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12 ごみっと ・ SUN vol.14
ペットボトル飲料の環境負荷
ペットボトルに代表される使い捨て容器に入った飲料を飲むことは、日本だけでなく、世界各地でごく一般的な消費スタイルとなっています。日本では、ペットボトルはその他のプラスチック容器包装とは別に分別収集されるため、9割近くが回収・リサイクルされており、これは世界でもトップレベルです。しかし、それゆえに多くの消費者が「ちゃんとリサイクルしているから問題ない」と錯覚してきました。 ペットボトルをリサイクルしても、生産、輸送、販売、リサイクルといった商品の一生(ライフサイクル)で多くの資源・エネルギーを消費し、CO2を排出しています。水道水を冷水器や水筒で飲んだ場合と比較すると、その環境負荷の大きさは一目瞭然です(右図)。 また、一部の不適切に排出されたペットボトル等は、河川や海岸で回収されるごみの上位アイテムとなっており、今日深刻化する海洋プラスチック汚染の観点からも対策が必要です。 2010年、国際環境NGO FoE Japan は、ペットボトル等の使い捨て容器に入った飲料ではなく、水道水を選ぶことで環境負荷の低減と人にやさしいまちづくりを進めようと「水Do!(スイドゥ)キャンペーン」を開始しました。2014年からは、賛同団体で構成する「水Do!ネットワーク」により活動を拡大展開しています。
高まる給水スポットのニーズ
水Do!キャンペーンでは、活動開始当初から「街のオアシスを増やそう」ということを活動の柱の一つに掲げてきました。外出先で喉が渇いたときに、気軽に使える水飲み場や、マイボトルが空になったときに補充できる場所があれば、ペットボトル等に入った飲み物を買わなくて済みます。しかし街中にはなかなか水飲み場が見当たらず、コンビニや自販機で飲み物を買ってしまう環境になっています。 水Do!ネットワークは、これまで、ペットボトルの削減、水道水の飲用推進に関する国内外のさまざまな取り組みを現地調査し、すてきな水飲み場や給水機のある魅力的なまちづくりをたくさん確認してきました。 例えば、パリ市内には、1,200か所以上の水飲み場が設置されており、市庁舎前広場では、多くの観光客が水を飲
んだりボトルに水を入れていました。中には炭酸水の出る水飲み場もあります。イギリスのブリストルでは、町中のカフェの蛇口を給水スポットにしようという「Refill(リフィル)」キャンペーンが広がり、300以上の協力店舗が無料で給水サービスを提供しています。 日本でも、水道局がおいしい水道水を飲んでもらおうと、魅力的な水飲み場をつくる取り組みはあります。神戸市は市民も参加する水飲み場のデザインコンペを実施し、その優秀作品が、北野の風見鶏の館前に設置されています。東京都も有楽町の国際フォーラム前に直飲み用とボトル給水機を設置して注目されています。また、四国の香川では、うどん屋等でマイボトルへ給水するオアシススポットの活動が始まっています。 水Do!ネットワークでは、こうした国内外のさまざまな魅力的な給水スポットを、ウェブサイトに掲載したり、パネルにしてイベントで展示し、人気投票を行うなどいろいろな形で紹介してきました。そして、これらをご覧になった方々から多くの賛同をいただき、「こういうの、日本でも広げたい」という声をたくさんいただいてきました。真夏に開催される2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、熱中症対策としても、給水インフラの整備は急務であり、関係者に働きかけを続けてきました。
水Do!ネットワーク事務局長 瀬口 亮子
Refill Japan キックオフ !
給水スポットを全国に広げよう !
A ペットボトル入り国産ミネラルウォーターを自動販売機で購入して飲む。 ボトルはリサイクルへ。B ペットボトル入り輸入ミネラルウォーターを自動販売機で購入して飲む。 ボトルはリサイクルへ。C 冷水器を利用して、水道水を飲む。D 浄水した水道水をアルミ水筒に入れて飲む。
飲料水 (500ml) 利用のCO2 排出量比較東京大学・平尾研究室による試算
FoEJapan作成
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ごみっと ・ SUN vol.14 13
Refill Japanキックオフ!
