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令和元年7月16日

環境省 環境再生・資源循環局

廃棄物規制課

産業廃棄物処理行政の

現状と今後の方向性について

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目 次

1.第四次循環型社会形成推進基本計画

2.排出事業者責任の徹底

3.廃プラスチック対策

4.優良な循環産業の育成

5.産業廃棄物処理業の振興方策について

1

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1.第四次循環型社会形成推進基本計画

2

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• 循環型社会形成推進基本法に基づき、循環型社会の形成に関する施策の基本的な方針、政府が総合的かつ 計画的に講ずべき施策等を定めるもの

• 平成30年(2018年)6月19日に第四次循環計画を閣議決定

第四次循環型社会形成推進基本計画の概要

循環型社会形成推進基本計画(循環計画)とは

3

第四次循環計画の構成

循環分野における基盤整備①情報の整備 ②技術開発、最新技術の活用と対応 ③人材育成・普及啓発等

適正処理の更なる推進と環境再生

ライフサイクル全体での徹底的な資源循環

万全な

災害廃棄物処理体制の構築

多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化

適正な国際

資源循環体制の構築と

循環産業の海外展開の推進

持続可能な社会づくりとの統合的取組(環境的側面、経済的側面、社会的側面を統合的に向上)

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1872

1925

1940

1950

1965

1980

1995

2010

2025

2040

日本の人口5千万

1億

1.5億

0%

5%

10%

15%

20%

2000 2005 2010 2015

⼊⼝側の循環利⽤率

年度4

第四次循環型社会形成推進基本計画の概要

今後懸念される課題と近年の対応

不確実性を増す世界

国際協調の進展

日本経済の停滞Society 5.0

・原発事故により放出された放射性物質による環境汚染からの再生と復興・大規模災害の頻発と対策の遅れ・国民の意識の変化(ものの豊かさ→心の豊かさ)・資源循環及び適正処理の担い手の確保

循環分野の課題

循環型社会

近年の状況

人口減少・少子高齢化地域の衰退

出典: 国立社会保障・人口問題研究所

・2000年から大きく進展したものの資源生産性等は近年横ばい

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5

持続可能な社会づくりとの統合的取組

将来像 誰もが、持続可能な形で資源を利用でき、環境への負荷が地球の環境容量内に抑制され、健康で安全な生活と豊かな生態系が確保された世界

環境的側面、経済的側面、社会的側面を統合的に向上

◯ 地域循環共生圏の形成に向けた施策の推進

◯ シェアリング等の2Rビジネスの促進、評価

◯ 家庭系⾷品ロス半減に向けた国⺠運動

◯ 高齢化社会に対応した廃棄物処理体制

◯ 未利⽤間伐材等のエネルギー源としての活用

◯ 廃棄物エネルギーの徹底活用

◯ マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策

◯ 災害廃棄物処理事業の円滑化・効率化の推進

○ 廃棄物・リサイクル分野のインフラの国際展開

国の取組

【産業廃棄物処理業に関わりの深い主な事項】

◯ 廃棄物処理業者における人材の確保・育

成、労働環境・処遇の改善や事業における付加価値向上等による生産性向上の取組を促進するため支援策の検討を進める。

◯ 排出事業者の意識改革、優良産業廃棄物処

理業者の育成・優良認定制度の活用、電子マニフェストの加入率の向上、環境配慮契約の推進などにより、健全な競争環境の整備に取り組み、循環分野における環境産業全体の健全化及び振興を図るための施策について検討を進める。

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6

多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化

循環資源、再生可能資源、ストック資源を活用し、地域の資源生産性の向上、生物多様性の確保、低炭素化、地域の活性化等

災害に強い地域でコンパクトで強靭なまちづくり

将来像

国の取組

◯地域循環共生圏の形成に向けた施策

• 排出事業者責任の周知徹底

• 課題の掘り起こし• 実現可能性調査の支援

• テーマ別ガイドブック作成• 優れた事例の周知• 専門家による助言等

出典: 環境省「地域循環圏形成の手引き」

◯バイオマスの地域内での利活用

• 肥料や飼料、高付加価値製品の生産• 再生可能エネルギーへの変換

• 混合消化・利用によるエネルギー回収(下水汚泥+食品廃棄物)

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7

ライフサイクル全体での徹底的な資源循環

第四次産業革命により、「必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供する」ことで、ライフサイクル全体で徹底的な資源循環を行う

将来像

◯開発設計段階での省資源化等の普及促進

• 再生材の利用拡大• 環境配慮設計

• 3Dモデリング等

◯シェアリング等の2Rビジネスの促進、評価

リペアシェアリング

採掘・調達資源確保

リユースサービサイジング

流通・⼩売使用

開発・生産廃棄

リサイクル

再⽣材の利⽤拡大

環境配慮設計リマニュファクチャリング

ライフサイクル全体での資源循環出典:環境省

◯素材別の取組

【プラスチック】• 「プラスチック資源循環戦略」の策定、施策の推進

【バイオマス】• 食品ロス削減の国民運動• 食品廃棄物等の不適正処理対策と食品リサイクルの取組

【金属】• 「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の機運を生かし、小型家電の回収・再資源化を促進

【土石・建設材料】• 建築物の強靱化、長寿命化による建設廃棄物の発生抑制

【その他の製品等】• 必要に応じ、太陽光発電設備の義務的リサイクル制度の活用を検討

• おむつリサイクルの促進

国の取組

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20.5

0

10

20

30

2000 2005 2010 2015 2020

⼀般廃棄物の残余年数

[年]

[年度]

16.6

0

10

20

30

2000 2005 2010 2015 2020

産業廃棄物の残余年数

[年]

[年度] 8

適正処理の更なる推進と環境再生

廃棄物の適正処理のシステム、体制、技術が適切に整備された社会 海洋ごみ問題が解決に向かい、不法投棄等の支障除去が着実に進められ、空き家等の適正な解体・撤去等により地域環境の再生が図られる社会

東日本大震災の被災地の環境を再生し、未来志向の復興創生

将来像

目標:[一廃]2022年度に20年分を維持

目標:[産廃]2020年度に10年分程度

注1:都道府県及び政令市が把握した産業廃棄物の不法投棄/不適正処理のうち、1件当たりの投棄量/不適正処理量が10t以上の事業(ただし特別管理廃棄物を含む事業はすべて)が集計対象

注2:硫酸ピッチは本調査の対象から除外し、別途とりまとめ。注3:フェロシルト事案は本調査の対象から除外。

出典:環境省「産業廃棄物行政組織等調査報告書 」より作成

出典:環境省「日本の廃棄物」より作成

不法投棄、不適正処理の発生件数 最終処分場の残余年数

出典:環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況」より作成

取組の進展に関する指標、目標

0

500

1,000

1,500

1995 2000 2005 2010 2015

不法投棄件数

[件]

[年度]

163

0

200

400

600

2000 2005 2010 2015

不適正処理件数

[件]

[年度]

161

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9

適正処理の更なる推進と環境再生

【適正処理】

◯安定的・効率的な処理体制の整備

◯廃棄物処理システムの地球温暖化対策・災害対策の強化

◯地域での新たな価値創出に資する廃棄物処理施設の整備

◯高齢化社会に対応した廃棄物処理体制

◯電子マニフェストの更なる普及拡大(利便性向上、説明会の開催を始めとする各種普及促進策の実施等)

