実務に直結! 『相続税申告書の作成ポイント』例2.実は結婚していた 4...
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実務に直結!
『相続税申告書の作成ポイント』
アクタスマネジメントサービス㈱ア ク タ ス 税 理 士 法 人
税理士 中島 朋之
㈱日税ビジネスサービス
平成27年12月9日
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目 次
0.事例紹介
1.相続業務の流れ
2.資料の収集
3.財産の確認・評価の実務上のポイント
4.小規模宅地等の特例
5.遺産分割と相続税シミュレーション
6.申告書の記載方法等の概要
7.税務調査について
本セミナーの内容は現時点で公表されている法令等に基づき作成しております。
また、資料中の計算等については、すべて平成27年1月1日以後の相続開始を前提としておりますので、ご確認の際はご注意ください。
なお、資料の説明の中でより理解をしやすくするために、簡略化した表現や例外的な取り扱いにつき一部省略している部分がございますので、実際の申告等で適用される際には改めてご確認いただきますようお願いいたします。
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■相続関係図
事例1.蒸発した母が生きていた
3
母(亡) 父(亡)
妻 被相続人 弟 3/4 1/4
母 父(亡)
妻 被相続人 弟 2/3 0
1/3
■ポイントと対策 ✔ 相続権のある人を事前に把握
✔ 特定の方に渡したい場合は、遺言や贈与手続きを行う
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■相続関係図
事例2.実は結婚していた
4
■ポイントと対策
✔ 相続権のある人を事前に把握
✔ あくまで被相続人の意思なので仕方ない部分も多い
✔ 情報共有や祭祀承継などは検討
母(亡) 被相続人
娘 息子 1/2 1/2
愛人 母(亡) 被相続人
娘 息子 1/4 1/4
妻
1/2
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■相続関係図
事例3.財産管理をしていた長男が・・・
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■ポイントと対策
✔ 残高証明だけでなく、生前の預金の動きも確認
✔ 亡くなる方は、ある程度の財産のまとめの一覧を準備
母(亡) 被相続人
娘 息子 1/2 1/2
■遺産
□ 不動産
□ 預金 1億円
□ 亡くなる直前の長男
への振り込み 5億円
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■相続関係図
事例4.遺言によって相続人に不利益?
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■ポイントと対策
✔ 税率区分を意識(遺産が大きくなると税率がUP!)
✔ 今回の相続は、1億円に対して770万円の税金(7.7%)
✔ 妻の相続時に大きな税負担が予想される場合は、その分も含めて検討
妻 被相続人
息子 1/2
■遺産
□ 預金 1億円のみ 1/2
■遺言
□ 妻に全財産を相続
■妻の所有財産
□ 財産10億円 ■税金
✔ 今回の相続は、全員で770万円 ⇒ 配偶者の税額軽減により結果0円に
✔ 妻の相続の時には? ⇒ 合計11億円に対して課税 = 約5億超の税金
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■相続関係図
事例5.名義変更していない財産の取り扱い
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■ポイントと対策
✔ 子から見て祖父母の代の相続手続きが終わっていないと子からみて
叔父・叔母や従妹との分割協議を行う必要がある
✔ 自分に相続権があるときは、手続きを先送りにしない!
