福島県耶麻郡北塩原村 - kitashiobara...2 【第2章】計画の性格...

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平成 24 年度 平成 28 年度 平成24年3月 福島県耶麻郡北塩原村

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Page 1: 福島県耶麻郡北塩原村 - Kitashiobara...2 【第2章】計画の性格 計画の性格は・・・ この計画は、村における総合的かつ計画的な行政運営のために定める

平成 24 年度 ⇒ 平成 28 年度

平成24年3月

福島県耶麻郡北塩原村

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目 次

第1部 序 論

第1章 計画策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第2章 計画の性格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

第3章 計画の構成と目標期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第4章 北塩原村の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

1 位置と自然・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2 村の沿革・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

3 人口・世帯数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

4 産業別就業者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

第2部 基 本 構 想

第1章 目指すべき将来像 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

1 むらづくりの基本理念と将来像・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

2 むらづくりの体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

第2章 東日本大震災からの復興 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

第3章 施策の大綱

基本目標Ⅰ 自然・歴史・文化を活かして観光と商工業が発展する村・・・・・・・・・・12

1 豊かな自然を守り、次代に引き継ぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

2 観光地「裏磐梯」を核とした観光の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

3 商工業の振興と雇用の創出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

基本目標Ⅱ 地域の風土を活かして特色ある農林漁業を展開する村・・・・・・・・・・・14

1 地区の特色を活かした農業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

2 森林資源を活用した林業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

3 湖水地方における漁業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

基本目標Ⅲ 健康と福祉が充実し、一人ひとりがいきがいを持っていきいきと暮らせる村・・16

1 地域ぐるみで取り組む保健の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

2 身近な医療体制の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

3 生活に密着した福祉の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

基本目標Ⅳ 子どもからお年寄りまで、ずっと笑顔で明るく元気に暮らせる村・・・・・・18

1 教育の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

2 生涯学習機会の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

3 子育て支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

基本目標Ⅴ スポーツや芸術文化が盛んで、歴史を守り引き継ぎ、健康で心豊かに暮らせる村・・20

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1 スポーツの振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

2 芸術・文化の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

3 歴史文化の保存と継承・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

基本目標Ⅵ 暮らしの環境が整い、地域ぐるみで安全を守る安心な村・・・・・・・・・・22

1 生活環境(インフラ)の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

2 生活の利便性の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

3 安全で安心な地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

基本目標Ⅶ 住民と行政が一体となってむらづくりを進める村・・・・・・・・・・・・・25

1 村民と行政のコミュニケーションを高めるために・・・・・・・・・・・・・・・・25

2 時代に即応したむらづくりの運営のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

3 健全な行財政のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

第3部 基 本 計 画

東日本大震災からの復興と原子力事故災害の克服・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

第1節 村民生活の安全・安心を守る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

1 情報伝達体制の確立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

2 放射線量の測定と公表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

3 村民の健康管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28

4 除染作業の計画と実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

第2節 風評被害対策の強力な推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

1 観光分野での風評被害払しょく対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

2 農業分野での風評被害払しょく対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

第3節 損害賠償の完全実施に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

Ⅰ 自然・歴史・文化を活かして観光と商工業が発展する村・・・・・・・・・・・・・・34

第1節 豊かな自然を守り、次代に引き継ぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

1 自然環境・自然景観の保全・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

2 自然を活かしたむらづくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

第2節 観光地「裏磐梯」を核とした観光の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

1 観光基盤の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

2 観光入込客数と宿泊者数の増加・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

第3節 商工業の振興と雇用の創出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

1 商業の活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

2 工業の活性化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

3 雇用機会の創出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

Ⅱ 地域の風土を活かして特色ある農林漁業を展開する村・・・・・・・・・・・・・・・43

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第1節 地区の特色を活かした農業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

1 農業生産基盤の確立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

2 農家所得の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44

第2節 森林資源を活用した林業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

1 林業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

2 森林資源の保全と活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47

第3節 漁業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48

1 内水面漁業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48

2 観光レクリエーションとしての漁業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48

Ⅲ 健康と福祉が充実し、一人ひとりがいきがいを持っていきいきと暮らせる村・・・・・50

第1節 地域ぐるみで取り組む保健の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

1 保健活動の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

2 健康づくり活動の普及・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51

第2節 身近な医療体制の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

1 地域医療体制の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

2 診療所の運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53

第3節 生活に密着した福祉の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54

1 福祉施策の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54

2 医療福祉制度の運営ときめ細やかな制度の設計・・・・・・・・・・・・・・・・・56

Ⅳ 子どもからお年寄りまで、ずっと笑顔で明るく元気に暮らせる村・・・・・・・・・・58

第1節 教育の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

1 家庭教育の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

2 幼児教育の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

3 学校教育の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

第2節 生涯学習機会の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63

1 生涯学習推進体制の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63

2 社会教育の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64

第3節 子育て支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66

1 少子化対策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66

2 子育て支援の制度化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66

Ⅴ スポーツや芸術文化が盛んで、歴史を守り引き継ぎ、健康で心豊かに暮らせる村・・・69

第1節 スポーツの振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69

1 スポーツ・レクリエーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69

2 スポーツによる交流を通じての地域振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71

第2節 芸術・文化の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72

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1 芸術活動の活性化、芸術振興事業の展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72

2 文化活動の活性化、文化振興事業の展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73

第3節 歴史文化の保存と継承・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74

1 歴史資源の保存・継承・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74

2 歴史資源の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75

Ⅵ 暮らしの環境が整い、地域ぐるみで安全を守る安心な村・・・・・・・・・・・・・・77

第1節 生活環境(インフラ)の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77

1 住宅・住環境の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77

2 インフラの整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79

第2節 生活の利便性の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82

1 環境と共生した暮らしやすい村・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82

2 生活の利便性を高める・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83

第3節 安全で安心な地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86

1 防災(災害に強いむらづくり)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86

2 消防・救急・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88

3 交通安全・防犯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89

Ⅶ 住民と行政が一体となってむらづくりを進める村・・・・・・・・・・・・・・・・・92

第1節 村民と行政のコミュニケーションを高めるために・・・・・・・・・・・・・・・92

1 広報広聴活動の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92

2 交流活動の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93

第2節 時代に即応したむらづくりの運営のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・94

1 むらづくり活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94

2 広域行政・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95

第3節 健全な行財政のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97

1 行政運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97

2 財政運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98

資 料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101

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第1部 序 論

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1

【第1章】計画策定の趣旨

総合振興計画は、わたしたちの村が目指す将来像とそれを実現してい

くためのむらづくりの取組みを定めたものです。

むらづくりの進むべき方向を定めた総合振興計画は、村民と行政が同

じ目標を持って、協働により村民が望むむらづくりに取り組むために欠

かせないものです。

村は、村民と行政が一丸となって、地域振興と課題解決を図る「協働

のむらづくり」を基本としてむらづくりを進めていきます。

村民と行政が同じ思いを持つことで、住む人が望む、より良いむらづ

くりができます。

総合振興計画は、むらづくりの最も基本的な計画であり、この計画に

基づいてむらづくりをおこなっていきます。産業、保健・医療・福祉、

教育、生活環境整備などそれぞれの分野で個別の計画を立てることがあ

りますが、それらの計画も総合振興計画の内容に即してつくることにな

ります。総合振興計画をみれば、むらづくり全体のあらましや方向性が

わかることになります。

総合振興計画は、協働のむらづくりの指針として、村民みんなでつく

る計画です。

新しい振興計画のなかでは、将来の村の姿と実現するための構想・計

画を描き、自然環境、歴史・文化を活かした産業振興と教育、文化、ス

ポーツの振興を図り、子どもからお年寄りまで住んで良かった、訪れて

良かったと思えるむらづくりを積極的に進めていきます。

~ キャッチフレーズ ~

元気であったか・こぞって創るいい村北塩原

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【第2章】計画の性格

計画の性格は・・・

この計画は、村における総合的かつ計画的な行政運営のために定める

基本構想及び基本計画です。

計画の内容は・・・

この計画で、本村の望ましい姿と将来方向を定め、実現のための施策

を明らかにします。

また、関係機関の計画と整合性を併せ持っています。

計画の活用は・・・

むらづくりの主役である村民と行政とが協働でむらづくりを進めるた

めの共通の尺度とし、行財政運営の指針として活用します。

国や県に対しては、村の基本方針として示すことにより、積極的な支

援と協力を要請します。

また、社会情勢の変化に応じて見直しながら、弾力的な運用を行いま

す。

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【第3章】計画の構成と目標期間

この計画は、村民の暮らしを支える7つの柱を基本目標として、村民

の生活が輝き、産業が活気に満ちたむらづくりを進めるための基本構想、

基本計画及び実施計画により、総合的な展望に立って策定します。

【1】基本構想

これまでのむらづくりの理念やその成果を継承し、また、社会経済情

勢の変化による新たな課題等を捉えながら、平成24年度から平成28

年度までの5か年を計画期間として、本村の目指すべき将来像や目標を

示します。

【2】基本計画

この計画は、総合的かつ計画的に村政に取り組むための指針となるも

のであり、今後5年間に策定される施策を個別的に示します。

なお、中間となる平成26年度に、社会経済情勢に応じて点検・見直

しを図ります。

【3】実施計画

基本計画に基づく各事業を十分な調整を図りながら具体化し、毎年度

の予算編成及び事業計画の指針とするものです。

年度

区分 24 25 26 27 28

基 本 構 想 目標

基 本 計 画 中間

見直し

実 施 計 画

予算編成及び事業計画の指針

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【第4章】北塩原村の概要

むらづくりにあたっては、地域の特性を正しく理解し、豊かな自然環

境、歴史・文化を十分に活かしながら新たな可能性を追求することが重

要です。本村の特性を整理するとおおむね以下のようになります。

1 位置と自然

本村は、福島県の北西部に位置し、役場は北緯 37 度 39 分 09 秒、東

経 139 度 56 分 18 秒にあります。

総面積は233 .94k㎡ で、東西22 .5㎞、南北19 .3㎞に渡ってい

ます。

地形的には標高 200~300mの北山地区、400~500mの大塩地区、

800~1,000mの桧原・裏磐梯地区の三地域に大きく分かれています。

地理的には、南東に磐梯山、東は西大巓・西吾妻山が連なっています。

また、高曽根山より源を発する大塩川が大塩・北山地区を縦走し、流域

にほ場が整備され、田園風景が形成されています。

桧原・裏磐梯地区においては、明治 21 年(西暦 1888 年)の磐梯山

大噴火により、吾妻川、大川入川、小野川、中津川などが堰き止められ、

周囲 47.0 ㎞、面積 10.47k㎡ の桧原湖、周囲 12 ㎞、面積 1.7k㎡ の小

野川湖、周囲 24.0 ㎞、面積 3.7k㎡ の秋元湖のほか、曽原湖、五色沼な

どの 300 とも言われる湖沼群が生まれ、磐梯山をはじめとする周囲の

山々とあわせて美しい自然景観を創り出しました。当地域は、昭和 25

年に国立公園に指定され、県内随一の観光地となり、平成 22 年度に指

定 60 周年を迎えました。

気候は北日本型の積雪寒冷地帯であり、北山・大塩地区は、盆地型気

候、桧原・裏磐梯地区は、夏涼しく冬には雪深い、山地特有の気候とな

っています。

主な産業としては、北山地区は農業経営が中心で、製造業の工場や事

務所が集積しています。大塩地区では小規模農業経営が大部分で、数軒

が大塩裏磐梯温泉として旅館を営業しています。桧原地区は高原野菜の

生産と直売、民宿経営など、農業と観光が中心となっています。裏磐梯

地区は豊かな自然環境を資源として、観光が産業の中心となっています。

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2 村の沿革

会津地域の歴史は古く、本村においては、中世期以降、大塩・桧原な

どで生活を営んでいたとの記録が残っており、大塩での塩井の開発、ま

たは会津から米沢に至る交通要所として、当時から特色ある開発が行わ

れていました。

明治 21 年、磐梯山が大噴火し、現在の桧原・裏磐梯地域を中心に被

災、噴火の岩屑によって川の流れが堰き止められ、桧原湖をはじめとす

る湖沼群が形成されました。

北塩原村は明治 22 年町村制以来、北山村・大塩村・桧原村が存置さ

れ、以来3ヶ村は役場事務組合として事務処理がなされ、昭和 29 年3

月 31 日、町村合併促進法により北山村・大塩村・桧原村を廃止、「北

塩原村」が誕生し、現在に至っています。

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3 人口・世帯数

① 人口及び世帯数の推移

国勢調査によると、村の人口は、平成2年に3,812人、平成22

年には3,185人(△627人)と大きく減少しております。

世帯数は、平成2年に994世帯で、平均世帯人数が3.87人、平

成22年は1,052世帯(+58世帯)で、平均世帯人数3.04人

となっており、核家族化など世帯人数の減少が進んでいることを示して

います。また、過去の人口推移から将来人口を予測すると、10年後の

平成32年には2,900人程度と推計されます

●人口及び世帯数の推移

(単位:人、世帯)

(資料:国勢調査)

●将来人口の予測(コーホート法による)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成27年 平成32年 平成37年

総 数

0歳~14歳

15歳~64歳

65歳以上

総 数 男 女 総 数 1人 2人 3~4 5~6 7人以上

1990年(平成2年)

3,812 1,865 1,947 994 992 158 184 282 233 135 2 3.84

1995年(平成7年)

3,859 1,893 1,966 1,188 1,188 347 208 287 241 105 0 3.25

2000年(平成12年)

3,644 1,783 1,861 1,094 1,093 261 231 291 215 95 1 3.33

2005年(平成17年)

3,475 1,718 1,757 1,106 1,103 288 238 323 186 68 3 3.15

2010年(平成22年)

3,185 1,590 1,595 1,052 1,049 242 270 332 152 53 3 3.04

1世帯

当り年 度

人 口世帯数

一 般 世 帯 その他

の世帯

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7

② 人口構造

人口年齢構造を平成2年と平成22年とで比較してみると、0~14

歳人口は44.2%減り、15~64歳人口も21.0%減っています

が、65歳以上人口は28.9%増えています。

今後もこのように、少子高齢化が進むことが予想されます。

●年齢別人口構造の推移

(単位:人)

(資料:国勢調査)

0~4 5~9 10~14 15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69 70~74 75~79 80~84 85~89 90~94 95以上 合計

総数 187 261 296 204 130 195 223 324 274 198 197 298 334 254 176 130 82 38 10 1 3,812

男 96 140 140 97 61 96 123 166 158 106 98 131 161 109 80 53 30 14 6 0 1,865

女 91 121 156 107 69 99 100 158 116 92 99 167 173 145 96 77 52 24 4 1 1,947

総数 166 202 272 253 251 153 201 213 338 281 197 196 276 311 238 150 100 50 10 1 3,859

男 83 102 147 114 118 72 109 110 179 164 109 100 118 142 101 65 37 19 4 0 1,893

女 83 100 125 139 133 81 92 103 159 117 88 96 158 169 137 85 63 31 6 1 1,966

総数 160 165 196 236 210 167 167 221 212 331 277 183 193 245 274 201 116 65 20 5 3,644

男 86 83 96 118 96 86 83 121 121 171 154 94 98 101 120 82 44 21 7 1 1,783

女 74 82 100 118 114 81 84 100 91 160 123 89 95 144 154 119 72 44 13 4 1,861

総数 117 156 166 193 167 190 152 160 220 227 332 278 182 185 226 235 160 83 40 6 3,475

男 66 87 86 95 91 99 91 73 121 124 173 160 94 91 88 93 51 27 6 2 1,718

女 51 69 80 98 76 91 61 87 99 103 159 118 88 94 138 142 109 56 34 4 1,757

総数 127 132 156 129 134 146 161 143 170 201 222 307 266 175 170 182 188 121 43 12 3,185

男 70 78 89 61 76 81 87 77 79 104 126 152 159 88 76 68 67 41 10 1 1,590

女 57 54 67 68 58 65 74 66 91 97 96 155 107 87 94 114 121 80 33 11 1,595

2010年

(平成22年)

1990年

(平成2年)

1995年

(平成7年)

2000年

(平成12年)

2005年

(平成17年)

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8

4 産業別就業者

① 就業者構造

平成22年の就業人口は1,641人で、第1次産業は14.2%、

第2次産業は20.8%、第3次産業が65.0%になっています。

平成2年から比べてみると、第1次産業は約40%減少し、第2次産

業は50%近く減少していますが、第3次産業については、7%ほど増

加しています。

●産業別就業者の推移

(単位:人)

(資料:国勢調査)

第一次産業 第二次産業 第三次産業

1990年(平成2年)

389 629 999

1995年(平成7年)

319 560 1,270

2000年(平成12年)

263 464 1,156

2005年(平成17年)

271 407 1,174

2010年(平成22年)

233 341 1,067

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第2部 基 本 構 想

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第1章 目指すべき将来像

1 むらづくりの基本理念と将来像

むらづくりの目標は、村民が村に誇りを持ち、将来にわたって夢と希望をもっ

て健康に毎日を暮らすことができる村をつくることです。

地域主権、少子高齢社会、地球温暖化、情報社会の進展など大きく変化してい

く社会情勢にあって、この目標を達成するためには、生活の基盤を着実に整備す

るとともに、村の特色や地域資源を活かしながら、村民、企業・団体、行政が一

丸となってむらづくりに取り組んでいくことが必要です。

村には、自然、歴史・文化、産物など、魅力的な地域資源がまだまだたくさん

あります。これらを「知る・学ぶ・守る・伝える」活動を通じて、地域の資源を

掘り起こし、活用していくことを目指します。

地域資源を見つめ直す活動によって、農林漁業、商工業、観光などの産業に活

力が生まれ、経済が活性化し、そして雇用も生まれていきます。

村民と行政のコミュニケーションをさらに高め、それぞれの特色を活かす地区

間の交流、お年寄りの知恵をお借りするなど世代間の理解を深め、村がひとつに

なって目標に向かって、戦略的に進めて行くことが要求されます。

村民の生活と風景、産業が自ら輝き、「住んでよかった」「訪れてよかった」

と思え、子どもから若者、お年寄りが笑顔と活気にあふれる村を共に支え合いな

がら育てていくことがむらづくりの目標です。

むらづくりの基本理念を踏まえ、村民、企業・団体、行政が一体となって取り

組むことによって築かれる村の将来像を次のように掲げ、実現に向けて各施策を

展開していきます。

元気であったか・こぞって創るいい村北塩原

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≪むらづくりの体系≫

観光・商工業の発展

特色ある農林漁業の展開

3 健康と福祉の充実

教育の充実と子育て支援

スポーツと芸術・文化の振興

安全・安心

7 村民と行政が一体となったむらづくり

【地域資源】

自然・歴史・文化・産業・生活文化・伝統芸能など

【生活基盤】

住宅・雇用・道路・上下水道・生活環境など

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第2章 東日本大震災からの復興

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、その被害が甚大であり、か

つ、その被害地域が広範囲にわたる等、極めて大規模なものでした。さらに、地

震、津波並びにこれらに伴う原子力発電所事故による複合的なものである点で、

国家的な危機的状況にあります。

特に、村が直面している原子力災害に伴う損害は、長期にわたり、村内全域で

様々な分野に及んでいます。

放射性物質の拡散による直接的な被害、風評被害や間接被害等の経済的損害、

精神的な損害などこれまでに被った、そして今後被るであろう損害について幅広

くとらえ、国の責任の下、被害の実態に合った確実かつ迅速な賠償を求めていき

ます。

国においては、東日本大震災復興基本法(平成23年法律第76号)の成立、

法に基づく東日本大震災からの復興の基本方針が示され、福島県においても、①

原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり ②ふくしま

を愛し、心を寄せるすべての人々の力を結集した復興 ③誇りあるふるさと再生

の実現を基本理念とする『福島県復興ビジョン』とその実現に向けた『復興計画』

が策定されています。

村では、村長を本部長とする風評被害対策会議を設置し、全体会議、農業部会、

商工観光部会の開催を通じて、情報の共有化を図り、対策について協議をしなが

ら実施しているところです。

また、各地区や学校、公共施設での放射線量の測定や水道水や農産物などのモ

ニタリング調査(放射性物質の測定)を実施し、その結果をお知らせしています。

電子ポケット線量計の貸し出しなど、妊婦や子どもたちの健康管理に努めていま

す。

村民生活の安全・安心を第一に考えながら、産業の復興のために、今こそ絆の

もと、村民、関係団体、行政が一体となって復興に取り組んでまいります。

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第3章 施策の大綱

基本目標Ⅰ 自然・歴史・文化を活かして観光と商工業が発展する村

1 豊かな自然を守り、次代に引き継ぐ

(裏磐梯の美しい自然景観や自然環境を守る取組み)

(1) 自然環境・自然景観の保全

自然の生態系は、全体としてのバランスの上に成り立っています。私たちの生

活もその一部を担っており、どこかでバランスを損なうことは全体に影響を及ぼ

し、その回復には気の遠くなるような歳月を要することになります。

この豊かで美しい自然を将来に引き継ぐためには、生物多様性の中で自然との

共生を図っていくことが必要となります。

(2) 自然を活かしたむらづくり

美しい自然景観は、光と影、山や湖、色彩などたくさんの要素から構成さ

れ、四季折々に様々な顔を見せ、私たちを魅了しています。

磐梯朝日国立公園を有する本村は、国民の貴重な財産を預かっています。

山々と湖が織りなす質の高い自然景観は、日本の湖水地方ともいえる日本を

代表する風景です。

このため、植生の保護や回復、自然に対する負荷を軽減しながら、ビューポイ

ントの整備、観光レクリエーション施設の整備を進め、保護と適正な利用に努め

ます。

2 観光地「裏磐梯」を核とした観光の振興

(観光地裏磐梯の魅力を活かして誘客する取組み)

