天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1...

66
第三次 天童市農業基本計画 【案】 平成27年 月

Upload: others

Post on 14-Aug-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

第三次

天童市農業基本計画

【案】

平成27年 月

天 童 市

Page 2: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 1 -

も く じ

第1章 計画の趣旨と推進方法

1 計画見直しの背景と計画の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

2 計画の推進方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

第2章 天童市の農業・農村の動向

1 天童市の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

2 天童市農業の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

3 農業・農村を取り巻く環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第3章 計画の基本理念

1 計画の基本目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

2 主要指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

第4章 施策の展開

1 基幹プログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

2 施策の体系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

3 施策の展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

(1) 安全な農畜産物の安定的な生産と消費拡大 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

1-1 地元産農畜産物の安全性の確保と消費拡大 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

1-2 水田農業経営の確立 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

1-3 適地適産の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

1-4 環境保全型農業の確立 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

(2) 農業の担い手育成のための人づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

2-1 新規就農者の支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

2-2 担い手の経営構造改善の支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47

2-3 農村における男女共同参画社会の実現 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

2-4 高齢者の持つ知識・技術の伝承 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

(3) 農業・農村が有する多面的機能の維持向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

3-1 農業・農村が有する多面的機能の維持向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

3-2 中山間地域の農業の活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53

(4) 農業生産基盤の整備・管理と生活環境の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55

4-1 担い手への農地集積、農地の保全、遊休農地の発生防止と解消、農

業生産基盤の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55

4-2 農村の生活環境の向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56

(5) 農業・農村の持つ役割に対する市民の理解の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

Page 3: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 2 -

5-1 農業・農村に対する市民の理解の促進、食農教育の推進、消費者と

生産者との交流の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

5-2 地産地消の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

5-3 観光農業のネットワークの形成、体験農業の促進・・・・・・・・・・・・・・62

第5章 計画の推進に向けて

1 行動指針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65

2 計画の実施と管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65

資料編

1 天童市農業基本条例

2 策定の経過

3 天童市農業振興審議会委員

Page 4: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 3 -

第1章 計画の趣旨と推進方法

1 計画見直しの背景と計画の趣旨

(1) 計画見直しの背景

本市では、平成 14 年 4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

げる理念や基本方針を具体化するとともに、21 世紀における本市農業の進むべ

き方向やその推進方策を明らかにし、市民、農業者、農業団体、事業者、そし

て行政が一体となって農業の振興を図るため、平成 15 年 3 月に平成 22 年度を

目標年次とする天童市農業基本計画(以下「計画」という。)を策定しました。

計画策定後、国では平成 17 年の「食料・農業・農村基本計画」の見直しとこ

れを受けた「経営所得安定対策大綱」を策定し、価格政策から所得政策への転

換と担い手を中心とした再編を打ち出しました。また、平成 19 年には「品目

横断的経営安定対策」と「農地・水・環境保全向上対策」を本格実施し、「米

政策改革推進対策」により、新需給調整システムへ移行するとともに、米緊急

対策を実施し、農政改革の見直しを行っています。

これを受け、市では、これらの国の政策転換や社会経済情勢の変化に対応し

て本市農業のさらなる振興を図るため、計画の改定を行いました。改定後の計

画は、平成 21 年度を初年度とし、平成 27 年度を目標年次とする計画であり、

「安全な農畜産物の安定的な生産」「農業生産基盤の整備と生活環境の整備」

「農業の担い手育成のための人づくり」「農業・農村の持つ役割に対する市民

の理解の促進」「農業・農村の持つ多面的機能の維持向上」の五つの目標を掲

げ、施策を推進してきました。

この間、FTA・EPA※の進展による農畜産物の輸入自由化の拡大、政権

交代による政策転換と国による新たな農業・農村政策の施行など、本市農業を

取り巻く環境に大きな変化が生じている中で、本市農業のさらなる振興を図っ

ていく必要があることから、計画の見直しを行うものです。

※FTA・EPA:FTA(Free Trade Agreement、自由貿易協定)とは、ある国や地域との間

で、関税をなくしモノやサービスの自由な貿易を一層進めることを目的とした協定のこと。

EPA(Economic Partnership Agreement、経済連携協定)とは、FTAを基礎としながら、

投資の促進、知的財産や競争政策等の分野での制度の調和、その他多様な分野を対象とした

経済上の連携強化を目的とした協定のこと。

(2) 計画の趣旨

計画は、天童市農業基本条例(平成 14 年条例第 12 号)が目指す、農業・農

村の持続的な発展と新しい時代に対応した農業の確立を図るため、おおむね7

年間の本市の農業と農村が目指すべき方向と施策展開の方針等を明らかにす

るものです。

(3) 計画の位置付け

Page 5: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 4 -

この計画は、本市の農業・農村の振興策を総合的かつ計画的に推進するため、

天童市農業基本条例第8条の規定に基づき策定するものであり、本市の農業関

係計画の中で最上位に位置します。平成 22 年2月に策定された第六次天童市

総合計画基本計画の部門計画として位置付けられ、農業部門での施策の展開を

図ることにより、本市農業の将来像の実現を日指すものです。

また、国の食料・農業・農村基本法、山形県農業基本条例と山形県農林水産

業振興計画の趣旨を踏まえ、本市の各種行政計画との整合性を保ちながら連

携・補完し、効果的な推進を図るものです。

(4) 計画の期間

期間は、平成 27 年度を初年度とし、平成 33 年度までの7か年とします。

また、農業を取り巻く環境の変化や施策の評価を踏まえ、おおむね5年をめ

どに見直しを行うことによって、時代の変化に対応した効率的な施策の展開を

図ります。

年度

( 平成 ) 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33

国 食料・農業・農村基本計画〔平成 17 年~26 年]

(食料・農業・農村基本法)

山形県農林水産業振興

計画〔平成 13年~22年]

(山形県農業基本条例)

平成 17 年度改定[平成 18 年~27 年]

平成 22 年改定〔平成 23 年~32 年]

天童農業振興地域整備計画(農業振興地域の整備に関する法律)

平 成

14 年

改定

平成 19 年改定

[平成 20 年~24 年]

平成 24 年改定

[平成 25 年~29 年]

農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想

[平成 25 年~34 年](農業経営基盤強化促進法)

第六次天童市総合計画基本構想

[平成 13 年~27 年](地方自治法)

第六次天童市総合計画基本計画

[平成 13 年~27 年]

未来創造重点プロ

ジェクト(前期)

[平成 22 年~24 年]

未来創造重点プロジェ

クト(後期)

[平成 25 年~28 年]

天童市農業基本計画

[平成 15年~22年](天

Page 6: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 5 -

童市農業基本条例)

平成 20 年改定[平成 21 年~27 年]

平成 26 年改定[平成 27 年~33 年]

( )内は根拠法令

2 計画の推進方法

この計画の推進に当たっては、農業者や農業団体の主体的な取組を基本に、国

や県、関係機関などと緊密に連携しながら、農業・農村の振興を図ります。

また、食料・農業・農村の果たす役割について、市民の理解を深め、積極的な

支援を得るとともに、事業者については地元産農畜産物の利用を促進するなど、

市民と農業者・農業団体、事業者、行政が一体となって計画を推進します。

Page 7: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 6 -

第2章 天童市の農業・農村の動向

1 天童市の現状

(1) 自然的条件

本市は、北緯 38 度 21 分、束経 140 度 23 分の地点を中心に、山形県の中央の

東よりに位置しています。

総面積は、113.01km で、東西に 18km、南北に 10km の広がりを持っていま

す。 面積の内訳は、山林が 29.91 ㎢、畑が 23.17 ㎢、田が 15.60 ㎢、宅地が 13.17

㎢となっています。

地勢は東半分が山地、西半分が平地となっており、河川は東の奧羽山脈から

西に流れ、乱川、立谷川の二つの扇状地を形成しています。平地は、標高 85

mから 120mのところにあり、扇央部から扇端部は水量が豊富で水はけが良い

ため畑地に適し、西側の低地部は平坦で水田に適しています。

気候は内陸性気候の特色を持ち、年間降水量は約 1,123mm(平成 25 年)と

なっています。雪国といわれる山形県の中では積雪が少なく、自然的条件に恵

まれ、四季の変化が明確であるため、水稲、果樹、野菜の栽培に適した地域で

あるといえます。

○ 地目別面積 単位:㎢、%

上段:平成 13 年 1 月 1 日現在 中段:平成 20 年 1 月 1 日現在 下段:平成 25 年 1 月 1 日現在

項目

地目 山 林 畑 田 宅 地 原 野 雑種地 その他 計

面 積

30.00 21.86 18.29 12.12 2.06 1.14 27.54

113.01 29.89 22.85 16.41 12.75 2.00 1.19 27.92

29.91 23.17 15.60 13.17 1.97 1.23 27.96

構成比

26.5 19.4 16.2 10.7 1.9 1.1 24.2

100.0 26.5 20.2 14.5 11.3 1.8 1.0 24.7

26.5 20.5 13.8 11.7 1.7 1.1 24.7

増減率 △0.4 4.5 △10.3 5.2 △2.9 4.4 1.4

0.1 1.4 △4.9 3.3 △1.5 3.4 0.1

(資料:天童市総務部税務課)

Page 8: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 7 -

27.96

1.23

1.97

13.17

15.6

23.17

29.91

27.92

1.19

2

12.75

16.41

22.85

29.89

27.54

1.14

2.06

12.12

18.29

21.86

30

0 5 10 15 20 25 30 35

その他

雑種地

原野

宅地

山林

平成13年

平成20年

平成25年

○ 地目別構成比(平成25年1月1日現在)

原野1.7%

雑種地1.1%

宅地11.7%

その他24.7%

田13.8%

畑20.5%

山林26.5%

(2) 社会的条件

本市の人口は、平成 22 年の国勢調査で 6 万 2,214 人となっており、山形県内

で5番目の人口規模となっています。人口の推移を見てみると、土地区画整理

事業による住環境の整備や積極的な企業誘致などにより、昭和 40 年代から増

加してきましたが、平成 17 年の国勢調査以降減少に転じ、平成 22 年の国勢調

査では 2.6%の減少率となっています。

本市の就業者数は、平成 22 年で 3 万 1,057 人となっています。産業別では、

これまで就労の場の拡大や都市化の進展により、第2次産業及び第3次産業の

就業者数が増加してきましたが、第2次産業就業者数が平成 12 年に、第3次

産業就業者数は平成 17 年にピークを迎え、以後、減少に転じています。第1

次産業の就業者数は、一貫して減少しており、昭和 35 年の三分の一以下とな

っています。

各産業の生産額等については、平成 17 年の農業産出額が 105 億 8,000 万円、

平成 24 年の製造品出荷額等が 1,666 億 2,125 万円、平成 24 年の商品販売額が

Page 9: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 8 -

1,301 億円となっています。長引く景気の低迷などを反映して、近年は伸び悩

んでいます。

○ 人口と世帯数の推移 単位: 人、%、戸

区 分 人 口 5年間の人口増加

世帯数 一世帯

の人員 人口密度

男 女 計 増加数 増加率

昭和35年 21,091 23,430 44,521 △1,731 △3.7 8,344 5.34 393.3

昭和40年 21,026 22,877 43,903 △618 △1.4 8,945 4.91 387.8

昭和45年 21,442 23,316 44,758 855 1.9 10,016 4.47 395.4

昭和50年 23,001 25,081 48,082 3,324 7.4 11,597 4.15 424.8

昭和55年 25,240 27,357 52,597 4,515 9.4 13,358 3.94 464.6

昭和60年 26,603 28,520 55,123 2,526 4.8 14,172 3.89 487.0

平成2年 27,764 29,575 57,339 2,216 4.0 15,464 3.71 508.4

平成7年 29,472 31,154 60,626 3,287 5.7 17,330 3.50 536.5

平成12年 30,661 32,570 63,231 2,605 4.3 19,077 3.31 559.5

平成17年 30,903 32,961 63,864 633 1.0 20,146 3.17 565.1

平成22年 30,148 32,066 62,214 △1,650 △2.6 20,404 3.05 550.5

(資料:国勢調査)

○ 産業分類別就業者数の推移

区 分 就業者総数 第1次産業 第2次産業 第3次産業 分類不能

昭和 35 年 22,480 13,098 3,485 5,897 -

昭和 40 年 23,308 10,230 5,575 7,489 14

昭和 45 年 25,665 8,330 7,550 9,785 -

昭和 50 年 25,172 7,076 7,352 10,699 45

昭和 55 年 27,615 6,210 8,622 12,779 4

昭和 60 年 29,147 5,570 10,034 13,542 1

平成 2 年 30,709 4,951 11,014 14,743 1

平成 7 年 32,982 4,336 11,699 16,907 10

平成 12 年 34,335 4,127 11,888 18,320 -

平成 17 年 33,740 4,057 10,385 19,218 80

平成 22 年 31,057 3,510 9,280 17,753 514

(資料:国勢調査)

Page 10: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 9 -

○ 人口と産業分類別就業者数の推移

5,164 5,897 7,489 9,785 10,699 12,779 13,542 14,743 16,907 18,320 19,218 17,7532,396 3,485

5,5757,550 7,352

8,622 10,034 11,01411,699 11,888 10,385 9,280

14,561 13,098 10,2308,330 7,076

6,210 5,570 4,9514,366 4,127 4,057

3,510

62,21463,86463,23160,62657,339

55,12352,597

48,08244,75843,90344,52146,252

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

70000

昭和30年 昭和35年 昭和40年 昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年

人 第1次産業第2次産業第3次産業人口

○ 農業算出額の推移 ○ 工業製造品出荷額の推移

123135

167146

136119

106

020406080100120140160180

昭和50年

昭和55年

昭和60年

平成2年

平成7年

平成12年

平成17年

億円

515

999

1,429

1,9122,218

2,0082,291

0

500

1000

1500

2000

2500

昭和50年

昭和55年

昭和60年

平成2年

平成7年

平成12年

平成17年

億円

(資料:山形県農林水産統計年報) (資料:工業統計調査)

○ 商品販売額の推移

565 712

2,411

2,8342,616 2,493

1,802

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

昭和51年

昭和54年

昭和60年

平成3年

平成6年

平成11年

平成16年

億円

(資料:商業統計調査)

Page 11: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 10 -

2 天童市農業の動向

(1) 農家戸数

本市の農家戸数は、年々減少しており、平成 22 年には 2,730 戸になり、10

年間で 11.2%減少しています。そのうち、農畜産物の販売がある販売農家数は

2,144 戸、自給的農家が 586 戸で、販売農家数は 10 年間で 16.0%減少していま

す。

総世帯数に占める農家数は年々減少を続け、農家率は 13.4%で、10 年前に比

べ、2.7 ポイント低下しています。

販売農家数を専業兼業別に見てみると、第1種兼業農家と第2種兼業農家が

減少する中、専業農家が増加傾向にあり、本市の専業農家が販売農家に占める

比率は、県内 13 市の中では2番目に高くなっています。生産年齢に属する男

子のいる専業農家は減少していましたが、平成 22 年の調査で増加に転じまし

た。

また、経営耕地規模別に農家戸数を見てみると、0.3ha 未満と 5ha 以上の農家

が増加しており、それ以外の農家は減少しています。農地の集積により規模の

大きな農家が増加する一方で、農地を委託し、経営規模を縮小している農家が

増えているためと考えられます。

○ 農家数の推移 単位:戸、%

区分

年次 総世帯数

総農家数 販売農家数 農家率

(※) 増減数 増減率 増減数 増減率

平成 2 年 15,464 3,547 △234 △6.2 3,003 △172 △5.4 22.9

平成 7 年 17,330 3,304 △243 △6.9 2,762 △241 △8.0 19.1

平成12年 19,077 3,075 △229 △6.9 2,553 △209 △7.6 16.1

平成17年 20,146 2,904 △171 △5.6 2,362 △191 △7.5 14.4

平成22年 20,404 2,730 △174 △6.0 2,144 △218 △9.2 13.4

(※)農家率=総農家数÷総世帯数×100 (資料:農林業センサス)

