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福祉国家の変容 ヨーロッパ福祉国家の行方

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  • 福祉国家の変容

    ヨーロッパ福祉国家の行方

  • 福祉国家とは何か

    • 資本主義の危機を回避する仕組みを組み込んだ国家

    • 福祉国家を支えてきた2つの理念

    経済政策=ケインズ主義

    社会政策=ベバリッジ主義

  • ケインズ主義

    • 危機的な状況になる前に、国家が経済に介入

    • 需要低迷下では、国家が事業を興し、需要を喚起し、雇用を確保する

    • 目的=完全雇用と経済の安定 を確保

  • ベバリッジ主義

    • 社会政策を資本主義の維持装置から社会統合のシステムへ変容させた

    • 貧困をなくし、ナショナルミニマムを保障し、底上げ方式で豊かな社会を創ろうというもの

  • War Fare StateからWell Fare Stateへ

    • 民間の需要を拡大して貧困をなくすことが戦争回避の途であるという認識

    • ヨーロッパ諸国は、福祉国家のシステムを導入し、豊かな社会を実現

  • 福祉国家の時代

    • イデオロギー終焉の時代

    • 深刻な利益対立を避けつつ経済発展が可能になった時代

    • 資本主義の黄金時代でもある

  • 福祉国家のかかえる問題

    • 高コスト社会

    • 圧力団体による政治

    右肩上がりの経済のなかでパイを分け合うのが政治の役目に

  • 福祉国家の揺らぎ

    • 第1次オイルショック(1973年)を契機に。高コスト社会の競争力低下が顕著に

    • 低成長下のインフレ(スタグフレーション)

    • 福祉国家政策を破棄すべきとする意見が力をもつように

  • 新自由主義による福祉国家批判

    • 政府の巨大化

    • 政府の失敗

    • 政府の過重負担

    • 経済危機の原因は福祉国家に

    • 伝統的な価値を損ない、道徳的な退廃を招き、社会を崩壊に導く

  • 福祉国家の危機打開モデル

    • ケインズ主義 の徹底(フランスなど)

    • 新自由主義的再編 (イギリス)

    • ネオ・コーポラティブ再編(スウェーデン)

  • ミッテランによる改革

    • 金融・産業の国有化、財政支出の増、ワークシェアリング、早期退職のために年金を充実

    • 輸入の急増、フランの急落 、資本の海外流出をもたらす

  • サッチャー改革

    • 4つの柱

    個人の労働意欲の増進

    国家の役割の縮小

    財政赤字の縮小と民間部門の拡大

    労働組合の力の抑制

  • サッチャーによる社会保障改革

    • サービス提供の民営化、実物給付から所得保障へ

    • 社会保障支出は減らなかったが、内容は変化

  • サッチャー改革の成果

    • 強い政府の実現

    • まず雇用ありきから、まず経済ありきへ

    • 結果的に英国病は克服

  • ネオ・コーポラティブ的再編

    • 政府・労働者・資本家の代表が協議し、利害を調整して、合意を形成 する手法

    • 寡占的政治システムによる負担の分かち合い

  • 福祉国家の新たな課題

    • 成長の制約と経済のグローバル化

    • 人口の高齢化、環境問題、EU統合

  • 90年代の動向

    • 新自由主義の成功とネオ・コーポラティブの行き詰まり

    • ヨーロッパ統合のために財政赤字の縮減が求められる

    • 保険料負担から間接税負担へシフトする方向

  • 福祉国家の3類型

    • 福祉国家の3つの方向

    新自由主義型(イギリス)

    普遍主義型(北欧)

    保守主義型(ドイツ、フランス)

    • 一方で、相互に近接しているという考え方も

  • 福祉国家の行方

    • 最大の問題ー雇用

    • 雇用を維持しつつコストを下げる方向へ

    • 社会保障も雇用に悪影響を与えない改革

    • 社会保険料偏重の見直し

  • 1.出所:総務省「主要経済指標」(平成19年8月)等2.単位 %

    参考 各国の実質成長率と失業率日本 アメリカ ドイツ フランス イギリス

    年度 成長率 失業率 成長率 失業率 成長率 失業率 成長率 失業率 成長率 失業率

    2000 2.9 4.7 3.7 4.0 3.2 9.7 4.0 9.5 3.8 3.6

    2001 0.2 5.0 0.8 4.7 1.2 9.4 1.8 8.7 2.4 5.2

    2002 0.3 5.4 1.6 5.8 0.0 9.8 1.1 9.1 2.01 5.1

    2003 1.4 5.3 2.5 6.0 △0.2 10.5 1.1 9.9 2.8 5.0

    2004 2.7 4.7 3.6 5.5 1.3 10.5 2.3 10.0 3.3 4.8

    2005 1.9 4.4 3.1 5.1 0.9 11.7 1.7 9.9 1.8 4.8

    2006 2.2 4.1 2.9 4.6 2.8 10.8 2.2 9.0 2.8 5.4

  • 国民負担率(租税負担、社会保障負担)の推移

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    昭和45

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    平成元

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    社会保障 負担 ④

    地方税 ②

    国税 ①

    注:平成 18 年度までは実績、19年度は実績見込み、20 年度は見通しである。

    出典:財務省ホームページ資料をもとに作成