第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題につ...

43
第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題について 平成31年4月 経済産業省 資料2

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Page 1: 第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題につ …...第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題について 平成31年4月 経済産業省

第四次産業革命に向けた産業構造の現状と課題について

平成31年4月経済産業省

資料2

Page 2: 第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題につ …...第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題について 平成31年4月 経済産業省

1

1.生産性の動向と産業構造の変化

2.産業の新陳代謝

3.既存企業の構造変革

4.イノベーションと高等教育

5.学歴と就労

Page 3: 第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題につ …...第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題について 平成31年4月 経済産業省

2

リーマンショック前の生産性の伸び率

リーマンショック前の2001年から2007年は、米国・英国は高い労働生産性の伸び。

2.11% 2.04%

1.33% 1.36%1.24%

0.99%

-0.01%-0.10%

0.40%

0.90%

1.40%

1.90%

2.40%

米国 英国 ドイツ 日本 フランス カナダ イタリア

時間当たり実質労働生産性の年平均伸び率(2001-07年)

(出所)「OECD.Stat」を基に作成。購買力平価ベース(2010年米国ドル基準)

Page 4: 第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題につ …...第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題について 平成31年4月 経済産業省

0.96% 0.96%0.89%

0.80%

0.52%

0.31%

0.18%

0.00%

0.20%

0.40%

0.60%

0.80%

1.00%

1.20%

日本 カナダ ドイツ フランス 米国 英国 イタリア

3

日本の生産性の「伸び率」は先進国で最高

(出所)「OECD.Stat」を基に作成。購買力平価ベース(2010年米国ドル基準)

2011年から2017年は、日本がG7諸国の中で最も高い労働生産性の伸び率。

時間当たり実質労働生産性の年平均伸び率(2011-17年)

Page 5: 第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題につ …...第四次産業革命に向けた 産業構造の現状と課題について 平成31年4月 経済産業省

4

日本の生産性の「絶対水準」は低い

一方、労働生産性の絶対水準は、日本はG7諸国の中で最下位。

100 94 93

78 76 75

65

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

米国 ドイツ フランス カナダ 英国 イタリア 日本

時間当たり実質労働生産性の対米国比水準(2017年)

(出所)「OECD.Stat」を基に作成。購買力平価ベース(2010年米国ドル基準)

(%)

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5

先進国企業のマークアップ率の推移

米国や欧州企業は、2010年以降、急速にマークアップ率が上昇する一方、日本企業は2010年以降も低水準で推移。

同質的な製品・サービスによるコスト競争ではなく、高付加価値化が課題。

(出所)Diez, Leigh, and Tambunlertchai (2018) “Global Market Power and its Macroeconomic Implications”を基に作成。

米国

欧州

日本

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1980 1990 2000 2010 2020

(注) トムソン・ロイター社の上場企業データベースにおける1980~2016年、46.5万件のデータ(日本企業は8万件、米国企業は13万件)を使用した分析。ここでのマークアップ率は、価格を限界費用で割った数値をいう。なお、マークアップ率は、市場支配力の指標として用いられることが多い。

企業のマークアップ率(倍) 先進国企業のマークアップ率の推移

(年)

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6

米国では、マークアップ率の高い企業が登場

米国では、マークアップ率の低い企業が減少する一方、第四次産業革命などの結果、マークアップ率の高い企業が増加。

米国企業におけるマークアップ率の分布

(出所)Diez Leigh, and Tambunlertchai (2018) “Global Market Power and its Macroeconomic Implications”を基に作成。(注)グラフは、米国企業のマークアップ率の密度関数を示す。

-1980年 -2016年

マークアップ率(倍)

20

15

10

5

0

0 2 4 6 8

マークアップ率が低い企業の減少

マークアップ率が高い企業の増加マークアップ率が著しく高い企業の登場

企業割合(%)

