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研究者主導未承認薬開発試験の実施および 規制上の諸問題(規制当局の立場から)
第3回がん新薬開発合同シンポジウム
がん新薬開発の新しい潮流: 世界をリードする医療イノベーション実現に向けて
平成25年11月29日
厚生労働省医薬食品局審査管理課
益山 光一
日本再興戦略 -JAPAN is BACK-(平成25年6月14日閣議決定)
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3つの政策
【第一の矢】 デフレマインドを一掃
大胆な金融政策
【第三の矢】 企業や国民の自信を回復し、 「期待」を「行動」へ変える
新たな成長戦略
【第二の矢】 湿った経済を発火
機動的な財政出動
民間の力を引き出す 全員参加による総力戦 新たなフロンティアを創る
(新陳代謝、規制・制度改革、官業解放)
(女性・若者・高齢者を最大限に活かす、世界で活躍する人材の育成)
(技術立国日本の再興、
「メイド・バイ・ジャパン」で復活)
成長への道筋
日本産業再興プラン -産業基盤を強化-
戦略市場創造プラン -課題をバネに新たな市場を創造-
国際展開戦略 -拡大する国際市場を獲得-
「健康寿命」の延伸 クリーンなエネルギー需給 次世代インフラの構築 地域資源で稼ぐ社会(農業等)
3つのプラン
二.戦略市場創造プラン
(2) 個別の社会像と実現に向けた取組
②医療関連産業の活性化により、必要な世界最先端の医療等が受けられる社会
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テーマ1:国民の「健康寿命」の延伸
Ⅰ) 社会像と現状の問題点
がん、難病・希少疾病、感染症、認知症等の克服に必要な我が国発の優れた革新的医療技術の核となる医薬品・医療機器・再生医療製品等を世界に先駆けて開発し、素早い承認を経て導入し、同時に世界に輸出することで、日本の革新的医療技術の更なる発展につながる好循環が形成されている社会を目指す。
しかし、現実には、2011年時点で、医薬品・医療機器合わせて約2兆円の輸出超過である。また、2012年12月における再生医療製品の承認状況を見ると、米国9品目、韓国14品目に対して、日本は2品目にとどまっている。
Ⅱ) 解決の方向性と戦略分野(市場・産業)及び当面の主要施策 ○ 医療分野の研究開発の司令塔機能(「日本版NIH」)の創設 など
製薬企業の開発品目の起源別構成(医薬品産業ビジョン2013資料より)
206 499 526
49 53 45
46 93 90
99 223 247
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
日本企業(400品目) 米国企業(868品目) 欧州企業(908品目)
自社起源 導入品(non-BV) 買収BV起源 導入品(BV)
※ 前臨床から承認までの品目数 ・BV : 創薬ベンチャー ・non-BV : 創薬ベンチャー以外(主として製薬企業) ・自社起源 : 製薬企業が自社で創出した品目であり、買収した企業(BVを除く)及び大学等のアカデミアからの導入品目も含む ・導入品(non-BV) : 創薬ベンチャー以外の企業(主として製薬企業)からの導入品目 ・買収BV起源 : 当該企業が買収したBV起源の品目 ・導入品(BV) : 独立のBV起源の品目(後に他の製薬企業あるいはBVに買収されたBVの品目も含む) 出所:医薬産業政策研究所 リサーチペーパー・シリーズNo.48 「製薬企業とバイオベンチャーとのアライアンス-日米欧製薬企業の比較分析-」(2009年)
作成: 日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所
承認TLO間の整備等によるこれまでの成果(医薬品産業ビジョン2013資料より)
研究者主導での実施の期待される未承認薬とは
海外で承認があって企業が着手していない医薬品
国内で治験中ではあるが治験対象外となった患者への使用
企業が開発を実施していないオーファンや難病等の分野
など
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医師主導治験届出件数推移
2 5
0 1 0 1 5 3
13
5 6
5
14
8
14 6
56
18
0
10
20
30
40
50
60
70
N回治験届出件数
初回治験届出件数
実用化につながる医師主導治験の実施 課題の1つとして
実用化に向けて必要な検討
治験環境の整備
非臨床試験等の基礎研究の結果から、ヒトでの有効性や安全性を予測するための科学的評価方法の確立
