熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - ibec...- 2 -...

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- 1 - 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 第2報――拡張外壁置換法への展開 本 慶 *1 野 久 *2 *3 *4 上 周 *5 本報を含む一連の研究は,実務で一般的に行われている熱負荷計算法である単室計 算において,計算対象の空調室に隣接する非空調空間からの空調室への熱的影響を理 論的にかつ精度良く求めることを目的としている。第 1 報にて外壁置換法を構築し, 従来の単室計算と比べ理論的,かつ,多数室計算の結果と比べて十分な精度を有する ことを示した。同時に,この手法では,非空調室の窓の透過日射を考慮しない,非空 調室の外壁は一方位で代表させる等の制約条件も存在した。そこで本報では,外壁置 換法の拡張を行い,上記制約条件を解消することで汎用性を高めた。また,サイドコ アオフィスをモデルに精度検証を行い,拡張した外壁置換法が実務上十分な精度を有 し,実用的な計算法であることを示した。 キーワード: シミュレーション・熱負荷計算・非空調室温・単室計算・多数室計算 はじめに 本研究は,前報に引き続き,実務で一般的に行われて いる熱負荷計算法である単室計算(空調室の室温のみを 計算する方法)において,計算対象の空調室に隣接する 非空調空間からの熱的影響を理論的にかつ精度良く求め ることを目的としている。 前報 1) では,非空調室の定常熱平衡式を基とした理論 的な手法として,空調室に隣接する非空調室の外壁,非 空調空間,空調室と非空調室の間の内壁を,一つの置換 外壁(外壁+中空層+内壁)として一体化し,空調室の外 壁とする手法「外壁置換法」を提案した。しかし,外壁 置換法では,非空調室の外壁の方位が一方位に限定され ること,窓の透過日射を無視している等の制約条件が存 在した。 そこで本報では,上記制約条件を解消すべく外壁置換 法の拡張を行い(以下,拡張外壁置換法と呼ぶ),外壁置 換法の汎用性を高めた。本論文では,まず,拡張外壁置 換法の理論を説明する。次に,精度検証としてサイドコ アオフィスをモデルに計算を行い,第 1 報にて提案した 外壁置換法との比較や多数室計算との比較を行い,拡張 外壁置換法の実用性を検証する。 1.拡張外壁置換法の理論 1.1 拡張外壁置換法の概念 図-1 に拡張外壁置換法の概念図を示す。拡張外壁置換 法は,隣接する非空調室を,空調室の一部として熱負荷 計算を行う手法である。具体的には,非空調室の外皮, 換気,内部発熱を空調室にあるものとして換算する。換 算にあたり,外壁,窓,換気,内部発熱の置換係数を提 案するものである。 1.2 置換係数 f i の導入 表-1 に理論式を示す。拡張外壁置換法は,前報同様, 非空調室の定常熱平衡式から非空調室の室温を求める 表-1 式(1)~(3))。そして,求めた非空調室の室温と 空調室に隣接する非空調室の内壁 i からの貫流熱負荷を 算出する過程で,本報では式(5)のような変換を行う。変 換を行う過程で,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱 の置換係数 fi を導入する。ここで,fi は非空調室の熱損 失係数のうち内壁 i から損失する比率であり,この fi 非空調室の外壁面積,窓面積,換気量,内部発熱量に乗 *1 大林組 正会員 *2 首都大学東京名誉教授 SHASE 技術フェロー *3 宇都宮大学工学研究科 SHASE 技術フェロー *4 佐藤エネルギーリサーチ 正会員 *5 建築環境・省エネルギー機構 特別会員

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Page 1: 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - IBEC...- 2 - じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空 調室にあるように置き換えることが可能となる。