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7

米国以外の先進国でも、同様の傾向

米国を除く先進国においても、企業のマークアップ率の分布は同様の変化。

先進国企業におけるマークアップ率の分布

(出所)Diez, Leigh, and Tambunlertchai (2018) “Global Market Power and its Macroeconomic Implications”を基に作成。(注)グラフは、米国をのぞく先進国32か国(日本を含む)における、マークアップ率の密度関数を示す。

-1980年 -2016年

00

10

20

30

2 4 6 8 10

マークアップ率が低い企業の減少

マークアップ率が高い企業の増加 マークアップ率が著しく高い企業の登場

企業割合(%)

マークアップ率(倍)

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8

マークアップ率と企業の投資行動は逆U字の関係にある

企業のマークアップ率と企業投資は逆U字の関係にあることが指摘されている。 同質的なコスト競争は、企業投資を減退させ、将来的な競争力を落とす可能性。

(出所)Aghion et al. (2005) “Competition and Innovation: an Inverted-U Relation,”Diez, Leigh, and Tambunlertchai (2018) “Global Market Power and its Macroeconomic Implications”を基に作成。

米国における企業のマークアップ率と投資率の関係

(注)グラフは、企業のマークアップ率と企業の投資率(前期資本ストックに占める今期資本支出の割合)の関係を示す。データ期間は1980-2016年。点線は90%信頼区間。

0 2 4 6 8

投資率(%)

0

5

10

15

マークアップ率(倍)

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9

2010年代の米国における成長産業

2010年代の米国の経済成長は、情報・通信業(ICT)がけん引。

各産業における経済成長への貢献度(2010-2016年)

(横軸:実質GDPに占める割合、縦軸:実質付加価値の伸び率)

(出所)OECD Statisticsを基に作成。

建設

卸・小売業

飲食・宿泊業

情報・通信

金融

不動産

医療・社会福祉

社会サービス

(医療・福祉以外)

紙・紙製品

金属製品

その他製造業

機械設備

電気・ガス・熱供給

運輸業

輸送機械

化学・石油・石炭製品

繊維製品

食糧品

鉱業

農業

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10

2010年代の日本における成長産業

(出所)OECD Statisticsを基に作成。

2010年代の日本の経済成長は、情報・通信業ではなく、製造業等がけん引。

各産業における経済成長への貢献度(2010-2016年)(横軸:実質GDPに占める割合、縦軸:実質付加価値の伸び率)

建設

卸・小売業

飲食・宿泊業

情報・通信

金融

不動産

医療・社会福祉

社会サービス

(医療・福祉以外)

紙・紙製品

金属製品

その他製造業

機械設備

電気・ガス・熱供給

運輸業

輸送機械

化学・石油・石炭製品

繊維製品

食糧品

鉱業

農業

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11

1.生産性の動向と産業構造の変化

2.産業の新陳代謝

3.既存企業の構造変革

4.イノベーションと高等教育

5.学歴と就労

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0.5%

0.9%

0.0%

0.1%

0.2%

0.3%

0.4%

0.5%

0.6%

0.7%

0.8%

0.9%

1.0%

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

12

我が国の新規上場は増加傾向

(出所)左図:日本はデロイト・トーマツ「IPO市場の動向」、米国はRitter(2018)「Initial Public Offerings: Updated Statistics 」を基に作成。右図:日本取引所の資料を基に作成。(マザーズ時価総額を東証1部・2部時価総額で除した比率)

我が国の新規上場会社数は、近年増加傾向。 東証1部・2部と比較したマザーズの時価総額の大きさを見ても、近年増加傾向。

市場別新規上場会社数 ベンチャー市場の時価総額(東証1部・2部との対比)(社)

0

50

100

150

200

250

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

米国

日本

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13

事業法人によるスタートアップ企業への投資が拡大

(注) CVCは、事業法人(金融機関を除く。)が設けたベンチャーキャピタルをいう。また、スタートアップ企業は、独自の技術や製品・サービス、ビジネスモデルを持つ等の特徴を有する日本国内の未上場企業をいう。

(出所)ジャパンベンチャーリサーチ「Japan Startup Finance 2017」(2018年3月15日基準)、「国内スタートアップ資金調達動向2018」(2019年2月21日基準)

