第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (1 ...第3...

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (1)献立作成 56 第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (1)献立作成 一 献立作成は、学校給食施設及び設備並びに人員等の能力に応じたものと するとともに、衛生的な作業工程及び作業動線となるよう配慮すること。 施設・設備や人員に配慮した献立を作成すること 学校給食施設及び設備の設置状況や、学校給食調理員の人数等の能力を考慮 し、配食や配送まで含め、無理がない衛生的な調理作業となるよう献立を立て る必要があります。 衛生的な作業工程及び作業動線となるよう配慮すること 学校給食従事者が汚染作業区域から非汚染作業区域へ極力移動しないよう に、また、二次感染を招くかけ持ち作業をしないように献立ごとに調理作業の 手順、時間及び担当者を示した作業工程表や調理室内での食品の動きを示した 作業動線図を作成し、二次汚染の危険がないよう十分配慮した献立を作成する 必要があります 二 高温多湿の時期は、なまもの、和えもの等については、細菌の増殖等が 起こらないように配慮すること。 調理環境に配慮した献立であること 高温多湿の時期には食品中で細菌の増殖が活発となります。したがって、加 熱をしないなまもの、「加熱、冷却、和える」といった調理工程が多くなる和 えものは二次汚染を受ける可能性が高くなります。 二次汚染を防止する作業動線を確保できない、あるいは生食及び和えもの用 の冷蔵庫がなく、食品の適切な温度管理ができない調理場においては、特に注 意する必要があります。 ★ 長期の休み明けの献立について 長期の休み明けの献立は、児童生徒の体調を考え合わせて作ります。長期の 休みが明けると、体調不良の児童生徒を多数見かけますので、なまもの、和え もの等の献立を作成する場合には、十分注意する必要があります。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (1)献立作成

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第3

第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準

(1)献立作成

一 献立作成は、学校給食施設及び設備並びに人員等の能力に応じたものと

するとともに、衛生的な作業工程及び作業動線となるよう配慮すること。

施設・設備や人員に配慮した献立を作成すること

学校給食施設及び設備の設置状況や、学校給食調理員の人数等の能力を考慮

し、配食や配送まで含め、無理がない衛生的な調理作業となるよう献立を立て

る必要があります。

衛生的な作業工程及び作業動線となるよう配慮すること

学校給食従事者が汚染作業区域から非汚染作業区域へ極力移動しないよう

に、また、二次感染を招くかけ持ち作業をしないように献立ごとに調理作業の

手順、時間及び担当者を示した作業工程表や調理室内での食品の動きを示した

作業動線図を作成し、二次汚染の危険がないよう十分配慮した献立を作成する

必要があります

二 高温多湿の時期は、なまもの、和えもの等については、細菌の増殖等が

起こらないように配慮すること。

調理環境に配慮した献立であること

高温多湿の時期には食品中で細菌の増殖が活発となります。したがって、加

熱をしないなまもの、「加熱、冷却、和える」といった調理工程が多くなる和

えものは二次汚染を受ける可能性が高くなります。

二次汚染を防止する作業動線を確保できない、あるいは生食及び和えもの用

の冷蔵庫がなく、食品の適切な温度管理ができない調理場においては、特に注

意する必要があります。

★ 長期の休み明けの献立について

長期の休み明けの献立は、児童生徒の体調を考え合わせて作ります。長期の

休みが明けると、体調不良の児童生徒を多数見かけますので、なまもの、和え

もの等の献立を作成する場合には、十分注意する必要があります。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (1)献立作成