(1) 観光基盤の整備

歴史や文化資源、郷土文化・芸術などを活かして、新たな観光基盤の整備を推

進します。

(2) 観光入込数と宿泊者数の増加

地域資源を活用しながら、エコツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツー

リズム、スポーツツーリズム(合宿の里)などの観光テーマと結び付けた多彩な

「ツーリズム」の推進を図ります。

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観光大使活動や磐梯山の日本ジオパーク認定、「日本で最も美しい村」連合加

盟を契機として、ネットワークを最大限に活用しながら、村の知名度の向上とP

Rに努めます。

国際的な会議・全国会議の誘致などにより、国際的な観光地の形成に努めると

ともに交流人口の増加を図ります。

「おもてなしの心」と、地元産の食材を利用した料理の提供により観光サービ

スの向上を図ります。

マーケティング分析(市場調査)強化や観光協会の充実により、関係機関や磐

梯山周辺町村との連携の下、地域資源を組み合わせた旅行商品の開発、体験型観

光の推進など誘客のためのキャンペーン活動を実施します。

3 商工業の振興と雇用の創出

(製造品出荷額や販売額の拡大を目指す取組み)

(1) 商業の活性化

集落ごとに散在している個人経営の商店は、地区に密着しており、交通手段を

持たないお年寄りなどを支えています。

交通量の多い主要道路沿いに立地しているため、特色のある商品構成や駐車場

整備など利便性の向上を図ることにより、通過している潜在的な客層を取り込む

ことも可能です。

商工会による経営改善指導や特産品開発による特色ある商品の提供などを促進

します。

(2) 工業の活性化

既存の企業や工場等の育成を図り、雇用の受け皿を維持するとともに、操業を

維持できる環境づくりを促進します。

(3) 雇用機会の創出

若者の定住を促進するためには、雇用の場を確保する必要があります。

企業を誘致するための条件整備を進めるとともに、既存企業の育成を図り、魅

力ある職場づくりを促進し、雇用機会の確保を図ります。

日本、特に東北地方は世界有数の地熱資源量を有しているとされ、特に磐梯山

周辺地域は、地熱開発による雇用や地域経済活動への効果が期待されています。

今後、地域資源を活かした環境・自然エネルギー、農産物加工、リサイクル、

サービス産業などの生活に根ざした分野での産業育成を図りながら、雇用機会の

創出を促進します。

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基本目標Ⅱ 地域の風土を活かして特色ある農林漁業を展開する村

1 地区の特色を活かした農業の振興

(安全・安心で付加価値の高い農産物の生産)

(1) 生産基盤の確立

農地の適切な保全・管理を進め、集落営農や法人化、共同利用機械整備など農

地の利用集積を推進することにより、農業の活性化と遊休農地の解消に努めます。

さらに、地域や関係機関と連携し、有害鳥獣による農産物への被害防止を図り

ます。

(2) 農家所得の向上

後継者や中核農家の育成、農業生産基盤の整備に努めながら、施設園芸の振興

により農業所得の向上を図ります。環境保全型農業による安全で安心な農産物を

生産し、特産品開発や農商工の連携などにより、地産地消の促進と付加価値を向

上させる取り組み(6次化)を推進します。

また、直売、体験農業や食工房など観光農業の充実、消費者団体との連携によ

り販売体制づくりを促進します。

2 森林資源を活用した林業の振興

(豊かな森林資源の保全と森林空間の活用)

(1) 林業の振興

森林の持つ多面的機能を発揮するため、病害虫防除や間伐など適正な管理を行

い、さらに再生可能な資源である木材の活用を図ります。

(2) 森林資源の保全と活用

森林は景観・自然環境を形成する重要な資源であり、自然環境保全機能、森林

レクリエーション機能など、多様な公益的機能を発揮するため、森林の保全と整

備を図ります。

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3 漁業の振興

(山々と湖に囲まれた「湖水地方」での漁業振興)

(1) 内水面漁業の振興

観光との連携を強化しながら漁業の振興を図ります。

また、持続可能な漁業発展のため、漁業協同組合と連携し生態系の保全を図り

ます。

(2) 観光レクリエーションとしての漁業

種苗生産施設や孵化施設を有効に利用し、ワカサギのブランド化を推進します。

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基本目標Ⅲ 健康と福祉が充実し、一人ひとりがいきがいを持って

いきいきと暮らせる村

1 地域ぐるみで取り組む保健の充実

(いつまでも毎日を明るく健康に暮らすために)

(1) 保健活動の推進

「自らの健康は自らつくる」を基本に、保健・医療・福祉の連携により、地域

ぐるみの健康づくりなどを図ります。

このため、生活習慣病の一次予防を重視した「より健康になるための対策」と

しての各種健診の受診率の向上、「病気を早期に見つけ、適切な行動がとれるよ

うにするための対策」、生涯を通じ「病気や障がいがあっても安心して暮らせる

ための対策」について、各関係機関と協力体制を整えながら地域保健の充実に努

めます。

(2) 健康づくり活動の普及

「自らの健康は自らつくる」を基本に、保健・医療・福祉の連携により、生涯

を通じた健康づくり活動を推進するため、温泉健康増進施設やスポーツ施設など

を活用しながら、母子・成人・高齢者保健などの充実、地域ぐるみの健康づくり

などを図ります。

2 身近な医療体制の充実

(安心して診療・医療が受けられるために)

(1) 地域医療体制の充実

地域保健医療体制の充実に向け、診療所については、村民が安心できる最も身

近な医療機関として、医師等の確保や医療機器の整備、施設の充実に努めるとと

もに、周辺の市町村と連携しながら、救急医療体制の確保、充実を図ります。

(2) 診療所の運営

身近な医療機関である村診療所を指定管理者制度により委託することで、効率

的な運営と病気への不安解消を図り、心身ともに健康な村を目指します。

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3 生活に密着した福祉の充実

(すべての村民が豊かで幸福に暮らすために)

(1) 福祉施策の充実

【地域福祉・高齢者福祉・児童福祉・障がい者福祉・ひとり親福祉・低所得者福祉】

関係機関や団体と連携し、人材の発掘と育成、ボランティア活動の活性化・組

織化など、福祉活動を通して地域住民による福祉環境の整備を促進します。

生活支援型施設や保健サービスの提供、健康づくりや生涯学習の支援、就労の

支援、文化・スポーツ活動・交流活動の推進など、地域と行政が連携しながら、

高齢者が誇りと生きがいを持って自立して生活できる環境の整備を推進します。

育児や保育への支援体制の充実など、子どもがのびのびと育ち、女性が育児と

仕事、社会活動を両立させ、安心して子どもを生み育てられる環境づくりを進め

ます。

障がいがあっても、住みなれた地域で自立して生活できるよう、早期療育や治

療・訓練体制の充実を図ります。また、関係機関や団体と連携し、介護や介助体

制の整備、社会参加しやすい環境の整備を図ります。

ひとり親家庭を支援するため、就労の支援、社会福祉協議会・地域のボランテ

ィアと連携した相談・情報提供体制の充実などを図ります。

疾病や事故、高齢化などによる低所得の生活困窮者に対し、民生委員等と連携

をとり、相談・指導体制の充実と生活保護の適正な運用など、社会的な自立に向

けて支援します。

(2) 医療福祉制度の運営ときめ細やかな制度の設計

【国民年金・国民健康保険制度、介護保険、独自給付】

老後に備えて、国民年金に関する情報提供・相談体制の充実を図り、国民年金

制度への加入、年金保険料の円滑な納付の促進に努めます。

総合健診(集団)や各種がん検診を含む施設健診の充実などによる疾病の早期

発見、重複・頻回受診者に対する適正受診の促進を図ります。また、健診未受診

者に対しては、適切な介入や受診勧奨により、疾病を未然に防ぎ、疾病等の重症

化を最小限にし、医療費適正化と国民健康保険財政の安定を図ります。

介護保険事業計画に基づき、介護保険適正運営のための体制整備、制度活用の

ための周知、関係機関(医療機関や各支援事業所、サービス事業所等)と連携し

た介護サービスの提供、介護予防事業の推進、介護者への心身の負担軽減のため

に保険サービスの向上と充実を図ります。

高齢者のいきがいづくりのため、村独自の施策を検討し実施します。

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基本目標Ⅳ 子どもからお年寄りまで、ずっと笑顔で明るく元気に

暮らせる村

1 教育の充実

(明日を担う人づくり)

(1) 家庭教育の充実

家庭は子どもが育つ基本の場であり、学校・社会と並ぶ生涯にわたる学習の場

として位置づけられ、家庭教育の役割とその重要性を明らかにしながら、家庭や

地域の教育力の向上をめざします。

また、親子のふれあいを深め、体験活動の良さに親子で気づく機会を増やすた

め、「ノーメディアデー」を推進します。

(2) 幼児教育の充実

幼児の持つ無限の可能性を引き出すために、家庭や地域への乳幼児教育の啓発

とともに、多様化するニーズに対応した保育サービスの拡充や保育施設の充実

に努めます。

(3) 学校教育の充実

村内の幼稚園、小・中学校の教育活動において幼・小・中連携による指導の一

貫性を確立し、個々の能力や個性に応じたきめ細かな指導による学力の向上を図

るとともに、地域の特性を活かした特色ある学校づくりを推進します。

また、地域の方が持つ知識・技能を学校支援ボランティアとして協力を得、地

域全体で学校を支え、子どもを育てるための取り組みを進めていきます。

2 生涯学習機会の充実

(学び続ける環境の整備による生きがいづくり)

(1) 生涯学習推進体制の整備

村民の学習機会の充実を図り、「いつでも・どこでも・だれでも」学び続けら

れる生涯学習体制の確立を目指し、「ひとり一文化・一スポーツ運動」の推進を

図ります。

村民のニーズにあった講座・教室等の提供とそれら指導者の養成に取り組み、

持っている技術を伝える場や学んだ成果を発表する場を積極的に確保します。

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(2) 社会教育の推進

村民一人ひとりが生涯を通して新しい知識や技術を身につけ、楽しく充実した

生活ができるよう、自主活動グループの育成や出前講座の拡充により、身近な学

習機会の提供を図っていきます。

3 子育て支援

(子どもの健やかな成長と子育てのしやすい環境づくり)

(1) 少子化対策の推進

新たに婚姻をした夫婦に対し、結婚祝金を支給し、夫婦の前途を祝福するとと

もに、定住人口の増加と村の活性化を図ります。

また、次世代を担う子どもの誕生を祝福し、その健やかな成長を願い出産祝金

を支給することにより、子育て家庭を支援するとともに村民の福祉の増進を図り

ます。

(2) 子育て支援の制度化

妊娠から出産、育児まで安心して子育てができ、健全に子どもたちが成長でき

るよう、高校生までの医療費無料化、学童保育の実施、民間保育所による保育サ

ービスの実施や保育料軽減など、安心して共働きできる・子育てしやすい環境づ

くりを推進します。

今後も、女性の社会進出や就労形態の多様化など保育ニーズの変化に対応し

ていくとともに、地域、行政、様々な団体や世代等、地域社会全体で子育てを支

え合うことによって、子育て家庭すべてがゆとりと自信を持って子どもを育てら

れる生活環境づくりを目指します。

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基本目標Ⅴ スポーツや芸術文化が盛んで、歴史を守り引き継ぎ、

健康で心豊かに暮らせる村

1 スポーツの振興

(心身ともに健康な暮らし)

(1) スポーツ・レクリエーション

豊かな自然環境を活かし、いつでも、誰でも、体力・年齢・興味や目的に応じ

て、生涯にわたり多様なスポーツ・レクリエーションを楽しめるよう「ひとり一

スポーツ」運動を推進し、指導者や団体の育成に努めるほか、学校体育施設等の

利用を促進します。

スポーツの振興によって、心身の健康、自主的なスポーツ活動の推進、競技力

の向上を図ります。また、ニュースポーツの導入を推進するなどスポーツ人口を

増やすための普及に努めます。

(2) スポーツによる交流を通じての地域振興

ふくしま駅伝への参加の検討、近隣市町村の大会参加や友好自治体、合宿で訪

れる学生とスポーツで交流する機会を設け、他地域との交流の輪を広げます。

2 芸術・文化の振興

(生きる喜びと心豊かな暮らし)

(1) 芸術活動の活性化、芸術振興事業の展開

芸術団体等の活動組織の育成を図り、芸術振興事業を展開することにより、村

民の芸術活動への参加を促進します。

(2) 文化活動の活性化、文化振興事業の展開

文化団体等の活動組織の育成を図り、文化振興事業を展開することにより、村

民の文化活動への参加を促進します。

3 歴史文化の保存と継承

(歴史と文化が息づくむらづくり)

(1) 歴史資源の保存・継承

村内にある貴重な城館跡については、地域の宝として、保存・整備を行い、次

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の世代へ継承します。特に、柏木城の活用に向けた取り組みを推進します。さら

に、村内の城館及び旧街道を「物語」として結びつけ、国・県の史跡指定に向け

た専門的な活動についても努めます。

(2) 歴史資源の活用

地域に根ざした伝統文化・地域資源をはじめ、民俗資料の収集に力を注ぎ、有

形・無形の貴重な文化遺産の保存とむらづくりへの一層の活用を図り、豊かな文

化が育まれるように努めます。

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基本目標Ⅵ 暮らしの環境が整い、地域ぐるみで安全を守る安心な村

1 生活環境(インフラ)の整備

(住みやすい村)

(1) 住宅・住環境の整備

定住促進の基礎となる住宅施策を総合的に進め、日常生活の利便性はもとより、

快適な地域づくりを促進することで、住環境の満足度向上に努めます。さらに、

現代の住宅ニーズに対応した公営住宅の建設と適切な維持管理に努めます。

また、空き家の解消は地区の活性化を図るうえでも重要な問題であり、空き

家の実態を把握するとともに、村営住宅・宅地造成の整備と併せて定住・二

地域居住を推進し、自然と共生する快適で安全な居住環境づくりを図ります。

土地は、かけがえのない財産であり、生活や生産など諸活動の共通基盤です。

このため、地域の特性や条件を踏まえ、長期的・広域的視点に立った計画的な土

地利用を図ります。

自然環境や歴史的な風土の保全を図りながら、安全で快適な均衡のとれた村の

整備及び産業の振興を図るため、効率的な土地利用の推進に努めます。

また、快適な住環境を維持するために、ゴミの分別収集やリサイクル体制の整

備など廃棄物の適正な処理を推進します。

(2) インフラの整備

国道や県道は、村民の生活や経済活動の重要な基盤であることから、改良等に

ついて、関係機関へ要望していきます。村道等の生活道路においても、重要性・

緊急性を見極め、優先順位を明確にしながら、今後も計画的に整備し地域を結び

付けていきます。橋りょうの長寿命化計画に基づく適切な維持管理など、道路利

用者の安全・安心を確保します。

生活様式の変化や下水道の普及などによる水需要量の増加に対応するため、安

定した水源の確保、水道施設の維持管理の合理化を図り、安全で安定した水の供

給に努めます。また、水道未普及地区については、地元の意向を調査しながら整

備を進めます。

裏磐梯湖沼群や河川の水質を保全するため、下水道区域の見直しや認可区域外

の地区での合併浄化槽の整備を進めます。また、計画的に加入促進を実施し、安

定した維持管理に努めます。

光ファイバ通信網を活用した双方向通信による住民への情報提供の充実を図り

ます。また、スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末などの普及に

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伴い、産業やビジネス、子どもからお年寄りまで分野や世代を超えた幅広い活用

を図ります。

緑が豊かな公園緑地は、暮らしに憩いや安らぎを与え、また、災害時の避難で

のオープンスペースとしての役割をもつため、その整備を促進します。

2 生活の利便性の向上

(便利で暮らしやすい村)

(1) 環境と共生した暮らしやすい村

村地域新エネルギービジョンに基づき、新エネルギーの公用車や公共施設への

導入など、積極的な取り組みを推進します。

また、再生可能エネルギー活用や村民参加によるエコ活動によって、環境保全

に対する意識の醸成・実践を図り、環境負荷の少ない持続可能な循環型社会の形

成を目指します。

ゴミの減量化、観光客のゴミ持ち帰り、ポイ捨て防止などを進めるとともに、

ゴミの分別収集及びリサイクルの徹底と環境保全の必要性を広く村民に理解して

いただくための啓発活動を推進し、循環型の住みよい環境づくりを目指します。

(2) 生活の利便性を高める

路線バスについては、学校へ通学する児童・生徒や高齢者などが利用しやすい

ダイヤを確保し、観光客の2次交通手段と組み合わせながら利便性の向上を図り

ます。また、高齢者の無料化や村民バス回数乗車券などにより、利用者の増加を

図ります。

路線バスの停留所まで距離のある地区には、コミュニティバスを運行し、より

身近で使いやすい公共交通の体制を整えます。

本村は特別豪雪地帯であり、冬期間の交通網の確保は、地域住民にかかせない

最重要課題であり、除雪機械の計画的な更新と適正な配置、除雪ステーションの

整備など、迅速かつ安全な除雪体制を図ります。

一方、雪は水の確保やスキー場、冬のイベントなど、村民生活や観光の振興に

欠かせない資源でもあります。克雪、利雪、親雪の視点から様々な事業を展開し

ます。

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3 安全で安心な地域

(地域ぐるみで生活の安全を守る村)

(1) 防災(災害に強いむらづくり)

村民が安心して暮らすためには、様々な災害に備えること、災害発生した場合

の適切な対応、さらには迅速な復旧を行う必要があります。

地域防災計画に基づき、村民の防災意識を高め、地区ごとの自主組織の育成・

強化、職員の連絡・動員体制の強化、防災無線システムの更新、周辺市町村・関

係機関などとの連携体制の強化などを図り、大地震や火山、風水害への対応をは

じめとする災害に強い安全・安心なむらづくりを総合的に推進し、村民の生命・

財産を守ります。

また、計画的に公共施設の耐震化を進め、利用者の安全を確保します。

(2) 消防・救急

喜多方地方広域市町村圏組合による常備消防力の強化、非常備消防団装備の充

実を図るとともに、村民の防火意識の高揚、観光施設の自主防災体制への指導、

査察などの予防対策を講じ、また、救急医療体制の充実に努めます。

会津若松地方広域、喜多方地方広域の両消防本部が共同で運用する指令センタ

ーにより、消防車や救急車の出動が効率化され、会津地方の13市町村の通報・

出動体制が一つになり安全と安心が高まります。

(3) 交通安全・防犯

交通量の増加、運転者の高齢化、交通行動の多様化などにより、交通事故の要

因が増加しています。

交通安全施設の整備と運転者や歩行者に対する交通安全教育の徹底などにより

「交通事故のない村」を目指します。

また、広域化、低年齢化、複雑化する犯罪の未然防止のために、村・関係機関・

地域社会が一体となって防犯体制を整備し、防犯活動を展開します。

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基本目標Ⅶ 住民と行政が一体となってむらづくりをすすめる村

