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www.extricom.com [email protected] WHITE PAPER 無線 LAN での音声通話(VoWLANシステム設計及び性能に関する考察

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Page 1: 無線 LAN での音声通話(VoWLAN...またVoIP アプリケーションとデータ・アプリケーションのもうひとつの違いはジッターに対する 耐性があります。ジッターはランダムな遅延(ゆらぎ)を意味します。音声中のジッターは容易に

www.extricom.com [email protected]

WHITE PAPER

無線 LAN での音声通話(VoWLAN)

システム設計及び性能に関する考察

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Voice over Wireless LAN (VoWLAN)

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Voice over Wireless LAN (VoWLAN)

目 次

はじめに ............................................................................................................................................................... 1

無線LANによる音声通信の課題 ....................................................................................................................... 2

遅延及びジッターの増大、音声品質の低下 ............................................................................................... 2 制限されたカバー・エリア ........................................................................................................................... 2 ローミング遅延 ; 音声通話の中断 ......................................................................................................... 3 セキュリティーの問題 ................................................................................................................................... 3 データの再送とパケットの喪失 ................................................................................................................... 4 不十分な帯域、同時通話数の減少 ............................................................................................................... 4 音声とデータ混在におけるQOSの保障 ........................................................................................................ 5 消費電力に関する要求 ................................................................................................................................... 6 結 論................................................................................................................................................................ 6

エクストリコムのソリューション.................................................................................................................... 7

VOIPの利用を考慮したWLAN....................................................................................................................... 7 遅延及びジッターの低減 ............................................................................................................................... 7 完全なカバーエリア、中断のない音声サービス........................................................................................ 8 ゼロ遅延のローミング、セキュアな移動通信............................................................................................ 8 アクセスポイントのダイバシティーによる再送とパケット喪失率の低減 ............................................ 8 帯域容量の増加と同時通話数の増大 ........................................................................................................... 9 消費電力の低減 ............................................................................................................................................... 9

まとめ ................................................................................................................................................................. 11

リファレンス ..................................................................................................................................................... 11

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Voice over Wireless LAN (VoWLAN)

はじめに

Voice over IP(VoIP)技術は完成度が上がり、また端末価格の低下や製品の品質向上に伴い多くの企業に受け入れられるようになってきました。無線 LAN を利用した VoIP の導入は、電話機からカール・コードを無くすことができ、まさに VoIP の次のステップとなります。

企業における VoWLAN マーケットは当初、倉庫、量販店での商品検索や管理、病院の敷地や病院内でのモビリティーの実現およびセキュリティーを付加した移動体のアプリケーション等の特殊な用途によりその導入が促進されてきました。 音声とデータ・ネットワークの融合は新しいアプリケーションの利用やコストの削減を可能とします。VoWLAN 電話機は先進的なベンダーより製品が提供され、すでに利用することが可能となっています。また、WLAN と携帯電話技術を一体化した(デュアルモード電話)も様々なベンダーや電話事業者により、世界各国で提供されています。 しかしながら、企業における VoWLAN の利用においては広範な利用を阻害する様々な要因があります。例えば、既存の WLAN のインフラによる VoWLAN のアプローチでは以下のような問題点があります。

・ 遅延時間及びジッターの増大による音質の劣化

・ 限定されたカバーエリア

・ AP 間を経由する際のローミングの遅延による音声通話の中断

・ セキュリティーの問題

・ データの再送とパケットの喪失

・ 不十分な帯域と同時通話数の減少

・ 音声とデータ混在時のQoS保障

・ 消費電力の低減 エクストリコムは特許取得技術である Interference-free™(干渉を起さない)アーキテクチャの導入により、現在企業の VoWLAN の導入を阻害している様々な要因を解決する、全く新しい無線LAN アーキテクチャーを提供します。エクストリコムの技術は既存の WLAN アーキテクチャーのカバーエリアや帯域制限の問題を解決し、また WLAN を設置する際に必要とされる、セルプランニングやサイト・サーベイ等の費用のかかる作業も不要とします。本ソリューションでは継ぎ目がなく、安全なモビリティー及び高性能といった特性を非常に低コストで実現することが可能です。エクストリコムの WLAN はゼロ・ローミングや低ジッターを実現するアーキテクチャ及び低消費電力稼動を実現する機能により、VoIP 等のリアルタイム・アプリケーションに最適です。

