第八章 伝達装置shutingli/cadgeardesign1.pdf圧力角度α 14.5 20 25 並歯 h k =m 31.9 17.1...
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歯車伝達装置
1. 歯車装置は機械を構成する最も重要な機械要素の一つである。
2. 航空機・宇宙機器、新幹線電車、船舶、車、風車などの多くの機械に幅広く使われている。
3. 歯車装置の性能(振動・騒音・効率・伝達精度など)と寿命は多くの機械の性能と寿命に直結している。
4. 歯車装置の設計に関する基本技術の把握は機械設計者にとって極めて重要である。
歯車の用途:
第八章 伝達装置
歯車の分類
平歯車
内歯車
はすば歯車
やまば歯車
傘歯車
フェースギヤ
まがりば傘歯車
ねじ歯車
ハイプイドギヤ
ウォームギヤ
ラック
食い違い軸の歯車 交差軸の歯車 平行軸の歯車 はすばラック
1.一対の平歯車伝達のピッチ円とピッチ点
ω1, ω2 :角速度
r1, r2 :半径(ピッチ円半径)
1
2
2
1
r
ri
● P
r2
r1
摩擦伝達
P:ピッチ点
r1, r2 :ピッチ円の半径
歯車伝達
P:ピッチ点
速比:
接触円
2.歯車の歯数とモジュール
ピッチ円、歯数とモジュールの関係:
1
1
z
dm
2
2
z
dm
11 zmd
22 zmd
d1、d2:歯車1と2のピッチ円直径;
z1、 z2:歯車1と2の歯数
モジュールの定義:
and
(1)
(2)
一対の歯車のかみあう条件:
歯車1と2のモジュールが等しくならなければならない。
モジュールはJIS規格の標準値を使用:
第1系列 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.8 1 1.25 1.5 2 2.5 3 4 5 6 8 10 12 16 20 25 32 40 50
第2系列 0.15 0.25 0.35 0.45 0.55 0.7 0.75 0.9 1.75 2.25 2.75 3.5 4.5 5.5 7 9 11 14 18 22 28 36 45
第3系列 0.65 3.25 3.75 6.5
m
m
0.2
5m
1.2
5m
ピッチ円
2.2
5m
3.歯車の歯の構成(歯先円、歯元円、歯たけ)
歯底円直径=ピッチ円直径-2 ×歯元のたけ=mz-2(1.25m)=(z-2×1.25)m
歯先円直径=ピッチ円直径+2×歯末のたけ=mz+2m=(z+2)m
歯元のたけ=m+0.25m=1.25m
歯末のたけ=m
全歯たけ=(m+m+0.25m)=2.25m
頂げき:c=0.25m
有効歯たけ:he=m+m=2m
標準歯車の場合
頂げきC
4.ラックによる歯車の歯の加工(創成運動)
標準歯の加工:ラックの創成運動により歯が加工される⇒創成法
ラック
ラック
創成された歯車の歯形
歯車
5.ラック上の点と加工された歯形上の点の対応関係
ラックの歯形 歯車の歯形
ピッチ点 ピッチ点
台形の傾斜角度 ピッチ点における圧力角度(標準の場合=20度)
歯先(Ck 部) 頂げき部
歯末のたけ(Ck部を除く) 歯元のたけ(頂げき部を除く)
歯元のたけ(m) 歯末のたけ(m)
基準ピッチ線 ピッチ円
ピッチ 円周ピッチ mt 0
6.歯車の歯形曲線:インボリュート曲線
インボリュート曲線は図1のように巻き付けた糸をたわませずに巻きほこしていった時、糸の先端が描く曲線a0, a1, a2…, anである。この基となる円を基礎円(Base circle)と呼ぶ。
図1 インボリュート曲線の発生
特徴: 1. インボリュート曲線上の点の垂線は基礎円と接し、その点から接点までの長さは曲率半径に等しい。
2.
