税務事務における守秘義務についての一考察1 はじめに...

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平成 29 年度市町村課研修⽣卒業研究報告書 税務事務における守秘義務についての一考察 〜事例を用いた守秘義務解除の考え方を中心として〜 市町村課税政グループ 鎌田 平成 30 年(2018 年)3月

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Page 1: 税務事務における守秘義務についての一考察1 はじめに 税務事務に携わる職員は、納税者から提出された申告書を見たり、端末を操作したり、

平成 29年度市町村課研修⽣卒業研究報告書

税務事務における守秘義務についての一考察 〜事例を用いた守秘義務解除の考え方を中心として〜

市町村課税政グループ 鎌田 光

平成 30年(2018年)3月

Page 2: 税務事務における守秘義務についての一考察1 はじめに 税務事務に携わる職員は、納税者から提出された申告書を見たり、端末を操作したり、

目 次

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第1章 守秘義務に関する規定について

1.地方税法第 22条 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2.地方公務員法第 34条 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

3.地方税法と地方公務員法の罰則の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第2章 地方税法と地方公務員法における秘密の考え方について

1.「秘密」の定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2.「事務に関して知り得た秘密」「職務上知り得た秘密」「職務上の秘密」の定義 ・5

3.それぞれの秘密の関係性について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

第3章 守秘義務が解除される場合の基本的な考え方

1.法益間の比較衡量による場合(法益間比較衡量型)・・・・・・・・・・・・・ 7

2.当該情報が当事者間で「秘密」でない場合(非秘密型)・・・・・・・・・・・ 8

第4章 税務事務における様々な課題に対する考え方

1.法益間比較衡量型の事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

2.非秘密型の事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

参考文献等一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

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はじめに

税務事務に携わる職員は、納税者から提出された申告書を見たり、端末を操作したり、

又は調査権を行使することなどによって、所得情報や資産情報など、他人が知り得ない納

税者の個人情報について、多々知り得る状況に置かれているため、地方税法では税務職員

の守秘義務違反について厳しい罰則を科している。

税関係部署には、様々な関係機関等から照会や証言を求められることがあり、守秘義務

との関係からどこまで応じるべきか判断に迷うケースも多いと思われる。

また、平成 29年7月からは地方団体による情報提供ネットワークシステムの利用が開始

されている。これは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関す

る法律(以下「番号法」)」に基づくものであり、このシステムの導入により、他の行政機

関からの特定個人情報に関する照会が増加することが予想される。

こうしたことから、今一度守秘義務について理解を深めておく必要があると考える。

そこで、本論文では、税務事務における守秘義務の考え方について、守秘義務解除の考

え方を中心に論じていく。

≪本稿の狙い≫

守秘義務の基本的な事項について整理を行い、また、様々な場面における事例を用いて

具体的に課題及びその対応について説明することにより、市町村税務職員が守秘義務解除

を判断する際における有益な情報を提供することを目的とする。

≪論文の構成≫

税務職員の守秘義務は、地方税法のほか地方公務員法も関係する。そこで、まず第1章

において、守秘義務に関する根拠規定について整理し、第2章において、守秘義務の対象

となる秘密の考え方やこれらの関係性について比較検討を行う。

次に第3章において、守秘義務が解除される場合の基本的な考え方を整理し、第4章で、

様々な場面において想定される課題について具体的な事例を用いて提示し、各課題に対す

る守秘義務解除の考え方について説明を行う。

なお、文中における意見部分については、筆者の私見であることを申し添えておく。

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第1章 守秘義務に関する規定について

税務職員に対しては、地方税法第 22条により守秘義務が課されており、一方で、地方公

務員に対しては、地方公務員法第 34条により守秘義務が課されている。

本章では、それぞれの法律に関する規定の内容や趣旨、罰則の考え方について述べる。

1.地方税法第 22条

【地方税法第 22条(秘密漏えいに関する罪)】

地方税に関する調査(不服申立てに係る事件の審理のための調査及び地方税の犯則事件

の調査を含む。)若しくは租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例

等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号)の規定に基づいて行う情報の提供のため

の調査に関する事務又は地方税の徴収に関する事務に従事している者又は従事していた者

は、これらの事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用した場合においては、二年以

下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

(1)規定の趣旨

税務職員は、その職務を行うにあたり、納税義務者等からの申告又は報告を受領し、あ

るいは調査権の行使などによって、容易に納税義務者等の秘密を知り得る状況に置かれて

いる。

これらのことは、地方税の賦課徴収に必要であり、やむを得ないこととして納税義務者

等は受忍しなければならないが、これらの事務に従事している者又は従事していた者がそ

の事務に関して知り得た納税義務者等の秘密を第三者に知らせることは、地方税の賦課徴

収に必要な限度をこえるものであり、人権に対する侵害となる。

このような人権侵害の発生を防止するため、いわば受忍義務に対する代償として守秘義

務が課されており、納税義務者等の秘密を保護し、合わせて地方税の賦課徴収を円滑に行

うことを目的として規定されている。

(2)主体

本規定により守秘義務が課されている対象は

① 地方税に関する調査

② 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の規

定に基づいて行う情報の提供のための調査

③ 地方税の徴収

に関する事務に従事している者又は従事していた者である。

この範囲については、平成 23年度税制改正で国税において行われた範囲の拡大及び明確

化にあわせて、地方税においても同様の改正が行われており、①、②で調査事務の範囲が

明確化されるとともに、それまで対象とはされていなかった③地方税の徴収事務について

も、これを守秘義務違反の処罰対象に含めることにより、広く地方税の賦課徴収事務に従

事する者に対し、罰則を科すこととされた。

なお、正当な権限によるものであるか否かは関係なく、事実として①~③の事務に従事

している者(例えば、徴税吏員を補助していた者など)であれば対象となる。

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2.地方公務員法第 34条

【地方公務員法第 34条(秘密を守る義務)】

職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様

とする。

2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合におい

ては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命

権者)の許可を受けなければならない。

3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。

【第 60条(罰則)】

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

二 第三十四条第一項又は第二項の規定(第九条の二第十二項において準用する場合を含

む。)に違反して秘密を漏らした者

(1)規定の趣旨

行政庁は行政目的達成のため、各種届出義務や許認可事務等により、個人や企業に関す

る膨大な情報を取得している。

これらの情報がみだりに外部に漏洩されれば、当該地方公共団体の利益を害することの

ほか、不利益を被ったり、不快を感じたりする者が生じ、行政に対する非協力、あるいは

行政に対する不信の念を引きおこすことになる。

このようなことから、行政の執行に重大な支障をきたし、行政目的の達成に困難を生ず

ることがないよう、本条が規定されている。

なお本規定は、その効果として結果的に個人のプライバシーや企業秘密を守ることにな

ることがあるとしても、本来の目的は行政に対する信頼の確保である。

(2)主体

一般職に属するすべての地方公務員が主体となるが、特別職の地方公務員は含まれない。

3.地方税法と地方公務員法の罰則の比較

法律 罰則

地方税法 2年以下の懲役又は 100万円以下の罰金

地方公務員法 1年以下の懲役又は 50万円以下の罰金

各法における罰則規定は上図のとおりであり、地方税法は地方公務員法より重い罰則を

科している。

地方税法は納税義務者等の秘密を保護し合わせて地方税の賦課徴収を円滑に行うことを

目的とし、一方、地方公務員法は専ら行政に対する信頼を守ることを目的としている。と

りわけ、税務職員は一般の公務員と異なり、調査権の行使などにより、納税義務者等の意

に反して私人の秘密を知ることができる機会が多数あり、秘密が外部に漏れることで納税

義務者等が不利益を被るようなことがあれば、納税義務者等の協力を得て円滑に税務業務

を運営することが困難となる。

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こういったことから、地方税法は地方公務員法よりも重い罰則を科すことにより、納税

者の秘密をより手厚く保護しているということができる。

なお、1個の行為で地方税法と地方公務員法の両方の守秘義務に違反した場合の処罰に

ついては、2つの説がある。1つ目は、地方税法及び地方公務員法の両方の罪名(守秘義

務違反)に触れるとした上で、より罰則が重い地方税法で処断されるという考え方(観念

的競合)で、2つ目は、地方税法は地方公務員法の特別法と位置付けられるとし、地方税

法の罪名(守秘義務違反)にのみ触れるという考え方(法条競合)である。

いずれの場合にしても、結果的に地方税法により処断されることに変わりはない。

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第2章 地方税法と地方公務員法における秘密の考え方について

