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舞鶴工業高等専門学校 市民協働型インフラ管理体制の構築に向けた インフラ観察システムの開発 令和元年11月14日(木) TKP赤坂駅カンファレンスセンター13ホール13A舞鶴工業高等専門学校 建設システム工学科 玉田和也 社会基盤メンテナンス教育センター 嶋田知子 第17回JACIC研究助成事業成果報告会

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Page 1: 発表用資料 玉田和也 JACIC助成2018-01号舞鶴工業高等専門学校 市民協働型インフラ管理体制の構築に向けた インフラ観察システムの開発

舞鶴工業高等専門学校

市民協働型インフラ管理体制の構築に向けたインフラ観察システムの開発

令和元年11月14日(木)(TKP赤坂駅カンファレンスセンター13階 ホール13A)

舞鶴工業高等専門学校

建設システム工学科 玉田和也

社会基盤メンテナンス教育センター 嶋田知子

第17回JACIC研究助成事業成果報告会

Page 2: 発表用資料 玉田和也 JACIC助成2018-01号舞鶴工業高等専門学校 市民協働型インフラ管理体制の構築に向けた インフラ観察システムの開発

舞鶴工業高等専門学校

アジェンダ

1. 研究目的

2. 統合データベースの作成

3. ポートフォリオ分析

4. 観察対象橋梁の選定

5. まとめ・今後の展開

Dr. MAMORUN

Page 3: 発表用資料 玉田和也 JACIC助成2018-01号舞鶴工業高等専門学校 市民協働型インフラ管理体制の構築に向けた インフラ観察システムの開発

1.研究目的

• 規模,構造特性,使用状況等により,維持管理手法の合理化が必要な橋梁を定期的に観察するためのインフラ観察システムの開発

→ システムによる観察を試行、観察データを収集・蓄積

• 『橋梁観察士(仮称)』を育成する市民学習カリキュラムの開発

→ 市民の中から維持管理人材を育成

持続可能なメンテナンスの実現に向けた市民協働型インフラ管理体制を構築持続可能なメンテナンスの実現に向けた市民協働型インフラ管理体制を構築

舞鶴市との共同研究 『橋梁ストック数削減に向けた取組み』

橋梁ストックのレイティング(階層化)と,小規模,構造が単純,利用者がごく限られてる等の橋梁の今後の維持管理方法(廃橋も含む)について検討

インフラの高齢化と技術職員構成の高年齢化今後10年で現在の技術職員の4割以上が退職→ 一人当たりのメンテナンス業務量が激増

点検が進む一方で修繕実施率が低い→ セカンドサイクルの点検費縮減→ 利用状況等を踏まえた橋梁の集約化・撤去

人口減少・少子高齢化が顕著な地域においても、国土を適切に管理し、人が住み続けるには最低限の社会基盤(インフラ)は必要であり、将来に渡り、インフラを維持管理していくことは行政の責務だが・・・

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1.研究目的: 『観察』の定義,本研究の実施フロー

項⽬ 1年⽬ 2年⽬

ガイドライン策定

システム開発

カリキュラム開発

(関連研究)舞鶴市共同研究

橋梁ストック数削減に向けた取組み 市民協働型インフラ管理体制構築に向けた取組

み(仮)

ガイドライン案作成

システム・アプリに関する調査

システム・アプリ開発

観察実施マニュアル案作成

eラーニングコンテンツ作成

講習会カリキュラム作成実習現場の選定

要件

整理

管理橋梁のレイティングに関する研究

廃橋候補選定フローの作成

講習会試行

資格認定

観察試行

セットアップデータ入力

公募

検証

試運用検証・修正

検証

運用

観察試行

策定

構築

本研究の実施フロー

インフラ観察システムの『観察』とは・・・小規模、構造が単純、利用者がごく限られている等の橋梁(以降,観察対象橋梁)について,現在の状態を把握するとともに,安全性・機能性を確保するために,道路管理者が措置の必要性の判断を行ううえで必要な情報を得るために実施するもの.

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2.統合データベースの作成

名称 内  容橋調書 橋梁諸元,位置情報,写真等を舞鶴市独⾃の様式でまとめたもの.