近年、国内スタートアップ企業への投資額は急拡大。 その主な要因は、事業法人による直接のスタートアップ投資。今後も拡大を期待。

国内スタートアップ企業への投資主体(億円)

606

1963

17

211

33

278

321

1404

491

625

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

その他

ベンチャーキャピタル(CVC以外)金融機関

CVC

事業法人

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最近の米国では、企業売却による投資回収が多い

(注) ここでの「M&A」は、経営権の移転を伴う売却をいう。(出所)一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター「ベンチャー白書」を基に作成。

最近の日米のベンチャーキャピタルにおける投資回収の状況を比較すると、日本は新規上場(IPO)の件数が多く、米国は企業売却(M&A)の件数が多い。

116 122 92 79 102 43 86 5836

918

41

941

73

845

47

827

0

200

400

600

800

1,000

1,200

日本 米国 日本 米国 日本 米国 日本 米国

2014年 2015年 2016年 2017年

IPO

M&A

ベンチャー投資先のIPO・M&A件数(件数)

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0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

1982

1983

1984

1985

1986

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

15

日本における企業の開廃業率

日本においては、経済全体の開業率は、2010年代に上昇傾向にある。 一方、経済全体の廃業率は、2010年代には緩やかに低下傾向。

日本における企業の開廃業率

(出所)厚生労働省「雇用保険事業年報」のデータを基に作成。

開業率

廃業率

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1.生産性の動向と産業構造の変化

2.産業の新陳代謝

3.既存企業の構造変革

4.イノベーションと高等教育

5.学歴と就労

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-7

-5

-3

-1

1

3

5

7

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

17

米国上場企業の労働生産性の上昇要因

(注) 5年後方移動平均により平滑化した値であることに留意。(出所)中村・開発・八木(2017)「生産性の向上と経済成長」、Hogen.et.al(2017)「Large Firm Dynamics and Secular Stagnation: Evidence from

Japan and the U.S.」を基に作成。

米国の上場企業の労働生産性の上昇は、既存企業の構造改革がけん引。

労働生産性の要因分解(米国上場企業)

既存上場企業の要因

新規上場企業の要因

上場廃止企業の要因

(%)

労働生産性伸び率

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-3

-1

1

3

5

7

9

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

18

日本上場企業における労働生産性伸び率の要因

(注) 5年後方移動平均により平滑化した値であることに留意。(出所)中村・開発・八木(2017)「生産性の向上と経済成長」、Hogen.et.al(2017)「Large Firm Dynamics and Secular Stagnation: Evidence from

Japan and the U.S.」を基に作成。

日本の上場企業の労働生産性の上昇も、既存企業の構造改革がけん引したが、2010年代は、むしろマイナス要因に。

労働生産性の要因分解(日本上場企業)

既存上場企業の要因

新規上場企業の要因

上場廃止企業の要因

(%)

労働生産性伸び率

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51

100

214

45

100

210

0

50

100

150

200

250

300

350

400

下位5% 中央値 上位5%

40

100

342

45

100

268

0

50

100

150

200

250

300

350

400

下位5% 中央値 上位5%

19

企業間の生産性格差

(注) それぞれの中央値を「100」として比較したもの。生産性は、全要素生産性(TFP)。(出所)内閣府「平成29年度 年次経済財政報告」における分析(経済産業省「企業活動基本調査」を用いたもの)を基に作成。

同一業種内でも、生産性の高い企業と低い企業の格差が存在。 特に、非製造業は、上位企業とそれ以外の企業との乖離が大きい。

企業における生産性水準(2014年)

製造業 非製造業

大企業中小企業

大企業中小企業

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20

生産性格差の要因

(注) ここでの経営の質とは、企業に対する質問への回答(生産目標の設定の有無やその期間、パフォーマンス評価方法など)を基に算定した「マネジメント・スコア」を指す。(出所)Bloom et al (2017)「WHAT DRIVES DIFFERENCES IN MANAGEMENT?」を基に作成。

