原発立地地域の経済と財政 - 福島大学附属 ... ·...

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39 商学論集 第 82 巻第 4 号  2014 3 論 文 原発立地地域の経済と財政 ── 福井県おおい町を事例として ── 1 平 岡 和 久 1. 問題の所在と本論文の課題 福島第一原発事故を受けて,原発のあり方が根本から問われるなかで,再稼動をめぐる原発立地 自治体の動向が注目されている。原発立地自治体は,これまで原子力産業界,原発推進国家機構, 政治家,研究者等からなる強固な「原発利益共同体」による原発推進のターゲットとなってきた。 原発立地自治体においては,原発が地域経済社会や公共部門に深く根をおろしており,そのため, 立地自治体において再稼動を求める動きも多い。 電源開発による電力供給よって主に利益を得るのは原発立地地域から離れた都市地域である一 方,立地地域においては原発事故によるリスクを負うのであり,その意味では原発立地地域の自治 体と住民は,本来的には「原発利益共同体」から相対的に独自の利害関係にある。地域開発という 視点で原発誘致をみる場合,装置産業としての性格や関連産業の薄さという点をみなければならな い。その意味では産業立地としての原発誘致のメリットはかなり限定されたものである。その一方 では,原発事故による巨大なリスクが存在し,重大事故が起こった場合の損失は計り知れない。こ うした巨大なリスクを考慮すれば,自治体は原発立地の受け入れにはきわめて慎重にならざるを得 ない。 にもかかわらず原発立地が各地で実現した背景には,第一に,原発立地地域における地域的事情 があり,過疎化,インフラの遅れ,災害等に苦しむ農漁村地域における地域開発の起爆剤としての 原発への期待である。第二に,電力会社による地域への資金提供であり,漁業補償,土地購入等に よる地元利益とともに,原発建設にともなう道路等の整備や多額の寄付金等が電力会社による地域 からの協力取り付けの手段となった。第三に,原発立地推進の財政制度であり,原発立地自治体を 原発推進レジームに組み込む主要な手段となっている。その主なものは,電源三法交付金,固定資 産税および核燃料税であり,財政制度がもたらす地域経済効果や公共施設等の充実への期待が原発 立地を促進した。 脱原発の地域社会への転換を図ることが求められるとすれば,その青写真を描き,移行期の政策 を構築する必要があるが,さらに原発推進・維持の手段をどう転換し,原発推進レジームに組み込 まれた地域の利害関係や構造をどう解きほぐすかという課題がある。そのためは,あらためて公共 1 本論文は,日本地方財政学会第 21 回大会(2013 5 19 日)における報告をもとにしている。討論者の清 水修二氏から有益なコメントをいただいた。記して感謝申し上げる。

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Page 1: 原発立地地域の経済と財政 - 福島大学附属 ... · 飯原発は福島第一原発事故以降,現在のところ唯一再稼動した原発である。おおい町では過去に大

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平岡 : 原発立地地域の経済と財政商学論集 第 82巻第 4号  2014年 3月

【 論 文 】

原発立地地域の経済と財政──福井県おおい町を事例として── 1

平 岡 和 久

1. 問題の所在と本論文の課題

福島第一原発事故を受けて,原発のあり方が根本から問われるなかで,再稼動をめぐる原発立地自治体の動向が注目されている。原発立地自治体は,これまで原子力産業界,原発推進国家機構,政治家,研究者等からなる強固な「原発利益共同体」による原発推進のターゲットとなってきた。原発立地自治体においては,原発が地域経済社会や公共部門に深く根をおろしており,そのため,立地自治体において再稼動を求める動きも多い。電源開発による電力供給よって主に利益を得るのは原発立地地域から離れた都市地域である一

方,立地地域においては原発事故によるリスクを負うのであり,その意味では原発立地地域の自治体と住民は,本来的には「原発利益共同体」から相対的に独自の利害関係にある。地域開発という視点で原発誘致をみる場合,装置産業としての性格や関連産業の薄さという点をみなければならない。その意味では産業立地としての原発誘致のメリットはかなり限定されたものである。その一方では,原発事故による巨大なリスクが存在し,重大事故が起こった場合の損失は計り知れない。こうした巨大なリスクを考慮すれば,自治体は原発立地の受け入れにはきわめて慎重にならざるを得ない。にもかかわらず原発立地が各地で実現した背景には,第一に,原発立地地域における地域的事情

があり,過疎化,インフラの遅れ,災害等に苦しむ農漁村地域における地域開発の起爆剤としての原発への期待である。第二に,電力会社による地域への資金提供であり,漁業補償,土地購入等による地元利益とともに,原発建設にともなう道路等の整備や多額の寄付金等が電力会社による地域からの協力取り付けの手段となった。第三に,原発立地推進の財政制度であり,原発立地自治体を原発推進レジームに組み込む主要な手段となっている。その主なものは,電源三法交付金,固定資産税および核燃料税であり,財政制度がもたらす地域経済効果や公共施設等の充実への期待が原発立地を促進した。脱原発の地域社会への転換を図ることが求められるとすれば,その青写真を描き,移行期の政策

を構築する必要があるが,さらに原発推進・維持の手段をどう転換し,原発推進レジームに組み込まれた地域の利害関係や構造をどう解きほぐすかという課題がある。そのためは,あらためて公共

1 本論文は,日本地方財政学会第 21回大会(2013年 5月 19日)における報告をもとにしている。討論者の清水修二氏から有益なコメントをいただいた。記して感謝申し上げる。

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部門を含む地域構造が分析されなければならない。その際,原発立地以前の地域の本来的な特質を復興させるという視点も重要となる。本稿は,以上のような問題意識のもとで,福井県おおい町を事例として,原発立地が地域経済社

会と公共部門にもたらした変容過程と構造を検討することとする。福井県は原発が集中し,特に大飯原発は福島第一原発事故以降,現在のところ唯一再稼動した原発である。おおい町では過去に大きな原発反対運動や建設一時中止を経験しながら,地域振興計画を求心力として原発立地を推進し,定着を図ってきた地域である。おおい町長および町議会の大多数が再稼動に同意しており,再稼動の背景にある地域経済社会の構造は多くの原発立地地域との共通性が高いとおもわれる。その意味ではおおい町は典型事例として位置づけることができよう。

2. 福井県及び旧大飯町における原発立地の展開過程

日本における原発立地の第一号の茨城県東海村に続く 2番目が福井県敦賀市であった。福井県は早くも 1960年代初頭から原発誘致に動き出し,1962年には県議会で原発誘致決議があげられている。福井県立大学地域経済研究所(2012a)によれば,その背景には以下の二つの要因が考えられるという。第一に,奥越電源開発事業が補償交渉の難航から着工が遅れていたことから,電源開発を早期に実現するために原発の誘致への期待があった。第二に,原発による地域開発によって後進県イメージを払拭する期待が込められていたという2。一方,関西電力は日本原電と協力して立地の選定を進め,県や地元の協力のもとで日本原電が敦