点検調書1 道路橋に関する基礎データ収集要領(案)(平成19年5⽉ 国⼟交通省国⼟技術政策総合研究所)に基づき平成20〜24年度に実施した点検結果を統⼀様式によりまとめたもの.

点検調書2 道路橋定期点検要領(平成26年6⽉ 国⼟交通省道路局)に基づき平成26〜30年度に実施した定期点検結果を統⼀様式によりまとめたもの.

参照先のデータベースの名称と内容

統合データベースの項目と参照先項⽬ 参照先 項⽬ 参照先 項⽬ 参照先

重要橋梁 橋調書 路下条件 点検調書2 橋梁詳細形式(使⽤材料) 橋調書橋梁管理番号 点検調書1 交差名 橋調書 橋梁詳細形式(床版材料) 橋調書

橋梁番号 点検調書1 代替路の有無 点検調書2 橋梁詳細形式(下部⼯) 橋調書整理番号 橋調書 ⾃専道or⼀般道 点検調書2 総径間数 点検調書1

地域 橋調書 緊急輸送道路 点検調書2 架橋年次 点検調書2橋梁名 点検調書2 占⽤物件(名称) 点検調書2 橋⻑(m) 点検調書2

橋梁名カナ 点検調書2 主部材の主な材料 点検調書1 有効幅員 (m) 点検調書2路線名 点検調書2 主橋梁の形式 点検調書1 位置情報(起点・北緯) 点検調書2所在地 点検調書2 橋梁詳細形式(路⾯位置) 橋調書 位置情報(東経・北緯) 点検調書2

点検実施年⽉⽇ 点検調書2 橋梁詳細形式(構造形式) 橋調書 判定 点検調書2

舞鶴市管理橋梁について,

より信頼性の高い統合データベースを作成

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2.統合データベースの作成: 舞鶴市について

舞鶴市(まいづるし)人口: 79,886人(R1.10.1時点)面積: 342.13㎢

出典:Wikipedia

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3.ポートフォリオ分析: 管理橋梁数と架設年代構成

管理橋梁数(架設年代別)

68%

• 舞鶴市管理橋梁数

808橋

• 架設後40年以上の橋梁

553橋

• 過半が1960~70年代に架設(高度経済成長期)

2020年代には続々と供用年数50年を超える

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3.ポートフォリオ分析: 地区別の管理橋梁数と人口

舞鶴市の地区(旧村)別の管理橋梁数と人口

各地区の管理橋梁数と人口の相関は低い.

中心市街地

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3.ポートフォリオ分析: 各地区における管理橋梁の使用頻度

舞鶴市の地区別の管理橋梁数の使用頻度(1橋あたりの人口)と高齢化率(%)

地区名東⼤浦

⻄⼤浦

朝来

志楽

祖⺟⾕

与保呂

東街

中舞鶴

⻄街

池内

中筋

⾼野

四所

神崎

⼋雲

岡⽥中

岡⽥下

岡⽥上

市全体

⼈⼝管理橋梁数

32 25 80 95 107 147 193 820 142 26 974 72 64 40 24 30 8 17 103

⾼齢化率(%)

46 44 30 26 38 29 32 27 33 44 24 30 35 44 44 44 48 53 31

← 各管理橋梁の使用頻度の目安人口

管理橋梁数

100[人/橋]超 ・・・・・・

40[人/橋]以下 ・・・・・・ 高齢化率40%超

高齢化率24~38%

今後更に使用頻度が低下

合理的かつ効率的な手法による労力とコストの削減が必須

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4.観察対象橋梁の選定: 観察対象橋梁の選定要件

• 道路橋定期点検要領(平成31年2月国土交通省道路局)

→ → →  変状や構造特性に応じた定期点検の合理化

(出典)社会資本整備審議会道路分科会道路技術小委員会(平成30年12月14日)配布資料より抜粋

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4.観察対象橋梁の選定: 観察対象橋梁の選定要件

構造の種別 特性 合理化の⽅向性 観察対象橋梁の選定要件

溝橋

・ボックスの隅⾓部が剛結され,上下部構造が⼀体の⼩規模なコンクリート構造・内空が⽔路等に活⽤され,第三者への影響が極めて⼩さい箇所もある・活荷重や地震の影響による突発的な部材の損傷事例はない