米国の製造業を対象にした実証研究では、企業間の生産性格差の要因は、経営の質が最も大きく、研究開発投資やIT投資がそれに次ぐとされている。

企業における生産性(TFP)格差の要因(上位10%-下位10%)

18.1%16.9%

7.5%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

20%

経営の質 研究開発支出 労働者当たりIT投資

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3.2 3.3 2.7 3.1

2.3

3.3 3.6 3.7 3.3

2.9

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

経営スコア

(全体)

成果の

計測と共有

成果の低い者

への処遇

成果の高い者

の昇進

優秀層の処遇

21

日本企業の経営スコアは米国企業に比べ人事面での低さが目立つ

(注) 製造業を対象とした分析であることに留意。対象期間は、2004年~2014年。米国企業:N=1564、日本企業:N=178(出所)Bloom、Lemos、Sadun、Scur、Van Reenen(2014)「THE NEW EMPIRICAL ECONOMICS OF MANAGEMENT」を基に作成。

日米の製造業を対象にした実証研究では、日本企業の経営スコアは、成果の低い者の処遇や、成果の高い者の昇進、優秀層の処遇といった人事面での弱さが目立つ。

日米企業の経営スコア(全体・項目別)

日本米国

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22

日本の企業年齢は国際的に高い

日本は先進諸国に比較すると企業年齢11年以上の古い企業が多い。

(注) 対象は従業員50人未満の企業。諸外国の数値は2001-2011年の数値。(出所)池内健太他 (2019) 「日本における雇用と生産性のダイナミクス:OECD Dynemp/MultiProdプロジェクトへの貢献と国際比較」, RIETI Discussion Paper

(近刊)を基に作成。

企業年齢の分布

5.0 6.6 11.5 9.0 6.913.9

22.4 22.8 20.512.5 16.75.2 2.3

1.9 9.5 7.75.2

18.1 17.6 16.7

15.517.5

15.87.2

7.8 1.8 7.09.8

20.8 18.5 19.2

20.221.3

74.083.9 78.8 79.8 78.4

71.1

38.6 41.0 43.551.8

44.5

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1996 2001 2006 2009 2012 2014 英国 フランス 米国 イタリア カナダ

日本 諸外国

11年以上

6-10年

3-5年

0-2年

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0

2

4

6

8

10

12

14

0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60 63 66 69 72 75 78 81 84 87 90 93 96 99 102

105

108

111

114

117

120

23

日本企業は企業年齢が古いと利益率が低下

(注) 1978年-2015年までの上場企業(金融・保険・不動産業を除く。)のROAを集計したもの。(出所)YAMAGUCHI、NITTA、HARA、SHIMIZU(2018)「Staying Young at Heart or Wisdom of Age: Longitudinal Analysis of Age and Performance in

US and Japanese Firms」

米国企業は、企業年齢にかかわらず、利益率(ROA)は一定水準。 日本企業は、企業年齢が古いほど、利益率(ROA)が低下。既存企業の構造改革に課題。

企業年齢と利益率(ROA)の関係(%)

(企業年齢)

米国企業

日本企業

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小規模 中規模 大規模 巨大規模

専業日本 8.8% 5.9% 6.5% 7.0%

米国 -0.5% 11.4% 7.7% 10.4%

準専業化日本 7.4% 5.3% 6.2% 6.2%

米国 4.7% 11.5% 10.7% 7.8%

準多角化日本 6.2% 5.7% 5.2% 4.7%

米国 9.9% 9.2% 8.3% 8.6%

多角化日本 5.1% 5.4% 5.4% 3.0%

米国 -15.2% 9.0% 11.0% 13.7%

24

規模・多角化度別の利益率の国際比較

(注)調査対象企業は、日本はTOPIX対象銘柄、米国はNYSE総合指数構成銘柄。「多角化度」は、売上高構成比率が最大の事業以外の売上高が、全体の売上高に占める割合。米国の「規模(売上高)」は、1USD=100円により円換算して区分。