母(亡) 父(亡)
妻 被相続人
子
兄
■遺産
□ 不動産(まだ父名義)
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1.相続のタイムスケジュール
2.各種期限とポイント
3.業務取組み時にすること
1.相続業務の流れ
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相続の開始(被相続人の死亡)
準確定申告
相続税の申告と納付
4ヶ月以内
10ヶ月以内
相続財産の把握
遺産分割協議 財産評価
相続開始後3ヶ月程度
5~9ヶ月程度 4ヶ月程度
相続放棄・限定承認の申請
遺言書の検認
死亡届の提出
遅滞なく
3ヶ月以内
7日以内
登記名義変更等
相続人の確定
1.相続のタイムスケジュール
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3つの期限の意識
2.各種期限とポイント
財産の概要の把握
① 相続の放棄・限定承認等・・・相続開始日より3か月
② 所得税の準確定申告・・・・・・相続開始日より4か月
③ 相続税の確定申告・・・・・・・・相続開始日より10か月
所得税の準確定申告
過去の申告状況の確認
年金の源泉徴収票など
相続の放棄・限定承認等に必要な財産の把握
相続人の青色申告の申請
納税資金の確認
事業開始日・相続開始日 提出期限既に事業を営んでいるその年1/15以前に事業を開始その年1/16以後に事業を開始
事業開始日より2か月以内
相続開始日が1/1~8/31
相続開始から4か月以内
相続開始日が9/1~10/31
その年の12/31まで
相続開始日が11/1~12/31
翌年2/15まで
青色申告適用年の3/15まで
原則
被相続人の青色申告を相続人が承継
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報酬の提示と業務範囲
3.業務取組み時にすること
スケジュールの説明と期限後になった場合のリスクの説明
必要資料リストの提示
業務契約書の締結
名義預金等の相続税対象財産の範囲等の説明
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1.相続人の確定等
2.戸籍関係書類の添付要件
3.銀行預金
4.有価証券(株式・債券・投資信託)
5.不動産(土地・建物)
6.その他財産
7.保険
8.債務・葬儀費用
2.資料の収集
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戸籍謄本等
1.相続人の確定等
住民票・戸籍の附票
被相続人の出生から死亡まで
⇒ 最終本籍地から順番に追っていく
相続人の死亡の確認(代襲相続等)
相続関係図の作成
相次相続の確認
住所地の確認
過去の住所の変遷
特例における添付要件
印鑑証明書
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2.戸籍関係書類の添付要件①
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2.戸籍関係書類の添付要件②
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残高証明書
3.銀行預金
預金通帳
取引がありそうな金融機関はできる限り取得
通帳がない場合であっても残高が確認可能
あくまで相続開始日現在の残高しかわからない
過去3年分は少なくとも取得(3年内贈与)
相続開始後の動きも確認
古いものはできる限り確認
海外口座は取れるだけとっておく
預金の大きな動きの確認
現金残高の推定
過去の贈与・貸付の有無
他の金融機関の推定
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証券口座の残高証明書
4.有価証券(株式・債券・投資信託)
四半期報告書等
取引がありそうな証券会社はできる限り取得
単元未満株については、その上場株式等を管理している信託銀行の証券代行部で確認(配当通知書等も有効)
銀行預金通帳と同様に四半期報告書等で過去の動きも確認
預け入れや証券会社からの引き出しは要確認
取得価額も要確認
その他
上場株式時価や投資信託の基準価額等は代行サービスや証券会社などから情報収集
目論見書にて投資信託は信託財産留保額の有無等を確認
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不動産共通
5.不動産(土地・建物)
固定資産税の納税通知書(各市区町村)
名寄帳(各市区町村) ⇒ 共有物件も確認可
登記簿謄本(法務局)
権利証
賃貸借契約書(賃貸借している場合)
固定資産税評価証明書
その他
送電線等の有無
高低差の確認 など
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建物
5.不動産(土地・建物)
建物図面(法務局)
建築計画概要書(市区町村・都道府県)
土地
公図(法務局)
地積測量図(法務局)
ブルーマップ(市販書籍)
都市計画図(各市区町村)
路線価図・倍率表(国税庁HP)
道路台帳(道路管理している役所)
開発登録簿(市区町村・都道府県)
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ゴルフ会員権
6.その他財産
会員権の証書
規則等
事業用資産
所得税申告書の数字を確認
減価償却資産も含む
その他
未収入金等・未払金等(預金の動き等から確認)
過去の贈与税の確認
過去の所得税・相続税申告書の確認
※申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営方針) http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/050301/01.htm
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損害保険
7.保険
保険証券
積立金があるかの確認
生命保険金
保険金の払込通知書
保険証券(保険請求時に回収される)
保険商品の内容
生命保険契約に関する権利
生命保険会社等に相続開始日の解約返戻金額を依頼
保険証券等で保険契約者と被保険者を確認
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葬儀費用
8.債務・葬儀費用
各種請求書・領収書
お布施等の領収書がないものは、支払先・金額等のメモ
未払金・未払租税公課
各種請求書・領収書
納税通知書・領収書
借入金
残高証明書
借用書・返済計画書
住宅ローン等の場合の団体信用生命保険の確認
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1.財産確認のアプローチ
2.預金の動きの確認
3.過去の贈与等の確認
4.名義預金
5.不動産の評価
6.株式と投資信託の評価
3.財産の確認・評価の実務上のポイント
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1.財産確認のアプローチ
相続業務の特徴
情報を持っているのは被相続人
遺言やメモが残っていると財産確認はしやすい
相続人は情報を出し渋る?
