神奈川県における 大気環境の現状と課題 - meti神奈川県における...

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  • 神奈川県における大気環境の現状と課題

    神奈川県環境農政局環境部大気水質課

    平成28年3月4日(金)

  • 【大気の状況】(昭和30年代)

    京浜臨海部

    2

  • 【大気の状況】(昭和40年代)

    京浜臨海部

    3

  • 【大気の状況】(現在)

    京浜臨海部

    4

  • 物質 環境上の条件(環境基準) 告示

    二酸化硫黄(SO2)

    1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であること。

    S48. 5.16

    一酸化炭素(CO)

    1時間値の1日平均値が10ppm 以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm 以下であること。

    S48. 5. 8

    二酸化窒素(NO2)

    1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること。

    S53. 7.11

    浮遊粒子状物質(SPM)

    1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であること。

    S48. 5. 8

    光化学オキシダント(Ox)

    1時間値が0.06ppm以下であること 。 S48. 5. 8

    微小粒子状物質(PM2.5)

    年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。

    H21. 9. 9

    大気汚染に係る環境基準

    5

  • 6

    大気汚染常時監視測定局 県内配置図(H27.12)

    一般環境大気測定局(一般局):61局 自動車排出ガス測定局(自排局):31局

    □ 一般環境大気測定局

    △ 自動車排出ガス測定局

    6

  • ・ 二酸化硫黄(SO2)は、昭和55年から全測定局で環境基準を達成。(100%)

    二酸化硫黄(SO2)濃度と一酸化炭素(CO)濃度の経年変化

    環境基準達成率・二酸化硫黄(SO2)は、昭和55年から全測定局で環境基準を達成。(100%)

    ・一酸化炭素(CO)は、昭和57年から全測定局で環境基準を達成。 (100%)

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5

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    3.5

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    0.005

    0.010

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    0.025

    0.030

    0.035

    47 49 51 53 55 57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26

    年度平成昭和

    二酸化硫黄(

    SO2)

    年平均値(1時間値)濃

    度[ppm]

    一酸化炭素(

    CO)年平均値

    (1時間値)濃

    度[ppm]

    ■一酸化炭素(CO)

    ◆二酸化硫黄(SO2)

    7

  • 年度平成

    元年

    平成

    2年

    平成

    3年・・・

    平成

    24年

    平成

    25年

    平成

    26年

    達成率 40.3% 32.9% 32.9% 98.9% 100% 98.9%

    環境基準達成率(NO2)

    二酸化窒素(NO2)濃度の経年変化

    0.000

    0.005

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    0.040

    53 55 57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26

    年度平成昭和

    二酸化窒素(NO

    2)年平均値

    (1時間値)濃

    度[ppm]

    8

  • 浮遊粒子状物質(SPM)濃度の経年変化

    環境基準達成率(SPM)

    0.000

    0.010

    0.020

    0.030

    0.040

    0.050

    0.060

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    55 57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26

    年度平成昭和

    浮遊粒子状物質(

    SPM)

    年平均値

    (1時間値)濃度[ppm]

    横ばい傾向

    9

    年度平成

    元年

    平成

    2年

    平成

    3年・・・

    平成

    24年

    平成

    25年

    平成

    26年

    達成率 12.3% 2.9% 0% 100% 91.2% 98.9%

  • 光化学オキシダント(Ox)の昼間の1時間値の年平均値の経年変化

    平成2年度以降、県内全測定局で環境基準を達成していない。

    0.000

    0.005

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    0.035

    53 55 57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26

    環境基準達成率(Ox)

    年度平成

    元年

    平成

    2年

    平成

    3年・・・

    平成

    24年

    平成

    25年

    平成

    26年

    達成率 2.1% 0% 0% ・・・ 0% 0% 0%

    年度平成昭和

    光化学オキシダント(Ox)

    昼間の1時間値の年平均値濃度

    [ppm]

    10

  • 測定局種別 項目 平成24年度 平成25年度 平成26年度

    一般環境大気測定局

    年平均値※1 13.8μg/m3 14.6μg/m3 14.0μg/m3

    有効測定局数※2 9 20 41

    環境基準達成局数 6 0 11

    環境基準達成率 66.7% 0% 26.8%

    自動車排出ガス測定局

    年平均値※1 14.8μg/m3 15.7μg/m3 15.0μg/m3

    有効測定局数※2 8 14 18

    環境基準達成局数 5 1 3

    環境基準達成率 62.5% 7.1% 16.7%

    微小粒子状物質(PM2.5)の年平均値の経年変化

    ※1 年平均値の環境基準:15.0 μg/m3

    ※2 標準測定法と等価性を有し、年間測定日数が250日以上の測定局

    11

    環境基準を達成している測定局は少ない。

  • 平成26年度環境基準達成状況

    物質名 達成局数〔()内は達成率〕

    二酸化硫黄(SO2) 49局/49局 (100%)

    一酸化炭素(CO) 19局/19局 (100%)

    二酸化窒素(NO2) 89局/90局 (98.9%)

    浮遊粒子状物質(SPM) 89局/90局 (98.9%)

    光化学オキシダント(Ox) 0局/60局 ( 0%)

    微小粒子状物質(PM2.5) 14局/59局 (23.7%)

    12

  • 【PM2.5、光化学オキシダントの発生源】

    13

  • 14

    VOC排出削減に向けた取組

    ◆リーフレットによる周知「建築塗装編」、「工場塗装編」のリーフレット※1を作成

    し、VOCの排出抑制に協力依頼

    ※1 神奈川県公害防止推進協議会作成)

    ◆ガソリンベーパー※2対策の推進ガソリンベーパー対策として有効なORVR※3車の早期法制

    度化に向けた取組の推進

    ※2 ガソリンが蒸発して気体となった蒸気(Vapor)のこと。ガソリンスタンドなどで感じられる特有のにおいの正体でVOCの一種。

    ※3 Onboard Refueling Vapor Recovery(車搭載型燃料供給時蒸気回収装置)の略

  • 15

    業界向けリーフレット(建築塗装編)

    揮発性有機化合物(VOC)の排出削減についてhttp://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f532482/みんなでVOCの排出を減らしましょう。(建築塗装)http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/809001.pdf

  • 16

    業界向けリーフレット(工場塗装編)

    揮発性有機化合物(VOC)の排出削減についてhttp://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f532482/みんなでVOCの排出を減らしましょう。(工場塗装)http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/809002.pdf

  • 17

    VOC排出削減に向けた取組

    ◆リーフレットによる周知「建築塗装編」、「工場塗装編」のリーフレット※1を作成

    し、VOCの排出抑制に協力依頼

    ※1 神奈川県公害防止推進協議会作成)

    ◆ガソリンベーパー※2対策の推進ガソリンベーパー対策として有効なORVR※3車の早期法制

    度化に向けた取組の推進

    ※2 ガソリンが蒸発して気体となった蒸気(Vapor)のこと。ガソリンスタンドなどで感じられる特有のにおいの正体でVOCの一種。

    ※3 Onboard Refueling Vapor Recovery(車搭載型燃料供給時蒸気回収装置)の略

  • 18

    ガソリンベーパーとは

    ※特殊なカメラにて撮影

    黒いモヤがガソリンが蒸発した「ガソリンベーパー」

  • 0

    200,000

    400,000

    600,000

    800,000

    1,000,000

    1,200,000

    1,400,000

    1,600,000

    その他の業種等

    一般機械器具製造業

    土木工事業

    プラスチック製品製造業

    金属製品製造業

    石油製品・石炭製品製造業

    印刷・同関連業

    化学工業

    輸送用機械器具製造業

    建築工事業

    燃料小売業

    VOC大気排出量の経年変化(推計値)

    出典:揮発性有機化合物(VOC)排出インベントリについて(環境省 平成27年3月)

    VOC大気排出量推計値(千t

    /年)