(出所)経済産業省委託調査。Bloombergデータを元にデロイト トーマツ コンサルティング作成。

日本企業の利益率(ROS)は、専業企業の場合、米国企業と大きな違いはない。 一方、多角化が進むほど、日米企業で利益率(ROS)は大きく乖離。事業ポートフォリオのマネジメントに差が存在。

規模

多角化度

規模(売上高)小規模 : ~500億円中規模 : 500億円~5,000億円大規模 : 5,000億円~2兆円巨大規模 : 2兆円~

多角化度専業 : ~10%準専業化 : 10%~30%準多角化 : 30%~50%多角化 : 50%~

日米企業の規模・多角化度別の営業利益率(2000-2012年平均)

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9.3

27.4

38.7 38.9 37.3

30.8 28.7 29.7

2.0 3.4 5.7

9.0 8.5

15.0

23.4 26.2

0.9 2.7 5.1

9.1 12.6

14.8 18.3

20.1

0.1 1.2

5.2

25.6

34.0

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2017年

日本 米国 ドイツ 中国

25

日本の自動化投資(ロボット稼働台数)は減少傾向

(注) マニュピレーティングロボット(自動制御によるマニュピレーション機能等を持ち、各種作業をプログラムによって実行する機械)の数字。米国は、2000年までカナダ、メキシコとの合算値であり、中国は1995年以前はデータがないことに留意。

(出所)「ロボット産業需給動向 2018年版(産業ロボット編)」、(一社)日本ロボット工業会資料(元データはInternational Federation of Robotics)を基に作成。

日本の産業用ロボットの稼働台数は、2000年代以降、減少傾向。足下では微増。 一方、米国・ドイツは増加し続けており、自動化投資で追いつかれつつある。

産業用ロボット稼働台数の推移(万台)

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26

経営学における企業の構造変革の成功要件

米国の経営学では、既存組織が新規事業の創出に成功するためは、「既存事業とは異なるマネジメント」が必要と言われている。

(出所)平成30年度経済産業省委託調査「イノベーション経営の普及に係る調査研究」を基に作成。

クレイトン・クリステンセン氏ハーバード・ビジネス・スクール教授

エリック・リース氏ハーバード・ビジネス・スクール客員起業家

イノベーションのジレンマ(1997年) 既存事業で有効な「プロセス」と「優先順位」が新規事業では失敗をもたらす

新規事業創出には、既存組織の「資源」の一部を利用し、既存組織とは異なる「プロセス」と「優先順位」を持つ体制が必要

資源

プロセス

優先順位

資源

プロセス

優先順位

既存事業持続的イノベーション

新規事業破壊的イノベーション

共有しない

共有しない

一部利用

スタートアップ・ウェイ(2017年) 既存事業と新規事業のマネジメントでは、構成要素である「人」「文化」「プロセス」「責任」が異なる

新規事業創出には、組織内に新規事業の体制を用意し、起業マネジメントを行う必要がある

ビジョン、目的、人材投資、長期的視点

既存事業のマネジメント

新規事業のマネジメント

持続可能な成長、継続的イノベーション、継続的変革

基礎

成果

責任

プロセス

文化

責任

プロセス

文化

人共通する価値真実の追究、規律

エクセレンス、継続的改善

マネジメントの構成要素が異なる

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27

大企業における事業変革の兆し

(注) 上場企業・資本金3億円以上の非上場企業5,085社(有効回答数238社)に対するアンケート調査。(出所)日本生産性本部(2018)「イノベーションを起こすための工夫に関する企業アンケート」を基に作成。

近年、大企業においては、本体ビジネスから独立した形式(出島形式)によるイノベーションの取組が広がりつつある。

企業幹部向けのアンケートでは、約2割が「出島」を設置。ただし、約半数は「国内で社内」に設置。

「出島」の設置の有無

設置している22.7%

設置していない76.9%

不明0.4%

「出島」の設置場所

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

国内で社内53.7%

国内で社外37.0%

国外18.5%

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28

事業変革における「両利きの経営」の重要性

近年の経営学では、既存企業のイノベーションを成功させるためには、新規事業と成熟事業を完全には分離させず、「知の深化」と「知の探索」をバランスよく推進する「両利きの経営」が重要と言われている。