所有財産を理論的に把握(被相続人の歴史を理解)
過去の勤務・収入の状況
親などからの相続
過去の贈与
生活スタイル
投資の有無
趣味
現場主義
できるだけ自分の目でみて、できるだけ話を聞き出す
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どのような取引があるか?
振込や振替による他口座の把握
現金残高の推定
大きな支出の資金用途
生活費等の推定
過去の贈与の有無
2.預金の動きの確認
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預金の
引き出し
現金収入 現
金
残
高 不明??
贈与
他の資産や口座
生活費
これらがすべてつじつまがあえばOK
2.預金の動きの確認
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預金通帳例
①②④ 他の金融機関の口座の把握・有価証券の有無
③ 過去の所得税の有無
⑤ 不動産の有無や一括・分割納付
⑥ 贈与や貸付
⑦ 手元現金や生活スタイル
日付 摘要 入金 出金 残高
24.10.1 B証券 10,000,000 35,000,000 ①
25.2.8 US●●BANK 3,000,000 38,000,000 ②
25.4.27 シンコクショトクゼイ 800,000 37,200,000 ③
25.5.25 投資信託分配金 50,000 37,250,000 ④
25.5.31 固定資産税 350,000 36,900,000 ⑤
25.8.1 子Aへの振込 2,000,000 34,900,000 ⑥
26.5.31 引出し 2,000,000 32,900,000
26.7.30 引出し 300,000 32,600,000
26.8.30 引出し 300,000 32,300,000
26.9.27 引出し 500,000 31,800,000 ⑦
26.9.28 引出し 500,000 31,300,000
26.9.29 引出し 500,000 30,800,000
26.9.30 引出し 500,000 30,300,000
2.預金の動きの確認
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贈与の成立
贈与とは当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思表示をし、
相手方がこれを受諾することによって成立する契約
民法
⇒ 双方の合意が必要
対外的に立証するために客観的な証拠があった方がよい
贈与契約書(特に預金以外)や未成年の場合はあった方がよい
贈与契約書の注意点
第594条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、 その効力を生ずる。
第595条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りで ない。
・ 印鑑はきちんと本人のものを使う
・ できるだけ自署する
・ 契約書以外に実行日の証拠がないものは確定日付を取得
・ 未成年などの場合は、法定代理人も併せて署名捺印する
3.過去の贈与等の確認
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実質的な所有者で判断
名義人がその預金の存在を知らない
通帳や印鑑の管理を名義人がしていない
預金をしたときに贈与税の申告をしていない
預金の申込み書の筆跡が名義人のものではない
名義預金の可能性あり!
相続税の課税対象になるか検討します
□ 名義人が実質所有者であることを証明できますか?
□ 名義口座の届出住所は被相続人の口座と同一ですか?
□ 名義口座に使用している印鑑は被相続人使用の印鑑と同一ですか?
□ 名義口座の開設届出書、定期預金等の申込み書の筆跡は被相続人のものと同一ですか?
□ 家族名義預金等の開設又は多額の入金をしたとき、被相続人に多額の収入がなかったですか?
□ 資金運用の指示は誰が行っていましたか?
□ 家族名義預金等の形成の過程はどのようなものでしたか?
□ その家族の年齢・職業・収入から考えて妥当な残高ですか?
□ 通帳等の保管は誰がしていましたか?
□ 相続開始直前に預貯金から引き出した現金を把握していますか?
□ 被相続人及び家族名義の口座間取引を確認していますか?
<名義預金チェックポイント>
4.名義預金
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5.不動産の評価
土地の評価の常識
登記簿面積は実面積と異なることあり!
