環境汚染物質の測り方 - 国立環境研究所公開シンポジウム2009...
TRANSCRIPT
公開シンポジウム2009
環境汚染物質の測り方―ハイテクとローテクによる
アプローチ―
独)国立環境研究所
化学環境研究領域 有機環境計測研究室
橋本俊次
1
公開シンポジウム2009
お話しする内容
2
いろいろな汚染物質
分析方法と問題点(ダイオキシンを例に)
毛糸を利用した大気サンプリング<ローテクノロジーの紹介>
先端機器による迅速・高精度・高感度分析<ハイテクノロジーの紹介>
私たちの目標
公開シンポジウム2009
いろいろな(有機)汚染物質
3
残留性有機汚染物質(POPs)残留性有機汚染物質(POPs)
臭素系難燃剤(BFRs)臭素系難燃剤(BFRs)
パーフルオロ化合物(PFCs)パーフルオロ化合物(PFCs)
農薬農薬 代謝物代謝物
国際条約で使用禁止(制限),監視,管理,削減が義務づけられている
ダイオキシン類,PCBs,DDTs,HCHs,クロルデン類など
火災防止などの目的で樹脂や繊維に使用された.残留性が高く,地球的規模での汚染が知られている
衣服の防水加工、製品の表面処理剤、界面活性剤などとして広く使用されている生物蓄積性が高く,問題となっている
PBDEs,PBBs,HBCDsなど
医薬品とパーソナルケア製品(PPCPs)医薬品とパーソナルケア製品(PPCPs)
PFOS,PFOA,PFAAsなど
人や家畜に使用された医薬品や抗生物質などが環境を汚染しており,生態系への影響や耐性菌の出現が心配されている
VOCVOC PAHsPAHs環境ホルモン環境ホルモン ・・・・・・
公開シンポジウム2009
ダイオキシンとその仲間(?)
4
似たような物質がいろいろある
似たような物質がいろいろある
その中にもたくさんの種類がある
その中にもたくさんの種類がある
m + n = 1 - 8
O
O
ClnClm
ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン m + n = 1 - 8
OClm Cln
ポリ塩化ジベンゾフラン
m + n = 1 - 10
Clm Cln
ポリ塩化ビフェニル(PCB) m + n = 1 - 10
NNClm
Cln
ポリ塩化アゾベンゼン
m + n = 1 - 8
Clm Cln
ポリ塩化ビフェニレン m + n = 1 - 8
S
S
Clm Cln
ポリ塩化ジベンゾチアントレン
公開シンポジウム2009
測定測定
試料採取(サンプリング)試料採取(サンプリング)
分析機器に入れるだけで全ての成分の量が分かる
有機汚染物質の分析手順
5
<現在の分析法の問題点>
物質毎に方法が異なる
試料の種類によっても方法が違う
一度に測れる数には限りがある
微量分析では,対象外成分を除く作業が大変
前処理
抽出抽出
測定測定
精製(クリーンアップ)精製(クリーンアップ)
試料(大気、水、土壌等)から目的成分を含む有機物を取り出す
目的成分以外の有機物を取り除く
分析機器で目的成分の量を計測する
試料採取(サンプリング)試料採取(サンプリング)
公開シンポジウム2009
ダイオキシン分析の流れ図
6
灰,降下粉塵 0.5~2g 水質 10~20L
2M-HCl ろ過
塩酸処理 発砲がなくなるまで トルエン又は
ジクロロメタン
ろ過 水洗しながら 残渣 ろ液 100~200ml×2~5回
乾燥
残渣 ろ液 固相抽出 振とう抽出
C18固相
乾燥 振とう抽出
トルエン又は 脱水
ジクロロメタン ソックスレー抽出