(出所)オライリー、タッシュマン(2016)「両利きの経営」(監訳・解説:入山(2019))を基に作成。

チャールズ・オライリー氏(スタンフォード大学経営大学院教授)マイケル・タッシュマン氏(ハーバード・ビジネス・スクール教授)

知の探索(冒険的な新規事業の推進)

知の深化(大規模な成熟事業の推進)

「両利き」の状態

目先の利益に捉われた場合には・・・

知識の幅を拡げつつ、深化させる「バランス」が重要

成功の罠

両利きの経営(2016年)

既存企業のイノベーション成功させるためには、・既存事業の効率化と漸進型改善(知の深化)・新規事業の実験と行動(知の探索)の両者を同時に行う「両利きの経営」が必要。

その理由としては、① 既存企業の事業運営は、事業が成熟するに伴い「深化」の実施に偏る傾向があること② 「探索」の実施には、「スピンアウト」ではなく、既存の組織能力と資産の活用が重要であることが挙げられている。

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29

1.生産性の動向と産業構造の変化

2.産業の新陳代謝

3.既存企業の構造変革

4.イノベーションと高等教育

5.学歴と就労

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30

オープンイノベーションは、企業の生産性を高める

(注) 「研究開発を実施していない企業」を「100」として比較したもの。対象は、1997-2007年の製造業のデータ。生産性は、全要素生産性(TFP)。(出所)Ito and Tanaka(2013)「Open Innovation, Productivity, and Export : Evidence from Japanese firms」を基に作成。

製造業を対象にした実証研究では、研究開発を実施する企業の方が生産性が高い。 特に、社内研究開発とオープンイノベーションを同時に行う企業では、研究開発を行わない企業の7倍以上の生産性となっている。

100 175

759

0100200300400500600700800

研究開発

実施せず

社内研究開発

のみ実施

社内研究開発と

社外研究開発を

同時に実施

非輸出企業

100 193

728

0100200300400500600700800

研究開発

実施せず

社内研究開発

のみ実施

社内研究開発と

社外研究開発を

同時に実施

輸出企業

企業における生産性水準

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31

我が国のオープンイノベーション

(注) 横軸の点数は、企業に、オープン・イノベーションに費やした時間と、パートナー別の時間を質問し、その割合を点数化した上で、回答者の平均値を算定したもの。(0=0%、1=0超~25%未満、2=25~50%未満、3=50~75%未満、4=75%以上)

(出所)米山、渡部、山内、真鍋、岩田(2017)「日米欧企業におけるオープン・イノベーション活動の比較研究」を基に作成。

日本企業は、大学・公的機関とのオープンイノベーションでは欧米企業と遜色ないが、起業家・スタートアップ企業や競合企業とのオープンイノベーションでは遅れている。

オープンイノベーションのパートナー

0.8

0.5

1.6

1.3

1.8

1.5

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

競合企業

起業家・スタートアップ企業

大学・公的研究機関

問題・課題設定段階

0.9

0.5

1.4

1.1

2.0

1.7

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

競合企業

起業家・スタートアップ企業

大学・公的研究機関

問題・課題解決段階

日本企業

欧米企業

日本企業

欧米企業

(点数) (点数)

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32

大学院教育がイノベーションの量と質を高める

(注)発明者約2000人に関する1992年から2007年までの特許出願データ。右図は、学士卒を「100」とした場合の比較。(出所)大西・長岡(2018)「大学院教育と発明パフォーマンスの関係性―景気後退時の大学生の大学院進学行動から見た効果」を基に作成。

大学院教育は、就職後における発明の量と質を高める効果を有する。

特許出願件数と被引用件数(多様性)

(件)