◯不法投棄・不適正処理の行為者等に対する地方公共団体による責任追及の支援

【環境再生】

◯廃掃法、産廃特措法に基づく不法投棄・不適正処理事案への支援

◯マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策

◯空き家対策、空き店舗対策

【東日本大震災からの環境再生】

◯放射性物質により汚染された廃棄物の適正処理、除去土壌等の減容・再生利用などの着実な実施

◯被災地の未来志向の復興創生

国の取組

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10

万全な災害廃棄物処理体制の構築

自治体レベル、地域ブロックレベル、全国レベルで重層的に、平時から廃棄物処理システムの強靭化を図り、災害時に災害廃棄物等を適正かつ迅速に処理できる社会

将来像

国の取組

【自治体レベル】

◯災害廃棄物処理計画の策定

• 事業継続等の観点も含めた計画の点検・見直しのモデル事業等の支援

◯国民に対して自治体等が協力を得られるよう

情報発信、コミュニケーションの場の設置を支援

【地域レベル】

◯地域ブロック協議会の運営、行動計画の見直し

◯共同訓練、人材交流の場、セミナーの開催等

【全国レベル】

◯災害廃棄物処理実績を蓄積、情報プラットフォームを整備・運営

◯災害廃棄物処理の円滑化・高効率化

• IT、人工衛星等の最新技術の活用

◯D.Waste-Netの体制強化、平時の取組の充実

◯災害時に拠点となる廃棄物処理施設の整備

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11

適正な国際資源循環体制の構築と循環産業の海外展開の推進

適正な国際資源循環体制の構築、我が国の循環産業の国際展開により、資源効率性が高く、健康で安全な生活と豊かな生態系が確保された世界

将来像

国の取組

【国際資源循環体制の構築】

◯2016年「富山物質循環フレームワーク」等に基づき、資源効率性の向上や3Rの推進

◯「アフリカのきれいな街プラットフォーム」の活動に協力、知見の共有

◯国内外で発生した二次資源について日本の環境先進技術を活かしつつリサイクルを適正に推進(バーゼル法の改正等)

【循環産業の海外展開】

◯「もったいない精神」を海外に紹介、モノを大切にする意識の向上

◯我が国の質の高い環境インフラについて、制度・システム・技術等をパッケージとして海外展開

◯日本の災害廃棄物対策ノウハウの提供、JICA等と連携した被災国支援スキーム

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12

循環分野における基盤整備

情報基盤が整備・更新され、必要な技術の開発が継続的に行われ、人材が育成され、多様な主体が高い意識を持って、行動する社会

将来像

国の取組

【情報整備】

◯各主体の取組の成果を評価する手法、分かりやすく示す指標

◯有害物質に関するリスクコミュニケーションの実施

◯各種手続等の廃棄物に関する情報の電子化、電子マニフェストを含む情報の活用

【人材育成、普及啓発等】

◯循環産業の担い手確保のため、廃棄物処理や資源循環に関する専門的な知見を持った人材、作業における安全・安心の徹底、温室効果ガスの削減などによる環境への配慮、さらには地域社会や地域経済への貢献などを十分に意識して業務を遂行できる能力・知識を有する人材の育成に取り組む。

【技術開発等】

◯廃棄物収集の効率化や高度選別技術の普及促進

• IoTとデータ分析技術の組み合わせ、ロボット、AI等を駆使

◯太陽光発電設備、リチウムイオン電池、炭素繊維強化プラスチック等の新製品・新素材についての3Rに関する技術開発・設備導入支援

◯世界に先駆けた革新的低炭素化技術の研究開発

• バイオマスからの化成品等の製造等

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2.排出事業者責任の徹底

13

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・実際の処分者等が支障の除去等の措置を講ずることが困難

・支障除去等の措置を採らせることが適当

・ 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

(法第3条第1項)

・ 事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。

(法第11条第1項)

○事業者自らによる処理

事業者は、自らその産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合には、・・・産業廃棄物処理基準・・・に従わなければならない。(法第12条第1項)

○処理の委託

事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、・・・産業廃棄物収集運搬業者・・・産業廃棄物処分業者・・・にそれぞれ委託しなければならない。 (法第12条第5項)【委託に伴う義務】

・委託した場合の最終処分までの注意義務(適正な処理料金を負担、処理責任を実地に確認等、必要な措置を講ずるように努めなければならない。)

・委託に当たっての委託基準の遵守義務(委託契約は書面により行われなければならない等)

・管理票交付義務等(産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付、一定期間内に管理票の写しが送付されてこない場合は状況把握・適切な措置を講じなければならない。)

措置命令(※

)の対象違反

違反

※一定要件下での、支障の除去等の措置の命令

産業廃棄物の排出事業者責任

14

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○主な内容○主な内容

○背景○背景

排出事業者の責任が極めて重いことを、都道府県、市町村だけでなく、排出事業者、廃棄物処理業者にも周知

廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底(H29.3.21通知)

• 不適正処理事案が後を絶たない 建設廃棄物の不適正処理事案(平成28年1⽉判明) 食品廃棄物の不適正転売事案(平成28年1⽉判明)

• 中央環境審議会「⾷品循環資源の再⽣利⽤等の促進に関する⾷品関連事業者の判断の基準となるべき事項の改定について(答申)」(平成28年9月)

• 中央環境審議会「廃棄物処理制度の⾒直しの⽅向性(意⾒具申)」(平成29年2月)

1.排出事業者責任とその重要性について排出事業者は、その廃棄物を適正に処理しなければならないという重要な責任を有しており、その責任は、その廃棄物の処理を他⼈に委託すれば終了するものではない。排出事業者責任に関する各規程の遵守を改めて認識する必要がある。

2.規制権限の及ばない第三者について排出事業者は、委託する処理業者を⾃らの責任で決定すべきものであり、処理委託内容の根幹的内容は、排出事業者と処理業者の間で決定するものである。これらの内容の決定を第三者に委ねることにより、排出事業者責任の重要性に対する認識や排出事業者と処理業者との直接の関係性が希薄になり、不適正処理につながるおそれがある。

15

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排出事業者向けチェックリスト(H29.6.20 通知)○目的○目的・汚染者負担の原則により、廃棄物処理法上、事業者はその事業活動に伴って⽣じた廃棄物を⾃ら適正に処理する責任を有している(排出事業者責任)。

・処理業者に処理を委託した場合であっても、排出事業者に処理責任がある。この場合、廃棄物処理市場の特性から、価格が少しでも安い処理業者に委託をする動機付けが働きやすい。しかし、適正な処理には、相応の費⽤がかかる。

・不適正な処理を⾏う処理業者に委託していたことが明らかになれば、コンプライアンスを⼗分に果たしていない事業者として社会的な評価を落としかねないリスクを⼗分に認識する必要がある。

・そこで、産業廃棄物の排出事業者に、排出事業者責任に基づく必要な措置の適正な実施に取り組んで頂く必要があることから、廃棄物処理法の下で講ずべき措置を整理する。

時点 チェック内容排出時 ・廃棄物該当性 ・廃棄物の分別(産廃か一廃か、産業廃棄物の種類 など)など保管 ・保管基準の遵守(囲いや掲⽰板の設置、⾶散・流出・地下浸透等防⽌措置など)委託処理【廃棄物引渡し前】

・委託先の要件(許可の有無、優良認定の考慮)・委託基準の遵守(適正な委託契約の内容、適正な対価、添付書面など)

【廃棄物引渡し時】 ・紙マニフェストの適正な交付(交付状況や記載事項など) 又は電子マニフェストの適正な登録

【廃棄物引渡し後】 ・処理状況の確認(実地確認、情報確認など)【処理終了時】 ・紙マニフェスト又は電子マニフェストの適正な確認

(処理終了確認や記載事項など)その他 ・⾃⼰処理(施設許可、帳簿等) ・多量排出事業者(計画書や報告書) など 16

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循環型社会の実現に向けた今後の排出事業者責任のあり⽅(私⾒)

○排出事業者責任は、産業廃棄物処理の最も重要な原則。○廃棄物処理法においては、累次の改正で排出事業者責任の強化が図られてきた。適正処理の更なる貫徹の観点から、この流れは今後も⽌まらない。

○その上で、循環型社会の実現のためには、排出事業者が⾃ら意識改⾰を⾏い、以下のように考えることが必要ではないか。

1.優良事業者を育成するのは排出事業者・市場経済→産廃処理業者を選ぶのは排出事業者・適正な料金支払い、有害物質等に関する産廃処理業者への情報伝達

2.産廃処理業者は対等のビジネスパートナー・委託先の適正処理は、廃掃法上の責任だけでなく、CSRの観点からも必須→産廃処理業者は、排出事業者のビジネス継続にとって無くてはならないビジネスパートナー・産廃処理業者を、単に価格で選ぶのではなく、末永く付き合っていくビジネスパートナーとして排出事業者が自らの目で選び、共存共栄の関係を構築・「適正な料金」の唯一の基準は、排出事業者の「良心」

3.環境を大切にする会社としてブランド化・差別化を図る・環境制約・資源制約が21世紀の世界の趨勢→環境保全を重視し、地域に貢献する企業というブランド化・差別化があるのではないかその第一歩が排出事業者責任を果たすこと

17

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3.廃プラスチック対策

18

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プラスチック生産量と廃棄量の増大• 1950年以降生産されたプラスチックは83億トンを超え、63億トンがごみとして廃棄された• 回収されたプラスチックごみの79%が埋立 あるいは 海洋等へ投棄されている• リサイクルされているプラスチックは9%に過ぎない• 現状のペースでは、2050年までに120億トン以上のプラスチックが埋立・自然投棄される

図1:プラスチック生産量と廃棄量 図2:プラスチック廃棄量の予測

出所)Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made. Science advances, 3(7), e1700782.