- 1 -

熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究

第 2報――拡張外壁置換法への展開

木 本 慶 介*1 石 野 久 彌*2 郡 公 子*3 佐 藤 誠*4 村 上 周 三*5

本報を含む一連の研究は,実務で一般的に行われている熱負荷計算法である単室計

算において,計算対象の空調室に隣接する非空調空間からの空調室への熱的影響を理

論的にかつ精度良く求めることを目的としている。第 1 報にて外壁置換法を構築し,

従来の単室計算と比べ理論的,かつ,多数室計算の結果と比べて十分な精度を有する

ことを示した。同時に,この手法では,非空調室の窓の透過日射を考慮しない,非空

調室の外壁は一方位で代表させる等の制約条件も存在した。そこで本報では,外壁置

換法の拡張を行い,上記制約条件を解消することで汎用性を高めた。また,サイドコ

アオフィスをモデルに精度検証を行い,拡張した外壁置換法が実務上十分な精度を有

し,実用的な計算法であることを示した。

キーワード: シミュレーション・熱負荷計算・非空調室温・単室計算・多数室計算

はじめに 本研究は,前報に引き続き,実務で一般的に行われて

いる熱負荷計算法である単室計算(空調室の室温のみを

計算する方法)において,計算対象の空調室に隣接する

非空調空間からの熱的影響を理論的にかつ精度良く求め

ることを目的としている。

前報 1)では,非空調室の定常熱平衡式を基とした理論

的な手法として,空調室に隣接する非空調室の外壁,非

空調空間,空調室と非空調室の間の内壁を,一つの置換

外壁(外壁+中空層+内壁)として一体化し,空調室の外

壁とする手法「外壁置換法」を提案した。しかし,外壁

置換法では,非空調室の外壁の方位が一方位に限定され

ること,窓の透過日射を無視している等の制約条件が存

在した。

そこで本報では,上記制約条件を解消すべく外壁置換

法の拡張を行い(以下,拡張外壁置換法と呼ぶ),外壁置

換法の汎用性を高めた。本論文では,まず,拡張外壁置

換法の理論を説明する。次に,精度検証としてサイドコ

アオフィスをモデルに計算を行い,第 1 報にて提案した

外壁置換法との比較や多数室計算との比較を行い,拡張

外壁置換法の実用性を検証する。

1.拡張外壁置換法の理論 1.1 拡張外壁置換法の概念

図-1 に拡張外壁置換法の概念図を示す。拡張外壁置換

法は,隣接する非空調室を,空調室の一部として熱負荷

計算を行う手法である。具体的には,非空調室の外皮,

換気,内部発熱を空調室にあるものとして換算する。換

算にあたり,外壁,窓,換気,内部発熱の置換係数を提

案するものである。

1.2 置換係数 fi の導入

表-1 に理論式を示す。拡張外壁置換法は,前報同様,

非空調室の定常熱平衡式から非空調室の室温を求める

(表-1 式(1)~(3))。そして,求めた非空調室の室温と

空調室に隣接する非空調室の内壁 i からの貫流熱負荷を

算出する過程で,本報では式(5)のような変換を行う。変

換を行う過程で,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱

の置換係数 fi を導入する。ここで,fi は非空調室の熱損

失係数のうち内壁 i から損失する比率であり,この fi を

非空調室の外壁面積,窓面積,換気量,内部発熱量に乗

*1 大林組 正会員 *2 首都大学東京名誉教授 SHASE 技術フェロー *3 宇都宮大学工学研究科 SHASE 技術フェロー *4 佐藤エネルギーリサーチ 正会員 *5 建築環境・省エネルギー機構 特別会員

Page 2: 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - IBEC...- 2 - じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空 調室にあるように置き換えることが可能となる。

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じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空

調室にあるように置き換えることが可能となる。

1.3 熱負荷計算プログラム

へのデータ入力法

表-2 に拡張外壁置換法による一般の熱負荷計算プログ

ラムへの入力データの置換表を示す。計算者は置換係数

fi を算出し,非空調室の外壁面積,窓面積,換気量,内

部発熱量に fi を乗じた値をプログラムに入力する。これ

により,外壁置換法では考慮できなかった非空調室の窓

の透過日射や複数方位の外壁の熱的影響が計算可能とな

る。ここで,表-2 の fi は瞬時値, は期間平均値を示し

ている。期間平均値は,拡張外壁置換法が定常熱平衡式

を基としているため,非空調室の換気が間欠の場合でも,

算出される fi は連続換気時の値であることを補正するた

めに導入している。非空調室の直達日射負荷は,窓の貫

流負荷で算出した窓面積(表-2,置換窓面積)によりプ

ログラム内で計算される。また,拡張外壁置換法におい

て,複数ある非空調室は,換気量や内部発熱等全て足し

合わせ,1 室の非空調室としてまとめてモデル化する。

2.単室接続モデルによる精度検証

拡張外壁置換法の計算精度を検証するため, BEST2) ,3)