本章では、第1章で述べたそれぞれの規定の秘密の意義や関係性について述べる。

1.「秘密」の定義

「秘密」とは、一般に知られていない事実(秘密性)であって、本人が他人に知られな

いことについて客観的に相当の利益(秘匿の利益)を有し、かつ本人も知られないことを

欲している(秘匿の意思)と認められる事実をいう。

「秘密」という文言自体については、地方税法と地方公務員法では特段の定義は置かれ

ていないが、おおむね、上で述べたものと同じ内容を指していると考える。

2.「事務に関して知り得た秘密」「職務上知り得た秘密」「職務上の秘密」の定義

地方税法では、守秘義務の対象とされている秘密は「事務に関して知り得た秘密」と規

定されている。一方、地方公務員法では、守秘義務の対象とされている秘密は「職務上知

り得た秘密」と規定されている。

「事務に関して知り得た秘密」とは、賦課徴収事務の対象事項であるか否かには関係な

く、事務を執行するに関連して知り得た納税者等のすべての秘密をいい、調査事務等の対

象事項であるため税務職員が知ることができた私人の秘密の他、調査事務等を執行するこ

とに関連して知り得た私人の秘密も含むと解されている。またその態様は、調査権の行使

により、税務職員が現地に行って知り得る場合ばかりでなく、納税義務者等から口頭で告

知される場合や納税義務者等が提出した申告書の書類を審査して知り得た場合等がありう

る。

「職務上知り得た秘密」とは、公務員がその担当する職務を行う上で知ることのできた

一切の秘密をいい、公務員の職務上の所管に属する秘密だけでなく、職務に関連して知る

ことのできた私人の秘密をも含むと解されている。また、「職務上知り得た秘密」のうち、

「職務上の秘密」については、地方公務員法第 34条第2項の規定により、法令の定めると

ころにより秘密を発表せざるを得ない場合に、任命権者の許可を受けなければならないと

定められている。

「職務上の秘密」とは、公務員の職務上の所管に属する秘密である。当該秘密には①行

政上の秘密(公の秘密)のみが該当するという見解と②個人的な秘密(私的な秘密)まで

含まれるとの見解があるが、本論文では①と②を含むものとの考え方に立って論述する。

※「職務上の秘密」のうち②個人的な秘密については、「公務員が職務を遂行する上で

知ることができた私人の秘密であって、公にされることにより、私人との信頼関係が

損なわれ、公務の公正かつ円滑な運営に支障をきたすもの」との判例も示されている

(平成 17年 10月 14日最高裁判所判決)。

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以上のことから、それぞれ次のように整理される。

法律 内容

地方税法第 22条

「事務に関して知り得た秘密」

調査事務等に関連して知ることのできた納税

者等の秘密

地方公務員法第 34条第1項

「職務上知り得た秘密」

公務員が担当する職務を行う上で知ることの

できた一切の秘密

地方公務員法第 34条第2項

「職務上の秘密」 公務員の職務上の所管に関する秘密

3.それぞれの秘密の関係性について

それぞれの秘密の関係性について図示すると、図1のようになる。

(図1)秘密に関する概念図

①「事務に関して知り得た秘密」については多くが所管事務に属するもの(所得や滞納

税額など)であり、その大半は②「職務上の秘密」にも該当し、ほぼ重なり合うこととな

る。逆に、①と②とで重複しない部分は所管事務に関連して知り得たもの(職業や家族構

成など)である。なお、滞納整理に関する内部の処理マニュアルなどについては、調査事

務等の対象事項として知り得た秘密とは言えないため①には該当しないが、職務上の所管

に関する秘密といえるため②には該当する。

また、③「職務上知り得た秘密」は①「事務に関して知り得た秘密」②「職務上の秘密」

を包括する。

なお、①と②の双方に該当する場合で留意しなければならない点については、第4章1

(2)(ⅲ)で事例を挙げて整理する。

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第3章 守秘義務が解除される場合の基本的な考え方

ここまで守秘義務に関する基本的な考え方を述べてきたが、税務事務を行う上では、関

係機関等から情報の提供を求められる場面が多く存在し、いかなる場合に守秘義務が解除

されるかという点について様々な課題に直面することが考えられる。

そこで、いかなる場合に守秘義務が解除されるかという点について、本章において2つ

の基本的な類型を示す。

1.法益間の比較衡量による場合(法益間比較衡量型)

法益間比較衡量型は、地方税法の法益と、官公署に対し情報の照会を行うことができる

旨の規定を設けられている法令等の法益とを比較して、どちらの法益が優先するかについ

て比較検討し、守秘義務解除の可否を判断するという考え方である。

この考え方を示したと思われるものについて、「地方税法第 22条と公営住宅法第 23条の

2の関係等について」(昭和 38年3月 15日付内閣法制局一発第6号内閣法制局第一部長回

答)において、守秘義務解除の基準として「同条に規定する犯罪とならないものと解しう

るためには、そのような行為を適法なものとして許容したと認めるに足りる法律の規定が

あることを要する」とされている。

さらに、地方税法総則逐条解説においては、「守秘義務の対象となる税務関係情報につい

て、他の行政機関から、法令の規定に基づいて、情報の提供を求められた場合の取扱いに

ついては、個別具体の状況に応じ、事案の重要性や緊急性、代替的手段の有無、全体とし

ての法秩序の維持の必要性等を総合的に勘案し、保護法益間の比較考量を慎重に行ったう

えで、情報提供が必要と認められる場合について、必要な範囲内で情報の提供に応じるこ

とが適当である。」とされている。

守秘義務が解除されるか否かについてはこの「比較衡量」の考え方によって判断される

こととなる。

このような場合の具体例として、弁護士法第 23条の2第2項に基づく弁護士会からの照

会が挙げられる。

【弁護士法第 23条の2(報告の請求)】

弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に

照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合にお

いて、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することがで

きる。

2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な

事項の報告を求めることができる。

弁護士法第 23条の2第2項の規定では、弁護士が受任している事件について、所属弁護

士会が公務所等に報告を求めることができる旨を定めている。

この弁護士照会については、昭和 38 年3月 22 日付自治丙市発第8号自治税務局長通知

に見解が示されており、整理すると、弁護士が照会するのは、受任している事件に必要と

されるからであり、依頼者の利益のために必要とされるものであるから、そのために他の

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私人の秘密を犠牲にすることは正当視され得ないものであり、税務情報について弁護士会

の照会に応じたときは、他に違法性阻却事由など特段の事由がある場合を除き、地方税法

第 22条に抵触するとされている。

これは、地方税法の守秘義務による納税者等の秘密を保護するという法益と、弁護士の

立証活動を通して守られる法益とを比較して結論を導いているということができる。

もちろん、税務情報であるからといってすべて拒否していいというものではなく、個別

の事案に応じて守秘義務が優先するか否かの検討が必要となることに留意する必要がある。

なお、参考判例として、税務情報の開示についてのものではないが、弁護士法第 23条の

2に基づく弁護士会からの前科及び犯罪経歴の照会に対し、漫然と、犯罪の種類や軽重を

問わずに前科等のすべてを回答したことが、過失による公権力の違法な行使にあたるとさ

れた判例(昭和 56年4月 14日最高裁判所判決)がある。

また、同じく税務情報についての事案ではないが、弁護士会からの照会に対する報告を

拒絶する行為について、弁護士会はあくまで制度の適正な運用を図るためにすぎないので

あるから、弁護士会は法律上保護される利益を有するものとは解されず、この利益を侵害

するものとして弁護士会に対する不法行為を構成することはないとされた判例(平成 28年

10月 18日最高裁判所判決)がある。

2.当該情報が当事者間で「秘密」でない場合(非秘密型)

非秘密型は、照会者と納税者との関係において、一定の事項が「秘密」には当たらない

と解される場合である。例えば、法令上、一定の給付を行う者が受給者に対し一定の事項

(例えば収入、所得、世帯構成等)について報告を求めることができ、かつ、それに応じ

ない場合の罰則等による担保措置が定められていることにより、報告を行う義務があると

判断される場合には、当該事項はこの照会者と納税者との間では秘密ではないから、税務

職員が照会者に対し情報を開示したとしても守秘義務違反とはならないという考え方であ

る。

このような考え方について図示すると、図2のようになる。

(図2)非秘密型

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このような場合の具体例として、国民年金法第 106条及び第 108条がある。