賀,関西電力が美浜に立地を進めた。住民が原発を受け入れた背景には,土地売却収入や漁業補償とともに,「陸の孤島」と呼ばれた敦賀半島における道路建設への期待が大きかった。また自治体にとっては多額の固定資産税が最大のメリットであった。続いて 1965年の福井県及び高浜町の原発誘致申し入れを受けて,関西電力による高浜町での用地買収が始まったが,予定地区の住民による反対運動が起こり,着工は 1970年にずれ込んでいる3。関西電力にとって 3番目の原発立地となるのが旧大飯町である。旧大飯町は,1955年,佐分利村,本郷村,大島村が合併し,誕生したが,合併前後に大きな災害を何度も経験し,財政状況も厳しいものであった。主な自然災害としては,1950年のジェーン台風,1953年の台風 13号,1959年の伊勢湾台風,1962~1963年の「38豪雪」,1965年の「40・9三大風水害」などがあった4。町財政は,台風 13号(1953年)による被害の復旧,町村合併による支出等によって 800万円の赤字を計上し,1956年 5月,財政再建団体の申し出,6月,財政再建団体の指定を受けた5。過疎化も進行しており,1970年過疎法において,大飯町,名田庄村等が過疎地域に指定されている。旧大飯町における原発立地の経過は,以下の時期区分によって整理できる。第一期(1969年~

1979年)は誘致から 1・2号機立地・運転開始までの時期である。1969年,大飯町,県,関西電

2 福井県立大学地域経済研究所(2012a)22ページ。 3 ゆきのした文化協会・日本科学者会議福井支部編(1978),40-46ページ。 4 福井県立大学地域経済研究所(2012a)7-8ページ。 5 『大飯町広報』1957年 1月。

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力との間に誘致に関する仮協定が結ばれ,町議会も誘致決議をあげた6。その背景は「陸の孤島」と呼ばれた大島地区の辺地性の解消への期待があり,1971年には大島地区の道路について県と関西電力の協定が結ばれた。それに対して原発による取水問題を契機として反対運動が起こり,反対組織が結成された。反対運動は町長リコール運動へと展開され,町長辞職にまでつながり,新町長が建設一時中止を求めるまでにいたった。その後,県・町・関西電力による工事一次中止の協定が結ばれ,工事が 3ヶ月間ストップしたものの,安全協定や大飯町の振興計画にもとづくプロジェクトに協力する協定(地域開発協力協定)が締結され,建設工事が開始され,1979年の 1・2号機運転開始につながった7。1974年から導入された電源三法交付金や 1976年から導入された核燃料税交付金が活用され,公共施設の整備が進んだ。第二期(1980年~1993年)は原発増設期であり,3・4号機の運転開始までの時期である。この時期には 1・2号機の固定資産税収によって町財政は大きく構造を変え,財政規模が拡大した。一方,スリーマイル島原発事故や国内原発事故等を背景に原発への批判が強くなったことから,原発の「迷惑施設」としての性格がより強く意識されるようになる。3・4号機建設に対しても反対運動が展開されたが,電源三法交付金や核燃料税交付金の活用を含めた,町の振興計画の財源確保への期待から,1984年に町議会が同意し,原発増設を実現している。1984年には第二次振興計画がスタートした。1991年 12月,大飯 3号機の運転開始,1993年 2月,大飯 4号機の運転開始となった。この間,電源三法交付金は 1981年度改正により維持補修費等に使途を拡大するとともに,1980年代に各種の交付金が創設されている。第三期(1993年~2010年)は,原発増設が行われず,定着期とでもいう時期である。1986年のチェルノブイリ原発事故によって原発の巨大なリスクが明らかになったにもかかわらず,既成事実を前に次第に反対運動が鎮静化していった。一方,原発財源は地域振興の財源としてだけでなく,町財政の不可欠の要素としての性格を強めた。特に,2003年度の電源三法交付金制度の改正は,人件費を含むソフト事業全般への使途拡大をもたらした。第四期(2011年~)は福島第一原発事故以降の時期であり,2011年 3月 11日の東日本大震災

に伴う福島第一原発事故を受け,定期点検に伴う原発の停止という事態となった。そのなかで福井県は 2011年 11月から核燃料税の制度を変え,停止中でも税収が上がる仕組みを導入するとともに実質税負担率を引き上げた。また,おおい町議会および町長は再稼動に同意し,政府が再稼動を決定し,2012年 7月,大飯 3・4号機が再稼動した(その後,2013年 9月,定期点検のため停止)。

6 1969年 6月の町の広報には以下のように記述されている。「大島半島開発計画として『道路と架橋』の建設構想が進められていましたが,その決め手として,さる 4月の臨時町議会で,大島半島吉見地区に関西電力による原子力発電所の誘致促進を決議し,地元の協力のもと着着と誘致運動が進められております。 この原電誘致が実現すると,長年の悲願であった本郷─犬見間の背戸入江をまたぐ架橋と,延長約 13キロメートルにも及ぶ大島半島縦断道路も夢ではなくなります」

7 福井県立大学地域経済研究所(2012a),30-32ページ,および,ゆきのした文化協会・日本科学者会議福井支部編(1978),52-74ページ,参照。

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3. 福井県における原発立地と原発財政の展開

本項では,福井県及び旧大飯町における原発立地の経過を踏まえて,原発財政がどう展開され,自治体財政にどのようなインパクトをもたらしたかを検証するため,まず福井県における原発財政の展開を整理する。

(1) 電源三法交付金

電源三法は 1974年に制度化されたものであり,「開発促進税法」,「特別会計に関する法律(旧電源開発促進対策特別会計法)」および「発電用施設周辺地域整備法」からなる。これらの法律に基づいて交付される各種の交付金,補助金を「電源三法交付金」と呼ぶ。交付金の使途は,大きく「安全対策」と「地域振興」の 2つであり,立地自治体や周辺自治体への交付金は広義の「地域振興」に使われる。次に電源三法交付金の実績をみると,福井県における交付実績は 1974年度から 2010年度までの累計 3,461億円,うち市町村 1,638.7億円,県 1,809億円,その他の団体 13.7億円となっており,その大部分が原子力発電所分となっている。県における交付金の配分・調整は,各部局・セクションによる事業の組み立てを行ったうえで,

各事業への交付金充当について電源地域振興課が調整(国との調整を含む)するというプロセスとなっている。市町の交付金については,立地市町については国から直接交付され,周辺市町については県をつ