10~20ml×2~5回 トルエン,16時間以上
ソックスレー抽出
トルエン,16時間以上 濃縮
濃縮 ヘキサン 50ml
ヘキサン 50ml クリーンアップスパイク添加
クリーンアップスパイク添加
生物 1~50g
土壌,底質 10-20g
ホモジナイズ
乾燥 クリーンアップスパイク添加
2M-KOH水溶液 200ml
篩かけ メタノール 150ml
アルカリ分解
ソックスレー抽出 室温,一夜放置
トルエン,16時間以上 ヘキサン 100ml×3回
濃縮 振とう抽出
ヘキサン 50ml 10分間
クリーンアップスパイク添加 2%-NaCl水溶液 200ml×2回
水洗
脱水 無水硫酸ナトリウム
大気 500~1,000m3
濃縮
ろ紙,ウレタンフォーム ヘキサン 50ml
ソックスレー抽出
トルエン,16時間以上
濃縮
ヘキサン 50ml
クリーンアップスパイク添加
抽出液
硫酸処理 濃縮
硫酸層に着色がなくなるまで ヘキサン 3ml
ヘキサン洗浄水 20ml×3回
水洗 多層カラムクロマトグラフィ
10%(w/w)-硝酸銀/シリカ,3g
脱水 無水硫酸ナトリウム シリカゲル,0.9g
22%(w/w)-硫酸/シリカ,6g
濃縮 シリカゲル,0.9g
ヘキサン 3ml 44%(w/w)-硫酸/シリカ,4.5g
シリカゲルカラムクロマトグラフィ 2g,130℃3時間加熱活性化 シリカゲル,0.9g
2%(w/w)-KOH/シリカ,3g
ヘキサン 100ml で溶出
ヘキサン 120ml で溶出
濃縮
ヘキサン 3ml
アルミナカラムクロマトグラフィ 15g,塩基性,活性度 I
ヘキサン 150ml
60%(v/v)-ジクロロメタン/ヘキサン 200ml で溶出
濃縮
ヘキサン 1ml
活性炭カラムクロマトグラフィ 1g,乾式充填
25%(v/v)-ジクロロメタン/ヘキサン 200ml
トルエン 200ml で溶出
濃縮 濃縮
シリンジスパイク添加
測定 測定
PCDDs/PCDFs PCBs
non-ortho-PCBs mono/di-ortho-PCBs
所要日数:数日~数週間所要日数:数日~数週間
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7
実験室
管理区域(ケミカルハザード)
管理区域(ケミカルハザード)
実験風景(マスク、手袋等の着用)
実験風景(マスク、手袋等の着用)
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8
前処理
抽出(ソックスレー抽出:16時間以上)
抽出(ソックスレー抽出:16時間以上)
クリーンアップ(硫酸、シリカゲル、アルミナ、活性炭:2日~4日)
クリーンアップ(硫酸、シリカゲル、アルミナ、活性炭:2日~4日)
公開シンポジウム2009
9
測定測定(30~60分×3回/1検体)
測定(30~60分×3回/1検体)
高分解能GC-MS高分解能GC-MS
データ処理(60~120分/1検体)
データ処理(60~120分/1検体)
公開シンポジウム2009
毛糸を利用した大気サンプリング<ローテクノロジーの紹介>
10研究協力:島津テクノリサーチ(株)
抽出抽出
測定測定
精製(クリーンアップ)精製(クリーンアップ)
試料採取(サンプリング)試料採取(サンプリング)
公開シンポジウム2009
大気のサンプリング法<ダイオキシン・PCBの場合>
11
ハイボリュームエアサンプラー
大気中のダイオキシン類の濃度は大変低い!大気中のダイオキシン類の濃度は大変低い!