1011 baba
2022 baba
3033 baba
…………… 基礎円
インボリュート曲線
糸
糸
糸 糸
糸 糸
糸
糸の先端
7.インボリュート関数
図2 インボリュート関数の導き
図2において、点Pにおける曲率半径をρとすれば、下記の式が得られる。
IAIP
また、次のような式が得がれる。
grIA )(
tan
ただし、 =圧力角度; =基礎円半径(mm)
この をインボリュート関数と呼ぶ。式(5)のように表現する。
gr
tangrIP
直角三角形OIPにおいて、次(3)が得がれる。
(1)
(2)
(3)
(2)と(3)を(1)に代入し、式(4)が得がれる。
taninv
(4)
(5)
インボリュート曲線
8.歯の法線ピッチと円周ピッチ
法線ピッチ te=法線方向に測ったピッチ
円周ピッチ t =円周上に測ったピッチ
z
rt
2
z
rt
g
e
2
cosrrg
coscos mtte
円周ピッチの計算式:
法線ピッチの計算式:
法線ピッチと円周ピッチの関係: =ピッチ円半径; =基礎円半径
grr
(1)
(2)
(4)
(3)
9.インボリュート歯形の特徴
1. インボリュート曲線の他に、歯車の歯形として使用できる曲線はサイクロイド曲線、トロコイド曲線などがある。
2. 歯形の作りやすさや加工精度の保障からみると、インボリュート曲線はコストパフォーマンスが一番よいので、現在ピン歯車装置や波動歯車装置を除き、殆どの歯車にインボリュート曲線を歯形曲線として採用されている。
10.圧力角、ピッチ円、基礎円の関係
cos11 rrg
1. ピッチ点Pを通った基礎円の接線は作用線である。
2. 作用線の傾き角度 をピッチ点Pの圧力角度と呼ぶ。標準歯車の場合には、この角度はラックの圧力角度
と等しくなる。即ち:
21, gg rr
21, rr
c
c
:歯車1と2の基礎円半径;
:歯車1と2のピッチ円半径;
:ピッチ点Pにおける圧力角;
:ラックの圧力角;
c
(1)
(2)
圧力角、ピッチ円、基礎円の関係:
cos22 rrg (3)
11.歯のかみあい点と作用線の関係について
歯車のかみあい(接触)は作用線上に沿って行われている。即ち、一対の歯車の歯のかみあい始めとかみあい終わりのすべての過程において、歯のかみあい点(歯の接触点)は作用線上に沿って移動し、かみ合い過程を完成させている。
12.歯のかみあい長さとかみあい率
1枚歯のかみあい開始点からかみあい終了点までの作用線上の距離をかみあい長さと呼ぶ。
かみあい長さ=K1K2
(作用線上の距離)
かみあい開始点:K1
かみあい終了点:K2
ピッチ点:P
K1Pにおけるかみあい:近寄りかみあい
PK2におけるかみあい:遠のきかみあい
(1)かみあい長さLの計算:
sin2
2
2
2
2
1
2
121 ArrrrKKL gkgk
1gr 1kr
:歯車1の基礎円半径; :歯車1の歯先円半径;
:ピッチ点Pにおける圧力角;
(1)
2gr 2kr:歯車2の基礎円半径; :歯車2の歯先円半径;
A :歯車1と2の中心距離;
かみあい長さを法線ピッチで除した商をかみ合い率と呼ぶ。
et
L
法線ピッチ
かみあい長さかみあい率
かみ合い率の定義:
(1)
(2) 歯のかみあい率
かみ合い率の計算式:
c
bgkgk
e m
Arrrr
t
L
cos
sin2
2
2
2
2
1
2
1 (2)
平歯車の1対の歯のかみあいと2対のかみあい様子
2対の歯のかみあい始め 2対の歯のかみあい途中
2対の歯のかみあい終わり 1対の歯のかみあい始め
13.歯車諸元及びその符号
名称 符号
歯数 z
モジュール m
圧力角度 α
転位係数 x
歯先円 dk
ピッチ円 d
歯底円 dr
基礎円 dg
歯たけ h
頂げき Ck
中心距離 a
14.標準平歯車の寸法計算式の纏め
22
)( 2121 ddZZma
11 mZd 22 mZd
)2(2 1111 zmhdd kk )2(2 2222 zmhdd kk
111 2 fr hdd 222 2 fr hdd
cg mzd cos11 cg mzd cos22
歯先円直径
歯底円直径
基礎円直径
基準ピッチ円直径
中心距離
頂げき 0.25m≧kC
歯末のたけ mhk
歯元のたけ kf Cmh
有効歯たけ mhh ke 22
全歯たけ mhhh fk 25.2
歯車1 歯車2
15.歯の干渉現象と切下げ
小歯車の歯数は非常に少ない場合には(例えばZ<17)、大歯車の歯先円は小歯車のイン
ボリュート曲線の発生円である基礎円の内部に入り、インボリュート曲線は基礎円から始まり、基礎円の内部には、インボリュート曲線が形成できないので、大歯車の歯先と小歯車の歯元は干渉が発生し、この干渉で歯車加工時、小歯車の歯元を切下げる現象が発生する。
切下げると歯の根元はやせ、強度低下することになるとともに、切下げ部の滑り率が非常に大きいので、切下げる部にかみあう場合には、激しい摩耗が発生する恐れがある。従って、切下げを防がなければならない。
(別名:アンダーカット 英文:undercut)
干渉による切下げ
16.切下げしない最小歯数及び切下げ防止対策
(1)切下げしない最小歯数の計算式:
(2)切下げ防止方法:
1. 圧力角度を大きくする。
2. 歯のたけを低くする。
3. ラックを転位させて、転位歯車を作る。
2minsin
2
m
hZ k 圧力角度α 14.5° 20° 25°
並歯 hk =m 31.9 17.1 11.2
低歯 hk =0.8m 25.5 13.7 9.0
高歯 hk =1.2m 38.3 20.5 13.4
表1 圧力角度と切下げしない最小歯数の関係
転位歯車で対策する時の切下げしない最小転位係数:
21 sin2
1z
x (並歯の場合)
(1)
(2) 転位前 転位後
17.並歯・低歯・高歯歯車の定義
低歯: 歯末のたけ<m
( m=モジュール )
並歯: 歯末のたけ=m
高歯: 歯末のたけ>m
(スプライン締結)
(最も一般的に使用されているもの)
(航空機に使用)
18.歯車の滑り率
歯車1は微小な角度ωで回転した時、歯車1の歯形の円孤移動量をds1とし、歯車2の歯形の円孤移動量をds2とすると、滑り率は下記の式で定義できる。
1
211
s
ss
d
dd
2
212
s
ss
d
dd
歯車1の滑り率: 歯車2の滑り率:
(1) (2)
(1)滑り率の定義:
(2)滑り率の計算式:
Xd
iX
b
sin)2/(
)/11(
1
1
Xd
iX
b
sin)2/(
)/11(
1
2
(X: 接触点からピッチ点までの距離、
( ) 12 /ddi
𝛼𝑏:圧力角度)
(d1,d2: ピッチ円直径)
1. 歯車1と2のピッチ点における滑り率はゼロであり、ピッチ点から歯先・歯元へ離れていくと、滑り率はだんだん大きくなっていく。
2. 歯先と歯元の滑り率は一番大きい。
図1 歯車1と2の滑り率曲線
(3)滑り率の曲線及び特徴
19.転位歯車と転位係数
なぜ、転位歯車を作る必要があるか?