うじて国に申請される(県による調整)。その他,県に対する交付金を財源として,県支出金として市町に交付される交付金・補助金もある。電源三法交付金は,大きく分けると 4種類であり,電源立地地域対策交付金(2010年度までの福井県合計 2,759億円),電源立地等推進対策交付金(同,332億円),原子力施設等防災対策等交付金(同,212億円),および電源立地等推進対策補助金(同,153億円)からなる8。電源立地地域対策交付金はさらに以下の 7種類の交付金・補助金分から構成される。① 電源立地促進対策交付金分(県・市町村,2010年度までの累計額は県全体で 735億円),② 電源立地特別交付金分のうち原子力発電施設等周辺地域交付金枠(県・市町村,500億円),③ 電源立地特別交付金分のうち電力移出県等交付金枠 :(県 895億円),④ 原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金(4市町で 491億円),⑤ 電源立地等初期対策交付金(県・市町村,55億円),⑥ 電源地域産業育成支援補助金 :(県・市町村,35億円),⑦ 水力発電施設周辺地域交付金(市町村,33億円)。また,電源立地等推進対策交付金は,① 広報・安全等対策交付金(県および市町村 60億円),② 放射線利用・原子力基盤技術支援研究推進交付金(県 63億円),③ リサイクル研究開発促進交付金(9市町村で 53億円),④ 原子力発電施設等立地地域特別交付金(3市町で 100億円),⑤ 高速増殖炉サイクル技術研究開発推進交付(2市町で 29億円),⑥ 原子力発電施設立地地域共生交付金(運転 30年を超える施設,県および 3町で 6.7億円),⑦ 核燃料サイクル交付金(高浜町 2

8 電源三法交付金の種類別のデータは,『福井県 電源三法交付金制度等の手引き 平成 24年度版』による。

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億円),などからなる。2003年 10月からの電源三法の改正によって,電源三法交付金制度は大幅な変更があった。それ

以前はハード整備が中心であり,対象メニューは限られていた。それに対して,維持管理費など使途拡大の要望が立地自治体から出されていた。2003年の抜本見直しにより,第一に,立地自治体への 6つの交付金が電源立地地域対策交付金に統合され,対象事業も統一され,統合前の交付金・補助金で充当可能な対象事業すべてに充当できるようになった。第二に,対象事業として,地域活性化事業が追加され,交付金の使途がソフト事業へ対象が拡大された。人件費についても,役場庁舎内の人件費以外の保育所や公民館等の人件費に充てることができるようになった9。福島第一原発事故に伴う影響として,実績にもとづく交付分(前々年度実績にもとづく)につい

ては,原発停止によって 2013年度から影響が出る。「電力移出県等交付金枠(県)」は,実際の発電電力量から県内消費量を控除し算定される。また,原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金(主に市町村)も一部,発電量に応じた算定がなされている。ただし,電源三法交付金の「みなし規定」によって,安全上の理由で原発が停止していても,稼働時の 8割の発電量があったとみなして算定するものである。

(2) 核燃料税および核燃料税交付金

核燃料税は,法定外普通税であり,福井県では 1976年に導入された。納税義務者は発電用原子炉の設置者であり,通常,発電用原子炉の出力に応じて課税される。5年間の課税期間が設定されており,5年ごとに更新される。現在,2011年 11月から第 8期がスタートしている。税収の使途は,県が一般財源として使用する分と核燃料税交付金(特定補助金)の 2つに分けら

れる。核燃料税交付金は,一般事業と連携事業からなる。一般事業はさらに,立地・周辺市町の事業(電源三法交付金で対応できない事業に充てる)と広域行政機構の事業(嶺南地域が一体となって行う事業)に分けられる。連携事業は,嶺南地域市町と県が連携し,地域に共通する課題を解決するための事業に充てられる。核燃料税交付金実績は,交付金全体で 508億円(1976年度~2010年度)となっており,県財政

としては貴重な一般財源として使われ,また,市町村にとっては電源三法交付金を充てることができない事業,経費に対して,その隙間を埋める貴重な財源として使われてきた。なお,福島第一原発事故を受けて,2011年 7月,福井県は核燃料税の見直しを行った。課税標

準は従来価額割だけであったが,原発事故を受けて出力割を導入し,原発が停止していても税収が上がる仕組みに変更した。また,従来の税率は 12%であったが,実質税負担率 17%に引き上げ,5年間で 600億円の税収を見込んだ。2006年の改訂時の 5年間の税収見込みが 373億円であったことから,大幅な税収増を見込んでいる10。

9 毎日新聞の調べによれば,2011年度の電源三法交付金のうち人件費に充てられた額をみると,おおい町 3.8

億円(27%) 高浜町 4.6億円(32%),美浜町 5.4億円(35%,正職員のみ)などとなっている(「毎日新聞」2013年 1月 1日付)。

10 『日本経済新聞』2011年 7月 15日付,参照。

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4. 原発立地とおおい町財政

本項では,福井県における原発財政の展開を踏まえ,旧大飯町およびおおい町における行財政の展開にとって,原発財政がどのようなインパクトをもたらしたかを検証し,原発再稼働の位置づけを評価する。図 1は,1976年度から 2011年度までのおおい町(旧大飯町,旧名田庄村)の歳入総額の推移とそのうち地方税収および大規模償却資産の固定資産税の推移をみたものである。これをみると,1

号機の運転開始によって 1980年度から大規模償却資産の固定資産税収が入り始めたが,その後は税収が減少傾向となった。ところが,1992年度から 3号機の運転開始に伴う固定資産税収が入り始めたため,一気に税収増となっている。固定資産税収のピークは 1996年度であり,その後,減少傾向が続くが,2000年代の後半にはやや横ばい傾向となっている(1980年度~2010年度までの合計 964億円)。大規模償却資産の固定資産税収は町の地方税収の大半を占めており,さらに,大規模償却資産の

固定資産税収が急増した 1990年代に歳入総額も急増していることがみてとれる。次に電源三法交付金をみると,おおい町における電源三法交付金の 2010年度までの累計額は,旧大飯町分約 340億円,旧名田庄村分約 43億円,合計約 383億円となっている。この額には,国

図 1 おおい町の普通会計決算における歳入総額及び地方税収の推移

* 2005年度以前の歳入総額および地方税収は,旧大飯町・旧名田庄村の合計。大規模焼却資産の固定資産税は旧大飯町・おおい町の税収。出所 : おおい町財政データより作成

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から市町村への国庫支出金分と電源三法交付金を財源とした県支出金が含まれる。おおい町への電源三法交付金は大きく分けると電源立地地域対策交付金と電源立地等推進対策交