大量(1,000 m3)の大気試料が必要大量(1,000 m3)の大気試料が必要
大がかりな試料採取装置を使用大がかりな試料採取装置を使用
<メリット>
標準法である
実績がある
<デメリット>
装置が高価
取り扱いにスキルが必要
用意できる台数が限られる
準備、運搬、設置が大変
電源が必要
1 . 5 m
公開シンポジウム2009
毛糸のパッシブサンプラー毛糸のパッシブサンプラー
10cm
パッシブサンプラー:ポンプなどを使わず、自然吸着によりサンプリングをするもの
10 cm
毛糸サンプラー
12
屋内で使う場合屋内で使う場合
屋外で使う場合屋外で使う場合
市販の毛糸(羊毛:アクリル=3:2)を束ねて切っただけ
(使う前に有機溶剤で洗浄)
市販の毛糸(羊毛:アクリル=3:2)を束ねて切っただけ
(使う前に有機溶剤で洗浄)
公開シンポジウム2009
毛糸サンプラーを使った時の分析法
13
<現行法> <試した方法>
毛糸への不純物の吸着量が少ないので前処理が簡単にできた
毛糸への不純物の吸着量が少ないので前処理が簡単にできた
公開シンポジウム2009
y = 0.5271xR² = 0.9187
1
10
100
1000
10000
1 100 10000
MoCB #3
y = 0.7367xR² = 0.9483
1
10
100
1000
10000
1 100 10000
DiCB #5/#8
y = 1.6208xR² = 0.9572
1
10
100
1000
10000
1 100 10000
TrCB #28
y = 2.018xR² = 0.9337
1
10
100
1000
10000
1 100 10000
TeCB #52/#69
y = 2.6437xR² = 0.9396
1
10
100
1000
10000
1 100 10000
TeCB #70
y = 2.3036xR² = 0.9408
1
10
100
1000
1 100
PeCB #95/#98
y = 2.9345xR² = 0.916
1
10
100
0.1 10
PeCB #118
y = 1.594xR² = 0.9452
1
10
100
1000
10000
1 100 10000
TrCB #31
室内実験の結果縦軸は毛糸への吸着量,横軸はこれまでの方法(ポンプによる吸引法)による測定値(濃度) 14
これまでの方法との比較
空気中の濃度を良く反映している
空気中の濃度を良く反映している
大気中濃度(pg/m3)
公開シンポジウム2009
PCBの毛糸への吸着量の変化
PUF:ポリウレタンフォームディスクACF:活性炭フェルト
揮発しやすいPCB 揮発しにくいPCB
ウレタンフォームと活性炭はガス状のものを良く吸着する
ウレタンフォームと活性炭はガス状のものを良く吸着する
毛糸は揮発しにくいものを良く吸着する
毛糸は揮発しにくいものを良く吸着する
毛糸は平衡に達している(大気の濃度と釣り合っている)
毛糸は平衡に達している(大気の濃度と釣り合っている)
公開シンポジウム2009
0
3,000
6,000
9,000
12,000
15,000
18,000
6時間 7日 14日
1ヶ月
2ヶ月
PCB濃度
(pg/m
3 )
Lab.A
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
6時間 7日 14日
1ヶ月
2ヶ月
PCB濃度
(pg/m
3 )
Lab.B
MeasurementCalculate
16
毛糸吸着量から計算した大気中濃度
2週間以上で実測値と計算結果が良く一致した
2週間以上で実測値と計算結果が良く一致した
二つの部屋で実験縦軸は大気中のPCB濃度.横軸は時間青棒は毛糸吸着量からの計算値,赤棒は実測濃度
実験室A 実験室B
実測値
計算値
公開シンポジウム2009
可能性
汚染源周辺のモニタリング(空間的,連続的)
日本全国一斉大気モニタリング
世界の汚染物質濃度分布の調査
化学物質の室内空間分布の調査
健康リスク研究に利用
作業環境,生活環境モニタリング
個人の暴露調査に利用
17
公開シンポジウム2009
先端機器による迅速・高精度・高感度分析<ハイテクノロジーの紹介>
18研究協力:日本電子(株),ゲステル(株)
抽出抽出
測定測定
精製(クリーンアップ)精製(クリーンアップ)
試料採取(サンプリング)試料採取(サンプリング)
公開シンポジウム2009
19
検出器注入口
キャピラリーカラム
<高温>
従来のキャピラリ-GC
GC:ガスクロマトグラフ
化学物質を気化させてキャピラリーカラムという細い管を通し,通り抜けるのにかかる時間の違いによって,各成分を分離する装置
クロマトグラム
公開シンポジウム2009
20
GCxGC
注入口
1st カラム
検出器Cold JetHot Jet
2nd カラム
モジュレーター
0.25 mm I.D. 0.10 mm I.D.