【国民年金法第 106条(被保険者に関する調査)】

厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、被保険者の資格又は保険料に関する処分

に関し、被保険者に対し、国民年金手帳、被保険者若しくは被保険者の配偶者若しくは世

帯主若しくはこれらの者であつた者の資産若しくは収入の状況に関する書類その他の物件

の提出を命じ、又は当該職員をして被保険者に質問させることができる。

【第 108条(資料の提供等)】

厚生労働大臣は、被保険者の資格又は保険料に関し必要があると認めるときは、被保険

者若しくは被保険者であつた者(以下この項において「被保険者等」という。)、(中略)の

氏名及び住所、個人番号(中略)、資格の取得及び喪失の年月日、保険料若しくは掛金の納

付状況その他の事項につき、官公署、(中略)に対し必要な書類の閲覧若しくは資料の提供

を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者等の配偶者若しくは世帯主そ

の他の関係人に報告を求めることができる。

【第 112条(罰則)】

次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

三 第百六条第一項の規定により国民年金手帳、資産若しくは収入の状況に関する書類そ

の他の物件の提出を命ぜられてこれに従わず、若しくは虚偽の書類その他の物件の提出を

し、又は同項の規定による当該職員(中略)の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳

述をした被保険者

国民年金法第 108条において、厚生労働大臣は、被保険者等の資産や収入の状況につい

て、官公署に対して資料の提供等を求めることができるとされている。これは、任意の協

力依頼について定めた「できる」規定であり、これだけでは地方税法に定める税務職員の

守秘義務は解除されることはない。しかしながら、国民年金法第 106条では、厚生労働大

臣は被保険者等に対して、資産や収入の状況に関する書類等の提出を命ずることができる

と規定され、また、国民年金法第 112条においてこれに従わない場合の罰則が定められて

いる。

したがって、厚生労働大臣と被保険者等の間では、被保険者等の資産や収入の状況は秘

密でないと考えられるため、税務職員が厚生労働大臣からの照会に回答したとしても守秘

義務違反とはならないと考えられる。

この他の例として、納税者が照会者に対して情報を提供することに同意した場合も、や

はり当事者間では当該情報は「秘密」に該当しないため、守秘義務違反とはならないと考

えることができる。

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第4章 税務事務における様々な課題に対する考え方

第3章では守秘義務解除の基本的な考え方について2類型に分類して述べたが、本章に

おいては、それぞれの類型について、日々の業務の中でよく直面するであろう事例を想定

して、どのような課題があるか、また、その課題に対してどのように考えていけばいいか

について述べる。

1.法益間比較衡量型の事例

(1)課題

法益間比較衡量型においては、情報開示を請求する根拠となる法令が多岐にわたり、

それぞれの法益も異なっている。また、開示請求者も警察機関を始めとした行政機関で

ある場合、議会である場合、弁護士会等の私人である場合、あるいは情報公開請求のよ

うに広く一般の住民が請求者となる場合など様々である。これらの様々な請求に対して、

どのように法益をとらえ、比較衡量を行っていくのかが問題となる。

(2)事例及び考え方

(ⅰ)捜査機関から所得情報の開示を求められた場合

【事例】

刑事事件の捜査のために、捜査機関から刑事訴訟法第 197 条第2項に基づき、所得情報

の開示を求められた場合、回答することは守秘義務違反に該当しないか。

【刑事訴訟法第 197条】

捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の

処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。

2 捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることが

できる。

【考え方】

刑事訴訟法第 197 条第2項は、捜査について、公務所等に照会して必要な事項の報告を

求めることができる旨を定めており、この規定は、当該照会に対して報告すべき義務を公

務所等に課しているものと解されている(地方税法総則逐条解説)。

法益間比較衡量の考え方については第3章1で述べたとおりであり、個別具体の状況に

応じ、事案の重要性や緊急性、代替的手段の有無、全体としての法秩序の維持の必要性等

を総合的に勘案し、保護法益間の比較考量を慎重に行うこととなる。

本件についてみると、刑事訴訟法第 197 条は、犯罪捜査という公益の為に認められてい

るものである。一方、所得情報は地方税法第 22条の秘密に該当し、一般に他人に知られた

くない情報と考えられ、その秘密を保護すべき重要性は高いと考えられる。

また、代替的手段について検討すると、この規定は、任意捜査権と称され、捜査当局に

認められている強制捜査権を発動するまでもない場合等に行使される権限である。したが

って、この任意捜査権は、照会相手方の同意の下に行使される権限であって、その相手方

の意に反して捜査するためには、強制捜査権の発動を必要とする。

捜査機関は、その独自の捜査権を発動しさえすれば、私的な秘密については、知り得る

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立場にあるのであり、課税当局から情報提供を受けなければ他に情報を取得する方法がな

いとは言い難い。

したがって、これらを総合的に勘案し、個々の事案の状況等を踏まえ、法益間の比較衡

量等を通じて判断していくことが必要になる。その取扱いには必要な場合に限り応ずるよ

う格別の慎重さが要求されるものと考える。

【留意点】

上記事例では個々の事案の状況を踏まえ、法益間の比較衡量等を通じて判断することが

必要であると述べたが、一部開示が認められているものが存在する。

〈原動機付自転車の所有者関係情報〉

開示が認められる具体例として、平成 17年3月 29日付総税企第 70号自治税務局企画課

長通知において、原動機付自転車の所有者関係情報(氏名、住所、標識番号、車台番号等)

については、①公共性の高い目的のための調査であること、②捜査機関にも守秘義務があ

ること、③通知当時においては自動車の所有者等の情報は誰もが請求可能であり、それと

の均衡を考えれば問題が少ないと考えられること、④当該情報は市町村の課税当局にしか

データが存在せず、他の代替手段が想定しがたいことなどを踏まえ、報告義務に従って情

報提供に応じることが相当であり、地方税法第 22条の守秘義務違反の罪に問われることは

ないと示されている。また、この場合にあっては捜査対象となっている犯罪の内容等につ

いて特に説明を受けることなく情報を提供しても問題ないとされている。

〈比較衡量の他の判断材料について〉

原動機付自転車の所有者関係情報以外であっても、照会事項が事件を解明する上で重要

な事項と認められる、直ちに証拠を保全しなければ証拠隠滅など公訴が難しくなる恐れが

強い、税務機関に照会する以外にその事実を確認する他に有効な手段がないといった理由

がある場合は、開示する場合としない場合の法益衡量等を比較して開示するかどうかを、

その都度、慎重に判断しなければならないことに留意する必要がある。この際、判断する

に足りるだけの情報がなければ、捜査機関に対し提示を求めていくことも必要である。

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(ⅱ)強制競売の申立者(債権者)から公課証明が請求された場合