付金からなる。電源立地地域対策交付金はさらに以下の 6種類の交付金・補助金分から構成される。① 電源立地促進対策交付金分 : 旧大飯町分 129億円,旧名田庄村分 32億円(うち大飯 1・2号機20億円,3・4号機 118億円),② 電源立地特別交付金分のうち原子力発電施設等周辺地域交付金枠 :

旧大飯町分 26億円,旧名田庄村分 5億円,③ 電源立地特別交付金分のうち電力移出県等交付金枠 :

旧大飯町 6.9億円,旧名田庄村 3.5億円,④ 原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金(1997

年度~)157億円,⑤ 電源立等初期対策交付金 : うち電源立地地域温排水対策補助金 : 旧大飯町 1.7

億円,重要電源立地推進対策補助金 : 旧大飯町 4,600万円(県支出金),⑥ 電源地域産業育成支援補助金 : 旧大飯町 2億円,旧名田庄村 1.2億円。また,電源立地等推進対策交付金は,① 広報・安全等対策交付金,② 原子力発電施設等立地地

域特別交付金 25億円(県支出金,2006年度~2008年度),③ 原子力発電施設立地地域共生交付金(運転 30年を超える施設)1.8億円(県支出金),からなる。図 2は,1974年代以降の電源三法交付金および 1976年度以降の核燃料税交付金の推移をみたも

のである。これをみれば,電源三法交付金は 3・4号機建設に対応して 1990年代前半に膨れ上がり,その後 1996年度にいったん落ち込んだが,その後再び増加傾向にあることがみてとれる。図 3は,1974年度から 2010年度にかけての旧大飯町・旧名田庄村,および合併後のおおい町における原発関連の主な収入である電源三法交付金,核燃料税交付金および固定資産税を合計した金額の推移をみたものである。現在,4号機運転開始から 20年近くになるが,原発関連財源は比較的安定的な財源を提供する仕組みに変化していることがみてとれる。次に,図 4において,「平成の合併」以降のおおい町の財政における原発関連収入の位置をみると,

2006年度から 2013年度まで歳入のうち原発関連収入が 50%前後の割合を安定して占めていることがわかる。4号機運転開始からすでに 20年近くが経過しているが,安定的な収入が維持されて

図 2 おおい町における電源三法交付金及び核燃料税交付金

出所 : 福井県「福井県電源三法交付金制度等の手引き 各年度版」および,おおい町財政データより作成

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いる背景には,第一に,固定資産税において,定期検査におけるタービンローターなどの交換によって資産価値が引き上げられること,第二に,電源立地対策交付金のうち大半を占める「原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金分」は稼働年数が長いほど加算される仕組みになっており,また原発停止時においても「みなし規定」が適用されること,第三に,核燃料税の改定と実質税率引き上げにともなう核燃料税交付金の安定的確保,といった要因がある。原発関連収入のうち,最も多いのは固定資産税であるが,普通交付税算定の仕組みを踏まえれば,

実質増収効果は税収の 4分の 1程度と考えられる。また,固定資産税収は今後も減少する。それゆ

図 3 おおい町の主な原発関連収入の推移

出所 : 福井県「福井県電源三法交付金制度等の手引き 各年度版」および,おおい町財政データより作成

図 4 おおい町の一般会計決算歳入総額における原発関連収入

 注 : 2012年度および 2013年度の数値は予算ベースのもの出所 : おおい町提供資料

単位 : 100 万円

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え,現在,おおい町財政にとって最も重要な財源は電源三法交付金であるといってよい。また,核燃料税交付金は 2010年度まで累計 114億円が交付されている。2011年に改訂され,実

質税率が引き上げられたことから,今後,収入増がもたらされる可能性がある。2012年度および2013年度当初予算において核燃料税交付金は 4億円となっているが,これは出力割分であり,原発稼働による価額割分が上乗せされる。法人住民税については,法人税割が中心であるため安定的でない。福島第一原発事故以降の原発

停止にともなう関西電力の経営悪化により,当分,税収は期待できないであろう。その他,町に対する原発関連の寄付金が存在する。寄付金の出所は必ずしも明らかでないが,

1980年代以降の町への寄付金は 100億円を超えている。なお,基金については,2010年度決算において,各種基金の総額が約 138億円となっており,そのうち財政調整基金は 45億円となっている。基金は,原発関連収入の減少に対する一定の緩衝装置としての機能を持っている。

2010年度普通会計決算において,おおい町財政を類似団体と比較すると,第一に,人口一人当たり人件費・物件費等決算額をみると,類似団体 19.2万円に対して,おおい町 38.3万円と約 2倍となっている。第二に,人口千人当たりの職員数をみると,類似団体 12.15人に対して,おおい町20.00人と多い。第三に,過去 5年間の人口一人当たり普通建設事業費をみると,類似団体は平均97,443円に対して,おおい町は平均 431,697円と 4倍以上となっている。おおい町の場合は旧名田庄村との合併という事情があるが,それを割り引いてみても,おおい町財政の規模はかなり大きいといえよう(「平成 22年度財政状況資料集」による)。図 5は,おおい町普通会計決算における普通建設事業費の推移をみたものである。普通建設事業費は年度によってバラツキがあるものの,全体として高水準を維持している。以上を踏まえて,おおい町財政の展開を原発立地との関わりで時期区分ごとに整理すると以下の

図 5 おおい町の普通会計決算における普通建設事業費の推移

出所 : おおい町財政データより作成

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ようになる。第一期(1969年~1979年)においては,旧大飯町の財政は,原発立地推進を背景に拡大しており,一般会計当初予算をみると,1972年 4.3億円,1973年 7.8億円,1974年 7.9億円,1975年 12.8億円,1976年 14.6億円,1977年 18億円,1978年 21億円,1979年 29億円となっている。1973年度には多額の寄付金があり,1974年度からの電源三法交付金,1976年度からの核燃料税交付金も交付されている。1975年度の電源三法交付金 4.7億円は旧大飯町の当初予算の 3分の1を超えるものであり,中学校建設などに充てられている。1979年度は電源三法交付金が落ち込んだが,寄付金と核燃料税交付金増額でカバーしている11。1974年度から 1979年度までの旧大飯町の電源立地促進対策交付金の対象施設をみると,教育文化施設が 13.3億円,環境衛生施設が 2.3億円,通信施設が 1.2億円,漁港が 1.2億円,スポーツ・レク施設が 0.5億円となっている12。第二期(1980年~1993年)においては,1980年度から大規模償却資産の固定資産税(17.5億円)が入り始めており,決算歳入額 50.2億円の 35%を占めている。一方,電源三法交付金のうち電源立地促進対策交付金は,当時は運転開始までの交付であり,1980年度から 1984年度の交付金は隣の高浜原発 3・4号機の分が主であった。そのため 1985年度は約 5,000万円に落ち込んでいる。1985年度は核燃料税交付金増額によって電源三法交付金の落ち込みをカバーしている。この時期,固定資産税税収も次第に減少しており,財政的背景からも増設が求められていたといえよう。1984

