組立図の製図の方法...
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2014年5月14日(木)
滝澤秀行
組立図の製図の方法
締結部品の設計について
明治大学 機械工学科 機械設計・製図 2
組立図の製図の方法
本講義に使用するテキスト
・ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
・コンロッド設計の勘所 [39]
・クランクジャーナル軸受、コンロッド軸受周りの設計手順 [41]
・締結部品の設計について [11]
組立図の製図の方法
横 断面図 縦 断面図
組立図の製図の方法1.クランクシャフト中心線(縦、横)2.クランク半径=ストローク/23.コンロッド長さ=λ(4) × ストローク/24.ピストン形状5.・・・・・
用紙:A1「枠A1(1:2.5).FXD]
組立図の製図の方法
320℃
130℃
130℃
ピストン上昇温度
80℃
シリンダ上昇温度
トップランド長さLo=(0.15~0.20)×D
セカンドランド長さLr1=(2.0~3.0)×第一圧力リング幅
シリンダ径 D
ピストン上端部径 D1
ピストン下端部径 D2
式(5.1)
式(5.1)
式(5.2)
燃焼室容積=V1×0.850.6D
8 mm以上L1=0.5
~0.7
D
サードランド長さLr2=(1.0~1.5)×オイルリング幅
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P1/5~2/5の説明
式(5.3)
5.1.4 項
5.1 ピストン
P2/5
P2/5
P2/5
5.1.2 ピストンリング
組立図の製図の方法
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P2/5 Fig. 5.3の説明
ピストン
幅
出典: (株)リケン
5.1.3 ピストンピン
組立図の製図の方法
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P2/5 5.1.3 ピストンピン コンプレッションハイト
L1は必要最小限に !!
5.2 コンロッド
組立図の製図の方法
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P2/5 ~3/5
大端部
H型断面
小端部
油かき棒(パイプ)
位置決め平行ピン(JIS B1354)
組立図の製図の方法
コンロッドの幅はシリンダ内径よりも小さく
水平割り 斜め割り
φA φB
斜め割リコンロッドは
大端幅同一で(C=D)クランクピン径を大きく出来る
(φB >φA)
C D
参考
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P3/5 Fig. 5.4の説明
クランクピン
組立図の製図の方法
最小
0.5
mm
ボルト位置が広すぎると慣性力で口開きが発生する
極力
内側
に寄
せる
コンロッド ボルト穴(めねじ穴ではない)
資料[39]の左側「テキスト」 コンロッド設計の勘所 [39]
組立図の製図の方法
資料[39]の右側
出典: 大同メタル工業(株)大豊工業(株)
小端部に圧入後、内径加工(H6)する
鉛フリー 小端メタル
「テキスト」 コンロッド設計の勘所 [39]
(コンロッド上側)
組立図の製図の方法
出典: 大同メタル工業(株) 大豊工業(株)
コンロッド大端軸受 クランクジャーナル軸受
(3層ベアリングの構造)
溝付
溝なしコンロッド大端(上)
クランクジャーナル(下)
コンロッド大端(下)
クランクジャーナル(上)
組立図の製図の方法
「テキスト」 クランクジャーナル軸受、コンロッド軸受周りの設計手順 [41]
肉厚寸法の説明
組立図の製図の方法
「テキスト」 クランクジャーナル軸受、コンロッド軸受周りの設計手順 [41]
寸法管理、クラッシュハイトの説明
組立図の製図の方法
「テキスト」 クランクジャーナル軸受、コンロッド軸受周りの設計手順 [41]
油穴、油溝の説明
組立図の製図の方法
出典: 大豊工業(株)
鉛フリー軸受メタル (コンロッド大端軸受) (クランクジャーナル軸受)
組立図の製図の方法
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P3/5 Fig. 5.5の説明
dcc
dc2=dc1+2mm以上
(オイルシール挿入部)
d’c1
ツバ:スラストメタル外径、厚さ5~10mm
1/10テーパJIS B0904
平行キーでも可