【事例】

強制競売の申立てをしようとしている者から、民事執行法第 18条に基づき、強制競売の

目的である土地の公課証明書の交付を請求された場合、これに応じることは守秘義務違反

とならないか。

【民事執行法第 18条(官庁等に対する援助請求等)】

民事執行のため必要がある場合には、執行裁判所又は執行官は、官庁又は公署に対し、

援助を求めることができる。

2 前項に規定する場合には、執行裁判所又は執行官は、民事執行の目的である財産(中

略)に対して課される租税その他の公課について、所管の官庁又は公署に対し、必要な証

明書の交付を請求することができる。

3 前項の規定は、民事執行の申立てをしようとする者がその申立てのため同項の証明書

を必要とする場合について準用する。

【民事執行規則第 23条(申立書の添付書類)】

不動産に対する強制競売の申立書には、執行力のある債務名義の正本のほか、次に掲げ

る書類を添付しなければならない。

五 不動産に対して課される租税その他の公課の額を証する文書

【考え方】

民事執行法第 18条は、民事執行の目的である財産に対して課される租税その他の公課に

ついて、執行裁判所又は執行官(第2項)又は民事執行の申し立てをしようとする者(第

3項)が所管の官公署に対し、必要な証明書の交付を請求することができることを定めて

いる。この請求については、民事執行規則第 23条第5号において、不動産に対する強制競

売の申立てに際し、債権者は不動産に対して課される租税その他の公課の額を証する文書

をその申立書に添付しなければならず、これは他の種類の強制執行等においても同様とな

っていることから、債権者等から実際に請求を受けるケースも多いと思われる。ここでの

「租税その他の公課の額を証する文書」については、例えば民事執行の対象が不動産の場

合、「租税その他の公課」は、一般には固定資産税であり、「証する文書」とは、証明書の

名称は市町村により異なることもあるが、いわゆる「公課証明書」のことである。

民事執行法の目的は、執行手続の迅速化や債権者の権利実現の確保などである。

一方、土地の公課証明書は地方税法第 22条の秘密に該当し、一般に他人に知られたくな

い情報と考えられるが、民事執行規則第 23条第5号では不動産に対する強制競売の申立て

に際し、債権者は不動産に対して課される租税その他の公課の額を証する文書をその申立

書に添付しなければならないとされており、民事執行手続を円滑かつ迅速に進めるには、

必ず官公署の援助が必要である。

このように、守秘義務が優先され請求を拒否すると民事執行の実現が行われないように

なり、民事執行自体を否定することになる。

Page 15: 税務事務における守秘義務についての一考察1 はじめに 税務事務に携わる職員は、納税者から提出された申告書を見たり、端末を操作したり、

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また、民事執行法第 18条第2項および第3項が、官公署に対する援助請求のうち、特に