公図はあくまで大まかな場所だけを確認
隣地などもできる限り所有を確認
現場での調査
周りの環境
セットバックや道路利用
利用状況
高低差
役所での調査
建築基準法上の道路種別
入手可能な資料
公図サンプル
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6.株式と投資信託の評価
株式の評価
評価提供サービス等を利用し、比較的簡単に評価可
配当期待権の漏れは注意
投資信託の評価
あくまで基準価額
信託財産留保額の確認
解約請求時の源泉徴収されるべき所得税等(売却益課税)
課税時期の 1口当たりの
基準価額 × 口数 -
課税時期において 解約請求等した場合に 源泉徴収されるべき
所得税の額に相当する金額
-
信託財産留保額 及び
解約手数料 (消費税額に相当
する額を含む)
※財産評価基本通達199(2) 上記(1)以外の証券投資信託の受益証券の場合には、課税時期において解約請求等により、証券会社等から支払いを受けることができる価額として、次の算式により計算した金額によって評価する。この場合において、例えば、1万口当たりの基準価額が公表されているものについては、次の算式の「課税時期の1口当たりの基準価額」を「課税時期の1万口当たりの基準価額」と、「口数」を「口数を1万で除して求めた数」と読み替えて計算した金額とする。
なお、課税時期の基準価額がない場合には、課税時期前の基準価額のうち、課税時期に最も近い日の基準価額を課税時期の基準価額として計算する。
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1.対象不動産と概要
2.小規模宅地等の適用のポイント
4.小規模宅地等の特例
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1.対象不動産と概要
相続開始の直前における宅地等の利用区分 要件 限度面積 減額され
る割合
被相続人等の事
業の用に供され
ていた宅地等
貸付事業以外の事業用の宅地等
特定事業用宅地等に該当する
宅地等 400 80%
貸付事業用の宅
地等
一定の法人に貸し付けられ、
その法人の事業(貸付事業を
除く)用の宅地等
特定同族会社事業用宅地等に
該当する宅地等 400 80%
貸付事業用宅地等に該当する
宅地等 200 50%
一定の法人に貸し付けられ、
その法人の貸付事業用の宅
地等
貸付事業用宅地等に該当する
宅地等 200 50%
被相続人等の貸付事業用の
宅地等
貸付事業用宅地等に該当する
宅地等 200 50%
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
特定居住用宅地等に該当する
宅地等 330 80%
被相続人等の事業用又は居住用等に利用されていた宅地等については、一定の要件を
満たす場合に、評価額の減額の特例が適用できる。
(相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税制度を適用した贈与により取得した宅地等は対象外)
(注) 対象面積の異なる小規模宅地等が混在する場合は、所要の調整を行います。
なお、特定事業用宅地等と特定居住用宅地等は併用可能
①対象面積と減額割合
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②特定居住用宅地等
1.対象不動産と概要
区分 特例の適用要件
取得者 取得者等ごとの要件
被相続人の居住の用に供されていた宅地等
被相続人の配偶者 「取得者ごとの要件」はありません。
被相続人と同居していた親族 相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
被相続人と同居していない親族
①及び②に該当する場合で、かつ、次の③から⑤までの要件を満たす人 ① 被相続人に配偶者がいないこと ② 被相続人に相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族で相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと。 ③ 相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと。 ④ その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 ⑤ 相続開始の時に日本国内に住所を有していること、又は、日本国籍を有していること。
被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に
供されていた宅地等
被相続人の配偶者 「取得者ごとの要件」はありません。
被相続人と生計を一にしていた親族 相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
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③貸付事業用宅地等
④特定事業用宅地等
1.対象不動産と概要
区分 特例の適用要件
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等
事業承継要件 その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること。
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等
事業継続要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること。
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
区分 特例の適用要件
被相続人の事業の用に供されていた宅地等
事業承継要件 その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の
用に供されていた宅地等
事業継続要件 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること。
保有継続要件 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
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2.小規模宅地等の適用のポイント
居住実態の判断
住民票は関係なく実態判断
入院時や老人ホームにいる場合の取り扱い
老人ホームなどに入居していた場合
要介護認定又は要支援認定の有無
一定の施設への入居
遺産分割への影響
特定の相続人の相続税の減額に直結
相続人全員の合意は必須
2次相続の検討
① 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、
特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は、有料老人ホーム
② 介護老人保健施設
③ サービス付き高齢者向け住宅
④ 障害支援区分の認定を受けている場合の障害者支援施設
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2.小規模宅地等の適用のポイント
二世帯住宅の取り扱い
平成26年相続開始より適用要件が緩和
中で行き来可能などの物理的要件から、登記要件に変更
親族
被相続人
二世帯住宅 構造上区分があり、独立して居住している場合
【従来】
登記上同一の建物に居住している場合
【現在】
中で行き来可能であっても、登記上、建物の独立した部分ごとに所有権の目的とすることができる建物(※)に該当している場合は、その登記ごとに同居判定を行う
※ 建物の区分所有等に関する法律第一条の規定に該当する建物
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1.分割協議時における遺産分割のコツ
2.遺産分割の方法
3.遺産分割シミュレーションの考え方
4.相続シミュレーション
5.実務上のポイント
6.未分割における申告
5.遺産分割と相続税シミュレーション
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小規模宅地等の評価減の適用
手続きを意識した分割
その他
財産の共有をどう考えるか?