    燃料小売業排出量がほぼ横ばい

    19

  • 20

    ガソリンベーパーの排出

  • 規制が進んでいる

    法律による規制なし

    ⇒「条例」によりいくつかの自治体が荷卸時のみ規制※神奈川県では条例により規制(S53~)

    (アメリカ) (EU)など

    (荷卸時)

    21

    ガソリンベーパーの規制

  • 【中央環境審議会自動車排出ガス専門委員会】

    国に対しガソリンベーパー対策の速やかな検討を求めた(平成27年3月)

    (具体的な検討項目)○給油時の対策

    ○自動車の駐車時及び走行時の対策

    対策の方向性を検討中

    平成27年度 平成28年度検討スケジュール(想定) 排出抑制対策

    の検討対策の具体化

    両論併記

    (車側:ORVR車)(ガソリンスタンド側)

    22

    国の動向

  • 方法 ORVR車ガソリンスタンド

    での対応

    対応者 国レベルの対応 地域から対応

    対応内容法による規制

    (車の構造基準、車検制度)条例による規制又は自主的取組の促進

    対応期間新車代替に時間がかかる

    計量機の切換に時間がかかる

    効 果給油時、走行時、駐停車時のあらゆる場面で回収

    給油時のみ回収

    ガソリンベーパー対策の比較

    23

  • ORVR車

    ORVR車の技術

    ORVR車を輸出

    国内販売

    未対応車

    (自動車メーカー)

    対策技術あり

    輸出

    欧州はディーゼル車が主流⇒ガソリンスタンド側での規制が進んでいる。

    24

  • 国を動かすことが必要

    【九都県市が連携した啓発・情報発信】

    【国への働きかけ】

    【本県独自のORVR車普及啓発事業】

    ○国民のコンセンサスの形成に向け、積極的に情報発信

    ⇒ 普及啓発ビデオ、シンポジウムの開催など

    ○ 国民・県民意識の醸成

    ⇒ 効果的な啓発・情報発信(県及び九都県市)

    ○ 国への働きかけ

    ⇒ 国への重点要望

    25

    ORVR車の早期法制度化に向けた取組

  • 26

    ORVR車の普及啓発ビデオ

  • ご清聴ありがとうございました

    27

  • 1

    有機溶剤職場の健康障害防止対策

    中央労働災害防止協会

    労働衛生調査分析センター

    山田 周

    VOC排出抑制セミナー平成28年3月4日

    安衛法改正、特化則改正に伴い、

    事業者は何をすべきか?

  • 有機溶剤とは

    有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称であり、様々な職場で、溶剤として塗装、洗浄、印刷などの作業に幅広く使用されている。

    有機溶剤は常温では液体ですが、一般に揮発性が高いため、蒸気となって作業者の呼吸を通じて体内に吸収されやすく、また、油脂に溶ける性質であることから皮膚からも吸収される。

    【危険有害性】 引火しやすい 蒸気を吸入すると健康を害する

    2

  • 作業環境管理

    作業管理

    健康管理

    有機溶剤

    作 業

    人体侵入

    健康障害

    ガス・蒸気

    環境空気汚染発 散

    摂 取

    拡 散

    蓄 積

    排 泄

    皮 膚

    呼吸器

    消化器

    付 着

    有機溶剤による健康障害の発生経路

    3

  • 主な有機溶剤中毒の症状と原因物質

    毒性 疾患・症状 有機溶剤共通 中枢神経系 頭痛、めまい、意識障害 ほとんどの有機溶剤

    皮膚粘膜刺激 皮膚炎、角化、亀裂、 ほとんどの有機溶剤

    特異

    造血器障害 貧血 ベンゼン

    肝障害 肝実質障害 塩化炭化水素類

    腎障害 蛋白尿、腎硬化症 塩化炭化水素類

    末梢神経障害 多発性神経炎 ノルマルヘキサン、メチルブチルケトン、二硫化炭素

    視神経障害 視力低下、失明 メタノール、酢酸メチル

    血管障害 網膜細動脈瘤 二硫化炭素

    生殖毒性 静止減少、無月経 2-ブロモプロパン

    発がん性 トリクロルエチレン、N,N-ジメチルホルムアミド

    精神障害 意識障害、精神異常 二硫化炭素4

  • 労働者の健康を確保していくために-労働衛生管理(対策)の基本-

    有害物質のばく露を低減して、作業者の健康を守るためには各管理の調和の取れた運用が必要

    ・作業環境管理 作業環境中への有機溶剤蒸気の発散を抑制

    し、作業環境を良好に保つ。

    ・作業管理 作業を適切に管理し、労働者の有機溶剤のば

    く露を少なくする。

    ・健康管理 健康診断により、労働者への健康影響を防ぐ。

    3管理

    ・安全衛生管理体制・労働衛生教育

    5分野

    5

  • 健康障害防止対策(労働安全衛生法)

    労働衛生管理体制の整備

    危険有害性の確認と周知(ラベル表示とSDS)

    作業主任者の選任(作業の指揮、設備の点検など)

    作業環境管理(作業環境測定)

    発散源対策(作業環境改善)

    作業管理(作業手順、労働衛生保護具など)

    掲示と保管(貯蔵および空容器の処理)

    健康管理(特殊健康診断の実施)

    6

  • 労働衛生管理の責任体制

    管理・監督者

    有機溶剤作業主任者

    作業者

    事業者

    総括安全衛生管理者

    産業医

    衛生管理者

    技術的事項の実施

    総括管理

    作業指揮

    健康管理

    安全衛生委員会 調査・審議

    安全健康の責務 指導・監督

    実施・協力

    7

  • 作業環境管理

    【目的】

    作業環境中のさまざまな有害要因を排除し、快適な作業環境を維持すること。

    【方法】

    第1種、第2種有機溶剤を取扱う屋内作業場について、定期的に作業環境測定を実施して、その結果(管理区分)に基づいて、適切な措置(作業環境改善)をとる。

    8

  • 作業環境測定の実施から評価までの流れ

    デザイン サンプリング分析

    評 価

    測定手順の設定

    管理区分の決定

    単位作業場所の設定

    測定日時の設定

    測定条件の設定

    測定点の決定

    B測定

    A測定幾何平均値幾何標準偏差

    の計算

    第1評価値第2評価値の計算

    管理濃度

    第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分

    作業環境測定基準 作業環境評価基準9

  • 作業環境測定結果の評価に基づいて行う措置

    測定 評価

    作業環境管理が適切であると判断される状態

    作業環境管理になおの改善の余地があると判断される状態

    作業環境管理が適切でないと判断される状態

    2年以上継続

    1年6ヶ月以上継続

    点検の実施(努力)

    1 有効な呼吸用保護具の使用2 健康診断の実施(著しいばく露を受けた場合等で産業医等が必要と認めた場合)(有機則、鉛則、特化則、粉じん則)

    点検の実施(直ちに)

    改善措置効果確認のための測定及び評価

    第1管理区分

    第2管理区分

    第3管理区分

    所轄労働基準監督署長の許可

    相対濃度指示方法または検知管による

    測定ができる

    規定風速未満の制御風速での局所排気装置の稼働

    改善措置(努力)

    10

  • ① 有機溶剤の使用中止

    ② 有害性の少ない物質への代替

    ③ 作業方法の改良による発散の防止

    ④ 発散源となる設備の密閉化・自動化

    ⑤ 局所排気装置・プッシュプル換気装置に

    よる拡散防止

    ⑥ 全体換気で有機溶剤の希釈排出

    効果大

    効果小

    作業環境改善のための工学的対策

    *設備は定期的な点検(日常点検、定期自主検査)と保守が必要です。

    11

  • 有機溶剤の代替(例)(1)ねじ止め前の脱脂洗浄(電動工具製造)代替物質 : 1,1,1-トリクロルエタン ⇒ 使用中止(メック処理)