100

200

267

0

50

100

150

200

250

300

学士卒 修士卒 課程博士

51.18

34.64

75.84

42.67

82.02

47.49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

特許出願件数 被引用件数

特許明細書中の引用特許の多様性

学士卒

修士卒

課程博士

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33

米国においては、大学院卒の生涯賃金は文理を問わず学部卒よりも高い

米国では、理系大学院卒、文系大学院卒ともに学部卒よりも生涯賃金が高い。 文系は、特に博士課程の増加分が高く、理系博士の増加分と同程度以上。

米国における大学院卒の生涯賃金増加(対学部卒)

(出所)US Census Bureau “American Community Survey 2010”

16% 17%26% 27% 24%

13% 9%17% 18%

28% 25%

51%

38%45%

29%

42%32%

58%

0%10%20%30%40%50%60%70%

数学・コンピュータ

工学

物理学

ビジネス

社会科学

芸術

コミュニケーション

文学

心理学

理系大学院■修士 ■博士

文系大学院■修士 ■博士

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34

日本では、理系進学の年収への影響が確認されている

日本では、理系進学は年収に好影響を与えることが統計的に確認されているが、文系進学については確認されていない。

大学院進学が年収に与える影響(対学部卒)

(出所)太田、萩原(2016)「大学卒業時の選択の短期的、長期的効果」を基に作成。

理系修士 文系修士

約10%

約5%

明確な相関は確認されていない

(注)同一年齢の学部卒者との比較結果を示している。

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35

海外MBAと国内MBAの比較

(注) MBA卒業前の平均賃金とMBA卒業後最初の平均賃金とを比較した上昇率。(出所)清水(2009)「海外MBAと国内MBAの比較:個人の投資収益率とコスト・ベネフィットの推計から」を基に作成。

日本人の国内外MBA卒業生を見ると、海外MBA卒業生の方が、その後の賃金上昇への影響は高く、国内MBAの評価はまだ低い。

77.9%

11.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

海外MBA 国内MBA

MBA卒業後の賃金上昇率

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36

STEM人材の増加は、地域全体の賃金上昇につながる

米国では、STEM人材の割合の増加と、地域全体の賃金上昇との相関が見られる。 STEM人材が増加すると、STEM人材に限らず、STEM以外の大卒層や、非大卒層の賃金も上昇する。

学位取得者が人口に占める割合の上昇が、地域の賃金に与える効果

(注) ここでのSTEM人材とは、Science, Technology, Engineer and Mathematicsに係る分野(物理科学、電気工学、分子生物学等)を専攻する大学卒をいう。「弱い相関」は、10%水準の有意をいう。ここでの地域は、Public Use Microdata Area(PUMAs:米国センサスで使用される人口10万人超の地域)であって、人口の半数以上が大都市圏に居住するものをいう。なお、本分析は、25~55歳のフルタイム労働者の賃金への影響を対象としている。

(出所)Winters(2013)「STEM Graduates, Human Capital Externalities,and Wages in the U.S.」を基に作成。