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無線 LAN による音声通信の課題

一般企業規模の導入においては、既存の WLAN ソリューションはセル・プランニングの形態を取ります。セル・プランニングとは利用可能な 802.11 チャネルを選択し、そのチャネルを各アクセス・ポイントに割振る作業を意味します。この作業を全てのアクセス・ポイントに対して行います。それぞれのアクセス・ポイントはシステム中で“セル”として機能します。またこの形態ではデータ・ユーザに対してのサービス要求に対応できる反面、音声のようなリアルタイム・アプリケーションに対しては、アプリケーション独自の問題が生じます。

遅延及びジッターの増大、音声品質の低下

VoIP アプリケーションとデータ・アプリケーションにおける大きな違いのひとつは伝送遅延に対する耐性です。データ・アプリケーション(例えば Web、メール、ファイル転送など)はスループットの低下に較べて遅延増大には鈍感です。データファイルの受信に対して秒単位の遅延は通常許容範囲ですが、音声におけるミリ秒の 10 倍(数 10 ミリ秒)の遅延は、感覚的に認識でき、不快かつ通常耐え難いものです。たとえば、TCP/IP における最大許容遅延時間は 120 秒ですが、音声通話について ITU G.114 は最大許容遅延時間 150m 秒以内を推奨しています。

“音声通信における 10 数ミリ秒の遅延は許容できません“

また VoIP アプリケーションとデータ・アプリケーションのもうひとつの違いはジッターに対する耐性があります。ジッターはランダムな遅延(ゆらぎ)を意味します。音声中のジッターは容易にクリック音、無音、不明瞭な通話などとして認識できます。ジッター・バッファーは受信した音声パケットをバッファーし、より長く平均化された遅延に変換し、パケットのデコードを遅らせます。ジッタ・バッファーは一番遅延の大きいパケットをベースにして遅延を追加するため、さらに多くの遅延が発生することになります。

WLAN の AP のような、ネットワーク上の各送信、受信ノードは通常受信及び送信パケットをバッファします。これにより遅延とジッターが発生します。ローミング時のセキュリティー・メカニズム、再送データと音声の混在によるオーバーヘッドにより WLAN には遅延とジッターが追加されます。これらの事項について以下に詳解します。

制限されたカバー・エリア

標準的な VoWLAN を利用した VoIP の大きな利点のひとつは物理的な接続コードがないことです。そのため自由なモビリティーを提供します。利用者は企業内のどのような場所でも自由に移動できます。しかしながら通話は中断することなく保持されなければなりません。それは本来のモビリテ

“干渉と障害物により中断のない音声サービスの提供は困難です“

ィーを実現するために、企業内のどのような場所もカバーエリアとされていなければならないこと

を意味します。伝統的な形態でのセル・プランニングでは最大の帯域を維持しながら、カバーエリアを拡大することは不可能です。制限されたチャネル数によりセル間のオーバラップが不可能となり、不感地帯や“ブラックホール”(電波が弱いか、届かない場所)が発生します。

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さらには AP 間の干渉や障害物により RF の環境は常に変化します。このような状況はたとえひとつのセルの中であっても中断のない音声サービスを提供することが困難となります。