租税その他の公課の証明書の交付をとり上げて規定したのは、証明書の交付が援助請求の

範囲に属するか否か、若干の疑義があり、税務に関する守秘義務との関係で支障を生ずる

おそれがあることを考慮したためとされている(コンメンタール民事執行法)。

以上を総合的に勘案し、民事執行法と地方税法の保護法益を比較衡量し、民事執行に必

要な場合、かつ必要な範囲内に限り公課証明書等を交付することができるものと考える。

したがって、公課証明書を交付したとしても守秘義務違反とはならないと考えられる。

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(ⅲ)議会から証言を求められた場合

【事例】

市議会において、地方自治法第 100 条に基づいて、滞納者個人の氏名及び滞納税額につ

いて証言を求められた場合、これに応じることは守秘義務違反に該当しないか。

【地方自治法第 100条】

普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(中略)に関する調査を行う

ことができる。この場合において、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、

選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。

【考え方】

地方自治法第 100条は、地方団体の議会の調査権についての規定である。

また、法令による証人、鑑定人等となり、「職務上の秘密」に属する事項を発表する場合

においては、地方公務員法第 34条第2項に規定があり、任命権者の許可が必要とされてい

る。

本事例の「個人の滞納税額等」は、地方税法第 22条の秘密に該当するとともに、地方公

務員法第 34条第2項の職務上の秘密にも該当するものである。

そこで、地方公務員法第 34条第2項の任命権者の許可が地方税法の秘密にも及ぶのかが

問題となる。言い換えると、地方公務員法第 34条第2項の許可があれば、地方税法につい

ては判断の必要がなく証言を行うことができるのかという問題である。

地方公務員法第 34条第2項が「職務上の秘密」について任命権者の許可手続を定めてい

る意義は、秘密保護の義務を課す一方、法令に基づき裁判や地方議会における事実の解明

や真実の発見が秘密の保全に対して優先される場合があることを認める趣旨である。

この点において地方税法総則逐条解説では、「地方税法第 22 条の秘密のうち職務上の秘

密に該当するものについては、地方公務員法第 34条第2項の許可を受けた場合には、本条

の守秘義務違反に問われることはない。」とされている。

なお、任命権者の許可については、地方公務員法第 34条第3項に「前項の許可は、法律

に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。」ことと規定されており、これに該

当するものとして、民事訴訟法第 191 条第2項で「公共の利益を害し、又は公務の遂行に

著しい支障を生ずるおそれがある場合」と規定されている。したがって、職務上の秘密に

かかる事項について議会から証言等を求められたときは、その証言等が公の利益を害する

ものかどうかや今後の事務への影響等を十分に精査し、その要請に応ずべきものか否かを

決することが必要である。

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【留意点】

〈任命権者の許可権が及ばない場合〉

地方公務員法第 34条第2項の「職務上の秘密」に該当しないが、第1項の「職務上知り

得た秘密」に該当する場合、任命権者の許可権は及ばないため、任命権者の許可によって

守秘義務が解除されるものではない。

この情報がさらに地方税法第 22条の秘密に該当する場合については、秘密を守ることに

よって得られる利益(地方税法及び地方公務員法)と議会の審議に協力することによって

得られる利益(地方自治法)との優先順位を比較衡量によって判断していくのが適当であ

ると考える。

※民事訴訟法第 197条第2号では、他人の秘密を知る機会が多い一定の職業等にあ

る者について、一定の事項について証言拒絶権が与えられており、その類推適用に

よって、公務員に証言拒絶権が与えられるとの見解もある。

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(ⅳ)情報公開請求が提出された場合

【事例】

市民から情報公開制度に基づき、滞納者との納税交渉の経過について記録した文書の公

開請求があった場合、開示することは守秘義務違反に該当しないか。

【行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条(行政文書の開示義務)】

行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不

開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示し

なければならない。

一 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる

氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することに

より、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはでき

ないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を

除く。

二 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」

という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、

人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。

イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ

があるもの

六 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であ

って、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正

な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

イ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難に

するおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ

【考え方】

情報公開制度の目的は、公文書の公開をすることにより、行政に関して住民の知る権利

を保障するとともに、公正で民主的な行政の執行を図り、もって地方自治の本旨に即した

行政の発展に寄与することにある。

不開示とする文書については各団体において情報公開条例が制定されているところだが、