20,404

2,730

20,14619,077

17,33015,464

14,172

2,9043,0753,3043,5473,781

13.414.4

16.1

19.1

22.9

26.7

0

5000

10000

15000

20000

25000

昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年

0

5

10

15

20

25

30%総世帯数

総農家数農家率

Page 12: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 11 -

○ 専業兼業別農家戸数(販売農家) 単位:戸、%

区分

項目

専業農家 兼業農家

男子生産年齢がいる

世帯 第1種兼業 第2種兼業

実 数

平成 2 年 408 325 3,139 872 2,267 3,547

平成 7 年 354 275 2,408 815 1,593 2,762

平成12年 390 249 2,163 663 1,500 2,553

平成17年 435 229 1,927 543 1,384 2,362

平成22年 469 252 1,675 513 1,162 2,144

増減率 H17/H12 11.5 △8.0 △10.9 △18.1 △7.7 △7.5

H22/H17 7.8 10.0 △13.1 △5.5 △16.0 △9.2

構成比

平成12年 15.3 9.8 84.7 26.0 58.7 100

平成17年 18.4 9.7 81.6 23.0 58.6 100

平成22年 21.9 11.8 78.1 23.9 54.2 100

(資料:農林業センサス)

469

1,675

435390354408394

1,9272,163

2,408

3,1393,387

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年

戸専業農家

兼業農家

Page 13: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 12 -

(2) 農家人口と農業就業人口

農家人口は 9,554 人で、総人口に対する農家人口の割合は 15.4%となってい

ます。

また、農家総人口に占める 65 歳以上の高齢者人口の割合は、32.6%となって

います。

○ 農家人口 単位:人、%

区分

年次 総人口 農家人口 農家率(※) 農家人口に占める 65 歳以上の割合

平成 12 年 63,231 14,713 23.3 27.4

平成 17 年 63,864 11,059 17.3 30.7

平成 22 年 62,214 9,554 15.4 32.6

(※)農家率=農家人口÷総人口×100 (資料:国勢調査、農林業センサス)

○ 年齢階層別農家人口の推移 単位:人

階層

年次 0~14歳 15~29歳 30~49歳 50~64歳 65歳以上 計

平成 2 年 3,340 2,583 4,643 3,928 3,376 17,870

平成 7 年 2,609 2,355 4,306 3,200 3,808 16,278

平成 12 年 2,015 2,309 3,548 2,805 4,036 14,713

平成 17 年 1,243 1,799 2,281 2,345 3,391 11,059

平成 22 年 1,019 1,307 1,803 2,310 3,115 9,554

構 成

平成 17 年 11.2 16.3 20.6 21.2 30.7 100.0

平成 22 年 10.6 13.6 18.8 24.1 32.6 100.0

(資料:農林業センサス)

主として自営農業に従事した農業就業人口は、平成 22 年で 3,750 人となっており、

10 年間で 864 人、18.7%減少しています。

年齢階層別では、39 歳以下の層が大幅に減少しており、農業労働の基幹的部分を

担う年齢層の確保が課題となっています。また、これまで増加してきた 65 歳以上の

層についても減少に転じ、すべての階層で減少しています。本市は、人口の高齢化

率が県内 13 市で最も低い部類に入りますが、平成 22 年には、農業就業人口の 57.9%

が 65 歳以上で、高齢者が農業生産の大きな役割を担う状況となっています。このこ

とから、農業就業構造の脆弱化が一層進んでいるものと思われます。

また、農業就業人口を男女別に見てみると、男性が 1,984 人で 52.9%、女性が 1,766

人で 47.1%と、労働力に占める男性の比率が高くなっています。

Page 14: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 13 -

年齢階層別にみると、39 歳以下は男性の割合が6割を超えるのに対し、農業労働

の中核を担う 40 代、50 代では、女性の比率が5割を超え、農業生産の大きな部分

を担っています。

○ 農業就業人口の推移

1,984

2,225

2,343

2,509

2,763

2,917

1,766

2,359

2,585

2,851

3,213

3,351

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000

平成22年

平成17年

平成12年

平成7年

平成2年

昭和60年

(資料:農林業センサス)

○ 年齢階層別農業就業人口(販売農家) 単位:人、%

階層

年次

39 歳以下 40~64 歳 65 歳以上 計

実数 増減率 実数 増減率 実数 増減率 実数 増減率

平成 2 年 726 △29.5 3,415 △12.2 1,835 36.2 5,976 △4.7

平成 7 年 448 △38.3 2,676 △21.6 2,236 21.9 5,360 △10.3

平成 12 年 382 △14.7 2,016 △24.7 2,530 13.1 4,928 △8.1

平成 17 年 362 △5.2 1,674 △17.0 2,578 1.9 4,614 △6.4

平成 22 年 204 △43.6 1,372 △18.0 2,174 △15.6 3,750 △18.7

構成比

平成12年 7.8 40.9 51.3 100

平成17年 7.8 36.3 55.9 100

平成22年 5.4 36.5 57.9 100

(資料:農林業センサス)

Page 15: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 14 -

204

362

382

448

726

1,030

1,372

1,674

2,016

2,676

3,415

3,891

2,174

2,578

2,530

2,236

1,835

1,347

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000

平成22年

平成17年

平成12年

平成7年

平成2年

昭和60年

39歳以下

40~64歳

65歳以上

○ 男女別年齢階層別農業就業人口(販売農家)(平成 22 年) 単位:人、%

項目

階層

計(男女別構成比)

男(男女別構成比) 女(男女別構成比)

30 歳未満 50(68.5%) 23(31.5%) 73(100%)

30 歳~39 歳 79(60.3%) 52(39.7%) 131(100%)

40 歳~49 歳 95(45.9%) 112(54.1%) 207(100%)

50 歳~59 歳 305(47.1%) 342(52.9%) 647(100%)

60 歳以上 1,455(54.0%) 1,237(46.0%) 2,692(100%)

計 1,984(52.9%) 1,766(47.1%) 3,750(100%)

(資料:農林業センサス)

Page 16: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 15 -

(3) 担い手

農業所得が半分以上を占め、65 歳未満の農業従事者のいる主業農家と、農業

経営基盤強化促進法に基づく認定農家を、担い手として位置付けています。主

業農家の数は平成 22 年で 659 戸、認定農家の数は平成 22 年で 266 戸となって

います。農家戸数全体に占める認定農家の比率は 9.7%となっています。また、

認定農家を経営形態別に見ると、果樹を主体とする農家が多く、労働集約型の

農業経営が展開されています。

○ 経営形態別認定農家数(販売農家) 単位:戸、%

部門別

項目

販売

農家

認定農家

単一経営 複合経営

作物 畜産

うち準単

一経営 稲作 野菜 果樹 花き そ の

他 酪農

肉 用

牛 養豚

平成

12年

農家数 2,553 298 162 8 2 136 2 1 10 2 1 136 119

構成比 100 54.4 2.7 0.7 45.6 0.7 0.3 3.4 0.7 0.3 45.6 39.9

平成

17年

農家数 2,362 267 193 4 6 170 2 2 5 3 1 74 47

構成比 100 72.3 1.5 2.3 63.7 0.7 0.7 1.9 1.1 0.4 27.7 17.6

平 成

22 年

農家数 2,144 266 181 8 8 152 2 1 6 4 0 85 65

構成比 100 68.0 3.0 3.0 57.1 0.8 0.4 2.3 1.5 0 32.0 24.4

(資料:農林業センサス)

野菜3.0%

肉用牛1.5%

その他0.4% 花き

0.8%

養豚0.0%

酪農2.3%

複合経営32.0%

果樹57.1%

稲作3.0%

稲作

野菜

果樹

花き

その他

酪農

肉用牛

養豚

複合経営

Page 17: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 16 -

(4) 経営耕地面積

平成 22 年の経営耕地面積は、3,023ha で、10 年間で 138ha 減少しています。

種類別の構成比は、田が 48.1%、畑が 4.6%、樹園地が 47.3%で、畑の比率が

下がり、田と樹園地の比率が高くなっています。これは、すべての種類の経営

耕地面積が減少する中、減少率が相対的に小さかった田と樹園地の割合が上昇

したものです。工場用地や住宅地等への開発が、農地減少の大きな要因を占め

ていると考えられます。

○ 経営耕地面積 単位:ha、%

種類別

年次

田 畑 樹園地

面積 増減

率 面積

増減

率 面積

増減

率 面積

増減

平成 2 年 1,938 △6.7 278 △27.6 1,484 3.9 3,700 △5.5

平成 7 年 1,787 △7.8 271 △2.5 1,528 3.4 3,587 △3.0

平成 12 年 1,588 △11.1 222 △18.1 1,505 △1.6 3,315 △10.3

平成 17 年 1,489 △6.2 224 0.9 1,448 △3.8 3,161 △4.6

平成 22 年 1,455 △2.2 138 △38.4 1,430 △1.2 3,023 △4.6

平成12年 47.9 6.7 45.4 100

平成17年 47.1 7.1 45.8 100

平成22年 48.1 4.6 47.3 100

(資料:農林業センサス)

1,938 1,787 1,588 1,489 1,455

278 271222 244 138

1,484 1,5291,505 1,448 1,430

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年

㏊ 樹園地畑田

耕地の種類別農家数は、田のある農家が 1,458 戸、畑のある農家が 1,069 戸、樹

園地のある農家が 2,091 戸となっています。平成 17 年度と比較すると、すべての区

分で減少していますが、特に田のある農家、稲を作った農家の減少が著しく、それ

ぞれ 14.0%、13.9%減少しています。

Page 18: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 17 -

また、田のある農家の割合が 64.0%、畑のある農家の割合が 47.0%、樹園地のあ

る農家の割合が 91.8%と、本市の農業は果樹主体の経営となっています。

○ 経営耕地の種類別農家数 単位:戸、%

種類別

項目 実農家数

田のある農家数 畑のある

農 家 数

樹園地のあ

る農家数 稲を作った農家数

実 数

平成 12 年 2,553 1,922 1,814 1,351 2,303

平成 17 年 2,437 1,696 1,565 1,054 2,229

平成 22 年 2,277 1,458 1,347 1,069 2,091

構成比

平成 12 年 75.3 71.1 52.9 90.2

平成 17 年 69.6 64.2 43.2 94.3

平成 22 年 64.0 59.1 47.0 91.8

(※)平成 12 年は販売農家 (資料:農林業センサス)

販売農家の耕作放棄地(過去1年間以上耕作せず、今後も耕作する考えのない土

地) 面積は 94.4ha で、平成 17 年と比べ 8.8ha、10.2%増加しています。また、この

10 年間で 16ha 増加しており、今後も増加することが懸念されています。

Page 19: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 18 -

○ 地目別耕作放棄地面積 単位:ha

種類別

年次

田 畑 樹園地

昭和 55 年 - - - 8.6

昭和 60 年 - - - 21.8

平成 2 年 5.8 17.4 21.3 44.5

平成 7 年 11.6 25.9 17.0 54.5

平成 12 年 25.1 28.4 24.9 78.4

平成 17 年 26.7 26.5 32.4 85.6

平成 22 年 30.3 26.6 37.5 94.4

※ 昭和 50 年、55 年、60 年は、地目別データなし (資料:農林業センサス)

5.8 11.625.1 26.7 30.317.4

25.9

28.4 26.526.6

21.3

17

24.9 32.437.5

8.621.8

0102030405060708090100

昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年

㏊ 計

樹園地

(5) 主要作物等の栽培状況

果樹については、すべての販売農家数が減少しており、特にぶどう、ももの

減少が著しくなっています。栽培面積は、西洋なしが横ばい、りんご、ぶどう、

ももが減少しているのに対し、さくらんぼの作付面積が増加しています。さく

らんぼは、販売農家数が減少しているものの、栽培面積が増加していることか

ら、一戸当たりの経営規模が拡大しています。

畜産については、家畜の飼養農家数は、採卵鶏が微減、乳用牛は微増ですが、

肉用牛は大幅に増加しています。また、乳用牛については、農家数が大幅に減

少し、肉用牛ついては、頭数が大幅に増加していることから、経営規模が拡大

しています。

Page 20: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 19 -

○ 主要果樹の栽培農家数(販売農家) 単位:戸、%

区分

項目 りんご ぶどう もも さくらんぼ 西洋なし

実 数

平成 12 年 1,426 579 874 2,065 847

平成 17 年 1,303 479 750 2,068 844

平成 22 年 1,215 399 662 1,982 837

増減率 平成 22 年/平成 17 年 △6.8 △16.7 △11.7 △4.2 △0.8

(資料:山形農林水産統計年報)

837

1982

662

399

1215

844

2068

750

479

1303

847

2065

874

579

1426

0 500 1000 1500 2000 2500

西洋なし

さくらんぼ

もも

ぶどう

りんご

平成12年

平成17年

平成22年

○ 主要果樹の栽培面積(販売農家) 単位:ha、%

区分

項目 りんご ぶどう もも さくらんぼ 西洋なし

実 数

平成 12 年 503 166 133 395 174

平成 17 年 439 140 121 455 184

平成 22 年 415 123 116 488 184

増減率 平成 22 年/平成 17 年 △5.5 △12.1 △4.1 7.3 0.0

(資料:山形農林水産統計年報)

184

488

116

123

415

184

455

121

140

439

174

395

133

166

503

0 100 200 300 400 500 600

西洋なし

さくらんぼ

もも

ぶどう

りんご

平成12年

平成17年

平成22年

Page 21: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 20 -

○ 家畜の飼育状況 単位:戸、頭、羽、%

区分

年次

乳用牛 肉用牛 豚 採卵鶏

農家数 頭数 農家数 頭数 農家数 頭数 農家数 頭数

平成 12 年 36 894 23 701 3 3,234 2 …

平成 17 年 31 557 19 546 3 2,308 2 32,000

平成 22 年 24 597 19 864 2 … 3 30,070

増減率

平成 17 年/平成 12 年 △13.9 △37.7 △17.4 △22.1 0.1 △28.6 0.0 …

平成 22 年/平成 17 年 △22.6 7.2 0.0 58.2 △33.3 … 50.0 △6.0

(資料:農林業センサス)

○ 畜産農家数

3

2

19

24

2

3

19

31

2

3

23

36

0 5 10 15 20 25 30 35 40

採卵鶏

肉用牛

乳用牛

平成12年

平成17年

平成22年

Page 22: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 21 -

○ 県内 13 市の比較(平成 22 年)

区分 農家数(戸)

農業就業人

口(人)

経営耕地面

積(a)

専業農家数

(戸)

専業農家率

(%)

うち女性の

割合(%)

うち高齢者

の割合(%)

1農家あた

り経営耕地

面積(a)

1位 鶴岡

5,651

山形

692

東根

20.18

鶴岡

7,864

寒河江

50.43

新庄

49.03

鶴岡

1,648,041

酒田

376.90

2位 山形

4,603

鶴岡

577

天童

17.18

山形

5,245

村山

50.42

酒田

51.22

酒田

1,019,522

新庄

294.17

3位 村山

2,753

東根

551

尾花沢

16.11

東根

3,964

東根

49.42

鶴岡

53.62

新庄

490,671

鶴岡

291.64

4位 東根

2,731

天童

469

村山

15.80

天童

3,750

山形

48.98

南陽

53.64

尾花沢

462,088

米沢

217.52

5位 天童

2,730

村山

435

上山

15.78

酒田

3,354

上山

48.14

米沢

57.87

山形

430,553

尾花沢

208.52

6位 酒田

2,705

尾花沢

357

南陽

15.14

村山

3,320

酒田

47.76

天童

57.97

米沢

392,839

長井

195.86

7位 尾花沢

2,216

酒田

351

山形

15.03

尾花沢

3,012

天童

47.09

東根

59.76

村山

371,027

南陽

160.69

8位 寒河江

2,158

上山

297

米沢

13.84

寒河江

2,449

鶴岡

47.01

尾花沢

59.93

天童

314,071

村山

134.77

9位 上山

1,882

米沢

250

酒田

12.98

上山

2,316

尾花沢

46.65

上山

61.40

東根

284,235

天童

115.04

10位 米沢

1,806

南陽

229

新庄

12.53

新庄

2,278

米沢

45.62

長井

62.08

長井

276,161

寒河江

104.51

11位 新庄

1,668

新庄

209

長井

10.50

南陽

2,049

新庄

44.51

寒河江

64.39

南陽

243,123

東根

104.08

12位 南陽

1,513

長井

148

鶴岡

10.21

米沢

2,008

南陽

44.41

山形

64.48

寒河江

225,541

上山

99.48

13位 長井

1,410

寒河江

145

寒河江

6.72

長井

1,498

長井

43.52

村山

65.90

上山

187,230

山形

93.54

(資料:農林業センサス、山形農林水産統計年報)