を用いて多数室計算法による最大熱負荷計算(冷房およ

び暖房),年間負荷計算を行い,装置負荷(顕熱)の比較

を行った。最大熱負荷計算は,表-3 に示す 5 つの気象デ

ータについて,換気量等,拡張外壁置換法の計算結果に

影響する因子を抽出し,それを変化させた場合の多数室

計算法の結果への時刻毎の追従性を検証した。年間熱負

荷計算は,装置負荷(顕熱)の積算値,時刻別熱負荷の

比較を行った。

計算モデルは,第一報同様,まず拡張外壁置換法の特

性を明確にするため,非空調室,空調室が 1 室ずつの単

純なモデル(以下,単室接続モデル)で検証を行った。

2.1 モデル概要

図-2,表-4 に計算モデルの概要を示す。非空調室の室

温変動は,外壁からの貫流熱の影響も考慮するため,コ

空調室

非空調室

空調室

非空調室

換気負荷(隙間風を含む)

内部発熱負荷 空調室

置換内部発熱(等価置換)

置換換気(等価置換)

図-1 拡張外壁置換法の概念

表-1 拡張外壁置換法の理論式

…(1)

ある非空調室の熱平衡式、室温、空調室への貫流熱負荷は、前報と同じく式(1)~(4)で表される。

…(2)

…(3)

…(4)

…(5)

0)())(()( =−+++−⋅⋅+⋅+−⋅ arsrinaoopggg

jajjj ttKqqttVcAUtSATAU ρ

rpiii VcAUK ⋅⋅+⋅= ρ

)/(

)(

KVcAUAU

tKqqtVcAUSATAUt

opggg

jjj

rsrinoopg

ggj

jjja

+⋅⋅+⋅+⋅

⋅+++⋅⋅+⋅+ ⋅⋅=

ρ

ρ

)(raiii

ttAUq −⋅=

ここで、式(3)で求めたtaを式(4)に代入すると、

)/(

))(()(

KVcAUAU

qqttVcAUtSATAUAUq

opg

ggj

jj

srinroopg

ggj

rjjjiii

+⋅⋅+⋅+⋅

++−⋅⋅+⋅+ −⋅⋅=

ρ

ρ

++−⋅⋅+⋅+−⋅ ⋅= srinroop

gggrj

jjji

qqttVcAUtSATAUf ))(()( ρ

と表すことができる。

ここに、

)/( KVcAUAUAUfop

j gggjjiii

+⋅⋅+⋅+⋅⋅= ρ …(6)

sriini

rooipg

gigrjj

jij

qfqf

ttVfcAfUtSATAfU

⋅+⋅+−⋅⋅⋅+ ⋅⋅+−⋅ ⋅⋅= ))(()( ρ

【記号】サフィックス g :窓番号,サフィックス i :内壁番号,サフィ

ックス j :外壁番号,A :面積[m2],cp :空気の定圧比熱 (=1005) [J/(kg・

K)],f i :非空調室の熱損失係数のうち内壁 i から損失する比率[-],こ

れを置換係数と呼ぶ,K :非空調室の空調室側熱損失係数[W],ρ:空

気の密度(=1.2) [kg/m3], q :非空調室 i の貫流熱負荷[W/K],qin :非空

調室の内部発熱 [W],qsr :非空調室の直達日射負荷 [W],SAT :相当

外気温度[℃],ta :非空調室の室温[℃],to :外気温[℃],tr :空調室の

室温[℃],U:熱貫流率 [W/(m2・K)],Vo :非空調室の換気風量 [m3/s],

Vr :空調室から非空調室へのパス換気風量[m3/s] 表-2 外壁置換法による入力データの置換係数

置換係数fi

置換外壁面積

置換窓面積

置換換気量

)/( KVcAUAUAUoj g

ggjjii+⋅⋅+⋅+⋅⋅ ρ

ji Af ⋅

oiVf ⋅

置換発熱量 iniqf ⋅

gi Af ⋅

if

Page 3: 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - IBEC...- 2 - じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空 調室にあるように置き換えることが可能となる。

