人の移動を支援するモビリティロボット技術...自律走行車いす「marcus」...
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3産総研 TODAY 2014-11https://unit.aist.go.jp/is/ci/index_j.html このページの記事に関する問い合わせ:知能システム研究部門
はじめに
低炭素社会や高齢社会に貢献する移動手段として、ロボット技術を搭載したパーソナルモビリティを対象としたつくばモビリティロボット実験特区が2011年6月から始まっています。私たちは、特区を活用したパーソナルモビリティの広域自律走行実験、産総研-つくば駅間のモビリティロボットシェアリング実証実験などの公道(歩道)走行実証実験を実施し、インフラ支援型ナビゲーションに関する各種関連技術の研究開発を行っています。
自律走行車いす「Marcus」
屋内外の長距離自律移動を可能とする車いす型ロボット「Marcus」を開発しています。これまでに、ロボットに搭載したレーザーレンジセンサーや全方位カメラなどにより取得した環境データから、つくば市中心市街地などの広域3次元環境地図を作成し、それ
をベースとした屋内外を含む長距離(数km以上)自律走行技術を確立してきました。この技術はGPSが使えない屋内でも自律移動ができること、環境に一切手を加える必要がないことなど、汎用性の高い技術です。さらに、人などの前方障害物を検知すると、リアルタイムに走行軌道を修正し、回避できる機能も搭載しています。将来、高齢者の街中移動などに使われることを目指して、研究開発を続けています。
モビリティロボットスマートシェアリング
立ち乗り型モビリティロボットにGPSなどの各種センサーや情報提示装置を搭載し、予約システムや動態管理システム、充電ステーションとの連携によるシェアリングシステムを開発しました。これは、公共空間において電動パーソナルモビリティをユーザーが一人で借りて返すことのできる、世界で初めてのシステムです。現在、産総
研とつくば中央公園に設置した充電ステーション間で、産総研の職員が出張時などに使用し、主にビジネス用途でのシェアリング運用に関する各種データを取得・蓄積・解析しています。走行コースから逸脱した場合や急停止など危険な運転をした場合に警告が発せられる仕組みも搭載しています。2014年度中には、研究学園駅やつくば市役所にも充電ステーションを設置し、多点間のシェアリングシステムに拡張する予定です。
今後は、運用システムの検証やモビリティロボットシェアリングの実用化可能性検討を行うとともに、情報インフラを活用した移動支援サービスのモデルケースを提示したいと考えています。
人の移動を支援するモビリティロボット技術
知能システム研究部門スマートモビリティ研究グループ
松まつもと
本 治おさむ
図1 自律走行車いす「Marcus」背もたれ上部に3D環境地図作成用センサーを搭載
図2 モビリティロボットシェアリングシステム管理サーバーとの通信により動態管理や自動貸出が可能
管理サーバー
ロボット保管情報扉ロック開放指示など
ロボット位置速度情報
充電ステーション(産総研側)
モビリティロボット 充電ステーション(つくば中央公園側)
ロボット保管情報扉ロック開放指示など
予約登録・確認