神経学的検査法...2010/02/04  · lmnサイン⇒反射は低下または消失...

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2010/2/24 1 解剖と機能で読み解く! 神経学的検査法 KyotoAR 植村 隆司 神経系の特徴 骨に囲まれて「隠れた」場所に守られている ⇒機能は常に表に現れている ⇒機能的な検査は行いやすい側面 神経学的検査法 構造と機能の特異性 ⇒異常を示している機能から病変を特定 神経学的検査法 負荷を加えると顕在化する 階段という負荷 仰向けという負荷 神経学的検査の目的 神経病なの? 病変はどこ? 障害の程度は? 神経学的検査に必要な道具 神経学的検査の限界 判断が主観的 結果の判断に経験を要する (亢進?低下?) 有用な情報を与えてくれるが正常範囲が広い 年齢、犬種、性格によって左右される ⇒実践あるのみだが、、、 ビデオに記録しましょう

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Page 1: 神経学的検査法...2010/02/04  · LMNサイン⇒反射は低下または消失 •頚膨大と腰膨大の病変ではLMN •前肢と後肢の脊髄反射の様子から病変の局

2010/2/24

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解剖と機能で読み解く!

神経学的検査法

KyotoAR 植村 隆司

神経系の特徴

• 骨に囲まれて「隠れた」場所に守られている

⇒機能は常に表に現れている

⇒機能的な検査は行いやすい側面

⇒神経学的検査法

• 構造と機能の特異性

⇒異常を示している機能から病変を特定

⇒神経学的検査法

負荷を加えると顕在化する

階段という負荷 仰向けという負荷

神経学的検査の目的

• 神経病なの?

• 病変はどこ?

• 障害の程度は?

神経学的検査に必要な道具 神経学的検査の限界

• 判断が主観的

• 結果の判断に経験を要する

(亢進?低下?)

• 有用な情報を与えてくれるが正常範囲が広い

• 年齢、犬種、性格によって左右される

⇒実践あるのみだが、、、

⇒ビデオに記録しましょう

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お勧めセッティング

• 静かな部屋(他の動物の声)

• ある程度の広さ

• 滑りにくい床、診察台

• 暗くできる部屋

• 診察台の高さ

神経機能解剖学(全体像)

神経学的検査 各検査の目的

神経学的異常の有無・姿勢反応

病変の存在部位・脊髄反射・脳神経の検査

姿勢反応 CPの経路

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姿勢反応のまとめ

• 長~~い経路を検査

• 神経系の異常 Yes or No 局在

• 歩様の観察では捉えにくい微かな異常や左右差を検出できる

• 脊髄障害の敏感な指標

(最初に失われ、最後に戻ってくる機能)

• 整形外科的な原因ではCPは変化しない

• 動物を横臥させなくても実施可能なので、動物も協力的で手技が容易

脊髄反射の仕組み

脊髄反射

• 信頼できる反射

前肢 ⇒ 屈曲反射、橈側手根伸筋反射

後肢 ⇒ 屈曲反射、膝蓋腱反射、前脛骨筋反射

• 誘発しにくい反射

前肢 ⇒ 二頭筋、三頭筋反射

後肢 ⇒ 腓腹筋反射

⇒誘発しにくい反射 低下?/誘発されず?

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UNMサインとLMNサイン

脊髄反射のまとめ

• 短い経路を検査

• 神経系の異常 局在の情報

• 末梢神経(LMN) or 中枢神経(UMN)

UMNサイン⇒反射は正常または亢進

LMNサイン⇒反射は低下または消失

• 頚膨大と腰膨大の病変では LMN

• 前肢と後肢の脊髄反射の様子から病変の局在を推察

症例

• ミニチュア・シュナウザー

• ♂、5歳齢

• 左後肢の不全麻痺から急性に四肢不全麻痺となった。症状に左右差があり、左前後肢はほぼ完全麻痺であった。

• 左眼にホルネル兆候が見られた

病変はどこでしょう?

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脊髄梗塞

(L)

ホルネル症候群の解剖学