基礎研究として実施された試験の薬事法での基準への対応
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検討すべき課題
医薬品に対する法規制 医薬品製造販売指針2012より
GLP GCP
GMP
立入検査・収去試験、行政指導、行政処分(命令)
治験の届出
非臨床試験
臨床試験
<開発段階>
製造管理・品質管理
GQP
<薬事監視>
GVP 品質管理 安全管理
製造販売業の許可
<製造販売段階>
製造販売承認
品質管理・安全管理に関する規制、人的要件
製造管理・品質管理に関する規制
製造業の許可
構造設備規則、人的要件
<
流通段階>
GPSP
再審査
製造販売後調査
再評価
(略)
<使用段階>
日本発の革新的な医薬品・医療機器の創出に向け、有望なシーズを持つ大学・研究機関、ベンチャー企業を主な対象として、開発初期から必要な品質・非臨床試験及び治験に関する指導・助言を実施するものとして、 平成23年7月1日より開始した。
実用化
革新的医薬品・ 医療機器
基礎研究
日本発の 創薬・機器シーズ
非臨床試験
品質試験
薬事戦略相談について(事業の概要等)
以降は、従来の相談で対応
POC試験まで
治 験
相談項目の例
再生医療等に用いる細胞・組織やバイオ医薬品に関する品質・毒性試験法に関する相談
初期段階での評価項目の決定や必要な被験者数に相談
着実な開発に向けては、このような疑問を放置せず、できるだけ早い段階からPMDAと相
談し、確認しておくことが重要である。
薬事戦略相談
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PMDA関西支部の設置について
(概要) 【設置場所】 うめきた・グランフロント大阪ナレッジキャピタルタワーC 9F (大阪市北区大深町3-1) 「薬事戦略相談連携センター」(神戸市内のIMDA:国際医療開発センター内)でも出張による薬事戦略相談を実施。 【設置時期】 平成25年10月1日 【実施業務】 ①薬事戦略相談(個別面談・事前面談。平成25年10月1日開始) ②GMP実地調査(平成26年4月1日開始予定)
出張薬事戦略相談を実施
PMDA
(東京)
PMDA
関西支部(大阪)
薬事戦略相談連携センター(神戸)
報告
創薬支援ネットワーク
連携
指揮監督
産業技術総合研究所
創薬連携研究機関
PMDA
医薬基盤研究所
創薬支援戦略室 PMDA(東京)
PMDA 関西支部
WEB会議システム
(情報共有体制)
理化学研究所
大学、民間研究機関等
相談者の同意を前提に創薬シーズの情報等を共有することにより、優れた創薬シーズを確実に実用化につなげる。
医療機関等 大学等研究機関
○基準、ガイドライン等の早期作成 ↓
○革新的な技術の実用化促進
研究等の成果 革新的技術の習得 ↓
審査等の迅速化・質の向上
人事交流による人材育成の推進
医薬品医療機器 総合機構
審査員の出向(派遣)
研究者の受入
レギュラトリーサイエンスに精通した人材の育成
↓ 適切な研究開発の促進
国立医薬品食品衛生研究所
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革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業
革新的技術を応用した医薬品・医療機器・再生医療製品については、開発時に必要な試験や審査方針がないため、開発段階から必要な試験やガイドラインを作成し、世界に先駆けた日本発の実用化に向けた取り組みが求められている。
そのため、審査員等と研究者が一体となって、実用化が見込まれる革新的医薬品・医療機器・再生医療製品について、有効性と安全性を評価するためのガイドラインの策定等を平成24年度より実施している。 革新的医薬品・医療機器・再生
医療製品の実用化の道筋がつい
ている大学等
【24機関(H25’現在)】
医薬品アクセス制度への対応について
アクセス制度 本格稼働
【事業名】医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬のアクセス充実対策等業務
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬について、患者のアクセスを充実するため、次の事項を要件に、医師主導治験の一類型として、その手続きの簡素化等を図った上で、アクセス制度を創設する。 1 対象薬剤:重篤な疾患であって、代替治療が存在しない等の医療上の必要性の高い未承認薬など 2 対象患者:開発企業が治験中(第Ⅲ相試験)であって、企業治験の選択基準外患者等 3 医療機関:臨床研究中核病院等の高度の治験機能・医療機能を有する医療機関