1 村民と行政のコミュニケーションを高めるために

(1) 広報広聴活動の充実

広報「きたしおばら」の充実、防災行政無線の効果的な活用、インターネット

などによる広報・広聴機能の充実を図り、情報発信の強化を推進します。

村のホームページを魅力的な内容に高め、北塩原村の元気を積極的に発信しま

す。

これらの情報発信を通じて、村民・団体・行政との円滑な情報交換により、村

政に対する村民の理解を深めます。

(2) 交流活動の推進

国際交流事業の推進及び国内市町村との交流活動を推進し、むらづくりの中核

である女性や若者を対象として、話し合い、課題を設定した派遣事業を実施する

ことによって、広い視野を持つ人材の育成を進めます。

また、他の地域の人々や文化とふれあうことにより、交流を深めながら自分た

ちの村の良さを再発見し、今後の村の活性化を図ります。

2 時代に即応したむらづくりの運営のために

(1) むらづくり活動

少子高齢化が進行し、集落機能の維持や集落活性化のためには、これからの時

代に対応した個性豊かな地域づくりを進めるとともに、村民と行政との協働のむ

らづくりが必要です。

各種行政計画の策定・実施・点検・見直しへの村民参画・協働の促進、多様な

村民活動、むらづくり活動の促進、民間活力の導入など、村民との協働体制の確

立を図ります。

地区が主体となり取り組む活動を推進するために、むらづくりパートナーが地

区の方と共に話し合い、積極的に地域づくりに取り組みます。

また、多様なニーズに対応していくためには、女性の感性や価値観などがあら

ゆる分野において必要とされています。女性が様々な活動に参画する機会を確保

するため、社会経済情勢の変化に対応した意識改革などの環境を整備します。

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(2) 広域行政

村では、消防、衛生処理、介護認定等広域的に実施することが効率的な業務に

ついて広域的な運営を行っています。

広域行政のニーズも高度化しており、引き続き、効率的な運営が求められてい

ます。今後も広域連携の可能性を調査・研究し、広域連携事業や事務の広域化な

ど県や町村間の広域的な活動について検討していきます。

3 健全な行財政の運営のために

(1) 行政運営

行政に対する村民のニーズは多様化、複雑化し、単なる経済的な豊かさのみを

求めるのではなく、快適な生活環境や実りある文化的生活等の質的向上が求めら

れています。

様々な行政ニーズに的確に対処し、総合的な行政の運営をしていくためには、

組織の見直し、職員の能力向上、新たな行政ニーズに積極的に取り組む柔軟な体

制づくりが求められています。

行政事務の電子申請・ワンストップ化を推進し、行政サービスの質を出来る限

り維持しながら、効率的でスリムな業務へ改善します。

何より、村民に親しまれ、信頼される行政運営を基本とします。

(2) 財政運営

厳しい社会経済情勢のなかで、北塩原村が安定した財政基盤を確立していくた

めには自主財源の確保に努める必要があります。

また、今後多様化する新たな行政ニーズに的確に対応するために、国・県等の

動向を注視するとともに、社会情勢に合わせた的確な財政の見直しを十分に行い、

時代の要請に対応できる弾力ある財政運営、効率的で効果的な財政運営に努めま

す。

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第3部 基 本 計 画

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27

東日本大震災からの復興と原子力事故災害の克服

東日本大震災からの復興、福島県の復興は、国、県、市町村、民間団体、企業

等、様々な主体が力を合わせ、一丸となって取り組まなければならないことは

言うまでもありません。

東日本大震災復興特別区域法の成立、福島復興再生特別措置法(仮称)関連の

税制改正法、復興庁の開設など国による復興への後押しの枠組みが整いつつあ

る状況にあります。

また、福島県においても、福島県復興ビジョン、福島県復興計画(第一次)が

策定されました。

第四次総合振興計画書では、村民の生活を守り、安全に安心して生活できる

基盤を整備し、暮らしを支える経済の活性化を中心とした復興と、村のさらな

る振興を図っていくための基本計画を示すこととします。

第1節 村民生活の安全・安心を守る

1 情報伝達体制の確立

◆現状と課題

東日本大震災では、中継局が被災し、電話や携帯電話が使用できず、関係機

関との連絡や住民からの問合せに対応できない場面がありました。

このため、中継局やケーブル施設を必要としない村防災無線が、行政からの

住民への指示・連絡手段として見直されました。

また、休火山である磐梯山と共生する本村では、火山防災としての連絡体制

も確立する必要があります。

◆計画の目標

自然災害発生時や火山防災に係る連絡体制を整備し、住民が安全にそして安

心して生活できる体制を整備します。

◆施策の体系

情報伝達体制の 北塩原村防災計画の周知

確立 防災無線の活用・設備更新

関係機関、連絡組織との情報伝達の確認

◆主要施策

(1)北塩原村防災計画の周知

災害時において、村民と行政が共通の認識のもとに行動ができるよう「北

塩原村防災計画」の周知を図ります。

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(2)防災無線の活用・設備更新

防災無線の活用を図りながら、デジタル化に向けての調査、設備の更新を

計画していきます。

(3)関係機関、連絡組織との情報伝達の確認

関係機関との情報技術を活用した防災情報伝達手法についての調査検討を

行います。

2 放射線量の測定と公表

◆現状と課題

福島第一原子力発電所の事故は放射性物質の拡散を引き起こし、住民生活に

大きな不安を与えました。安全の基準や対策の方法が、完全には確立されてお

らず、知識も不足していたことなどが、不安をさらに助長させています。

◆計画の目標

放射線量を測定し、正確な情報を関連情報やホームページなどでお知らせし

ていきます。

◆施策の体系

放射線量の 教育施設での定期的な測定と公表

測定と公表 公共施設・運動施設での定期的な測定と公表

地区ごとの定期的な測定と公表

◆主要施策

(1) 教育施設での定期的な測定と公表

幼稚園、小学校、中学校の6箇所での定期的な測定と関連情報での公表を

継続していきます。

(2) 公共施設・運動施設での定期的な測定と公表

公民館やグラウンドなど主要な施設10箇所での定期的な測定と関連情報

での公表を継続していきます。

(3) 地区ごとの定期的な測定と公表

北山地区、大塩地区、桧原地区、裏磐梯地区の4箇所での定期的な測定と

ホームページや関連情報での公表を継続していきます。

3 村民の健康管理

◆現状と課題

本村では、原発事故で放出された放射性物質による、長期間の低線量被ばく

の健康影響が懸念されるため、村民の心と身体の健康を見守っていく必要があ

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ります。

◆計画の目標

科学的な知識と医学的な知見に基づきながら村民の健康管理に努めます。

特に、妊婦や子どもの健康管理を重点的に進めていきます。

◆施策の体系

被ばく線量の把握

村民の健康管理

心身の健康状態の把握

◆主要施策

(1) 被ばく線量の把握

妊婦や子ども等に個人線量計やサーベイメーターを貸出し、被ばく線量を

個別的に把握できる体制を整え、子どもを健やかに産み育て、安心して生活

できるよう相談・支援を行います。

(2) 心身の健康状態の把握

福島県が実施する県民健康管理調査や関係機関との連携により、長期的な

健診・支援体制の確立や適切な情報の提供に努め、村民の心身の健康状態を

長期的に把握していきます。

4 除染作業の計画と実施

◆現状と課題

放射性物質汚染対処特別措置法(H24.1.1施行)に基づく、国による本格

的な「除染」の取り組みがスタートし、国が責任を持って取り組む枠組みがで

きました。

しかし、目標とする基準、集めた放射性物質の安全な管理の場所や方法、最

終的な処理方法など、検討課題が残されています。

村民の安全や安心な生活を取り戻すためには、身の回りから受ける放射線量

を減少させるため、放射性物質を取り除く、その線量を低減するなどの国によ

る「除染」作業の実施が要請されています。

◆計画の目標

国や関係機関との協力、連携のもと、原発事故以前の村の環境を取り戻すた

め、「除染」対策に努めます。

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◆施策の体系

除染作業の実施に向けた検討

除染作業の計画と実施

国による「除染」の取り組みへの協力

◆主要施策

(1) 除染作業の実施に向けた検討

環境放射線量の測定結果に基づき、村民の安全や安心な生活を取り戻すた

めに必要となる「除染」作業の実施に向けた検討を行います。

(2) 国による「除染」の取り組みへの協力

法律の施行により本格化する国による「除染」の取り組みの動向を注視し

ながら、必要な協力を実施していきます。

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第2節 風評被害対策の強力な推進

1 観光分野での風評被害払しょく対策

◆現状と課題

東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で宿泊施設のキャンセルが相次

ぎ、裏磐梯でのスキー客、教育旅行、合宿利用など大きな打撃を被りました。

事故の収束が見えない状況が風評被害にさらに拍車をかけ、深刻な事態とな

りました。

首都圏での物産展や誘客活動の実施、マスコミを通じて村の安全性を懸命に

PRした結果、県外からの観光客は戻りつつあります。

これからもあらゆる活動を通じて村の安全性を発信しながら、事故以前の姿

を取り戻していく必要があります。

◆計画の目標

風評被害の払しょく対策を実施し、個人旅行や教育旅行などの団体での宿泊、

スポーツ・文化の合宿利用、スキー場利用者など、原発事故以前の入込の回復

を図ります。

◆施策の体系

観光分野での 広告宣伝事業

風評被害払しょく対策 PR(キャンペーン)活動

誘致活動

◆主要施策

(1) 広告宣伝事業

裏磐梯の安全・安心とその魅力をPRするため、テレビやラジオ、新聞、

雑誌などへの広告を適時実施していきます。

(2) PR(キャンペーン)活動

NHK大河ドラマ「八重の桜」との連携など、村の歴史・文化資源を全国

に発信できるよう働きかけていきます。

旅行代理店への販売促進など、商品の造成に向けたPR活動を実施します。

(3) 誘致活動

教育旅行やスポーツ合宿の誘致、インバウンド(※)受け入れ体制の整備

を推進し、裏磐梯への誘客を図っていきます。

福島県内を対象とした体験活動を促進する事業について、福島県と連携し

ながら継続していきます。

(※)他地域からの入域客。海外から日本への観光客のこと。

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2 農業分野での風評被害払しょく対策

◆現状と課題

東京電力福島第一原子力発電所の事故により、広範囲にわたり放射性物質が

拡散し、農地の土壌や農産物が大きな被害を受けました。本村の農産物は、国

や県、JAなどとの連携によりモニタリング検査を行った結果、基準値を大き

く下回り、出荷制限を受けないものの「福島県産」という消費者心理行動によ

り、深刻な風評被害を受けている状況です。

安全で安心な村の農産物を以前のように食べていただけるよう、モニタリン

グを継続しながら風評被害を払しょくしていくことが課題となっています。

◆計画の目標

モニタリングを継続して正確な情報を発信しながら、村産の農産物の安全と

安心をPRし、風評被害を払しょくしていきます。

農業と観光が一体となった物産展などのイベント・キャンペーンを通じて、

より多くの地域の方々に村の農産物をPRしていくこととします。

◆施策の体系

農業分野での モニタリングの継続

風評被害払しょく対策 情報の発信

物産展などイベントを通じたPR活動

◆主要施策

(1)モニタリングの継続

関係機関と連携しながらモニタリングを継続し、村産の農産物の安全性を

確認します。

(2) 情報の発信

農産物の測定体制を確立し、その結果について関連情報等を通じてお知らせ

しながら、村産の農産物の安全性をアピールしていきます。

(3) 物産展などイベントを通じたPR活動

観光と一体となった活動を通じて、村の水、空気、農産物などの安全性を

PRし、風評被害の払しょくを図ります。

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第3節 損害賠償の完全実施に向けて

◆現状と課題

文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会からこれまでに出されている賠償指

針(※)は、本村の実態に照らして賠償内容等が十分に反映されているとは言

えません。

このため、地域の実態に応じた完全な賠償が実施されるよう、国等に訴えて

いく必要があります。

※平成23年12月6日中間指針追補(自主避難等に係る損害)まで

◆計画の目標

原子力発電所の事故に起因する、農業や観光をはじめとする様々な分野で受

けた損害については、完全に賠償されるよう訴えていきます。

◆施策の体系

損害賠償の完全実施 損害賠償制度の理解を深める説明会の開催

に向けて 巡回相談による円滑な請求

国や関係機関への要望等の実施

◆主要施策

(1)損害賠償制度の理解を深める説明会の開催

農林漁業者や法人、個人事業主が損害賠償を請求できるよう東京電力が実

施する説明会の開催に協力し、損害賠償制度の理解が深まるよう支援します。

(2)巡回相談による円滑な請求

損害賠償請求に必要となる書類を、身近な会場で円滑に作成できるよう巡

回相談の実施に協力します。

(3)国や関係機関への要望等の実施

農業や観光など村の基幹産業をはじめ、様々な分野で受けた損害が、完全

に賠償されるよう要望を実施していきます。

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Ⅰ 自然・歴史・文化を活かして観光と商工業が発展する村

第1節 豊かな自然を守り、次代に引き継ぐ

(裏磐梯の美しい自然景観や自然環境を守る取組み)

1 自然環境・自然景観の保全

◆現状と課題

本村は、磐梯朝日国立公園に指定された貴重な自然環境を保有しており、全

国的に知られた観光地として親しまれています。さらに周辺には美しい農村景

観が広がっています。地域資源として、また村の財産、村民の憩いと自然学習

の場として、村民とともに保全活動に取り組み、後世に残していかなければな

りません。

◆計画の目標

裏磐梯高原と周辺湖沼群の恵まれた自然環境の大切さを村全体で共有し、自

然と調和した暮らしを実現するため、環境学習の充実や美化活動など、村民の

自然環境保全に対する意識を醸成します。

◆施策の体系

自然環境・ 自然環境の保全

自然景観の保全

自然景観の保全

◆主要施策

(1)自然環境の保全

モニタリング調査の実施、また、自然への負荷の少ない観光の推進、ゴミ

の不法投棄防止、河川の浄化能力の向上などにより、多様な生物が生息する、

人にとっても魅力のある環境の保全を図ります。

(2)自然景観の保全

○ 北塩原村らしい、森や湖、川、棚田、畑などの自然景観の保全を図りま

す。

○ 史跡や石碑、石仏、雄国沼の湿原植物群落・磐梯山噴火による流山など、

長い年月と歴史のなかで形成されたものを保全し、次世代へ伝承を図りま

す。

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2 自然を活かしたむらづくり

◆現状と課題

裏磐梯高原の四季折々の姿、うるおいのある緑の森林、小川や田畑、農家の

佇まいが調和した田園風景の広がりなど、懐かしい風景はいつまでも残したい

ものです。

今後、農地や里山の荒廃が進むことが予想され、豊かな自然や景観を保全し

ていく必要があります。近年、自然への関心や自然と調和した建築デザインな

ど、人々の関心は高まってきており、村民、事業者、行政が連携し、美しい景

観のむらづくりを進めることが求められます。

◆計画の目標

裏磐梯の山々と湖が織りなす質の高い自然景観は、日本の湖水地方ともいえ

る日本を代表する風景です。美しい自然や景観を後世に残すため、村民の相互

理解と協力による積極的な自然保護と景観整備を進め、その活用に努めます。

◆施策の体系

自然を活かした 自然を活かしたむらづくり

むらづくり

ビューポイントの整備

◆主要施策

(1)自然を活かしたむらづくり

裏磐梯高原と周辺湖沼群の美しい自然環境や里山などを活用し、子どもの

頃から自然にふれる機会を増やすとともに、生物多様性をふまえ、自然と共

生する文化の継承・発展を図ります。

(2)ビューポイントの整備

○ 地区の特色を生かしながら自然と調和した景観づくりを促進し、観光誘

客を推進します。

○ 自然景観や生活の営みによってつくられた風景などの視点から、ビュー

ポイントを選定していきます。

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第2節 観光地「裏磐梯」を核とした観光の振興

(観光地裏磐梯の魅力を活かして誘客する取組み)

1 観光基盤の整備

◆現状と課題

本村は、磐梯山、桧原湖、五色沼、雄国沼湿原に代表される豊かな自然環境

を有しています。また、歴史的な遺産など可能性を秘めた資源も多く有してい

ます。

これらを「資源」として再発見し、保全しながら、観光資源としてどのよう

に活用していくのか、結び付けていくのかという戦略を構築していく必要があ

ります。観光ルートを、さらにグレードアップする視点も重要です。

◆計画の目標

自然環境を保全しながら、観光資源を見つめなおして、自然資源と歴史資源

の組み合わせによる「観光ルート」の開発に努めます。

村内全域における周遊性の向上や滞在型観光の促進を実現するため、新たな

観光資源の発掘や、商工観光関係団体・事業者・行政が一体となって、多様化

する観光ニーズをマーケティングしながら、受け入れ体制の充実を図ります。

裏磐梯地区に運動施設を整備し、スポーツ合宿の里づくりをさらに推進して

いきます。

◆施策の体系

観光基盤の整備 観光資源の開発による魅力の向上

◆主要施策

(1)観光資源の開発による魅力の向上

○ 豊かな自然とふれあうことのできる80km・19コースのトレッキング

コースが利用者に安全で快適な施設であるよう、点検・維持管理を行いま

す。

○ 自然探勝路整備を契機とした宿泊型旅行商品化の取り組みを、観光関係

者の創意と工夫により継承・発展していきます。

○ 新たな周遊観光資源を発掘し、これを年齢・目的・移動手段・滞在形態

などに応じた周遊ルートとして設定します。

○ 主要な利用拠点に駐車場を整備することにより、渋滞を緩和し、安全

で快適な観光地を目指します。

○ 誰もが観光施設を利用できるよう、バリアフリー化を促進します。

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○ 観光事業者のおもてなしの向上、観光ガイドの組織化、国際化に対応し

た看板等の設置、休憩所・トイレなど、お客様に満足してもらえるよう観

光施設整備の充実を図ります。

○ 地域に眠る資源に着目して、新たな発想やストーリーにより新たな「名

所」をつくり出していきます。

○ 「良好な景観」は地域の大きな魅力となります。このためサイン整備を

はじめとして良好な景観の形成に努めます。

2 観光入込客数と宿泊者数の増加

◆現状と課題

本村が有する多くの地域資源を、地域の情報として適時的確に発信すること

により、利用者が必要とする多様なニーズに応えることができます。

近年、旅行者のニーズは、マスツーリズムから個人やグループでの参加・体

験型にシフトしていると言われています。また、児童生徒の教育旅行での農業

体験や田舎暮らし体験などの需要も高まっています。村の資源を活用した新た

な観光開発が求められており、着地型観光として関係団体等と連携していく必

要があります。

また、本村の基幹産業である「観光と農業」の結びつきを図るには、特産品

開発のための施設、研究機関への支援、特産品を紹介する機会の確保や宣伝販

売する施設の整備など、一連のしくみを構築する必要があります。

広域でのネットワークを組みながら、エリアとしての魅力を高め誘客してい

くことが必要です。

また、「日本で最も美しい村」連合や日本ジオパークネットワークなどのネッ

トワークを強化し、磐梯山観光推進連絡協議会、会津・米沢地域観光圏、極上

の会津、会津北部置賜南部交流推進懇話会など周辺地域と連携しながら観光客

の増加を目指す必要があります。

◆計画の目標

村内全域における周遊性の向上や滞在型観光の促進を実現するため、新たな

観光資源の発掘やそれらを巡るためのコース設定、ガイドの育成、通年観光を

可能とするイベントの開催などを実施します。

地域資源を創造し継承する戦略を構築し、多様な観光ニーズに対応できる新

しい「しくみ」をつくり、訪れる方々に適時に的確な情報を提供するため、情

報発信の基盤を整備します。外国人観光客の誘致に向けての環境整備や、観光

客数を平準化し、且つ、新たな観光客の誘致を可能とする体制づくりを推進し

ます。また、観光と農業の共存・共栄できるしくみを、さらに連携強化しなが

ら生産額・販売額の向上を図ります。

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おもてなしの心を徹底することで、観光産業の振興を図ります。

さらに、既存の組織に加え、ジオパークや日本で最も美しい村連合など新た

なネットワークを活かしながら観光を推進していきます。

◆施策の体系

多彩なツーリズムの推進

観光入込客数と 知名度の向上とPR活動の促進

宿泊者数の増加 観光サービス水準の向上

交流人口の拡大促進

国際会議・全国会議の誘致推進

文化・スポーツ合宿の誘致促進

◆主要施策

(1)多彩なツーリズムの推進

○ トレッキングを中心とした自然にやさしい「エコツーリズム」を推進し

ていきます。

○ 自然体験や農村体験を取り入れた観光の再構築を図り、自然観察会など

の自然と親しむ活動に加えて、ふるさと体験メニュー(魚つかみ体験・炭

焼き体験・そば打ち体験など)をプログラム化、メニュー化することによ

り新たな商品開発を支援していきます。

○ これからは農業や健康づくりなどを観光に活用するともに、既存の観光

資源も組み合わせ、他地域との違いを持たせたニューツーリズムの推進を

図ります。(ジオツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム)

○ これまでに開発した特産品に加えて、さらに新しい資源に着目し、既存

の団体・加工・販売施設を活用しながら特産品を開発・研究していきます。

同時に、効果的なPRの手法、販売ルートの開拓をめざします。

(2)知名度の向上とPR活動の促進

○ 裏磐梯観光協会との連携を強化して、イベントやキャンペーンを展開し

ながら「裏磐梯」をPRしていきます。

○ 情報発信の準備として観光情報の収集を常時行い、データベースとして

蓄積し、各種メディアへの観光情報の提供、観光パンフレットの提供、デ

ータの提供など積極的なPR活動を実施します。

○ 観光情報を一元的に集約し発信できるよう拠点となる施設に、情報ター

ミナルを整備します。

○ 四季を通じて楽しめる、魅力あるイベントを実施して、年間を通じて誘

客できる観光地をめざします。

○ 観光客の動向調査やニーズ調査などを行い、観光業の振興に活かします。

○ 村、観光協会のホームページの機能分担を図りながら、電子時代にふさ

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わしい情報提供に努めます。

(3)観光サービス水準の向上

○ 五色沼や雄国沼に代表されるすばらしい自然を、環境負荷を軽減しなが

ら適正に利用していきます。

○ 清掃活動により、美しい自然環境を守り、観光地のイメージの向上に努

めます。

○ 旅行者のマイカー利用者の増加により、排気ガスによる自然への影響が

懸念されます。このため、公共交通機関の整備などにより自然への環境負

荷の軽減を進めます。

○ 国内外から訪れる観光客が村の魅力を十分に理解したうえで楽しめるよ

う観光ガイドを育成します。

○ 「おもてなしの心」により、「また来たい」「住んでみたい」と思われる

村を目指して、観光客と村民が良好な関係を築くことのできる観光地を形

成します。

(4)交流人口の拡大促進

○ 会津地域全体での観光振興、米沢市とのPRなど周辺地域との連携により、

広域的な滞在型観光を推進します。

また、広域的観光を推進するために必要な、新しい組織を検討していきます。

○ 広域観光に対応できる観光情報の提供について、広域観光ルートを紹介

する観光マップの作成など、他市町村と各関係機関が連携して整備します。

○ スポットからエリアへと変化している観光形態に対応するため、広域的

な観光ルートを策定します。

(5)国際会議・全国会議の誘致推進

○ 外国人観光客の受け入れ態勢を整備するため、国際化に対応した看板や

パンフレット・冊子を製作するなど、基本的な情報を提供できる環境を整

備します。

○ 観光事業者のマナーの徹底、観光ガイドの組織化、休憩所・トイレなど

基本的な施設整備の充実など、全世界・全国のお客様に満足してもらえる

環境を整備します。

(6)文化・スポーツ合宿の誘致促進

○ 高原気候や標高、山々と湖の風景などイギリスの湖水地方を想わせる裏

磐梯の特性を活かして、文化やスポーツ団体の合宿を誘致するため、運動

施設や交流施設を整備し、滞在型の観光地としての魅力を高めます。

○ 裏磐梯観光大使との協力、スポーツ大使事業により、観光地や合宿地と

してのPR活動を拡大して知名度の向上を図ります。

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第3節 商工業の振興と雇用の創出

(製造品出荷額や販売額の拡大を目指す取組み)