1 次元目のGC
2 次元目のGC
1 次元目 GC から溶出する全ての成分をモジュレーター により数秒(3~8秒)ごとに 2 次元目 GC へ導入
GCxGC:多次元ガスクロマトグラフ 化学成分が二次元に分離される!
(解析ソフトウェアが必要)
化学成分が二次元に分離される!
(解析ソフトウェアが必要)
Zoex KT2004Zoex KT2004
公開シンポジウム2009
21
GCxGCは分離が良い!
0
500
1000
1500
2000
2500
1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 51 56 61 66 71 76 81 86 91 96 101
106
111
116
121
126
131
136
141
146
151
156
161
166
171
176
181
186
191
196
201
206
211
216
221
226
231
236
241
246
251
256
261
0
500
1000
1500
2000
2500
1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 51 56 61 66 71 76 81 86 91 96 101
106
111
116
121
126
131
136
141
146
151
156
161
166
171
176
181
186
191
196
201
206
211
216
221
226
231
236
241
246
251
256
261
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
1 6 11 16 21 26 31 36 41 46 51 56 61 66 71 76 81 86 91 96 101
106
111
116
121
126
131
136
141
146
151
156
161
166
171
176
181
186
191
196
201
206
211
216
221
226
231
236
241
246
251
256
261
時間 →
普通のGCでは
GCxGCだと
これはイメージです
公開シンポジウム2009
+質量の測定範囲が広い
極短時間(< 1ms) で質量スペクトルが得られる (速い)
イオンの透過率が高く、高感度
仕組が単純で、質量誤差が少ない(正確)
飛行時間質量分析計(Time-of-Flight Mass Spectrometer = TOFMS)
電界内に同時に射出されたイオンが検出器に届く時間の差を利用し,質量を測定する装置(軽いイオンは速く、重いイオンは遅い)
TOFMS(日本電子JMS-T100GC)TOFMS(日本電子JMS-T100GC)
+++ 検出器
軽い物質
重い物質
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媒体毎に異なり,手間と熟練が必要な
長い前処理とGC‐HRMSによる繰り返し測定(所要日数:7‐14日)
23
818
1610
24020
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1800
34.50
34.80
35.10
35.40
35.70
36.00
36.30
36.60
36.90
37.20
37.50
37.80
38.10
38.40
38.70
39.00
39.30
39.60
39.90
40.20
40.50
40.80
41.10
Ion coun
ts
1st GC RT (min)
Mass resolution (m/Δm): 300
23
818
1610
24020
100
200
300
400
500
600
70034
.50
34.80
35.10
35.40
35.70
36.00
36.30
36.60
36.90
37.20
37.50
37.80
38.10
38.40
38.70
39.00
39.30
39.60
39.90
40.20
40.50
40.80
41.10
Ion coun
ts
1st GC RT (min)
Mass resolution (m/Δm): 5,000
試料粗抽出液中心質量数: 337.8678(PeCDF:M+)
捕集
ソックスレー抽出
濃縮
定溶
分取
多層シリカゲルカラムクロマトグラフィ
濃縮
活性炭カラムクロマトグラフィ
濃縮
HPLCクリンナップ
濃縮
1回目測定
カラム交換
GCxGC-HRTOFMSによる迅速・高精度・高感度分析
GCxGCによる二次元超高分離
GCxGCによる二次元超高分離
23
HRTOFMSによる高分解・高精度質量測定
HRTOFMSによる高分解・高精度質量測定
現行法
Hashimotoら,J.Chromatogr,2008
多くの妨害成分と分離でき,目的成分ピークが確認できた多くの妨害成分と分離でき,目的成分ピークが確認できた
精密質量の測定により,さらに正確になった
精密質量の測定により,さらに正確になった
前処理が不要に!
公開シンポジウム2009
24
GCxGC-HRTOFMSによる大気中PCB,POPsの分析
大気の捕集管(ゲステルTDU用Tenax-TA捕集管)
大気の捕集管(ゲステルTDU用Tenax-TA捕集管)
加熱脱着装置 (ゲステルTDU)
で測定装置へ
加熱脱着装置 (ゲステルTDU)
で測定装置へ
↑マイクロポンプによるサンプリング↑マイクロポンプによるサンプリング
前処理省略!