    メリット : 環境規制適合、製品付加価値の向上、作業性の向上、

    作業環境管理からの開放、ランニングコストの改善

    デメリット : 特になし

    (2)部品の洗浄(高圧バルブ製造)

    代替物質 : 1,1,1-トリクロルエタン(洗浄槽) ⇒ 水(洗浄装置)

    メリット : 環境規制適合

    デメリット : ランニングコストのアップ(2倍)

    (3)めっき処理前の部品の脱脂洗浄(航空機部品製造)

    代替物質 : トリクロルエチレン ⇒ 水系アルカリ洗浄剤

    メリット : 環境規制適合、有害物ばく露の低減、

    作業環境測定及び特殊健康診断の実施不要

    デメリット : 設備改造費の発生、洗浄後の液抜けが性能不十分

    (4)部品の塗装(自動車部品製造)

    代替物質 : 溶剤型塗料 ⇒ 水性塗料

    メリット :環境規制適合、メンテナンス、廃棄物量及び塗料使用量の軽減

    デメリット :特になし 【要検討】水性塗料中の有害性物質の含有12

  • 有機溶剤を化学反応用の溶媒として使用する場合、濃度、温度などの反応条件を調整して溶媒の消費量を減らす。

    生産工程や作業方法を変更して、作業場への有機溶剤の発散量を減らす。

    液面レベルの測定や計量作業を自動化した。 噴霧塗装を浸漬塗装、エアレススプレー、粉体塗装、静電塗装に変更した。

    逆流凝縮器付洗浄装置の据え置き時間を長くした。

    作業方法の改良による発散の防止

    13

  • 発散源となる設備の密閉化・自動化

    設備を密閉化し、作業場への発散を抑制する。

    設備を密閉化して、内部が加圧状態でも有機溶剤が漏れ出さない。(原料の投入はパイプラインを通じて行う。パッキンで機密性を保つ。)

    設備の内部を負圧状態にし、有機溶剤が漏れ出さない。(内部を吸引)

    設備を自動化することにより、作業者が設備に近づくことを必要としないため、ばく露を低減させる。

    14

  • 有機溶剤を取扱う設備を完全に密閉化することが困難な場合は、発散した有機溶剤蒸気が作業者の呼吸域で高濃度にならないよう、発散源近くで有機溶剤蒸気を吸引除去することが必要となる。

    有機溶剤蒸気の作業場への拡散を抑制する方法として、局所排気装置やプッシュプル換気装置が有効であり、有機溶剤蒸気が発散するあらゆる工程に対して幅広く用いられている。

    局所排気装置・プッシュプル換気装置による拡散防止

    15

  • 局所排気装置

    16

  • フードの型式

    フードは、有害物の発散や作業方法を考慮する。

    17

  • 有機溶剤に対する制御風速

    有機溶剤中毒予防規則第16条

    フードの型式 制御風速(m/s)

    囲い式フード 0.4

    外付け式フード

    側方吸引型 0.5

    下方吸引型 0.5

    上方吸引型 1.0

    18

  • プッシュプル型換気装置

    (a) 開放式 (b) 密閉式

    19

  • プッシュプル換気は、局所排気に比べて2~4分の1の排風量で効果が得られる。

    プッシュプル換気は、ランニングコストの大幅な節約と同時に有機溶剤の排出量の削減も可能である。

    26m3/min 40m3/min4⇒⇒⇒610m3/min

    局所排気とプッシュプル換気の排風量による比較(洗浄作業)

    20

  • 全体換気とその留意事項

    必要換気量の確保

    給気口と換気扇の配置:給気が作業場全体を通って排

    気される

    比重が大きい物:換気扇を下方に発散源:

    換気扇の近く

    作業位置:汚染空気を吸入しない位置

    21

  • 空気清浄装置

    局所排気装置等の排気には有機溶剤が含有しており、そのまま排気することは大気を汚染し、地球環境破壊の原因となるので、空気清浄装置を用いてできるだけ清浄化し、排出基準値以下で屋外に排出する必要がある。

    有機溶剤の空気清浄装置には、次のような原理に基づいた排ガス処理装置が一般的に用いられる。

    ① 活性炭による吸着(溶剤回収)② 水による吸収③ 直接又は触媒による燃焼

    22

  • 設備の点検・保守管理

    【目的】

    定期的に設備の点検を行って、常に有効に稼働するように保守管理を行う。

    【設備と点検方法】

    1. 密閉設備・・・密閉部分からの有機溶剤の漏れ

    2. 局所排気装置等・・・フード、ダクトからの有機溶剤の漏れ(日常点検、作業主任者による1ヶ月点検、定期自主検査)

    3. 全体換気装置・・・稼働の有無、気流の流れ

    23

  • 作業管理

    1. 有機溶剤の発散防止 ⇒ 有機溶剤を必要以上に使わない。

    2. 使用した有機溶剤 ⇒ こぼさない。

    3. こぼれた有機溶剤 ⇒ ウエスで拭き取る。(保護手袋着用)

    4. 有機溶剤のしみ込んだウエス ⇒ ふたのある容器に入れる。

    5. 使用済みの有機溶剤 ⇒ 廃液容器に密栓して入れる。(保護めがね着用)

    6. 容器 ⇒ 屋外の一定場所に集積しておく。

    *有機溶剤取扱い場所では、喫煙、飲食はしない。

    【目的】

    作業を適切に管理し、作業者が有機溶剤にばく露されるのを防止すること。

    【方法】

    作業に伴う有機溶剤の発散を少なくしたり、ばく露が少なくなるように作業の手順や方法を定める。必要な場合には、保護具を着用する。

    24

  • 作業場への掲示

    25

  • 有機溶剤の貯蔵・保管

    種類ごとに分別して保管する。

    保管容器は破損しにくい、蓋ができるものを

    使用する。

    容器いっぱいに詰めない。

    容器の内容物を表示する。

    保管数量はできるだけ少量にする。

    施錠できる換気の良い冷暗所に保管する。

    26

  • 労働衛生保護具

    【選定・使用のポイント】

    1 国家検定、JIS規格に合格している保護具を使用しましょう。

    2 有機溶剤の物理化学的性質、有害性を考慮して保護具を選定しましょう。 (例:有機ガス用防毒マスク)

    3 防毒マスクは、作業者のばく露状況を考慮して吸収缶の使用時間を決めましょう。

    4 作業者の顔の大きさにあったマスク面体や保護めがねを選びましょう。

    5 保守管理責任者を選任し、使用状況のチェック、性能の維持管理など点検を行いましょう。

    27

  • 健康管理・健康診断

    【目的】健康診断や健康測定を通じて労働者の健康状態を作業環境や作業との関連を検討することにより、労働者の健康障害を未然に防ぐこと、さらに心身両面にわたる健康増進を図ること。

    【方法】定期的な健康診断(一般健康診断、特殊健康診断)、健康測定を実施する。

    【一般健康診断:定期健康診断】 1年に1回一般的な健康状態を調べる。

    【特殊健康診断:有機溶剤】 6ヶ月に1回有機溶剤業務に従事する労働者に対して特別の検診項目について行う。

    28

  • 健康診断の事後措置

    【就業上の措置】 健康診断結果を本人への通知 就業場所の変更 作業の転換 労働時間の短縮

    【保健指導】 健康管理に関する助言 情報の提供

    【作業環境の改善(有機溶剤濃度の低減)】 作業環境測定の実施 施設又は設備の整備

    29

  • 30

    1 化学物質の危険有害性(ハザード)を知る。◎SDSを入手して、危険有害性を確認する。

    2 取扱い作業におけるリスクを知る。◎リスクアセスメントを行う。(化学物質のリスク)危険性のリスク = 影響の大きさ × 発生の可能性健康障害のリスク = 有害性の強さ × ばく露状況