株式や投資信託などの分割
代償分割の活用
基本は評価減の大きいもの
複数対象物件がある場合、納税額に不公平?
果実を生む資産の早期移転
その後の相続の平等性
名義変更は絶対に先送りしない
配偶者税額軽減の適用と二次相続シミュレーション 今回の相続税だけでなく、二次相続も考慮
二次相続の際の納税資金
高齢の配偶者はどのように考えるか?
1.分割協議時における遺産分割のコツ
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遺産分割の方法
① 現物分割(通常の遺産分割)
② 代償分割
③ 換価分割
現物分割
次女自宅 長男 賃貸マンション 長女 預貯金
それぞれの財産を個別に取得者を決める
2.遺産分割の方法
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代償分割とは(価格賠償)
1人もしくは数人の共同相続人にその者の相続分を越える遺産を現物で取得させ、代わりにその相続人に、相続分に満たない遺産しか取得しない相続人に対する債務を負担させる方法
相続人間の調整がしやすくなる
遺産を処分してその対価を相続人で分配する分割方法
売却時の所得税の課税は注意
長女
次女
相続
長男
長女
次女長男
売却
換価分割とは
2.遺産分割の方法
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【例】
相続人:妻・長男・長女 所有財産:妻と長男が同居している土地・建物1億円
平等な分割 単純に土地・建物を法定相続分で按分?
そもそも土地・建物は本当に1億円?
不動産の共有 長女は実際に何も果実がないのに、固定資産税等は支払い?
長男・長女の相続の時は?
代償分割の検討 長男は自宅の一部を買ったと考える
価格は平等か?
不動産の分筆 単有化したい場合は分筆を検討
分筆後に価値が出るか?
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2.遺産分割の方法
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税金を考えたシミュレーションの基本 今回の税額と将来の税額との比較
配偶者の税額軽減をどのように使うか
小規模宅地等の特例が今回は使えるか?次回は使えるか?
財産の一覧とシミュレーション表
配偶者の税額軽減 配偶者が相続すれば大幅に減額
配偶者の所有財産や今後のライフプランを考慮し、二次相続を検討
その他 シミュレーションはあくまで仮定→何パターンか用意
税制改正リスクはつきもの
小規模宅地等の評価減 今回対象となっても、二次相続では対象になるか?
同居要件や家なき子要件
二次相続の時点で子供たちはどのような居住になっているか?
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3.遺産分割シミュレーションの考え方
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4.相続シミュレーション① ~配偶者の税額軽減~
相続人:妻・長男・長女 分割方針:妻が全部相続予定
相続財産:1億円 妻の所有財産:1億円
<今回の相続> 相続税合計 630万円 → 配偶者税額軽減を使えば、納税ゼロ
<次回の相続(二次相続)> 相続財産合計は2億円?
相続税合計は、3,340万円
<もし今回の相続で妻が取得しなかったら・・> 相続税合計1,400万円(1次:630万円 2次770万円)
<ポイント> 配偶者の生活スタイルや今後のライフプラン
平均余命はどのくらいか?