ここでは「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(以下「情報公開法」)について

解説する。

情報公開法は、第5条において開示請求の行われた文書は開示することが原則であるこ

とを明確に定めるとともに、例外を個別に限定列挙する取扱いとしている。

税務情報と関連が深いと思われるものとしては、

① 個人に関する情報で特定の個人を識別できるもの(一号)

② 法人等に関する情報および個人事業に関する情報でその法人等や個人事業の「権利、

競争上の地位その他正当な利益」を害するおそれのあるもの(二号)

③ 公開することにより租税の賦課・徴収事務の適正な遂行に支障を生ずるおそれがある

もの(事務支障情報)(六号)

を非公開文書として、公開の対象から除外している。

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滞納者との納税交渉に関する記録は、徴収事務によって知り得た秘密であるので、地方

税法第 22条の秘密に該当するが、情報公開法では当該文書がどのように位置づけられてい

るかを検討する。

まず、納税交渉の記録は滞納者が個人の場合は明らかに上記①の個人情報に当たると考

えられ、滞納者が法人や事業を行う個人の場合は、その公開により税金を滞納しているこ

とが判明するのであるから、上記②の「権利、競争上の地位その他正当な利益」を害する

ということがいえる。

次に、徴税事務の過程で徴税吏員が質問検査権を行使するなどして知り得た滞納者等の

秘密に係る情報については、当然、徴税事務にのみ使用され、外部には公開されないこと

が前提となっているから、納税交渉の記録が公開されることとなると、滞納者や調査に協

力した第三者の信頼を著しく損ない、今後自主的に情報の開示、申告がされなくなるおそ

れが高くなることから、③の事務支障情報となると考えられる(平成 20 年3月 21 日東京

高裁判決)。

したがって、本事例については地方税法上も情報公開法上も、情報を開示すべきではな

いという結論になると考えられる。

【留意点】

〈情報の一部について公開を求められた場合〉

平成 20年3月 21日東京高裁判決では、「納税義務者名」と「面談の日付(〇月〇日面談)」

を例として、面談の日付のみを公開すべきかという争点について、非公開事由に該当する

独立した一体的な情報をさらに細分化し、氏名等個人又は団体が識別され、又は識別され

うる部分だけにマスキングを施すなどして一部非公開とし、その余の部分だけ公開するよ

う実施機関に義務付けることは許されないとした。

〈非開示情報に該当する他の事例〉

また、地方税法の秘密には該当しないが、情報公開法の非開示情報に該当すると考えら

れるものとして、各団体が作成した滞納整理の事務処理要領やマニュアルが挙げられる。

これらは調査や徴収事務に関して知り得た秘密ではないので地方税法の秘密には該当しな

いが、こうした情報が公開されてしまうと滞納整理事務に支障が生じるおそれがあるため、

その部分については情報公開法の非開示情報に該当すると考えられる。

〈条例における考え方〉

なお、多くの地方公共団体では条例において「法令等の規定により、明らかに公開する

ことができないとされている情報」を非開示情報としている。これは、地方公共団体は、

法律の範囲内で、かつ、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができると

認められているため、法令で公開できないとされている情報については、条例で公開する

ことはできないためと考えられる。平成 13年 11月 27日大阪高裁判決では、地方税法第 22

条の秘密に該当する情報は「法令等の規定により、明らかに公開することができないとさ

れている情報」に該当するとされている。

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2.非秘密型の事例

(1)課題

非秘密型において、情報が当事者間で秘密ではないといえるための類型の1つとして、

法令上、納税者が照会者に対し一定の事項について報告を行う義務が規定されている場

合がある。そこで、どのような規定がある場合に「報告義務がある」といえるのかが問

題となる。

また、最近の動向として、平成 29年7月より番号法による情報提供ネットワークシス

テムの利用が開始された。この番号法に基づく情報提供は、非秘密型の1つの例である

と考えられるが、番号法特有の考え方についても整理していく必要がある。

(2)事例及び考え方

(ⅰ)国民健康保険料の徴収担当課から滞納者の財産情報の照会が行われた場合

【事例】

公金債権の一元徴収を担当している課から、国民健康保険料に係る徴収を目的として、

税務課が保有する滞納者の財産情報についての照会があった場合、提供することは守秘義

務違反に該当しないか。

【国民健康保険法第 79条の2(滞納処分)】

市町村が徴収する保険料その他この法律の規定による徴収金は、地方自治法第二百三十

一条の三第三項に規定する法律で定める歳入とする。

【地方自治法第 231条の3(督促、滞納処分等)】

3 普通地方公共団体の長は、分担金、加入金、過料又は法律で定める使用料その他の普

通地方公共団体の歳入につき第一項の規定による督促を受けた者が同項の規定により指定

された期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該歳入並びに当該歳入に係

る前項の手数料及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分することができる。

この場合におけるこれらの徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

【国税徴収法第 141条(質問及び検査)】

徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認

められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿書類(中

略)を検査することができる。

一 滞納者

二 滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由

がある第三者

三 滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足

りる相当の理由がある者

四 滞納者が株主又は出資者である法人

【第 146条の2(官公署等への協力要請)】

徴収職員は、滞納処分に関する調査について必要があるときは、官公署又は政府関係機

関に、当該調査に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力

を求めることができる。

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【第 188条(罰則)】

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第百四十一条(質問及び検査)の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又