世界のプラスチック生産量及び廃棄量

19

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20

我が国におけるプラスチックの資源循環

(2013年時点)

(出典) 『マテリアルリサイクルによる天然資源消費量と環境負荷の削減に向けて』 (平成28年5月環境省)

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21

<中国政府の動き> 2017年7⽉:「固体廃棄物輸⼊管理制度改⾰実施案」を公表 一部の地域で環境保護を軽視し、人の身体健康と生活環境に対して重大な危害をもたらしている実態を踏まえ、固体廃棄物の輸⼊管理制度を⼗全なものとすること、固体廃棄物の回収、利⽤、管理を強めることなどを基本的な思想とし、以下の点を盛り込む

• 2017年末までに環境への危害が⼤きい固体廃棄物の輸⼊を禁⽌する• 2019年末までに国内資源で代替可能な固体廃棄物の輸⼊を段階的に停⽌する• 国内の固体廃棄物の回収利⽤体制を早急に整備し、健全な拡⼤⽣産者責任を構築し、⽣活ゴミの分別を推進し、国内の固体廃棄物の回収利⽤率を⾼める

2017年8月:「輸⼊廃棄物管理⽬録」の公表(施⾏⽇:2017年12月31日) 非工業由来の廃プラスチック(8品目)、廃⾦属(バナジウム)くず(4品目)などの4類24種の固体廃棄物を「固体廃棄物輸入禁止目録」に追加

2018年4月:固体廃棄物の段階的な輸入停止方針を公表 2018年12月末に、工業由来の廃プラスチック、廃電子機器、廃電線・ケーブル等の輸入を停止する

<タイ政府の動き> 2018年6月:電子廃棄物や廃プラスチックの輸入制限を強化 廃プラスチックの違法輸入業者に対して、取締り強化するとともに、新規輸入許可手続の停止を実施。併せて、廃プラスチックの輸⼊を⼀律禁止にする検討の方針

アジア諸国による輸入規制

<マレーシア政府の動き> 2018年9月:10月23⽇以降、廃プラスチック1トンにつき15リンギットを課税すると発表 輸入許可基準が追加され、より厳格化。MIDA(マレーシア投資開発局)の承認も必要

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出典:財務省貿易統計(HSコード:プラスチックのくず 3915)

万トン

我が国のプラスチックくずの輸出量

22

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23

中国のプラスチック輸⼊禁⽌措置前後の輸出量変化

中国

(香港経由含む)約130万t

東南アジア等約20万t

東南アジア等約95万t

国内処理及び削減約50万t

平成29年以前 平成30年

中国輸入禁止措置(平成29年末)

(イメージ)輸出量

約150万t/年輸出量

約100万t/年

中国約5万t

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中国輸⼊規制前(〜H29年末)

中国輸入規制後(H30年〜)

廃プラ

処理業者(破砕・選別等)

排出事業者処理料⾦

主に中国へ輸出(売却)海外へ輸出量150万t/年(うち中国(香港経由含む)約130万t/年)

プラ(有価物)

料⾦

排出事業者

処理委託

処理委託

廃プラ

処理料⾦

⼆次処理業者(再資源化、焼却等)

処理委託(国内)

廃プラ

補助金(受入量拡大)

処理業者(破砕・選別等)

⼆次処理業者(再資源化、焼却等)

処理委託(国内)

廃プラ

処理料⾦

主に国内処理

処理料⾦

・安価で不適正な処理・安価な労働力

価格転嫁が困難 利益減少処理費の高騰

適正処理には一定のコストが必要

中国は国内環境保全のため輸入禁止

中国等輸入禁止分の増加+約50万t/年程度

排出者責任として適正料金の負担が求められる

廃プラスチック類の処理の主な流れの変化

24

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バーゼル条約附属書改正の背景(プラスチックごみ問題)

消費 リサイクル

(生産量全体の約9%※ )

廃棄物管理の能⼒が低い途上国では不適正に処理されるおそれがあり、海洋への流出につながることも。

478万〜1,275万(トン/年)※

処分/焼却

排出(世界全体で約2.8億トン/年※)

※…Jambeck, J. R et al(2015)

生産(世界全体で約4億トン/年※ )

※…日本経済新聞(2019)

廃棄物管理の能⼒が低い途上国では不適正に処理されるおそれがあり、海洋への流出につながることも。

• 廃棄物の管理能力の低い途上国では、プラスチックごみが不適正に処理されるおそれがあり、その結果海洋への流出につながることも。

• バーゼル条約の附属書改正により、そのような途上国へのプラスチックごみの輸出を管理することが重要。

世界における再生プラスチック資源の貿易量(約1500万トン/年※)(途上国への輸出が中心)

バーゼル条約で途上国への流れを管理

※…M.Kojima(2015)

※…GRID ARENDAL(2019)

※…Jambeck, J. R et al(2015)

24

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26

バーゼル条約の対象となる廃棄物の判断基準や範囲を示す附属書の見直しに関する議論がなされ、その改正が決定。

改正附属書は2021年(令和3年)1月1日から発効。附属書の改正の発効以降は、条約の対象となるプラスチックごみの

輸出には相手国の同意が必要となる。

• 本年4月29日(月)~5月10日(金)にかけてジュネーブ(スイス)において、バーゼル条約の第14回締約国会議が開催。

• 我が国は、ノルウェーと共同で、リサイクルに適さない汚れたプラスチックごみを条約の規制対象とする旨を提案。

• 本会合では、同条約の附属書を改正し、汚れたプラスチックごみを条約の規制対象とすることが決定。

• 今後、バーゼル法の省令改正等の作業を行い、改正附属書に即した対応を行っていく。

バーゼル条約第14回締約国会議の結果概要

バーゼル条約附属書改正

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○ 都道府県及び廃棄物処理法で定める政令市の産業廃棄物主管部局並びに廃プラスチック類の産業廃棄物処理業(中間処理・最終処分)の許可を有している優良認定業者(※)を対象にアンケートを実施。○ 実施期間:平成31年3⽉(平成31年2⽉末時点の状況について回答依頼)

※ 通常の許可基準よりも厳しい基準(遵法性、事業の透明性、環境配慮の取組、電⼦マニフェストの利⽤及び財務体質の健全性)に適合した優良な産業廃棄物処理業者を、都道府県・政令市が審査して認定する制度(優良産廃処理業者認定制度)の認定業者のこと。

○ 平成29年末より、中華⼈⺠共和国において実施されている使用済プラスチック等の輸入禁止措置等の影響による国内の産業廃棄物処理のひっ迫を受け、平成30年8⽉にアンケート調査を⾏ったところであるが、依然として状況の改善は⾒られず、処理施設の処理能⼒のひっ迫の状況は、悪化傾向にあるとの指摘が多く寄せられている。

○ こうした状況を踏まえ、改めて国内の状況を把握し、廃棄物の適正処理を推進するため、都道府県等及び廃棄物処理業者に対し、廃棄物の輸⼊規制等に係る影響等についてアンケート調査を⾏ったもの。

調査の背景と目的

実施状況

都道府県及び政令市向け 処理業者向け

アンケート対象数

122(都道府県 47、 政令市 75)

604

回収数(回収率)

122(100.0%)(都道府県 47、 政令市 75)

187(31.0%)

輸入規制等影響調査の結果概要

27

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保管基準違反(保管上

限の超過等)が発生し

た, 15件, 12.3%

保管量が増加した, 24件, 19.7%

変化は見られない, 63件, 51.6%

把握していない, 15件, 12.3%

その他, 5件, 4.1%

自治体からの回答結果①

廃プラスチック類の保管状況については、保管基準違反及び保管量の増加傾向を確認したとの回答が32.0%(39件)あった。(前回:24.8%(26件))※ このうち、保管上限の超過等、保管基準違反が発生したとの回答が15件あった。(前回:5件)また、改善命令の発出に⾄ったものが2件あった。