    3 リスク評価結果に基づいてリスク低減対策を実施する。◎作業方法の見直し◎設備の安全化、換気設備の設置◎保護具の使用

    これからの化学物質管理~化学物質を安全に取扱うためには~

  • メーカー

    譲渡・提供者の義務①容器等へのラベル表示②SDSの交付

    ユーザーである事業者の義務

    ①ラベル表示、SDSによる適切な管理・SDSの危険有害性情報に基づくリスクアセスメントの実施(例:コントロールバンディングの導入)

    ②労働者への危険有害性情報の周知・事業場内表示、SDSの掲示等

    化学品

    危険有害性情報の伝達と活用

    譲渡提供時の文書交付の義務(640物質)

    譲渡提供時の表示の義務 (109物質)

    すべての危険有害な化学物質について① 譲渡提供時の表示及びMSDS交付② 事業場内で取り扱う容器等にラベル表示

    ラベル

    SDS

    SDSの「交付」・「入手」は化学物質管理の基本

    なぜならば

    SDSが無ければ、化学物質の危険有害性がわからない。

    何であるか分からなければ、適切な取扱いはできない。

    31

  • 化学物質リスクアセスメントの実施~労働安全衛生法の改正~

    ・印刷作業場において、洗浄作業等に従事する労働者が集団で胆管がんを発症した事案は、特別規則の対象となっていない化学物質を長期間にわたり高濃度でばく露したことが原因で発症した蓋然性が高いと結論づけされている。

    ・当該事業場では、化学物質が採用された時に適切なリスクアセスメントが実施されていなかった。

    特に危険・有害な物質とされている特別規則の物質以外でも、使用量や使用方法によっては労働者の安全や健康に害を及ぼすおそれがあり、対策を強化する必要がある。

    安全データシート(SDS)の文書交付義務のある化学物質(640物質)についてリスクアセスメントを義務化することとした。

    32

  • 33

    化学物質リスクアセスメントの実施平成26年6月25日公布、施行日:平成28年6月1日

    第57条の3

    事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第57条第1項の政令で定める物及び通知対象物による危険性又は有害性等を調査しなければならない。(義務)

    2 事業者は、前項の調査結果に基づいて、この法律に又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように勤めなければならない。(努力義務)

    実施すべき事業者:対象の化学物質を製造し、又は取り扱う全ての事業者対象物質:安全データシート(SDS)の交付義務のある640物質実施時期:平成28年6月1日

  • 特定された危険性または有害性によるリスクの見積り

    リスクの見積りに基づくリスク低減措置の内容の検討

    リスクアセスメントの手順

    リスクアセスメント結果の労働者への周知

    リスクアセスメントは以下のような手順で進めます。

    リスク低減措置の実施

    ステップ2

    ステップ3

    ステップ4

    ステップ5

    化学物質による危険性または有害性の特定ステップ1

    特定された危険性又は有害性によって生ずるおそれのある労働者の危険又は健康障害の発生する発生可能性とその重篤度を組み合わせたもの

    リスクとは・・・

    以下の情報を入手し、危険性又は有害性を特定する。・安全データシート(SDS)、仕様書、機械・設備の情報

    ・作業標準書、作業手順書・作業環境測定結果・災害事例、災害統計 等

    ・発生するおそれのある危険又は健康障害の発生可能性と重篤度から見積る。

    ・化学物質等による疾病では、有害性の程度とばく露の程度を用いる。

    ①危険有害性の高い化学物質等の代替や化学反応プロセス等の運転条件の変更等

    ②工学的対策(局所排気装置の設置等)③管理対策(作業手順の改善等)④有効な保護具の使用

    リスク低減措置の優先順位

    34

  • リスクの見積り方法実施方法 危険性 有害性

    ア 化学物質等が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は健康障害を生ずるおそれの程度(可能性の度合)及び当該危険又は健康障害(重篤度)を考慮する方法

    (ア)マトリクス(重篤度と可能性の度合いを相対的に尺度化し、横軸と縦軸とした表)を用いた方法

    (イ) 数値化による方法

    (ウ) 枝分かれ図を用いた方法

    (エ) ILOの化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)

    (オ) 化学反応のプロセス等による災害のシナリオを仮定する方法

    イ 当該業務に従事する労働者が化学物質等にさらされる程度(ばく露の程度)及び当該対象物の有害性の程度を考慮する方法

    (ア)作業環境測定等により測定した対象の作業場所における気中濃度等を、当該化学物質のばく露限界と比較する方法

    (イ) 数理モデルを用いて労働者周辺の化学物質の気中濃度等を推定し、当該化学物質のばく露限界と比較する方法

    (ウ) マトリクス(有害性とばく露の程度を相対的に尺度化し、横軸と縦軸とした表)を用いた方法

    ウ 上記に方法に準じる方法 (ア) リスクアセスメントの対象の化学物質等に係る危険又は健康障害を防止するための具体的な措置が労働安全衛生法関係法令の各条項に規定されている場合において、当該規定を確認する方法

    (イ) リスクアセスメントの対象の化学物質等に係る危険を防止するための 具体的な規定が労働安全衛生法関係法令に規定されていない場合において、 SDS に記載されている危険性の種類を確認し、当該危険性と同種の危険性を有し、かつ、具体的措置が規定されている物に係る当該規定を確認する方法

    35

  • 危険または健康障害の程度(重篤度)

    死亡 後遺障害 休業 軽傷

    危険または健康障害を生じるおそ

    れの程度

    (発生可能性)

    極めて高い 5 5 4 3

    比較的高い 5 4 3 2

    可能性あり 4 3 2 1

    ほとんどない 4 3 1 1

    リスク 優先度

    4~5 高直ちにリスク低減措置を講じる必要がある。措置を講じるまで作業停止する必要がある。

    2~3 中速やかにリスク低減措置を講じる必要がある。措置を講じるまで使用しないことが望ましい。

    1 低 必要に応じてリスク低減措置を実施する。

    ※発生可能性「②比較的高い」、重篤度「②後遺障害」の場合の見積り例

    例1 マトリクスを用いた方法

    36

  • ①SDSを用い、GHS分類などを参照して有害性のレベルを区分する。

    有害性のレベル GHS分類における健康有害性クラスと区分

    A

    ・皮膚刺激性・眼刺激性・吸引性呼吸器有害性・その他のグループに分類されない粉体、蒸気

    区分2区分2区分1

    B・急性毒性・特定標的臓器(単回ばく露)

    区分4区分2

    ・急性毒性・皮膚腐食性・眼刺激性・皮膚感作性・特定標的臓器(単回ばく露)・特定標的臓器(反復ばく露)

    区分3区分1区分1区分1区分1区分2

    D

    ・急性毒性・発がん性・特定標的臓器(反復ばく露)・生殖毒性

    区分1,2区分2区分1区分1,2

    E・生殖細胞変異原性・発がん性・呼吸器感作性

    区分1,2区分1区分1

    ②作業環境レベルと作業時間などから、ばく露レベルを推定する。(作業レベルは以下のような式で算出)

    作業環境レベル =(取扱量)+(揮発性・飛散性)-(換気)

    ※これらの表はリスクの見積り方を例示するものであり、有害性のレベル分け、ばく露レベルの推定は仮のものです。

    ばく露レベル作業環境レベル

    5以上 4 3 2 1以下

    年間作業時

    400時間超過 Ⅴ Ⅴ Ⅳ Ⅳ Ⅲ

    100~400時間 Ⅴ Ⅳ Ⅳ Ⅲ Ⅱ

    25~100時間 Ⅳ Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅱ

    10~25時間 Ⅳ Ⅲ Ⅲ Ⅱ Ⅱ

    10時間未満 Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅰ

    ばく露レベル

    Ⅴ Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ

    有害性のレベル

    E 5 5 4 4 3

    D 5 4 4 3 2

    C 4 4 3 3 2

    B 4 3 3 2 2

    A 3 2 2 2 1

    取扱量

    多量:3中量:2少量:1

    揮発性・飛散性

    高:3中:2低:1

    換 気

    遠隔操作・完全密閉:4局所排気:3全体換気・屋外作業:2換気なし:1

    ③有害性のレベルとばく露レベルからリスク を見積る。

    例2 化学物質などの有害性とばく露の量を相対的に尺度化し、リスクを見積もる方法

    37

  • 気中濃度の測定方法

    ◆作業環境測定◆個人ばく露測定◆簡易な測定(検知管、パッシブサンプラーなど)