年における 3・4号機増設の同意を受けて,1986年度から電源三法交付金が増加しており,交付金

11 「大飯町広報」による。12 福井県県民生活部「電源立地関係資料集」1986年 10月。

表 1 おおい町と類似団体の一人当たり性質別歳出(2010年度普通会計決算)(円)

おおい町(a) 類似団体平均 (b) (a)/(b)

人件費 148,764 109,877 1.35

物件費 235,390 85,338 2.76

維持補修費 13,114 6,648 1.97

扶助費 77,204 48,053 1.61

補助費等 106,190 80,865 1.31

公債費 60,512 76,595 0.79

積立金 81,109 46,763 1.73

投資及び出資金貸付金 12,334 4,399 2.80

繰出金 157,790 66,837 2.36

投資的経費 422,841 125,070 3.38

 うち人件費 7,671 2,153 3.56

普通建設事業費 422,356 121,932 3.46

 うち単独事業費 386,625 68,430 5.65

歳出合計 1,315,248 650,451 2.02

 うち人件費 156,435 112,030 1.40

  出所 : 総務省資料より作成

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制度の拡充もあって,1987年度には 18.5億円にものぼっている。旧大飯町・旧名田庄村合計でみると,1987年度の歳入総額 82.2億円に対して,固定資産税,電源三法交付金,核燃料税交付金は合計 40.1億円と 5割近くを占めている。1992年度からは 3号機,1993年度からは 4号機の固定資産税収が入り始め,旧大飯町の歳入総額も 1991年度の 65.2億円から 1992年度の 104.5億円,1993

年度の 170.8億円へと膨張した。第三期(1993年~2010年)においては,巨額の固定資産税収が年々減少する一方,電源三法交付金は,原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金の創設などで一定程度カバーされたが,歳入総額は 2002年度の 85.4億円へと減少した。2002年度以降は,財政規模はおおよそ横ばいとなっている。固定資産税は減少を続けながらも設備の更新もあって減少幅が小さくなっており,固定資産税の減少を電源三法交付金の増額で埋めている。増設を行わずに財政を維持可能とする制度に徐々にソフトランディングが図られた時期といえよう。この時期には,先述したように,2003年度の電源三法交付金は見直しに伴い,ソフト事業,人件費に使途が拡大し,一般財源に近い性格を強めることとなった。このことから,原発財源は地域振興の財源としてだけでなく,町財政の不可欠の要素としての性格を強めていったのである。表 1は,2010年度普通会計決算におけるおおい町と類似団体の人口一人当たり歳出額を比較したものだが,歳出総額の規模は類似団体の 2倍であり,公債費を除く各項目とも類似団体と比べても多い。特に,普通建設事業費は約 3.5倍,物件費は約 2.8倍,人件費は 1.4倍,維持管理費は約 2倍となっている。以上から,町財政からみた原発政策の背景として,増設をせずとも維持可能な財政制度に近づいている一方,人件費や物件費等を含め,町財政の原発財源への依存度は質的にも深まっていることがうかがえる。第四期(2011年~)については,現在のところ,財政は安定的に推移している。しかし,原発再稼働がなければ,設備更新がないなかでは固定資産税の落ち込みも大きくなり,電源三法交付金の「みなし規定」の継続も不透明であることから,財政への影響が懸念されており,そのことが再稼働を強く求める要因となっていると考えられる。ただし,いずれ原発は廃炉に向かうのであり,リプレースがない場合,清水修二のいう地方財政における「電源立地効果の一過性問題」13は,運転時における安定的財源確保のために修正されてきたとはいえ,基本的には解消されていないといってよい。

5. 原発と地域経済社会

原発立地と地域経済への影響については,芝田英昭(1986a),清水修二(2011),岡田知弘・川瀬光義・にいがた自治体研究所編(2013),福井県立大学地域経済研究所(2011),(2012a),(2012b)などがあるが,福井県を対象とした研究としては,芝田英昭(1986a)と福井県立大学地域経済研究所(2011),(2012a),(2012b)が代表的な研究である。なかでも,清水修二(2011)は,発電所の建設が地域にもたらす経済効果は多分に一時的なものであり,建設ブームが去ったあとも,発電所という特定業種に特化したモノカルチャー的地域産業構造は元に戻らず,新たな設備投資がなけ

13 清水(2011),115ページ。

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れば地域経済が萎縮してしまうような現象が起こることを指摘し,そのことを「電源立地効果の一過性問題」と呼んだ14。また,川瀬光義(2013)は,発電所それ自体の地域経済効果が乏しいことから,その埋め合わせとして電源三法交付金が考案されたことを指摘している15。芝田英昭(1986a)は,美浜町を事例としたものであるが,原子力発電所立地後,町の地場産業である農林水産業の著しい衰退を招き,脆弱な産業構造に変えたという点が指摘されている。また,人口増加も原発の建設期のみにみられるという16。福井県立大学地域経済研究所(2012a)では,福井県内の原発立地市町と非立地市町を統計によって比較し,原発が地域経済に与える多面的影響を整理している。その主要な内容は以下のとおりである。① 原発建設の着工段階を中心に人口増加に寄与したが,その後の推移は非立地自治体と同じである。② 産業別就業人口では,建設業は着工後増加したが,その後激減し,製造業は一貫して減少傾向。電気・ガス・水道業は大きく伸びたが,その他は大きな差がない。③ 産業別の事業所統計では,特にサービス業では飲食店・宿泊業の伸びが大きく,発電所作業員の宿泊に用いられていることがうかがえる。④ 県民経済計算では,電気・ガス・水道業の伸びが著しいが,巨大装置産業のため雇用者報酬への配分は低い。⑤ 商業については,立地地域で消費の増加傾向がみられる17。また,福井県立大学地域経済研究所(2012b)では,原発建設時と運転時に分けて,福井県における経済波及効果を分析している。それによると,原発建設時には当時の建設需要の大きな割合を占めており,運転時においては,13基の原発の集積・運転によってきわめて大きな効果が持続的にもたらされているとする18。芝田英昭(1986a)と福井県立大学地域経済研究所(2012a)においても,清水のいう「電源立地効果の一過性問題」を確認することができる。ただし,福井県立大学地域経済研究所(2012a)は,他方で発電所の運転時の経済効果についても強調している。以上の先行研究を踏まえ,以下では,おおい町における原発立地と地域経済の変容を整理する。旧大飯町は農業と漁業の町であり,農業は米作が中心,漁業は小型漁船漁業,小型機船底曳網,