Page 23: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 22 -

3 農業・農村を取り巻く環境

(1) 農業の構造改革と農政改革

農業・農村は、食料の安定供給に加え、国土保全や農村環境、伝統文化の継

承など、多面的な機能を担っています。しかしながら、近年の農業・農村を取

り巻く状況は、農産物の価格低迷、農業と他産業との賃金格差など、厳しさを

増しており、農業の担い手・後継者不足や耕作放棄地の増加等を招いています。

また、これまで農業経営の効率化等、農業の構造改革を図るため担い手への

農地集積を進めてきた結果、国全体では農地の約5割が担い手に集積されてい

ますが、農業経営の効率化を図るためには、さらなる集積と規模拡大による経

営の効率化が求められています。

国では、これらの課題に対応し、農業の構造改革、輸出拡大、農業の産業と

しての強化、農業・農村の所得倍増を目指し、我が国の農林水産業と地域の活

力を創造する政策改革のグランドデザインとして平成25年に「農林水産業・

地域の活力創造プラン」を策定しています。

プランでは、新たな農業・農村政策として、「農地中間管理機構の創設」 「経

営所得安定対策の見直し」「水田フル活用と米政策の見直し」「日本型直接支払

制度の創設」の4つの改革を掲げています。

「農地中間管理機構の創設」では、都道府県段階に農地中間管理機構を創設

し、今後、10年間で担い手の農地利用を現状の5割から8割まで引き上げる

としています。

「経営所得安定対策の見直し」については、米の直接支払交付金が農地の担

い手への集積を遅らせている面があることから、経過期間を設けたうえで平成

30年に廃止するとともに、その振替・拡充策として多面的機能支払の創設や

水田の有効活用対策の拡充等を図るとしています。

「水田フル活用と米政策の見直し」では、食料自給率、持久力の向上を図る

ため、麦、大豆、飼料用米等の需要のある作物の生産を振興していくとしてい

ます。

さらに、農業・農村が有する多面的機能を維持するための多面的機能支払と、

中山間地等の条件不利地域の農業を支援する中山間地域等直接支払を合わせ

て「日本型直接支払制度」を創設しています。

本市においては、平成 24 年度から開始された青年就農給付金等の新規就農者

支援策の効果もあり、年間の新規就農者数は 10 人を超えています。しかしな

がら、本市の農業従事者に占める 65 歳以上の高齢者の割合が 57.9%を占める

一方で、39 歳以下は 5.4%以下に過ぎないことから、今後も、新規就農者を安

定的に確保していくことが求められています。担い手への農地の集積について

は、中山間地域を抱えていることや、農業生産の多くを果樹が占めている等の

理由から全国平均を下回っています。今後、農業経営の効率化等の構造改革を

Page 24: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 23 -

一層進めていくためには、農地中間管理事業の活用等を進め一層の農地の集

積・集約を図るとともに、需要に応じた農産物の生産を振興し、農業所得の安

定的な確保を図っていく必要があります。

(2) FTA・EPAの進展と国際競争の激化

包括的な貿易交渉であるWTOドーハラウンドについては、平成 16 年に交

渉の大枠となる「枠組み合意」が成されたものの、その後、先進国と新興国の

対立により会合が決裂し、今後の行方が不透明なため、FTA・EPAへシフ

トしている状況にあります。平成 26 年現在、EPAについては、13 の国・地

域と締結し、貿易や経済連携を促進しています。

このような中、平成 25 年に閣議決定された「日本再興戦略」では、「グロー

バルな経済活動のベースとなる経済連携を推進し、貿易のFTA比率を現在の

19%から、2018 年までに 70%に高める」こととしており、TPP交渉やその

先のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)、FTAAP(アジア太平洋自

由貿易圏)等をにらんだ広域的連携にも積極的に取り組んでいくとしています。

FTA・EPA等の締結により、日本農業はさらなる海外との競争にさらさ

れることとなります。海外の大規模農業との生産条件の格差を埋めることは容

易ではありませんが、一方で、可能な限り規模拡大と生産コストの低減による

経営の効率化と高付加価値化を目指した取組を進めていく必要があります。ま

た、政府は 2020 年に農林水産物・食品の輸出額1兆円を目指して、日本食文

化と日本産農産物の輸出を一体的に展開していくFBI戦略※に取り組んで

います。本市としても農業のさらなる発展と所得の増大を図っていくため、こ

うした戦略にのっとり輸出の拡大を図っていく必要があります。

これまでの農林水産物等の輸出は、輸出国や輸出品目を問わず、輸出機会の

提供にとどまってきたため、輸出地域・時期の競合や、輸出国における国内輸

出事業者の競合が生じていました。これを踏まえ、オールジャパンの輸出促進

の司令塔として「輸出戦略実行員会」を設置し、これまでの取組の検証を踏ま

え、日本食文化の普及や輸出環境の整備に取り組んでいくこととしています。

本市においても、近年、台湾市場へのプロモーション活動をはじめとして東ア

ジア諸国への輸出に向けた取組を加速化しつつあることから、産地間、事業者

間の競合を避けるための調整を行いつつ、輸出の増大を図っていく必要があり

ます。

※FBI戦略:Made FROM japan、Made BY Japan、made IN japan の頭文字をとったもの。

(3) 低迷する食科自給率と食料情勢

世界の食料需給は、平成 12 年の 44.7 億トンから平成 62 年の 69.3 億トンま

で 1.6 倍に増加すると見通されています。このうち、先進国の増加は 11.6 億ト

Page 25: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 24 -

ンから 14.8 億トンの増加にとどまるものの、中間国※及び途上国は 33.1 億ト

ンから 54.5 億トンまで大幅に増加すると見込まれています。今後、世界人口の

増加、途上国の所得向上による畜産物等の需要増加、異常気象、水資源の制約

等により食料需給が逼迫することが懸念されています。

また、これまでの穀物生産は、収穫面積が横ばいで推移してきたものの、技

術革新等による単収の向上で増加してきましたが、今後は伸びが鈍化していく

ものと想定されています。また、地球温暖化、水資源の制約、土壌劣化等によ

る収穫減が懸念されるとともに、投機筋の投機による穀物価格の動向が不安要

素となっています。

こうした中、食料を安定的に供給し、緊急時における食料の安全保障を確保

するため、食料自給率の確保と食料自給力の維持・向上を図る必要があります。

我が国の食料自給率は、近年 40%前後で推移し、平成 24 年度は 39%となって

います。こうした中、平成 22 年3月に策定された「食料・農業・農村基本計

画」では、平成 32 年までに供給熱量ベースで食料自給率を 50%まで引き上げ

るとしています。中でも、食料自給率の向上を図っていくためには、30%に満

たない穀物自給率の向上が欠かせないことから、飼料用米やWCS※等の生産

振興を図るとともに、備蓄の確保、国内農林水産物・食品の消費拡大に向けた

取組を進めていく必要があります。

※中間国:一人当たり国民総所得(GNI)が 756~9,265 ドルの国

※WCS:実と茎葉を一体的に収穫し、乳酸菌発酵させ、飼料として家畜に給与する目的で栽

培する稲。

(4) 食の安全性や健全な食生活に対する関心の高まり

健康的で安全な食生活を送るためには、食品の生産プロセスにおける安全管

理を徹底し、食品の安全性を高めるとともに、消費者に対して的確な情報提供

を行い、消費者の信頼を確保することが不可欠です。

食品の安全性の確保に向けて、生産段階においては、農業生産工程管理(G

AP)の導入や、農場段階における衛生管理の充実・強化を図るための農場H

ACCP(危害分析・重要管理点)※の導入を促すとともに、食品の製造段階

におけるHACCPの導入を図り、食品事故の未然防止を図っていく必要があ

ります。

また、消費者の信頼確保に向けて、食品のトレーサビリティを徹底するとと

もに食品表示の適正化を図っていく必要があります。

食生活については社会経済構造や生活様式の変化に伴い、食の外部化、米の

消費量の減少、畜産物の消費の増加など、食生活が変化しています。その結果、

脂質の過剰摂取と野菜等の摂取不足といった栄養の偏り、食生活の乱れによる

肥満や生活習慣病等の問題が生じています。

Page 26: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 25 -

平成 25 年 12 月に「和食」がユネスコ無形文化遺産へ登録されることが決定

されました。「和食」は、米を中心とし、新鮮で多様な食材を使い、動物性油

脂の少ない、栄養バランスに優れた健康的な食生活を形成しており、ユネスコ

無形文化遺産への登録を契機として、生活習慣病の予防や健康増進のためにも、

その良さが見直されることが期待されています。

また、国では平成 23 年に策定した第二次食育推進基本計画に基づき、食に関

する理解を深め、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な

食生活を実践することができる人間を育てることを目標として掲げています。

本市においても、平成 23 年に策定した「天童市食育推進計画」で、市民一人

ひとりの体と心の健康増進・維持のために、食に興味を持ち、健全な食生活を

身につけることを基本理念に掲げ、食育を推進しています。

※HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Point の略。原料受け入れから最終製品まで

の各工程で、汚染、混入等の危害を予測(危害分析)したうえで、危害の防止につながる特に

重要な工程(重要管理点)を継続的に監視・記録する工程管理システム

(5) 農業・農村が有する多面的機能の維持・発揮

農村は、農業生産と生活の場であるだけでなく、国土や環境の保全、水資源

のかん養、豊かな自然環境や美しい農村景観、伝統文化の継承など、多面的な

機能を有しています。特に、水田は、地下水のかん養源となるとともに、大雨

時に雨水を一時的に貯留し、洪水の発生防止・軽減機能を担うなど、国土の保

全にとって重要な機能を担っています。

しかしながら、高齢化や他産業への流出によりこれまで農業・農村が有する

多面的機能の維持を担ってきた農家及び農業従事者が減少し、農業生産活動の

衰退はもとより、多面的機能の維持・発揮が危ぶまれており、その機能を将来

にわたって維持し、農業の持続的な発展につなげていくための対策が重要性を

増しています。そのため、農業生産の担い手を確保・育成し、支援を充実・強

化するとともに、地域で担い手を支える活動や体制の強化を図っていく必要が

あります。

また、中山間地域の農地は、河川の上流部において水源かん養機能、大雨時

の雨水貯留機能の多くを担っています。しかしながら、農業生産条件において

不利な地域があることから、平地部に比べ担い手が減少し、耕作放棄地が増加

しています。そのため、中山間地域等直接支払による取組を実施し、耕作放棄

地の防止や水路・農道の維持管理を図るとともに、農用地と一体となった周辺

林地の管理、景観作物の作付けなどを実施し、農地の保全を図っていく必要が

あります。

さらに、多面的機能の維持・発揮については、農業従事者以外の住民の理解

と協力が不可欠であることから、地域住民等の参画を得て、共同で行う取組が

Page 27: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 26 -

重要となってきます。

鳥獣害については、農業者の営農意欲を減退させ、耕作放棄地の増加の一因

となっていることから、有害鳥獣の計画的な捕獲や追払い等により鳥獣被害の

防止を図っていく必要があります。

(6) 農業生産基盤の整備・保全

良好な営農条件を備えた農地や農業生産基盤は、農業生産力を支える重要な

役割を担っています。

我が国の水田の整備状況は、30a以上の区画に整備済の水田が 156 万 ha で、

水田面積の約6割となっています。一方で、1ha 以上の大区画水田は約1割に

とどまっています。畑については、畑地面積全体の約7割において幅員3m以

上の末端農道が整備されています。

本市においては、1,500ha を超える水田で土地改良事業が施行され、30a区画

への整備が概ね完了しています。現在、更生堰地区の土地改良事業が施行中で

あり、今後は、生産能力の向上と経営の効率化を図るため、水田の大区画化を

進める必要があります。畑地においては、土地基盤整備事業が進められ、全体

の 48%が整備済となっています。農道は市及び土地改良区管理のものを合わせ

て 396km に達し、うち幅員4mの農道が約5割となっています。また、河川取

水施設ほかの用水施設の整備により、その灌漑面積は 3,853ha に達します。

これまでの農業生産基盤の整備により、本市の農業経営の条件は概ね良好な

ものとなっていますが、今後は、これらの施設の老朽化や防災・減災への対応

が課題となってきますので、予防保全型の管理を行い、機能の維持・向上を図

っていく必要があります。

Page 28: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 27 -

農業・農村の動向(平成 15 年以降)

年表 国 山形県 天童市

平成 15 年 ○やまがたこだわり安心米

推進運動(H15~H17)