    リスクは許容範囲を超えている

    ばく露限界値*

    リスクは許容範囲内であるとみなす

    *許容濃度、TLV-TWA

    実際に、化学物質などの気中濃度を測定し、ばく露限界値と比較する方法は、最も基本的な方法として推奨されます。

    バッジ型パッシブサンプラー検知管

    ばく露量 (実測値)

    作業環境測定

    例3 実測値を用いる方法

    38

  • 3939

    工学的対策の決定

    化学物質の有害性

    化学物質の・取扱量・物理化学的形態

    化学物質を取り扱う作業ごとに、「化学物質の有害性」、「物理的化学的形態(揮発性/飛散性)」、「取扱量」の3つの要素によって、リスクの程度を4段階にランク分けし、管理のための一般的な工学的対策の実施事項をリスクレベルごとに示すほか、より具体的な事項を個別の管理対策シートとして示すことができるツールである。専門的知識を有する人たちに頼ることが難しい中小企業などでも利用できることが高く評価されている。

    労働者のばく露濃度の推定

    例4 コントロールバンディングの概要

    ◎厚生労働省HPの職場のあんぜんサイトに「リスクアセスメント実施支援システム」として公開している。

    リスクレベルの決定

  • 特別有機溶剤(特定化学物質障害防止規則)

    (業務)

    ※ エチルベンゼン、エチルベンゼン含有物を用いて屋内作業場等において行う塗装業務

    ※ 1,2-ジクロロプロパン、1,2-ジクロロプロパン含有物を用いて屋内作業場等において行う洗浄または払拭業務

    ※ クロロホルムほか9物質、 クロロホルムほか9物質の含有物を用いて屋内作業場等において行う有機溶剤業務

    ◎ 3つの業務を「特別有機溶剤業務」という。

    (物質)

    ※ エチルベンゼン

    ※ 1,2-ジクロロプロパン

    ※ クロロホルムほか9物質(四塩化炭素、1,4-ジオキサン、1.2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、スチレン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、メチルイソブチルケトン)

    ◎ クロロホルムほか9物質、エチルベンゼン、1,2-ジクロロプロパンを含めて「特別有機溶剤」という。

    40

  • 有機溶剤業務(イ~ヲの12業務)

    製造、染料、医薬品、農薬等の製造、印刷、塗布、接着、洗浄、試験又は研究など

    適用除外 有機溶剤消費量、労働基準監督所長の認定

    設備密閉設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、全体換気装置(第1種有機溶剤、第2種有機溶剤、第3種有機溶剤)

    換気装置の性能フード、ダクト、排風機、排気口、性能(制御風速)、稼働(特例稼働:第1管理区分継続)

    管理作業主任者の選任、定期自主検査及び記録、点検、補修、掲示(注意事項等)、区分表示(第1種有機溶剤、第2種有機溶剤、第3種有機溶剤)

    測定 作業環境測定・評価、結果に基づく措置

    健康診断 特殊健康診断(雇入れ、配置換え、定期)

    保護具 送気マスク、防毒マスク(タンク内部など)

    貯蔵・空容器の処理 貯蔵設備、集積場所

    有機溶剤中毒予防規則

    41

  • 製造等に係る措置

    第1類物質、特定第2類物質、管理第2類物質製造に係る設備(密閉設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置など)、局所排気装置の性能・稼働

    用後処理 除じん装置、排ガス処理、排液処理、ぼろ等の処理など

    漏えいの防止 腐食防止措置、漏えいの防止、床の構造、容器

    管理

    作業主任者の選任、定期自主検査及び記録、点検、補修作業環境測定・評価、結果に基づく措置、休憩室、洗浄設備、飲食等の禁止、掲示、作業記録(特別管理物質)

    特殊な作業等の管理 特別規制

    健康診断特殊健康診断(雇入れ、配置換え、定期)、記録保存( 30年間)緊急診断

    保護具 呼吸用保護具、保護衣(保護手袋、保護長靴など)

    特定化学物質障害予防規則

    42

  • 43

    おわり

    ご清聴ありがとうございました。

    中央労働災害防止協会 労働衛生調査分析センター

    ℡:03-3452-3976

    HP:http://www.jisha.or.jp/ohrdc/index.html

    化学物質管理に関する研修

    化学物質リスクアセスメントの支援

    化学物質の有害性の調査

    化学物質管理で“困った”“わからない”は・・・

  • ※脱脂洗浄工程を主として

    工業洗浄工程におけるVOC排出削減の具体例

    日本産業洗浄協議会 シニアアドバイザー

     2016.02.12 03.04

    梅木義彦

  • VOC対象物質の使用量削減は環境保全と労働環境改善につながります。また、それらの適正な使用は製造コストの削減にもつながります。

    1 工業洗浄に関わる主たるVOC物質大気汚染防止法に基づく揮発性有機化合物一覧表から抜粋① トリクロールエチレン ・・・洗浄用途② メチレンクロライド ・・・洗浄用途③ パークロールエチレン ・・・洗浄用途、使用量は少ない④ IPA (イソプロピルアルコール) ・・・主に水置換乾燥用途 洗浄用途は少ない⑤ NMP (N-メチル-2-ピロリドン) ・・・主に剥離用途、洗浄用途は少ない

    ⑥ シンナー、洗い油等 ・・・手拭き用途等

    工業洗浄に於いては①、②が主たる対象と考えます。

    揮発性有機化合物  Volatile Organic Compounds 常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称   略称 VOC

    2 塩素系溶剤用洗浄装置の実例トリクロールエチレン、メチレンクロライドは主に脱脂、つまり、プレス加工や

     機械加工後の脱脂洗浄、塗装前の脱脂洗浄用途等で多く使用されています。

    手動式洗浄装置の一例

    3槽式洗浄装置の内部構造※蒸留器内蔵型

    P-1

    3 トリクロールエチレン、メチレンクロライドがなぜ多く使用されているのか。

  • ①安価 キロ単価200円台と安価、炭化水素系でも400円台、フッ素系に至っては4000円超

    ②高脱脂力 KB値130台、炭化水素系で(推測)60~80、代替フロンで30程度。他の追従を許さない。

    ③速乾性 温浴後であれば30秒以内で乾燥、炭化水素でも数分必要

    ④非引火性

    ⑤対応する洗浄装置はシンプルで低価格帯

    と云った洗浄剤として見れば大変良い特長を併せ持っているからです。

    抜本的には非VOC洗浄剤に転換する事がベストですが、以上の理由で難しいのが実情でしょう。

    であれば、工夫をして使用量を減らしましょう、と云うのが、本日の要点です。

    4 開放系洗浄装置における主たるVOC物質の排出過程

    洗 浄 室

     排気用ダクト

    冷却水

    各液体のガス密度 ガス密度 沸点

    空気 1

    トリクロールエチレン 4.5 86℃

    メチレンクロライド 5.8 40℃

    5 開放系洗浄装置における排出のメカニズム②バスケット・ワークによる溶剤ガスの汲みだし

    ①バスケット・ワークによる溶剤ガスの押し出し

    ③排気による汲み出し

    強制的に引き出してしまう

    ④ 自然蒸発

    水分分離器の蓋等からの漏れ

    ⑥その他

     配管部品類からの漏れ、

     メンテナンス時の漏れ等 P-2

    6 排出抑制の具体例

    洗浄装置

    溶剤のガスは重いため下方へ行く 排気装置

       装置排気(作業環境保全)