前処理省略!
18 cm
公開シンポジウム2009
TD-GC-HRTOFMSのトータルイオンクロマトグラム
0.E+00
1.E+08
2.E+08
3.E+08
4.E+08
5.E+08
6.E+08
7.E+08
8.E+08
9.E+08
7 14 20 27 34 40 47 54 60 67 RT (min)
25
一般大気の測定結果
(m/z=35~600,国立環境研究所内大気(5月),(約3m3,Tenax捕集管1段目)
TD-GCxGC-HRTOFMS測定トータルイオンクロマトグラム
膨大な数の物質が検出されている!
膨大な数の物質が検出されている!
通常のソフトウェアでは,解析不能!!
通常のソフトウェアでは,解析不能!!
あきらめるしか ないのか?あきらめるしか ないのか?
1データで数十ギガバイト(従来データの数百倍)
1データで数十ギガバイト(従来データの数百倍)
公開シンポジウム2009
26
目的成分の検索と抽出
33
2057
0
50000
100000
150000
200000
250000
300000
350000
400000
450000
30.80
31.67
32.53
33.40
34.27
35.13
36.00
36.87
37.73
38.60
39.47
40.33
41.20
42.07
42.93
43.80
44.67
45.53
46.40
47.27 2nd RT (m
sec)
1st RT (min)
m/z= 289.9223633 mass resolution= 5000 289.8643799 ‐ 289.9803467 Compound= TeCB modulationPeriod(ms)= 4000 MS Cycle (Hz)= 25
KC‐Mix
33
1383
27300
50000
100000
150000
200000
250000
300000
350000
400000
450000
26.80
27.47
28.13
28.80
29.47
30.13
30.80
31.47
32.13
32.80
33.47
34.13
34.80
35.47
36.13
36.80
37.47
38.13
38.80
39.47
2nd RT (m
sec)
1nd RT (min)
m/z= 255.9613342 mass resolution= 5000 255.910141 ‐ 256.0125122 Compound= TrCB
modulationPeriod(ms)= 4000 MS Cycle (Hz)= 25
KC‐Mix
10
2032
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
31.20
32.07
32.93
33.80
34.67
35.53
36.40
37.27
38.13
39.00
39.87
40.73
41.60
42.47
43.33
44.20
45.07
45.93
46.80
47.67 2n
d RT (m
sec)
1st RT (min)
m/z= 289.9223633 mass resolution= 5000 289.8643799 ‐ 289.9803467 Compound= TeCB modulationPeriod(ms)= 4000 MS Cycle (Hz)= 25
shift time (ms) ‐100
AIR 2‐1
33
2057
0
100000
200000
300000
400000
500000
600000
36.13
37.13
38.13
39.13
40.13
41.13
42.13
43.13
44.13
45.13
46.13
47.13
48.13
49.13
50.13
51.13
52.13
53.13
54.13 2nd RT (m
sec)
1st RT (min)
m/z= 325.8804321 mass resolution= 5000 325.8152466 ‐ 325.9456177 Compound= PeCB modulationPeriod(ms)= 4000 MS Cycle (Hz)= 25
KC‐Mix
10
2032
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
36.53
37.47
38.40
39.33
40.27
41.20
42.13
43.07
44.00
44.93
45.87
46.80
47.73
48.67
49.60
50.53
51.47
52.40
53.33
54.27 2n
d RT (m
sec)
1st RT (min)
m/z= 325.8804321 mass resolution= 5000 325.8152466 ‐ 325.9456177 Compound= PeCB modulationPeriod(ms)= 4000 MS Cycle (Hz)= 25
shift time (ms) ‐160
AIR 2‐1
10
1357
27080
20000
40000
60000
80000
100000
120000
27.20
27.87
28.53
29.20
29.87
30.53
31.20
31.87
32.53
33.20
33.87
34.53
35.20
35.87
36.53
37.20
37.87
38.53
39.20
2nd RT (m
sec)
1st RT (min)
m/z= 255.9613342 mass resolution= 5000 255.910141 ‐ 256.0125122 Compound= TrCB
modulationPeriod(ms)= 4000 MS Cycle (Hz)= 25 shift time (ms) 150
AIR 2‐1
左:PCB混合液右:一般大気(5月)上段:TrCBs中段:TeCBs下段:PeCBs
TD-GCxGC-HRTOFMS3D-SIMクロマトグラム(自作プログラム)
目的の質量だけをデータから抽出
目的の質量だけをデータから抽出
目的成分(PCB)
の検出に成功!