定置網,および遊漁業などからなっていた19。1978年 11月 1日現在の就業者数は 192名であったが,2008年 11月 1日現在の就業者数は 128名と減少している。動力船は,1978年 1月 1日現在の 94隻,340トンから 2011年 12月 31日現在の 151隻,612トンに増加しており,海面漁業漁獲高も 1978

年中の 837トンに対して 2011年中の 945トンとやや増加している。大島半島を中心とした漁業は,依然としておおい町の基盤産業としての重要性を持っている20。旧大飯町の農業については,農家人口は 1975年の 4,232名から 2000年の 3,008名へと減少しており,耕地面積も 1975年の 650 haから 2000年の 596 haに減少している。米の生産量は 1978年の2,260トン,うち出荷量は 1,600トンであったが,2002年には生産量 1,900トン,うち出荷量 924

14 清水(2011),110-118ページ。15 川瀬光義「原子力発電所立地にともなう財政収入を検証する」岡田・川瀬・にいがた自治体研究所編(2013),

109ページ。16 芝田(1986a),77-88ページ。17 福井県立大学地域経済研究所(2012a)109-177ページ,参照18 福井県立大学地域経済研究所(2012b)35-51ページ,参照。19 「電源開発と地域開発」研究グループ(1980),23-29ページ,参照。20 「福井県市町村勢要覧」各年版による。

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トンに減少している。2010年におけるおおい町の販売農家数は 450戸であり,そのうち専業農家と第一種兼業農家を合わせると 102戸である21。農業は衰退傾向にあるとはいえ,漁業とともにおおい町の基盤産業としての性格をもっている。ただし,ほぼ米作に特化しており,多品目化や加工等に展開する取り組みが弱い。林産物として,菌床しいたけ,えのきだけ,なめこなどキノコの生産が行われてきたが,近年,廃業が続いており,現在は菌床しいたけのみとなっている。旧大飯町における製造業は他の自治体と比べて非常に弱い。工業統計によると,1977年 12月 31

日現在,事業所数は 13であり,従業者 223人,製造品出荷額等は 8.4億円,1985年 12月 31日現在,事業所数は 19,従業者 266人,製造品出荷額等は 16.9億円,2002年 12月 31日現在,事業所数は 5,従業者 123人,製造品出荷額等は 12.5億円にとどまっている。合併後のおおい町のデータをみると,2010年 12月 31日現在,事業所数は 7,従業者 172人,製造品出荷額等は 24.9億円となっている22。おおい町の地域経済における原発の寄与度を統計で確認しよう。まず県民経済計算において市町

村内総生産(2003年度)をみると,電気・ガス・水道業が町内総生産の 88%ときわめて大きな割合を占めており,そのほとんどが原発であると推察される(図 6参照)。また,一人当たり市町村民所得をみると,437.2万円と,県平均 289.7万円を大きく上回っている23。ただし,原発は装置産業であるため,地元経済への貢献という面では,雇用者所得や雇用効果をみる必要がある。同じく県民経済計算(2003年度)において,電気・ガス・水道業の一人当たり雇用者報酬をみると,県

21 同上。22 2002年度から工業統計の対象が従業者 4人以上となったことに注意が必要である。23 市町村内総生産については,2004年度以降は公表されていないため,利用可能な最新のデータとして 2003

年度のデータを利用した。

図 6 旧大飯町の市町村内総生産の産業別割合(2003年度)

出所:福井県「県民経済計算(2003年度)」より作成

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平均が 196.1万円に対しておおい町は 256.1万円と 3割程度高い。ただし,福井県立大学地域経済研究所(2012a)が指摘するように,原発においては市町村民所得のうち雇用者報酬への配分率は低く,市町村民所得の多くが町外に流出している。原発関連産業については,町役場資料によると,発電所職員 500人,そのうち 357人(2012年

1月 1日現在)が地元雇用となっている他,土木関連工事,建設関係工事,機械電気関係工事,委託業務,その他工事といったメインテナンス業務において,大飯発電所に参入しているおおい町の企業は約 30社あるという。関西電力については,町内に社宅が存在するとともに,町内に自宅を持つ社員も存在する。同じく,福井県立大学地域経済研究所(2011)は,大飯発電所の雇用状況についての関西電力の資料を紹介しているが,それによると,2009年 1月 30日現在,関西電力の従業員 500人のうちおおい町出身者は 3.2%,嶺南地域出身者(おおい町を含む)は 25.8%である。協力会社 150社(元請 32社)の雇用約 1,600人のうちおおい町出身者は 15%,嶺南地域出身者(おおい町を含む)は 56.4%となっている24。また,日本銀行福井事務所(2012)によると,公表数字はないが,建設産業など関連業界を含めると嶺南地区の従業員の約 3割が原発関係者であると言われているという。また,原発の定期点検では常用員以外に 1千人程度の保守員が 3か月にわたって滞在し,宿泊需要が生じるという。日本銀行金沢支店(2013)は,ヒアリング調査から定期検査ごとに必要となる作業員数をまとめているが,大飯 1~4号機は 1号機あたり 4,000人(うち県内 2,500

人,県外 1,500人),県平均で 1基あたり 2,750人が必要となるとしている。原発の定期点検については,実際には短くて約 3ヶ月,長い場合は 10ヶ月を超えることから,その雇用効果や宿泊業などへの効果はかなり大きいといえよう。原発の立地する大島半島の各集落では,漁業を中心とした生活を営んでいたが,原発建設に伴う

漁業補償と用地売却収入などを元手として,民宿業が増加した。民宿業では,釣り客を中心にした民宿もあるが,原発関係の泊まり客が主要なターゲットであった。1980年頃の大飯町観光協会のパンフレットには,旅館 5軒,民宿 51軒となっていたという25。近年の民宿の宿泊客は年々減少傾向にあり,福井県の資料によると,2003年には大飯町の民宿は 78軒あったとされていたが,2005

年以降は 48軒に減少している26。原発関連企業が独自の宿泊施設を持つようになったことが一因であるといわれている。町がつくりだす雇用としては,電源三法交付金等を財源として整備された公共施設の管理運営が

あり,その一部は第三セクターによる管理が行われている。主な第三セクター等としては,(株)おおい(おおい町総合運動公園,海水浴場,公園,職員宿舎,菌床培養施設など。職員 82名),(株)名田庄商会(道の駅および町営ホテルの管理運営,製造販売など。従業員 29名),などがある27。表 2は,旧大飯町の産業と就業者の状況について,国勢調査統計によってみたものである。国勢調査では一部の産業分類が変更されていることから,必ずしも正確な時系列の変化をみることがで

