力学的ダウンスケーリングと 統計的ダウンスケーリ …...2013/09/03 ·...
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力学的ダウンスケーリングと 統計的ダウンスケーリングの
融合と展望
稲津 將 (北海道大学) 久野 龍介(アーク情報システム)
中野 直人(東北大学)
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力学的DSの特徴
• 低解像な側面境界条件をもとに、物理的に整合性のある高解像なデータを作り出す。
• 一般に計算コストが非常に高い。たとえば、高解像な領域シミュレーションは低解像な全球シミュレーションの数倍の計算量が必要である。
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SmDS=SDS+DDS
A B C
計算年
地域降水の確率分布
SmDS Full DDS
全球 モデル
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気候変動適応推進プログラム
先進的なダウンスケーリング手法の開発 全球規模の気候変動予測成果を地域規模の気候変動予測や影響評価の検討などに活用することを目指して、力学的ダウンスケーリングと統計的ダウンスケーリングによる複合的なダウンスケーリング手法や新規的かつ先進的なダウンスケーリング手法の研究開発を行います。
まさにサンプリングDSそのもの 4
SmDS手順
• 地域場と大規模場の共変動パターンを特異値分解解析により抽出する。
• GCM出力を大規模場の第1特異モードに射影し、地域場を統計的に推定する。
• 統計的に推定された地域場からサンプル年として、第1特異時系列の上位M個と下位M個を選ぶ。
• サンプル年のみについてDDSを実行する。
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Observation
Global variables
Regional variables
Global variables
GCM simulation
Regional variables
SVD leading mode
STEP1 SVD analysis
STEP2 Projection
STEP3 DDS for sampled years
① 特異値分解(SVD)解析によって,地域場と大規模場の共変動モードを統計的に抽出する
1( , ) ( ) ( )M
i iiG t a t g
==∑x x
1( , ) ( ) ( )M
i iiR t b t r
==∑y y地域場 :
大規模場:
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② GCMによる予測値を大規模場のSVD第1モードに射影する
( )1 GCM( ) ,( )) ( ,s t Gg t′= xx
GCM GCM JRAG G G′ = −ただし,
Observation
Global variables
Regional variables
Global variables
GCM simulation
Regional variables
SVD leading mode
STEP1 SVD analysis
STEP2 Projection
STEP3 DDS for sampled years
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③ 統計的に推定された地域場の変動から代表年を決定し,DDSを実行
( )1 GCM( ) ,( )) ( ,s t Gg t′= xx
Observation
Global variables
Regional variables
Global variables
GCM simulation
Regional variables
SVD leading mode
STEP1 SVD analysis
STEP2 Projection
STEP3 DDS for sampled years
第1特異モード
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北海道の冬季降水の経年変動 東アジアの冬季水蒸気フラックス収束の経年変動
冬季アジアモンスーンの変動 Wallace and Gutzler (1981) 第1特異モードへの射影
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1. SDS(第1特異モードへの射影)と全期間のDDSの冬季降水偏差を支庁別に比較すると、高相関となる。
2. 第1特異モードへの射影の上位2年と下位2年をサンプルする(平均に対し不偏だが、分散を過大評価する)。 11
DDS VS SmDS
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冬季平均 強降水日数
冬季平均 無降水日数
冬季降水量 気候値
SmDS VS ランダムサンプルDS
14支庁平均降水量に対し、全期間DDSを基準として、サンプリングの分布が全期間DDSの分布に近いかを計量した。
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DDS VS SmDS (温暖化変化量)
SDS(第1特異モードへの射影)が現在気候における経験則であるため、GCM出力から地域降水の見積もりが十分でないことが原因。 14
SmDS VS ランダムサンプルDS
14支庁平均降水量に対し、全期間DDSを基準として、サンプリングの分布が全期間DDSの分布に近いかを計量した。
(温暖化変化量)
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サンプリングDS適用例のまとめ
1. 新手法を冬季北海道の降水にサンプリングDSを適用し、全期間DDS実験に基づいて評価した。
2. 現在気候においては全期間DDSの結果と 遜色ない地域気象を再現した。
3. 温暖化気候においては、地域気象の再現性の点でランダムサンプリングよりは妥当であった。
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