○山形県水田農業活性化基

本方針の策定

○天童市農業基本計画の策定

平成 16 年 ○農政改革基本構想の策定

平成 17 年 ○食料・農業・農村基本計画の

変更

○食育基本法施行

○経営所得安定対策等大綱の

決定

○やまがた安全・安心取組

認証制度の開始

○県農業担い手支援センタ

ーの設置

平成 18 年 ○農業の担い手に対する経営

安定のための交付金の交付

に関する法律の制定

○山形県経営所得安定対策

等推進方針の策定

○やまがた総合発展計画の

策定

○農林水産業振興計画の見

直し

○新おいしい山形推進プラ

ンの策定

○山形セレクション認定制

度の開始

○夢未来やまがた食育計画

の策定

○第五次天童市総合計画後期

基本計画の策定

平成 19 年 ○品目横断的経営安定対策、農

地・水・環境保全向上対策の

本格実施

○米政策改革推進対策

○米緊急対策の実施、農政改革

の見直し

○山形県地産地消推進計画

の策定

○米価格の下落に伴う緊急

対策の実施

○㈶やまがた農業支援セン

ター設置

○天童市果樹産地構造改革計

画の策定

平成 20 年 ○21 世紀新農政 2008

○食料・農業・農村基本計画の

見直し

○本県独自の山形らしい農

業施策の展開

○天童農業振興地域整備計画

の見直し

○天童市地産地消推進計画の

策定

○天童市農業基本計画の見直

平成 21 年 ○水稲新品種の名称が「つ

や姫」に決定

○天童市果樹産地構造改革計

画の見直し

平成 22 年 ○新たな食料・農業・農村基本

計画の策定

○戸別所得補償モデル対策事

業の実施

○「つや姫」の本格デビュ

○山形県食育・地産地消推

進計画の策定

○山形県農業振興地域整備

基本方針の策定

○第六次天童市総合計画の策

平成 23 年 ○農業者戸別所得補償制度の

実施

○震災による福島第一原子力

発電所事故の発生

平成 24 年 ○人・農地プランのスタート ○新農林水産業元気再生戦

略の策定

○天童市果樹産地構造改革計

画の見直し

平成 25 年 ○経営所得安定対策の実施

○TPP交渉に正式参加

○やまがた6次産業化戦略

推進本部を設置

○第六次天童市総合計画後期

計画の策定

○天童農業振興地域整備計画

の見直し

平成 26 年 ○農地中間管理機構の創設

○経営所得安定対策・水田フル

活用と米政策の見直し

○日本型直接支払制度の創設

○農地中間管理機構に公益

財団法人山形農業支援セ

ンターを指定

○天童市農業基本計画の見直

Page 29: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 28 -

第3章 計画の目標

1 計画の基本目標

本市は、平成 22 年度にスタートした「第六次天童市総合計画」において、活力

ある農林業を展開していくため、未来創造重点プロジェクトの一つとして、「にぎ

わいある産業・交流活性化プロジェクト」を設定しています。そして、新しい時

代に対応した農林業の振興のための基本方針として、本市の持つ地理的、自然的

な条件を生かし、意欲のある担い手が、地域の他産業並みの所得と労働時間を確

保できるような営農体系と、魅力ある職業としての農業の確立を掲げています。

この基本方針に沿って、安全で安心な農産物を安定的に提供するために、担い

手や農業生産組織を核とし、地域住民の協働による集落機能の維持に向けた取組

を行っていくことが必要です。

また、農業・農村は、自然環境の保全や伝統文化の継承、防災機能など、公益

的で多面的な機能を有しています。これらは、市民が健康で安全に暮らしていく

うえで不可欠のものです。

農業行政を推進するに当たっては、市民、農業者・農業団体、事業者、行政の

役割分担を明確にし、協働で農業を振興していく活動を、まちづくりの一環とし

て展開していく必要があります。

本市は、自然的・社会的条件に恵まれ、計画的なまちづくりが進む中、農業、

工業、商業、観光など、各種の産業がバランスよく発展してきました。こうした

成果や立地条件を生かし、

「安全な農畜産物の安定的な生産と消費拡大」

「農業の担い手育成のための人づくり」

「農業・農村が有する多面的機能の維持向上」

「農業生産基盤の整備・管理と生活環境の整備」

「農業・農村の持つ役割に対する市民の理解の促進」

の五つを基本目標に、本市農業の振興を図っていきます。

Page 30: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 29 -

基本目標1 安全な農畜産物の安定的な生産と消費拡大

基本施策

1 地元産農畜産物の安全性の確保と消費拡大

2 水田農業経営の確立

3 適地適産の推進

4 環境保全型農業の確立

農業は、食料供給の面で重要な役割を担っていることから、その維持と発展を図

る必要があります。このため、主要な農畜産物ごとに、品質、コストなどの生産面

における課題を明らかにし、栽培条件や各地域の特色を踏まえて生産活動を展開し

ます。

米の需給及び価格の安定を図るため、米の需給の見通しを策定し生産調整を円滑

に推進します。このため、農業者・農業団体が行政と連携して生産調整目標の達成

に向けて取り組むとともに、水田を最大限に活用するため、主食用米の需要の拡大、

米粉や飼料用米等の新規需要米の利用拡大や消費拡大に取り組みます。また、麦・

大豆・飼料作物などへの転換と団地化を進めるとともに、果樹や野菜などの高収益

作物への誘導を図り、安定した水田農業経営を確立します。

農業生産面では、マーケットイン※を基本とし、優良品種の導入や高品質・安定

生産の促進、地元産農畜産物の高付加価値化を図るとともに、特産品の開発や加工

による天童ブランドの確立を図ります。特に、消費者の食の安全性に対する関心は

かつてないほど高まっていることから、地元産農畜産物の安全性の確保に万全を期

していきます。また、新たな需要を創出するため、広く消費者にピーアールを行い、

知名度の向上や競争力の強化に努め、販路の拡大を積極的に支援するとともに、地

球環境の保全に資するため、環境保全に効果の高い営農活動に取り組む農業者に対

して支援を行います。

※マーケットイン:消費者の需要に応じて農畜産物を生産・供給するという考え

基本目標2 農業の担い手育成のための人づくり

基本施策

1 新規就農者の支援

2 担い手の経営構造改善の支援

3 農村における男女共同参画社会の実現

4 高齢者の持つ知識・技術の伝承

将来にわたり地域農業を維持していくには、地域農業の将来を担う中心的な担い

手を確保・育成するとともに、集落営農の促進を通じて、望ましい農業構造の確立

を目指すことが重要です。今後とも持続的で力強い農業構造を実現するためには、

国全体で基幹的農業従事者が90万人程度必要と見込まれており、本市に当てはめ

ると、少なくとも600人程度必要となります。

今後の農業者の高齢化と農業従事者の減少傾向を踏まえ、新規就農の面では、農

家の子弟や農外から就農を希望する方に対して、青年就農給付金や青年等就農資金

Page 31: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 30 -

等の新規就農支援に関する情報提供・相談を行い、その積極的な活用を支援すると

ともに、関係機関と連携し、生産技術や農業経営に関する相談・指導を行い、新規

就農者を確保・育成します。また、法人経営を含めた多様な形態の担い手を育成す

るとともに、担い手が安定した経営が展開できるよう、施策を担い手へ集中すると

ともに、生産技術の向上を図ります。

農業を取り巻く環境が急激に変化する中、農業経営を安定させるには、生産技術

のほかに、環境の変化に対応できる経営能力が求められています。このため、家計

と農業経営の分離を進めるとともに、複式簿記の導入などにより、経営管理能力の

向上を図ります。それとともに、経営の透明性の向上や、金融機関や取引先などに

対する信用力の向上という観点から、農業経営の法人化を促進します。

また、先端技術の活用等による高付加価値化やインターネットにおける販売活動

などの多様な経営戦略により、効率的な農業経営の確立を図ります。

女性農業者への支援として、「家族経営協定」の締結を通じて女性の経営参画を促

すとともに、地域社会への参画や各種団体等での登用を促進し、女性農業者の活躍

しやすい環境づくりを進めます。

高齢農業者が長年農業に携わることで培ってきた知識や技術を継承するため、農

業に関する交流活動を実践するとともに、農業後継者や第三者に対して円滑に経営

移譲できるよう支援します。

基本目標3 農業・農村が有する多面的機能の維持向上

基本施策 1 農業・農村が有する多面的機能の維持向上

2 中山間地域の農業の活性化

農業・農村は、農産物の生産機能に加え、洪水防止や水資源かん養、大気の浄化

などの自然・国土保全機能のほか、自然学習やレクリエーション空間としての機能、

さらには農村景観の提供や農村文化の継承など多面的な機能を有しています。これ

らは、市民の生活と生命を守るという重要な役割を担っており、将来にわたって維

持していく必要があります。しかし、農地が荒廃し、生産機能や国土保全機能が失

われた場合、それを元に戻すことは容易ではなく、社会的、経済的に大きな損失と

なります。このため、これらの多面的機能が市民に正しく理解され、適正に評価さ

れるよう、国の多面的機能支払交付金事業等に取り組み、情報提供や普及活動を展

開します。

また、農業・農村には、長い間培われた有形・無形の文化財や豊かな自然が残さ

れています。農村特有の景観や社会・文化などに触れることによって、農業・農村

の持つ役割や自然環境の大切さなどについての理解が深められます。このため、農

村への交流人口を増やし、農業・農村の持つ多面的機能への理解を促進し、その維

持向上を図ります。

中山間地域の農地は傾斜地が多いなど、平野部に比べて農業生産条件が不利であ

Page 32: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 31 -

るため、過疎化や高齢化が進行し、耕作放棄地なども多くなっています。こうした

耕作放棄地の増加は、農業生産の停滞だけでなく、農業・農村の持つ多面的機能の

低下を招くものであり、市民生活の安定に大きな損失をもたらすことが懸念されて

います。

このため、中山間地域の特性にあった作物の導入や地域特産物の生産を促進する

一方、地域の実態に応じた共同の取組を支援し、中山間地域の活性化を図ります。

近年、特に中山間地における農産物の鳥獣害が深刻化しているため、計画的な対

策に取り組みます。

基本目標4 農業生産基盤の整備・管理と生活環境の整備

基本施策

1 担い手への農地集積、農地の保全、遊休農地の発生防止と

解消、農業生産基盤の整備

2 農村の生活環境の向上

農業労働力の高齢化や今後の就業動向を考慮し、担い手へ農地の集積を図るため、

農地中間管理事業を活用した利用権設定や農作業の受委託を促進し、効率的で安定

的な農業経営を確立していきます。

農業生産にとって最も基礎的な資源である農地を、良好な状態で集合確保するこ

とが求められています。しかし、農業従事者の高齢化や土地持ち非農家の増加等に

より今後とも遊休農地の増加が見込まれることから、平成26年度から新たに始ま

った農地中間管理事業の活用や地域における人・農地プランの話し合いをもとに、

担い手への農地の集積・集約を進めるとともに、遊休農地の発生防止と解消を図り

ます。また、計画的な土地利用のもと、農地の保全とその有効利用に努めます。

農業生産基盤の面では、系統立てた計画のもとに農道整備を進め、農作物の品質

向上と農作業の効率化を図ります。水田については、ほ場の条件整備などを促進し、

経営規模の拡大と生産性の向上を図ります。畑地については、小規模な状態を解消

するため、畑の団地化や、かんがい施設の整備などを促進します。特に、国土保全

や環境維持などの公益的機能を持つ土地改良事業については、自然の生態系や環境

保全に配慮して促進します。なお、農業水利施設をはじめとした農業生産基盤は、

その多くが戦後から高度成長期に整備されたもので、現在、急速に老朽化が進行し

ているため、予防保全型の管理と計画的な修繕・更新を促進します。

また、生産の効率化と品質の向上を図ることによって、商品としての価値を高め

て有利販売を促進するため、果樹の集出荷貯蔵施設などの既存施設の利活用を図り

ます。

農村部は人口が漸減していることから、計画的な土地利用のもと、生産基盤と生

活環境が一体となった総合的な農村の整備を推進し、住みよい農村環境を創造する

ことで、定住人口の増加を促進し、地域の活力を維持・発展させます。

Page 33: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 32 -

基本目標5 農業、農村の持つ役割に対する市民の理解の促進

基本施策

1 農業・農村に対する市民の理解の促進、食農教育の推進、

消費者と生産者の交流の促進

2 地産地消の推進

3 観光農業のネットワークの形成、体験農業の促進

食の安全性への関心が高まる中、消費者の視点に立った施策の展開が必要になっ

ています。食の安全と安心を確保するため、農畜産物の安全性や品質の向上を図る

とともに、消費者に対して農畜産物の生産状況や食生活についての情報を積極的に

提供し、農畜産物に対する信頼の確保に努めます。また、消費者と生産者との交流

の場を設け、食料や農業・農村に関して、正しい理解を得られるよう啓発するとと

もに、小・中学校における農業体験学習の取組などを促進します。さらに、日本型

食生活の普及や食生活の見直し、改善に関する運動を展開するとともに、食や農に

関する教育を積極的に推進します。

地産地消を推進するため、生産者においては、消費者ニーズや需給動向を的確に

把握するとともに、作物等の特性を研究し、本市の地理的、経済的及び社会的条件

に合ったものを生産する取組を促進します。消費者に対しては、本市で生産された

安全な農畜産物を率先して消費するよう理解を求めます。また、農畜産物の加工や

販売などの食品産業は、食料供給に重要な役割を果たしていることから、食品産業

等と農業との連携を強化し、地元産農畜産物に対する加工、販売、業務用需要を喚

起することによって、地元産農畜産物が地元でより多く流通、消費されるよう努め

ます。

観光農業の面では、果実のもぎとりや農業体験などをより一層推進するとともに、

県内でも有数の生産を誇る果樹園を核に、市内の豊富な観光資源とのネットワーク

を形成するとともに、交通の要衝にあるという利点を生かして観光誘客の増加に結

び付けます。

農業体験の面では、市民に農業の大切さを知ってもらうとともに、農地の多面的

な利用を図るという観点から、体験農園の普及を図っていきます。また、都市住民

にゆとりと安らぎを提供し、農業・農村への理解を促進するため、グリーン・ツー

リズムなどにより都市と農村との交流を促進します。

Page 34: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 33 -

2 主要指標

(1) 農業の担い手育成の指標

ア 農家戸数・農業就業人口 単位:戸、人、%

項 目 計画改定時

(平成17年)

現状

(平成22年)

指標

(平成27年)

指標

(平成33年)

年平均

増減率

農家戸数 2,904 2,730 2,500 2,200 △1.8

農業就業人口 4,614 3,750 3,100 2,650 △2.7

イ 担い手農家数 単位:戸、%

項 目 計画改定時

(平成17年)

現状

(平成22年)

指標

(平成27年)

指標

(平成33年)

年平均

増減率

主業農家数 684 659 640 630 △0.4

認定農家数 267 266 270 270 0.1

※ 主業農家 農業所得が半分以上を占め、65 歳未満の農業従事者のいる農家

(2) 土地利用の指標

農用地面積 単位:ha、%

項 目 計画改定時

(平成20年)

現状

(平成24年)

指標

(平成27年)

指標

(平成33年)

年平均

増減率

田 1,883 1,871 1,862 1,844 △0.1

畑 396 368 348 309 △1.5

樹園地 1,802 1,800 1,799 1,796 △0.0

計 4,081 4,039 4,009 3,949 △0.2

(3) 農業生産の指標

販売金額が1千万円以上の農家数(販売農家) 単位:戸、%

項 目 計画改定時

(平成17年)

現状

(平成22年)

指標

(平成27年)

指標

(平成33年)

年平均

増減率

販売農家数 270 140 168 200 3.9

Page 35: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 34 -

第4章 施策の展開

1 基幹プログラム

本計画の推進に当たっては、特に重点的に取り組む施策として、次の7項目を

基幹プログラムとして位置付け、施策の展開を図ります。これらの基幹プログラ

ムについては、本市独自に施策の展開を図るとともに、国や県との連携を図りな

がら重点的に推進します。

(1) 農畜産物の安全性の確保

食の安全に対する信頼が大きく揺らいでいる中、農畜産物の安全性の確保に最

大限に努力するとともに、消費者と生産者との「顔の見える関係」を確立します。

本市の農畜産物に対してさらなる信頼感が得られるよう、残留農薬の規制強化

制度(ポジティブリスト制度)の遵守や、農産物の履歴情報を提供できる仕組み

(トレーサビリティシステム)等を活用し、地元産農畜産物の安定的な生産と供

給を促進します。

(2) 米の消費拡大

米の消費量の減少、畜産物・油脂類の消費量の増加等により栄養バランスがく

ずれていることを踏まえ、食育の一環として、ごはん食に関する正しい知識の普

及を図り、米を中心とする食生活を促進します。

また、食料自給率の向上のために、飼料用米やWCS用稲(稲発酵粗飼料用稲)

