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現代社会のすがた 変化の激しい社会にあっては、その変化に主体的に対応する必要があります。平成7年の生涯学習推進指針の策定から16年が経ちました。その間、社会は変容を続け、情報・消費社会の成熟と共に、国際化・グローバル化、少子高齢化が進んでいます。また、台東区にあっては、行政組織の改変、教育機関をはじめ各種機関の設置、各種計画の策定および改定などにより社会の変動に対応してきました。 しかし、現代社会は次に述べるような多くの課題を抱えており、将来に向けてこれらの課題を解決することが私たちに求められています。
第 章2
つながりと交流の生涯学習へ
高度情報社会はICT(情報通信技術)の発達を促し、日常生活に欠かせないほどにパーソナルコンピューターや携帯電話が普及しています。これにともない、インターネットと電子メールを通じて、世界中から多種多様で大量の情報を集め、匿名の他者とのコミュニケーションをとることが容易になりました。 本区におけるインターネット利用は、この10年間で37%から76%に増加すると
ともに、メールやネットショッピング利用者も20%から57%に増加しています。
(資料3 参照) しかし、他方で個人情報の流出問題や、インターネットを介してのいじめや誹謗中傷などの問題が、大人だけではなく、子どもや若者たちの間でも起っています。そのため、私たちには情報を見極め、選択し、安全に活用していく力(メディア・リテラシー)が求められています。
高度情報社会の浸透
つながりと交流の生涯学習へ
現代社会のすがた
第
章2
1
2 現代社会のすがた
区民のインターネット利用状況
平成12年
平成 21年
資料3 台東区の情報化に関する区民アンケート調査
利用している
今後利用したい/今後利用予定
近々利用予定
利用するつもりはない
無回答出所:台東区「台東区の情報化に関する区民アンケート調査」
75.9
37.2 31.0 16.3 8.57.0
7.2
1.1
200(%) 40 60 80 100
2.9
12.9
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つながりと交流の生涯学習へ
社会の高度情報化や国際化は世界との距離を縮め、グローバル化を推し進め、また、国際化はさまざまな国や地域からの移住者や観光客の増加をもたらし、とくに在住外国人の本人と家族へのさまざまな支援も課題となっています。現在、本区における外国人登録人口は約12,840人87カ国・地域(平成23年2月1日現在)にわたっています。これらは地域社会の多文化化を
意味し、多文化共生に向けたさまざまな取り組みが必須の課題となっています。 他方、地域に密着した経済活動もまた、グローバル経済の波に巻き込まれ、地場産業の維持と発展、伝統的な職人文化の継承と発展、商店街の活性化も課題となっています。
国際化・グローバル化社会の進行2
2 現代社会のすがた
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都市化の進行によって、多くの人が集まる都市文化が形成されました。人々の居住空間に変化が現れ、生活時間も多様化し、利便性や効率性を中心とした生活スタイルを好む新たな住民層が生まれています。人の移動や物の流通が活性化する一方で、人々の生活や関心は地域社会から離脱し、地域活動から離れる傾向が見られています。 また、個人志向の高まりや匿名性を重視
する風潮が、生活空間の過密性の高い都会に居ながらも孤独感を感じさせたり、地域社会の人間関係の希薄化を加速させています。 現代の都市は、地縁ネットワークの縮小や地域の伝統・文化の継承と発展、地域ぐるみの子育て支援、次世代の定住と人口の維持の難しさといった課題に直面しています。
現代社会のすがた
第
章2
地域社会の変容3
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昭和30年代の下谷神社界隈 現在の千束一丁目界隈(言問通り)
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つながりと交流の生涯学習へ
今世紀の課題はなんといっても環境問題だといわれています。私たちの日々の暮らしは、便利さを追求するあまり、資源やエネルギーを大量に消費してきました。その結果、自然環境の喪失、異常気象の頻発、大気汚染など、さまざまな環境問題が起きています。 今日の環境問題は、一部地域の課題ではなく地球規模の課題となっています。地球温暖化の危機を回避するためには、低炭素社会の実現が不可欠です。限りある資源を
有効に活用するためには、循環型社会の実現に向けた取り組みが必要です。 都心部で深刻化するヒートアイランド現象は、熱帯夜の増加や熱中症の増加、生態系への影響などさまざまな問題を引き起こしています。 これらの問題を解決するには一人ひとりの環境配慮の実践が必要です。そのためには環境問題を正しく認識することです。環境問題の学習・実践が欠かせません。
環境問題4