24 福井県立大学地域経済研究所(2011),59ページ。25 「電源開発と地域開発」研究グループ(1980),29ページ。26 福井県観光振興課「福井県観光客入込数(推計)」各年版による。27 (株)おおい及び名田庄商会の職員数等については,それぞれのホームページ参照。http://www.wakasa-ohi.

co.jp/index.htm,http://www.natasho.co.jp/

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きないが,主な産業別就業者数の変化をみることはできる。これをみると,原発立地以前の 1965

年における旧大飯町の就業者は,農業が半数を超えており,第一次産業で 6割となっている。このことから旧大飯町は農村としての性格がきわめて強いことがうかがえる。製造業就業者は 364人(約1割)にとどまっている。また,商業,サービス業も低位であった。その後の変化をみると,第一に,農業を中心とした第一次産業は年々減少を続けており,2010年には 248人(7%)と激減している。第二に,原発立地に関連する電気・ガス・水道業は 1965年の 7人から 2005年の 510人に増加し,2010年には 428人と若干減少した。建設業も原発立地と関係が深いが,1965年の 257人(7%)から原発建設時の 1975年の 752人へと増加し,原発建設が終了した 1980年には 397人といったん減少したが,3・4号機の建設が行われた 1985年には 834人,1990年には 1,359人へと増大した。その後,原発建設終了後の 1995年には 827人,2010年には 485人へと減少している。サービス業は 1965年の 292人から増加を続けており,2005年には 1,496人と全就業者の 44%を占めるまでになった。そのなかには原発に関連するサービス業や宿泊業が一定割合存在するとおもわれる。一方,製造業は 1980年にいったん 558人と増加したが,その後減少し,2010年には 224人となっている。原発立地が製造業の展開と結びつかなかったことがうかがえる。卸売・小売業はピーク時の 1990

年で 367人,2010年には 263人となっており,原発立地以前の就業者数から大きな伸びはみられない。表 3は,旧大飯町の産業と就業者の状況について,事業所統計を 1978年,1986年および 2001

年でみたものである。民営でみると,1978年から 2001年にかけて従業者数が増加している主な産業は,建設業(315人→ 833人),電気バス・熱供給・水道業(351人→ 521人),サービス業(442

表 2 旧大飯町における産業(大分類)別,15歳以上就業者数の推移(国勢調査)

1965年 1970年 1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年

農業 1,900 1,617 1,135 897 614 396 332 259 251 179

林業 53 23 15 10 19 5 3 11 2 -

漁業 180 176 131 155 154 112 113 90 90 69

鉱業 3 3 5 1 0 0 0 0 0 0

建設業 257 270 752 397 834 1359 827 937 506 485

製造業 364 563 551 558 503 398 328 274 222 224

卸売・小売業* 200 230 270 314 353 367 350 360 288 263

金融・保険・不動産業 20 27 29 30 36 46 39 54 46 54

運輸・通信業 125 137 118 115 128 129 84 76 76 80

電気・ガス・水道業 7 9 102 310 367 468 499 473 514 428

サービス業 282 325 402 531 682 947 1,232 1,140 1,496 1,375

公務 88 114 132 136 140 137 161 165 170 173

分類不能 0 0 6 1 4 0 0 0 11 4

合計 3,479 3,494 3,648 3,455 3,834 4,364 3,968 3,839 3,384 3,071

*1985年から 2000年までは,卸売・小売業に飲食店が含まれる。*2010年の農業には林業が含まれる。出所 :『福井県統計年鑑』各年版より作成

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表 3 事業所統計にみる旧大飯町の産業動向              1978年 6月 15日

区      分総   数 民   営 国・地方公共団体

事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数人 人 人

総           数 344 2,230 320 2,010 24 220農 林 漁 業 1 15 1 15 - -鉱           業 - - - - - -建 設 業 53 558 53 558 - -製 造 業 29 315 29 315 - -電気・ガス・熱供給・水道業 2 351 2 351 - -運 輸 ・ 通 信 業 4 31 - - 4 31卸 売 ・ 小 売 業, 飲 食 店 118 316 117 306 1 10金 融 ・ 保 険 業 2 23 2 23 - -不 動 産 業 - - - - - -サ ー ビ ス 業 128 522 116 442 12 80公           務 7 99 - - 7 99

              1986年 7月 1日

区      分総   数 民   営 国・地方公共団体

事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数人 人 人

総           数 407 3,070 380 2,840 27 230農 林 漁 業 7 119 7 119 - -鉱           業 - - - - - -建 設 業 74 649 74 649 - -製 造 業 25 283 25 283 - -電気・ガス・熱供給・水道業 3 455 3 455 - -運 輸 ・ 通 信 業 8 64 4 37 4 27卸 売 ・ 小 売 業, 飲 食 店 108 445 107 433 1 12金 融 ・ 保 険 業 2 24 2 24 - -不 動 産 業 7 49 7 49 - -サ ー ビ ス 業 166 870 151 791 15 79公           務 7 112 - - 7 112

              2001年 10月 1日

区      分総   数 民   営 国・地方公共団体

事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数人 人 人

総           数 420 3,673 386 3,383 34 290農 林 漁 業 12 116 12 116 - -鉱           業 - - - - - -建 設 業 81 833 81 833 - -製 造 業 11 132 11 132 - -電気・ガス・熱供給・水道業 2 528 1 521 1 7運 輸 ・ 通 信 業 6 68 3 37 3 31卸 売 ・ 小 売 業, 飲 食 店 93 414 91 403 2 11金 融 ・ 保 険 業 2 19 2 19 - -不 動 産 業 4 18 4 18 - -サ ー ビ ス 業 203 1,411 181 1,304 22 107公           務 6 134 - - 6 134

  出所 :「福井県市町村勢要覧」各年版

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人→ 1,304人)であり,その一方で,製造業は減少している(315人→ 132人)。表 4は,合併後の 2009年におけるおおい町の事業所の状況をみたものである。産業別では建設業が 114事業所,従業者 1,215人と原発建設時から年数が経った時期でも従業者数の 4分の 1以上を占めており,主要産業としての位置を保っていることがうかがえる。ただし,国勢調査でみた産業別就業者数は 2010年で 671人(旧大飯町・旧名田庄村合計)であるから,半数近くが町外住民の雇用であることがうかがえる。電気・ガス・熱供給・水道業(民営)は 542人であり,その大半が発電所職員であるとみられる。製造業は 299人(約 6.5%)と低迷したままである。サービス業については分類が細かくなっているが,うちサービス業 522人,宿泊業・飲食サービス業 397人,生活関連サービス業・娯楽業 380人,医療・福祉 298人,学術研究・専門・技術サービス業 224人などとなっている。また,農林漁業は少ないながらも 14事業所,190人となっており,先にみたように農業,漁業の基盤が一定程度維持されていることと合わせて評価する必要がある。さらに,国・地方公共団体に分類される事業所による従業者数も 410人(8%)あるが,その一部は電源三法交