の作付面積の拡大を図り、輸入飼料の動向に左右されにくい自給飼料に立脚した

畜産につなげていくとともに、米粉用としての新規需要米の作付けを拡大し、米

粉を活用したパン・麺などの消費拡大を図ります。

(3) 天童ブランドの確立と消費拡大策の推進

果樹6品目(さくらんぼ・りんご・西洋なし・もも・ぶどう・すもも)、ねぎ、

天童牛など、本市の将来の基幹作物となる作目・畜産物の生産を振興します。ま

た、本市の特産となっている作物については、高品質で安定的な生産をより一層

進め、天童ブランドとして確立します。また、国内はもとより海外市場への消費

拡大を図るため、トップセールスを含めて積極的なプロモーション活動を展開し

ます。また、連携協定を締結している明治大学との交流やふるさと納税制度のお

返しとして地元農畜産物を活用することで、日本全国の消費者に本市の農畜産物

をお届けし、知名度向上と消費の拡大を図っていきます。

(4) 農地の集積と経営効率化の促進

農業従事者の高齢化や耕作放棄地の増加などの課題を解決し、農業を足腰の強

い産業としていくため、規模拡大等を通じてより一層、経営の効率化を図ってい

く必要があります。

そのため、新たに創設された農地中間管理事業等を活用し、担い手に対し農地

の集積を進めるとともに、地域内に分散している農地を集約化し、農業の構造改

革と生産コストの削減を促進します。

Page 36: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 35 -

(5) 耕作放棄地の防止と解消の推進

遊休農地解消対策として、各地区の農業委員を中心に遊休農地実態調査を行い、

遊休農地解消対策を実施しています。高齢化などにより今後も遊休農地の増加が

見込まれますが、農地中間管理事業等を活用した担い手への集積や農作業受委託

を進め、遊休農地の発生防止と解消を図ります。

(6) 認定農家などの担い手の育成

本市の農業生産基盤を維持し、各地域で中心的な役割を担う、経営感覚と実践

力に優れた担い手の育成を図ります。このため、農業施策を認定農家などの担い

手や人・農地プランの中心となる経営体に集中し、支援策を充実します。

特に、これらの経営体が農地の集積や作物転換、新規部門への参入などに取り

組む場合、各種支援策についての情報提供を行うとともに、融資制度の活用など

を支援します。また、地域農業の核となる生産組織や農業法人、集落営農組織の

育成を図ります。

(7) 地産地消の推進

天童市地産地消推進計画に基づき、本市で生産される新鮮で安全な農畜産物を、

市民が安心して購入できる地産地消システムを構築します。そのために、市民が

身近に生産者と直接ふれあい、地元産農畜産物を購入することのできる機会を創

出し、生産者と消費者の「顔の見える関係」を築いていきます。

また、旅館・ホテルや飲食店などで、地元産農畜産物の導入を進め、食品加工

での活用を図ります。

さらに、地元産農畜産物の安定的な生産・供給体制を整え、市内の食品系スー

パーマーケットとの連携を強化することで、地元産農畜産物の取扱量と消費の拡

大を図ります。

Page 37: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 36 -

2 施策の体系

基本目標 基本施策 個別施策

1 安全な農畜産物の

安定的な生産と消費

拡大

1-1 地元産農畜産物

の安全性の確保と消費

拡大

①安全で安心な農畜産物の生産及び消費拡大

②消費者への積極的な情報の提供

③販売戦略の確立

1-2 水田農業経営の

確立

①水田の高度利用の促進

②水田農業の担い手の確保・育成

③転作作物の需要の確保と米の消費拡大

1-3 適地適産の推進 ①作目再編と総合産地化の推進

②稲作の振興

③果樹の振興

④野菜・花きなどの振興

⑤畜産の振興

1-4 環境保全型農業

の確立

①環境保全型農業のシステム構築

②環境負荷の低減と認証制度への積極的な取組

③環境保全に配慮した事業の展開

2 農業の担い手育成

のための人づくり

2-1 新規就農者の支

①新規就農者の確保

②就農支援策の充実

③Uターン、Iターン者等への支援

2-2 担い手の経営構

造改善の支援

①担い手の確保・育成

②地域の特性に応じた集落営農システムの確立

2-3 農村における男

女共同参画社会の実現

①男女共同参画意識の高揚

②起業活動などへの支援

2-4 高齢者の持つ知

識・技術の伝承

①優れた知識・技術の継承

②高齢者の生きがい対策

③高齢者の農作業事故防止

3 農業・農村が有する

多面的機能の維持向

3-1 農業・農村が有

する多面的機能の維持

向上

①農業・農村が有する多面的機能に対する理解の促進

②農業・農村が有する多面的機能の維持向上

③持続的な農業生産活動に対する支援

3-2 中山間地域農業

の活性化

①農業生産の振興

②魅力ある地域づくりの推進

③中山間地域への理解の促進

④鳥獣被害への対応

4 農業生産基盤の整

備・管理と生活環境の

整備

4-1 担い手への農地

集積、農地の保全、遊

休農地の発生防止と解

消、農業生産基盤の整

①担い手への農地の集積

②農地の保全と有効利用

③農業生産基盤の整備と管理

4-2 農村の生活環境

の向上

①潤いのある生活環境の整備

②農村集落の維持・発展

5 農業・農村の持つ役

割に対する市民の理

解の促進

5-1 農業・農村に対

する市民の理解の促

進、食農教育の推進、

消費者と生産者との交

流の促進

①農業・農村に対する市民の理解の促進

②食農教育の推進

③消費者と生産者等の交流の促進

5-2 地産地消の推進 ①消費者と生産者の相互理解の促進

②地元産農畜産物に関する情報提供

③農産物直売所の運営の支援

④学校給食における地産地消の推進

⑤食品産業等との連携の強化

5-3 観光農業のネッ

トワークの形成、体験

農業の促進

①観光農業のネットワークの形成

②体験農業の促進

③観光農業情報の提供

④相互交流都市等との交流の強化

Page 38: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 37 -

3 施策の展開

基本目標1 安全な農畜産物の安定的な生産と消費拡大

施策1-1 地元産農畜産物の安全性の確保と消費拡大

○ 現状と課題

食料は、生命を維持し、健康な生活を送るうえで最も基本となるものです。しか

し、食品の産地や消費期限の偽装、食品への農薬混入など、食品をめぐる重大な事

件が相次いで発生し、消費者の食の安全に対する信頼は大きく揺らいでいます。こ

のため、農畜産物の安全性の確保に最大限に努力するとともに、消費者と生産者と

の「顔の見える関係」を確立するなど、消費者の安全を最優先に考えた施策を展開

していく必要があります。

本市では、安全で安心な農畜産物の生産のため、特別栽培や各種認証制度の取得

などの取組が実践されています。今後、本市の農畜産物に対してさらなる信頼が得

られるよう、残留農薬の規制強化制度(ポジティブリスト制度)の遵守や、農産物

の履歴情報を提供できる仕組み(トレーサビリティシステム)の導入などを活用し、

消費者が新鮮で安全・安心な農産物による食生活を楽しむことができるよう、地元

産農畜産物の安定的な生産と供給を促進することが必要です。

また、輸入農産物の増加と、激化する産地間競争に対応するため、食品製造業や

観光・物産関係者との連携を深め、農畜産物の付加価値を高めるとともに、インタ

ーネットの活用や海外マーケットへの積極的なプロモーションなどを行い、販路の

拡大を図るなど、総合的な販売戦略を展開していく必要があります。さらに、農産

物の高付加価値化による生産額の増大を図るため、農商工連携による六次産業化に

取り組むことが必要です。

施策の展開

① 安全で安心な農畜産物の生産及び消費拡大

ア 農薬の適正使用と残留農薬の規制強化制度(ポジティブリスト制度)の遵守

を徹底します。

イ 農産物の生産履歴を明らかにするための記帳活動を促進するとともに、農産

物の生産や流通に関する履歴情報を提供できる仕組み(トレーサビリティシス

テム)の導入を促進します。

ウ 有機農産物やその加工品に関する日本農林規格である有機農産物等検査認

証制度の活用を支援します。

エ 農薬の節減や化学肥料の使用量を抑えた特別栽培農産物の栽培技術講習会

等の開催を支援します。

オ 化学農薬の使用低減や有機肥料の導入などにより、安全な農産物生産の基盤

Page 39: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 38 -

となる土づくりを促進します。

カ 消費者の安全志向に対応するため、「持続性の高い農業生産方式の導入計画」

を知事が認定する農業者(エコファーマー)など、各種認証制度の取得を支援

します。

② 消費者への積極的な情報の提供

ア 農畜産物の成育状況など、生産から消費に至る各段階での情報を積極的に提

供し、消費者が情報を入手しやすい環境を整備します。

イ 本市の優れた生産環境や食味の優位性・安全性、伝統的で多彩な農村文化や

食文化などを消費者に発信します。

ウ 生産と消費が直結した食生活を実現するため、消費者と生産者との間の「顔

の見える関係」の確立を図ります。

③ 販売戦略の確立

ア 産地の情報を積極的に提供し、農畜産物の有利販売につなげます。

イ 消費動向を生産現場へ提供することにより、生産者などのマーケティング活

動の活性化を促進します。

ウ 生産者と消費者、市場関係者、食品産業関係者などとの情報交換や交流活動

を支援します。

エ 観光や商業部門との連携や各種イベントなどを通して、情報の発信と販路の

拡大を図ります。

オ インターネットを活用した通信販売など、消費者と生産者との多様な結びつ

きによる流通の効率化と農畜産物の多様な販売を支援します。

カ 食料品加工向け地元産農畜産物の安定供給を促進します。

キ 農業を核とした商工連携を図り、新たな需要を創出します。

ク 首都圏及び近畿圏等の大消費地へのトップセールスを実施し、地元産農畜産

物の消費拡大を目指します。また、台湾へのプロモーション活動などを行い、

東アジア圏への輸出拡大を目指します。

ケ ふるさと納税のお返しを活用して、日本全国の消費者に本市の農畜産物をお

届けし、その知名度向上と消費の拡大を図ります。

コ 農商工連携を強化してアイデアのマッチングを図り、消費者ニーズに合った

商品の開発を促進するとともに、地域の農産物を地域で加工・商品化して売り

出す「地域版6次産業化」を促進します。

施策1-2 水田農業経営の確立

○ 現状と課題

本市は良質米の主産地であり、これまで稲作経営の安定を図るとともに、転作作

物の定着・拡大を目的として、米の生産調整対策が積み重ねられてきました。果樹

や野菜、花きなどの収益性の高い作物への転換を推進し、麦や大豆、飼料作物など

Page 40: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 39 -

の生産振興と団地化に取り組んできた結果、水田の面積が減少する中、樹園地等の

園芸作物の面積が増大し、転作の定着が図られてきています。

食生活の変化によって、主食用米の消費量は長期的には一貫して減少傾向にあり、

昭和 37 年度に一人当たり年間 118kg であったものが、平成 24 年度には 56kg と半減

しています。米の消費量の減少や消費者の低価格米志向の高まりなどから、米の価

格は長期的には下落傾向にあり、平成8年産米の入札平均価格は 20,751 円であった

ものが、平成 23 年産米では 1 万 5,215 円と、26%低下しています。このような厳し

い状況を反映して、水田農業の担い手は減少し、生産構造も年々弱体化してきてい

ます。

こうした米の需給の不均衡など、米を取り巻く環境の変化に対し、国では、従来

の経営所得安定対策(旧戸別所得補償)が構造改革にそぐわない面があったため、

米の直接支払交付金や米価変動補填交付金については、工程を明らかにしたうえで

廃止することとしています。

さらに、主食用米偏重から、麦、大豆、加工用米、飼料用米などの需要のある作

物の生産を振興し、意欲ある農業者が自らの経営判断で作物を選択することができ

るようにするとし、最終的には生産調整を含む米政策を、行政による生産数量目標

に頼らなくとも、需要に応じた主食用米生産が行われるような環境整備を進めると

しています。

また、「日本再興戦略」(平成25年6月閣議決定)では、今後 10 年間で全農地面

積の8割を担い手に集積し、担い手の生産コストを現状の全国平均(1万6千円

/60kg)から4割削減することとし、具体的な推進策として平成 26 年度から農地中

間管理機構が創設されています。

本市でも、こうした動きに適切に対応し、本市の水田農業の振興を図るため、担

い手の育成や担い手への農地の集積・集約化、作期の分散、直播栽培等の省力化技

術の導入などを図り、一層の経営規模の拡大と効率化を進めるとともに、農業者・

農業団体が主体となった米の需給調整の仕組みを確立し、需給の動向に対応した品

質・価格の米の生産を進める必要があります。そして、水田の高度利用による米以

外の作物の産地づくりを促進し、収益性の向上を基本とした転作作物の導入など、

本市の特性を生かした水田農業を再構築していくことが求められています。

施策の展開

① 水田の高度利用の促進

ア 生産性の高い水田農業を確立するため、適地適産を基本として、「つや姫」

などの高品質・良食味米の計画的な生産を進めます。

イ 本市の生産環境に適合する果樹や野菜などの収益性の高い作物への転換を

中・長期的な観点で促進し、転作の定着化を図ります。

ウ 国の経営所得安定対策における水田活用の直接支払交付金、水田フル活用ビ

Page 41: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 40 -

ジョンに基づく産地交付金等を活用し、加工用米、飼料用米、WCS用稲の新

規需要米、麦、大豆などの土地利用型作物の導入と生産性向上を図るとともに、

野菜、そば、なたね等の地域振興作物の生産を支援します。

エ 転作作物の団地化を進め、品質の向上と作業の効率化を図ります。

オ 麦、大豆などの定着化を図るため、水田畑地化の条件整備を促進します。

カ 水田農業経営のさらなる効率化を図るため、規模拡大や省力化のための農業

機械の導入・更新を支援するとともに、作期の分散による作業の平準化、直播

栽培等の省力化技術の導入を促進します。

② 水田農業の担い手の確保・育成

ア 水田農業経営の根幹となる意欲ある担い手を確保・育成するため、新規就

農・経営継承総合支援等の活用を支援します。

イ 農業生産組織や作業受託組織など、集落営農に重要な役割を果たす組織や団

体を育成します。

ウ 人・農地プランの話し合いに基づき、地域の将来の農業経営を担う中心経営

体への農地の集積を図ります。

エ 急激な米価下落などに対応できる水田農業の強化を図るため、米・畑作物の

収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)への加入を促進します。

③ 転作作物の需要の確保と米の消費拡大

ア 野菜などの園芸作物の作付けを増やすことによって、生産量を安定的に確保

し、産地の形成を促進します。

イ 転作作物の安定的な生産を図るため、地産地消を推進し、需要の拡大を図り

ます。

ウ 米を主食とする日本型食生活の良さを広く理解してもらうことにより、米の

消費拡大を図ります。

エ 米を原料とする米粉パン・麺などの加工品での活用や、お菓子・冷凍食品な

どの主食用以外の新分野での需要拡大を促進し、米の消費量を増やします。

施策1-3 適地適産の推進

○ 現状と課題

消費者の健康・安全志向の高まりや食生活と生活様式の多様化により、食品の嗜

好が多様化しています。このため、地域の特性や気象条件、立地条件、社会的条件

に最も適した農作物を栽培する適地適産を基本として、品質の良い様々な農畜産物

が組み合わされた総合産地化を促進する必要があります。

本市は、恵まれた条件を生かして農畜産物の生産振興を図り、産地化を推進して

きたことで、県内でも有数の農業生産地域として大きな役割を果たしてきました。

しかし、消費者の嗜好の変化や激化する産地間競争に対応するためには、安全性の

確保を基本として、マーケットインの発想に基づき、優良品種の導入や高品質・安

Page 42: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 41 -

定生産、共選・共販体制を促進し、農畜産物の高付加価値化を図るとともに、特産

品の開発や加工による「天童ブランド」を確立する必要があります。そして、新た

な需要を創出するため広く消費者に宣伝し、「天童ブランド」の知名度の向上を図る

とともに、競争力を高めることが求められています。

米については、家庭では食味や安全性を重視する傾向が高まっていますが、中食・

外食では、メニューに応じた一定の品質で値ごろ感のある価格のものが求められて

います。このため、有機肥料などによる土づくりに立脚した生産を進めるとともに、

本市の特性を十分踏まえ、適地適品種の導入による高品質、良食味米の生産を推進

するとともに、需要の高まりを見せる中食・外食に対応した生産を進める必要があ

ります。また、飼料米等の新規需要米についても、優良品種の作付けを促進すると

ともに、TMR(完全混合飼料)供給体制の構築により、濃厚飼料の利用削減と粗

飼料の利用拡大を図っていく必要があります。それとともに、農地中間管理事業等

の活用による農地の集積・集約化や、機械・施設の効率的利用による作業受委託を

促進し、高品位米の生産費用の低減を図り、効率的で安定した稲作経営を実現する

必要があります。

果樹については、平成 24 年 3 月に改定した「天童市果樹産地構造改革計画」に基