ローミング遅延 ; 音声通話の中断

既存の WLAN の形態はカバーエリアの設計にセル・プランニングを使用します。セル間を移動するユーザは、AP 間のハンドオフが必要になります。セル・サイズが小さくなれば利用可能な帯域は大きくなりますが、AP 間のハンドオフはより頻繁に行われることになります。ハンドオフを行うためには、移動先の AP の検索、端末の再アソシエーション、セキュリティー確認及び上位レイヤー・プロトコル間の情報交換などを含むいくつかのステップが必要です。AP の検索には通常150~400 ミリ秒がかかり、さらに 802.11b,802.11g では 40~100 ミリ秒のジッターが発生し、音声の遅延としては許容範囲を超えるものとなります。AP の検索遅延およびジッターまたは複数モードのネットワークではこれら数値の 2 倍以上の遅延およびジッターが発生する場合があります。

“移動体ユーザはセル間を移動する場合に AP 間でのハンドオフが必要になります“ 再アソシエーションにはいくつかのステップが必要となります ; 端末と AP 間のハンドシェー

ク、AP 間プロトコルの交換(IAPP)、移動の通知などです。それぞれのステップでは新たな遅延とジッターが発生します。更に大きな遅延とジッターを招くセキュリティー再確認については次章で解説します。しかしながら上位レイヤー・プロトコルの交換で発生する遅延やジッターについては本サービスの実施に考慮していません。

従来の形態ではクライアント自身がAP間を移動する際のハンドオフの作業を行う必要があります。しかしながらクライアントはネットワーク形態を意識しているわけではないため、間違った選択を行うことが頻繁に起こりえます。クライアントはAPを選択するのに時間がかかり、たとえ自分から遠いAPであっても、同じAP内に留まろうとする傾向があります。ハンドオフはクライアント主体で実行されるため、APのトポロジを端末が認識するような新しい手法が開発されないかぎり遅延とジッターを改善することはできません。しかも、この場合でもわずかな改善しか期待できません。ハンドオフを短時間に行なわなかったり、最適なAP以外へのAPへのハンドオフは帯域の低下を招き、更なる遅延とジッターを発生させ、帯域容量の減少、端末の消費電力の増加を招きます。クライアントがハンドオフを行うため、ハンドオフ前のAPにバッファされたパケットは削除こともあるため、結果として通話品質が低下します。

セキュリティーの問題

WEP(Wire Equivalent Privacy) は 802.11 無線ネットワークに最初に導入されたセキュリティプロトコルですが、最近、その脆弱性が業界で憂慮されています。IEEE802.11i では、新しい WLAN のセキュリティー標準を規定しています。802.11i のサブセットである WPA は以下のようなアルゴリズムを採用しています、TKIP:定期的な暗号鍵の変更、MIC:メッセージの完全性の確認、EAP:強固な認証。これらのアルゴリズムにより WPA は WEP のもつ脆弱性を改善しています。

WPA は適切なセキュリティーを提供するために必要とされますが、AP のハンドオフを行う際には従来の方式に比べ新たなオーバヘッドが発生します。WPA は強力な認証メカニズムを必要とし、暗号キーのペアを AP-ステーション間で交換します。このような方式は通常 500~1500 ミリ秒の遅延を発生させ、音声サービスを中断させます。そのため、新たなより優れたセキュティー方式が登

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場するまで、VoWLAN は信頼性の低い WEP 方式を利用するか、セキュティーを全く考慮しないかを選択するしかありません。しかしながら企業用途ではセキュリティーのない音声通話は受入れることは困難です。

データの再送とパケットの喪失

データ・アプリケーションではパケットの喪失は許容されません。TCP/IP ではエラーの発生、パケットの喪失時にはデータの破壊を防ぐために再送を行います。しかしながらこのような TCP/IP

の立ち上がりの遅いメカニズムは、パケット喪失率が 1%を越えると深刻なスループットの低下を招きます。データとは異なり、音声の場合には多少のパケット喪失は許容され、パケットの喪失が連続的に起こらない限り、一般的には 4~5%程度までは許容の範囲です。

“無線媒体では信頼性が低く、音声アプリケーションはパケットがリアルタイムに到着することが要求され、再送を行うことは重大な時間の浪費となります“ 無線による方式はあまり信頼性がないことは良く知られています。 そのため WLAN の標準では、