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第3

三 保健所等から情報を収集し、地域における感染症、食中毒の発生状況に

配慮すること。

地域の衛生に関する状況把握に努めること

保健所等から情報を受け、地域における感染症、食中毒の発生状況を考えに

入れ献立を作成します。

地域で感染症、食中毒が発生した場合は、学校もその影響を受ける可能性が

あります。特に近年は、ウイルス性の感染症が学校においても発生しており、

学校給食においてもノロウイルス食中毒が発生しています。「保健所との連

携」と「衛生管理に配慮した献立の作成」が重要です。

調理場では、学校給食従事者の健康観察と手洗いを徹底するとともに、養護

教諭と連携を図り児童生徒の欠席状況等を把握することが大切です。

★ 献立の変更について

学校所在地域で食中毒や感染症が発生しているにもかかわらず、献立の中に

和えものや非加熱調理食品等が入っていることがあります。

食中毒やノロウイルス等による感染症が流行している情報を得たら、速やか

に全て加熱調理に切り替えるなど献立の変更を検討することが必要です。

四 献立作成委員会を設ける等により、栄養教諭等、保護者その他の関係者

の意見を尊重すること。

献立作成委員会等を設けること

学校給食調理場の設置者は、校長、教諭、栄養教諭等、学校給食調理員、保

護者代表等の意見が十分尊重されるように、献立作成委員会を設置するととも

に、学校医、学校薬剤師、保健所等衛生管理の専門家の助言を受けることがで

きる体制を整えることが必要です。

学校給食の役割は、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達のために、十

分な衛生管理のもと、バランスのとれた魅力ある美味しい食事を提供すること

と併せて生きた教材として、教科と関連することや地場産物や郷土食等を提供

することを通して地域に寄せる心を育む等食育に資することが求められていま

す。

栄養教諭等が作成した献立の意図が十分理解されるとともに、保護者等の意

見や衛生管理の専門家等の助言も反映されることが大切です。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (1)献立作成

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第3

五 統一献立(複数の学校で共通して使用する献立をいう。)を作成するに

当たっては、食品の品質管理又は確実な検収を行う上で支障を来すこと

がないよう、一定の地域別又は学校種別等の単位に分けること等により

適正な規模での作成に努めること。

統一献立を作成する際には、適正な規模で献立を作成すること

統一献立は、危害を分散させるために、次のことに注意して作成します。

1 食品の調達、納入に無理はない。

2 大量の食品の品質が確保できる。

3 確実な検収が行える。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (2)学校給食用食品の購入

①共通事項

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第3

(2)学校給食用食品の購入

①共通事項

一 学校給食用食品(以下「食品」という。)の購入に当たっては、食品選

定のための委員会等を設ける等により、栄養教諭等、保護者その他の関

係者の意見を尊重すること。また、必要に応じて衛生管理に関する専門

家の助言及び協力を受けられるような仕組みを整えること。

食品選定のための委員会を設置すること

学校給食調理場の設置者は、食品選定のための委員会を設置し適切に食品選

定ができる仕組みを整えます。

食品選定のための委員会とは、食品の安全性が確保され地場産物の活用など

教育的配慮がなされた学校給食を作るために、学校給食で使用する食品等の検

討を行なうための組織です。

このため、教育委員会等は、栄養教諭等がその食品を選定した意図を十分理

解する必要があります。また、保護者等の意見を十分尊重し、必要に応じて衛

生管理に関する専門家の助言を得るなど、多くの関係者で協議され、学校給食

に使用される食品が選定される仕組みを整えることが必要です。さらに、食品

納入業者と連携し、より安全な食品を選定することが重要です。

<食品選定のための委員会構成人員>

・市町村教育委員会

・校長または所長

・栄養教諭等

・給食主任代表

・学校給食調理員代表

・衛生管理に関する専門家等

・保護者代表

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (2)学校給食用食品の購入

①共通事項

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第3

二 食品の製造を委託する場合には、衛生上信用のおける製造業者を選定す

ること。また、製造業者の有する設備、人員等から見た能力に応じた委

託とすることとし、委託者において、随時点検を行い、記録を残し、事

故発生の防止に努めること。

食品の製造を委託する場合においても、学校給食衛生管理基準に基づくこと

学校給食用食品の製造を委託する場合には、地域の保健所等の協力を得て、

衛生管理において十分に信用のおける製造業者を選定し、業者の施設及び設

備、従業員数など製造、加工の能力を超えた委託をしないことが大切です。

また、調理等の委託を行うにあたっても基準を尊守する必要があります。ま

た、仮に食中毒が発生した場合の原因究明のためにも、委託者が随時点検を行

い、記録を残し事故発生の防止に努める必要があります。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (2)学校給食用食品の購入