アクセス制度の概要
平成26年度以降~ 平成25年度 平成24年度
パイロット事業 1年目 (整理すべき課題を検討)
アクセス制度創設の検討・施行準備
本事業の成果を踏まえつつ、 アクセス制度を創設
整理すべき課題例 ① アクセス制度における申請資料のまとめ方 ② アクセス制度における手順書等の作成文書の検討 ③ アクセス制度におけるGCP等への対応のあり方
アクセス充実対策始業(複数年を想定) 本事業実施中核機関を1か所選定し、当該機関を中心に製薬業界、患者団体とも連携しつつ、整理すべき課題を洗い出し、適宜、対策を講じる。
制度施行
平成25年度予算 省令改正、通知発出等の必要な対応を行いつつ、実際にアクセス制度を実施する。
平成27年度以降 1機関で実施
企画競争により 国立がん研究センター を選定
平成24年1月24日 厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会
薬事法等制度改正についてのとりまとめ(アクセス制度抜粋)
Ⅱ 医療上必要性の高い医薬品・医療機器等の迅速な承認等について
(2)医療上必要性が高い未承認医薬品・医療機器へのアクセス
○ 致死的な疾患や日常生活に著しい支障があり、その医薬品・医療機器を使用する以外には治療法がない疾患等に対する、医療上の必要性が高い未承認医薬品・医療機器のうち、国内で治験が行われている医薬品・医療機器に限定して、一定の条件の下、治験の参加基準に外れるなどの理由で治験に参加できない患者に対しても当該医薬品・医療機器にアクセスできるための制度については、本検討部会としては創設すべきと考えるが、実際の導入に当たっては丁寧に議論し進めるべきとの意見が多かった。
○ アクセス制度は、承認取得のための開発を阻害しないことが前提である。
○ アクセス制度の導入に当たっては、以下の点等に関して、治験実施企業等から制度の対象となる薬物等が提供されるとともに、その医薬品の開発を阻害しないこととのバランスを保持した制度を念頭に検討に着手すべきである。
(中略)
○ なお、薬剤、それに伴う手技等の患者負担については過度にならないように配慮する必要があるとの意見があった。アクセス制度における未承認薬については、原則企業からの無償提供ではなく患者負担であるべきとの意見があったが、一方で、すべてを患者が負担することは困難との意見があった。
致死的な疾患や日常生活に著しい支障があり、その医薬品を使用する以外には治療法がない疾患等に対する、医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬のうち、一定の条件の下、治験の参加基準に外れるなどの理由で治験に参加できない患者に対しても当該医薬品にアクセスできる仕組みの導入に筋道をつける
パイロット事業として医師主導治験を実施
医師主導治験の課題を抽出 文書モデルの作成
・法令で義務付けられた各種文書のモデルの作成
例:業務手順書、治験実施計画書、
説明文書 等
省令改正、通知発出等により医師主導治験を実施する上での課題を解決
医療上の必要性の高い未承認医薬品、医療機器へのアクセスの向上
・合理化の可能な規制等の抽出
例:モニタリング、監査等
・実施上の留意点の整備
例:治験薬提供の在り方等
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬のアクセス充実対策の概要
背景
対応
学会
患者会
製薬業界
関係団体との連携
実施医療機関:国立がん研究センター
治験薬の選定基準:未承認の抗がん剤であること、FDA又はEMAで承認を受けていること、国内で検証的な試験を実施中であること 等
患者の選択基準:対象となる抗がん剤について開発企業が実施する検証的な試験における組み入れ基準から、外れた患者 等
・平成25年11月中に薬剤選定し、平成26年3月までに症例の組み入れ開始
・平成26年度に実施する薬剤について、検討開始
まとめ
アカデミア発の新薬シーズに関心の高まる中、
実用化に向けた医師主導治験の着実な実施が重要。そのため、
医師主導治験の実施の円滑化
先端的医薬品の開発に必要な試験や審査方針への対応
患者の未承認薬へのアクセスの向上
等への対応が急務と考えている。
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○医師主導治験実施の円滑化 ←GCP省令改正、薬事戦略相談の充実 ○先端的医薬品の審査への対応 ←先端研究実施機関とPMDAの人事交流、 PMDAでの科学委員会の設置 ○アクセス向上 ←パイロット事業の実施を通じ、医師主導治験の課題を抽出、解決に向けた対応