保管状況の変化について

<保管状況の変化の回答状況>

28

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自治体からの回答結果②

保管基準違反及び保管量の増加傾向を確認したとの回答が得られた自治体の地域別の割合としては、東北が50.0%、中部が46.7%、関東が42.9%の順となった。

保管状況の変化について(地域別)

<「保管量が増加した」⼜は「保管基準違反(保管上限の超過等)が発生した」との回答状況>

####22.7%

四国 ( 1 / 7 )

14.3%

関東 ( 12 / 28 )

10.5% 0.42857 42.9%

#### 0.47 中部 ( 7 / 15 )

10.5%0.2272727 46.7%

14.3% 近畿 ( 5 / 22 )

5 / 13 )

38.5%九州

0.4285714 0.429

38.5% 0.23

0.2270.429

10.5% ( 2 / 19 )0.23

0% 0.0%

~20%未満

~40%未満

50.0%

0.5

~60%未満

~80%未満

100%東北 ( 7 / 14 )

地方名(該当数/各地方の回答があった都道府県等数) 割合(%)

0.5

50.0%

0.4285714

0.47

0.47

0.467 0.428571429中国 (

0.0%(凡例) 北海道 ( 0 / 4

※ 地域は環境省の地⽅環境事務所の所管地域を基に区分29

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1割未満の増加, 3件, 27.3%

1割以上~2割未満, 5件, 45.5%

2割以上~3割未満, 1件, 9.1%

3割以上~4割未満, 2件, 18.2%

1割未満, 20件, 20.8%

1割以上~2割未満, 49件, 51.0%

2割以上~3割未満, 19件, 19.8%

3割以上~4割未満, 4件, 4.2%

4割以上~, 4件, 4.2%

増加した, 11件, 33.3%

減少した, 2件, 6.1%

変化は見られない, 17件, 51.5%

その他, 3件, 9.1%

増加した, 96件, 51.9%

減少した, 11件, 5.9%

変化は見られない, 69件, 37.3%

その他, 9件, 4.9%

処理業者からの回答結果①

処理量の変化については、中間処理業者の51.9%(96件)(前回:56.0%(93件))、最終処分業者の33.3%(11件)(前回:25.0%(8件))で「増加した」という回答が得られた。

処理量の増加幅の割合は、中間処理においては71.9%(69件)(前回:84.6%(77件))、最終処分においては72.7%(8件)(前回:62.5% (5件))で2割未満となっている。

処理量の変化

<中間処理における処理量の変化> <最終処分における処理量の変化>

(処理量の変化)(処理量の変化)

(「増加した」回答のうち、増加割合) (「増加した」回答のうち、増加割合)

30

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11

3

16

18

52

89

その他

受入制限を行ったが現在は行っていない

受入制限を現在検討中

新規の受入は行っていない

受入制限を現在も行っている

受入制限を行っていない

処理業者からの回答結果②

保管量の変化(中間処理)については、46.1%(83件)(前回:35.2%(57件))において、「増加した」との回答が得られた。

受⼊制限については、現在⾏っているとの回答が52件(前回:40件)、検討中との回答が16件(前回20件)あった。

保管量の変化及び受⼊制限の状況

<保管量の変化(中間処理)の回答状況> <受入制限の回答状況>

※ 複数選択回答

保管量が増加した, 83件, 46.1%

保管量が減少した, 4件, 2.2%

変化は見られない, 86件, 47.8%

その他, 7件, 3.9%

31

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9

11

30

52

65

68

73

その他

設備投資による資金回収

燃料費の増大

人件費の増大

処理後物の逆有償化等

最終処分費用の増加

焼却費用の増加

値上げした, 96件, 52.5%

変化は見られない, 72件, 39.3%

その他, 15件, 8.2%

処理業者からの回答結果③

処理料⾦の変化については、値上げしたという回答が、収集運搬で34.1%(56件)(前回:23.0%(34件))、中間処理で52.5%(96件)(前回:43.8%(74件))、最終処分で23.3%(7件)(前回:3.3%(1件))であった。

処理料⾦の値上げの要因については、焼却施設における処理費⽤の増加(73件)、最終処分場における処理費⽤の増加(68件)処理後物の買取価格低下・逆有償化(65件)との回答があった。

処理料⾦の変化

<処理料⾦の値上げの要因><処理料⾦の変化>

《中間処理》

《収集運搬》

※収集運搬、中間処理、最終処分のいずれかで「値上げした」と回答した者を対象としている。

《最終処分》

値上げした, 56件, 34.1%

変化は見られない, 98件, 59.8%

把握していな

い, 1件, 0.6%

その他, 9件, 5.5%

値上げした, 7件, 23.3%

変化は見られない, 20件, 66.7%

その他, 3件, 10.0%

32

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処理業者からの回答結果④

処理費⽤の増加に伴う排出事業者への処理料⾦への反映の状況について、中間処理施設では、57.2%(91件)、最終処分場では、56.7%(17件)で「反映できている」又は「おおむね反映できている」という回答が得られた。⼀⽅で、「反映できていない」⼜は「あまり反映できていない」については中間処理施設及び最終処分場のいずれも約4割の回答であった。

適正費⽤の処理料⾦への反映

<中間処理施設> <最終処分場>

反映できている, 11件, 6.9%

おおむね反映できてい

る, 80件, 50.3%

あまり反映できていない, 55件, 34.6%

反映できていない, 13件, 8.2% 反映できている, 4件,

13.3%

おおむね反映できてい

る, 13件, 43.3%

あまり反映できていない, 10件, 33.3%

反映できていない, 3件, 10.0%

33

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24

7

26

55

その他

排出事業者への周知・啓発

3R推進のための環境整備

施設整備の促進・支援

11

6

11

12

12

19

21

59

その他

人手不足、人材確保難

域外からの搬入規制

異物混入による品質低下等

排出事業者の理解不足

許可・申請手続の煩雑さ等

処理費用の増加等

処理先確保の困難化

処理業者からの回答結果⑤

処理の円滑化の妨げとなっている課題についての意⾒としては、処理先の確保が困難となったこと、処理費用の増加等、許可・申請手続の煩雑さ等があった。

要望としては、施設整備促進のための支援、3R促進のための環境整備等があった。

意⾒・要望

<処理の課題についての回答状況> <環境省に対する要望>

34

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調査結果の総括と今後の対応(調査結果の総括)○ 外国政府の輸⼊規制等の影響による廃プラスチック類の不法投棄は、平成31年2⽉末時点では、本アンケートに回答いただいた自治体においては確認されていない。○ 一方、現時点では生活環境の保全上の支障の発生は確認されていないものの、一部地域において上限超過等の保管基準違反が増加し、⼀部は改善命令の発出に⾄っていること、処理業者において保管量の増加もみられることなどから、引き続き、廃プラスチック類の適正処理に⽀障が⽣じたり、不適正処理事案が発⽣する懸念がある状況が継続。

(今後の対応)○ 外国政府の動向も踏まえながら、引き続き廃プラスチック類の処理のひっ迫状況や不法投棄等に関する実態把握及び自治体を含めた情報共有を進めていく。

○ 加えて、以下の対策を可能な限り速やかに講じる。① 本年6⽉までに策定予定の「プラスチック資源循環戦略」に基づき、プラスチックの資源循環を促進。② 廃プラスチック類のリサイクル施設等の処理施設の整備を速やかに進め、国内資源循環体制を構築。③ 事前協議制等の域外からの産業廃棄物搬⼊規制を⾏っている⾃治体に対し、搬⼊規制の廃⽌、緩和⼜は⼿続の合理化、迅速化を促す。

④ 排出事業者に対し、適正な対価の⽀払いを含めた適正処理の推進について、周知するとともに、⾃治体に対しては、排出事業者への指導の強化を依頼。

⑤ 市町村に対し、ごみ焼却施設等での廃プラスチック類の受入れを積極的に検討するよう依頼。

35

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36

産業廃棄物系の廃プラスチック類の処理の円滑化に係る対応状況

(令和元年5月時点)