- 3 -

アが外壁に面するサイドコアとした。また,非空調室

から空調室への熱的影響を検証するため,空調室の内

壁は,非空調室に接する部分のみとし,通常想定され

る空調室の外気導入や照明負荷等は無いものとした。

さらに,天井・床は,隣室温度差 0K(温度差のないこ

と)とし,熱的影響が無いものとした。

2.2 影響因子の抽出

図-1,表-1 の基本式,第 1 報の精度検証結果より,

拡張外壁置換法の計算結果への影響因子を非空調室の

換気,内部発熱,熱容量,換気・内部発熱スケジュー

ル,空調運転時間とした。表-5 に計算ケースを示す。

換気は,換気の有無,換気空気の種類(外気,パス換

気注 1))の違いによる検証を行った。内部発熱は,内部

発熱の有無,熱容量は内壁の仕様を変更した場合の検

証を行った。換気・内部発熱スケジュール,空調運転

時間については,連続(24 時間),間欠(9-18 時)の

場合の検証を行った。

2.3 計算結果

表-6 に各ケースの外壁置換法による置換係数と置換

した熱負荷計算プログラムへの入力値,図-3,4 に各ケ

ースの最大熱負荷,年間熱負荷積算値,年間時刻別熱負

荷相関結果を示す。各因子の比較対象となるケース①に

着目すると,最大負荷計算,年間熱負荷積算値ともに拡

張外壁置換法は,多数室計算と概ね一致している。また,

年間時刻別熱負荷相関に着目すると,決定係数 R2 値が

0.98 と非常に高い相関が得られていることがわかる。ま

た,最大熱負荷に関して,拡張外壁置換法の負荷変動が

表-5 計算ケース

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩

無有

(外気)無 無

有(外気)

無 無有

(外気)無 有

(パス換気)

無 無 有 無 無 有 有 有 無 無

無 無 無 無 無 無 無 無 有 無

小 小 小 小 小 小 大 小 小 小

連続 連続 連続 間欠 間欠 間欠 間欠 間欠 間欠 間欠

連続 連続 連続 間欠 間欠 間欠 間欠 間欠 間欠 間欠

非空調室の換気: 外気、パス換気の換気量は530m3/hとした。非空調室の内部発熱: 10W/㎡とした。内壁の熱容量: 大はコンクリート150mm、小は石こうボード12mm+中空層+石こうボード12mmとした。非空調室の換気・内部発熱スケジュール,空調運転時間: 連続は24時間,間欠は9~18時とした。

空調運転時間(連続/間欠)

設定条件

因子(水準)

非空調室の窓(無/有)

ケース

非空調室の換気・内部発熱スケジュール(連続/間欠)

非空調室の換気(無/有(外気/パス換気))

内壁の熱容量(大/小)

非空調室の内部発熱(有/無)

表-6 外壁置換法による各ケースの置換係数と置換した熱負荷計算プログラムへの入力値

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩

f i ( f i ) 0.29 0.17 0.24 0.290.17

(0.23)0.24 0.29

0.15(0.19)

0.29 0.23

ケース

表-3 熱負荷計算に用いた気象データ

地点 東京

t-x 外気温と絶対湿度が厳しく、ある程度の日射量がある

t-Jh 日最高気温が低く、湿度はやや高めで、日射量は小さい

h-t エンタルピ、気温が厳しく、天空日射量が比較的大きいJc-t 水平面、西面、東面日射量が強く、気温も厳しい

Js-t 10 月の南面日射の強いデータ

最大熱負荷計算

年間熱負荷計算

実在年データ(2006年, BEST1分値データ)

暖房用

冷房用

13004100

7200

3600

7200

2050

非空調室

空調室

750

図-2 モデルビルの概要

表-4 計算条件

地点 東京拡張アメダス空調設計用気象データ冷房用: Jc-t基準, 暖房用: t-x基準空調 設定温湿度:夏期26℃/60%, 冬期22℃/40%

運転時間:9-18時内壁 石膏ボート12mm+中空層+石膏ボート12mm、面積:30㎡外壁1 コンクリート150mm、面積: 15㎡  方位:南外壁2 コンクリート150mm、面積: 7.5㎡  方位:東窓1 単盤フロートガラス8mm、面積: 15㎡  方位:南窓2 単盤フロートガラス8mm、面積: 7.5㎡ 方位:東 換気(外気)換気回数:5回/h、運転時間:9-18時内部発熱 10W/㎡、発熱時間:9-18時

非空調室(25㎡)

空調室(50㎡)

気象データ

Page 4: 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - IBEC...- 2 - じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空 調室にあるように置き換えることが可能となる。

- 4 -

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷

(顕

熱)

[W/㎡

]

多数室計算法

拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

12

-146

13

-146

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9771

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻

別熱

負荷

[W/㎡

]

(拡

張外

壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置負

荷(顕

熱)

[W/㎡

]

多数室計算法

拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t[時]

10

-172

10

-170

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9656

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張

外壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷(顕熱)[W/㎡]

多数室計算法

拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

44

-86

45

-88

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9466

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張

外壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置負

荷(

顕熱

)[W/㎡

]