目的成分(PCB)
の検出に成功!
公開シンポジウム2009
GCxGC-TOFMSによるダイオキシン異性体分離
フライアッシュ粗抽出液, m/z 339.8597
PeCDFs(28異性体)
ピーク数:14~17
ピーク数:25
異性体の分離が良くなった!
異性体の分離が良くなった!
毒性の高い重要な異性体の全てが完全に分離できた!
毒性の高い重要な異性体の全てが完全に分離できた!
公開シンポジウム2009
新しい方法と現行法の比較
28
未処理試料
GCxGC-
HRTOFMS
精製済み試料(従来法)HRMS: 二重収束型質量分析計
GCxGCとHRTOFMSの組み合わせにより,初めて「前処理を省略した超高感度で正確な定量」を可能にした!
GCxGCとHRTOFMSの組み合わせにより,初めて「前処理を省略した超高感度で正確な定量」を可能にした!
公開シンポジウム2009
化学物質化学物質
前処理しないということ
時間と資源と費用と労力の節約
高感度化ができる
29
もっと,大きな意味がある
問題物質問題物質
問題物質問題物質問題物質問題物質
問題物質問題物質
問題が起きる度に分析法が作られる問題が起きる度に分析法が作られる
終わりのないモグラたたき終わりのないモグラたたき
いつまでも不安が解消されないいつまでも不安が解消されない
問題を先回りする手段を手に入れた!問題を先回りする手段を手に入れた!
公開シンポジウム2009
今後
対応できる試料の種類を増やす
一度に測れる対象化合物を増やす
ガスクロマトグラフで測れないもの(気化しないもの)に対する方法を開発する
これまで測ってこなかった物質を探す方法を作る
30
公開シンポジウム2009
新しい分析法の開発新しい分析法の開発
私たちの目標
31
「安全・安心」な生活を守ることへの貢献
広い応用分野全体にわたるイノベーション
環境にやさしい分析の実現グリーンケミストリ
公開シンポジウム2009
おわり
ご静聴ありがとうございました
公開シンポジウム2009
33
公開シンポジウム2009
34
公開シンポジウム2009
微量とは?
35
東京ドーム東京ドーム
大気の環境基準:0.6 pg/m3(TEQ)大気の環境基準:0.6 pg/m3(TEQ)
容積:約124万m3
この中にダイオキシンが 744,000 pg(0.6 pg×1,240,000)
744,000 pg = 0.000744 mg
やっぱりイメージできないが,とにかく薄い!!
やっぱりイメージできないが,とにかく薄い!!
ng(ナノグラム):10億分の1グラム
μg(マイクログラム):100万分の1グラム
pg(ピコグラム):1兆分の1グラム
mg(ミリグラム):千分の1グラム
<ダイオキシンの例>
公開シンポジウム2009
サンプリング時間(t)
毛糸への吸着量(N
s
)
ステージ2
ステージ3
ステージ1
ステージ1はある物質の吸着が脱離を上回っている状態ステージ3は吸着と脱離が平衡している状態ステージ2は両ステージの過渡期
Ns = ( ku’ / ke ) Cv ( 1 – exp ( -ke
吸着係数: ku’ =〔Stage1の増加直線の傾き〕/ Cv脱離係数: ke = ku’ ( Cv / Ns )大気濃度: Cv = ( ke / ku’ ) Ns / ( 1 – exp ( -ke t ) )
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パッシブエアサンプラーへの吸着量と時間との一般的関係
この部分がないと正確な脱離係数が求められない.脱離係数が求められないと大気中濃度が計算できない
この部分がないと正確な脱離係数が求められない.脱離係数が求められないと大気中濃度が計算できない
公開シンポジウム2009