τs=16Tm /π(d’c1)3式(5.5)
5.3 クランクシャフト
dc1=(0.8~0.9)dcc
式(5.4)
組立図の製図の方法
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
クランクジャーナル径φ98の例
厚さ3mm ジャーナル軸受メタルと同じ
幅8~12mm
P4/5 Fig. 5.6の説明
5.3.2 スラストメタル
オイルシール
出典:NOK(株)ホームページ
組立図の製図の方法
オイルシール
出典:NOK(株)ホームページ
組立図の製図の方法
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P4/5 5.3.3 オイルシールの説明
オイルシール
出典:NOK(株)ホームページ
組立図の製図の方法
組立図の部品表にオイルシールの下表の部品番号を記載すること
オイルシール
出典:NOK(株)ホームページ
ダストリップ
大気側 油側
組立図の製図の方法
組立図の製図の方法
設計条件
1
11
設計条件に合わせて作図すること
課題 「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P 4/5 6. 組立図の作成
組立図の製図の方法
部品表 「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
P 5/5
組立図の製図の方法
図面の記事覧に・JIS B80・・・・・による・部品スペック MS83・・・・・による
図面記載内容(寸法、表面性状・・・・)は全てに最優先される
組立図の製図の方法
と 書かれていても
JIS、部品スペックと 図面が相違する個所があった場合には
図面記載内容が優先される
「テキスト」 ディーゼルエンジンの設計 Part 3 [16]
に関連する追加の説明
明治大学 機械工学科 機械設計・製図 2
組立図の製図の方法
ピストンの温度計測
(1)硬度によるリカバリー法
ピストン(アルミ)材の温度と時間による表面硬度の変化を用いて、運転中の最高ピストン温度を推定する
表面硬度
温度
時間
重要な温度測定点
温度の一例
200℃
280℃
組立図の製図の方法
ピストンの温度計測
(2)接点法
ピストン中に熱電対を埋め込み、ピストンが下死点の時に計測器側の接点と接触し温度を計測
(3)リンク法
温度計測精度は高いが、計測点数が多く取れない
温度計測精度は高く、計測点数も多く取れる機構が複雑で、シリンダーブロックなどの大幅加工が必要
ピストン
熱電対
接点
電位差計
計測点
ピストン中に熱電対を埋め込み、シリンダーブロック内に取り付けたリンク機構で熱電対線をエンジン外部に取り出し温度を計測
リンク機構
組立図の製図の方法
ピストン(外径)プロフィル基本径(シリンダ径)
基本径(シリンダ径)からの減寸量
コンプレッションハイト
トップランド
セカンドランド
サードランド
ピストンピン中心
ピストンボスピン方向プロフィル
ピン直角方向プロフィル
ピストン中心
ピン方向
ピン直角方向
0.5~1.0
ピストンリングの変遷
出典:日本ピストンリング(株)ホームページ
組立図の製図の方法
ピストンリングの働き
組立図の製図の方法
シリンダライナ
ピストン
シリンダライナ
オイル
オイルリング
ピストン上昇時
ピストン下降時
➀吸入行程 ②圧縮・③膨張行程
④排気行程
シリンダライナ
カーボン
リング機能不良状態
空気
②
③
圧縮空気燃焼ガス
締結部品の設計について
明治大学 機械工学科 機械設計・製図 2
締結部品の設計について
1.25D以上を推奨
アルミは2.0Dを推奨
鋼 : 細目鋳鉄 : 並目銅合金 : 並目アルミ : 並目
「テキスト」 締結の設計について [11] コンロットボルトなど
締結部品の設計について
「テキスト」 締結の設計について [11]
締結部品の設計について
「テキスト」 締結の設計について [11]
「テキスト」 締結部品の設計について [11]
に関連する追加の説明
明治大学 機械工学科 機械設計・製図 2
たかがボルトではない ! 奥の深い機械の基本部品
サンプル A サンプル B
どちらの図が正しいでしょうか?
スプリングワッシャー
JIS B 1251
締結部品の設計について
締付後締付前
締付部材
ボルトは伸び締付部材は縮む
共に戻ろうとする力で釣り合う
ボルトを締めると
ボルトはねじ面と座面の摩擦で回転しない (緩まない)
・ボルトは引張スプリング・締付部材は圧縮スプリング
ボルトの緩み(=締付力の低下)は、締付部材のへこみ(陥没)による
ボルト(ナット)の座面々圧は限界以下にする!