パケットの喪失を防ぐための再送メカニズムが含まれています。残念ながら、このメカニズムはデータには有効ですが、音声アプリケーションにおいては相当量のジッターと遅延を発生させることになります。

音声アプリケーションではパケットがリアルタイムに到着することが要求され、一方で再送を行うことは重大な時間の浪費になります。

しかしながら、音声アプリケーションにおいて再送を利用しないためには、より低いパケット喪失方式が要求されます。これを現在の形態で実現することは不可能です。既存の形態では、クライアントから AP までの距離が遠い場合、一時的またはランダムに干渉と妨害が発生し、また隣接するセルによる同一チャネル間の干渉が良好なパケット受信を妨げます。

隣接する他の企業やその事務所の無線(RF)設備(WLAN 等)の利用は別の干渉を引き起こす可能性もあります。隣接する事務所での WLAN の使用、またはそれ以外の無線技術の利用が、新たな干渉を起こす原因となる可能性があり、更にパケットの良好な受信を妨げます。

このような自分以外から発生するパケット受信阻害要因について、隣接の事務所での利用を制限することは不可能であり、また慎重なセル設計により回避することも困難です。

再送機構を利用しなければ、パケットの大きな喪失率は連続的なパケット喪失を引き起こします。

再送機能を利用すれば、非常に多くの遅延とジッターが発生し、帯域は大幅に減少します。いずれにしても、通話品質は大きく損なわれます。

不十分な帯域、同時通話数の減少

音声通信における最大の要求条件は低遅延とジッターですが、適切な帯域の確保も無視できません。帯域は音声の同時通話数を決定する要素となります。VoIP における短いパケットと大きな IP ヘッダーのオーバヘッドにより、一般的なネットワーク帯域の測定方式は音声には適用できません。

音声アプリケーションの特性を考慮した別の帯域測定方法は秒間あたりのパケット(PPS)送信可能数です。様々な要因により WLAN の PPS は影響を受け、最も重要な要素は競合ウインドウ、ACK(確認)パケット、再送及び帯域調整です。

“制限が非常に厳しく、現在の標準ではネットワークあたり5~7 の同時通話しかサポートできません“

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最近の IEEE802.11e 標準では競合を回避するアクセス方式(スケジュールされたアクセス方式)では、ハイブリッド・コーディネーション機能(HCF)、を新たに導入しています。従来の 802.11

のポイント・コーディネーション方式と同様、HCF 方式でも中央制御型ポーリング方式により、クライアント間の電波利用時間の競合を回避します。競合を回避することで、競合のないアクセス方式に較べて一般的に最大帯域の 75%を利用することが可能(競合方式の帯域利用率は 37%程度)です。競合のないアクセス方式ではより高い PPS を提供し、その結果同時通話可能数は 2 倍となります。残念ながら、HCF はかつて移動体クライアントでサポートされたことがなく、クライアント側もまだ HCF を実装していません。仮にスケジュール型のアクセス方式が利用可能となっても(こちらもまだいつになるか不明ですが)、結果として、同一チャンネルを複数の AP が利用すると干渉を生じます、そのためセル・プランニング・ベースの形態ではスケジュール型のアクセス方式を利用することが困難となります。

ACK パケットは VoWLAN において PPS を減少させる最も大きな要因のひとつで、1 通話の VoIP

パケット転送を行うために 30~40%の電波利用時間を ACK で消費します。もし、パケットの廃棄率を低く抑えながら、データ再送を行わない設定を行なえば、ACK パケットの利用を回避できます。

残念ながら、従来の形態では、データの再送、低いネットワーク PPS を回避することはできません。(“データ再送とパケットの喪失”の章参照)。さらには、データの再送がクライアントの帯域調整の契機となります。その結果、同じパケットの送出にさらに電波利用時間が必要となり、PPS