・着⽬部位を低減可能・第三者への影響が⼩さい箇所では内空⾯の打⾳・触診を削減可能・損傷要因を経年劣化に限定できる

径間数1,橋⻑10m未満

RC床版橋・版単位で上部構造が成⽴している構造・桁橋にある間詰め部がない・⼩規模なものが多い

・着⽬部位を低減可能 径間数1,橋⻑10m未満

H形鋼橋 ・鋼桁は熱感圧延により製造された形鋼・現場溶接やボルト接合が無いものもある.

・着⽬部位を低減可能・現場溶接継⼿がなくき裂のリスクが低いため,確認すべき損傷の項⽬を低減可能・ボルト継⼿がないものも多く,確認すべき損傷の項⽬を低減可能

径間数1,橋⻑10m未満,現場溶接継⼿なし※複雑な構造のものを除く

⼩規模RC桁橋 ・上部構造の構成部材が少ない ・着⽬部位の個所数が少ない 径間数1,橋⻑10m未満簡易構造 ・⽊,⽯,鋼材を架け渡しただけの簡易な構造 ・着⽬部位を低減可能 径間数1,橋⻑10m未満

観察対象橋梁の選定要件

観察対象橋梁の選定要件を設定

• 状態の把握や記録の難易度• 現場作用の安全性• 市民が事前トレーニングで修得可能な知識・技術レベル 等

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4.観察対象橋梁の選定: 構造特性別の構成割合

観察対象橋梁数(構造特性別)

• 観察対象橋梁数

519橋(約64%)

• 観察対象橋梁の約9割がコンクリート橋

• RC床版橋が全体の76%

• H形鋼橋は全体の4%

優先順位を付け,インフラ観察システムを開発

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まとめ

• 舞鶴市管理橋梁の橋調書と定期点検結果を統合し,信頼性のある統合データベースを作成した.

• 統合データベースを基にポートフォリオ分析を行い,その結果を示した.

• 観察対象橋梁の選定要件を設定し,観察対象橋梁519橋を選定した.

• 舞鶴市管理橋梁の維持管理においては,合理的かつ効率的な手法による労力とコストの削減が必須

• 本研究に基づき観察対象橋梁を選定し,観察を実施することで,全体の2/3において定期点検の合理化・効率化が可能.

• 市民協働型で実施することで,行政の業務負担の更なる軽減が期待.

まとめ

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今後の展開と進捗状況

今後の展開と進捗状況

観察対象橋梁の変状や構造特性に応じたインフラ観察ガイドラインの策定• 溝橋,RC床版橋,H形鋼橋,小規模RC桁橋について,構造特性に応じて観察対象とする部位・部材及び着目部位を低減した上で,道路橋定期点検要領(国土交通省道路局 平成31年2月)に準じた“状態の把握”及び“記録”を行うガイドライン案を作成。

観察及び記録を効率的かつ正確に行うためのシステム開発• “橋梁観察システム”の仕様を決め,構築業務を発注し,現在,システム構築中。

• システム構築に合わせて,観察実施マニュアルも作成中。

• 今年度末目途で開発を完了。

『橋梁観察士(仮称)』を育成するための教育コンテンツの開発• 市民学習カリキュラムを策定し,現在,教育コンテンツ(eラーニング,実習教材等)を開発中。

• 舞鶴市と協議し,実習現場の候補を選定。(候補:舞鶴市朝来地区又は大浦地区)

• 来年度5月頃に,市民学習カリキュラムを実施し,『橋梁観察士(仮称)』を認定。

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舞鶴工業高等専門学校

ご清聴ありがとうございました

舞鶴工業高等専門学校

建設システム工学科 玉田和也

社会基盤メンテナンス教育センター 嶋田知子

市民協働型インフラ管理体制の構築に向けたインフラ観察システムの開発

Dr. MAMORUN