引張スプリング
圧縮スプリング
なぜボルトが緩むのか?
締結部品の設計について
陥没
座面の陥没
初期の締付力 大 作用力 大
ボルト(ナット)の座面々圧の限界オーバー
締付力の低下
(ボルトの緩み)(ボルトの脱落)
限界面圧(N/mm2)
・鉄鋼、ステンレス = 降伏点、耐力・鋳鉄 = 引張強さの3.5倍・アルミ合金 = 引張強さの80%
限界面圧の目安
折曲げワッシャーは使用しない
締付部材 (例)記号 引張強さ 限界面圧
低炭素鋼 S10 370 260
中炭素鋼 S30C 500 420
炭素鋼(QT) S45C 800 700
CrMo 鋼 SCM440 1000 850
ステンレス鋼 SUS316 500~700 210
鋳鉄 FC25 250 800
アルミ合金鋳物 AC2B - 200
アルミ合金 A1200 160 140
締付部材
出典:山本晃 ねじ締結の原理と設計 養賢堂 (1995)
締結部品の設計について
ボルトの伸び (締付トルク)
弾性域 塑性域
×破断
降伏点
弾性域締付法(トルク法)
塑性域締付法(回転角法)
ボルト締付力
ボルトの締付法従来、弾性域締付法 主流
近年、重要部位のボルトは塑性域締付法
利点
・高締付力・締付力のバラツキ少
欠点
留意点
・再使用性が劣る ボルト長さで判断
・高締付力 ボルト座面の陥没注意
・降伏点のバラツキ低減 材質管理強化
参考
例 : シリンダヘッド、コンロッド、メーンキャップ、フライホイール・・・など
重要部位のボルトとは?
締結部品の設計について
ねじ部摩擦トルク : 40%
締付力を発生するトルク : 10%
座面摩擦トルク : 50%
締付トルク (100%)
締付力を発生させるトルクはわずか10%程度
ボルトの締付法
ドライ法 ウエット法
・ウエット締付は、締付力のバラツキを低減できる・重要ボルトはウエット締付
ボルト座面とねじ部に
オイル塗布
オイル塗布なし
締結部品の設計について
D
ボルトの制作法
切削ねじ 転造ねじ
D´
d=D
ねじの呼び径 dねじの呼び径 d
d > D
転造ねじのファイバーフロー
1.加工時間が短く大量生産に向く、低コスト
2.疲労強度が高い・ねじ部の加工硬化・ファイバーフローが切断されない
3.ねじ部の表面あらさ良好→摩擦係数低減
転造ねじの利点
固定ダイス
(ねじの有効径)
移動ダイス
締結部品の設計について
ボルトの疲労破損部位
(フランジナット形状)
(フランジボルト形状)
はめ合い第1谷 : 60%
不完全ねじ部 : 20%
頭部付け根: 15%
たかがボルトではない ! 奥の深い機械の基本部品
ナット
ボルト
3締付力
締付部材
5 ・ ・41 2
010203040
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10ねじ山No.
荷重分布%
33%
10%
ボルトねじ山の荷重分布
ねじ山No.
締結部品の設計について
M8~M12 : 2.5 mm以上M14~ : 3.0 mm以上
最少ねじ込み深さ
鋼 : 1.25 d 鋳鉄 : 1.5 d銅合金 : 1.5 dアルミ : 2.0 d
ねじの呼び径 d
ボルト先端(最長値)とめねじ深さの隙間
2 mm以上
ボルトの設計
ボルトの長さ
ねじ込み深さ、めねじ深さ
締結部品の設計について
ボルト軸の方向作用力ボルト軸の直角方向作用力
W
WF
摩擦係数 μ(0.1~0.15)
F
F×μ > W
・ボルトにせん断力をかけないこと・せん断力でボルトは容易に破損する
締付部材
締付部材
締付部材の間で絶対に滑らせないこと
締付部材間は絶対に離さないこと
F ≦ Fc
W
W
F
F
作用力
W
初期ボルト締付力
F
ボルト伸び
ボルトばね定数
締付部材の圧縮
締付部材ばね定数
Wによるボルト伸び
Wによる圧縮力緩和
Fb
Fc
締付部材間が離れる
設計目安
Fc < 0.8×F
締結部品の設計について