が減少します。これは、言い換えれば、必要とされる ACK の伝送により、PPS は更に減少することになります。

通常、セル化された無線通信方式、携帯電話もそうですが、隣のセルから移動してくる端末のために何割かの回線容量を確保しています。また、隣のセルから移動してくる端末のために帯域の余裕が必要です。これは、すでに少ない帯域を十分に利用できないことを意味します。上記にあげた様々な阻害要因は重大で、現在の推奨値では 802.11b ネットワークにおける 1 チャンネルあたりの同時通話数は 5~7 となります。

音声とデータ混在における QoS の保障

音声とデータネットワークの混在は VoWLAN の導入を更に困難にします。音声アプリケーションでは 1 通話毎に、さほど大きな帯域を必要としない代わりに、非常に低い遅延とジッターが要求されます。もしネットワークの負荷が高い場合、音声に比べて大きなパケット・サイズであるデータ・パケットは、非常に長い時間電波を占有することになり、音声パケットに遅延とジッターを発生させることになります。802.11e のタスク・グループでは 802.11 標準を拡張した品質保証(QoS)を提案しており、共有された無線媒体で音声に優先順位を与えるメカニズムを提供します。この標準化が認定されるまで、そのサブセットである WiFi マルチメディア(WFM)が検証されています。提案されるアルゴリズムには、音声とデータが混在したネットワークにおいても良好な音

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質が求められます;ただしこれはネットワーク内の全てのクライアントにその拡張機能を実装している場合にのみ有効となります。

消費電力に関する要求

携帯型電話は軽量で持ち運びが容易でなければならず、それゆえ大きさ、消費電力及びバッテリーの持続時間が制限されます。バッテリーの持続時間を延長するために、携帯型電話機は、通話中以外は、802.11 における電力節約モードが使用可能です。電力節約モードは通話確立時の遅延を増大しますが、通常音質そのものに影響は与えません。

“電話を利用しながらバッテリーの持続時間を延長させるためには、移動帯ユーザは可能な限り AP に隣接しなければなりません“

通話中におけるバッテリーの持続時間を延長するために、移動体ユーザは可能な限り AP に接近する必要があります。移動体ユーザは AP に接近することで最大の帯域を利用することが可能になります。データ伝送を最大のデータ・レートで行うことで送信機の送信時間を短縮することが可能となり、クライアントの消費電力を節約することができます。その上、移動体ユーザが AP に十分隣接していれば、パケットの転送を最小の送信出力で行うことができます。

伝送標準の選択では、(OFDM)(Orthogonal Frequency Division Multiplexing) またはCCK(Complementary Code Keying)の利用が消費電力に影響を与えます。

一方で、OFDM は高いデータ転送率を提供し、伝送時間を短縮します。また、OFDM の高いデータ転送率は AP からの距離が極端に短い必要があり、またパケットの受信時はより多くの電力を消費します。OFDM と比較し、CCK はパケットの受信時にはそれ程電力を消費せず、より効率的で、より AP からの距離も長くとることが可能です。しかしながら CCK では OFDM よりも低いデータ転送率しかサポートしません。

OFDM 方式を採用しようとすると長距離の通信ができないため、従来の置局配置では VoWLAN 通話はできません。また、未だに OFDM チップの消費電力は大きいために、VoWLAN 端末は CCK

方式を採用しています。このため、802.11g と 802.11b の混在を回避できず、ネットワーク効率を大幅に低減しています。

結 論

WLAN は VoIP に多大な可能性を提供します。それはコードレスのモビリティーを経済的に提供する VoIP のソリューションであるからです。しかしながら、VoWLAN の導入では、効率的に導入するための特別なしくみが必要です。VoWLAN では、遅延とジッターを軽減するために非常に強力なアップリンクが必要です。そのためには完全なカバーエリア、強力なセキュティーを保ちつつ途切れることのないモビリティー、音声サービスの中断を起こさせない、適切なハンドオフ等が要求されます。さらに十分な同時通話可能数を提供するために帯域を増加させる必要性があります。ユーザは、VoWLAN デバイスの消費電力に対応し、伝送電力を低下させ、最大のデータ・レートで伝送を行うために、AP に可能な限り隣接する必要があります。