多数室計算法

改良外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

10

-114

10

-111

-200

-150

-100

-50

0

50 年

間顕

熱負

荷[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9928

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張

外壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置負

荷(

顕熱

)[W/㎡]

多数室計算法

改良外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

10

-120

11

-119

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9907

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張

外壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷

(顕

熱)

[W/㎡]

多数室計算法

改良外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

36

-64

38

-59

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9666

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張

外壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置負

荷(

顕熱

)[W/㎡

]

多数室計算法

改良外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

40

-80

45

-67

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.8838

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張

外壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

図-3 ケース①~⑦の計算結果

最大熱負荷 年間時刻別熱負荷相関 年間熱負荷積算値

拡張外壁置換法

拡張外壁置換法

拡張外壁置換法

拡張外壁置換法

R2

R2

R2

R2

R2

R2

R2

Page 5: 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - IBEC...- 2 - じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空 調室にあるように置き換えることが可能となる。

- 5 -

多数室計算法に比べ,大きくなっている。この理由とし

て,拡張外壁置換法が非空調室を空調室の一部としてい

るため,非空調室の内壁による遅れを十分に再現できて

いないことが挙げられる。

(1)換気による影響

ケース②に着目すると,最大熱負荷,年間熱負荷積算

値共に拡張外壁置換法は,多数室計算法と概ね一致して

いる。また,ケース⑤,⑩についても,換気量を連続換

気に補正することで,置換外壁面積が過大となることを

抑え,多数室計算と概ね一致している。

(2)窓による影響

ケース③,⑥,⑧に着目すると,最大熱負荷,年間熱

負荷積算値とも多数室計算法と概ね一致している。年間

の時刻別熱負荷相関では,決定係数 R2 値が 0.95 と非常

に高い相関が得られており,外壁置換法の拡張により,

窓の透過日射の影響を再現できていることがわかる。

(3)内部発熱による影響

ケース⑨に着目すると,最大熱負荷,年間熱負荷積算値

とも多数室計算法と概ね一致しており,内部発熱の影響

を再現できていることがわかる。

(4)熱容量による影響

ケース⑥,⑦に着目すると,ケース⑦では最大熱負荷

では,多数室計算に比べ一日の負荷変動が大きくなって

いることがわかる。また,年間熱負荷積算値は多数室計

算法との誤差が 17%と大きく,年間の時刻別熱負荷相関

も R2 が 0.88 とケース⑥に比べ,ばらつきが大きくなっ

ている。この理由は,前述のように拡張外壁置換法が非

空調室を空調室の一部としているため,熱容量が大きい

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置負

荷(

顕熱

)[W/㎡

]

多数室計算法

改良外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

30

-77

33

-74

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9671

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張

外壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷

(顕

熱)

[W/㎡]

多数室計算法

拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

11

-112

13

-107

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.991

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻

別熱

負荷

[W/㎡

]

(拡

張外

壁置換

法)

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷

(顕

熱)

[W/㎡

]

多数室計算法

拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t [時]

9

-97

8

-95

-200

-150

-100

-50

0

50

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9932

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻

別熱

負荷

[W/㎡

]

(拡

張外

壁置換

法)

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

図-4 ケース⑧~⑩の計算結果

-80

-60

-40

-20

0

20

40

0 12 24

装置

負荷(顕

熱)

[W/m2 ]

拡張外壁置換法

多数室計算法

外壁置換法

[時]

R² = 0.9666

R² = 0.7135

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻

別熱負

荷[W/㎡

]

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

◆:拡張外壁置換法

+:外壁置換法

36

-64

38

-59

5

-116

-200

-150

-100

-50

0

50 年

間顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室

計算法

拡張外壁

置換法

外壁

置換法

図-5 外壁置換法との比較(左:最大熱負荷,中:年間時刻別熱負荷相関,右:年間熱負荷積算値)

拡張外壁置換法

最大熱負荷 年間時刻別熱負荷相関 年間熱負荷積算値

R2

R2

R2

0.9666

0.7135

Page 6: 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - IBEC...- 2 - じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空 調室にあるように置き換えることが可能となる。

