54

6.26

1.44

1.28

1.33

1.68

2.69 0.

81

11.2

63.97

11.2

2 7.18

6.61

7.49 -8

.49

6.61

6.61

オゾン反応性

MIR 左から蒸発温度の低い順に

物質を並べた

最大ozone発生=MIR×個別HC*MIR:オゾン反応性

出典:JSAE Symposium 2013.11.15、岡山ら

エバポ中の個別物質とオゾン反応性:MIR③

Fuel

Paraffin

Olefin

Aroma

Fuel DBL

Paraffin

Olefin

Aroma

Regular

20

30

40

Ratio %, (End Air -Start Air)/ HC Total

DBL成分

DBLはアロマ:トルエン等が多い⇒(オゾン生成能高い)透過もあることに留意すること

DBL:Diurnal Breathing Loss

15

オゾン反応性

MIR

0

10

Ratio %, (End Air

1.35

1.54

6.26

1.44

1.281.33

1.68

2.69 0.

81

11.2

63.97

11.2

2 7.18

6.61

7.49 -8

.49

6.61

6.61

左から蒸発温度の低い順に物質を並べた

最大ozone発生=MIR×個別HC*MIR:オゾン反応性

出典:JSAE Symposium 2013.11.15、岡山ら

オゾン低減のためのエバポに関する見解給油時エバポ:燃料の蒸発特性とオゾン反応性MIRから見て、沸点30℃以下のアルカン(MIR1前後)が多い⇒オゾンへの影響ポテンシャルは小さい

DBLエバポ:ホース等からの透過が多いことから、・4-メチル-1-ペンテン(MIR6.26)・トルエン(MIR3.96)

16

・トルエン(MIR3.96)・キシレン類(MIR7.49-8.49)の寄与が多い

⇒オゾンへの影響ポテンシャルは大きい

疑問:VOCを40%以上低減した固定発生源対策でも、

オゾンは下がっていない。(MIRが高いトルエンも低減)

固定発生源のVOC低減とオゾン低減効果日本:固定発生源が、40%以上のVOC低減を行ったが、

オゾンは改善せず。

17

出典:河川構造物管理研究セミナー2013.3.7、(独)土木研:富山ら

出典:環境省HP2013より2011年度データの解析結果

A、B、C点は、VOC低減でオゾンを低減可能

NOx、VOC濃度と日最大オゾンの関係同じオゾン濃度でも、VOC低減でオゾンが減る場所と増える場所がある。⇒大気中のNOx/VOC比の解明が必要

18

D点は、VOC低減でオゾンが増加

あなたの町はどっち?

出典:JSAE Symposium 2013.11.15、岡山ら

給油時エバポ対策でのオゾン対策の見通し

給油時エバポを減らすことで、VOCの低減は可能。

しかし、オゾンは下がらない可能性がある。

⇒現在、環境省が主催で、国環研等の研究機関が集まり、

All Japanで、オゾン生成メカニズムや要因を研究解明中。

19

現時点では、このような科学的知見の解明が重要であり、

All Japanで総力を上げて取り組むべき時期であると認識。

自動車も、業界として解明に努力している。

☆この結果が出れば、対策の方向性が見えると期待!

目次

1.大気中のオゾンの現状

2.エバポに関する基礎情報

3.エバポ低減とオゾンの関係

4.ORVRシステムについて

20

ORVRシステム概要

コントロールバルブ

シグナルライン チェックバルブ

循環ライン ベーパーライン

ORVRシステム代表例

①キャニスター大型化②燃料タンク関連システム部品

の大幅な変更が必要となる

ORVR化により変更・追加される部品

21

ロールオーバーバルブ

コントロールバルブ 循環ライン ベーパーライン

キャニスター大型化

給油量規制バルブ

パージコントロールバルブ

(従来システムは、Appendix参照)