○ 国内の産業廃棄物の 廃プラスチック類の処理が逼迫。不法投棄等の不適正処理も懸念。○ 実態把握に努めるとともに、これを契機として、国内資源循環体制を構築するため、廃プラスチック類の

処理の円滑化に向けた各種対策を実施。

背景

課題 対応状況

○ 広域的処理に向けた⼿続の合理化

○ 適正な処理料⾦による委託促進

○ 廃プラの不法投棄等の不適正処理防⽌

○ 既存施設における廃プラの受入促進

○ 技術の⾼度化・⼈材育成等による業界振興

プラスチックリサイクル設備の導入に対する補助事業を措置・実施(平成29年(3億円)、平成30年(7億円)、平成30年2次補正(60億円)、平成31年(33億円))※H30年2次補正等の補助事業は審査中

第4次循環型社会形成推進基本計画(平成30年6月閣議決定)、現在策定中のプラスチック資源循環戦略等を踏まえ、各種施策を組み合わせて対応

○ 廃プラ処理設備の整備等の促進

自治体における事前協議制等、域外からの廃プラの搬⼊規制の廃⽌、緩和、⼿続の合理化、迅速化を依頼(令和元年5⽉予定)

関係団体、産業廃棄物の多量排出事業者に対して、廃プラの処理に当たって、適正な処理料⾦による処理委託について周知徹底及び都道府県等へ指導依頼(平成31年1⽉〜)

地⽅⾃治体に対して廃プラの不法投棄等防⽌のため監視強化等を依頼(平成30年10⽉〜)

地⽅⾃治体の廃棄物処理公社等に対して処理施設における廃プラの受入促進を依頼(平成30年11月)

市町村の⼀般廃棄物処理施設での産業廃棄物に該当する廃プラの受入の積極的検討を依頼(令和元年5⽉予定)

地⽅⾃治体、産業廃棄物処理業者を対象として全国規模のアンケートを実施・公表(平成30年10⽉、令和元年5月予定)

当面の対応(短期的対策)

体制の整備(中期的対策)

国内資源循環体制の構築(⻑期的対策)

効果

プラスチックくず※

の国内処理体制構築

輸出実績

平成29年以前(約

万トン)、

平成30年(約

万トン)

100

150

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背景・目的

事業概要

事業スキーム

実施期間:3年間 (平成30年度〜 32年度(2020年度))

国 ⺠間団体等⾮営利法⼈

(補助率)上限1/2

(補助率)定額

補助⾦補助⾦

期待される効果・設備導入によるリユース・リサイクル段階でのCO2削減の推進(平成32年度86,000tCO₂/年の削減効果)

・環境技術・システムの⾼度化による循環産業の競争⼒強化

省CO₂型リサイクル等⾼度化設備導⼊促進事業

太陽光パネルリサイクル設備

炭素繊維強化プラリサイクル設備

カッター一体型高速ペレット化設備

分別収集混合収集(分別なし)

⾼度選別簡易選別

洗浄破砕/プレス

廃プラスチック輸出約150万トン/年

主に中国に輸出 原材料化

現状 今後の方向性[例] [例]

国内循環

廃プラの破砕・洗浄・脱水設備

これまで年間約150万トンの廃プラスチックが資源として海外に輸出され、その多くが中国に輸出されていた。一方、平成29年12月末に中国が非工業由来の廃プラスチックの禁輸措置を実施。さらに、昨年12月末からは工業由来についても禁輸措置を拡大。加えて、中国に代わる輸出先となっていたタイ、ベトナムなども同様の禁輸措置を実施し、他の東南アジア諸国も導⼊の動きが⾒られる。この結果、国内での廃プラスチックの滞留が問題となっている。

平成29年度、国内資源循環のための緊急的な⽀援制度を創設したが、アジア規模の禁輸措置拡⼤に対応するためには、当該措置を⼤幅に拡充し、設備の⾼度化・効率化を通じてプラスチックの国内リサイクル体制を速やかに確保することが不可⽋。

加えて、急速に導入が進んでいる再生可能エネルギー設備等の低炭素製品の排出に適切に対応するため、エネルギー消費の少ない省CO₂型のリユース・リサイクル設備や「省CO₂型リサイクル等設備技術実証事業」等により実証された技術・システムの導入を進める必要。

以上を通じて、低炭素化と資源循環の統合的実現を目指す。

プラスチックの⾼度なリサイクルに資する省CO₂型(トップランナーと同水準)設備への補助(18.3億円) 低炭素製品等に係るリユース・リサイクルのための省CO₂型設備への補助(15億円)(例)

万トン0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

2017年 2018年

プラスチックくずの輸出量の推移

中国 中国以外

2019年度予算3,330百万円( 1,500百万円)

平成30年度第2号補正予算6,000百万円

環境再生・資源循環局総務課 リサイクル推進室

37

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プラスチック資源循環戦略(概要)

<リデュース>①2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制<リユース・リサイクル>②2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに③2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル④2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利⽤

<再⽣利⽤・バイオマスプラスチック>⑤2030年までに再⽣利⽤を倍増⑥2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入

重点戦略

廃プラスチック有効利⽤率の低さ、海洋プラスチック等による環境汚染が世界的課題我が国は国内で適正処理・3Rを率先し、国際貢献も実施。一方、世界で2番目の1⼈当たりの容器包装廃棄量、アジア各国での輸入規制等の課題

背景

のみならず、 や ⇒ に貢献を通じて、マイルストーンの達成を目指すことで、

途上国における実効性のある対策支援(我が国のソフト・ハードインフラ、技術等をオーダーメイドパッケージ輸出で国際協⼒・ビジネス展開) 地球規模のモニタリング・研究ネットワークの構築(海洋プラスチック分布、生態影響等の研究、モニタリング手法の標準化等)国際展開

リデュース等 ワンウェイプラスチックの使用削減(レジ袋有料化義務化等の「価値づけ」)石油由来プラスチック代替品開発・利⽤の促進

プラスチック資源の分かりやすく効果的な分別回収・リサイクル漁具等の陸域回収徹底連携協働と全体最適化による費⽤最⼩化・資源有効利⽤率の最⼤化アジア禁輸措置を受けた国内資源循環体制の構築イノベーション促進型の公正・最適なリサイクルシステム

リサイクル

利⽤ポテンシャル向上(技術⾰新・インフラ整備支援)需要喚起策(政府率先調達(グリーン購⼊)、利⽤インセンティブ措置等)循環利⽤のための化学物質含有情報の取扱い可燃ごみ指定袋などへのバイオマスプラスチック使用バイオプラ導⼊ロードマップ・静脈システム管理との⼀体導⼊

再生材バイオプラ

プラスチックごみの流出による海洋汚染が⽣じないこと(海洋プラスチックゼロエミッション)を目指したポイ捨て・不法投棄撲滅・適正処理海岸漂着物等の回収処理海洋ごみ実態把握(モニタリング手法の⾼度化)

海洋プラスチック対策

基本原則:「3R+Renewable」 【マイルストーン】

社会システム確⽴(ソフト・ハードのリサイクルインフラ整備・サプライチェーン構築)技術開発(再生可能資源によるプラ代替、革新的リサイクル技術、消費者のライフスタイルのイノベーション)調査研究(マイクロプラスチックの使⽤実態、影響、流出状況、流出抑制対策)連携協働(各主体が一つの旗印の下取組を進める「プラスチック・スマート」の展開)

基盤整備

資源循環関連産業の振興

情報基盤(ESG投資、エシカル消費)海外展開基盤

マイクロプラスチック流出抑制対策(2020年までにスクラブ製品のマイクロビーズ削減徹底等)代替イノベーションの推進

令和元年5月31日

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対策分野 課題 主な対策・取組 指標

①廃棄物処理制度等による回収・適正処理の徹底

アジア各国の廃棄物禁輸措置に対応した国内処理体制の増強

漁具等の適切な回収

国⺠の⽇々のごみ出し・分別回収への協⼒に基づく、廃棄物処理制度・リサイクル制度による回収の徹底 最新技術を活用した国内回収処理体制の増強や発泡スチロール製⿂箱等のリサイクル施設等の整備(省CO2型リサイクル等⾼度化設備導⼊促進事業 2018補正60億円、2019予算31億円) 農業由来の使⽤済プラスチックの回収・適正処理等について関係団体と連携し推進 漁具等の陸域における回収等を事業者団体等を通じ徹底 ➢港湾における船内廃棄物の円滑な受⼊れ