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エクストリコムのソリューション

VoIP の利用を考慮した WLAN

エクストリコムの干渉フリーWLAN アーキテクチャは WLAN で高品質音声が提供できるよう、基本に立ち戻り設計しました。このユニークなソリューションは機能強化されたインフラを構築することで VoWLAN の様々な問題を解決します。エクストリコムのソリューションでは UltraThin™

AP が WLAN の無線機能と多少の機能を持つのみで、全体のネットワークは中央の WLAN スイッチにより制御されます。既存の CAT-5 のケーブ配線やクライアント側に一切の変更は必要なく、一般的な無線ネットワーク・インタフェース・カード(NIC)が使用可能です。

エクストリコムの WLAN では企業全体を連続する同一チャネルのブランッケット(面)でカバーし、それぞれのブランケット(面)は最大のデータ帯域を提供します。ブラックホールや電波の弱いエリアがなく、AP 間のハンドオフによる遅延がありません。エクストリコムの技術は低遅延、1

パケット毎のアクセス・ルートの決定、ダウンリンクでの輻輳を回避します。

AP は必要な場所に制限なく配置でき、非常に高価な RF のサーベイや導入後の保守を不要とし、非常に広範な拡張性を WLAN の導入に対して提供します。

“エクストリコムのユニークなWLAN アーキテクチャはWLAN で高品質音声が提供できるよう、基本から設計されました“ 既存の CAT5 ケーブルやクライアント側に変更は必要なく、AP は隣接設置が可能で、企業内をくまなくカバーしつつ、同時に最大のデータ転送レートも実現します。“

エクストリコムの特許取得技術である TrueReuse™技術は、同一チャネル間の干渉を回避しつつ、高密度の配置を可能としながら周波数の再利用を可能とします。

ブランケット(面)のカバー範囲では全ての AP が最大のデータ・レートをサポートします。それぞれの UltraThin™AP には同一の筐体に複数の周波数チャネルを同時に利用することが可能なため、複数のブランケットにより高いデータ・レートのエリアが提供されます。

遅延及びジッターの低減

“複数チャネルのブランケットによりエクストリコムは音声とデータを異なるチャネルに割当てることができ、音声品質の保証を現在でも提供できます“

エクストリコムの WLAN では遅延やジッターを大幅に減少させます。エクストリコムの UltraThin

AP はバッファーをもたず、ネットワーク内での遅延やジッターを減少させます。異なるチャネル・ブランケット(面)に音声とデータを割り当てることができ、ほとんどのクライアントが先進の QoS メカニズムを実装していない現在においても音質を保障することが可能です。エクストリコムは更に WFM のサポート、将来起こりえる 802.11e 及び強化された QoS メカニズムの拡張をサポートします。これにより、音声アプリケーションに要求される低遅延及びジッターを提供しつつ、音声とデータの共存がエクストリコム WLAN でも可能となります。

結論 : エクストリコム WLAN は低遅延と低ジッター機能を提供し、VoWLAN の導入に対して完全なソリューションを提供します。

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完全なカバーエリア、中断のない音声サービス

エクストリコムの広範なブランケットによるカバー範囲は企業内における完全で完璧なカバー領域を提供します。近接した同一チャネルの AP は企業内のどの場所にも設置可能で、複数の重複したカバー範囲を提供することでブラック・ホールや電波の弱いエリアを解消します。

“エクストリコムの特許取得技術であるパケット毎のアップリンク AP ダイバシティーにより RF の干渉を回避し、中断のない音声サービスのためのカバーエリアの確保を両立できます“

1 パケット毎に、エクストリコムは中央の装置によりパケットを処理する AP を選択し、そのパケットの到着を確認します。この方式により同一チャネルで複数の AP の設置を可能とし、競合、同一チャネルによる干渉を回避します。エクストリコムの特許取得技術であるパケット毎のアップリンク AP ダイバーシティ機能は中断のない音声サービスのための完全なカバーエリアを提供しつつ、RF の干渉及び妨害による問題を解消します。