ORVRシステムのKey point①給油管のLiquid sealによるべーパー放出防止

②発生べーパーを吸着する十分な大型キャニスタ

③給油ノズル自動停止(オートストップ)時の吹き返し防止

22

給油管を細径とし、給油ノズルと給油管を燃料によりシールしてべーパーの洩れを防止

①③

③ ②

オートストップしにくいノズルと給油管の位置関係

23

日本独自車(軽トラック、バン)でのORVR対応課題について

課題

①絶対的に給油口高さ(ヘッド差)が少ないので、給油時のベーパーをキャニスターに十分押し出せず、給油口からベーパーが漏れやすい。

②給油口にORVRの機能部品(配管等)が、ヘッド差少ない為、液没してしまい十分な機能が期待できない。また、Liquid sealの成立ゾーンも限定される。

①ヘッド差が少なくベーパーをキャニスター側に押し出せない。

キャニスター 給油ガン

燃料タンク

②機能部品が液没してしまう。Liquid seal

の成立ゾーンも狭い

差圧弁 ベーパーの流れ

☆ORVRを実施した場合の給油装置側の対応

1.給油ノズルの外径及び寸法の規格化⇒最近の日本では、ISO規格合致で、見通しあり

自動車にORVRを実施した場合も、以下の給油スタンド側の対応が不可欠

24

2.給油流速上限の規定⇒スタンド計量機の交換が必要

3.燃料蒸気圧(RVP)の上限規定の厳守⇒石連各社で既に実施

ORVRを実施した場合のガソリンスタンド側対応

ORVR対応給油管はLiquid sealの為に細径化が必要。下記のノズル寸法が重要である。

対応:1、給油ノズルの外径及び寸法の規格化

US連邦法規(参考)•ノズル外径:21.34mm以下•ノズル直線部長さ:63.4mm以上

25

ノズル外径

給油管内径通常:φ35~φ40程度ORVR:φ25程度

•スプリング迄の長さ:76.2mm以上

ORVRを実施した場合のガソリンスタンド側対応

給油流速が速すぎると、タンク内圧が増加し、給油時の早期オートストップや吹き返しが懸念される。⇒スタンド計量機の交換が必要。(補助金等、政治施策の必要性議論に波及する可能性)

対応:2、給油流速上限の規定

US連邦法規(参考)

2.5

26

US連邦法規(参考)•給油流速:4~10Gallon/分(約15~38L/分以下)

0

0.5

1

1.5

2

10 20 30 40 50

タンク内圧(kPa)

給油流速(L/分)出典:JAMA

全体まとめ

・ORVR車+給油スタンドの改修、

(または、Stage2導入)で、 給油時VOCは低減可能。

・但し、オゾン等の大気改善効果は不確定。

・不確定な部分に、補助金等の社会コストを投入すべきか、

対策施策を検討する際、熟慮が必要

27

提案:①神奈川県、横浜市、川崎市等の環境研究所の力を十分に活用し、

国と共同で、関東圏のオゾン生成メカニズム、要因解析に社会コストを使うべき。

②要因解析が明確になったうえで、社会コストの投資を如何にすべきか、

議論すべき。

ご清聴、ありがとうございました。Thank you for your attention !

28

以下 Appendix資料

平成26年1月29日(水)「『ガソリンベーパー』を考えるシンポジウム」配布資料(資料に関する問い合わせ先:神奈川県大気水質課大気環境グループ 電話 045-210-4111)

PM10PM7相当(SPM)

PM2.5

Annual 24H平均 24H平均 1H平均 Annual 24H平均

日本 - - 0.10mg/m3 0.20mg/m3 15μg/m3 35μg/m3

参考)日米欧のPM空質基準の紹介日本では、SPMやNO2の環境基準は、ほぼ達成したが、欧米同様、新たにPM2.5空質基準が追加された

29

米国(連邦)

- 150μg/m3 - -15μg/m3↓

12μg/m3強化

35μg/m3

米国(加州)

20μg/m3 50μg/m3 - - 12μg/m3 -

EU 40μg/m3 50μg/m3 - - 25μg/m3 -

WHOガイドライン

20μg/m3 50μg/m3 - - 10μg/m3 25μg/m3

SO2 ベンゼン Pb

Annual 24H平均 1H平均 Annual 1H平均 Annual3/1ヶ月平均

日本 - 105μg/m3 266μg/m3 3μg/m3 --

-

米国80μg/m3 365μg/m3 - - - -

0.15/-

参考)日米欧のSO2等の空質基準

未規制物質関係の基準は、無い国もあり

30

(連邦)80μg/m3 365μg/m3 - - - -

μg/m3

米国(加州)