1 商業の活性化

◆現状と課題

本村においては、商店街と呼ばれる商業集積地は形成されておらず、会津若

松市、喜多方市に商業機能が集中しています。本村の商業は中小の事業者が多

く、経営基盤が弱いことから、消費者の減少、多様化する消費者ニーズと近郊

の大型商業施設の影響を受け厳しい状況にあります。

長期的な景気の低迷で厳しい経営環境にあり、経営活動も縮小している状況

で、経営基盤強化へ向けた支援が必要です。

このため、商工会による支援をはじめ、経営の近代化と合理化を図りながら、

観光客も対象とする事業の展開を図る必要があります。

◆計画の目標

商業の活性化のため、商工会による経営指導、融資制度の拡充により経営体

質の強化をめざします。

また、消費者動向の情報収集、観光や農業との連携を推進した経営体質の強

化、各種融資制度の効果的な活用など支援していきます。

◆施策の体系

商工会活動の促進

商業の活性化

経営改善の促進

◆主要施策

(1)商工会活動の促進

商工会の広域化を視野に入れながら活動を支援します。

商業者の経営安定化のため、制度資金の活用と利子補給補助などを継続し

て実施します。

(2)経営改善の促進

○ 消費者が好んで買い物をする商店は、豊富な品揃えや良質なサービスを

提供する魅力的な店舗です。多様化する消費生活の中で地域の商店がいか

に対応すべきか、商工会などの専門機関と連携し経営相談等を促進します。

○ 農商工連携による新たな視点からの産業の振興と、インターネットを活

用した産業振興を図ります。

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2 工業の活性化

◆現状と課題

長期にわたる景気の低迷で厳しい経営環境にあるものの、業種によっては、

積極的な設備投資など経営の基盤が強化されています。モノづくりの技術を活

かした自社製品の開発などにより、景気に左右されない企業体力の育成が課題

となっています。

◆計画の目標

国・県等の制度を活用した支援により、施設・設備の近代化、生産技術の向

上と競争力の強化を図り、技術と雇用の確保を図ります。

◆施策の体系

新規事業分野の開拓による雇用の創出

工業の活性化

技術力とアイディアを活かした製品開発の支援

◆主要施策

(1)新規事業分野の開拓による雇用の創出(企業誘致)

地熱資源開発、農産物加工、リサイクル、研究分野などの新規分野を開拓

し、雇用機会の確保と雇用の環境を整備します。

また、サービス産業やスキー場などのレジャー産業での雇用拡大や、村の

優位性をアピールすることで、企業誘致を進め雇用の創出を図ります。

(2)技術力とアイディアを活かした製品開発の支援

地域に根ざした製品や技術、サービスを創出しながら成長・発展していけ

る地域のしくみづくりを推進します。

3 雇用機会の創出

◆現状と課題

長期にわたる景気の低迷により、会津地域の雇用環境は、大変厳しい状況に

あります。

安定した雇用の場の確保や地域経済活性化のために、既存産業の活性化を図

るとともに、新たな産業の創出を目指していく必要があります。

東日本大震災により、再生可能エネルギーが注目され、本県の磐梯山周辺地

域に大きな地熱資源が存在することが確認されています。

地熱資源の開発は、多額の初期投資や法規制などの課題もありますが、投資

による経済波及効果や雇用創出が期待され、地域の発展が期待されます。

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◆計画の目標

安定した就労機会の確保や、新卒者の地元定着を目指した雇用の場の確保に

努め、女性の社会進出、高齢化など時代の流れに対応した柔軟な雇用形態の普

及など就労環境の向上に努めます。

周辺市町村との連携のもと、地熱開発を積極的に推進し、国・県等の制度を

活用した支援により地熱資源開発の振興を図ります。

◆施策の体系

新規産業進出への支援

雇用機会の創出 新規学卒者の就労支援

雇用機会均等の確保

◆主要施策

(1)新規産業進出への支援

地域特性を活かした地熱発電産業など新たな産業の誘致により雇用の創出

を図ります。

周辺市町村と連携を図り、地熱資源開発への理解を深めるとともに、地熱

資源開発企業を積極的に支援します。

(2)新規学卒者の就労支援

新規学卒者に対する求人関係情報等の提供を図るとともに、村内企業への

就職の促進に努めます。

(3)雇用機会均等の確保

男女平等の雇用促進、育児休暇制度等の導入促進を図るため、企業に対す

る啓発指導に努めます。

また、シルバー人材センター等の活動を促進し、高齢者及び障がい者のた

めの雇用機会の確保に努めます。

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Ⅱ 地域の風土を活かして特色ある農林漁業を展開する村

第1節 地区の特色を活かした農業の振興

(安全・安心で付加価値の高い農産物の生産)

1 農業生産基盤の確立

◆現状と課題

本村では、北山・大塩・桧原の各地区において、地理地形、気候、風土など

の特色を活かした農業経営が行われています。

国内では食糧自給率の向上が叫ばれ、また、消費者の安全・安心な農作物へ

の志向が高まっています。

村では、農業離れ、後継者不足による農業人口の減少、農業従事者の高齢化

が進んでおり、耕作放棄地、遊休農地が目立つなど農地の荒廃が進行していま

す。このため、農業生産基盤の保全が課題となっています。

また、生産された農産物を有害鳥獣の被害から守るため、集落や関係団体が

連携し被害防止のための広範な対策が課題となっています。

◆計画の目標

農業生産基盤と農村生活環境を整備して、定住化と集落機能の維持を図りま

す。

基盤整備、担い手育成に努めるほか、豊かな地域資源を活用した農産物の生産

と観光や他産業との連携による農村体験や食育など、新しい形態の農業の振興を

推進します。

美しい農山村景観を後世に残し、農村が果たすべき公益的・多面的機能を維

持するため、農村環境の保全を図ります。

◆施策の体系

農業生産基盤の整備促進

農業生産基盤の確立

有害鳥獣被害の拡大防止

◆主要施策

(1)農業生産基盤の整備促進

○ 農業生産の基盤であるほ場や農道、農業用水路などの施設整備や農地の

集積化や大型機械の導入、共同利用など、生産性の向上と農業経営の合理

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化、省力化を図ります。

○ 関係機関との連携により、農業の技術開発、営農情報など高度化・多様

化する情報の収集と発信に努めます。

○ 米の需要に応じた計画的な水田経営、花卉や野菜、そば等との複合経営

など、消費者ニーズに合った、持続的に発展する生産構造を構築します。

○ 安全で安心な農産物を安定して供給するため、低農薬栽培や有機農業の

拡大など環境に優しい農業経営を促進します。

○ 農業の中心的担い手である認定農業者等を育成し、経営規模の拡大と生

産性の向上を図り、農地の集積化の促進を図ります。

また、集落営農組織を育成し、生産の組織化を進めるとともに、農作業

受委託による作業の効率化を促進します。

○ 農地が有する多面的な機能を維持するため、中山間地域などにおける耕

作放棄の防止、遊休農地の有効利用を図ります。

○ グリーンツーリズムなど、都市住民等との交流を通じて、観光との連携

を図り、農業の活性化を図ります。

(2)有害鳥獣被害の拡大防止

農家が大切に育てた作物を、鳥獣被害から守るため、被害防止対策の実施、

迅速な被害額の調査、円滑な捕獲活動など地域と関係団体が一体となって有

害鳥獣対策を推進します。

2 農家所得の向上

◆現状と課題

村の農業の活性化のためには、これまでの産地化作物の生産拡大に加えて、

新規作物の導入や農産物に付加価値を付けることが課題となっています。

農業生産者が、生産から加工・販売までを手掛ける6次化を推進するために

は、加工施設の整備、加工技術の開発、ブランド化、販路の開拓など、農業と

観光・教育、食と農業、農業体験といった他産業との連携が必要となります。

◆計画の目標

安全で安心な農産物を提供するため、環境に配慮した農業生産や資源循環型

など、環境と調和した、持続的に発展できる農業を推進します。

農産物の付加価値化を高めブランドを確立するため、直売施設や加工施設の

整備充実など、できる環境や加工品などの特産品を製造・販売できる体制を整

備するなど、村内循環型の流通網を確立します。

農産物の地産地消や販路の拡大、産業及び企業間の連携による6次産業の振

興を図ります。

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◆施策の体系

農業所得の向上

農家所得の向上

農商工連携(6次化)の推進

◆主要施策

(1)農業所得の向上

○ 安定して品質の高い農産物を生産・販売する基盤となるリース用パイプ

ハウス事業の継続を検討します。

○ 地域の特性を活かした農作物の付加価値を高め、村の特産品として開発

するため、加工施設の有効利用を図り、消費者や食品業者のニーズに対応

した生産・販売や商品開発を推進し、北塩原ブランドの確立を図るととも

に、本村の農業や農産物に対する理解を促進するため、観光客等に対して

のPR活動を推進するとともに、特産品等の販売や情報提供ができるよう

な施設整備を検討します。

○ 産地化・ブランド化を推進するとともに、地域特産物の掘り起こし、新

規農産物の導入検討、農産物加工施設の設置、小規模耕作放棄地などを活

用した観光農業(グリーンツーリズムなど)に、積極的に取り組みます。

(2)農商工連携(6次化)の推進

○ 村で作り、村で売り、村で買う体制を確立するため、生産者・商店・消

費者が連携できる仕組みを検討し、地産地消を促進します。

○ 県内随一の観光地「裏磐梯」を抱える本村の優位性を活かし、消費者ニ

ーズに合った農産物の生産や直売、地場流通の拡大を促進し、農業者の顔

が見える生産・販売体制の充実など観光業との連携の強化を図ります。

○ 観光業と連携した地産地消をさらに推進するため、生産者(農家)と消

費者(観光業者)との関係構築に努めます。

○ 大手スーパーとの連携、伝統野菜やじゅんさいの復活、ため池などの農業

施設の利活用により農業と地区の振興を図ります。

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第2節 森林資源を活用した林業の振興

(豊かな森林資源の保全と森林空間の活用)

1 林業の振興

◆現状と課題

本村は、面積の80%を山林原野が占め、豊富な森林資源を有していますが、

林野面積のうち民有林はわずか30%程度であり、しかも急傾斜地が多く植林

適地が少ないことに加え、木材価格が低迷していることもあり、林業をとりま

く環境は厳しい状況にあります。

しかし、木質バイオマスが増加しており、間伐材の需要が高まっています。

また、CO2吸収機能としての理解が広まり、林業が見直されています。

◆計画の目標

森林の多面的機能の維持に加え、木質バイオマス燃料や間伐材利用など新た

な需要に対応することにより林業の振興を図ります。

◆施策の体系

多面的機能の維持

林業の振興

病害虫防除・間伐の促進

◆主要施策

(1)多面的機能の維持

○ 木材の価格低迷や外国産木材の影響などにより、厳しい状況ではあるが、

本村の森林構成を考慮しながら、地場産木材の需要拡大を図ります。

○ 菌茸、山菜、炭等の特用林産物の生産を振興するとともに、既存の展示

販売施設や体験交流施設を有効に活用し、需要の拡大を図ります。

○ 地域住民等の要請や自然条件等の地域特性を踏まえた多様な森林整備を

進めるとともに、教育、福祉、保健等の分野と連携を図りながら、自然教

育や健康づくり等の森林の利用を促進します。

○ 森林の多目的利用をめざす森林整備のための林道の開設・改良を進めま

す。

(2)病害虫防除・間伐の促進

森林整備計画に基づき、これまで造成してきた人工林の間伐を計画的かつ

円滑に推進し、健全な森林の育成を図るとともに、近年増加してきている松

くい虫等の病害虫駆除事業に取り組み、森林の整備を図ります。

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2 森林資源の保全と活用

◆現状と課題

村の面積の80%を占める森林は、CO2の吸収、水源かん養、山地災害防止

などの公益的機能に加え、森林空間の保健機能など多面的な機能を有していま

す。また、木材や特用林産物など資源を生産している場所でもあります。

このため、森林資源を保全しながらその活用方法を検討していく必要があり

ます。

◆計画の目標

森林の有する多面的機能を十分に発揮させるため、森林を守り、育てる活動

を継続します。

また、木材や特用林産物、里山としての利用、トレッキングコースなど、そ

の活用を図っていきます。

◆施策の体系

森林資源の保全と活用の推進

森林資源の保全と活用

森林空間の活用促進

◆主要施策

(1)森林資源の保全と活用の推進

森林の有する多面的機能を発揮させるため、立地条件や機能に応じた森林

施策の計画的な実施により、森林資源の保全を図ります。

また、みどりの少年団活動や企業など、多様な主体による森づくりを通じ、

各世代にわたって森林の保全に関わっていきます。

(2)森林空間の活用促進

19コースのトレッキングコースを適正に維持管理しながら、森林が有す

る保健機能を活用した森林セラピーなどとの組み合わせにより、本村の豊か

な森林空間をPRし、地域の振興につなげていきます。

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第3節 漁業の振興

(山々と湖に囲まれた「湖水地方」での漁業振興)

1 内水面漁業の振興

◆現状と課題

本村の漁業は、桧原湖、小野川湖などの内水面で、漁業協同組合が種苗生産

施設を利用して淡水魚を養殖し、冬のワカサギ釣りに代表される観光的な漁業

が行われています。一方、ブラックバスなど外来魚の増加による生態系の変化

がみられます。

◆計画の目標

地域本来の生態系を守りながら種苗生産施設を有効に活用し重要魚類の養

殖・放流事業の推進を図ります。

◆施策の体系

自湖放流の促進

内水面漁業の振興

生態系の保全促進

◆主要施策

(1)自湖放流の促進

種苗生産施設を有効利用し、地域本来の生態系を守りながら稚魚放流の実

施を促進します。

(2)生態系の保全促進

外来種の増殖によるワカサギ等在来種の圧迫など、生態系への悪影響を除

くため、外来種の駆除を進め、地域本来の生態系の保全を図ります。

2 観光レクリエーションとしての漁業

◆現状と課題

冬期間のみならず、年間を通して釣り客のニーズに対応しながら、漁業と観

光を結び付けた地域振興を図ります。

◆計画の目標

漁業を観光の一環として位置付け、漁業の振興のみならず地域振興に結び付

けるとともに、観光漁業の展開を図るための施策を検討していきます。

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◆施策の体系

観光レクリエーション ブランド化の促進

としての漁業

観光地としての漁業の推進

◆主要施策

(1)ブランド化の促進

種苗生産施設を有効利用し、地域本来の生態系を守りながら稚魚放流の実

施を促進します。

(2)観光地としての漁業の推進

冬期間のワカサギ釣りに限らず、通年的な釣り客のニーズへの対応を図り

ます。

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Ⅲ 健康と福祉が充実し、一人ひとりが生きがいを持っていきいきと暮らせる村

第1節 地域ぐるみで取り組む保健の充実

(いつまでも毎日を明るく健康に暮らすために)

1 保健活動の推進

◆現状と課題

本村の各種健診(検診)の受診者や健康教室への参加者は、若年層が少ない

状況です。一方で、村内での生活習慣病は増加傾向にあります。生活習慣病を

予防するためには、健診(検診)の受診率の向上、健康知識の啓発などを推進

し、村民が自分の健康状態を知り、自己管理できるようになることが大切です。

若いうちから健康や食育に関心を持つことが生活習慣病の予防につながるた

め、乳幼児、児童、学生、若年層への指導を重点的に行います。

◆計画の目標

医師、保健師等による生活習慣病の改善に関する取り組みをより充実させ、

村民自ら健康や疾病に関心を持ち、世代や個人の状態にあわせて目標を設定し

ながら健康づくりに取り組めるよう事業を展開し、疾病予防と医療費の抑制を

図ります。

◆施策の体系

保健師活動の充実

保健活動の推進 生活習慣病の予防促進

各種健診(検診)の受診率の向上

◆主要施策

(1)保健師活動の充実

生涯学習講座との連携を図りながら、健康教室の充実を図り、村民自らが

取り組む健康づくり活動を支援するなど、心身ともに健やかで安心して暮ら

せる村づくりを目指します。

(2)生活習慣病の予防促進

保健センターを中核とした予防・健診(検診)体制を強化し、地域に密着

した保健サービスを充実させ、知識の普及と村民の意識を高めるために、専

門職の増員等を検討します。また、食生活改善推進員や保健衛生協力員等の

民間組織と協力し、地域の保健活動の活発化に努めます。

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(3)各種健診(検診)の受診率の向上

生活習慣病や感染症などの疾病予防に努めます。特に、課題となっている

脳血管疾患や糖尿病、がんの予防対策として健康寿命延伸事業を推進します。

特定健診受診率をアップさせ、村民の健康維持、早期発見、早期治療、生

活習慣の改善を図ります。

2 健康づくり活動の普及

◆現状と課題

近年、高齢化の進行と生活環境の変化に伴う生活習慣病により、医療費が増

加してきており、生涯にわたって心身共に健康であるためのシステムづくりが

重要になっています。

保健・医療・福祉が連携した総合的な健康づくりを推進してきましたが、健

康寿命の更なる延伸のためには、より多く参加してもらうよう、効果的な実施

方法について検討が必要です。

◆計画の目標

村民ひとり一人が自分の健康の保持増進に努められるような健康づくりのシ

ステムを整備し、生涯学習と連携を取りながら心身ともに健康な生活を営むた

めの積極的な保健活動を展開します。

◆施策の体系

健康づくり活動 健康づくりの充実

の普及

健康21北塩原村グッドヘルスプラン(※)

◆主要施策

(1)健康づくりの充実

村民の健康づくりへの意識を高めるとともに、保健・医療・福祉の連携を

強化します。また、公民館事業とも連携しながら、運動の習慣化や食生活改

善など総合的な健康づくりを進めます。

(2)健康21北塩原村グッドヘルスプラン

保健・医療・福祉の連携により、保健サービスの充実に努め、「介護保険対

象者をつくらない」、「健康な村民をつくることによる医療費の削減」をめざ

すために、住民参加型で策定され、地域に即した計画に基づいて村民の健康

増進に取り組みます。

(※)村が策定する、健康・医療・福祉施策を具体的に展開するための計画

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第2節 身近な医療体制の充実

(安心して診療・治療が受けられるために)

1 地域医療体制の充実

◆現状と課題

本村の医療機関は、裏磐梯診療所と桧原診療所の2箇所があります。しかし、

村外の医療機関を利用する村民が多くなったことに加え、村の人口も減少傾向

にあることから、診療所で受診する患者数は年々減少しています。

保健事業と連携することが予防医療につながることから、これからも連携を

強化し、また医療情報提供体制の整備も必要です。

医療体制の見直しや経営改善を検討し、村民の医療に対する要望に応えるた

め、設備とサービスの充実に努めていかなければなりません。また、村外の中

核病院などとの連携・強化を図りながら、恒久的な医師の確保と施設の維持に

努めていくことも必要です。

◆計画の目標

地域医療の充実のために、村内の診療体制の整備及び広域的な医療施設との

連携や医師会との連絡体制を確立し、医療体制の充実を図り、医療サービスを

向上させます。

◆施策の体系

既存診療体制の充実

地域医療体制の充実

医療体制の整備

◆主要施策

(1)既存診療体制の充実

○ 近隣の医療機関との連携を図り、既存の診療体制を充実させ、村営診療

所の毎日診療体制を検討します。

○ 診療所の施設整備及び医療機器の更新を推進し、村民にやさしい診療業

務を継続して実施します。また、診療所を維持するため、医療体制の見直

しと経営改善を推進します。

(2)医療体制の整備

○ 広域的な医療機関や関連機関との連携を取り、土日、祝日、夜間などの

緊急時の円滑な対応を確保します。

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2 診療所の運営

◆現状と課題

診療所は村民の最も身近な医療機関です。村は、これまでも疾病の早期発見

と安心して受けられる医療体制を目指し、医療機器の整備や医師の確保等を行

ってきましたが、より充実した医療機会提供のため、医師や看護師などのスタ

ッフの充実と診療機会を増やす必要があります。また、診療所では診療科目が

限られていることから、診療内容の充実を進めるとともに、救急医療等、総合

病院等との連携を強化していく必要があります。

◆計画の目標

診療所の医療体制の充実と施設・設備の拡充を図り、医療サービスの向上に

努めます。また、村民が安心して医療が受けられるよう、広域連携を強化し、

高度医療の確保や救急体制の強化に努めます。

◆施策の体系

医療体制の充実

診療所の運営

安定的な運営の維持

◆主要施策

(1)医療体制の充実

身近な診療所があることで病気への不安解消と心身の健康を目指します。

(2)安定的な運営の維持

診療所を指定管理者制度により委託し、継続的して安定的に診療所が運営

できる体制をつくります。

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第3節 生活に密着した福祉の充実

(すべての村民が豊かで幸福に暮らすために)