こうしたこれまでの活動をベースに、海洋ごみ問題への関心の高まりも受けて、2019年度より、給水スポットを全国に広げるためのスキームづくりに注力することを決め、準備してきました。そして、さる5月29日、街中や観光地に誰もが使える水飲み場や給水機、マイボトルに給水してくれるお店等の「給水スポット」を増やし、広げるための活動のプラットフォーム「Refill Japan」を立ち上げました。全国各地の市民団体や自治体(水道局)、企業等、さまざまな主体が参加し、協働することで、給水スポットのムーブメントを広げていきます。 Refill Japan の給水スポットの条件は主に2つ。1点目は誰もが無料で使えること。会員制や特定のボトルが必要なものは、対象外です。そして2点目は、水道水が飲めること。例えば宅配水のウォーターサーバーは対象外となります(ただし、湧水がそのまま飲める地域の水飲み場は保健所の検査をクリアしていればOK)。 給水スポットのスタイルはいろいろ。いわゆる水飲み場から、冷水機、水筒に補充するための給水機、これらのハイブリッドタイプ、そして、カフェ等の協力店舗での水筒への給水サービス等。 こうした給水スポットを増やしていくためのアプローチとして、まずは、今あるインフラを最大限活用することを優先します。新しいインフラを作るには、時間もお金もかかるものですが、今そこにある蛇口が利用できればすぐに給水スポットになります。協力店舗での給水サービスを広げることに加え、デパートの水飲み場等、すでにあるのに見過ごされている給水スポットの存在を、スマホで見られるマップで可視化し、街のオアシスの情報を共有します。 次にRefill Japan では、イベント会場や、街中での短期的な仮設給水機の導入を推奨しています。夏場のイベント会場では、水分補給が必須です。マイボトルの持参を呼びかけることも必要ですが、空になったときに補充するための給水コーナーを設置することが主催者の責任といえます。少人数であれば、タンク式の給水機でも十分機能しますが、大人数でも対応できるよう、Refill Japan では日本で初めて、水道直結式の仮設給水機を導入し、各地のイベント会場等で利用していただきます。また、街中での試験的な設置で、熱中症対策とともに、ニーズを確認し、常設の水飲み場設置への橋渡しをします。 そして自治体、鉄道会社、大型商業施設等、常設の給水インフラを設置してほしいところに働きかけを行います。これらの活動の主体となるのは、それぞれの地域の人々であり、水Do!ネットワークはそれをサポートします。
順調に発進中!
5月29日に日比谷図書文化館小ホールで開催したキックオフイベントには、全国で給水スポットの活動を展開するキーパーソンが集結し、多くのマスコミや関連企業も取材や情報収集に参加しました。
そして、6月1日、2日、代々木公園で開催されたエコライフフェア(主催:環境省)で、日本初となる水道直結式仮設給水ステーションを設置、大きな注目を浴びました。直接飲むタイプと、水筒への給水専用の2台は、Refill Japanオリジナルのスタイリッシュなデザイン。イベント当日は蒸し暑く、冷たく冷えた水に人々が集まる光景は、まさに砂漠のオアシスのよう。2日間で300人以上が利用しました。 7月15,16日には、京都の祇園祭で最も人出の多い宵山で、この給水ステーションを設置しました。祇園祭のように街中で開催される大規模なお祭りでの給水ステーションの出現は、多くの観光客や市民の目を引き、2日間で約1,800人もが利用しました。京都市長もブースを訪れ、「うまい!」と京都の水道水に太鼓判。早くも今後のイベントでの給水機導入の方針を固めたようです。これらの活動の様子は、多くのマスメディアでも紹介されています。 7月末には、Refill Japan のウェブサイトが正式オープンし、最寄りの給水スポットを探せるマップも利用できるようになります。ぜひ、各地で活動するごみっと・SUNの読者の皆さんも、地域のリフィルの推進にご参加ください。参加方法もウェブサイトに掲載しています。 近い将来、日本中どこでも「水道水でおもてなし」が当たり前になるように、給水スポットを広げていきましょう!
Refill Japan公式サイト https://www.refill-japan.org水Do! 公式サイト http://sui-do.jp
レフィルジャパン
日本初の水道直結式仮設給水ステーションを囲んで
おなじみの水飲み場~増やしたいね。
お店の給水 サービス
減ってきている足でぎゅっと踏む冷水機。
あれもこれも
給水スポットだよ!
これが新しい
給水スポットだね!