づき、果樹の主産地としての地位の向上、果樹農家の経営の安定と向上を図るため、

品質向上と安定生産の推進をはじめとした「天童いきいき果樹大作戦 5つの戦略」

を設定し、安全・安心・品質本位の果樹産地づくりに取り組んでいます。今後は、

本市の気象条件・地理的条件などを考慮し、老朽園地の改植を促進するとともに、

消費動向を的確に判断しながら、中・長期的に本市に適した奨励すべき樹種の統一

や有望品種の導入を促進し、生産を振興していく必要があります。

野菜については、積極的な生産団地化と組織化による計画生産や出荷体制づくり

を促進していますが、産地としての確立を図るため、品目選定とその栽培面積の拡

大が課題になっています。また、多様化する野菜の需要に対応した生産体制の確立

や施設栽培の導入による安定生産、畜産農家と連携した資源循環型農業と付加価値

づくりを進めていますが、共販体制の構築が課題となっています。

花きについては、地域の条件に適した品目や優良品種の導入、施設栽培を促進す

るほか、栽培技術の向上や生産出荷組織の育成・強化を図り、産地づくりを進めて

います。

畜産については、租飼料の生産基盤の確立や機械・施設の効率的利用を進めるた

め、生産者組織の充実や中核となる畜産農家の育成を図っています。また、生命工

学(バイオテクノロジー)を活用した先端技術の導入などにより、畜産経営の費用

低減と品質向上を図り、経営能力に優れた経営体を育成しています。さらに、畜産

経営から発生する家畜排せつ物を利用した良質な堆肥作りを実践し、耕種農家と連

携した土づくりを促進する必要があります。

施策の展開

Page 43: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 42 -

① 作目再編と総合産地化の推進

ア 本市の特性に合った果樹6品目(さくらんぼ・りんご・西洋なし・もも・ぶ

どう・すもも)、ねぎ、天童牛など、将来の基幹作物となる奨励品種の生産を

振興し、中長期的に作目の再編を図ります。

イ 米、果樹、野菜、畜産などを組み合わせ、競争力の強化を進めます。

ウ バイオテクノロジーなどを活用した、新技術の導入を促進します。

エ 本市特産の作物については、生産者や食品事業者等と連携して、より一層の

生産の拡大と品質の向上を図り、天童ブランドとしての確立を図ります。

オ 天童ブランドについては、季節感や新鮮さを前面に出し、「旬」を生かした

生産販売活動を展開します。

カ 多様化する消費者ニーズに対応できる安定した生産体制を確立します。

キ 産地間競争と国際化に対応できる競争力の高い農業生産を推進します。

ク 降霜、降雹、台風などの自然災害や、異常気象による影響に対応し、災害防

止施設の整備やハウスなどを用いた施設栽培を促進し、高品質な作物の安定生

産を促進します。

ケ 肥料価格変動に対応するため、適正な施肥管理を行うための土壌診断を促進

します。

② 稲作の振興

ア 消費者に信頼される産地を確立するため、土壌や気象条件にあった品種の作

付けと栽培管理を徹底し、「つや姫」などの品質の高い米の生産を推進します。

イ 国の水田活用の直接支払交付金や産地交付金を活用し、加工用米・飼料用米

等の新規需要米の栽培を促進します。

ウ 平坦地域では、担い手への集積・集約化やほ場の整備、機械化を促進し、良

食味米の低コスト生産による産地化を図ります。

エ 中山間地域では、地域の特性に応じた米づくりを進めるとともに、他作物へ

の再編を促します。

オ 研究・指導機関との連携を強化し、直播栽培技術や酒米栽培の確立と普及に

努めます。

カ 稲作経営の効率化を図るため、ライスセンターなどの共同利用施設の利用促

進や機械化一貫体系の導入を支援します。

キ 消費者の安全、安心志向などに対応するため、畜産農家との連携による有機

堆肥の利用を推進するとともに、低農薬・低化学肥料の特別栽培米の栽培を促

進します。

ク 多様化する消費者ニーズや業務用の需要に対応した米の生産・出荷を促進し

ます。

③ 果樹の振興

ア りんごについては、品種の偏りを解消し、早生、中生、晩生品種ごとに重点

Page 44: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 43 -

推進品目を設定して改植を進め、長期安定出荷体制の確立を図ります。

イ 西洋なしについては、天童ブランドの「スーパーラ・フランス」を中心に、

優良な早生種を導入するなど、出荷期間の拡大と良食味果実の安定生産を図り

ます。

ウ さくらんぼについては、早生種、晩生種の導入を進め、出荷期間の拡大を図

ります。また、労働力を分散し、自然災害や異常気象による減収を防ぐため、

ハウス栽培を促進するとともに結実確保対策を実施し、産地の確立を図り、市

場の評価を高めます。

エ ぶどうについては、大粒の有望品種等への改植と施設栽培を促進し、高品質

で安定的な生産と有利販売を図ります。

オ ももについては、遅場産地としての特性を利用して、中生種や晩生・極晩生

種を組み合わせることで出荷期間を拡大し、継続出荷ができる体制を確立しま

す。

カ すももについては、有望品種の導入と作付けの拡大に取り組み、農業所得の

向上を図ります。

キ 多様な果樹が混在する作付状況を解消し、樹種ごとの団地化を図ります。

ク 地域特性を生かし、特色のある加工業との連携を図ることによって、多様な

流通・販売を支援します。

④ 野菜・花きなどの振興

ア 栽培面積を拡大するため、水田への作付けの誘導と団地化を図り、安定した

生産量を確保します。

イ ねぎなどの本市の特性に合った品目の栽培を促進し、販路の拡大を支援しま

す。

ウ 気象の変化に左右されにくい施設栽培を促進し、収益性の高い生産を推進し

ます。

エ 啓翁桜などの枝物花木の導入により、周年栽培体系の普及を推進します。

オ 産地銘柄を確立するため、共販意識の高揚と出荷体制づくりを支援します。

カ 旬の地場野菜を地元で消費できるよう、市内での消費拡大を図ります。

⑤ 畜産の振興

ア 乳用牛については、高能力牛の導入や受精卵移植により、生産乳量の向上を

図るとともに、効率的な機械・施設の利用の促進による生産体制の改善を支援

します。

イ 肉用牛については、酪農家と連携した受精卵移植などにより、優秀な素牛の

確保と高品質肉の生産を支援し、天童ブランドの確立を図ります。

ウ 草地や水田を活用した自給飼料の確保や飼養技術の改善により、コストの低

減と経営改善を促進します。

エ 耕種農家と連携し、家畜排せつ物の堆肥化と農地への還元を促進します。

Page 45: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 44 -

施策1-4 環境保全型農業の確立

○ 現状と課題

農業は、食料供給機能のほか、水源かん養、治山治水、生態系や景観の保全等の

多面的な機能を有しています。このような機能が将来にわたって発揮されるために

は、農道や水路等を適切に保全管理するとともに、化学肥料や化学農薬の使用を抑

制し、環境負荷を低減する必要があります。

現在、有機農産物や特別栽培農産物に対する消費者のニーズが高まっており、生

産者に対しては、耕畜連携による家畜の堆肥を利用した土づくりや、エコファーマ

ーの認定などを促す必要があります。消費者に対しては、減農薬栽培や減化学肥料

栽培の実践による生産者の負担増加と、それを受けた適正価格に対する理解を求め

ていく必要があります。

本市では、天童市農業用使用済プラスチック適正処理推進協議会を設置し、施設

園芸などから出される使用済ビニールなどの適正処理を進め、排出量の抑制とリサ

イクルに取り組み、環境負荷の低減を図っています。

家畜排せつ物については、臭気や水質汚濁などの問題が懸念されるため、「家畜排

せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に基づく処理を進めています。

平成 24 年 3 月に策定された「第二次天童市環境基本計画」では、畜産ふん尿の堆肥

化の推進及び農家での堆肥使用の推進を掲げています。畜産ふん尿の堆肥化につい

ては、堆肥舎等の整備を進め、畜産ふん尿を有用資源とした優良堆肥の生産の取組

を促進するとともに、農家の堆肥使用については、減農薬・減化学肥料栽培に取り

組む特別栽培農産物や、持続性の高い農業生産を推進するエコファーマーの認定を

受け、堆肥などの有機肥料を使用した土づくりを推進し、資源循環型農業を展開し

ていきます。

また、環境保全型農業にとって自然との共生も重要な課題です。農業と自然との

共生により維持されてきた良好な自然環境を保全し、後世に伝えるため、遊休農地

の解消と発生防止、多様な生態系の基盤、貯水池機能、農村景観などの農地の持つ

環境保全機能の維持・向上を図るとともに、農業生産基盤や農村の生活環境整備に

当たっては、環境との調和に配慮した整備に努めていく必要があります。

施策の展開

① 環境保全型農業のシステム構築

ア 畜産ふん尿の堆肥化については、堆肥舎等の整備を進め、畜産ふん尿を有用

資源とした優良堆肥の生産の取組を促進します。

イ 農家の堆肥使用については、減農薬・減化学肥料栽培に取り組む特別栽培農

産物や、持続性の高い農業生産を推進するエコファーマーの認定を促し、堆肥

などの有機肥料を使用した土づくりを促進します。

Page 46: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 45 -

ウ 稲わら交換等による堆肥施用や、緑肥作物作付けなどによる耕種農家の有機

質資源を活用した土づくりを促進し、地力の向上を図ります。

エ 堆肥の成分分析や適合作物の調査研究等を行い、植物による水質浄化化や土

壌微生物による健康な土づくりなど、資源循環機能を活用した農業生産技術の

導入を支援します。

② 環境負荷の低減と認証制度への積極的な取組

ア 化学肥料や農薬使用の低減を誘導するなど、環境にやさしい農業技術の普及

を図ります。

イ 農業用使用済プラスチックについては、再利用を進めていくとともに、排出

量を抑制します。

ウ 「有機農産物認証」、「特別栽培農産物認証制度」、「エコファーマー」など、

環境に配慮した農業生産方式に係る認証制度の取得を促進します。

エ 本市の認定農業者が、県の農林水産分野の認定制度(山形セレクション)の

認定を受けることを推奨します。

オ 環境に配慮した農業に取り組む農家と、消費者や流通業者との交流・連携を

深め、販路の確保を図ります。

カ 市報やホームページ等により、農薬や肥料の適正使用に関する情報提供を行

います。

③ 環境保全に配慮した事業の展開

ア 環境保全型農業直接支払交付金などにより自然環境の保全に資する農業生

産活動を支援します。

イ 地域環境の維持・保全に向けた農業関連事業の取組方針や維持管理への協力

について、広く地域住民との合意形成を図っていきます。

ウ 農業生産基盤や農村の生活環境整備については、環境との調和に配慮した、

自然と共生する事業として展開します。

エ 農家と非農家が、お互いの生活や農作業についての理解を互いに深めてもら

うことで、合理的で地域の住環境に配慮した農作業体系を確立します。

Page 47: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 46 -

基本目標2 農業の担い手育成のための人づくり

基本施策2-1 新規就農者の支援

○ 現状と課題

自然志向の高まりや職業観の変化などから、職業としての農業への関心が高まっ

ており、経済や雇用情勢の悪化も反映して、新たに農業に就業する人が増加する傾

向にあります。

新規就農については、新規学卒者だけでなく、農家の子弟が他産業から農業に転

職する例や、「Uターン型」など多様なケースが見られます。本市の場合、平成 25

年の 19 人の新規就農者のうち 5 人が農家以外からの新規参入となっています。国の

新規就農・経営継承総合支援事業等の実施もあり、近年、新規就農者数が増加して

おり、本市の農業を持続的に発展させていくためにも、この水準を維持していく必

要があります。

また、青年層に魅力ある産業として農業が選択され、夢と誇りを持って農業に取

り組めるよう、新たに就農を希望する方に対して、就農に関する情報提供や相談、

給付金や融資の活用などに関する支援を行っています。また、新規就農者が孤立し

ないで営農するために、「新規就農者連絡協議会(通称:anzada)」を支援し、

同年代の農業者同士の交流を図っています。

農業後継者を含む新規就農者は、離農した農家や規模を縮小した農家の経営基盤

の受け皿としての役割が期待されます。このため、新規就農者が農業の担い手へ円

滑に移行できるように、農業技術や経営管理能力の向上を支援するなど、関係機関

が一体となって支援していく必要があります。

施策の展開

① 新規就農者の確保

ア 就農に関する調査を実施し、就農実態や今後の動向の把握に努めます。

イ 就農の多様化に対応するため、関係機関や団体と連携しながら、新規就農者

の確保を図ります。

ウ 新規就農者の掘り起こしを進めるため、農地のあっせん、農業関係の情報や

支援策などの就農に関する情報を積極的に提供します。

エ 新規就農者が農業に取り組みやすい環境を整備するとともに、栽培しやすい

作物の導入を促進します。

② 就農支援策の充実

ア 就農形態の多様化に合わせて、新規就農に必要な技術などが習得できるよう

支援を行います。

イ 広い視野を持って農業に取り組めるよう、農業後継者を対象とした県外派遺

などの研修事業を展開します。

Page 48: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 47 -

ウ 就農を希望する者に対しての相談体制を充実し、青年等就農計画の作成につ

いてきめ細かな支援を行います。

エ 青年就農給付金や青年等就農資金等の新規就農支援に関する情報提供・相談

を行い、その積極的な活用を支援します。

オ 就農後の経営の安定化を図り、担い手へ円滑に移行できるように、総合的な

指導・助言を行います。

カ 新規就農者が孤立しないで営農できるように、同年代の農業者との交流を促

進します。

③ Uターン、Iターン者等への支援

ア 国や県などの関係機関と連携しながら、Uターンや農業以外からの参入な

ど、広く新規就農を促進します。

イ UターンやIターン者などが新規就農するための、情報提供や農地の貸借な

どについての支援を行います。

基本施策2-2 担い手の経営構造改善の支援

○ 現状と課題

農業就業人口の減少や農業従事者の高齢化の進行などにより、農業生産体制が脆

弱化し、農地の保全機能や農村集落の維持機能の低下が懸念されています。また、

米の需給バランスや農畜産物の輸入自由化の拡大による価格の低迷、産地間競争の

激化、安全・高品質といった消費者の需要の変化など、農業・農村を取り巻く環境

は厳しさを増しています。

こうした中、地域農業の持続的発展と効率的経営を実現するには、意欲を持って

農業に取り組むプロの農業者を育てることが大切です。また、経営感覚に優れた農

業者が、省力化を進めるとともに低コスト化技術を導入し、農業経営を効率化する

必要があります。

本市の担い手の状況を見ると、農業を主体とする主業農家は年々減少しており、

平成 22 年には 659 戸で、平成 17 年の 684 戸と比較すると 25 戸、3.6%減少してい

ます。一方で、経営感覚に優れた、効率的で安定的な経営体である認定農業者は、

平成 19 年に 251 人だったのが、平成 25 年末では 271 人となり、7.9%増加していま

す。本市では、これらの担い手を対象に、各種補助事業や融資に対する利子補給事

業を実施し、農地の集積・集約を進めるとともに、「天童市担い手育成総合支援協議

会」の支援の下、担い手の経営基盤の強化を促進しています。

今後とも、担い手が経営規模の拡大や作物転換、新規部門への参入などに意欲的

に取り組むことができる環境を整備することが課題となっています。そして、これ

らの経営構造の改善を進めるには、農業経営に関する施策をより一層担い手に集中

し、重点的に実施していくことが必要となります。

さらに、担い手とともに、地域農業の核となる生産組織や農業法人、地域農業集

Page 49: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 48 -

団を育成し、兼業農家も含めた地域全体の農業経営形態のあり方について明らかに

していく必要があります。

施策の展開

① 担い手の確保・育成

ア 意欲ある担い手を育成するため、人・農地プランの中心経営体や認定農業者

などへ施策の集中と支援の重点化を図ります。

イ 経営感覚に優れた農家を認定農業者に認定し、農地の利用権設定や作業の受

委託により経営規模の拡大を図り、生産性の向上を促します。

ウ 農業経営改善計画の目標を達成した認定農業者を、魅力ある農業を実現した

モデル農業者として掲げ、意欲的な農業後継者や新規参入者の増加に結び付け

ます。

エ 「天童市担い手育成総合支援協議会」の機能を充実し、認定農業者などの経

営改善に関する相談や農業経営改善計画の審査及び認定と指導を行うととも

に、各種研修会を開催します。

オ 加工・流通を含めた経営の多角化や、新規部門への取組を支援します。

カ 情報通信技術の導入を促進し、農業分野での幅広い活用を図ります。

キ 技術力の高い生産者を育成するため、研究活動や新技術、新資材の導入・普

及を促進し、生産技術に関する情報提供を進めます。

ク 経営能力に優れた生産者を育成するため、経営研修や異業種間交流を進め、

異業種の経営者との情報交換及び交流活動を支援します。

ケ 土地・資本などの生産要素の集中や、加工・流通への取組をより円滑に行う

ことができるよう、経営の法人化を促進します。

コ 経営の目標設定や役割分担などに関し農家家族間での合意を図る「家族経営

協定」の締結を促進します。

サ 農作業中の事故防止運動を強化し、農作業事故の撲滅を目指します。