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4.相続シミュレーション② ~小規模宅地の特例の適用~
<今回の相続> 小規模宅地の特例適用あり → 相続税合計 960万円
配偶者税額軽減を使えば、納税ゼロ
<次回の相続(二次相続)> 相続財産合計は2.1億円? → 再度小規模宅地の特例適用可?
相続税合計は、小規模宅地適用可→1,360万円 適用不可→3,640万円
<もし今回の相続で妻が取得しなかったら・・> 小規模宅地ありの場合 相続税合計960万円(1次のみ960万円)
小規模宅地なしの場合 相続税合計2,700万円(1次のみ2,700万円)
<ポイント> 今後の長女のライフプラン(同居する?)
妻の所有財産が少ない(基礎控除以下)のため、妻への相続も検討
相続人:妻・長男・長女 状況:被相続人と妻、長女が同居
相続財産:自宅土地1億円、預金1億円 妻の所有財産:1千万円
分割方針:妻が全部相続予定
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4.相続シミュレーション③
ポイント
妻の所有財産
相続人のライフプランや生活スタイル
平均余命
遺産分割の平等
子供に多額の財産を渡すことへの不安
今後の相続税対策
税制改正リスク
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5.実務上のポイント
以下のような内容を総合的に考えて検討
不動産の分け方
→ 利用状況、共有状態、売却可能性
有価証券の按分
→ 単元未満株の取り扱い
相続税評価と時価との差異の考慮(平等性・財産価値の移転)
→ 特に有価証券や不動産
手続きの簡便化と代償分割の利用
果実を生む資産の早期移転
現金残高と今後のライフプラン
教育方針
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6.未分割における申告
未分割の場合の相続税の計算方法
分割されていない場合は未分割財産は法定相続分で取得したと仮定して、各人の相続税を計算
未分割財産については、小規模宅地等の特例及び配偶者の税額軽減の特例の適用は受けられない
→ 申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付す ることにより、期限後の分割確定時に更正の請求により適 用を受けて還付を受けることが可
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1.申告書の構成
2.主な別表(第1表・第11表)
3.添付書類
6.申告書の記載方法等の概要
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1.申告書の構成
申告書の構造
法人税や所得税と同様、第1表が総括表
細かい明細は各別表に記載
主な別表 ★ 第1表 相続税の申告書
★ 第2表 相続税の総額の計算書
第4表 相続税額の加算金額の計算書・暦年課税分の贈与税額控除額の計算書
○ 第5表 配偶者の税額軽減額の計算書
第6表 未成年者控除額・障害者控除額の計算書
第7表 相次相続控除額の計算書
○ 第9表 生命保険金などの明細書
第10表 退職手当金などの明細書
★ 第11表 相続税がかかる財産の明細書(相続時精算課税適用財産を除く。)
第11の2表 相続時精算課税適用財産の明細書・相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書
○ 第11・11の2表の付表1 小規模宅地等、特定計画山林又は特定事業用資産についての課税価格の計算明細書
○ 第11・11の2表の付表2の1 小規模宅地等についての課税価格の計算明細(その1)
○ 第11・11の2表の付表2の2 小規模宅地等についての課税価格の計算明細(その2)
○ 第11・11の2表の付表2の3 小規模宅地等についての課税価格の計算明細(その3)
★ 第13表 債務及び葬式費用の明細書
★ 第15表 相続財産の種類別価額表
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1.申告書の構成
申告書記載の順序
* 国税庁「相続税の申告のしかた(平成26年分用)」より
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2.主な別表(第1表)
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2.主な別表(第1表)
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2.主な別表(第1表)
* 国税庁「相続税の申告のしかた(平成27年分用)」より
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2.主な別表(第11表)
* 国税庁「相続税の申告のしかた(平成27年分用)」より
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3.添付書類