- 6 -

内壁の場合,非空調室の内壁による遅れを十分に再現で

きておらず,非空調室の室温変動が大きくなるためであ

ると考えられる。

(5)換気・内部発熱スケジュール,空調運転時間による影響

ケース①~③に着目すると,換気・内部発熱スケジュ

ール,空調運転時間が連続の場合,最大熱負荷,年間熱

負荷積算値とも多数室計算に近い結果が得られている。

年間熱負荷積算値は多数室計算法との誤差がほとんどの

ケースで 5%程度となっており,精度良く計算されてい

ることがわかる。また,ケース④~⑩のような換気・内

部発熱スケジュール,空調運転時間が間欠の場合にも,

多数室計算に近い結果が得られている。

2.4 外壁置換法との比較

図-5 に外壁置換法と拡張外壁置換法の多数室計算法

との比較を示す。拡張外壁置換法は,1 章で述べた外壁

置換法の課題である窓の透過日射,複数方位の外壁の熱

的影響を再現し,最大熱負荷,年間時刻別熱負荷相関,

年間熱負荷積算値共に,多数室計算法に近い結果が得ら

れていることがわかる。計算は,外壁置換法の制約条件

に該当する表-5 のケース⑥で行った。なお,外壁置換法

については,窓部分は「ガラス+中空層+内壁」の置換外

壁として計算した。また,2 方位ある外壁のうち,主方

位でない外壁(表-4,外壁 2)については無いものとし

て計算を行った。

3.複数室接続モデルにおける精度検証

3.1 モデル概要

一般建物への拡張外壁置換法の適用の検討のため,非

空調室が複数存在するサイドコアオフィス(以下,複数

室接続モデル)で検証を行った。図-6,表-7 に複数室接

続モデルの計算条件を示す。計算対象は,空調室と非空

調室が隣接する部分として,ホワイエとホワイエ北側の

非空調エリアとした。天井・床,ホワイエの南側内壁は,

隣室温度差 0K(温度差が無いこと)とした。また,拡張

外壁置換法において,複数ある非空調室は,換気量や内

部発熱等全て足し合わせ,1 室の非空調室としてまとめ

てモデル化を行い,fi を算出した。多数室計算法は、非

空調室 4 室をそれぞれ入力して計算を行った。

3.2 計算ケース

計算ケースを表-8 に示す。計算ケースは,2 章の単室接

表-8 計算ケース

① ② ③ ④ ⑤

5 5 5 15 5

0 0 10 0 0

0 0 0 0 5020 0 0 0 0

注 機械室は機械室1,2を示す。パス換気量はホワイエ(空調室)からWCへの換気量を示す。

  ケース⑤の外壁・窓の方位は日射の影響を検証するため南面とした。

機械室の内部発熱[W/m2]

機械室の換気量(外気)[m3/(㎡・h)]機械室の窓面積率[%]

パス換気量[m3/(㎡・h)]

ケース

表-9 外壁置換法による各ケースの置換係数と置換した熱負荷計算プログラムへの入力値

計算モデル

(デフォルト値) ① ② ③ ④ ⑤

f i (f i) -0.12

(0.18)0.18

(0.23)0.11

(0.17)0.18

(0.23)0.14

(0.16)

置換外壁(北)面積[m2] 91.2 16.7 21.1 15.8 21.1 8.4

置換外壁(西)面積[m2] 22.8 4.2 5.3 3.9 5.3 3.7

置換窓面積[m2] 28.5 5.2 6.6 4.9 6.6 11.2

置換換気量[m3/h] 714.0 83.0 127.0 218.0 127.0 97.0置換発熱[W] 661.5 76.9 117.9 69.7 353.5 108.2

計算ケース

空調エリア(ホワイエ)

空調エリア非空調エリア

57000

EVホール 管理室機械室2機械室1 WC倉庫

空調エリア(執務空間)

28400

図-6 複数室接続モデル

表-7 複数室接続モデルの計算条件

ホワイエ 窓 強化ガラス12mm

(空調) 内部発熱 人体:0.1人/m2、照明:15W/m2

空調

外気導入量 4m3/(h・m2)季節 夏期6-9月、中間期4,5,10,11月、冬期12-3月

隙間風 0.8m3/(㎡・h)

コア共通 外壁

(非空調)内壁 石膏ボート12mm+中空層+ガラス綿(24K)25mm+石膏ボート12mm

機械室1,2 内部発熱 機器5W/m2

外壁(北) 北向き

WC 換気(パス)ホワイエ→WC 20m3/(㎡・h) (8-17時)窓 単板フロートガラス8mm

倉庫 換気(外気) 40m3/(㎡・h)(8-17時)外壁(北) 北向き外壁(西) 西向き(角部屋)