プラスチックごみの国内適正処理量

②ポイ捨て・不法投棄、非意図的な海洋流出の防⽌

容器包装等のポイ捨てや漁具等の海洋流出が発生

法律(廃棄物処理法、海洋汚染等防⽌法等)・条例(ポイ捨て禁⽌条例)違反の監視・取締りの徹底 毎年の「全国ごみ不法投棄監視ウィーク」(5/30〜6/5)を中心とした国、自治体等による集中的な監視パトロールの実施 清涼飲料団体による、ペットボトル100%有効利⽤を目指し、自販機横に専用リサイクルボックスを設置する取組を支援 河川巡視等による不法投棄の抑制 ➢漁業者による漁具の適正管理について事業者団体を通じ徹底

③陸域での散乱ごみの回収

海に流出する前に、陸域において散乱ごみを回収することが必要

住⺠、企業等が分担して街中、河川、海浜等の清掃美化等を⾏う取組(アダプト・プログラム)の更なる展開(助成等を⾏う(公社)食品容器環境美化協会と連携。45,000団体以上、250万人以上が参加 ※2019.2月時点、同協会調べ) 道路のボランティア・サポート・プログラムの推進 河川管理者や⾃治体、地域住⺠が連携した清掃活動やごみの回収 新たに開始する「海ごみゼロウィーク」(5/30〜6/8前後)において、⻘⾊のアイテムを⾝に着けた全国⼀⻫清掃アクションを展開。2019年は2000箇所で80万人規模、2019〜2021年の3年間で240万人の参加を目指す。

散乱プラスチックごみ回収量(陸域)

④海洋に流出したごみの回収

⼀旦海洋に流出したプラスチックごみについても回収に取り組む必要

海岸漂着物処理推進法に基づく海岸漂着物等地域対策推進事業(2018補正31億円、2019予算4億円)により、自治体による海岸漂着物の回収処理を推進漁業者による海洋ごみ等の回収・処理を、海岸漂着物等地域対策推進事業、水産多面的機能発揮対策等により支援海洋環境整備船による閉鎖性海域における浮遊ごみの回収、港湾管理者による港湾区域内の浮遊ごみの回収

海洋プラスチックごみ回収量

⑤代替素材の開発・転換等のイノベーション

海洋に流出しやすい⽤途を中心に、海洋生分解性プラスチック等流出しても影響の少ない素材への転換が必要

「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ」に基づき、官⺠連携により技術開発等に取り組む代替素材への転換を支援する事業(2019予算35億円)等により、漁具等も含めた製品について、生分解性プラスチック、紙等への代替を支援カキ養殖用パイプ等の⾼い耐久性・強度が必要とされない漁具について海洋⽣分解性プラスチック等を⽤いた開発を促進プラスチック製造・利⽤関係企業の「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA) 」を通じたイノベーション加速革新的ソリューションに取り組む企業・団体・研究者と「海洋プラスチック官⺠イノベーション協⼒体制」を構築し、発信

代替材料の⽣産能⼒/使⽤量

⑥関係者の連携協働

幅広い国⺠各界各層の取組への拡大

海洋ごみ発生防止に向けあらゆる主体の取組を促す「プラスチック・スマート」キャンペーンの展開(2019年5月時点で408団体が趣旨に賛同し取組中、「♯プラスチックスマート」でSNSでも多数発信)「海ごみゼロアワード」による優良取組事例の表彰、 「海ごみゼロ国際シンポジウム」による情報発信経団連の「業種別プラスチック関連目標」、農林⽔産業・食品産業の「プラスチック資源循環アクション宣言」を通じた取組促進海岸漂着物処理推進法に基づく地域協議会を通じた連携促進、内陸を含めた複数自治体連携のモデル事業の推進

⑦途上国等における対策促進のための国際貢献

途上国における廃棄物管理等の対策促進が必要

途上国に対し、廃棄物法制、廃棄物管理に関する能⼒構築・制度構築、海洋ごみ国別⾏動計画の策定、廃棄物発電等の質の高い環境インフラ導入など、ODAを含めた様々な支援を実施 「ASEAN+3海洋プラスチックごみ協⼒アクション・イニシアティブ」に基づきASEAN諸国を支援 東南アジア地域での海洋プラスチックごみモニタリング人材の育成支援

国際協⼒により増加する適正処理廃棄物の量

⑧実態把握・科学的知⾒の集積

対策実施の基礎として、実態把握・科学的知⾒の充実が必要

モニタリング手法の国際調和の推進(2019年度は東南アジア数か国と調査の実証実施、⼈材育成研修招聘)国内における排出量・排出経路等の調査・推計、漂着物や浮遊プラスチック類等の調査マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみの人や生態系等への影響の調査

我が国のベストプラクティス(経験知⾒・技術)を国際的に発信・展開しつつ、「新たな汚染を⽣み出さない世界」を⽬指した実効的な海洋プラスチックごみ対策に率先して取り組む※指標の進捗を毎年把握。科学的知⾒の進展等を踏まえつつ、3年後を⽬途として⾒直しを⾏い、取組を強化していく。

○ 海洋プラスチックごみによる環境汚染は、世界全体で連携して取り組むべき喫緊の課題。我が国は、2019年のG20議⻑国として、各国が連携して効果的に対策が促進されるよう取り組む。○ 同時に、我が国は、「新たな汚染を⽣み出さない世界」の実現を⽬指し、率先して取り組む。そのための我が国としての具体的な取組を、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」として取りまとめた。

※プラスチックごみは、世界全体で478〜1275万トン/年、途上国が太宗を占め、我が国からは2〜6万トン/年、海洋流出していると推計されている(2010年に関する推計値、Jambeckら:Science(2015))○ 重要なことは、プラスチックごみの海への流出をいかに抑えるか。経済活動を制約する必要はなく、廃棄物処理制度による回収、ポイ捨て・流出防⽌、散乱・漂着ごみの回収、イノベーションによる代替素材への転換、途上国⽀援など、「新たな汚染を⽣み出さない」ことに焦点を当て、率先して取り組む。

海洋プラスチックごみ対策アクションプランの概要

バングラデシュ・ダッカではJICAの協力によりごみ収集率が44%から80%に改善(JICA提供)

ミャンマー・ヤンゴンにおける日本の支援による廃棄物発電施設

不法投棄撲滅運動シンボルマーク

不法投棄防止の監視パトロール

散乱ごみの回収活動(全国川ごみネットワーク提供)

生分解性プラスチック製の袋

(水産多面的機能発揮対策 2019予算29億円の内数)

スポーツとしてごみ拾いを競い楽しむ取組も

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海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針の変更について

その他

1.推進体制2.各種施策の点検

経緯

○環境教育〇消費者教育〇普及啓発○海岸漂着物対策活動推進員等の活用 等

主な改正事項

1.漂流ごみ等の円滑な処理の推進

2.3Rの推進等による発生抑制

3.マイクロプラスチック対策

4.民間団体等の活動支援

5.国際連携、国際協力

平成21年の海岸漂着物処理推進法制定以降も、海岸漂着物等が海洋環境に深刻な影響を及ぼしており、海洋ごみ対策に係る国際連携・協力の必要性が高まっていること等を踏まえ、平成30年6月に同法が改正された。法改正を踏まえ、同法に基づく政府の基本方針を変更するもの。

〇流域圏(内陸~沿岸)で関係主体が一体となって対策を実施〇地域住民の生活や漁業、観光業等の経済活動に支障を及ぼしている漂流ごみ等について、漁業者等の協力を得ながら処理を推進〇大規模漂着流木等の緊急的な処理に対する災害関連制度の活用の推進

①3Rの推進による循環型社会の形成〇ワンウェイのプラスチック製容器包装・製品のリデュースなどにより、廃プラスチック類の排出を抑制〇効果的・効率的で持続可能なリサイクル、生分解性プラスチック・再生材の利用の推進、廃プラスチック類の適正処理を徹底〇漁具等の海域で使用されるプラ製品の陸域での回収徹底、可能な限り、分別、リサイクル

②マイクロプラスチックの海域への排出の抑制〇事業者は、洗い流しスクラブ製品に含まれるマイクロビーズの削減徹底など、マイクロプラが海洋に流出しないよう、その使用抑制に努力〇国は、マイクロプラスチックの使用の抑制、飛散・流出防止の措置等について、実態を把握