    冷水装置

    大気放出

    大気放出

    溶剤ガスの排出過程

    屋内排気

    排気装置

  • 6-1洗浄装置及び洗浄作業

    ①適正な冷却水温度の設定冷却水温度が高いと消耗量が増加する。メチレンクロライド・・・10~15℃トリクロールエチレン・・・15~20℃※冷却水温度を低くすれば気化放出量はより減少しますが、 冷却管での空気中水分の結露が多くなり、液の劣化等に つながる可能性がありますので、要注意。 洗浄装置メーカーと十分打ち合わせを行って下さい。※参考値 冷却水温度25℃の時の気化放散量を1としますと10℃では0.6になります。

    ②冷却水装置の昼夜運転。 夜間は意外に消耗します。

    ③適正な排気風量の設定・・・過分の排気がされていないかどうか※法令は遵守

    ④こまめに洗浄槽の蓋をする。排気による汲み出しの低減。 特に夜間は蓋をする。 ※もし蓋が無ければステンレス製の物を製作して下さい。   厚めのべニア板などでも差し支えありません。

    手動式洗浄装置

    洗浄装置の内部構造 冷水供給装置

    P-3

    ⑤バスケットはゆっくりと装置に入れ、ゆっくりと取り出す。

  •  冷却コイル部(フリーボードと呼びます)でバスケットを静止させ、 汲み出し量を低減する。 ワークの並べ方を工夫し、出来る限り液切りの良い入れ方にする。

    ⑥装置からの液漏れ対策 ・水分分離器からの液漏れなどの低減・・・バルブの締め忘れなど ・ドレインバルブの故障、配管部品からの漏れ、等の装置トラブル  による漏れの回避

    水分分離器 メンテナンスエリア

    ⑦洗浄時間、洗浄作業の見直しを行い、装置の運転時間の短縮、 効率アップを検討する。

    ⑧洗浄液の保管状態に問題がないか確認する。 容器の蓋は完全に閉まっているか。 容器に腐食などの異常はないか。 容器の設置場所は適性か・・・・メーカーの指示に従う。

    P-4

    6-2排気方式の変更

  • ・側方式フードから囲い式フードに変更し、洗浄槽から吸い出される 溶剤ガス量を低減する。・適正な排気方法の検討

    側方吸引式排気 囲い式フード要求制御風速 0.5m/sec 要求制御風速 0.4m/sec

       排気  (開口部)

     こまめに蓋をする

         排気

    吸い出しは少ない

    風速は有機溶剤中毒予防規則による

    6-3溶剤回収装置の設置

    排気

    回収液はリターン

    6-4洗浄剤の変更    

    ①炭化水素系洗浄剤 現在最も多く使用されている。 引火性を除けば、リーズナブルな液体。装置のイニシャルコストは高目。 安全性を含めて密閉化された装置が多く、消費量は少ない。揮発性は低い。②フッ素系溶剤 低KB値(脱脂能が低い) 脱脂力とコストに難点がある③水系洗浄剤・湯洗・水洗 装置コストを含めて色々と難点がある。④その他各種の溶液があるが、決め手に欠ける。

    6-5密閉型洗浄システム等への転換 密閉型と呼ばれる低消耗型の洗浄装置が開発されているので、それらへの転換。 処理タクトは長くなる傾向ではある。

    6-6無洗浄化 気化性能の良いプレスオイルを使用するなどして、洗浄工程そのものを廃止する。

    P-5

    終わりに

     ※回収装置は各種市販されている

    溶剤回収装置

       蓋が無いと吸い出し増加 ワーク出し入れ

  • 前出の様にトリクロールエチレン、メチレンクロライド等の塩素系洗浄剤は

     ①安価、②高脱脂力、③速乾性、④非引火性、

    等の特筆すべき能力があり、

    特にコスト面及び洗浄性能の優位性から根強い需要があります。

    液コスト・装置コストで他の洗浄剤への切り替えに二の足を踏んでおられるユーザーは多いと考えます。

    上記事項を参考とされ、使用量の削減とより良い洗浄工程を選択される事を望んで止みません。

    JICC日本産業洗浄協議会は洗浄装置・洗浄剤に関する技術の収集や普及活動等を行っております。

    洗浄装置や洗浄剤の事でお困りの事があれば、当協議会のホームページから「洗浄相談」の項を

    ご参照いただき、お気軽に質問や相談をお寄せ下さい。

    http//www.jicc.org/

    ご静聴感謝致します

    P-6

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD.1

    工業塗装における部品塗装のVOC排出削減に役立つ

    現場の改善~現場で役立つ塗装機器洗浄時のシンナー削減、ゴミブツ対策~

    2016年2月12日(金):栃木会場2016年3月4日(金):神奈川会場

    国際工業塗装高度化推進会議 環境技術分科会会長(有)久保井塗装工業所 窪井 要

    関東経済産業局主催平成27年度VOC排出抑制セミナー

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 2

    今日伝えたいこと

    工業製品の表面に塗料を用いて塗膜を形

    成することを言う

    その塗膜は金属やプラスチックのサビや劣化

    を防ぎ、保護し、製品の耐久性向上とともに

    美観や機能を付与する

    工業塗装が存在しなければ、日本の基幹

    となる自動車産業や家電産業も存在しない

    程重要な技術である

    はじめに「工業塗装とは」

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 3

    今日伝えたいこと

    しかし一方で、塗装の材料である塗料は

    石油を主原料とする資源である。また別の

    側面では、地球環境に負荷を与える化学

    物質であることを意識しなければならない

    そこでわれわれ工業塗装に携わる技術者

    は、それらの資源を無駄なく長く使えるように

    しなければならない

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 4

    伝えたいコト

    1.自己紹介~はじめに

    2.VOCとはなんぞや(発生のメカニズム)

    3.なぜVOC削減すべきなのか

    4.今すぐできるVOC削減方法

    5.むすびに

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 5

    伝えたいコト

    1.自己(IPCO)紹介~はじめに

    2.VOCとはなんぞや(発生のメカニズム)

    3.なぜVOC削減すべきなのか

    4.今すぐできるVOC削減方法

    5.むすびに

  • 1.自己紹介・私は・・・ 窪井 要 (代表取締役)

    ・会社名:有限会社久保井塗装工業所

    ・所 在:埼玉県狭山市中新田1083-3

    ・設 立:1965年(創業:1958年)

    ・事業内容:工業塗装全般(プラスチック・金属)

    自動車内外装プラスチック部品塗装

    プラスチック弱電製品・医療器塗装

    試作塗装 店舗内外装部品塗装

    量産品の塗装(UV/レーザーマーカー/電鋳マスク塗装ほか)

    金型製作 成形加工 アッセンブリ加工

    ・業界団体:国際工業塗装高度化推進会議(IPCO)環境技術分科会 会長

    日本塗装技術協会 理事

    東京工業塗装協同組合 副理事長

    川越狭山工業会 幹事

    狭山若手経営者研究会 塾長

    設立50年の実績

    6KUBOI COATING WORKS CO.,LTD.