ゼロ遅延のローミング、セキュアな移動通信

エクストリコムのアップリンク AP ダイバシティーはゼロ遅延でのローミングを可能にします。ゼロ遅延ローミングは AP 間のハンドオフによる遅延とジッターの発生を排除します。端末はいったん全体のネットワークにアソシエーションすると、再アソシエーションの処理を行うことなく企業内のどの場所においても、中断のないローミングを実現します。エクストリコムのパケット毎に経路を決定する方式は AP 間でのハンドオフにおいて一切のパケット喪失を発生させません。高度な判断はインフラにより行うことにより、端末は AP 間のハンドオフ処理を意識する必要がありません。

ゼロ遅延ローミングにより、エクストリコムは安全で中断のないモビリティーを遅延とジッターを増加させることなく実現します。“

さらに、ゼロ遅延ローミングにより、エクストリコムはセキュリティーの再確認による遅延を発生させません。これによりエクストリコムのソリューションが WPA,AES または 802.11i など最新のセキュリティー方式の使用を、新たな遅延やジッターを発生させることなくセキュアで中断のないモビリティーを提供しながら可能とします。

結論 : エクストリコムは、企業のどの場所においても、ゼロ遅延によるローミングを提供し、AP 間のハンドオフにおける遅延やジッターの発生を抑え、セキュアな VoWLAN の利用を可能とします。

アクセスポイントのダイバシティーによる再送とパケット喪失率の低減

エクストリコムによる最大データ・レートの実現と完全なカバーエリアは、パケット毎によるアップリンクAPダイバシティーとの組合せにより、不正確なパケットの受信を最大限減少させることができます。そのため移動体端末は常にAPに隣接させることが可能です。また、複数の AP がそれぞれのパケットを受信することにより、ランダムに発生する干渉や障害による影響を回避します。さらには隣接した場所同士は移動体端末が AP に十分近接し、アップリンク AP ダイバシティーが利用される場合においてはほとんど干渉を起こすことはありません。アップリンク AP ダイバーシティと同一チャネル干渉回避により、ほとんどのパケット受信障害を排除できます。

これらの組合せにより、受信状態の悪いパケットが発生する可能性を減少させます。

これはまたデータ・パケットの再送回数を減少させ、音声パケットの再送を回避します。

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受信状態の悪いパケットが発生する可能性が少なく、再送を回避することで、パケットの廃棄率を低く維持しながら、ジッターと遅延を減少させることで、通話品質を改善します。

結論 : アップリンク AP ダイバシティーは再送を回避し、最高の音声品質を提供します。

帯域容量の増加と同時通話数の増大

再送を回避することにより、エクストリコムは最大同時可能通話数を増加させることができます。パケット廃棄率の低下により高い音質を提供するため、ACK パケットは音声に必要とされません。再送の回避と ACK パケット送信の抑制により、同一ネットワークにおいておよそ 2 倍の最大同時通話可能数を提供することが可能となります。さらにエクストリコムの干渉フリーのアークテクチャはスケジュール型のアクセス方式に完全にマッチします。(例えば 802.11e における HCF 等)エクストリコムのダウンリンクにおける競合の回避と同一チャネル間の干渉抑制方式の組合せにより、スケジュール型のアクセス方式がネットワーク上のどの場所でも利用可能となり、従来の 2 倍の同時通話数のサポートを提供します。