1 福祉施策の充実

◆現状と課題

本村では、少子高齢化が進展するのに伴い、援護を必要とする高齢者が増加

しており、関係機関と連携を取りながら福祉サービスの提供に努めています。

しかし、福祉に関わる人材育成やボランティアの組織化が弱く、地域で支え

合う福祉体制づくりが課題となっています。

福祉や介護を支える「社会福祉協議会・デイサービスセンター」との連携強

化を進めるとともに、福祉サービスの充実と地域住民自らが主体的に支え合う

見守り・支援のネットワークづくりが求められています。

◆計画の目標

身近な生活課題や福祉課題に対してお互いに助け合う意識を育み、課題に対

応するため、村民・行政・福祉事業者・関係機関等が互いに連携して、支援が

必要な村民を支えるための地域ケア体制の構築や、ボランティアなど担い手の

確保・育成を支援します。

すべての年代で地域福祉の大切さを理解し、思いやりの気持ちを醸成する仕

組みや活動を推進します。

◆施策の体系

地域福祉の充実

福祉施策の充実 高齢者福祉の向上

児童福祉の向上

障がい者福祉の向上

ひとり親福祉の向上

低所得者福祉の向上

◆主要施策

(1)地域福祉の充実

○ 村民の福祉活動への参加、協力によるボランティアの育成・活動の体制

づくりを推進します。

○ 地域福祉活動の推進のために、保健・医療・福祉・教育機関それぞれの

サービス供給や活動組織が効率的・有機的に連携される体制整備を推進し

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55

ます。

○ 高齢者などの生活を地域で支えるために、村民ボランティアを育成し、

その体制づくりに努めます。

○ 認知症高齢者や知的障がい者及び精神障がい者等の、日常生活をしてい

くうえで判断能力が十分でない人のために、生活の権利を擁護する制度を

推進します。

○ 社会福祉協議会、各種福祉団体の活動の活性化を促進するとともに、関

係行政機関との連携を強化し、きめ細かい福祉サービスの提供を行います。

(2)高齢者福祉の向上

○ 要支援者や自立高齢者が要介護状態になることなく、健康でいきいきとし

た生活が送れるよう、高齢者にやさしい住宅整備の支援や保健センターと在

宅介護支援センターの連携などサービスの拡大を検討し、高齢者のニーズに

応じた介護予防対策を推進します。

○ 保健センターを核にして、保健・医療・福祉の連携による健康づくり教

室など各種保健事業を通じて、高齢者の健康増進を図ります。

○ 家族や介護を必要とする高齢者が、在宅で安心した生活ができるように、

ケアマネージャーやホームヘルパーの育成と訪問理美容サービスの提供な

ど、高齢者が住み慣れた家で安心して生活できるための福祉施策を推進し

ます。

○ 宅配サービスや移動スーパーの導入など、地域で助け合えるような仕組

みづくり等によって、高齢者が自宅にいながら良質な購買サービスを享受

できる方策について検討します。

○ 老人クラブ活動やボランティアなどの組織化を支援し、高齢者の豊富な

知識と技術を活かすことのできる活動の場を確保することで、高齢者の社

会的自立を支援し、生きがいづくりやお互いに支援できるような体制の整

備に努めます。

(3)児童福祉の向上

○ 育児に対する指導や相談、子育てに関する情報提供などを推進します。

また、子育て中の親同士が交流する場を作るとともに、地域全体で子育て

を支援するシステムを作ります。

○ 子育てしやすい環境を整えるために、多様化する保育のニーズに対応で

きる施設の整備について検討します。

(4)障がい者福祉の向上

○ 乳幼児の成長段階に応じた健康診査等を実施することにより、疾病や障

がいの早期発見に努め、障がいの状態や療育の状況に応じて専門的な療育

相談事業等を実施するとともに、各種医療給付制度の充実に努めます。

○ 支援費制度への移行により、サービス事業者は、利用者の選択に十分応

えることができるようサービスの質の向上が求められ、障がい者の個人と

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しての尊厳を重視した福祉サービスの利用制度となることをめざします。

○ 幼稚園や保育園との連携を密にし、障がいを持つ乳幼児の早期発見に努

め、障がいの種類や程度に応じた適切な助言、療育指導を行うなど、乳幼

児と保護者への継続的な支援を推進します。

○ 障がい者が積極的に参加でき、共に学習できる機会と条件整備の確保を

促進します。

○ 障がいについて村民全員が学び、村民同士でサポートできる環境づくり

を支援します。また、総合的な支援体制を確立します。

(5)ひとり親福祉の向上

医療費の助成などこれまでの村の福祉サービスを継続し、ひとり親世帯の

生活の安定と自立を支援していきます。

(6)低所得者福祉の向上

○ 相談窓口や就業など、精神的な支援体制等の充実を図り、自立を促進し

ていきます。

○ 民生委員等を通して低所得世帯の実態を把握し、保健福祉事務所と連携

しながら生活保護の適正な運用など迅速な経済支援を行います。

2 医療福祉制度の運営ときめ細やかな制度の設計

◆現状と課題

生活形態や価値観が多様化し、高齢者世帯も増加しており、地域社会の維持

にも支障をきたす深刻な状況となっています。

国民健康保険は、地域住民の医療確保と健康の保持増進に貢献してきたとこ

ろですが、昨今の景気低迷などにより厳しい財政運営が迫られています。

健康な村民(健康優良者)をつくることによる医療費の抑制と住民負担の軽

減を維持することが課題となっています。

また、心身の機能低下などへの支援や介護を必要とする高齢者の増加と、家

庭における介護力の低下も大きな課題となっています。

◆計画の目標

高齢者の健康づくりや生きがいづくり、自立支援や地域での支え合い体制な

どについて施策の充実を図るとともに、村民の健康づくりを推進し、医療給付

と疾病予防を一体的に行うことで医療保障の充実を図ります。

介護保険制度は、サービス提供基盤の整備が進むとともに、サービス利用も

増え、社会全体で高齢者を支える制度として定着してきましたが、今後も介護

予防などについての施策を推進します。

「介護保険事業計画」に沿って、関係機関と連携を密にし、福祉向上に努め

ます。

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◆施策の体系

国民年金制度の周知

医療福祉制度の運営と 国民健康保険の運営

きめ細やかな制度の設計 介護保険の運営

独自給付の充実

◆主要施策

(1)国民年金制度の周知

市町村が住民にとっての身近な窓口であることから、被保険者からの相談

体制を整え、広報等を利用し、年金制度に対する啓発を進めます。

(2)国民健康保険の運営

○ 保健事業の充実強化を図り、生活習慣病の予防など健康づくりを実践し、

医療費を抑制することで住民負担の軽減を図ります。

○ 国民健康保険制度の趣旨徹底を図り、国民健康保険税の収納率の向上と

健全で安定した保険財政に努めます。

(3)介護保険の運営

○ 介護サービスには、多種多様なサービス事業者があることから、被保険

者やその家族が安心してサービスを利用できるような環境整備と全体調整

が重要であり、個々にあった専門的な支援やサービス提供のほか、サービ

スの質を向上させるために事業者に対して指導します。

○ 介護保険制度においては、要介護者の相談に応じ、その心身状態に適し

たサービスが利用できるようサービス提供主体との連絡調整など、ケアマ

ネージャーの果たす役割は重要です。そのため、知識や技術向上のために

研修の場を設けるなど、効果的なケアマネジメント活動の支援を行います。

○ 要介護者が自由にサービスを選択し利用するためには、介護保険及び保

健福祉サービスに関する総合的な情報の提供が必要となります。このため、

村・居宅介護支援事業所・在宅介護支援センター・サービス提供機関との

連携を密にし、情報提供体制の強化を図ります。

○ 介護サービスの利用者の権利擁護や、サービス事業者のサービスのチェ

ック機能として重要な役割を果たすため、村の苦情処理、相談体制の充実

や関係機関との連携を図ります。

(4)独自給付の充実

○ 敬老会を開催し、楽しい時間を過ごしていただくとともに、末長い健康

を祝い、高齢者のいきがいづくりを図ります。

○ 高齢者に対し祝い金を贈り、長寿を祝い高齢者の福祉の増進を図ります。

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Ⅳ 子どもからお年寄りまで、ずっと笑顔で明るく元気に暮らせる村

第1節 教育の充実

(明日を担う人づくり)

1 家庭教育の充実

◆現状と課題

核家族化や少子化、価値観の多様化など、子どもを取り巻く家庭環境が大き

く変わりつつある現在、家庭が本来持つべき教育力が低下している傾向にあり

ます。

本村では、発達段階に対応した子育て講座等で学習活動が展開されています

が、一層の充実をめざし、学校・地域社会と連携を深めて、親としての責任と

自覚を高めるような学習機会の充実や地域での活動機会の提供を進め、家庭内

における教育力の向上を図る必要があります。

村の子どもたちは、世代を超えて人とふれあい、地域に密着した形で成長で

きる環境にあると言えます。しかし、村でも核家族化は進行しており、三世代

家族といっても住居を分けて生活している世帯も増えつつあります。また、地

域と子どもの関係も学校統合や地域イベント等の減少に伴って希薄になりつつ

あります。

◆計画の目標

家庭教育推進事業を充実させるとともに、家庭・学校・地域が連携して子ど

もを育てる環境を整備します。

家庭教育を充実させるためには、親自身が子育てについて学ぶことが必要で

す。家庭教育推進事業などを通じて、子どもの成長段階に応じた留意事項や、

社会的に問題となっている課題への対応などについて学習する機会を設け、親

が家庭教育について学ぶ機会の充実を図ります。

◆施策の体系

家庭教育の充実

家庭教育の充実

ノーメディアデーの推進

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◆主要施策

(1)家庭教育の充実

○ 乳幼児を持つ親、親となる村民を対象とした家庭教育推進事業の充実を

図ります。

○ 親子体験活動、世代間交流活動を充実し、世代間のふれあいと子どもた

ちの生活体験を豊かにします。

○ 教育関係教材(図書・ビデオ・CDなど)の充実及び貸出しを促進しま

す。

○ 家庭教育支援に関する事業を効果的に実施していくために、母子保健事

業や学校・PTAと連携・協力した事業の展開を推進します。

(2)ノーメディアデーの推進

テレビやゲームなどを長時間視聴し続けていると、脳を使わない状態にな

ってしまい、その発達を阻害することが、脳科学の研究でわかってきました。

これまでのテレビやゲームなどの使い方を見つめ直し、使用時間を今まで

より少なくし、家族みんなで過ごす時間を大切にして、家族のふれあいを深

めることをめざしたノーメディアデーを推進します。

2 幼児教育の充実

◆現状と課題

本村の幼児教育は、各地区に設置された児童館において保育に重点を置いた

形で実施されてきました。就学前教育の重要性や保護者からの強い要請を受け、

全村で児童館から幼稚園に移行し、現在、本村には幼稚園が2園あり、それぞ

れが特色を持って地域環境を生かしながら家庭や地域と連携し、目標の達成に

努めています。

しかし、働く女性の増加や核家族化など幼児を取り巻く環境は変化しつつあ

ります。これからの幼児教育は、家庭を含めた児童福祉関係機関や幼児教育関

係機関、学校等各機関の連携がますます重要になってきます。

幼児の遊びや体験活動の場の整備をはじめ、身近な施設での教育相談や家庭

教育学級の開催、子育て中の親が交流できる場や機会を創出する必要がありま

す。

◆計画の目標

幼児教育は、家庭教育が重要であることから、家庭、地域、幼稚園の連携を

進め、家庭教育を学ぶ機会を充実するとともに、健全な子育てのための環境づ

くりを推進します。

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◆施策の体系

幼児教育の充実

幼児教育の充実 健全な子育てのための環境整備

保育サービスの充実

◆主要施策

(1)幼児教育の充実

○幼稚園、住民課・保健センター、教育関係機関が連携し、幼児の心身の健

全な発育を促す家庭教育の学習機会を充実します。

○基本的生活習慣の獲得や家庭におけるしつけの充実を図るため、家庭教育

に関する情報提供や広報活動を充実します。

(2)健全な子育てのための環境整備

○保護者の育児に対する不安・ストレスの解消、発達に伴う教育問題の解消

を図るため、関係機関が連携し、身近で気軽に利用できる相談体制を整備

します。

○子育て中の親が交流できる場や機会の創出や、お年寄りとの交流の場の創

出を図り、地域の中で親の子育てを支援する活動を促進します。

○幼児の遊び場を整備するとともに、幼児の健全な発育を促す自然や文化に

ふれる体験活動の場を充実します。

(3)保育サービスの充実

親の生活サイクルの変化など、ニーズに対応した柔軟な保育サービスの提

供と保育施設の充実を図ります。

3 学校教育の充実

◆現状と課題

本村の義務教育は、小学校2校、中学校2校がありますが、少子化により児

童生徒数は減少の傾向にあります。また、建築から年数の経た校舎もあること

から、今後計画的な改修を進める必要があります。

2中学校を中心として、幼稚園・小・中学校が連携した教育実践は行われて

いますが、今後、村の将来を担う知・徳・体のバランスの取れた児童生徒を育

成するため、全村的に幼稚園・小・中学校が一貫した教育を進めるための連携

を充実させていく必要があります。

地域の将来を担う子どもたちを健全に育成するためには、地域の特性を活か

した教育内容の一層の充実を図るとともに、これからの情報化・国際化社会に

対応できる知識・技能の習得、また、村内児童生徒の学力向上を目指した特色

ある環境づくりが求められています。

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◆計画の目標

生涯学習の中でも幼稚園教育・小・中学校教育は人間形成に大きな影響を与

え、その重要性は計り知れないものがあります。施設・設備の充実だけではな

く、教職員の資質の向上を図るなど、物的・人的両面から良好な教育環境を形

成し、幼稚園・小・中学校連携のもと、知・徳・体のバランスのとれた児童生

徒の育成をめざします。

幼稚園・小・中学校連携など、児童生徒が特色ある教育環境で学ぶことがで

きるよう、教育施設の充実を図るとともに、一人ひとりの個性と能力を伸ばし、

生きる力と豊かな人間性の形成を学校・家庭・地域と連携して進めます。

北塩原村の特性を活かした個性ある教育を実現するとともに、誰もが集団の

中で平等に、そして快適に教育が受けられるきめ細かな教育サポートを実現し

ます。

◆施策の体系

幼稚園教育の推進

学校教育の充実 小・中学校教育の推進

家庭・学校・地域の連携の強化

幼稚園・小・中学校連携の推進

◆主要施策

(1)幼稚園教育の推進

○ 幼児にふさわしい生活の展開や情緒豊かな個性を育むための教育環境を

整備します。

○ 幼稚園教育において教職員の役割は極めて大きく、専門的な知識の習得

など指導力を高めるため研修・研究の機会の拡大に努め、資質の向上を図

ります。また、幼稚園相互の人事交流や長部局との人事交流を促進し、広

い視野に立った人材の育成に努めます。

○ 地域の実態や保護者のニーズに応じて、幼稚園における延長保育・預か

り保育など子育て支援を充実するとともに、0才児から5才児までの保育

所・幼稚園の連携など多様な子育て支援策について検討します。

(2)小・中学校教育の推進

○ 社会に貢献し自立して生きていく力を育むため、「確かな学力」を身に付

けるとともに、豊かな心と健やかな体を兼ね備えた知・徳・体のバランス

の取れた子どもを育んでいきます。また、子どもたちが安全・安心して学

ぶことのできる環境づくりのため、学校施設等の計画的な整備に努めます。

○ 教職員の研修や研究活動を促進して資質の向上を図り、児童生徒の能力

や個性に応じたきめ細かな学習指導を行うことで、基礎・基本の定着及び

活用する能力の育成に努めます。

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○ 村内小・中学校が、村の明日を担う人材を育てるため情報教育・国際理

解教育及び郷土理解学習等の充実に努め、地域に根ざした特色ある学校づ

くりを推進します。また、そのための学習環境の整備に努めます。

○ 村内小・中学校の交流・連携を促進し、地域の理解を深めるとともに全

村的な視野を持てる人材の育成に努めます。また、県内・国内交流を積極

的に推進し、様々な体験を通して児童生徒の視野を広げ、「生きる力」を育

みます。

○ 国際化の進展に対応し、外国語によるコミュニケーション能力の育成や

小学校における外国語活動の導入等に対応するため、英語指導助手招致事

業の充実を図ります。

○ 開かれた学校づくりを推進し、「笑顔いきいきみんなで子育て宣言」のも

と学校支援地域本部を中核として、学校・家庭・地域社会が一体となって

児童生徒の健全育成に努めます。

○ 学校給食の安全確保と内容の充実を図り、体の成長と健康保持増進を図

ります。

また、保護者の負担を軽減し、就学機会の拡充を図るための就学支援を

行い、有為な人材の育成に努めます。

(3)家庭・学校・地域の連携の強化

学校・家庭・地域の連携をより一層強化し、「笑顔いきいきみんなで子育て

宣言」のもと、地域全体で子どもたちを育む体制を整えます。

(4)幼稚園・小・中学校連携の推進

これからの社会を生きる児童生徒に「生きる力」を育むため、幼稚園・小・

中学校が同じ方向を向き、継続性のある教育活動を推進していくことが求めら

れています。

幼稚園・小・中学校の一貫した教育を目指した連携を強化し、「確かな学

力」や「豊かなこころ」「健やかな体」の育成を充実させて、義務教育を修

了するのにふさわしい力の育成を図ります。

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第2節 生涯学習機会の充実

(学び続ける環境の整備による生きがいづくり)

1 生涯学習推進体制の整備

◆現状と課題

本村は、昭和60年の生涯教育推進会議を自主設置し、平成2年に「北塩原

村の生涯教育」、平成5年、平成14年に「北塩原村生涯学習振興計画」を策定

し、生涯学習を推進するための基盤、体制づくりに努めてきました。

今後は、東日本大震災後復興に向けた種々の対応や加速度的に進展する情報

化、国際化への対応等、時代の変化に対応した本村における総合的な生涯学習

のテーマ設定や生涯学習の将来構想、また、それを実現させるべき基本計画の

策定を進めるとともに、生涯学習推進会議や庁内各課の連携を強化するなど推

進体制を整備し、生涯学習の理念の普及や事業の一層の推進を図る必要があり

ます。

村民が学びたいという意欲を大切にした学習機会の提供は、これまでも各種

講座、教室等を積極的に開催することで取り組んできましたが、近年、参加者

が固定化する傾向にあり、参加者の拡大に向けた方策を検討する必要がありま

す。

また、今後の生涯学習の方向性として、学習を通して村民同士が絆を深める

仲間づくり、学んだ成果を人材育成や、地域・社会づくりに貢献する等の展開

が重要になっています。

児童生徒を対象にした教室等は、少子化の影響により参加人数が減少の傾向

にありますが、これからの社会に対応できる「生きる力」を育むため、学校教

育と連携した事業展開は重要であり、整理統合とともに内容の充実を図る必要

があります。

また、これまで行政主体であった事業も、今後は村民と行政が一体となり事

業を進めていく必要があります。併せて、村民の生涯学習の発表の場を多く設

けることで、学ぶ意欲を高めることも大切です。

◆計画の目標

生涯にわたり楽しく豊かに学ぶことのできる生涯学習社会の形成をめざして

推進体制を整備し、基本計画の推進を図ります。

誰もが自由に学習できるよう、多様な学習ニーズに対応した講座を充実し、

学習機会を提供するとともに、快適な学習拠点づくりを進めます。

指導者の育成や発表の機会を充実し、村民の学習意欲を大切にし、新たな知

識や人との出会いの場につながるよう、わかりやすい情報の提供に努め、ゆと

りや生きがい、心の豊かさを実感できる学習環境づくりを進めます。

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◆施策の体系

生涯学習推進体制 ひとり一文化・一スポーツ運動の普及

の整備 生涯学習推進体制の整備

学習機会の充実

◆主要施策

(1)ひとり一文化・一スポーツ運動の普及

村民全員が、いつでも、誰でも、興味や目的に応じて、多様な文化、スポ

ーツに楽しむことができるよう「ひとり一文化・一スポーツ運動」を推進し

ます。

(2)生涯学習推進体制の整備

○ 生涯学習推進会議や庁内各課、さらには各関係機関・団体等との連携を

強化し、生涯学習体制の充実を図ります。

○ 生涯学習の理念を具現化するため、職員の資質向上、生涯学習人材登録

制度の整備や 生涯学習ボランティアの発掘・養成等に努め、また、生涯

学習推進に関わる施設や機関の連携を強化します。

○ 村民のライフステージに応じた生涯学習を推進し、生涯学習社会の形成を

図るため、基本計画を策定し推進を図ります。

(3)学習機会の充実

○ 村民の学習意欲が高まるような講座・教室の開催に努めるとともに、村民

がより身近な場所で学習することができるよう、「人が集まるところに出向

く講座、教室(生涯学習出前講座)」を開催します。

○ 各種講座、教室の企画・運営について、村民と行政が一体となった事業

を進めていきます。

○ 村民の生涯学習の発表の場を多く設けるとともに、学習した成果を地域

に広めていく環境づくりに努めます。

2 社会教育の推進

◆現状と課題

本村では、公民館を中心に各種講座・教室・自主サークル活動等を行ってき

ました。

しかし、近年、村民の生涯にわたり生きがいを持って生活しようという意識

の高まりとともに、生涯学習に対する要求もますます多様化しています。

そのために、生涯学習環境の充実を図り、村民がいつでも学習でき、生きが

いをもって暮らせるような生涯学習社会の形成をめざす必要があります。

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◆計画の目標

村民の自主的な生涯学習活動を支援するために、各種講座の充実、人材・団

体育成、情報提供の充実などに努め、村民が良好な環境で生涯学習活動に取り

組めるよう、各種施設の整備の検討・推進を図ります。

◆施策の体系

生涯学習施設の充実

社会教育の推進 自主グループ活動の支援

出前講座の充実

◆主要施策

(1)生涯学習施設の充実

生涯学習施設は、「学習機会」の充実や「自主的学習活動」の支援に欠かせ

ない施設です。身近な生涯学習拠点施設となる公民館の施設・設備の充実や

生涯学習関連施設の整備充実を図るとともに、学校等既存施設の開放を促進

することなど総合的な連携を図り、効果的な活用ができるよう推進していき

ます。

また、自主学習を支援するため、図書の充実を図り、施設の整備とともに

利用の促進に取り組んでいきます。

(2)自主グループ活動の支援

生涯学習に関する総合的な情報提供や学習相談等の支援体制の充実を図る

とともに、学習活動の指導者養成や確保に努め、自主活動グループの育成・

援助を積極的に行います。

(3)出前講座の充実

村民の学習要求を的確に把握するとともに、今日的課題に対応した学習プロ

グラムの充実に努めて、村民のライフステージに応じた学習機会の拡充に努め

ます。そのために、公民館主催の学級や講座の充実はもちろん、生涯学習人材

登録制度の有効活用(ボランティアも含む)や職員による出前講座の充実を図

ります。

さらに、民間機関との連携による学習機会の拡充に努め、村民が「いつで

も」「どこでも」学習できる環境づくりを行います。

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第3節 子育て支援

(子どもの健やかな成長と子育てしやすい環境づくり)