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消費社会の成熟に伴い、生産・消費活動においては、これまでの大量生産大量消費型から、消費者の個性と多様なニーズに応える多品種少量消費型へと移行しています。こうした生産・消費活動の変容は、個人の生き方の選択幅を拡大させ、自己選択・自己決定的行動の拡大を促しています。 また、このような選択的行動の拡大と社会の多文化化が重なりあい、価値の多元化・多様化をもたらしています。 これによって、物質的な豊かさから自分らしさや個性を重視し、みずからの生きがいの創造に重点をおいた自己実現志向が、世代を超えて浸透しています。その反面、自己選択した結果に対する自己責任も迫られ
るという状況を生み出しています。 個人の重視は、これまでの地縁・血縁ネットワークを基盤とする伝統的な集団や組織のあり方に加えて、新たな行動様式でのつながりを生み出し始めています。 ボランティア活動や志を同じくする者同士でつながる「志縁ネットワーク」が、NPOの増加とともに新たな社会貢献活動のうねりを作り出しつつあります。ここでの個人は、一つの組織、一つの場所にとどまらず、多様な興味・関心を持ちながら、いくつものコミュニティや個人と、同時進行でつながるところに特徴があり、個人が多様な顔を持ちながら、ネットワークを形成する傾向があります。
現代社会のすがた
第
章2
消費社会の成熟による個人の意識・行動の変容 5
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つながりと交流の生涯学習へ
これまで述べてきた社会と個人の変容に加えて、少子高齢社会が到来しています。子育て期にある成人層が地域社会から離脱することによって、子育てが孤立化しています。 こうした状況は育児ストレスを増幅させ、児童虐待の増加にも結びついています。そのため、地域ぐるみでの子育て支援、親子への支援が求められています。 少子化は一人の子どもに過大の期待がかかりやすく、密室で親子の過度に密着した関係を生み出し、子どもの自立的な行動を妨げたり、子離れを阻むなどの問題をはらんでいます。このような問題の解決には、家庭を社会に開き、社会全体が親と子
どもの育ちを支援し、親と共に子どもたちの成長を喜び合える関係の構築が求められています。 同時に高齢者人口の割合が増大し、高齢社会が到来しています。地縁ネットワークの縮小や、核家族化の進行にともない、一人暮らしの高齢者の孤立化や、介護におけるさまざまな課題も発生し、子育て同様、地域ぐるみでの高齢者支援や介護支援が求められています。 他方、高齢期の人々の社会活動や生きがい志向も高まりを見せており、その活動に地域の生活課題の解決力としての期待が高まっています。
少子高齢社会の到来6
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乳幼児家庭教育学級の様子 シニア男性料理教室の様子
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現代社会のすがた
第
章2
6歳未満親族のいる世帯の構成
高齢者人口の推移と将来推計(外国人登録人口を含む)
東京都
国
資料4 平成22年 台東区次世代育成支援地域行動計画より
資料5 平成21年 第4期台東区高齢者保健福祉計画より
核家族世帯 3世代世帯
総人口 高齢者人口 高齢化率
それ以外の世帯
81.2 18.3
92.1 7.4
0.5
0.5
200(%) 40 60 80 100
台東区 89.4 0.79.8
20.00
21.00
22.00
23.00
24.00
25.00
26.00
27.00
0
20,000
40,000
60,000
80,000
100,000
120,000
140,000
160,000
180,000
200,000(人) (%)
平成
18年
平成
19年
平成
20年
平成
21年
平成
22年
平成
23年
平成
24年
平成
25年
平成
26年
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つながりと交流の生涯学習へ
進む核家族化に加え、兄弟姉妹も少ない小規模な家庭で育つ子どもが増え、子どもが高齢者や異年齢の人々に触れ合う機会の減少が指摘されています。また、親の就労環境や生活時間の多様化が、子どもの食生活をはじめとする生活習慣に大きな影響を与えているともいわれています。住空間の変化や生活様式の広がりは子どもの生活に変化をもたらしています。 さらに、子どもの日常世界にも情報化が強く影響し、インターネットや電子メールを介した間接的コミュニケーションなど、大人には見えない人間関係が急速に拡大
しました。このようなメディアへの依存度の高まりと他者との関わりの間接化によって、心の機微の感受や互いの解釈の幅を許すゆとりが失われてきています。 他方、子どもが安心して遊べる身近な空間が狭まり、外遊びがしにくい環境のなかで、遊びがより屋内化しています。そこに多種多様な電子ゲームが入り込み、子どもは一層仮想空間に取り込まれてきています。これらが、子どもの直接体験の貧困化や人間関係の間接化、コミュニケーションの機能不全に拍車をかけています。
子どもたちの変化7
2 現代社会のすがた
青少年教育(キャンプ)
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