1 海岸漂着物対策の推進に関する基本的方向

①海岸漂着物等の円滑な処理

③多様な主体の適切な役割分担と連携の確保

①行政、国民、民間団体、事業者等の全国規模での連携強化②表彰等により積極的な参画を促進③研究者間の連携を強化

④国際連携の確保及び国際協力の推進

①世界的な取組への積極的な関与②アジア等の関係国との連携・協力の促進③途上国の発生抑制対策の支援④地球規模のモニタリング・研究ネットワーク構築

2 地域計画の作成に関する基本的事項

○地域計画には、重点区域の設定、対策内容等を規定

○都道府県が地域計画を作成又は改定するに当たっては、内陸から沿岸に渡る流域圏の主体が一体となる必要があること等に留意。

3 海岸漂着物対策推進協議会に関する基本的事項

○地域の関係者が円滑な意思疎通や連絡調整を図るため、有識者や事業者等を含む幅広い主体の参加が望まれる。

②海岸漂着物等の効果的な発生抑制

⑤その他対策に必要な事項

容器包装のプラスチック削減の取組

九州大学磯辺研究室提供

海底から引き揚げられたごみ

流域圏のイメージ

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G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚級会合の成果について

日 時:令和元年6月15日(土)~16日(日)

場 所 :長野県軽井沢町

参加国:G20各国、EU及び招聘国の関係閣僚

• 本会合の成果物として、議論の内容をまとめたコミュニケ及び3つの附属文書(軽井沢イノベーション・アクションプラン、海洋プラスチックごみ対策実施枠組、適応アクションアジェンダ)が採択された。

• 特にコミュニケについては、20ヶ国として一致したメッセージを発出し、気候変動分野でも米国を孤立させることなく、「環境と成長の好循環」という1つのコンセプトに20ヶ国が全体で合意できた。

• 日本の長期戦略で取りまとめた「環境と成長の好循環」実現のための三本柱である ①G20メンバー国の主要な研究機関等を集めた会議体(RD20)等によるイノベーション推進、②民間資金の誘導、③ビジネス環境整備、などについて具体的な取組をまとめた「軽井沢イノベーションアクションプラン」を採択。

• これらの成果については、今月末のG20大阪サミットの議論に繋げ、世界が一丸となって地球規模の環境課題の解決に向けた取組を一層前進させるよう、引き続き全力で取り組んで行く。

気候変動分野の成果等

開催概要

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G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組の概要

適正な廃棄物管理、海洋プラスチックごみの回収、革新的な解決策(イノベーション)の展開、各国の能力強化のための国際協力等による、包括的なライフサイクルアプローチを推進

G20各国は、G20資源効率性対話等の機会を活用し、海洋プラスチックごみに関する政策、計画、措置等の情報について、継続的に共有及び更新を実施

科学的知見の共有(海洋ごみの現状と影響の測定、モニタリング等の

ための科学的基盤の強化)

国際協力の推進

革新的な解決策の推進

多様な関係者の関与及び意識向上

継続的な共有・更新

「G20海洋ごみ行動計画」の下での取組を強

G20各国が自主的な対策を実施

1.「G20海洋ごみ行動計画」の効果的な実施の促進

2.G20間の協調行動とG20外への展開

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G20大阪サミットの成果について①

日 時 : 令和元年6月28日(⾦)〜29日(土)場 所 : 大阪府大阪市参加国: G20各国、EU及び招聘国の首脳

• 本会合の成果物として、「G20大阪首脳宣言」が採択され、20か国が一致して、「環境と成長の好循環」がイノベーションを通じて行われるパラダイム・シフトが必要とされていること等を確認した。

• 気候変動に関しては、イノベーションの促進、非国家主体の参加促進、緩和・適応・環境保護・強じんなインフラの連携強化、及び、軽井沢で行われた閣僚会合における成果に留意すること等に一致した。なお、パリ協定については、「同協定の完全な履行についてのコミットメントを再確認」するという文言が入った一方、米国については「同協定から脱退するとの決定を再確認」するとの表現となった。

• 海洋プラスチックごみに関しては、2050年までに汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」をG20首脳間で共有し、軽井沢で行われた閣僚会合で策定した 「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」を承認するものとなった。

開催概要

環境分野の主な成果

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「我々は、議長国を務める日本の下でG20資源効率性対話のロードマップが策定されることを期待する。」

G20大阪サミットの成果について③

G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組

・G20持続可能な成⻑のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合で採択

大阪ブルー・オーシャン・ビジョン

「社会にとってのプラスチックの重要な役割を認識しつつ、改善された廃棄物管理及び革新的な解決策によって、管理を誤ったプラスチックごみの流出を減らすことを含む、包括的なライフサイクルアプローチを通じて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す。」

「我々はまた、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」を支持する。」

・G20首脳が、共通のグローバルなビジョンとして共有・他の国際社会のメンバーにもビジョンを共有するよう求める

資源効率性対話・実施枠組の成果の共有の場として活用・軽井沢での⼤⾂会合でG20資源効率性対話のロードマップを策定することに合意、この合意を、サミットでも承認

(1) G20各国は、以下のような自主的な取組を実施し、効果的な対策と成果を共有、更新①適正な廃棄物管理、②海洋プラスチックごみの回収、③革新的な解決策(イノベーション)の展開、④各国の能⼒強化のための国際協⼒など(2) G20各国は、協調して、①国際協⼒の推進、②イノベーションの推進、③科学的知⾒の共有、④多様な関係者の関与と意識向上等を実施するとともに、G20以外にも展開・上記を、 G20首脳が承認

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4.優良な循環産業の育成

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○従前の産業廃棄物処理業の許可の有効期限において特定不利益処分を受けていないこと。

○産業廃棄物の処理状況、施設の維持管理状況などをインターネットにより一定期間、一定頻度で公表していること。

○ISO14001、エコアクション21等の認証を取得していること。

○電子マニフェストシステムに加入しており、電子マニフェストが利用できること。

○直前3事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が10%以上であることや、法人税等を滞納していないことなど、財務体質が健全であること。

優良認定基準

○許可更新に要する事務負担が軽減され、特に広域的に事業展開する処理業者にとっては大きなインセンティブとなる。

○より信頼できる優良な処理業者の育成が進む。

○安心して委託できる優良な産廃処理業者を容易に選択できるようになり、排出事業者責任の確実な履行を補完する。

処理業者排出事業者

優良産廃処理業者認定制度

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優良産廃処理業者認定制度 優良認定数の推移

優良産廃処理業者数は着実に増加し、全処理業者数(H28年10月現在:113,157者)に対し約1%、主業者(売上高の割合が50%以上の事業者)数に対して1割程度に達した。

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優良産廃処理業者認定制度のメリット

1.許可の有効期間が7年間に延長

(通常は5年間)

2.許可証などにより排出事業者へPRが可能

3.排出事業者は、優良認定業者に委託している場合は処理状

況を公表情報により間接的に確認可能

4.許可申請時の添付書類を一部省略可能

5.環境配慮契約法の「産業廃棄物の処理に係る契約」におけ

る入札での有利な取扱い

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下記の要素についてポイント制で評価し、一定割合以上の点数を獲得した

事業者に入札参加資格を付与

環境配慮契約法「産業廃棄物の処理に係る契約」

裾切り方式

○環境/CSR報告書の作成・公表○温室効果ガス等の排出削減計画の策定・目標設定・公表○従業員に対する研修・教育の実施

○遵法性 (特定不利益処分を5年間受けていないこと)○事業の透明性 (インターネットによる情報公開の実施)○環境配慮の取組 (ISO14001、エコアクション21等の認証取得)○電子マニフェスト (電子マニフェストシステムへ加入、利用可能)○財務体質の健全性 (自己資本比率、経常利益等の財務基準満足)

①環境配慮への取組状況(基本項目のみ)

②優良基準への適合状況

平成25年2⽉平成25年2⽉ 契約類型に追加

評価項目

※優良認定基準と同一

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優良認定を受けた処理業者が当該認定の要件に適合しない事態に至った場合には、都道府県等による事実確認等を通じ、その事実を把握するとともに、その事実を排出事業者、都道府県等間等で共有するなどの措置を講ずることにより、認定業者の信頼性の向上を図る等の必要な検討を行うべきである。