は偽りの陳述をした者

二 第百四十一条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し

偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者

【考え方】

非秘密型の考え方の一類型として、一定の給付を行う者が受給者に対し一定の事項につ

いて報告を求めることができ、かつ、それに応じない場合の罰則等による担保措置が定め

られていることにより、報告を行う義務があると判断される場合、当該事項はこの関係者

間では秘密でなくなるから、必要な範囲で滞納者の財産情報を提供することは、地方税法

第 22条に規定する守秘義務違反には該当しないというものがある。

ここでは、国民健康保険法の規定がこの類型に該当するかについて検討する。

この点、国民健康保険料については、国民健康保険法第 79 条の2及び地方自治法第 231

条の3第3項の規定により、「地方税の滞納処分の例」により処分することができるとされ

ているが、地方税の強制徴収手続は「国税徴収法に規定する滞納処分の例により滞納処分

をする」旨が規定されている(地方税法第 331条他)。そのため、国税徴収法第5章の滞納

処分に関する規定(第 47条から第 147条まで)などが主として準用され、質問検査に関す

る国税徴収法第 141 条の規定も準用される。さらに、国税徴収法第 188 条では同法第 141

条による質問又は検査を拒否等した場合の罰則が規定されていることから、滞納者等に対

し財産に関する必要な質問や検査への応答が罰則により担保されており、報告義務が課さ

れているといえる。また、国税徴収法第 146 条の2では、官公署等への協力要請も規定さ

れている。

このような事例については、「地方税の徴収対策の一層の推進に係る留意事項等について」

(平成 19 年3月 27 日付け総税企第 55 号総務省自治税務局企画課長通知)において、「国

民健康保険料については、地方税の滞納処分の例により処分することができることから、

国税徴収法第 141 条の規定が適用され、滞納者等に対し財産に関する必要な質問及び検査

への応答義務が課されている。このため、当該情報は滞納者との関係においては秘密では

ないと考えられ、地方税法第 22条に定める守秘義務に関し、地方税と国民健康保険料を一

元的に徴収するため、滞納者の財産情報を利用することについては差し支えない。」とされ

ている。

【留意点】

〈国税徴収法が準用される場合〉

他にも、保育所保育料など、地方税の滞納処分の例によると規定されているものについ

ても同様に考えられ、地方税法第 22条に規定する守秘義務違反には該当しないとされてい

る。ただし、税と公課の担当部署間での情報共有については可能であると言えるが、あく

までも、滞納処分を執行するために認められていること、また、必要な範囲内、つまり滞

納処分を執行する上で必要な情報に限られることに留意する必要がある。

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〈「報告義務」が定められていると考えられる他の類型〉

本事例は罰則の担保により「報告義務」が定められていると考えられるものであるが、

他の類型としては、①法令上、報告しない場合に不利益処分が定められているもの、②法

令の解釈により報告義務があると考えられるものなどが考えられる。

①の例としては、要保護者が報告をしない場合に、保護の実施機関は保護の開始・変更

の申請を却下し、または保護の変更・停止・廃止をすることができる旨を定めた生活保護

法第 28条の規定が挙げられる。

なお、②の例については、公営住宅法第 34条の規定が挙げられる。その詳細については

(ⅱ)の事例で解説する。

これらの規定が存在しない場合、例えば学校給食費など、滞納処分について国税徴収法

が準用されず、民事債権と同一の立場に立つ場合、税務関係情報を提供することは地方税

法第 22条の守秘義務違反に該当する可能性は高いと考えられる。

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(ⅱ)公営住宅の管理者から入居者の収入状況に関する照会があった場合

【事例】

公営住宅の管理者から公営住宅法第 34条に基づき、公営住宅の入居者の収入の状況につ

いて照会があった場合、どのように対応すればよいか。

【公営住宅法第 34条(収入状況の報告の請求等)】

事業主体の長は、第 16条第1項若しくは第 28条第2項の規定による家賃の決定、(中略)

に関し必要があると認めるときは、公営住宅の入居者の収入の状況について、当該入居者

若しくはその雇主、その取引先その他の関係人に報告を求め、又は官公署に必要な書類を

閲覧させ、若しくはその内容を記録させることを求めることができる。

【考え方】

公営住宅法の規定では、その文言上は事業主体の長の権限を規定しているにとどまり、

入居者に報告義務があるとまでは規定されていない。

しかしながら、公営住宅法第 34条の規定が設けられたのは、事業主体の長が公営住宅の

入居者の収入を的確に把握しなければ適正な措置を行うことができないからであって、実

質的には入居者に対して事業主体の長の求めに応じて報告をなすべき義務を課したものと

考えられている。また、官公署に対しても、別段の公益上の理由がない限り、調査に協力

すべき義務を課したものと考えられる(昭和 38 年3月 15 日内閣法制局第一部長から自治

省税務局長あて回答)。

このように、公営住宅法の解釈により、入居者に収入の状況について報告義務があると

解されるものであるから、事業主体の長と入居者との間では当該事項は秘密ではないと考

えられ、税務職員が公営住宅の管理者に対し入居者の収入の状況を回答したとしても、守

秘義務違反とはならないと考えられる。

【留意点】

〈報告義務の判断について〉

本事例は、公営住宅法の解釈により入居者に報告義務があると判断した事例である。他

の法令にも公営住宅法に類似した規定があるものがあるが、これは必ずしも報告義務が定

められているといえるものではないことに留意しなければならない。報告義務が定められ

ているか否かは、各法令の規定の趣旨・目的を勘案して判断する必要がある。

なお、この判断に役立つものとして番号法の規定がある。詳しくは次の事例で述べるが、

番号法第 22条により情報提供ネットワークシステムによる回答義務が課されているものは、

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律別表第二」に

規定されており、具体的には、①利用事務の根拠法令において、本人が行政機関に対して

報告を行う義務が規定されている場合、②利用事務が申請に基づく事務であり本人の同意

により秘密性が解除される場合、に限定されている。また、そのうち②に該当するものは、

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第十九条第七

号の規定により地方税関係情報を照会する場合に本人の同意が必要となる事務を定める告

示」に定められている。

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一般的に報告義務が定められているかどうかの判断に迷う場合は、その情報照会が「行