8-17時

タイル10mm+PCコンクリート150mm+吹付硬質ウレタン20mm

Page 7: 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - IBEC...- 2 - じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空 調室にあるように置き換えることが可能となる。

- 7 -

続モデルを用いた精度検証により,拡張外壁置換法は多

数室計算に近い結果が得られたため,影響因子を換気(外

気,パス換気),窓,内部発熱に絞り設定した。

3.3 計算結果

計算結果を表-9,図-7 に示す。最大熱負荷では,単室

接続モデル同様,全てのケースで概ね一致した結果が得

られた。年間熱負荷積算値では,外壁置換法は多数室計

算法との誤差が多くのケースで 5%以内であり,多数室

計算と同等の結果が得られた。また,年間時刻別熱負荷

相関は,全てのケースで決定係数 R2 値が 0.95 以上と高

い相関が得られた。ただし,内部発熱が 15W/m2のように

大きい場合は,10%の誤差を生じた。理由は内部発熱の

置換係数 fi を算出する際,内部発熱のモデルへの入力が

内部発熱開始・停止時に線形補間としている部分を再現

しきれていないことが挙げられる。

結 論

本報では,第一報で提案した外壁置換法の拡張を行い,

適用範囲の拡大を図った。BEST を用いた精度検証を行

い,多数室計算法,外壁置換法との最大熱負荷,年間熱

負荷積算値,年間時刻別熱負荷の比較を行い,以下の知

見を得た。

1) 非空調室の外壁面積,窓面積,換気量,内部発熱

の置換係数 fi(非空調室の熱損失係数のうち内壁 i か

ら損失する比率)を導入することで,外壁置換法の

課題であった窓からの透過日射の計算,外壁が複数

方位ある場合の計算が可能となった。

2) 拡張外壁置換法の結果に影響する因子として,非空

調室の換気,窓,内部発熱,熱容量,換気・内部発熱

スケジュール,空調運転時間の 5 つが挙げられた。

3) 最大熱負荷計算では,拡張外壁置換法は多数室計算

-70

-50

-30

-10

10

30

50

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷

(顕

熱)

[W/㎡

]

多数室計算法拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t

81

-57

78

-53

-150

-100

-50

0

50

100

年間顕

熱負

荷[M

J/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.984

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張外

壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-70

-50

-30

-10

10

30

50

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷

(顕

熱)

[W/㎡

]

多数室計算法拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t

83

-61

79

-62

-200

-150

-100

-50

0

50

100

年間顕

熱負

荷[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9809

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張外

壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-70

-50

-30

-10

10

30

50

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷

(顕

熱)

[W/㎡

]

多数室計算法拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t

80

-68

77

-62

-150

-100

-50

0

50

100

年間顕

熱負

荷[M

J/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.9843

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻別

熱負荷

[W/㎡

]

(拡張外

壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-70

-50

-30

-10

10

30

50

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置負荷(顕

熱)[W/㎡

]

多数室計算法拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t

94

-52

84

-56

-150

-100

-50

0

50

100

年間

顕熱

負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法 拡張外壁置換法

R² = 0.976

-150

-100

-50

0

50

-150 -100 -50 0 50

時刻

別熱

負荷

[W/㎡

]

(拡

張外

壁置

換法

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

装置

負荷

(顕熱

)[W

/㎡]

多数室計算法拡張外壁置換法

t-x t-Jh

h-t Jc-t Js-t

101

-31

99

-30

-50

0

50

100

150

年間顕

熱負荷

[MJ/㎡

]

多数室計算法拡張外壁置換法

R² = 0.9664

-100

-50

0

50

100

-100 -50 0 50 100

時刻別熱

負荷

[W/㎡

]

(拡張外

壁置換

法)

時刻別熱負荷[W/㎡]

(多数室計算法)

図-7 各ケースの計算結果

最大熱負荷 年間時刻別熱負荷相関 年間熱負荷積算値

R2

R2

R2

R2

R2

Page 8: 熱負荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 - IBEC...- 2 - じることで,非空調室の外壁,窓,換気,内部発熱が空 調室にあるように置き換えることが可能となる。