表 4 おおい町における事業所と従業者数の状況(2009年)            2009年 7月 1日

総     数 民     営 国 ・ 地方公共団体

区      分 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数

総数 559 5,029 519 4,619 40 410

農林漁業 14 190 14 190 0 0

鉱業 0 0 0 0 0 0

建設業 114 1,215 114 1,215 0 0

製造業 27 299 27 299 0 0

電気・ガス・熱供給・水道業 3 546 2 542 1 4

情報通信業 1 2 1 2 0 0

運輸業,郵便業 9 93 9 93 0 0

卸売業,小売業 89 389 89 389 0 0

金融業,保険業 4 25 4 25 0 0

不動産業,物品賃貸業 8 42 8 42 0 0

学術研究,専門・技術サービス業 15 224 15 224 0 0

宿泊業,飲食サービス業 90 397 89 385 1 12

生活関連サービス業,娯楽業 55 380 53 370 2 10

教育,学習支援業 24 165 10 25 14 140

医療,福祉 24 298 17 242 7 56

複合サービス事業 12 59 12 59 0 0

サービス業 56 522 55 517 1 5

公務 14 183 0 0 14 183

  出所 :「福井県市町勢要覧 平成 24年度版」

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付金等によって整備した公共施設等の管理運営部門であると考えられる。以上の検討から,おおい町における原発立地と地域経済の動向は,先行研究の分析とほぼ同様の

ものであり,清水のいう「電源立地効果の一過性問題」はおおい町においても確認できる。原発立地に地域経済におけるインパクトという点では,建設段階での経済効果が大きい一方,運転時においては限定的である。その一方,第一次産業や製造業などは衰退ないし低迷している。おおい町の現行の総合計画においては,原発関連以外の産業振興策も掲げており,農業や漁業に

おける加工・販売促進などの付加価値化,観光レクリエーション産業の振興,および新産業創出の検討などを打ち出している。特に近年,おおい町では,わかさ大飯マリンワールド計画と称する開発計画において,マリーナ施設,観光船事業,PFIによるホテル事業,こども家族館,企業誘致,直販所の開設などを進めているが,ここで問われているのは,おおい町の本来的な資源や基盤産業である農業や漁業の発展をはかるための内発的努力である。

6. まとめに代えて

福井県おおい町を事例に,原発立地の財政へのインパクトおよび地域経済へのインパクトを検証してきた。まず,おおい町財政の検証から明らかになったことは,第一に,原発立地財政システムは,おおい町財政にきわめて大きなインパクトを及ぼしており,近年においても財政収入の 50%

前後が原発関連収入となっており,類似団体の約 2倍の財政規模のなかで,普通建設事業費の規模が大きいのみでなく,人件費や物件費など経常経費も類類似団体と比して大きい。第二に,原発財源が経年的に保障されないことから原発増設を求めるという時期があったものの,

2000年代に入って,原発増設を前提としない,持続可能な原発財政制度が整備されてきたことである。第三に,町財政からみた原発政策の背景として,増設をせずとも維持可能な財政制度に近づいて

いる一方,人件費や維持管理費を含め,町財政の原発財源への依存度は質的にも深まっていることがうかがえる。現在のところ,財政は安定的に推移している。しかし,原発再稼働がなければ,設備更新がないなかでは固定資産税の落ち込みも大きくなり,電源三法交付金の「みなし規定」の継続も不透明であることから,財政への影響が懸念されており,そのことが再稼働を強く求める要因となっていると考えられる。第四に,今後,原発新設・増設が認められないとすれば,いずれ廃炉となり,脱原発の財政への

転換が求められることになる。その場合,電源三法交付金が廃炉過程に適用されていないことから,過渡的制度をどうするかという課題がある。この点について,過渡的措置として「廃炉交付金」のような制度が必要であり,現行の電源三法交付金の使途を「廃炉と地域再生を円滑に進める」という目的による使途に徐々に改めるべきという川瀬光義の提案が注目される28。同時に,原発立地自治体の財政は,おおい町の場合でいえば,経常経費の相当部分を原発関連財政収入でまかなう構造

28 川瀬光義「原子力発電所立地にともなう財政収入を検証する」岡田・川瀬・にいがた自治体研究所編(2013),147-148ページ。なお,福井県立大学地域経済研究所(2012b)は,廃炉と合わせて一定のリプレースを考慮した制度改革を提言している。

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となっていることから,廃炉過程において一般財源やそれに近い財源が急激に縮小することを見通した財政計画が求められよう。地域経済に関しては,おおい町における原発立地と地域経済の動向は,先行研究の分析とほぼ同

様の評価ができるものであり,清水のいう「電源立地効果の一過性問題」はおおい町においても確認できる。さらに,「電源立地効果の一過性問題」を補完するための原発財政収入は,今後の廃炉を展望すれば,リプレースがない限り,確実に減少,消滅していくものであるため,結局は,財政においても「電源立地効果の一過性問題」は解消されるものではない。それゆえ,廃炉と脱原発を展望するならば,「廃炉交付金」のような制度導入を前提としながら,転換期の財政計画とともに地域再生計画の立案と実行を,地域の資源と人材を生かした内発的な取り組みとして進めていくことが肝要となろう。

参考文献・資料

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大飯原発建設に伴う地域社会の変動─』日本銀行福井事務所(2012) 「福井県経済の特徴」2012年 6月日本銀行金沢支店(2013) 「嶺南地域における雇用情勢」2013年 4月 1日福井県立大学地域経済研究所(2012a) 『原子力発電と地域経済の将来展望に関する研究 その 1〔第 2版〕』2012

年 3月福井県立大学地域経済研究所(2011) 『原子力発電と地域経済の将来展望に関する研究 その 2』2011年 3月福井県立大学地域経済研究所(2012b) 『原子力発電と地域経済の将来展望に関する研究 その 3』2012年 3月福井県(1996) 『福井県史 通史編 6 近現代二』三好ゆう(2011) 「原子力発電所所在自治体の財政構造─福井県若狭地域を事例に─」『立命館経済学』第 60巻・

第 3号,2011年 9月ゆきのした文化協会・日本科学者会議福井支部編(1978) 『父と子の原発ノート』ゆきのした文化協会