政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律別表第二」に該当

する照会かどうかを確認し、該当する照会であれば、②に該当していれば同意が必要とさ

れているため報告義務は規定されていない、それ以外については①に該当し報告義務が規

定されている、と考えることができる。

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(ⅲ)情報提供ネットワークシステムにより所得情報の請求が行われた場合

【事例】

番号法第 19条第7号の規定により、情報提供ネットワークシステムを使用した税務情報

の照会があった場合、これに回答することは守秘義務違反とならないか。

【番号法第 19条(特定個人情報の提供の制限)】

何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはなら

ない。

七 別表第二の第一欄に掲げる者(中略)が、政令で定めるところにより、同表の第三欄

に掲げる者(中略)に対し、同表の第二欄に掲げる事務を処理するために必要な同表の第

四欄に掲げる特定個人情報(中略)の提供を求めた場合において、当該情報提供者が情報

提供ネットワークシステムを使用して当該特定個人情報を提供するとき。

十四 各議院若しくは各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(中略)第百四条

第一項(中略)若しくは議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(中略)第一条

の規定により行う審査若しくは調査、訴訟手続その他の裁判所における手続、裁判の執行、

刑事事件の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査又は会計検査院の検査

(中略)が行われるとき、その他政令で定める公益上の必要があるとき。

【第 22条(特定個人情報の提供)】

情報提供者は、第十九条第七号の規定により特定個人情報の提供を求められた場合にお

いて、当該提供の求めについて前条第二項の規定による総務大臣からの通知を受けたとき

は、政令で定めるところにより、情報照会者に対し、当該特定個人情報を提供しなければ

ならない。

【考え方】

番号法は、第 19条において特定個人情報は原則として本人を含め情報提供を禁止するも

のとし、例外を個別に限定列挙する取扱いとしている。

すなわち事務処理の範囲を超えて外部に情報提供をすることは、第 19条各号に列記され

る場合でなければならないとされている。

番号法第 19条に掲げられている例外的に情報提供が可能となる場合について、税務情報

については第7号の「情報提供ネットワークシステムを使用して提供」に該当する場合が

ほとんどであると思われる。

情報提供ネットワークシステムによる照会は、番号法第 22条により回答義務が課されて

おり、①利用事務の根拠法令において、本人が行政機関に対して報告を行う義務が規定さ

れている場合、②利用事務が申請に基づく事務であり本人の同意により秘密性が解除され

る場合、に限定されている。

①②のいずれの場合についても、当該情報は情報照会者と情報提供者の間において秘密

ではないと解することができ、非秘密型に該当するものである。したがって、個別の事例

に照らして検討することなく、守秘義務が解除されているということができ、本事例につ

いて回答したとしても守秘義務違反とはならない。

このような規定になっているのは、個別の案件ごとに開示できるか否かを検討すること

とした場合、番号制度における関係機関相互の情報連携を効果的に行うことにより、公共

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的な利益の実現を図ることとしている番号制度の目的が十分に達せられない恐れがあるた

めとされている。

なお、法律に違反しないかどうかの判定はシステムによって行われ、半ば自動的に照会

に対する回答を行おうとする仕組みが構築されている。

【留意点】

〈番号法第 19条第 14号について〉

注意が必要なものとして、番号法第 19 条第 14 号に規定されている、議会等における証

言、訴訟手続、刑事事件の捜査等がある。第7号のように情報提供ネットワークシステム

を使用したものではなく、回答を行う際には個別の照会に応じる必要がある。

番号法第 19条第 14号は「番号法上は提供することができる規定」であって、「他法に異

なる規定が置かれていても提供することを強制的に義務づける規定」ではない。

番号法第 19条第 14号の情報については、その提供の求めの根拠となった法律の規定が、

地方税法に定める守秘義務解除の根拠となるかどうかを個別に判断していく必要がある。

番号法第 19 条第 14 号が提供制限の例外規定であるとしても、そのことをもって直ちに

地方税法の守秘義務が解除されるということにはならず、これらの守秘義務解除について

は、番号法とは別に、比較衡量の考え方をもって判断しなければならない。

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おわりに

税務事務における守秘義務の問題は、複雑かつ多岐にわたっている。

本論文では実務上よくあるケースを中心に、税務情報の守秘義務解除の考え方について、

行政実例や判例等を参考に論じたものである。また、代表的な事例についての考え方を紹

介しているが、各項目でも述べているように、現場においては個別具体的な事情を考慮し

て判断いただくようご留意いただきたい。

最近においても、いわゆる空家問題に関し、空家等の所有者情報について、固定資産税

の課税情報を行政内部で利用することができる立法措置が講じられるなど、様々な動きが

見受けられる。今後も社会経済の変化や情報化社会の進展、プライバシー保護の観点など

から、その考え方についても、刻一刻と変わっていくことが予想される。

本論文が税務事務に携わる職員において、税務情報の守秘義務解除を判断する上での一

助となることを期待する。

Page 28: 税務事務における守秘義務についての一考察1 はじめに 税務事務に携わる職員は、納税者から提出された申告書を見たり、端末を操作したり、

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