エクストリコムの WLAN は、単一のチャンル・ぶらんけっとにより企業のすみずみをカバーし、それぞれのbランケットは最大の帯域容量を提供します。“

エクストリコムはさらに最大同時通話数も拡大させることができます。WiFi ネットワークに接続されたすべての端末の同時通話を可能とします。これまで考慮してきたチャネルあたりの最大通話数をさらに数倍に拡張できます。これは各 UltraThin™AP が同時に複数のチャネルを利用することが可能なためで、同時通話数は複数倍となります。従来方式のAPは複数のチャンネルをサービス領域の拡張のために利用しており、カバレージ領域全体にわたり3チャネルを同時に利用することができないからです。さらには、エクストリコムはゼロ遅延ローミングの可能なブランケットカバレッジを提供するため、音声帯域に余裕を持たせる必要がありません。従来方式では必須であった隣のセルから移動してくる端末のための予備音声帯域を確保する必要がないからです。結果としてエクストリコムの無線LANネットワークでは非常に多くの端末が同時通話できます。

結論 : エクストリコムのユニークな技術により同時可能通話数を飛躍的に増加させます。

低遅延及びジッターを維持することで、他のシステムと比較して数倍の効果があります。

消費電力の低減

エクストリコムのブランケットによるカバーエリアと同一チャネル上の複数の AP により、移動体端末と AP 間の距離を飛躍的に短縮することができます。これは、言い換えれば、消費電力の飛躍的な節約にもなります。VoWLAN 端末では各パケットの伝送電力を低減させることができます。さらには VoWLAN 端末は、仮に OFDM であっても、常に最大のデータ・レートで送信を行うことにより、送信時間が短縮され、移動体端末の消費電力を節約することが可能です。

エクストリコムのブランケットによるカバーエリアにより、移動体端末はパケット毎の送信消費電力を低減することができ、また送信時間を短縮することで、消費電力を低減することができます“

さらに、エクストリコムの 1 チャネルブランケットのカバーエリアにより動的及び静的な負荷分散を行うことが可能です。企業内で複数のブランケット(面)を利用することで、低速な VoWLAN 端末を音声専用のチャネルに収容し、他のチャネルには高速データのアプリケーションを収容させることが可能です。

結論 : エクストリコムのブランケットカバーエリアは消費電力を飛躍的に低減させます。

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まとめ

エクストリコムの干渉フリーWLAN アーキテクチャは WLAN で高品質音声が提供できるよう、基本に立ち戻り設計しました。エクストリコムの技術はアップリンク AP ダイバシティー、完全なブランケットによるカバーエリア、広範な VoWLAN の適用を阻害する技術的な障害を克服するゼロ遅延ローミングを提供します。VoWLAN は柔軟で企業内のいかなる場所においてもモビリティーを提供し、データと音声の混在を可能とします。

エクストリコムの VoWLAN 音声ソリューションでは以下の機能を提供します。

・ 遅延とジッターを低減することで、公衆電話網と同等の音声品質を提供します。

・ 完全なカバーエリアと中断のない音声サービスの提供

・ ゼロ遅延ローミング

・ 最高の利用可能なセキュリティー

・ 容量の飛躍的な増大による最大同時通話数の増加

・ サービス品質の確保による音声とデータの混在サポート

・ 消費電力の低減

リファレンス

1. Understanding Delay in Packet Voice Networks White Paper. Cisco, 2003

2. An Empirical Analysis of the IEEE 802.11 MAC Layer Handoff Process,by Arunesh Mishra, Minoh Shin, William Arbaugh. University of Maryland, 2002

3. Fast Handoff Issues, by Benard Aboba, Microsoft. IEEE 802.11-03/155r0, 2003

4. Overcoming Barriers to High-Quality Voice over IP Deployments White Paper. Intel, 2003

5. Including VoIP over WLAN in a Seamless Next-Generation Wireless Environment White Paper, by Paul Struhsaker. Texas Instruments, 2003

6. 802.11 WLAN Coverage and Capacity White Paper. Extricom, 2003

7. Power Consumption and Energy Efficiency Comparisons of WLAN Products. Atheros Communications, 2003

8. IEEE 802.11g Network Behavior in a Mixed Environment, by Jim Zyren, Tim Godfrey, and Menzo Wentink. Intersil Corporation, 2003

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