1 少子化対策の推進

◆現状と課題

人口減少とともに急激な少子化が進んでおり、親や子ども同士の交流機会の

減少による育児不安を抱える親も増えています。

精神面や経済面において不安定な立場にあることが多く、生活の安定と自立

の促進に向けた支援が課題となっています。

◆計画の目標

人口減少の歯止め策のひとつとして、安心して子育てできる環境の整備、若

者定住の環境整備に取り組んでいきます。

◆施策の体系

若者定住の促進

少子化対策の推進

結婚と出産の促進

◆主要施策

(1)若者定住の促進

新たな公営住宅の整備や公営住宅の改修を実施するなど、良好な居住環境

の整備を進めながら、雇用の場を確保するなど若者の定住を促進します。

(2)結婚と出産の促進

新たに結婚した夫婦に対し、結婚祝金を支給し夫婦の前途を祝福するとと

もに、定住人口の増加と村の活性化を図ります。

また、次世代を担う子どもの誕生を祝福し、健やかな成長を願い、出産祝

金を支給することにより、子育て家庭を支援するとともに、福祉増進を図り

ます。

2 子育て支援の制度化

◆現状と課題

子育て支援事業として、中学生までの医療費無料化を開始し保護者の経済的

負担軽減を図り、また、全妊婦を対象に健診費用の無料化及び健診回数の拡充

を図ってきましたが、依然として少子化は進行しており重要な課題となってい

ます。

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認可保育園は、開設当初より保育時間を延長していますが、女性の社会進出

により、保育時間は今後の課題となっています。

誰もが子どもを安心して産み育てることができるよう、子育て家族が必要と

する情報の提供や保育サービス、子育て支援や児童福祉の充実を図る必要があ

ります。

少子化により児童数は減少していますが、家族構成や生活形態により、一時

保育や休日保育といった保育へのニーズは多様化しています。それらの保育ニ

ーズに対応した保育サービスや保育施設のさらなる充実が求められています。

保育所以外の子育て支援も重要であり、医療費の助成や育児相談、子どもの遊

び場確保など、子育て支援の充実を図る必要があります。また、家庭以外の地

域との関わりが人間形成において重要であることから、地域ぐるみで子育て支

援体制の整備が必要です。

◆計画の目標

安心して子育てができる環境づくりに向けて、次世代育成支援行動計画の推

進、多様化・高度化するニーズに対応した保育サービスの充実を図るとともに、

地域や関係機関、子育て家族が一体となって、安心して子どもを産み育てる環

境づくりを進め、子育て家庭のニーズに対応した事業を総合的に推進していき

ます。

また、ひとり親家庭などの生活の安定と自立促進を図るため、医療費助成の

拡大をはじめ、就労相談等を推進します。

◆施策の体系

医療費無料化の拡大

子育て支援の制度化 保育サービスの実施

女性の就労支援

◆主要施策

(1)医療費無料化の拡大

○ 児童の医療費を全額助成することで、児童の傷病の治癒を促進し、健康

の保持増進を図ります。

○ 医療費の無料化の対象の拡大など、各種の子育て支援策を進めます。ま

た、地域が一体をなった子育て支援体制の整備を図ります。

(2)保育サービスの実施

○ 生活形態の変化などをふまえ、保育ニーズに対応した多様な保育サービ

スの提供や保育施設の充実を図ります。

○ 子どもが健やかに成長するために必要な幼児教育を推進します。

○ 子どもたちの視野が広がるように、他の地域の人々や文化と交流する機

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会を創っていきます。また、子どもたちの遊び場、保護者の情報交換の場

を整備します。

(3)女性の就労支援

幼稚園における延長保育・預かり保育など子育て支援を充実するとともに、

0才児から5才児までの幼稚園・保育所の連携など多様な子育て支援策を推

進します。

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Ⅴ スポーツや芸術文化が盛んで、歴史を守り引き継ぎ、健康で心豊かに暮らせる村

第1節 スポーツの振興

(心身共に健康なくらし)

1 スポーツ・レクリエーション

◆現状と課題

本村には、村民体育館をはじめとして、スポーツパーク桧原湖、ラビスパ裏

磐梯、いこいの森グリーンフィールドなどの屋内外運動施設があります。また、

3つのスキー場、19のトレッキングコース等が整備されています。これらの

スポーツ施設は、村民はもとより、スポーツ合宿、レジャーなどで訪れる人々

によって利用されており、村ならではの自然環境を利用した多様なスポーツ活

動が行われています。

スポーツ・レクリエーション活動は、心身の発達や健康の保持・増進に欠か

せないものであるとともに、人生をより豊かで充実したものにする上で重要な

役割を担っています。

生きがいや楽しみを目的としたスポーツの志向など、村民のニーズは多様化

しており、より幅広い年齢層や各人の体力に応じてスポーツを楽しめる環境を

つくることが必要になっています。

小中学校体育館など既存体育施設の有効活用と老朽化への対応、指導者の養

成・確保など、村民がスポーツに取り組みやすい環境を充実することによるス

ポーツ活動の振興に努め、今後も健康づくり、仲間づくり、生きがいづくりの

一環として、スポーツに対するニーズに対応するとともに、村民同士を結びつ

け、スポーツを楽しむ人を支援する必要があります。

生涯スポーツを推進するためには、自主的な活動を支援する指導者の育成が

必要です。

近年、少子化により児童生徒数が減少し、子どもたちが望むスポーツ活動が

限られています。バランスのとれた発育のためにも幅広いスポーツ機会の確保

が必要です。

◆計画の目標

多くの村民が広くスポーツ・レクリエーションに親しむことができるよう、

組織や活動内容の充実を図りながら、積極的に生涯スポーツの推進に努めます。

村民一人ひとりが、生涯にわたってスポーツ・レクリエーションに親しみ、

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心身ともに健康で生きがいのある生活を送れるように、スポーツ活動の振興を

図ります。活動を通して仲間づくりや健康増進につながるよう村民の活動目的

やニーズに合ったスポーツ・レクリエーション活動を推進します。

また、指導者の確保と育成、競技力の向上を図り、スポーツ施設の整備・充

実等を計画的に実施します。

◆施策の体系

スポーツ・レクリエーション施設の整備

スポーツ・ 指導者・団体の育成

レクリエーション ニュースポーツの導入

体力づくりの促進

◆主要施策

(1)スポーツ・レクリエーション施設の整備

○ 自然体験、野外体験施設の一層の整備推進を図ります。また、既存施設

の整備・改善と適切な管理に努め、村民の身近なスポーツ施設として、学

校体育施設の開放を推進するとともに、施設の整備充実を図ります。

(2)指導者・団体の育成

○ 地域スポーツの身近な指導者であるスポーツ推進委員や各種スポーツ指

導者等の資質向上を図るため、指導者講習会や研修会への参加を促進しま

す。

○ 村民のスポーツ活動の推進母体である体育協会の活性化を図ります。各

種スポーツ団体・グループを育成し、村民のスポーツ活動への参加拡大を

図ります。青少年の心身の健全育成を図るために、スポーツ少年団の育成

及び指導体制の充実を図ります。

○ 各種スポーツ団体等の自主的な活動を促進します。また、子どもたちの

体力向上のため、スポーツ少年団等の活動を支援します。

(3)ニュースポーツの導入

○ スポーツ活動や健康・体力づくりへの欲求に対応し、スポーツ活動の普及

を図るため、多様なスポーツ教室の開設に努めます。

○ 年齢や性別を問わず村民のだれもが手軽に楽しむことができ、健康づく

りにも役立つ村民スポーツ・レクリエーションの普及を図ります。

○ 北塩原村らしいスポーツ・レクリエーションの創設と育成に努めます。

(4)体力づくりの促進

○ 社会教育施設・福祉施設等関係機関が連携し、体力づくりの普及活動に

努めます。

○ スポーツ推進委員等の指導によるスポーツ活動の充実と健康維持、体力

増進に対する村民意識の啓発に努めます。

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2 スポーツによる交流を通じての地域振興

◆現状と課題

スポーツやレクリエーションによる交流は、スポーツ少年団や老人クラブの

活動、公民館事業として、地域間交流が行われています。

また、杉並区など友好都市とのスポーツ交流もはじまりました。

しかし、同一スポーツ、同一世代、同一地域の交流にとどまり、内容や地域

の広がりは見られない状況です。

◆計画の目標

これまでのイベントに加え、全村的なレクリエーションやイベントを開催し、

世代間・地域間の交流を広げるよう努めます。

また、村外の自治体・団体との交流の拡大充実を図り、長期的な実施ができ

るよう支援します。

◆施策の体系

スポーツによる交流を スポーツ交流の促進

通じての地域振興

スポーツを通じた村の PR 推進

◆主要施策

(1)スポーツ交流の促進

スポーツを通して、健康増進を図り、また、村民相互のコミュニケーショ

ンを深める場として各種スポーツ大会などスポーツ行事の開催に努め、スポ

ーツによる交流を促進します。

(2)スポーツを通じた村の PR 推進

国内外で活躍するアスリートにスポーツ大使を委嘱して、PR活動を通じ

て、村の知名度の向上、スポーツ合宿の里のイメージアップを図ります。

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第2節 芸術・文化の振興

(生きる喜びと心豊かな暮らし)

1 芸術活動の活性化、芸術振興事業の展開

◆現状と課題

本村には、文化団体連絡協議会があり、14の団体が加盟しています。

その他に未加盟のサークルがいくつかあり、それぞれ独自の活動を展開して

います。村民の芸術文化活動を支援するため、人材・団体の育成、活動環境の

整備はもとより、文化行事の充実、団体相互の交流促進を図る必要があります。

これまで、村民文化祭の継続的な開催、生涯学習講座での芸術文化活動の推

進など、村民の多様な活動の実施を支援し、芸術文化に触れる機会の充実に努

めてきました。今後もこうした活動の支援に努めていく必要があります。

◆計画の目標

村民の芸術活動を支援し、村民一人ひとりに優れた芸術に触れる機会を提供

することで、生きがいのある村民生活の実現を目指します。

多様なかたちで、村民の芸術活動を支援していくともに、芸術家の招致やコ

ンサートの開催を企画するなどして、芸術の香り高いむらづくりを進めます。

◆施策の体系

芸術活動の活性化、 芸術活動の活性化

芸術振興事業の展開

芸術振興事業の展開

◆主要施策

(1)芸術活動の活性化

○ 芸術家の招致やコンサートの開催を企画するなどして、村民が芸術文化

に触れる機会の創出に努めます。

○ 生涯学習講座などにおける芸術文化活動を促進します。また、活動の成

果を発表できる場として村民文化祭を開催します。

○ 公民館だけでなく、廃校舎などを利用して様々な催しや展示を行い、郷

土の歴史や芸術作品に触れる機会を設けることで、芸術文化の薫り高いむ

らづくりを進めます。

(2)芸術振興事業の展開

○ 村民の豊かな感性と創造性を養い、芸術への関心や理解を深め、様々な

芸術活動を推進するために、村民や文化団体とともに、音楽・演劇・美術

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などの鑑賞機会の提供や文化祭の開催など、村民の芸術活動の成果を発表

できる場の充実を図ります。

2 文化活動の活性化、文化振興事業の展開

◆現状と課題

村民の文化活動を支援するため、人材・団体の育成、活動環境の整備はもと

より、文化行事の充実、団体相互の交流促進を図る必要があります。

◆計画の目標

村民の文化活動を支援し、村民一人ひとりに優れた文化に触れる機会を提供

することで、生きがいのある村民生活の実現を目指します。

多様なかたちで、村民の文化活動を支援していき、豊かな感性と創造性を育

てます。

◆施策の体系

文化活動の活性化、 文化活動の活性化

文化振興事業の展開

文化振興事業の展開

◆主要施策

(1)文化活動の活性化

村民の文化活動をはじめ、地域や村民生活に根ざした自主的な活動を支援

するとともに、文化活動リーダーの養成や団体・グループなどの育成に向け

て研修・交流などを推進します。

また、広域的な交流を行い、指導者の発掘や団体の活性化を図ります。

(2)文化振興事業の展開

村民の豊かな感性と創造性を養い、文化への関心や理解を深め、様々な文

化活動を推進するために、村民や文化団体とともに、音楽・演劇・美術など

の鑑賞機会の提供や文化祭の開催など、村民の文化活動の成果を発表できる

場の充実を図ります。

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第3節 歴史文化の保存と継承

(歴史と文化が息づくむらづくり)

1 歴史資源の保存・継承

◆現状と課題

本村には、国指定天然記念物の雄国沼湿原植物群落をはじめ、15の村指定

重要文化財があります。特に雄国沼湿原植物群落については、昭和33年より

本村が管理団体に指定され、保護に努めてきています。これらの貴重な歴史的

文化遺産、自然遺産を次の世代に継承するために、文化財の調査・研究の推進

と施設の整備が必要となっています。

本村では、各地域に古くから伝わる伝統芸能がありますが、後継者となるべ

き若者の減少で途絶えてしまうことが心配されています。これからは、子ども

たちに学習活動の中で伝承するなど、民俗芸能等の後継者を育成する必要があ

ります。

また、本村には多様な文化財がありますが、村指定文化財として指定されて

いるもの以外にも、金山跡など近代化遺産、地域に伝わる食文化や生活の知恵、

石碑などの歴史的石造物など、後世に継承すべき資源が数多く残っています。

これらの価値ある資源は、歴史的・文化的な意味合いだけではなく、地域振

興の側面からも大切な資源です。しかし、現状のままでは、これらの資源がも

つ価値に人々が気付かないうちに失われてしまう可能性があります。

文化財の保存や活用の充実を図るには、計画的な保存整備が必要で、併せて

情報発信や利活用について、ボランティアやNPOといった民間団体等の協力

を検討する必要があります。

◆計画の目標

村民が地域の歴史や民俗、自然に触れる機会を増やしていくために民俗資料

の収集や歴史・文化遺産である旧街道や城館跡を整備しながら保護と活用を図

っていきます。

地域文化の振興に向けて各種団体と連携しながら、村全域に分散する歴史・

文化資源の価値を明らかにし、これらの保護と継承に努めます。また、守るだ

けではなく、村民が歴史や文化財に接する機会を持ち、貴重な地域の有形・無

形の歴史・文化財への理解を深め、継承していく意識を育て、人材育成と保護

活動を進めます。

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◆施策の体系

文化遺産・自然遺産の継承

歴史資源の保存・継承 城館等の史跡の整備・保存・活用

文化・歴史遺産の整備・保全

◆主要施策

(1)文化遺産・自然遺産の継承

○ 地域の伝統芸能や伝統行事を保存・伝承するため、保存会等の活動を支

援するとともに、青少年に対する紹介や指導に努めます。

また、現在は途絶えてしまった芸能等の復活や、新たな地域芸能の育成

に努めます。

○ 各集落に伝わる伝統芸能の保存・継承活動を支援します。また、小・中

学校の総合的な学習の時間などを通して、村内の児童生徒に伝統芸能に触

れてもらうなど継承につながる仕組みづくりについても検討します。

○ 雄国沼湿原植物群落や磐梯山噴火による流山など、貴重な自然遺産の保

全を図り、地域の歴史や自然が身近に感じられ、生涯学習に役立つような

環境づくりに努めます。

(2)城館等の史跡の整備・保存・活用

○ 村に点在する中世の山城跡などの遺跡を保存、整備し、活用するための

事業を展開します。

○ 旧米沢街道に残る「峠の茶屋跡」など史跡について整備・保存を図りま

す。

また、歴史上の人物の往来を掘り起こし、その物語に着目したPRの手

法を検討します。

(3)文化・歴史遺産の整備・保全

○ 文化財、民俗資料等の調査研究、収集に努めます。貴重なものについて

は保護指定等の必要な保護・保存対策を講じるとともに、収集した文化財、

民俗資料についての展示公開ができる施設の整備の検討を図ります。

○ 文化財・自然遺産に対する村民の理解と保護保全意識の啓発を図るため、

文化財や郷土史、自然等に関する学習・研究、PRなどの活動を推進する

とともに、文化(自然)保護団体・サークル等の育成を図ります。

○ 村民の誇りとなる文化遺産を村民自らが再確認し、関心を高めるような

取り組みを実施します。

2 歴史資源の活用

◆現状と課題

文化財の保存や活用の充実を図るためには計画的な保存整備が必要です。併

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せて情報発信や利活用について、ボランティアやNPOといった民間団体等の

協力を検討する必要があります。

◆計画の目標

村民が地域の歴史や民俗、自然に触れる機会を増やしていくために民俗資料

の収集、さらには、文化遺産・自然遺産の保護と同時に活用対策を講じます。

また、これらの遺産を守るだけではなく、村民が歴史や文化財に接する機会

を充実し、貴重な地域の有形・無形の歴史や文化財への理解を深めて、継承へ

の意識を高め、人材育成と保護活動を進めます。

文化財の保存整備、文化施設の効果的配置の検討や整備充実に努め、学校教

育や生涯学習での郷土理解学習やふるさと学習への利用を高めるとともに、そ

の価値を周知するための積極的な広報活動を行い、村の魅力のひとつとして村

民や観光客に伝えられる体制を整え、個性ある観光資源としての利活用を推進

します。

◆施策の体系

文化・歴史遺産の利活用

歴史資源の活用

歴史・文化等の周知

◆主要施策

(1)文化・歴史遺産の利活用

○ これまで埋もれていた歴史・文化資産を積極的に掘り起こします。そし

て、指定文化財と共にその保護に努めます。また、村の歴史・文化を総合

的に伝える仕組みを検討し、既存施設を活用しながら展示・解説できる施

設を整備します。さらに国内外から訪問する観光客に対して、村内の自然・

歴史・文化に関する情報を提供できるようガイドの育成に努めます。

○ 遺跡の輪郭を示し、山城等の遺跡をわかりやすい形で識別できるように

する取り組みを実施します。

○ 村内の遺跡群を一つのストーリーとして結び付け、国・県の史跡指定に

向けた取り組みを計画的に実施します。

(2)歴史・文化等の周知

「地域の宝」、「村の誇り」である伝統文化や自然、歴史などを再度見直し、

新たな村の文化の創造と村民のプライドの創生を目指します。

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Ⅵ 暮らしの環境が整い、地域ぐるみで安全を守る安心な村

第1節 生活環境(インフラ)の整備

(住みやすい村)