1.39%

0.67%

1.97%

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

非大卒の賃金

学士(非STEM)の賃金

学士(STEM)の賃金

学士(STEM)取得者の増加による効果

0.29 %

0.67 %

-0.07 %

-0.50

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

非大卒の賃金

学士(非STEM)の賃金

学士(STEM)の賃金

学士(非STEM)取得者の増加による効果

明確な相関は見られず

弱い相関

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1.6

31.5

6.7 6.8 9.2

1.5

36.1

6.8 9.0

11.7

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

日本 米国 ドイツ フランス 英国

4.8

15.2

5.4 3.1

5.6 4.8

25.5

7.4

3.9

7.5

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

日本 米国 ドイツ フランス 英国

37

修士号取得者数の国際比較

(出所)科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2018」を基に作成。

修士号取得者の数を比較すると、近年、先進諸国では増加傾向に。 日本では文系・理系ともに修士号取得者数が少なく、横ばい傾向。

1年間における修士号取得者数の国際比較

(万人) (万人)人文・社会科学系 自然科学系

20082014

2008

2014

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0.2

2.0

0.6 0.4 0.5

0.2

2.4

0.7 0.4

0.7

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

日本 米国 ドイツ フランス 英国

1.3

3.8

1.8

0.7 1.2 1.2

5.0

2.1

0.7

1.5

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

日本 米国 ドイツ フランス 英国

38

博士号取得者数の国際比較

(出所)科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2018」を基に作成。

博士号取得者の数を比較すると、近年、先進諸国では増加傾向。 他方、日本では文系・理系ともに博士号取得者数が少なく、近年は減少傾向。

1年間における博士号取得者数の国際比較

(万人) (万人)人文・社会科学系 自然科学系

20082014

20082014

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39

1.生産性の動向と産業構造の変化

2.産業の新陳代謝

3.既存企業の構造変革

4.イノベーションと高等教育

5.学歴と就労

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40

世代における学歴構成の変化

(出所)総務省「平成29年就業構造基本統計調査」を基に作成。

世代別の学歴構成を見ると、若年層ほど高学歴化。

49 %46 %

42 %38 %

36 %38 %

41 %

36 %

27 %24 %

18 % 18 %

15 %

0

10

20

30

40

50

60

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85歳以上

42 %

35 %

29 %

22 %

16 %14 %

14 %12 %

7 %5 %3 %3 %2 %

0

10

20

30

40

50

60

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85歳以上

各世代の大卒・大学院卒比率(2017年時点)

男性 女性(%) (%)

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91%

41%

75%

23%

96%

51%

80%

34%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

15-59歳 60歳以上 15-59歳 60歳以上

男性 女性

41

学歴と就業率

(出所)総務省「就業構造基本調査」を基に作成。

大学・大学院卒は、非大卒に比べ、就業率が高い傾向。 特に高齢期でその差は拡大。

非大卒

大学・大学院卒

学歴別の就業率(2017年)

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42

ご議論いただきたい論点(案)<GPTとしての第4次産業革命>• 前回、第4次産業革命のデジタル技術とデータの活用は汎用技術(GPT)としての性格を有しており、企業内部の組織のあり方や、個人の仕事の内容・仕方などに、大きな変革をもたらすことを指摘。組織や人が変わらなければ、第4次産業革命のメリットを受けることは出来ない。

<組織の変革の方向性>• 日本の生産性は、伸び率では先進国で最も高いが、絶対値では最も低い。生産性の向上が課題。• 欧米企業は2010年以降マークアップ率を大きく改善しているが、日本企業は横ばい。生産性を向上する上で、コスト競争ではなく、高価格化による付加価値の拡大が課題。

• 足下でベンチャーの新規上場が増加し、開業率も上昇。一方、米国では新規上場より事業会社への売却が主流に。日本でも事業会社のスタートアップ投資が増加。ベンチャー企業との連携、競合企業との協業、事業会社によるベンチャー企業への投資の拡大が必要ではないか。

• 生産性上昇には既存企業の構造改革が重要。日本は企業年齢が古い企業の利益率が低い。また、多角化した企業の利益率が低い。既存企業の生産性向上のためには、内部資金の効率的な配分が必要ではないか。

• また、既存企業は、現在の収益源となる成熟事業と、将来の収益を生み出す新規事業のバランス確保(出島、両利き経営)が必要ではないか。

• 生産性上昇にはオープン・イノベーションが重要。日本企業は、大学との連携では欧米企業とそん色ないが、ベンチャー企業や競合他社との協力が不十分。協働すべき領域と競争すべき領域の識別が必要ではないか。

<人の変革の方向性>• 足下で大学院の賃金プレミアムが上昇。日本は、今のところ理系大学院卒のみに賃金上昇効果があるが、米国では文理問わずプレミアムが存在。文理を問わず、リベラルアーツ(たとえば文学、芸術、心理学、コミュニケーション)や、AI・数学等の強化が必要ではないか。

• 足下で大卒・大学院卒の比率が拡大。学歴が高いほど、高齢期の就業率も高い。高齢者雇用の促進のためには、基礎的な学習含む高学歴化が必要ではないか。