添付書類
戸籍謄本、遺言書・遺産分割協議書、印鑑証明書等
(2-2参照)
相続関係図
被相続人の略歴
小規模宅地の特例等に必要な書類(2-2参照)
残高証明書、預金通帳等
不動産の登記簿謄本、路線価図、地積測量図など
固定資産税評価証明書
有価証券の評価明細資料
保険証券や保険金の払込通知書など
未払金や債務、葬儀費用の請求書、領収書等
その他財産・債務の額の確認ができる資料
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1.税務調査概要
2.臨宅調査の流れ
3.税務調査のポイント
4.税務調査事例
7.税務調査について
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調査選定
概要 臨宅調査が必ずある(通常は1日)
任意調査は、税務署の調査と国税局の調査(資料調査課)の2種類
⇒資料調査課の場合は、かなり厳しい調査が予想される
相続開始から2~3年くらいの間に来ることがほとんど
申告に疑義が認められるものから優先的に調査 • 過去の所得税の状況からして申告財産が少ない
• 不動産や保険などの税務署が収集した情報の財産が申告書に未記載
• 財産規模が非常に大きい
• 多額の預金の引き出しがある
• 国外財産がある
1.税務調査概要
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• 歴史(学歴、職歴等)や住所の変遷
• 財産形成の仕方
• 遺言書の有無
• 財産の管理の仕方や管理者
• 病歴や入院履歴、意思疎通の状況や外出の可否
• 金庫、貸金庫の有無 重要な財産の保管場所
• 趣味や生活状況
• 通常の収入や支出の状況や、取引の仕方(現金or振込みなど)
• 過去の大きな収入や支出の内容
• 過去の贈与の有無
被相続人に対するヒアリング
• 歴史(学歴、職歴等)や住所の変遷
• 家族構成やその学歴、職業、住所等
• 取引金融機関
• 過去の贈与の有無
• 持ち家の有無や大きな財産の有無など
相続人に対するヒアリング
午前
2.臨宅調査の流れ
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午後
• 通帳や証券会社の資料、債券等
• 不動産関係の資料
• 契約している保険の資料
• 印鑑の確認
• 金庫や重要な財産の保管場所の確認
現物確認
当日のまとめと宿題事項を残して、その日の調査は終了
貸金庫がある場合には、原則当日に貸金庫に同行して確認
午前のヒアリングの内容と、現物確認に矛盾がある場合の質問
15時~16時頃
後日
宿題事項についての回答と双方の見解の確認
必要に応じて追加での質問もある
メモや日記、手帳なども見られる可能性が高い
2.臨宅調査の流れ
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税務署側の入手資料
• 相続税申告で記載した金融機関の口座の動き(過去10年分)
• 臨宅調査の際にヒアリングした相続人の金融機関の口座の動き
金融機関での独自調査
被相続人の話なのでわからないことはあり
⇒ 本当にわからない状況か?
過去の贈与の真実
⇒ 本当にもらっているが贈与税の申告が漏れてしまった
財産の真の所有者は誰なのか?
⇒ その財産をその名義人は絶対知っているはずだが・・・
不動産に関する情報 海外送金に関する書類
税務署の質問事項と資料との突合、矛盾
保険金の支払い状況
過去の所得税や相続税などの申告書類
3.税務調査のポイント
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ケース① 【税務署の概要聞き取り】
調査官「亡くなる2年前頃からは本人は財産管理ができなかったんですね?」
相続人「はい。私がやってました」
【通帳の現物確認の際】
調査官「この通帳にある1年前の1,000万円の引き出しは何ですか?」
相続人「私の口座ではないのでよくわかりません」
調査官「先ほど財産管理していたと言ってましたよね?」
ケース② 【税務署の概要聞き取り】
調査官「過去に贈与で何か財産とか受け取ってますか?」
相続人「特にないです」
【通帳の現物確認の際】
調査官「8年前の2,000万円のあなたへの振り込みがありますが何ですか?」
相続人「そういえばもらったような気が・・・。でも贈与税時効ですよね?」
4.税務調査事例
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ケース③ 【税務署の概要聞き取り】
調査官「相続人の方に質問します。使っている金融機関教えてください」
相続人「A銀行とB銀行のみです。証券会社はありません」
【通帳の現物確認の際】
調査官「相続人の方の通帳も見せてください」
相続人「はい。B銀行の通帳見せる」
調査官「B銀行の通帳の中に、相続開始前から上場会社の配当金が振り込
まれていますが・・。先ほど証券持ってないと言ってましたよね?」
相続人「・・・」
調査官「そもそもこの通帳、あなたが管理していたんでしょうか?」
4.税務調査事例