1 住宅・住環境の整備

◆現状と課題

村の人口は減少傾向にあり、その傾向は加速化しています。少子高齢化も進

行しているため、このままでは村の活力が減退してしまいます。

このため、定住人口や交流人口の拡大によって地域を活性化する必要があり

ます。人口の定着や流入を促進するためには、快適な住環境の整備や廉価で良

質な公営住宅や宅地の供給が重要になっています。土地利用の状況をみると、

山林や農地が多くの割合を占めているため、自然環境との調和に配慮し、地域

の特性や利用目的に応じて有効に土地利用を図る必要があります。

また、快適な住環境を維持するためには、生活に伴って排出される廃棄物を

適正に処理することが大切です。ゴミの減量化、リサイクルの推進など村民・

事業者・行政が一体となり取り組み、村の豊かで美しい自然環境を保全し、将

来にわたって引き継ぎ、持続可能な資源循環型社会を構築する必要があります。

◆計画の目標

村民のニーズに応え、良質な宅地の提供ができるよう、計画的な土地利用に

基づく民間の宅地開発を誘導します。また、高齢者や障がい者に配慮したバリ

アフリーの推進と雪国に適合した住宅環境を整備するとともに、新規村営住宅

整備の必要性について検討します。

健康で文化的な生活環境の確保と村の均衡ある発展のため、国土利用計画等

により、自然環境に配慮し、自然環境の持つ多様な機能を活用しながら生態系

の維持を図るなど、自然環境の保全に努め、調和のとれた計画的な土地利用を

推進します。

◆施策の体系

公営住宅の整備

住宅・住環境の整備 空き家解消、定住二地域居住の推進

計画的な土地利用の実施

廃棄物の適正な処理の推進

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◆主要施策

(1)公営住宅の整備

○ 村民の住宅ニーズに対応し、新規村営住宅整備の必要性を検討し、既存

住宅の適切な維持管理を実施します。

○ 松陽台ニュータウンの整備は、地区内人口流出の歯止めになりました。

人口の定着や流入を促進するため、新たな宅地造成の整備の検討、既存の

住宅団地の分譲を推進します。

(2)空き家解消、定住二地域居住の推進

空き家を地域資源として、行政区長の協力を得ながら村内各集落の空き家物

件の洗い出し、所有者の意向を踏まえてHPでの情報発信を行い、空き家を

利活用した定住人口や二地域居住者の増加を目指します。

(3)計画的な土地利用の実施

○ 「国土土地利用計画(北塩原村計画)」を策定し、また「北塩原村農業振

興地域整備計画」の定期的な点検と村民への十分な周知を図り、計画的で

調和のとれた土地利用計画を推進します。

○ 観光動線と生活動線の分離や、景観を保全・形成する区域の土地利用コ

ントロール、生活面や観光面で必要な施設の配置など、観光客が求める原

風景の保全や魅力的な景観の形成を図りつつ、良好な住環境を保全する方

法について検討し、実施します。

○ 地籍調査を推進し、土地の境界や面積、利用状況を明確にすることで、

権利の保全や取引の安全性確保につなげます。

○ 土地の保全と活用を図るため、長期的な視点に立って優良農地の確保を

図ります。緑豊かな森林の広がる山間部は、自然環境の保全に配慮しつつ、

観光・レクリエーションの場として整備を進め、森林の有効利用を図りま

す。

○ 所有者が不在である土地の有効活用や、耕作放棄地の土地改良、ほ場整

備を進めるなど、低・未利用地を農地や住宅地に転換して活用します。

(4)廃棄物の適正な処理の推進

○ 容器分別収集や生ゴミの推肥化など、村民・事業者などが、それぞれの

役割のもとに循環型のゴミ対策に努めます。

○ リサイクルを推進し、ゴミの減量化・資源に対する村民意識を高める活

動を実施します。

○ 快適性や利便性を追求する施策を進めながら、環境にやさしい生活を村

民自らがめざすように、情報提供や啓発活動に努めます。

○ 環境を良くする条例や計画等に基づき、環境保全の必要性を広く理解し

ていただくための啓発活動を進めます。

○ 村の環境監視員、県等との連携を図りながら、徹底した不法投棄の防止

に取り組んでいきます。

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2 インフラの整備

◆現状と課題

道路は生活や産業振興の基盤であり、災害発生時の避難道路や緊急車両の通

行など重要な役割を果たしています。幹線道路である国道・県道の未整備・未

改良区間については早期に整備されるよう働きかけが必要です。

拡幅改良・舗装改良などの村道整備を進め、集落機能の維持や生活の利便性

向上、安全性・快適性の確保、交通ネットワークの形成に努めてきましたが、

財源確保が厳しくなる中、地域活性化の取り組みとの連携を図り、重要性・緊

急性を見極め、優先順位を明らかにしていく必要があります。

また、橋りょうや道路施設の老朽化もみられるため、計画的に維持管理を行

い、安全性を確保する必要があります。

水道については、簡易水道・給水施設により安定して水道水を供給していま

すが、施設の老朽化が進んでいます。施設の維持管理、老朽施設の計画的な改

修が必要なことから、さらに公営企業運営の効率化、健全化を図る必要があり

ます。また、水道未普及地区においては、地元の現状を把握しながら、調査等

に基づき施設整備を進めていきます。

下水道事業については、全村下水道化構想に基づき整備されましたが、人口

の減少や一人暮らし世帯の増加などにより、加入率が伸び悩んでいる地区もあ

ります。今後は、施設の維持管理、施設等の計画的な更新を図りながら、事業

運営の健全化を図っていく必要があります。

情報通信の分野では、村内全域での光ファイバ網が整備され、地域間や都市

部との格差が解消されました。また、日常生活に欠かせない携帯電話について

も不感地域が解消されています。

情報通信環境を活用しての電子自治体の推進や保健・医療・福祉の充実、行

政サービスの向上を図っていく必要があります。

身近な公園や緑地は、コミュニティや語らいの場、子どもの遊び場など子育

てに必要とされていますが、現状では十分に確保されていない状況です。

◆計画の目標

道路交通網は、賑わいと交流を創出し、産業の活性化、消防・救急体制の強

化など、地域の利便性と定住環境の向上につながることから、自然環境に配慮

して、人と車の安全性の確保・共存に配慮した道路整備を計画的に進めます。

安心して生活できる道路基盤の整備を継続して実施するとともに、観光地と

しての魅力向上につなげ、村民の生活環境を保護します。

また、橋りょうについては長寿命化修繕計画により、効率的な修繕、維持管

理を実施します。

多様な情報の提供や緊急時等の円滑な情報伝達など、情報格差のない生活環

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境の実現を目指し、産業の振興や行政情報の共有化を図ります。

また、本村の恵まれた自然環境を活かして、特色ある公園・緑地の整備と緑

の保全に努めます。

◆施策の体系

道路整備の促進

インフラの整備 上水道の適正な維持管理

下水道の適正な維持管理

情報通信基盤の整備

公園・緑地の整備

◆主要施策

(1)道路整備の促進

○ 広域幹線及び観光道路として人や物の交流を進め、交通の利便性を高め

るため国・県道の整備促進を関係機関へ働きかけます。

○ 村道は集落間道路として交通の利便性を向上させるとともに、地域の活

性化につながるような幹線村道の整備を進めます。改良等が必要な道路に

ついて、優先順位をつけながら計画的に整備していきます。また、日本で

最も美しい村にふさわしい村道の整備や、計画的な道路の維持補修を行い

ます。

○ 農林業の活性化や暮らしに必要な農林道の計画的な整備を進めます。ま

た、集落や受益者が行う農林道整備への支援を進めます。

さらに、地域を結ぶ「道」としての歴史的な背景が着目されていること

から、地域連携及び交流推進に結び付く取り組みを推進します。

○ 橋りょうの老朽化施設の増加に対して、計画的かつ効率的に修繕・維持管理

を行い、安全で安心できる生活を支え、次世代へと引き継ぎます。

(2) 上水道の適正な維持管理

○ 村民に安全な飲み水を安定して供給できるように、給水施設の計画的な

改修を進めます。また、水質検査や漏水検査など適切な維持管理に努める

とともに、水道施設の維持管理体制の見直しと維持管理費の低減を図り、

施設運営の向上に努めます。そして、限りある水資源を有効に活用するた

めにも、有収率の向上や村民の節水意識の向上を目指します。

○ 水道未普及地区については、整備の可能性を調査しながら、施設整備を

進めていきます。

(3)下水道の適正な維持管理

○ 下水道汚泥の減量化と再資源化を促進しつつ、下水道施設の長寿命化対

策を進め、機器類等の点検・改修・更新、水質検査、不明水検査などによ

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り、適切な維持管理を継続して実施します。

また、維持管理費の低減を図り、施設運営の向上に努めます。

○ 衛生的な環境を築くため、積極的な加入推進を図り、水洗化率100%

を目指すとともに、下水道未接続数ゼロを目指して接続への呼びかけを続

けます。

○ 湖の富栄養化の原因物質とされる窒素・リン等の除去をより高度な処理

方式の導入により水質の保全を図ります。

○ 豊かで美しい水環境を将来にわたって守り続けるため、下水道区域外に

ついて積極的に合併浄化槽の設置を進めます。

(4)情報通信基盤の整備

○ 高度情報基盤の整備を進め、ICTを活用した行政サービス(災害・防

災情報の提供、電子窓口(電子自治体)の推進、携帯電話通話エリアの拡

大など)の向上を図ります。

○ 緊急時や災害時に利用できる安定した情報通信網について早急に検討し、

整備を推進します。

○ 既設ブロードバンドへの加入を促進し、村民の基本的な情報通信基盤の

整備・強化に努めます。

○ インターネットを活用した地域経済の活性化と雇用創出を目指します。

農林業における生産所得の向上や担い手の育成などICTを活用しサポー

トしていきます。

○ 学校教育や生涯学習において、ICTを活用した人材育成を進めます。

○ インターネットや携帯電話の基本的な使い方に関する教育を充実すると

ともに、利用に際しての犯罪防止と情報リテラシーの向上を目的とした教

育を受ける機会を提供します。

(5)公園・緑地の整備

高齢者のいこいの場、安心して子育てのできる環境など地域の人々の生活

行動に配慮した身近な公園緑地の整備を推進します

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第2節 生活利便性の向上

(便利で暮らしやすい村)

1 環境と共生した暮らしやすい村

◆現状と課題

暮らしやすい村を築くためには、生活の基盤整備に加えて、生活をとりまく

環境を整備する必要があります。そのことによって、「住んでよかった」という

実感が生まれます。

福島県の地域新エネルギービジョンによれば、会津地域における再生可能エ

ネルギー導入の特性としては、地熱、太陽光、太陽熱、風力などが期待できる

とされています。

本村においても地域新エネルギービジョンに基づき、さまざまな再生可能エ

ネルギー可能性を示しましています。今後、いかに具体化するかが課題です。

資源循環型社会の実現は、地球温暖化防止とともに、環境共生型社会の実現

に向けた重要な施策であり、次の世代の子どもたちを守ることになります。

地域新エネルギービジョンに基づき、村の環境を活かした更なる自然エネル

ギー源の確保や、ハイブリッドカーへの移行と電気自動車に対応した設備の整

備など、先進的な環境社会を構築する必要があります。

国民の省エネルギーに対する意識高揚と同様に、村民の意識も高まっていま

す。この機会を逃すことなく、環境にやさしい村民生活をサポートする基盤づ

くりが必要です。

◆計画の目標

環境負荷の少ない循環型社会をめざし、健康で快適な生活環境を確保するた

め、ゴミ減量やリサイクルの推進、村民への啓発活動を行います。

観光客を含め、村民一人ひとりに対する環境美化意識の高揚を図り、ゴミの

散乱、不法投棄防止やマナーの向上など、地域が一体となり環境美化活動を進

め、美しい景観を保全します。

ゴミの分別をより一層推進するとともに、村全体で資源循環型社会の構築に

取り組みます。ゴミは資源であるという村民意識を醸成し、減量化・資源化に

努めながら、環境負荷の最も少ない再資源化方法や収集ルート、処理方法につ

いて検討し、適正なゴミ処理を実施します。

新エネルギーの普及・拡大には、村民や事業者の理解や協力が欠かせないた

め、村民の新エネルギー導入に対する自主性が向上できるよう、村民の立場に

立ったソフト面の施策も充実していくことが必要です。

環境負荷の少ない暮らしや、自然エネルギーの活用などが促進されるような

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学習機会や環境に優しい生活様式の情報を提供するとともに、省エネルギーや

再生可能エネルギーの導入に取り組んでいきます。

エネルギー自給率100%を目指す先進的な環境社会の構築に向けた施策を

検討するとともに、村民の省エネルギー生活を支援・指導します。

◆施策の体系

環境と共生した 新エネルギーの普及・導入

暮らしやすい村

村民参加のエコ活動の促進

◆主要施策

(1)新エネルギーの普及・導入

○ 公共施設へは、関係各課と連携をとりながら、優先順位をつけて率先的

に導入を進めます。

○ 新エネルギーの導入にあたり、広域的な検討が必要なことから、国・県

及び隣接市町村との連携を図り、周辺地域との調整を行います。

(2)村民参加のエコ活動の促進

○ 新エネルギーに関する情報の提供やシンポジウム等のイベントの開催、

ホームページへの情報提供等を行い、村民や事業者への新エネルギー導入

の利用促進・普及啓発活動を推進します。

○ 「北塩原村地域新エネルギービジョン」に基づき、今後も地域資源を活

かした再生可能エネルギーの積極的な導入を進め、CO2排出量の削減に貢

献していきます。

○ 学校と連携して公共施設に導入する新エネルギー施設を生きた教材とし

て活用し、子どもたちだけでなく、広く村民や事業者を対象に学ぶ機会を

設けるなど、地域社会としての環境教育の充実を図ります。

○ 村民や事業者が自主的に新エネルギー導入を進めることに関して、積極

的に支援します。家庭や事業所などにおいて、身近な省エネルギー対策を

推進することで、地球環境保全に貢献します。

2 生活の利便性を高める

◆現状と課題

経済の発展や生活の利便性を高めるためには、交通網の整備が不可欠です。

本村の公共交通機関は、磐梯東都バスにより生活路線バス、観光路線バスが

運行されていますが、利用者数は伸び悩んでいる状況です。

これまでも運行本数を確保するため、生活路線バスへの支援を行ってきまし

たが、少子高齢化の進行に向けて、さらに、医療・福祉、商業等との連携を図

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84

っていくことが必要です。

道路除雪については、除雪機械の整備・充実に努め、緊急時・災害時の路線

確保、通勤、通学、物流や産業活動に支障のないよう交通を確保してきました。

住宅周りの雪は、地域によっては家と家との間に雪を堆積する場所がなく、

特に高齢者世帯では除雪が容易でない状況も見受けられます。

雪を克服するためには、消融雪道路などの整備を検討していくほか、高齢化

が進む中で、行政区等と協力した高齢者世帯などの除雪の実施など、福祉的な

取り組みを加えた地域ぐるみの除雪体制が必要になっています。

一方、雪は障害になるだけではなく、観光資源や水資源でもあります。今後、

雪を活性化の材料として観光や産業へ大いに活用していくことが必要です。

◆計画の目標

村民の足、観光客の足としての公共交通機関については、利便性に配慮した

バスのダイヤ編成や路線確保に努めます。

高齢化の進行に伴う交通弱者の買い物や通院といった日常生活における移動

手段の確保として、公共交通の維持・確保と空白地帯の解消に努めます。

除雪体制の一層の充実を図るため、除雪ステーションの整備や除雪機械の計

画的な整備に努め、冬期間の円滑な交通確保を図ります。

冬期間の快適な暮らしを確保するため、きめ細かな除排雪体制により降雪・

積雪に対応した克雪対策に努めます。また、高齢者世帯などの除排雪など、村

民との協働による体制づくりを進めます。

◆施策の体系

生活の利便性を 公共交通対策の実施

高める

雪対策の実施とその利活用

◆主要施策

(1)公共交通対策の実施

○ 村民生活に大きな影響を及ぼす生活路線バスの運行、維持確保に努めま

す。高齢者や障がい者、子どもなどに配慮した運行と、観光などむらづく

りの取り組みと連携した運行を引き続き検討していきます。少子高齢化や

集落の状況に対応した新たな公共交通のあり方について検討を進めます。

また、停留所から遠い地区については、コミュニティバスを運行し路線

バスとの連絡により利便性を高めます。

○ 通勤・通学の利用者の利便性を確保するため、磐越西線等との接続ダイ

ヤ改善や高速化等を促進します。

現行の道路事情に合わせた通学経路や、実態に合った運行便数・運行時

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間の確保などについて、関係会社と調整しながら検討します。

○ 裏磐梯・喜多方間等の生活路線バスや裏磐梯の観光資源を活かした観光

バスの運行を推進します。

民営バス路線については、通学・通勤・通院など生活の足として確保す

るとともに、自家用車に代わる観光客の交通手段として、環境保全のエコ

活動としてその利用を促進します。

○ コミュニティバスを運行することで、公共交通機関のない地区の高齢者

等に対し通院や買い物の外出の機会を支援します。

(2)雪対策の実施とその利活用

○ 冬期間の交通を確保し、雪に強いむらづくりのため道路除雪事業を進め

ます。高齢者世帯の住宅除雪を支援するボランティア組織の拡大を進めま

す。

○ 除雪機械の保管と除雪の効率的運営を図るため、施設の整備に努めます。

除雪機械や融雪設備の計画的な更新と拡充を進めるとともに、地域特性

を考慮した効率的な除雪体制を構築し強化します。

○ 雪まつりや雪室など、観光資源や自然エネルギーとして利活用します。

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第3節 安全で安心な地域

(地域ぐるみで生活の安全を守る村)

1 防災(災害に強いむらづくり)

◆現状と課題

本村には、急傾斜地崩壊危険区域が大塩地区に4ヶ所あり、大塩川、三の森

川、蟹沢川、大谷川、他に7河川が砂防指定を受けており、各種の治山・冶水

事業が行われてきました。

崩壊の危険のある急傾斜地や林地、河川について、計画的に災害予防の事業

の推進を図るとともに、東日本大震災の経験や磐梯山の噴火等にも対応できる

よう村民・事業者の自主防災意識を高めるとともに、予防体制や初動体制の充

実を図る必要があります。

社会環境の変化や複雑化する災害形態、近年大規模災害の発生など高機能な

防災体制が求められています。

地域の防災体制づくりと防災資機材の整備が必要であり、自主防災組織の体

制づくりが求められています。日頃から、村民や事業所等における防災訓練や

防災機器等の準備、意識啓発に努める必要があります。

自然災害は大きな被害をもたらします。また、犯罪や交通事故のニュースが

毎日のように報道されるなど、災害に強く、犯罪や交通事故のない安全・安心

なむらづくりが求められています。

消防防災の中核を担う消防団は、団員の会社勤めが多くなったことや高齢化

が進んできたことで、消防力の低下が懸念されています。とりわけ平日の消防

力に不安があることから、組織の強化を図りながら火災・自然災害などの災害

に備え、村民・関係機関・各種団体と協力し、村民が安心して暮らせる消防防

災の体制づくりが求められています。

防災行政無線の老朽化に伴う更新、及び全国瞬時警報システム(J-ALERT)と

の連携、無線のデジタル化による対応など、防災無線についても課題がありま

す。緊急時・防災時の情報通信網の確保については、村民や観光客を多く抱え

る本村では、早急に解決しなければならない課題です。

◆計画の目標

地域防災計画に基づき、災害に強いむらづくりをめざし、防災に対する村民

意識の高揚を図り、予防体制と応急体制の強化を図ります。

地域防災計画に基づき、予想される災害に対応した整備を国・県と連携して

行うとともに、村民への防災思想の普及啓発や防災訓練を実施するとともに、

防災資機材の整備など災害活動体制の充実に努めます。

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また、地域の防災体制として消防団員の確保や自主防災組織づくりを推進し、

地域共助による防災体制づくりを進めます。

災害時要援護者の把握に努め、福祉活動と連携した防災対策を進めます。

災害などの緊急時や防災に利用できる安定した情報通信体制の整備を目指し

ます。

◆施策の体系

災害に強いむらづくりの推進

防災 防災無線システムの更新

公共施設の耐震化の実施

◆主要施策

(1)災害に強いむらづくりの推進

○ 地域防災計画、磐梯山火山防災ハンドブック等に対する広報活動、情報

提供などを積極的に実施し、避難場所、避難路等の周知をはじめ防災計画

の周知徹底に努めます。

○ 村民の自主的な防災組織を全域的に育成し強化することにより、災害時

の避難、情報伝達、収集等の活動母体とします。

○ 防災訓練の機会の確保に努めるとともに、村民の防災意識の高揚を図り

ます。

○ 水害、火山災害などの自然災害の発生に対処できるよう、防災資機材の

整備、防災物資の備蓄を図ります。

○ 水源かん養保安林の保全・育成を図り、森林の保水力の向上に努め、土

砂災害や水害の防止に努めます。

河川の危険箇所については、自然景観や生態系に配慮し、親水性を高め

た工法により、計画的な改修を進めます。

○ 急傾斜地等崩壊の点検を行い、災害を未然に防ぐため、早期対応に努め

ます。

(2)防災無線システムの更新

広域的消防・防災体制整備の観点から、電波法関係審査基準の改正により、

アナログ周波数の使用期限が平成28年 5 月31日までとされたことにより、

平成27年度までにデジタル化へ移行されます。この機会をとらえ、防災情

報伝達手法を検討しながら設備の更新を図ります。

(3)公共施設の耐震化の実施

大規模地震の発生時に、村民等が安全かつ安心して避難できる施設、さら

に防災拠点となる施設の耐震化を図り、公共施設の耐震化率100%を目指

します。

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2 消防・救急

◆現状と課題

本村の消防体制は、常備消防である喜多方地方広域市町村圏組合の消防署に

よって管轄され、北山・大塩地区が喜多方市に設置されている喜多方消防署管

内、桧原・裏磐梯地区が裏磐梯地区に設置されている北塩原分署管内となり、

さらに4分団からなる北塩原村消防団が組織され、村民の生命や財産を守るた

め消防活動を推進しています。

しかし、青年層の人口減少、就業形態の多様化等により年々団員の確保が難

しくなるとともに、施設や資機材は年次的に整備しているものの、産業や観光

の振興による施設整備の必要量の増加、災害内容の複雑多様化等、消防行政を

取り巻く環境は厳しいものとなっております。

今後も緊急時や非常時に、的確かつ迅速な対応ができるよう、広域消防の一

層の充実とともに連携を図りながら、防災の中心的役割を担う消防団員の安定

的な確保と資質の向上、ポンプや消防水利など消防施設・設備を推進する必要

があります。

◆計画の目標

村民の生命・財産を守るため、消防施設・設備の充実、消防団活動の推進な

ど消防体制の強化を計画的に推進します。また、村民の防火意識の高揚と安全

思想の普及、啓発活動を図り安心して暮らせる環境づくりに努めます。

消防資機材の整備や消防力の強化を図るほか、村民への防災思想の普及啓発

や防災訓練を実施するとともに、消防団員の確保に努めます。

◆施策の体系

常備消防体制の充実

消防・救急 消防施設の充実

消防団の育成・強化

防火意識の高揚

救急体制の確立

高機能指令センターの整備・活用

◆主要施策

(1)常備消防体制の充実

機動力のある出動体制を維持するため、常備消防体制の整備を促進し、自

主防災組織の充実を図ります。

(2)消防施設の充実

消防機材の充実と適正な配置を図り、消防活動の活性化を図ります。

防火水槽や消火栓の整備を年次計画に基づき順次整備を図ります。

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(3)消防団の育成・強化

複雑化、多様化する災害に対応できる消防団員を確保・育成するため、各

種研修会等への参加や訓練を実施し、消防団の資質の向上を図ります。

また、若者が多く入団するよう魅力ある消防団づくりを計画的に推進し、

消防団の活性化を図ります。

(4)防火意識の高揚

防災行政無線等の活用による広報活動を推進し、村民の防火意識の高揚に

努めるとともに、ホテル等の事業所に対して、自主防火管理体制の徹底の指

導に努めます。

(5)救急体制の確立

現在設置している防災行政無線を更新し、災害時の通信・情報伝達体制の

向上を図ります。

緊急を要する傷病者の救急搬送を迅速かつ的確に行うため、広域的な救急

搬送体制の強化を促進します。

救急医療体制について、関係機関の協力により充実を図ります。

(6)高機能指令センターの整備・活用

機器の老朽化等による故障や保守点検部品の確保問題に対応するため、信

頼性の高いネットワークを構築し、県から発信される災害情報の共有化を図

ります。

3 交通安全・防犯

◆現状と課題

交通死亡事故は、交通量の増加と交通モラルの低下、運転者の高齢化などに

よるものが多く、本村においても同じ傾向にあります。

交通安全運動は交通対策協議会を中心に交通安全の啓発活動を行っています。

今後も交通事故の多発が予想され、警察、交通対策協議会等と協力し、交通

安全の普及と交通モラルを高め、交通事故防止に努めていく必要があります。

歩道や信号の整備などの施設整備についても検討していかなければなりませ

ん。また、高齢者ドライバーへの配慮についても、重点的に検討する必要があ

ります。

本村の防犯は、警察(喜多方警察署大塩駐在所・猪苗代警察署裏磐梯駐在所)