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 7

    国際工業塗装高度化推進会議とは

    名 称:国際工業塗装高度化推進会議

    理 念:地球環境の保全と共生工業塗装と日本のものづくりの明るい未来を目指す

    略 称:国際塗装会議

    英語名:IPCO(International Promoting Council of Industrial Coating)

    分科会:環境技術分科会(セミナー開催など主な活動を行っている)

    安全対策分科会(今夏、東京都VOC対策セミナーで講演を担当)

    所在地:東京都新宿区矢来町3番地(塗料報知新聞社内)

    設 立:2013年9月

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 8

    IPCOを推進するメンバー

    議 長:木下 真生:日本塗装機械工業会(CEMA)会長

    副議長:渡邊 忠彦:日本パウダーコーティング協同組合(JAPCA)理事長

    副議長:窪井 要:日本塗装技術協会(JCOT)理事

    相談役:福田良介:JAPCA専務理事

    代表幹事:平野 克己:CEMA専務理事

    幹 事:窪井 要(兼任)

    幹 事:内山 貴識:CEMA理事

    幹 事:高橋 大:JAPCA幹事

    幹 事:魚谷 英美(アースクリーンテクノ)

    幹 事:石井信行(大塚刷毛製造株式会社)

    幹 事:稲田建(株式会社花菱塗装技研工業)

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 9

    IPCOを推進するメンバー

    幹事(事務局長):有馬 弘純(塗料報知新聞社)

    アドバイザー: 木下 稔夫(東京都産業技術研究センター)

    坂井 秀也(坂井技術士事務所)

    藤井 俊治(三菱テクノリサーチ)

    田村 吉宣(元いすゞ自動車)

    片山 眞司(ランズバーグ・インダストリー:ビジネスコンサルタント)

    奴間 伸茂(高分子学会フェロー)

    行 政 : 関東経済産業局、東京都環境局、埼玉県環境部

    学 校 : 東京大学、明治大学等数々の大学

    産業界 : 塗装関連企業

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 10

    IPCOのしてきたこと

    日本塗装機械工業会・CEMAと工業塗装業者の組合という縦割りの組織に横串が刺さり、それぞれの強みを生かして行動を開始

    《これまでの活動実績についての説明》

    1. 2007年よりVOC削減方法の考案と、実施・検証、セミナーを開催し啓発

    2. 2009年より「サポイン21部会」を立ち上げ、経産省の指定する、「中小企業の高度基盤技術」に「塗装技術」を指定してもらうための行動開始

    3. 2010年、「1.」を続けた結果、環境省より「平成22年度揮発性有機化合物(VOC)対策功労賞」と「平成22年度大気汚染防止推進月間表彰」を受賞

    4. 2012年4月16日、「塗装技術」が高度な基盤技術に指定されたことが官報に掲載された。このことにより、「塗装技術」の高度化に関わる研究開発に対し、国から支援されるこことなった

    5. 2013年9月、現在までの実績を棚に上げ、IPCOとして次のステージへ!

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 11

    はじめに~工業塗装に携わるものとして

    工業塗装に携わるものとして、次の世代に

    出来るだけ良いコンディションの「地球」をバ

    トンタッチすることが、今を生きる者の責務で

    あると考え、「工業塗装のあるべき姿」を目

    指し行動する

    「地球は一つです」

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 12

    伝えたいコト

    1.自己(IPCO)紹介~はじめに

    2.VOCとはなんぞや(発生のメカニズム)

    3.なぜVOC削減すべきなのか

    4.今すぐできるVOC削減方法

    5.むすびに

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 13

    2. VOCとはなんぞや

    塗料、インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、

    シンナーなどに含まれるトルエン、キシレン、

    酢酸エチルなど「有機溶剤」をさす

    スプレー塗装の場合、塗装可能な塗料

    粘度に調整するため必要不可欠

    VOC=揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 14

    2-1.VOCの発生源

    分類上、塗装は全体の32%と一番多い

    排出量の発生源別割合(平成12年)

    出典:環境省(平成19年3月)

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 15

    2-1.VOCの発生源

    出所:環境省 平成24年度VOC排出インベントリ検討会報告書より

    排出量の発生源別割合(平成23年)

    平成12年の排出総量から46%削減されたしかし分類上、塗装は全体の37%と一番多い

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 16

    2-2.塗装におけるVOC発生のメカニズム(塗装工程)

    資料提供:都立産業技術研究所 木下稔夫氏

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 17

    2-3.塗装におけるVOC発生のメカニズム(工場全体)

    資料提供:都立産業技術研究所 木下稔夫氏

    塗装工程

    セッティング工程 乾燥工程塗装工程

    塗装ブース

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 18

    本日、伝えたいコト

    1.自己(IPCO)紹介~はじめに

    2.VOCとはなんぞや(発生のメカニズム)

    3.なぜVOC削減すべきなのか

    4.今すぐできるVOC削減方法

    5.むすびに

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 19

    3. なぜVOC削減すべきなのか

    経済産業省では、「VOCが大気中に出て行くとNOXとともに太陽光を受けて光化学オキシダントを生成します。光化学オキシダントは、目や喉への刺激等の人的被害だけでなく、農作物等の植物被害も引き起こします。VOCは他に浮遊粒子状物質(SPM)、微小粒子状物質(PM2.5)の生成原因にもなる」と言っています

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD.20

    ●石油枯渇問題

    (あと50年で採算採掘終了!?)

    ●気象変動に関する政府間パネル(IPCC)

    第5次統合報告書

    (気候システムに対する人間の影響は明瞭、

    地球が許容できるCO2はあと30年分)

    ・・・などなど

    3-1.地球環境についての最新トピックス

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 21

    3-2.労働安全衛生目線で見るVOC

    有機溶剤中毒

    ≪急性中毒≫高濃度の蒸気を吸うと頭痛、めまい、吐き気場合によっては中毒死

    ≪慢性中毒≫有機溶剤蒸気を吸い肺から体内へ触れることで皮膚から体内へ入り、血液に入り込み全身に回り脳や神経に結合蓄積されやすく精神・神経障害を発症したり、皮膚炎、粘膜炎、上気道炎に(大阪の胆管癌問題は有名)

    ※局所排気装置を設け、吸わないこと!!出典:東京労働安全衛生センターHP

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 22

    3-3.火災予防(溶剤塗装火災の成立条件)

    「第4類危険物 」≒ 「引火性液体 」 (≒溶剤≒VOC) である溶剤塗装に火災はつきもの。 安心・慢心は禁物

    酸素

    可燃物(危険物)

    点火源(火種)

    燃焼火災

    溶剤塗装は可燃物である危険物第4類を扱っており、火種があれば燃焼する消火出来ずに延焼すれば火災になる

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 23

    本日、伝えたいコト

    1.自己(IPCO)紹介~はじめに

    2.VOCとはなんぞや(発生のメカニズム)

    3.なぜVOC削減すべきなのか

    4.今すぐできるVOC削減方法

    5.むすびに

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 24

    4-1. 溶剤洗浄オケにフタをする

    作業後作業中

    50ppm以上 10ppm

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 25

    4-1. 溶剤洗浄オケにフタをする

    作業中は解放 作業終了時はフタをする

    もちろん作業台は金属でありアースをきちんと取ること

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 26

    4-1. 溶剤洗浄オケにフタをする

    徹底的にフタをする! フタをし忘れないための工夫も重要洗浄用容器にフタを付けてしまうこともその方法

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 27

    6月1日 化学物質のリスクアセスメントの義務化

    化学物質による健康被害が問題となった胆管ガン事案の発生や、精神障害を原因とする労災認定件数の増加など、最近の社会情勢の変化や労働災害の動向に即応し、労働者の安全と健康の確保対策を一層充実するための改正

    一定の危険性・有害性が認識されている化学物質による危険性または有害性の調査(リスクアセスメント)の実施を事業者の義務とする

    出典:厚生労働省HP

  • 塗装に用いられた塗料の固形分質量と被塗物に塗着した塗料の固形分質量との比を百分率で示すもの。

    塗装ブースへ

    塗着しなかった塗料(廃棄物)

    塗料の噴出

    塗着効率(%)=スプレーガンから噴出した塗料の固形分質量

    被塗物に塗着した塗料の固形分質量×100

    28

    4-2. 塗着効率を上げる

    KUBOI COATING WORKS CO.,LTD.