意見具申抜粋

検討会における議論を踏まえた対応方向(案)

優良認定制度の見直し 1.運用改善

(1) 情報共有の円滑化について優良認定を受けた処理業者が特定不利益処分を受けた場合に、都道府県等による事実確認等の上で、その事実を排出事業者を含めて共有すべき。この情報共有に当たっては、行政情報システム等の既存のシステムを必要な改善の上で有効活用すべき。

優良認定の申請について、引き続き許可の更新と同時に行われるものとした上で、任意の時点で申請を可能としつつ、特定不利益処分を受けた場合には、その旨が適切に表示されるようにすべき。

(2) 都道府県等の事務負担の軽減

提出書類及び審査事務の合理化を行い、都道府県等及び処理業者の事務負担の軽減を図るべき。

第三者機関において一部の書類審査を行うことを可能とし、都道府県等及び処理業者に対して、更なる事務負担の軽減を図るべき。

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優良認定を受けた処理業者が排出事業者により選択されるようにする観点から、認定要件に再生利用に関する情報(持出先に係る情報を含む。)を含む、処理状況に関する情報のインターネットを通じた公表又は情報提供の追加を検討するとともに財務要件の見直しを行うべきである。特に、情報提供等の内容については、個社の取引情報について留意すべきとの指摘がある一方で、透明性を確保することが排出事業者から選ばれるためにも重要であるとの指摘もあり、その内容について、さらに具体的な検討を進めていく必要がある。

優良認定制度の見直し 2.認定要件

意見具申抜粋

(1) 個社の取引情報の公開について情報公表項目として、個別の取引において持出先の情報が提供可能かどうかを明示

させることとし、任意の情報提供を促すべき。持出先の名称をホームページで公開することで自社の健全性をアピールしている処理業者も存在することから、こうした処理業者について、排出事業者が区別して認識できるようにすべき。併せて、持出先が優良認定を受けた処理業者であるならば、その情報を公表するよう促すべき。

(2)財務要件の見直しについて

直前3年のすべての事業年度において、自己資本比率が10%を下回る場合には、「(営業利益)+(減価償却費)が直近1年の事業年度において零を超えること」とすべき。更に、自己資本比率に係る基準の前提として「直前3年のすべての事業年度において自己資本比率が零以上であること」を追加すべき。

検討会における議論を踏まえた対応方向(案)

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認定基準の見直し・強化と併せて、優良認定を受けた処理業者に対する優遇措置について検討すべきである。

優良認定制度の見直し 3.優遇措置

意見具申抜粋

(1) 処理業者に対する優遇措置について各種処理基準等の緩和については、産業廃棄物の適正処理の観点から、優良認定を受け

た処理業者の信頼性を損なうことにならないよう精査しつつ、今後、産業廃棄物処理制度全体の見直しに際してより具体的な検討を進めるべき。更に、これらを含めた産業廃棄物処理制度の見直しについては、優良認定を受けた処理業者に対して優先的に導入することを検討すべき。

環境配慮契約法に基づく産業廃棄物処理に係る契約の実施については、国及び独立行政法人等における実施をより一層図るよう努めるとともに、都道府県等に対しても、引き続きその実施を促すべき。

(2) 排出事業者に対する優遇措置について公共工事施工後の工事成績評定において、優良認定を受けた処理業者に処理を委託した

施工業者を評価する仕組については、関係機関と連携しながら具体的な検討を積極的に進めるべき。

都道府県等が事実上実施している事前協議を不要にする措置及びその他の優遇措置のうち、他の都道府県等における導入が望ましいものについては、環境省が積極的にその導入を促していくべき。

検討会における議論を踏まえた対応方向(案)

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5.産業廃棄物処理業の振興方策について

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大学や研究機関、自治体等の有識者11名から構成された「産業廃棄物処理業の振興⽅策に関する検討会」(座⻑:細⽥衛士 慶應義塾大学経済学部 教授)から平成29年3⽉に環境省に提言されたもの

目的と位置づけ

産業廃棄物処理業の振興⽅策に関する提⾔①

産業廃棄物処理業の許可を持っている事業者は約11万者存在するが、実際に業を⾏っているアクティブな事業者数は約6万社、主業(売上高の割合が50%以上)とする事業者数は約1.2万者

国内における産業廃棄物処理業界全体の推定市場規模は、約5.3兆円 主業者における産業廃棄物業の売上高は、10億円以上の事業者は1割に満たないものの、100億円以上の大規

模事業者も存在し、拡大傾向

産業廃棄物処理業界の実態

業種 平均従業員数

収集運搬のみ 9人

中間処理 20人

最終処分 9人

中間処理・最終処分 29人

【主業者における産業廃棄物処理業の平均従業員数】【産業廃棄物処理業界の課題認識】

16.0%26.7%

34.4%38.3%

45.6%

0% 10% 20% 30% 40% 50%

排出事業者の意識が高くないこと

技術力を維持・継承すること

廃棄物等の発生量が減少してい…

人材の確保が難しいこと

同業者との競争が激しいこと

産業廃棄物処理業界は、「環境を守り、産業を支える」との重大な社会的使命を担い、排出者が処理責任を全うするための重要な役割を果たす社会インフラである。適正処理推進と循環型社会構築という重責を担っており、地域産業として存立しつつ、循環資源や再生可能エネルギーの供給等の新たな役割を果たすことが求められている。

産業廃棄物処理業界の発展への期待

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業界内の競争激化が、安直な価格競争をもたらしかねない。また、全国的な雇用情勢改善に伴い、低⽔準に留まる賃⾦や労働災害、ネガティブイメージなど、従来から存在する諸課題も顕在化してきている。就労環境の悪化と⼈材流出により、「悪貨が良貨を駆逐する業界」に後戻りするリスクが高まっている。

「家業」としての従来の経営の延⻑線上では事業基盤を喪失する「ゆでガエルシナリオ」に陥りかねない。「企業」としての成⻑と底上げが求められている。

◇オーナーによる家族経営 ◇業界内部の棲み分け◇経済成⻑に伴う⾃然な収益拡⼤ ◇中⼩零細企業主体の業界構造 等

「家業」としての安定経営【従来】

<成⻑に資する事業戦略>1)事業基盤の強化・拡大(差別化、再資源化の向上、トレーサビリティ等)2)企業提携・業務提携・M&A3)マーケットの拡大(広域化、海外展開等)<底上げに資する事業戦略>4)地域との共生5)人材確保・育成(勤労条件改善、技術の向上等)6)CSR活動(経営方針のPR、ブランド化、地域密着型産業への参入等)

【今後】◆現状肯定の延⻑上にある企業としての緩慢な死(顧客の喪失/人材流出による淘汰)

ゆでガエルシナリオ

【現在】 悪貨が良貨を駆逐する業界に後戻りするリスク

「家業」としての経営を継続した場合

「企業」としての成⻑と底上げ

産業廃棄物処理業の振興⽅策に関する提⾔②産業廃棄物処理業が直⾯するリスク

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①先進的優良企業の育成

②排出事業者の意識改⾰

③意欲ある企業の支援体制整備

④優良先進事例のPR・情報発信

「社会インフラ」としての産業廃棄物処理業への後押し(国、地⽅公共団団体、処理団体、排出事業者)

「成⻑」と「底上げ」の両⽴を⽬指す産業廃棄物処理業者の事業戦略

「先進的優良企業の育成と普及拡⼤」と「排出事業者の意識向上」を通じて、適正な評価軸の設定による「良貨が悪貨を駆逐する競争環境整備」を⾏うことが、産業廃棄物処理業者による成⻑を後押しすることになる。更に「意欲ある企業の⽀援体制整備」と「優良事例のPR・情報発信」により、就労環境の改善と人材育成による「業としての魅⼒向上」を実現出来れば、社会インフラとしての産業廃棄物処理業界の持続的発展を期待できる。

産業廃棄物処理業界の持続的発展

優良産廃認定制度の強化と有効活用 等

排出事業者責任についての周知 等

人材確保・育成支援等

産廃業者による地域貢献のサポート

産業廃棄物処理業の振興⽅策に関する提⾔③産業廃棄物処理業を後押しする振興⽅策の柱

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