② 地域の特性に応じた集落営農システムの確立

ア 農業機械や施設の効率的利用による低コスト化や農業所得の向上を目指す

集落営農の組織化を支援します。

イ 既存の生産組織の活性化を図るとともに、法人化に向けた取組を支援しま

す。

ウ 農業者の所得向上と農村における就業機会の確保を図るため、農業を核とす

るアグリビジネスの展開を図ります。

エ 生産から加工、販売まで、一連の取組を地域等で行うことができるよう支援

します。

オ 農協や土地改良区、生産者組織などの農業団体相互の連携を強化し、需要動

向に対応できる農業生産体制の確立を支援します。

Page 50: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 49 -

基本施策2-3 農村における男女共同参画社会の実現

○ 現状と課題

女性農業者が、農村において男性と対等の立場で経営に参画する機会や社会参画

を拡大するため、農業分野における男女共同参画の確立が求められています。

本市の農業就業人口を男女別に見てみると、平成 22 年で女性の割合が 47.1%と

約半数を占めており、特に、農業労働力の中核となる 40 歳代では 54.1%、50 歳代

では 52.9%と、生活面にとどまらず農業労働力の面でも女性が重要な担い手となっ

ています。

本市では、女性の持つ能力、感覚を経営に十分生かすために、女性農業者を対象

にした「レディース・アグリセミナー」を開催し、女性農業者の学習と交流の場を

設けています。また、女性農業者の県外派遣研修を実施し、先進的な取組を視察す

ることにで、女性農業者の資質向上を図っています。

また、本市の農産物の直売や農産物加工を行う生産団体の状況をみると、女性が

中心となっている組織が多く、女性を主体とした起業活動も増えてきています。こ

れらの起業活動は、女性ならではの発想を生かしたものであり、女性の経営参画の

重要な機会となっています。同時に、地場産品などを活用した取組は、農村の活性

化にもつながることから、女性の起業活動を支援していくことが重要になっていま

す。

施策の展開

① 男女共同参画意識の高揚

ア 女性農業者が主体性を発揮し、農業経営の主体として参画できるよう、意識

の啓発を図ります。

イ 女性の役割分担を見直し、農村における女性の農業経営、地域社会への参画

を促進します。

ウ 栽培・加工技術や販売知識の習得、経営管理能力の向上を図るための研修活

動を支援します。

② 起業活動などへの支援

ア 先進事例に関する情報提供や視察研修などを実施し、新たな事業への取組を

支援します。

イ 農業経営の新たな部門の立ち上げや加工への取組などの起業活動を行う場

合、融資制度の活用などを支援します。

ウ 女性認定農業者の認定に向けて、支援を充実します。

エ 起業活動グループのネットワーク化を促進します。

オ 農産物の直売や加工など、女性の起業活動を促進するための研修などを支援

します。

カ 天童市グリーン・ツーリズムネットワークを通した農畜産物の直売を支援し

Page 51: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 50 -

ます。

キ レディース・アグリセミナーを開催し、農村における女性リーダーの養成や

交流の拡充を図ります。

基本施策2-4 高齢者の持つ知識・技術の伝承

○ 現状と課題

農業は、比較的長く現役として活動できる職業であるため、高齢になっても農業

を営み、自立した生活を営んでいる人が多くみられます。

本市では、農業就業人口が年々減少する中、65 歳以上の高齢者が占める割合が増

加しています。平成 22年の 65歳以上の農業就業人口は 2,174人で、その割合は 58.6%

と半分以上を占め、高齢者が農業労働力の大きな部分を担っています。農業就業者

の構成比が最も高い階層は、昭和 60 年では 50 歳代でしたが、平成 9 年では 60 歳代

となり、平成 22 年には 70 歳以上の比率が最も高くなり、44.1%と 4 割を超えてい

ます。

しかしながら、本市の主力となっている戦前生まれの農業就業者は、数年のうち

に農業から退くことが予想され、労働力不足から耕作放棄地が発生し、樹園地の荒

廃が進むことが懸念されています。

このようなことから、高齢者が生きがいを持って農業に取り組める環境を整え、

年齢に相応しい農作業の組み立てを図るとともに、新規就農者や担い手などに円滑

に農業経営を継承していく必要があります。また、高齢者がこれまでの農業経営の

中で身に着けた貴重な技術や、豊富な知識と経験を受け継ぎ、それを十分に活用し

ていく必要があります。

高齢者の活動は、多方面にわたっており、各地域では、古くから受け継がれてき

た伝統芸能の保存活動の中心的役割を果たすとともに、多様な農村文化の継承者と

して活動しています。

このため、高齢者が都市部と農村部の交流、農業体験、地域づくり活動等におい

て果たしている役割を今後とも発揮できる機会を創出するとともに、地域社会と高

齢農業者が農業を通じた交流を図ることで、高齢者の生きがいづくりと地域の活性

化を進めていく必要があります。

施策の展開

① 優れた知識・技術の継承

ア 新規就農者や担い手へ農業経営を円滑に継承できるよう支援します。

イ 高齢者の技術や知恵を新規就農者や担い手への農業技術の指導に活用する

とともに、農作業体験の指導者として活躍できるようにします。

ウ 農村に古くから伝わる文化や伝統を継承するため、高齢者を中心とした保存

活動を展開し、後世に伝えます。

Page 52: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 51 -

エ 農地や農業用水等の保全管理や、農産物の直売や加工などにおいて、高齢農

業者が力を発揮できる環境づくりを進めます。

② 高齢者の生きがい対策

ア 高齢農業者の知恵や経験を生かした、少量多品目の生産活動を支援します。

イ 高齢農業者の活動拠点となる、農産物加工や直売活動などの取組を支援しま

す。

ウ 都市部と農村部の交流や農業体験、文化伝承、地域づくり活動等において積

極的な役割を果たせる機会を創出します。

③ 高齢者の農作業事故防止

高齢者の農作業時の事故が多発していることから、農作業安全について啓発

を行うとともに、農業団体等が行う農業機械等の操作講習会等の実施を支援し

ます。

Page 53: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 52 -

基本目標3 農業・農村が有する多面的機能の維持向上

基本施策3-1 農業・農村が有する多面的機能の維持向上

○ 現状と課題

農業・農村は、農産物の生産機能に加え、洪水防止や水資源かん養、大気の浄化

などの自然・国土保全機能のほか、自然学習やレクリエーション空間としての機能、

さらには農村景観の提供や農村文化の継承など多面的な機能を有しています。これ

らは、農業生産活動が自然と調和し、持続的に行われることによって生み出される

ものであり、市民生活や経済の安定にとって重要な役割を果たしています。

多面的機能の価値は、市場で評価されるようなものではなく、誰もが恩恵を受け

ることができるという公共的な性格を有していますが、評価手法が確立していない

こともあり、市民から十分な理解を得ているとは言い難い状況にあり、より一層認

識を浸透させることが課題となっています。

また、多面的機能は適切な営農活動や農業生産基盤の維持管理を行うことにより、

十分に発揮されますが、耕作放棄地が増加することにより、その機能が低下します。

また、農地はいったん荒廃すれば、農業の生産機能だけでなく、国土保全機能をは

じめとした多面的機能も失われることになり、これを復元することは容易ではなく、

経済的・社会的にも大きな損失となります。

そのため、多面的機能に対する市民の理解を深めるとともに、農用地や農業用施

設の適切な管理、耕作放棄地の解消などを通じてその機能の維持・向上を図ってい

く必要があります。

施策の展開

① 農業・農村が有する多面的機能に対する理解の促進

ア 農業・農村が持つ多面的機能について適正な評価を行い、それを公表するこ

とにより、広く市民の理解を醸成します。

イ 農用地を活用した体験農業の推進により、多面的機能への理解を深めます。

ウ 農業の生態系の保全機能を学習するため、田んぼの生き物の調査や自然観察

会などを実施します。

エ 国土保全や環境維持などの公益的機能を持つ土地改良事業の実施に当たっ

ては、自然の生態系や環境保全に配慮します。

② 農業・農村が有する多面的機能の維持向上

ア 農業生産基盤の整備に当たっては、農業・農村の多面的機能の維持を基本と

し、環境に配慮して実施します。

イ 農業用水路の適正な管理を進め、親水空間としても活用できるよう整備を促

進します。

Page 54: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 53 -

ウ 減農薬や有機肥料の使用を促進し、土壌の保全と環境負荷の低減を図りま

す。

エ 多面的機能支払交付金事業を展開し、農業・農村の環境の保全向上活動を支

援します。

③ 持続的な農業生産活動に対する支援

ア 耕作放棄地の発生を防止するとともに、その解消に努め、多面的な機能の維

持を図ります。

イ 農村の美しい景観を保全するため、景観作物の作付けを促進します。

基本施策3-2 中山間地域農業の活性化

○ 現状と課題

河川の上流部に位置する中山間地域は、農業生産を通じた水源かん養機能や洪水

防止機能等の多面的機能によって、下流部の都市住民を含む多くの市民の生命・財

産と豊かな暮らしを守っています。

しかしながら、中山間地域の農地は傾斜地が多いなど、平野部に比べて農業生産

条件が不利であるため、過疎化や高齢化が進行し、耕作放棄地が増加しています。

こうした耕作放棄地の増加は、農業生産の停滞だけでなく、農業・農村の持つ多面

的機能の低下を招くものであり、市民生活を著しく阻害することが懸念されていま

す。

このような中、中山間地域が有する重要な機能の維持・向上を図るため、平成1

2年度から「中山間地域等直接支払制度」が創設されました。本市においては、平

成 22 年度から 26 年度までの第3期対策において、田麦野集落で 31ha、荒井原集落

で 3.4ha の農用地について集落協定が締結され、水路や農道の維持管理のほか、景

観作物の栽培など、地域の実情に応じた多様な共同の取組が展開されています。さ

らに、特色ある地域資源を生かし、多様な農業を営むために、新規作物の導入と加

工・販売の促進に取り組んでいるほか、天童高原では、指定管理者が自然を生かし

た各種事業を展開しています。

また、中山間地域においては、近年の地球温暖化による生息環境の変化や狩猟者

の高齢化等による捕獲圧の低下、里山・森林管理の粗放化などから、クマ、イノシ

シ、サル等の鳥獣被害が深刻化しています。鳥獣被害は、農家の営農意欲を減退さ

せ、耕作放棄地を生み出し、さらなる鳥獣被害を招くという悪循環となっています。

このため、総合的な鳥獣害対策を推進し、関係機関と地域の農業者の協力・連携に

よる鳥獣害対策を進める必要があります。

施策の展開

① 農業生産の振興

ア 中山間地域等直接支払制度などにより、耕作放棄地の発生防止と解消を進

Page 55: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 54 -

め、多面的機能の維持・向上を図ります。

イ 冷涼な気候などの地域の自然条件に合った、そばやねぎ、酒米などの特色あ

る作物の導入を図ります。

ウ 地域特産物を生かした商品の開発を支援します。

エ 農作業の効率化を図るため、農業機械の共同利用化を促進します。

② 魅力ある地域づくりの推進

ア 中山間地域の地理的不利性を補うため、生活環境の整備を促進します。

イ 地域の実態に応じた共同取組活動を支援します。

ウ 水と緑、恵まれた自然など、魅力ある農村景観の保全を図ります。

エ 農業以外の産業との連携により、就業機会の増大を図ります。

オ 天童高原については、恵まれた自然や景観を生かした振興を図ります。

③ 中山間地域への理解の促進

ア 地域の特性を生かした多彩なイベントの実施を支援し、交流人口を増やしま

す。

イ 中山間地域の持つ多面的機能の大切さや、四季折々の豊かな自然などの資源

について、積極的に情報を提供します。

ウ 地域資源を活用した自然観察、環境学習、農業体験などの機会を提供し、中

山間地域に対する市民の理解を促進します。

④ 鳥獣被害への対応

ア 有害鳥獣被害対策実施隊を組織し、捕獲や追い払いなどの活動を活発に展開

するなど、関係機関と地域の農業者の協力・連携により、鳥獣害対策を進めま

す。

イ 接近警戒システムの活用や侵入防止電気柵等の設置を促進し、有害鳥獣から

農作物を守ります。

ウ 効果的・効率的な被害防止策の検討や、地域ぐるみの鳥獣害対策を促進しま

す。

エ 南奥羽鳥獣害防止広域対策協議会における3県連携による鳥獣害対策を推

進します。

Page 56: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 55 -

基本目標4 農業生産基盤の整備・管理と生活環境の整備

施策4-1 担い手への農地集積、農地の保全、遊休農地の発生防止と解消、農業

生産基盤の整備

○ 現状と課題

農地は、食料を供給するための基礎的な生産要素であるとともに、農業者にとっ

て極めて重要な経営基盤です。本市の農地面積は、工業用地や住宅地、公共事業用

地への転用などによって年々減少しているため、特に農業投資が行われ、生産力の

高い優良な農地については、保全と計画的な土地利用により、有効利用を図る必要

があります。

農業労働力の高齢化や今後の就業動向を考慮すると、担い手へ農地を集積するこ

とによって、農業生産体制を維持することが必要となります。国では、「農林水産業・

地域の活力創造プラン」の中で、農地中間管理機構を整備し、分散錯圃の解消や担

い手への農地の集積・集約化を進め、今後10年間で担い手の農地利用面積を全農

地の8割まで引き上げるとしています。

このため、多くの農家の理解を得ながら、関係機関が一体となって、農地の利用

集積を効果的に進めるとともに、規模拡大に意欲的な担い手に施策を集中するなど

の取組が必要となっています。

農地の利用集積の促進により、担い手に農地が集積されても、小区画で広範囲に

分散している場合は作業効率が低く、生産コスト低減に結びつかない場合がありま

す。このため、農地の連たん性を高め、面的集積をより一層進めていく必要があり

ます。

本市の遊休農地は、高齢化や後継者不足、米価の低落傾向等を背景として、新た

な遊休農地が解消面積を上回っています。遊休農地解消対策として、各地区の農業

委員を中心に農業関係団体と連携を図りながら、遊休農地実態調査を行い、遊休農

地解消対策を実施するとともに、農地中間管理事業を活用した利用権の設定や担い

手への特定農作業委託などにより、遊休農地の発生防止と解消を図っていく必要が

あります。

本市の立地条件を生かした生産性の高い農業を展開し、需要動向に応じた作目の

再編を図るためには、農業生産基盤の大区画化や汎用化を進めることが必要です。

また、農業水利施設をはじめとした農業生産基盤は、その多くが戦後から高度成長

期に整備されたもので、現在、急速に老朽化が進行しているため、予防保全型の管

理と計画的な修繕・更新を促進します。

施策の展開

① 担い手への農地の集積

Page 57: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 56 -

ア 関係機関や団体と連携し、農地の貸し手の掘り起しを行うとともに、農地中

間管理事業等を活用して担い手への農地の集積を図り、連たん性を高めます。

イ 農地の有効利用を進めるため、地域が行う人・農地プランに基づいた話し合

いと、農用地利用の調整活動を支援します。

ウ 農作業受託組織を育成するとともに、集落組織と連携を取りながら農作業の

受委託を促進します。

② 農地の保全と有効利用

ア 集団性を持ち、生産力の高い優良農地については、その保全と有効利用を図

ります。

イ 耕作放棄地の実態把握に努めるとともに、それを解消するための事業を展開

します。

ウ 遊休農地が隣接農地等へ与える悪影響を防ぐため、地域ぐるみで実施する草

刈などの活動を支援します。

エ 中山間地域については、地域の合意形成や集落協定の締結を進め、遊休農地

の発生を防止します。

オ 農地に関する情報を充実することによって、農地の面的集積を図り、農地の

効率的な利用を促します。

カ 天童農業振興地域整備計画に基づく計画的な土地利用を図り、農地の保全と

有効利用に努めます。

③ 農業生産基盤の整備と管理

ア 稲作の生産性向上と効率化を図るため、土地改良事業の促進などにより、水

田の用排水施設や暗きょ排水施設の整備を促進し、作業効率の高い農業生産基

盤の整備を促進します。

イ 稲作経営の省力化と費用低減化のため、直播栽培を促進します。

ウ 水田の高度利用を図るため、大豆や麦などへの転作を促進します。

エ 畑地については、作業の効率化と品質向上を図るため、畑地の小規模分散状

態を改善し、団地化やかんがい施設の整備などを促進します。

オ 土地改良事業により農業生産基盤の整備を進め、営農条件の改善を図りま

す。

カ 農業水利施設をはじめとした農業生産基盤について、予防保全型の管理と計

画的な修繕・更新を図ります。

基本施策4-2 農村の生活環境の向上

○ 現状と課題

農村は、農業者はもちろん非農業者をも含めた地域住民の生活の場であり、農業

の持続的発展の基盤として、重要な役割を果たしています。このため、豊かな自然

環境や伝統文化などの地域資源に恵まれた農村が、地域住民や訪れる人にとっても、

Page 58: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 57 -