- 105μg/m3 665μg/m3 - - - -/1.5μg/m3

EU-

125μg/m3350μg/m3 5μg/m3 - 0.5μg/m3 -

WHOガイドライン

- 20 μg/m3 -

(1.7μg/m3死亡リスク1×10-5

相当)

- 0.5μg/m3 -

参考)現状の燃料蒸発ガス回収システム概要

現状システム代表例

駐車時:DBL、走行中:RL、停車直後:HSLの蒸発ガス回収に対応キャニスタに蓄積した蒸発ガス成分は、走行時にエンジンが吸引する。

DBL:Diurnal Breathing LossRL:Running Loss

HSL:Hot Soak Loss

31

現状システム代表例チェックバルブベントライン ベーパーライン

ロールオーバーバルブ

キャニスタ

パージコントロールバルブ

HSL:Hot Soak Loss

参考)エバポ中の個別物質とオゾン反応性:MIR①

Regular

10

20

30

40

Ratio %, (End Air - Start Air)/ HC Total

Fuel

Paraffin

Olefin

Aroma

Fuel DBL

Paraffin

Olefin

Aroma

給油時とDBLの成分把握を実施した。試験燃料の蒸発特性を下記に示す。

試験燃料の蒸発特性

DBL:Diurnal Breathing Loss

32

0

10

2-M-Propane

n-Butane

2-M-Butane

n-Pentane

CyPentane

4-M-1-Pentene

Benzene

n-Heptane

2,2,4-TriM-Pentane

Toluene

Xylene

1-M-3-E-Benzene

1-M-4-E-Benzene

1,3,5-TriM-Benzene

1-M-2-E-Benzene

1,2,4-TriM-Benzene

1,2,3-TriM-Benzene

Ratio %, (End Air - Start Air)/

1.35

1.54

6.26

1.44

1.28

1.33

1.68

2.69 0.

81

11.2

63.97

11.2

2 7.18

6.61

7.49 -8

.49

6.61

6.61

オゾン反応性

MIR

最大ozone発生=MIR×個別HC*MIR:オゾン反応性

左から蒸発温度の低い順に物質を並べた

出典:JSAE Symposium 2013.11.15、岡山ら

参考)MIRから見た、当該地域でのオゾン低減への課題

NOx‐VOCバランスのBest点であれば、オゾンの低減効果は最大になる

33

出典:中環審大気環境部会揮発性有機化合物測定方法専門委員会(第4回)を改編

:VOC↑ またはNOx↓

:VOC↓ またはNOx↑ ①

出典:JSAE Symposium 2013.11.15、岡山ら

参考)ORVRシステム概要給油管のリキッドシールの説明

34

給油管を細径とし、燃料により

給油ノズルと給油管をシール

参考)最近の日本:給油ガン情報日本仕様で評価ISO規格を導入し、US規格に近づきつつある。

US法規

21.34以下

63.4以上

76.2以上

35

76.2以上

出典:セルフスタンドにおける給油時の安全確保に関する検討会報告書:平成19年3月総務省消防庁危険物保安室資料

単位:mm

参考)最近の日本:給油流速情報フルスタンドの上限流速が、US基準を満足せず。

⇒ガソリンスタンドの計量機の変更が必要

US法規

15~38

15~38

36

15~38

出典:セルフスタンドにおける給油時の安全確保に関する検討会報告書:平成19年3月総務省消防庁危険物保安室資料

単位:L/min

参考)PM2.5の新たな課題=2次粒子生成

2次粒子:ガス成分が光化学反応で粒子化2次粒子の原因となるガス成分にも注目すべき!

光化学反応

●。

。 。。

●●

●●

大気

光化学反応NOx

VOC

HClSOx

NH3有機2次粒子 無機2次粒子

37

PMPMPM

● ●

●。

● 。

。。

CO

NOx

PM

NOx

VOC

有機2次粒子 無機2次粒子

O3 NO2

1次粒子

● ●

●。

● 。

。。

● ●

●。

● 。

。。

出典:JSAE Symposium 2012.2.21、岡山ら

参考)PM2.5中の1次粒子と2次粒子の割合 測定例

PM2.5に占める2次粒子が圧倒的に多い

1次粒子=炭素粒子の低減だけでは、解決しない

38

1次粒子(排出源から粒子の形で

排出された物)

2次粒子 59% 出典:自工会PM2.5冊子

(ガスが光化学反応で粒子化したもの)