及び防犯協会、行政、地域の協力のもと様々な活動を行っております。現在、

村内の犯罪発生件数は少ないものの、犯罪年齢の低年齢化、行動範囲の拡大な

急激に変化しており、犯罪を家庭、学校、地域など地域社会が一体となって未

然に防止していかなければなりません。

今後も、犯罪のない明るいむらづくりを進め、青少年の健全な育成を図るた

め、関係機関との連携強化、村民の協力による防犯体制の充実、防犯・暴力追

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放キャンペーン、村民意識の高揚などによる自主防犯活動の展開などに努め、

青少年に対しては、スポーツや文化活動など青少年の自主的活動を促進しつつ、

地域ぐるみで青少年健全育成運動を推進する必要があります。

安全な地域づくりを進めるためには、地域や警察、各関係機関が協力して防犯に

取り組み、相談や防犯パトロールなどによって、犯罪や事故の発生を未然に防ぐな

ど、村民や関係機関と協力した防犯対策を推進する必要があります。

さらに、悪徳商法や詐欺などの消費者被害も大きな問題になっています。今後も

消費者問題に対応できるように、消費活動に関係する意識啓発と被害防止に努めて

いかなければなりません。

◆計画の目標

道路網の整備、自動車利用の増加、交通量の増大、高齢者の運転など、交通

環境や交通事情の変化に対応した交通安全の啓発活動を充実します。

関係機関が連携した組織づくり、交通安全運動の実施など村全体で交通安全

体制の強化を図ります。

地域社会の変化に対応して、村民の自主的防犯意識の高揚に努め、地域社会

における犯罪防止力の強化を図ります。

防犯施設の整備を進めるほか、関係機関が連携を密にすることにより、防犯

への意識の高揚や組織づくり、村全体で防犯体制の強化を図ります。

◆施策の体系

交通安全施設等の整備

交通安全・防犯 交通安全意識の高揚

防犯体制づくりの推進

防犯運動の推進

◆主要施策

(1)交通安全施設等の整備

○ 道路改良工事に合わせながら、歩車道の分離、ガードレール、カーブミ

ラー等の交通安全施設を景観に配慮しながら整備します。

○ 地区ごとの交通安全協会活動の充実、観光客への呼びかけなどを通じて、

「交通事故ゼロ」のむらを目指します。

(2)交通安全意識の高揚

○ 交通対策協議会を中心に、幼稚園や小・中学校、老人クラブ、婦人団体、

青年層など地域、職場、家庭における交通安全意識の高揚・普及活動の推

進を図ります。

○ 交通安全普及のため、交通安全母の会、交通教育専門員などの育成・指

導を推進します。

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○ 交通安全キャンペーンを推進するため、広報等を積極的に活用していきます。

(3)防犯体制づくりの推進

犯罪の発生しにくい地域社会をつくるため、警察・行政・村民が協力して

防犯体制の強化に努めるとともに、地域住民の積極的参加を促し、犯罪のな

い地域社会の維持に努めます。

(4)防犯運動の推進

○ 様々な防犯運動を実施し、地域住民の防犯意識の高揚を図り、犯罪等の

未然防止に努めます。

○ 県や他自治体と連携して、消費者トラブルを未然に防止するための積極

的な広報活動を行い、多様化する消費者問題に適切に対応します。

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Ⅶ 住民と行政が一体となってむらづくりを進める村

第1節 村民と行政のコミュニケーションを高めるために

1 広報広聴活動の充実

◆現状と課題

広報・広聴は行政の基本の一つであり、行政運営の状況を村民に伝えたり、

村民のニーズを的確に把握する機能を果たしています。

本村では、広報「きたしおばら」、村ホームページや各種統計等資料の充実に

努めてきましたが、今後もその内容の充実を図るとともに、情報化時代に即し

た新しい広報手段の導入などを進め、行政ニーズの的確な把握に努めます。

村の施策や計画などの行政情報を広く村民に周知することは、多様な意見や

要望など村民の声を村政に反映させ、村民参加のむらづくりを進めるうえで欠

かせないものです。

◆計画の目標

様々な手段や機会を通して、広報・広聴活動を充実するとともに、情報公開

の一層の推進を図り、村民がわかりやすく、利用しやすいサービスの提供に努

めます。

◆施策の体系

広報広聴活動 広報・広聴活動の充実

の充実

村ホームページの内容充実

◆主要施策

(1)広報・広聴活動の充実

○ 広報「きたしおばら」の充実、防災行政無線の利活用を図り、村民と行

政との円滑な情報交流機会の拡充に努めます。

○ むらづくりを行うために必要となる情報を積極的に公開し、情報の共有

化を図ります。

(2)村ホームページの内容充実

村ホームページの充実に努め、村民にわかりやすく生活の情報や行政情報

を伝え、村内外に村の魅力などの情報を積極的に発信します。

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2 交流活動の推進

◆現状と課題

これまで、姉妹友好都市提携を基盤として、村の未来を担う中学生を、ニュ

ージーランドに派遣し、異なる生活文化に触れ、体験活動を通じて視野を広げ

る事業を実施してきました。

平成23年度に友好交流協定を締結したことを契機として、沖縄県東村と、

自然、教育・文化・産業の分野での交流を温めていきます。

また、企業によるCSR活動(※)を受入れやセミナーハウスのある明治大

学との交流など、新たな村民との交流の機会も生まれています。

交流する団体や交流の分野をこれからも拡大していきます。

(※)企業による社会貢献活動

◆計画の目標

これまでの子どもたちの交流を基盤として、お互いの歴史や文化を尊重し、

幅広い世代にわたる村民相互の交流に拡げながら、これからなお一層交流を深

めていきます。

◆施策の体系

地域間・世代間交流の推進

交流活動の推進

相互交流の推進とネットワークの活用

◆主要施策

(1)地域間・世代間交流の推進

地区を超えて実施される活動や世代間が協力して行う活動、女性や若者が

参加する活動などが、村の活性化の原動力です。

このため、むらづくりの中核である女性や若者を対象として、話し合い、

課題を設定した派遣事業を実施することによって、交流を深めながら村を見

つめ直す機会を設け、今後の村の活性化を図っていきます。

(2)相互交流の推進とネットワークの活用

基幹産業である農業と観光を振興するためには、県内・北関東・首都圏エ

リア等をターゲットとして、幅広く新たな事業機会やビジネスチャンスを掘

り起こしていくことが望まれます。

沖縄県東村、大学や企業、これまで構築してきたネットワーク関係団体(ex

「日本で最も美しい村」連合加盟町村とそのサポ-ター企業)などの交流の

機会を拡大することによって、情報の蓄積、ビジネスチャンスの創出を図り

ます。

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第2節 時代に即応したむらづくりのために

1 むらづくり活動

◆現状と課題

むらづくりを円滑かつ効果的に推進するためには、村政に対する村民の理解

と協力、さらには自主的な参加が何よりも大切です。各種計画立案や行政運営

などに広く村民の参画を得てきましたが、今後も行政ニーズの的確な把握と村

民のむらづくり意識の高揚を一層進めていくことが必要です。

地域主権の推進により自治体は「自己責任・自己決定」のもと、「きめ細かな

サービス」で村民の要望に応えていきますが、複雑化多様化するニーズに対し

て、行政だけでは解決できない問題も生じています。

地域のつながりが希薄化する現代において、「協働のむらづくり」を進めてい

くためには、地域やむらづくりに対して、村民と行政が認識や課題を共有し、

それぞれの役割を果たしていくことが重要です。

多様な村民の意見や要望を把握すると同時に、村民と行政のコミュニケーシ

ョンを通して相互の信頼関係を築くことが必要です。

審議会や委員会などへの村民参加を積極的に推奨し、各種懇談会を通じて意

見・要望など村民の声の把握に努め、広報により行政情報の提供を行ってきま

した。

今後、さらに村民の行政参加を促進するため、自治意識の高揚を図り、参加

機会の拡充に努める必要があります。

また、今後村を担っていく人材を育成し、村民の自発と主体に根ざす活動を

行政が支援していく体制の構築を目指します。

◆計画の目標

村民と行政のコミュニケーションを高め、地域間・世代間交流を通して、村

民の連帯意識を深めながら協働体制の確立を図ります。幅広い村民の村づくり

への参加の機会を拡充し、今後むらづくりを担っていく人材の育成に努めます。

◆施策の体系

協働のむらづくりの推進

むらづくり活動 むらづくりパートナーの充実

女性参画の促進

◆主要施策

(1)協働のむらづくりの推進

○ 各種審議会や村民懇談会など村民の意見を十分に聴きながら、その意見

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を行政に反映させていくこととします。

○ 政策等の検討組織や審議会の委員を公募する場合など村民参加によるむ

らづくりを行うときは、老若男女、居住地域等できるだけ多様な人材の意

見が反映されるように配慮します。

○ 協働のむらづくりの理念を、村民・団体・行政それぞれが共有し、必要

となる情報の提供に努めます。

(2)むらづくりパートナーの充実

○ 行政改革による出先機関の見直しや職員の減少によって、以前に比べ村

民との対話が少なくなりました。職員が直接村民と対話して意見を交換す

ることにより、今後の施策や事業に反映させていきます。

○ 村民リーダーの育成と村民の参加意識の醸成につなげ、村民主体の村政

運営が実現できる体制を整備します。

(3)女性参画の促進

○ 男女共同参画の啓発を積極的に進め、女性が活動できる社会的条件を整

備します。

○ 女性が社会活動に参画できるように、育児や高齢者の介護に対する支援

体制づくりを進めます。

2 広域行政

◆現状と課題

マイカーの普及、道路交通網の整備等により村民の生活圏は拡大しています。

さらに情報化の進展等に伴い、交流がますます活発化しており、これに対応す

るため、1市1町1村で設立する喜多方地方広域市町村圏組合により広域消防

や衛生処理、介護保険認定業務などを推進しています。

また、会津北部置賜南部交流推進懇話会や磐梯山周辺観光推進連絡協議会な

ど、圏域や県境を越えた交流も活発化しています。

村民生活を維持するため、広域的な事務事業や共同処理など、北塩原村のみ

では対応できない行政ニーズに対しては、広域連携により取り組んでいきます。

◆計画の目標

村民ニーズに対応した地域づくりを推進するため、周辺市町村や様々な計画

で関連する市町村との連携を強化し、広域行政を推進していきます。

国・県・関係機関との連携により、行政区域を越えた広域での共通課題を把

握するとともに、近隣市町村や県等との共同での事務等を検討し、行政運営の

合理化や効率化に努めます。

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◆施策の体系

広域行政の推進

広域行政

周辺市町村との連携強化

◆主要施策

(1)広域行政の推進

○ 広域市町村圏や関係市町村との連携を図りながら、広域市町村圏計画等の

計画に基づき広域消防、衛生処理、介護保険等の推進に努めます。

○ 多様な分野における広域共同事業・委託事業を実施します。また、新規事

業において、広域化・共同化が望ましい事業については、協議の場を設ける

など推進に努めます。

(2)周辺市町村との連携強化

○ 隣接市町村との連携のみならず、圏域や県境を越えた計画に基づき、山

形県南部との連携を強め、各種施設等で必要なものについて、協調して各

種事業を推進していきます。

○ 「日本で最も美しい村」連合やジオパークなど、関係市町村との緊密な

協力関係を保持し、広域的な事業推進体制を強化します。

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第3節 健全な行財政の運営のために

1 行政運営

◆現状と課題

本村の行政機構は、村2役以下6課、議会、ほか2委員会で組織されていま

す。行政需要が高度化・複雑化していく中で、質の高い行政サービスを効率的

に提供していくことが必要です。

行政を円滑に進め、村民生活の安定化を図るために、行政機構を時代に沿っ

た体制にするとともに、職員の能力の向上を図り、さらに専門的な能力を持つ

人材や研究機関の協力体制を確保し、効率的な事業推進に努めます。

本村では、事務事業や組織の見直し、民間委託の推進など行財政改革を進め

ていますが、多様化、複雑化する村民ニーズに的確に対応するためには、これ

らの改革を一層推進し、持続可能な行財政基盤を確立することが不可欠です。

◆計画の目標

行政組織の事務事業の見直しなど、事務の改善を図るとともに、職員の資質

向上や人材確保、事務処理の見直し、電子化の推進など、村民に親しまれ信頼

される行政の推進に努めます。

村民と行政が同じ問題意識を持ってむらづくりに取り組めるよう、行政が担

う役割と責任を十分に見極めながら事務事業を随時見直し、村民と行政との協

働によるむらづくりを推進します。また、質の高い行政サービスを提供するた

め、職員の目的意識の喚起、接遇や行政能力の向上を図り、村民の満足度を高

めます。

職員の能力開発と意識改革を図り、効率的な行政運営を維持するとともに、

行政サービスの向上に努めていく必要があります。

◆施策の体系

行政機構の充実

行政運営 職員能力の向上

事務処理の効率化・迅速化・電子化

◆主要施策

(1)行政機構の充実

○ 社会情勢に応じて事務機構及び事務分掌の見直しを行うとともに、適正

な職員の定数配置に努めます。

○ 高度化・多様化する行政ニーズに的確に対応し、各種施策や事業を効果

的に進めるため、効率的な事務システムの活用・導入を図ります。

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○ 組織改革と事務の効率化を進め、村民のための役場づくりに努めます。

○ PDCAサイクル(※)の仕組みを確立して、必要な場合には事業の見直

しや改善、廃止や新設をして、効果的・効率的な行政を推進します。

○ 適正な職員定数の管理と職員の意識改革・能力開発を推進するとともに、

簡素で効率的な行政組織体制の構築や政策目標達成のためのプロジェクト

チームの機動的な設置など、質が高く効率的な行政執行体制の構築に努め

ます。

(※)事業活動における管理業務を円滑に進める手法の一つ。「Plan(計画)→Do(実

行)→Check(評価)→Act(改善)」の4段階を繰り返すことによって、業務を継続

的に改善すること。

(2)職員能力の向上

○ 国際化、情報化、技術革新など急激な時代変化を見極め、的確に対応す

る能力が行政に求められており、このため職員一人ひとりが幅広い見識と

柔軟な姿勢を持つことが必要であり、専門職員の充実、適正な人員体制の

確保を図りながら、職員の意識改革と研修に努めます。

○ 国が行っている地方制度改革や政策を注視するなど、むらづくりや行政

運営に関する情報の収集力を高めるよう努めます。

(3)事務処理の効率化・迅速化・電子化

○ 増大する行政事務を効率的、迅速に処理するため、日常的な事務処理の

みならず、戸籍管理、資産管理、公図管理など幅広い内容の、全庁的にオ

ンライン化されたOA機器を計画的に導入します。

○ 将来の行政に見合った村民サービスの向上を図るため、住民票など各種

証明書のコンビニエンスストアでの自動交付などを検討します。

○ 民間委託や広域行政で事業を行った方がコストの削減やサービスの質の

向上など、事業効果が上がるものについては、積極的に民間委託や広域行

政化を推進します。

2 財政運営

◆現状と課題

本村の財政状況については、自主財源比率が4分の1程度にとどまっており、

地方交付税、国県支出金等に依存する財政状況となっております。

今後は、村民税は人口減少や長引く不況の影響から大きな伸びは期待できな

い状況にあり、厳しい財政運営を強いられますが、社会経済情勢に合わせた適

正な行財政の見直しを十分検討し、財政の弾力化に努め、効率的で効果的な財

政運営を図っていくことが必要です。

今後も計画的な事業執行による地方債発行の抑制や繰上償還の実施により、

引き続き健全な財政運営に取り組んでいきます。

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◆計画の目標

国内外の社会経済情勢の変化を的確に把握し、これらの変化に対応した各種

施策の推進、計画的・効率的な財政運営と国・県の補助事業の活用、税等の収

納率の向上、受益者負担の適正化等自主財源の確保に努めます。

将来にわたり持続可能な行財政運営を図るため、自立計画の推進と財政計画

の策定、自主財源の確保、限られた人員のなかで効率的な行政改革に取り組み、

健全な財政運営に努めます。

小規模でも将来にわたって持続的に発展していけるよう健全な財政運営に努

めていきます。また、社会的需要に柔軟に対応するため、弾力的な財政構造を

目指し、義務的経費の圧縮に努めます。

◆施策の体系

計画的、効率的な財政運営

財政運営

自主財源の確保

◆主要施策

(1)計画的、効率的な財政運営

○ 振興計画の推進を基本に、常に事業効果、優先度、他事業との整合性等

総合的な検討を加えて事業の重点化を図り、効果的・効率的な財政運営の

推進に努めます。

○ 財源の多くは地方交付税や国・県からの補助金、資金の借り入れなどに

依存しているため、国・県の動向を見極めながら、将来を見据えた財政計

画を策定し、計画的な財政運営を推進します。

○ 事業の選別や最小の経費で最大の効果が表れる手法の導入など抜本的な

見直しを含めた行財政改革により、効率的かつ効果的な財政運営を推進し

ます。

○ 公共施設の適正な維持管理方策を検討し、外郭団体や第三セクターの経

営を指導・支援します。

(2)自主財源の確保

○ 産業の振興、雇用機会の場の創出を充実し、税収の増大を図ります。

○ 若者や高齢者対策、企業誘致等の重要な施策を推進するため、補助事業

を活用し、国県支出金の確保、村税等の収納率の向上、受益者負担の適正

化を図り、計画的な財源の確保を図ります。

○ 適正な評価額の見直しや、使用料・手数料の確保を図り、税金の必要性、

重要性等、納税に対する意識の高揚を推進するため、納税環境の整備、租

税教育の拡充に努めます。

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○ 国・県の支援を積極的に活用し、国からの財源措置のある制度の優先的

な活用など、少しでも財政負担を軽減できるように努めます。

○ 村内企業の振興や企業誘致など、村の経済を活性化する取り組みや新た

な課税制度の導入の検討、ふるさと納税制度の活用により、安定した財源

を確保するとともに、村税などの適正な課税と収納率の向上に努めます。

○ 税率や各種行政サービスに係る使用料や手数料、公共料金について受益

者負担の原則に基づき、公平公正な村民負担の適正化を図るための見直し

を行っていきます。

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資 料

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備 考

北山地区

大塩地区

桧原地区

裏磐梯地区

北塩原村計画審議会委員

区 分 役 職 名 氏 名

第1号委員(村議会議員)

議長 小 椋    眞

副議長 遠 藤  祐 一

総務常任委員長 遠 藤  春 雄

厚生文教常任委員長 五十嵐  正 典

観光産業常任委員長 相 原  和 之

第2号委員(知識経験者)

石 井  美智子

遠 藤  明 子

遠 藤  栄 一

眞 野  眞理子

第4号委員(村長が必要と認めた者)

副村長 今 野  一 宏

第3号委員(関係団体役職員)

北塩原村商工会長 吉 川  一 三

裏磐梯観光協会長 森 井  宣 行

農業委員会会長 穴 澤  榮 一

北塩原村民生児童委員協議会長 遠 藤  惠 子

藤 田  基 吉

北塩原村教育委員会委員長 ※H24.1.1異動

遠 藤  耕 二

会津米沢街道歴史交流会代表 金 子  一二三

体育指導員会長 内 海  英 男

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