活力と魅力のあるものでなければなりません。

本市ではこれまで、農村総合整備モデル事業や農村総合整備事業、下水道事業、

田園型住宅地の整備などにより、農村の生活基盤を整備してきました。しかし、農

村の人口は減少しており、生活様式の多様化や意識の変化などにより、生活環境整

備に対する要望は、これまで以上に強くなっています。このため、農村の人口回復

策を導入しながら、農業・農村の魅力を最大限に生かした土地利用や農業生産基盤

と農村の生活環境が一体となった総合的な農村の整備を進め、農村の活性化を図っ

ていくことが課題となっています。

また、農村を訪れる人が潤いや安らぎを享受できる豊かな景観や水に親しめる空

間を保全したり、市民と農業者との交流の場を設定したりすることによって、農村

の魅力を高めていくことが課題になっています。

施策の展開

① 潤いのある生活環境の整備

ア 農業の生産基盤の整備と生活環境の整備が一体となった、総合的な事業を展

開します。

イ 漸減している人口を回復するため、農用地との調整を図りながら、民間活力

を導入した田園型住宅地の整備と供給を促進します。

ウ 農業経営の効率化や品質の向上、高生産団地化を図るため、広域的農道から

耕作道まで系統立てた農道網を整備します。

エ 公共下水道や合併処理浄化槽などについて、調整・連携を図りながら、農村

における汚水処理を推進します。

オ 水と緑に恵まれた地域の憩いの場を保全するとともに整備を図ります。

カ 農村における交流、レクリエーション活動の場として、公園未整備地区にお

いて安全で快適に遊べる集落公園などの整備を進めます。

キ 安全で安心できる生活の場を確保するため、防災施設などの整備を進めると

ともに、総合的な雨水流出抑制対策を確立し、災害に強い農村づくりを進めま

す。

② 農村集落の維持・発展

ア 農村コミュニティの活力を維持するため、計画的な土地利用のもと、良好な

住環境を持つ農村部への定住を促進し、農村部の人口回復に努めます。

イ 農業・農村の土地利用との調整を図り、地区計画制度を活用したまちづくり

を促進します。

ウ 農村地域の水と土を基本とする地域資源を再評価し、自然に恵まれた農村独

自の環境を維持・保全します。

エ 地域の持つ多様な資源を生かして、農業・農村を核とした交流事業を展開し

ます。

Page 59: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 58 -

オ 農村部に受け継がれてきた文化的行事や、民俗芸能を始めとする多様な文

化・伝統を継承します。

Page 60: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 59 -

基本目標5 農業・農村の持つ役割に対する市民の理解の促進

基本施策5-1 農業・農村に対する市民の理解の促進、食農教育の推進、消費者

と生産者との交流の促進

○ 現状と課題

昭和 55 年頃の我が国の食生活は、栄養バランスの点で評価されていました。その

後、生活様式の変化に伴い食の外部化が進み、米の消費量は一貫して減少し、肉類・

鶏卵や牛乳・乳製品、油脂類の消費が大幅に増加し、肥満・生活習慣病や食料自給

率の低下の要因となっています。米などの殼類の摂取不足などの食生活の変化や、

子どもや若者が朝食をとらないといった食生活の乱れは見過ごすことはできません。

こうした状況の中、米をはじめとする国産の農産物を消費することは、食料自給

率の向上のみならず、農業や農村の活性化、地球環境の保全などにつながることに

ついて、消費者と生産者が共通の理解を得ていく必要があります。また、米を主食

とし、新鮮で多様な食材を使い、動物性油脂が少なく、栄養バランスに優れた健康

的な食生活を形成している「和食」の良さを伝えていく必要があります。

子どもたちの農業体験は、「食」と「農」の一体化を図り、豊かな心を育み、人格

形成に大きな効果を果たすものとして期待されています。農村の豊かな自然や農業

の中で伝えられてきた伝統・文化に直接ふれることによって、生命や自然に対する

畏敬の念や先人への感謝の気持ちが芽生え、人間の感性や情操を豊かに育むことが

できます。このため、学校や家庭などあらゆる教育の場において、子どもたちに、

食と農業と生命の大切さを具体的な形で伝える「食農教育」を推進する必要があり

ます。

そして、産地間競争に勝てる営農体系の設定、地域の他産業並みの所得の確保や

労働時間の短縮により、魅力ある職業としての農業を確立し、本市の子どもたちが

小さいときから農業に関心を持ち、一人でも多く将来の職業として積極的に農業を

選択するような、明るい展望のある農業を確立していくことが求められています。

施策の展開

① 農業・農村に対する市民の理解の促進

ア 食料や農業に関して、消費者が本当に必要とする情報を見極め、積極的に提

供していきます。

イ 本市の農業に関するホームページである「天童市農業交流プラザ」で、内外

に向け農業や農村に関する情報を発信します。

ウ 「天童市農業まつり」などを開催し、消費者が食や農業について考え、消費

者と生産者が交流を深めるイベントを充実します。

エ 身近に農業にふれ、収穫の喜びを体験できる場となる市民農園の開設を支援

Page 61: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 60 -

します。

② 食農教育の推進

ア 米を主食とし、新鮮で多様な食材を使い、動物性油脂が少なく、栄養バラン

スに優れた健康的な食生活を形成している「和食」の良さを啓発します。

イ 小・中学生が職業としての農業に対する理解を深めるとともに、健全な食生

活を形成することができるよう、学校や地域住民との連携のもと、農作物の栽

培が体験できる学校農園の設置を促進し、農業体験学習を推進します。

ウ 児童向けの農業副読本や農作業マニュアルなどの補助教材を提供すること

により、農業の意義やその役割の理解を促進します。

エ 学校教職員に農業体験の場を提供するなど、学校教育との連携を深め、食農

教育を推進します。

オ 生産者と子どもたちの交流や子供たちの農業への理解を深めるため、地域の

農業と結びついた学校給食を展開します。

③ 消費者と生産者等の交流の促進

ア 「天童市農業交流プラザ」により、消費者と生産者、事業者などの情報交換

を推進します。

イ 消費者と生産者とが、農業生産や消費の現場で直接交流を深められる機会を

設けます。

基本施策5-2 地産地消の推進

○ 現状と課題

地産地消により地元産農畜産物の流通と消費が増大することは、生産者にとって

は流通経費が削減され、少量・多品目生産で一定の収入が見込めるため、女性農業

者や高齢農業者の所得向上につながるほか、大規模農家にとっても、規格外優良品

等の消費拡大につながります。また、消費者にとっては、生産者の顔が見えること

から安全で安心感があり、新鮮でおいしい農産物を安く購入できるというメリット

があります。

天童市学校給食センターでは、米の消費拡大と地産地消を推進するため、市内の

小中学校において、地元産の1等米を使った米飯給食を実施しており、野菜8品目

について、100%地元産品供給を目指した取組を進めています。また、地域の食文化

を生かした郷土料理給食、地元産食材を使用した地産地消給食「天童デー給食」を

実施し、地域の特性や食材を生かした食育を行っています。

生産者団体等は、地元産農産物を使った漬物、ジュース、おやつなどの農産物加

工品を製造し、市内の直売所やインターネット等で販売しています。

また、菓子商工組合などの加工業との連携により、本市の特産品ラ・フランスを

使った菓子などが開発・販売されており、消費拡大につながっています。

さらに、本市の農業に関するホームページ「天童市農業交流プラザ」で、本市の

Page 62: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 61 -

農業と農産物に関する情報を発信するとともに、消費者と生産者との架け橋にする

ため、旬の情報を更新しています。

このように、消費者と生産者の双方にメリットがある地産地消の取組を推進する

ことにより、食に対する信頼を確保するとともに、地元産農畜産物の消費拡大によ

り本市の農業の振興を図ることができます。

今後とも、「天童市地産地消推進計画」及び「天童市食育推進計画」を推進し、消

費者と生産者の食に対する正しい理解を深め、安全で安心な地元産農畜産物の生産

と消費を拡大することにより、豊かな食文化を次世代に引き継ぐことが求められて

います。

施策の展開

① 消費者と生産者の相互理解の促進

ア 消費者との信頼関係づくりと食の安全の重要性に対する消費者の理解を深

め、地元産農畜産物を活用した健康で豊かな食生活の実践を促進します。

イ 地元産の食材を使った料理講習会を開催し、消費者に地元産農畜産物の安全

性やおいしさを宣伝します。

ウ 天童市農業士会と連携しながら、親子農業体験教室を開催し、食の重要性、

地元産農畜産物の消費拡大、地域の農業振興に対する理解を深めます。

エ 生産者の適正な農薬使用やエコファーマーの認定を促すとともに、消費者に

対しては、地元産農畜産物の安全性や、減農薬栽培農産物等の付加価値に関し

ての啓発を行います。

② 地元産農畜産物に関する情報提供

ア イベント・市報・ホームページなどを活用し、消費者が安全・安心な地元産

農畜産物を身近に購入できるよう情報を積極的に発信します。

イ 地産地消に関する体験教室などを開催し、レシピ等を紹介します。

③ 農産物直売所の運営の支援

ア 安全で安心な農産物の計画生産と安定供給を支援します。

イ 農産物直売所の運営等に関する研修会の開催を支援します。

ウ 生産者と量販店などの流通関係者の相互交流を支援します。

エ グリーン・ツーリズムネットワークを通した情報共有化を進め、農畜産物の

直売を支援します。

オ 料理教室、農業体験教室等の開催による消費者ニーズの把握と情報提供を行

います。

④ 学校給食における地産地消の推進

ア 学校給食で地元産農畜産物と地域食材の利用を促進します。

イ 学校給食用の食材として、少量多品目の農産物の出荷に対応できる生産者や

生産団体を育成します。

Page 63: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 62 -

ウ 生産者、学校、保護者、学校給食センター等の相互交流の機会づくりを支援

します。

エ 学校給食用の野菜の計画生産・安定供給を支援します。

オ 旬の地元産農畜産物を活用した学校給食を推進します。

⑤ 食品産業等との連携の強化

ア 市内の食品系スーパーマーケットと連携を強化し、地元産農畜産物の安定し

た生産・ 供給体制を整備し、地元産農畜産物の取扱いの拡大を求めるととも

に、加工食品での活用を図ります。

イ 菓子商工組合などの加工業と連携し、地元産農産物を使った独自の菓子など

を開発・販売します。

ウ 旅館・ホテルや飲食店などで地元産農畜産物の使用を促し、地元産農畜産物

の消費拡大を図ります。

基本施策5-3 観光農業のネットワークの形成、体験農業の促進

○ 現状と課題

本市は、農業を重要な観光資源として位置付け、果物のもぎとりや栽培体験など、

早くから観光農業に取り組んできました。その結果、国道 48 号沿線と県道天童山寺

公園線の沿線を中心に、観光果樹園が開設され、組織的な取組が行われています。

自然志向の高まりなどから、豊かな自然や美しい景観といった、農業・農村の地

域資源に対する需要がより一層高まり、農業の第三次産業化が進行しています。こ

のため、農村らしさを大事にした定住条件を整備して、都市との交流活動であるグ

リーン・ ツーリズムを促進するなど、都市と農村の交流人口の拡大を図り、農業・

農村の活性化を図る必要があります。

本市では、平成 19 年 4 月に市内 9 か所の農産物直売所などで組織するグリーン・

ツーリズムネットワークを設立しました。これらの直売所では、それぞれの魅力に

よって消費者を獲得し、消費者と生産者が支え合う関係が築かれています。加入組

織は、それぞれ異なった場所で農産物の販売を行っていますが、共同活動として、

直売所ガイドマップの作成・配布や、本市の冬の一大イベントである「平成鍋合戦」

への共同出店などを行い、地元産農畜産物と各直売所の宣伝活動を行っています。

観光農業をさらに振興させるには、山形空港や東北中央自動車道、山形新幹線な

どの高速交通網と村山東部地区広域営農団地農道(東部スーパー農道)などの基幹

的農道を利用した広域観光ルートを有機的に結びつけ、体験観光に組み込むなど、

観光ネットワークを確立し、本市の特性を最大限に生かした魅力あふれる観光農業

とする必要があります。

特に体験農業は、土にふれあい、農作業に親しむことによって、収穫の喜びや農

業の大切さを知ることができ、農業生産の仕組みや農業の果たす役割を理解するう

えでも良い機会となります。市内外からの農作業体験や農村生活体験のニーズに応

Page 64: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 63 -

えられるよう、関係機関・団体と協力しながらグリーン・ツーリズムの受入体制を

充実することが求められています。

さらに、相互交流都市の協定を締結している国内4市や連携協定を締結した明治

大学との提携のもとに、天童産農畜産物の知名度向上と販売促進を図る必要があり

ます。

施策の展開

① 観光農業のネットワークの形成

ア 各地域の持つ農業・農村の資源を洗い出し、系統付けることによって、観光

農業の面での活用を図ります。

イ 観光ルートの中に、農業・農村の資源を取り入れることによって、観光との

結びつきを強化し、ネットワーク化を進めます。

ウ 食品加工など他産業との連携を図ることによって、農畜産物の観光資源とし

ての魅力を引き出します。

エ 滞在型観光にも対応できるよう、地域の観光資源と農業とを有機的に結びつ

け、四季折々の素材の提供を図ります。

② 体験農業の促進

ア 体験農業の受入れが可能な農家の把握に努め、受け皿づくりを進めます。

イ 体験農業は、長期間にわたるものから短時間のものまで、幅広い需要がある

ため、それに対応できる多様な体験メニューの開発を促進します。

ウ 高齢者などを活用して体験農業の指導者を育成するなど、人材の活用を図り

ます。

エ 都市と農村の交流を図るため、グリーン・ツーリズムなどを推進します。

オ 農作物を自分で生産したいという市民の需要に対応するため、市民農園の整

備を支援します。

③ 観光農業情報の提供

ア 観光資源となる農村の優れた景観や地域の伝統行事などについて、積極的に

情報を発信します。

イ 天童市グリーン・ツーリズムネットワークによる農産物の産地直売活動を支

援します。

ウ 天童産フルーツや農産物直売所を示したグリーン・ツーリズムガイドマップ

を発行し、宣伝に努め、観光果樹園等への来訪者の増加を目指します。

エ 地域のイベント等において、地元農産物の販売促進を図るとともに、グリー

ン・ツーリズムの普及啓発を図ります。

④ 相互交流都市等との交流の強化

ア 国内の4つの相互交流都市と市との交流を強化し、観光を通した本市の農畜

産物の宣伝に努め、販売を促進します。

Page 65: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 64 -

イ 連携協定を締結した明治大学と提携し、大学で開催されるイベント等での農

畜産物の販売や天童産農畜産物を使用したメニューのフェア等を通じて、天童

産農畜産物の知名度向上と販売促進を図ります。

Page 66: 天童市農業基本計画 【案】- 3 - 第1章 計画の趣と推進方法 1 計画見直しの背景と計画の趣 (1) 計画見直しの背景 本市では、平成14 年4 月に天童市農業基本条例を施行しました。本条例に掲

- 65 -

第5章 計画の推進に向けて

1 行動指針

天童市農業基本計画を推進していくためには、市民、農業者・農業団体、事業者、

行政がそれぞれの役割を分担し、お互いに連携を図り、農業・農村の振興に努めて

いくことが必要です。

このため、市民、農業者、農業団体、事業者の計画実現に向けての行動指針を次

のように定めます。

(1) 農業者・農業団体

ア 食の安全に関する関係法令を遵守するとともに、安全な農畜産物の安定し

た生産と供給について、主体的に取り組んでいきます。

イ 環境と調和した農業生産に取り組み、農業の持つ多面的な機能の保全の担

い手としての自覚を持ち、農産物の生産に努めます。

ウ 体験や交流を通して、農業の大切さを市民に伝えます。

エ 集落ぐるみで、今後の地域農業の将来像を考え、一人ひとりが役割を果た

します。

オ 地元産農畜産物の生産、販売、流通戦略を明らかにし、生産から販売まで

の一貫した活動に取り組みます。

カ 地産地消の推進について主体的に取り組み、食と農を近づけるための情報

発信に努めます。

キ 基本方針に基づく、農業・農村の振興策に協力するよう努めます。

(2) 事業者

ア 地元産農畜産物の積極的な利用に努めます。

イ 生産者と連携しながら、農業を支える活動を展開します。

ウ 基本方針に基づく、農業・農村の振興策に協力するよう努めます。

エ 農業者及び農業団体と連携して、農産物の地域ブランドづくりに努めます。

(3) 市民

ア 農業・農村の持つ多面的機能の理解と維持活動に努めます。

イ 地元産農畜産物の消費に努めます。

ウ 食と農に関心を持ち、生産者との交流の機会を増やします。

エ 地域の食習慣や食文化の伝統を次世代へ引き継ぐよう努めます。

オ 基本方針に基づく、農業・農村の振興策に協力するよう努めます。

2 計画の実施と管理

天童市農業基本計画の実効性を高めるため、年度ごとに具体的な施策を明らか

にした実施プログラムを作成します。

また、年次ごとの進捗状況を的確に把握するとともに、その評価を適正に行い、

計画の着実な推進を図ります。