- 8 -

法に近い結果が得られた。年間熱負荷積算値では,多

くのケースで多数室計算法との誤差が 5%以内であ

った。但し,内壁の熱容量が大きい場合や内部発熱が

大きい場合は誤差が大きくなることがある。誤差要因

として,非空調室の内壁による遅れを十分に再現でき

ない点や内部発熱開始・停止時の入力上の補間を十分

に再現しきれていない点が挙げられる。また,時刻別

熱負荷の相関は決定係数 R2 値がほとんどのケースで

0.95 以上となり,高い相関が得られ,実用上許容で

きる範囲であると考えられる。

注 釈

注 1)パス換気 4):室と室をダクトで結び,室から室

へ空気を通過させ換気すること

謝 辞

本報は,(財)建築環境・省エネルギー機構内に設置され

た産官学連携による環境負荷削減のための建築物の総合的

なエネルギー消費算出ツール開発に関する「BEST コンソー

シアム」・「BEST 企画委員会(村上周三委員長)」および専門

版開発委員会(石野久彌委員長),行政支援ツール開発委員

会(坂本雄三委員長),統合化 WG(石野久彌主査)の活動成果

の一部であり,関係各位に謝意を表するものである。理論

構築・論文執筆にあたり,WG メンバーである久保木真俊氏

(日建設計)に貴重なご意見・ご指導を頂いた。また,相

賀洋氏(大林組)に貴重なご指導を頂いた。ここに謝意を

表する。統合化 WG 名簿(順不同) 主査:石野久彌(首都

大学東京名誉教授),委員:一ノ瀬雅之(首都大学東京),

内海康雄(宮城高等専門学校),大西晴史(関電工),木下

泰斗(日本板硝子),工月良太(東京ガス),郡公子(宇都

宮大学),菰田英晴(鹿島建設),佐藤誠(佐藤エネルギー

リサーチ),芝原崇慶(竹中工務店),新武康(清水建設),

菅長正光(菅長環境設備事務所),木本慶介(大林組),田

中拓也(大成建設),長井達夫(東京理科大学),二宮秀與

(鹿児島大学),野原文男,長谷川巌,二宮博史,丹羽勝巳,

久保木真俊(以上,日建設計),保木栄治(東京電力),柳

井崇,品川浩一(日本設計),事務局:生稲清久,石田真理

(建築環境・省エネルギー機構)

参 考 文 献

1) 木本慶介,石野久彌,郡公子,佐藤誠,村上周三:熱負

荷計算における非空調空間の仮定法に関する研究 第 1

報―外壁置換法の提案,空気調和・衛生工学会論文集,

pp.1-9,2013.6

2) 村上周三,石野久彌,坂本雄三,郡公子,長井達夫他:

特集 The BEST Program,空気調和・衛生工学 第 88 巻 第

11 号,pp.3-73,2008.11

3) 郡公子,石野久彌,長井達夫,村上周三:建築総合エネル

ギーシミュレーションツールBESTのための建築熱シミュ

レーション法に関する研究,空気調和・衛生工学会論文集,

pp.9-16,2010.9

4) 久保木真俊,石野久彌,郡公子,村上周三:建築総合エネ

ルギーシミュレーションツールBESTを利用した建築モデ

リング法に関する研究 第1報―ゾーン相互の熱的影響を

考慮したオフィスモデリング法,空気調和・衛生工学会論

文集,pp.1-8,2011.12

(平成 25.8.10 原稿受付)

*1 Obayashi Co., Ltd., Member *2 Tokyo Metropolitan Univ, Fellow Engineer *3 Utsunomiya Univ, Fellow Engineer *4 Satoh Energy Research Co.,Ltd., Member *5 Institute for Building Environment and Energy Conservation,

Fellow Member

Synopsis:The overarching objective of this study is to calculate the

thermal influence of a non-air-conditioning space to air-conditioning

space when we model only an air-conditioned room. The previous paper

(Part 1), we propose the "exterior wall replacement method for a

non-air-conditioning zone" as a new algorithm that takes into

consideration the thermal influence of a non-air-conditioning space.

However, this method can not calculate thermal load of direct solar

radiation and heat generation from outer walls in a non-air-conditioning room.

Therefore, in this paper (Part 2), we modify "the exterior wall replacement

method of non-air-conditioning zone" and resolve above problems. We verify

the accuracy of the improved method in a side core office model and

show that the method is effective.

(Received August 10, 2013)

A Study on Method for Determining Heat Load from Non-Air-Conditioning Space Part 2 ―Dilatation of the Exterior Wall Replacement Method for Non-Air-Conditioning Zone

by Keisuke KIMOTO *1, Hisaya ISHINO

*2, Kimiko KOHRI *3, Makoto SATOH

*4 and Shuzo MURAKAMI *5

Key Words:Simulation, Calculation of Heat-Load, Non-Air-Conditioning Zone Temperature