1. 転位により、歯車の軸間中心距離が自由に調整・設計できるようになる。
2. 転位により、かみ合い率は大きくなり、滑り率が小さくなり、歯元が強くなるなどの利点があり、歯車の性能改善ができる。
3. 歯車転位により歯車の干渉による切下げを防ぎ、最小歯数を17枚以下にすることができるので、減速比や歯車外形寸法の調整は容易になる。
xm
+転位 -転位
x:転位係数
xm:転位量
(1)標準歯車の加工 (2)転位歯車の加工
20.転位歯車の寸法計算
中心距離増加係数:
1
cos
cos
2
21
b
czzy
中心距離:
b
cbb mzzddmy
zzA
cos2
cos)(
22
212121
αc(α0):ラックカッターの圧力角度;
ccb invzz
xxinv
21
21tan2
αb:かみあいピッチ円の圧力角度:
21.転位平歯車の寸法計算式の纏め
歯先円直径
歯底円直径
基礎円直径
基準ピッチ円直径
中心距離
転位係数
歯末のたけ
かみあい圧力角度
歯車1 歯車2
かみあいピッチ円直径
中心距離増加係数
1x 2x
C
ccb invzz
xxinv
21
21tan2
1
cos
cos
2
21
b
czzy
b
cbb mzzddmy
zzA
cos2
cos)(
22
212121
21
11 2
zz
zAdb
21
12 2
zz
zAdb
11 mZd 22 mZd
mxzdk )}1(2{ 111 mxzdk )}1(2{ 222
cg mzd cos11 cg mzd cos22
hdd kr 211 hdd kr 222
mxhk )1( 11 mxhk )1( 22
工具圧力角度
22.歯車の回転方向
駆動歯車と被動歯車は逆方法
駆動歯車と被動歯車は同方法
外歯車の場合:
内歯車の場合:
ラックの場合:
23.歯車の減速比、回転数と伝達トルクの関係
モーター
負荷
入力軸側
出力軸側
1Z
2Z
1n
2n
1T
2T1
2
2
1
z
z
n
ni
12 TiT
i
nn 1
2
:減速比;
z1、z2:歯車1と歯車2の歯数;
n1、n2:歯車1と歯車2の回転数(rpm);
T1、T2:歯車1と歯車2に作用されるトルク
i
(2)回転数の関係
(3)トルクの関係
(1)減速比の計算:
24.多段歯車装置の減速運動
25.多段歯車装置の減速比計算
モーター
負荷
入力軸側
出力軸側
1Z 1n
2n3Z
3n4Z
4n
2Z
5Z
6Z
1
212
z
zi
5
634
z
zi
34231214 iiii
3
423
z
zi
5
6
3
4
1
214
z
z
z
z
z
zi
2段目
1段目
3段目
(1) 1段目減速比:
(2) 2段目減速比:
(3) 3段目減速比:
(4) 総減速比の計算式:
(1)
(2)
歯車設計時の注意点:
1. 歯車1と2のモジュールは等しいこと。
2. 工具の圧力角度は20度であること(JIS規格)。
3. 最小歯数を選ぶ時、歯元切下げの有無を確認すること(標準歯車の場合には、最小歯数は17枚以上)。
4. 標準歯車の設計で軸間中心距離が満足できない場合には、転位歯車で軸間中心距離を調整し、要求される距離を満足させることができる。
5. 転位歯車を設計する時、転位係数は歯車の性能や強度にも影響を及ぼすので、転位係数の妥当性検討が必要であり、任意的に転位係数を選ばないこと。また、“+”転位の場合には、転位係数が大きすぎると、下図のように歯先が尖るので、転位係数を選定時、要注意。
歯先尖りのある歯車
薄肉歯車の各部の名称
リム リム
ウェブ
ウェブ
ハブ
歯幅 歯幅
ハブ
完了