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 29

    4-2. 吹き付け角度による塗着率の変化

    吹き付け角度90°

    塗着効率43%

    光沢度(Gs)94%

    膜厚(μm)23

    吹き付け角度約60° 約45°塗着効率

    36% 26%光沢度(Gs)

    90% 37%膜厚(μm)20 16

    使用塗料:メラミン樹脂塗料 (20秒NK-2)

    被塗物 :アルミ板 (30×40cm) ノズル口径: 1.3mm

    吹き付け圧力: 0.25MPa重力式 垂直距離:約 20cm

    出典:東京工業塗装協同組合、東京都立産業技術研究センター

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 30

    4-2.塗着効率向上のため静電塗装化

    塗装:20μ塗装比重1.2

    使用塗料m2当り20×1.2÷0.4

    =60g

    使用塗料m2当り20×1.2÷0.5

    =48g

    差12g元の塗料の20%削減

    塗料代:72万円/年減(塗料購入30万/月とした場合)

    あまったお金で

    静電ガンが買える

    40%の手吹ガン→50%の静電ガン

  • 31KUBOI COATING WORKS CO.,LTD.

    100

    100

    100

    100

    100

    100

    100

    100

    100

    900

    400

    233

    150

    100

    67

    1000

    500

    333

    250

    200

    167

    143

    125

    111

    100

    100

    0 500 1000 1500 2000

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    塗着効率(%)

    塗料使用量

    塗着した固形分(塗膜)

    飛散した固形分(廃棄物)

    有機溶剤 (VOC成分)

    塗料不揮発分 50%

    *塗着した固形分量(塗膜)を100と仮定した。

    11

    25

    43

    0

    50%減

    34%減

    24%減

    20%減

    15%減

    14%減

    4-2.塗着効率の違いによる塗料使用量と成分量の関係

  • 32

    4-2.塗装技術を最適化して塗着効率アップ=VOC削減

    KUBOI COATING WORKS CO.,LTD.

    被塗物に塗装されない塗料・シンナーが多い

    被塗物に塗装されない塗料・シンナーは少ない

    VOC60%削減

  • 33

    4-2. 削減効果の最大化

    KUBOI COATING WORKS CO.,LTD.

    塗着効率20%塗料固形分50%

    塗料使用量

    VOC量

    廃棄物量

    塗着効率60%塗料固形分50%

    334

    167

    67

    1000

    500

    400

    666(-66%)

    333(-67%)

    333(-83%)

    塗着した固形分量(塗膜)を100と仮定した場合

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 34

    4-3. シンナー噴霧時のVOC排出濃度

    塗装時に比べ3倍 霧化エア=0(ゼロ)でVOC排出激減

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 35

    4-3. ホースの短縮

    簡単な改善 タンク位置変更ホース長さ短縮

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 36

    4-3. ガン・ホース・ポンプの洗浄

    ウレタンホース

    Φ8-6mm

    テフロンホース

    Φ8-6mm

    テフロンホース

    Φ6-4mm

    6,000円/20m 11,500円/20m 8,600円/20m

    従来品(長さの最適化で改善)

    ホース種類対策品(長さ・種類の最適化)

    ホース太さ対策品(長さ・種類・太さの最適化)

    工業塗装高度化協議会・環境技術分科会 資料

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 37

    4-3. 洗浄の見直しによるVOC削減

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    小径化

    テフロンに変更

    ホース短縮

    ブースに廃棄

    80%削減可

    シンナー使用量 g/1回

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 38

    4-4. スプレーガンを変えてみる

    工塗着型のスプレーガンを使用することで、塗着効率が向上し、VOC排出量を抑制できます

    ※カップガンを使う塗装量が少ない場合や色替えが頻繁な場合は、カップガンを使うと効率的です。塗料タンクからホースを使って供給する方法に比べ、残る塗料量や洗浄に使う溶剤が少なくて済みます

    手工具であるスプレーガンは手に馴染んだモノを使い続けたいと思うのは人の常ですしかし、最新のスプレーガンは塗着効率を追求し、省エネだけでなく仕上がりの美しさも評価に値します。勇気を出して、最新モデルを使ってみましょう!次の世代のためにも

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 39

    4-5. ゴミ・ブツ不良を削減する

    不良品が発生すると、必要な製品数を得るために、再塗装や新規素材への塗装をしなければなりません

    塗装回数が増えることはVOC発生と同意語です

    塗装不良を削減し、VOC発生を抑制することが、会社に利益をもたらします

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 40

    4-5. ゴミ・ブツ不良を削減する

    ある塗装メーカーの例

    [問題1]作業開始時より、時間を追うごとにゴミブツ不良の発生が増える

    ●霧化圧が高く吐出量が多いため塗装室の環境が時間を追って悪くなっていた。0.4㎫でガン距離40センチ、吐出量もかなり多い

    ●塗装開始2時間後、塗装室を測定した時パーティクルカウンターの数値がすぐに200万その後300万を超えたところで測定機に支障が出るため測定をやめた。6時間連続塗装時、推論では500万を超えたのではないかと言うことであった

    ●結論として、塗装すること自体で塗装室の環境を悪化させ、ゴミ・ブツ不良を発生させていることが確認できた。スプレーガン操作を最適化することで問題解決できる

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 41

    4-5. ゴミ・ブツ不良を削減する

    意外かもしれません

    が、白バイのツール

    ボックスは、まさに「ツ

    ルツルの平滑さ」と「ピカピカの艶」を要求される、極めて

    高い“塗膜の美しさ”を要求される製品です

    ゴミブツ対策の事例です!

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 42

    4-5. ゴミ・ブツ不良を削減する

    この製品のサイズと要求品質なら、従来であれば当社では下記のよう

    な製造工程を設計します。事実、受注当初においてはその工程で製

    造しておりました

    IPAワイプ

    塗装 乾燥 磨き

    ※ワイプ工程では、クロスにIPA(イソプロピルアルコール)を浸し、除電エアブ

    ローガンで静電気を除去しながら、ゴミや塵や油分を拭き取ります

    磨きを

    標準工程とする

    塗装品の

    約80%に磨き必要

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 43

    4-5. ゴミ・ブツ不良を削減する

    従来工程を見直し、作業効率を上げるための工夫としてワイプ溶剤を

    エレクリーナーに換えることと、ワイプ工程の最後と塗装工程の直前にエ

    レクリーナーセットのワイパーを使うことにしました

    除電・ゴミ払い エレクリーナーワイプ ワイパー 確認

    新 新

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 44

    4-5. ゴミ・ブツ不良を削減する

    ワイプ工程に「エレクリーナー」と「ワイパー」を採用したところ、下記のよう

    に工程が簡略化され、磨き工程を“修正”扱いにすることができました

    エレクリーナーワイプ

    塗装 乾燥

    ※ワイプ工程では、エレクリーナーを専用クロス(セット)に浸し、除電エアブローガン

    と専用ワイパー(セット)でゴミや塵や油分を拭き取ります

    磨きを

    修正工程とする

    塗装品の

    約95%が磨き不要

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 45

    本日、伝えたいコト

    1.自己(IPCO)紹介~はじめに

    2.VOCとはなんぞや(発生のメカニズム)

    3.なぜVOC削減すべきなのか

    4.今すぐできるVOC削減方法

    5.むすびに

  • KUBOI COATING WORKS CO.,LTD. 46

    5. むすびに

    VOCを削減しなければならない理由が

    明らかになり削減する方法が分かれば、

    削減に取り組まない手はありません

    一人ひとりの行動が、世界を変える可能

    性を持っています

    さあ、勇気を出して一歩前へ!全ては

    会社の利益と、次の世代のために

  • 日本のものづくりと工業塗装の明るい未来のために

    ご清聴を感謝いたします

    47KUBOI COATING WORKS CO.,LTD.

    1 神奈川県 VOC排出抑制セミナー(動画なし)2 VOCセミナー20160304有機溶剤取扱い職場の健康障害防止対策(山田)3 梅木氏 2016.02.12 03.04 VOC削減セミナー4 当日用・関東経済産業局VOCセミナー3月4日神奈川