②食品納入業者

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第3

②食品納入業者

一 保健所等の協力を得て、施設の衛生面及び食品の取扱いが良好で衛生上

信用のおける食品納入業者を選定すること。

適正な食品納入業者を選定すること

学校給食用食品は、衛生的に生産・流通されているものでなければならない

ので、食品を購入するに当たっては、十分な衛生知識を持った信用のおける食

品納入業者を選定しなければなりません。

食品納入業者の選定は、次の点に注意します。また、衛生管理状況を把握す

るため、実際に施設の衛生面や食品の取扱い状況を点検することも大切です。

1 納入される食品の品質や取扱いについて十分な知識及び経験があるこ

と。

2 保健所の衛生監視結果が良好であること。

3 食品衛生の知識が十分にあり、食品を清潔に取り扱っていること。

4 輸送中の温度管理を確実に行っていること。

二 食品納入業者又は納入業者の団体等との間に連絡会を設け、学校給食の

意義、役割及び衛生管理の在り方について定期的な意見交換を行う等に

より、食品納入業者の衛生管理の啓発に努めること。

食品納入業者の衛生管理の啓発に努めること

学校給食の設置者は、売買契約時等の機会を利用し、食品納入業者又は納入

業者の団体等との間に連絡会等を設け、学校給食の意義、役割、当該学校給食

の実施方針及び衛生管理の在り方について共通認識を図るとともに、定期的に

意見交換を行うことにより、食品納入業者の衛生意識の向上に努める必要があ

ります。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (2)学校給食用食品の購入

②食品納入業者

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第3

三 売買契約に当たって、衛生管理に関する事項を取り決める等により、業

者の検便、衛生環境の整備等について、食品納入業者に自主的な取組を

促すこと。

売買契約に当たっては、衛生管理に関する事項等を取り決めること

売買契約に当たっては、食品納入業者としての資格条件や納入の心得などを

規定し、食品納入業者が自主的に衛生管理に努められるように促します。

★ 食品納入業者の資格(例)

1 学校給食に理解があり、営業内容が堅実で社会的信用があること。

2 従業員の衛生教育が適切に行われていること。

3 食品の製造及び輸送能力が十分にあること。

4 その他、設置者が必要と認める事項に理解があること。

★ 食品納入業者の心得

1 学校給食の意義、役割を理解し、食品衛生法の事業者の責務を遵守する

こと。

2 経営状態を良好に維持し、社会的信用を高めるよう努力すること。

3 製造所、販売所、物品保管所、使用容器、輸送車等の衛生状態を良好に

維持管理すること。

4 従業員の言動、心身の保健衛生の指導監督に努めること。

5 輸送能力を確保し、納入温度、納入期日及び時間を厳守すること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (2)学校給食用食品の購入

②食品納入業者

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第3

食品等事業者の責務(食品衛生法第3条) 1 食品等事業者(食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工

し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること若しくは器具若し

くは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することを営む人若しく

は法人又は学校、病院その他の施設において継続的に不特定若しくは多

数の者に食品を供与する人若しくは法人をいう。以下同じ。)は、その採

取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、販売し、不

特定若しくは多数の者に授与し、又は営業上使用する食品、添加物、器

具又は容器包装(以下「販売食品等」という。)について、自らの責任に

おいてそれらの安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確保に係

る知識及び技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品

等の自主検査の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければなら

ない。

2 食品等事業者は、販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生の防

止に必要な限度において、当該食品等事業者に対して販売食品等又はそ

の原材料の販売を行った者の名称その他必要な情報に関する記録を作成

し、これを保存するよう努めなければならない。

3 食品等事業者は、販売食品等に起因する食品衛生上の危害の発生を防

止するため、前項に規定する記録の国、都道府県等への提供、食品衛生

上の危害の原因となった販売食品等の廃棄その他の必要な措置を適確か

つ迅速に講ずるよう努めなければならない。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (2)学校給食用食品の購入

②食品納入業者

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第3

四 必要に応じて、食品納入業者の衛生管理の状況を確認すること。

食品納入業者の衛生管理の状況を確認すること

定期的に従業員の健康観察記録や従業員の検便結果の提出を求めたり、必要

に応じて衛生状況を確認し、衛生意識向上に努めることが大切です。

また、保健所に食品納入業者の衛生状況の指導を依頼し、同行するなど食品

納入業者の衛生管理状況を確認し、必要に応じて改善指導に努める必要があり

ます。

五 原材料及び加工食品について、製造業者若しくは食品納入業者等が定期

的に実施する微生物及び理化学検査の結果、又は生産履歴等を提出させ

ること。また、検査等の結果については、保健所等への相談等により、

原材料として不適と判断した場合には、食品納入業者の変更等適切な措

置を講じること。さらに、検査結果を保管すること。

食品納入業者等が定期的に実施する微生物及び理化学検査の結果、又は生

産履歴等の提出を求めること

(第4(1)衛生管理体制十(p130-131)参照)

食品購入に当たっては、使用食品の栄養成分表や産地等はもとより、製造業

者若しくは食品納入業者等が定期的に実施する微生物及び理化学検査の結果又

は生産履歴等について提出を求め、食品に関する情報を収集し、保管します。

食品納入業者等からの検査結果において疑義のある場合は、保健所等へ相談

し指示を仰ぎます。それにより、食品として不適切であると判断した場合に

は、食品納入業者の変更や代替食品を使用するなど、適切な措置を講じます。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (2)学校給食用食品の購入

③食品の選定

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第3

③食品の選定

一 食品は、過度に加工したものは避け、鮮度の良い衛生的なものを選定す

るよう配慮すること。また、有害なもの又はその疑いのあるものは避け

ること。

二 有害若しくは不必要な着色料、保存料、漂白剤、発色剤その他の食品添

加物が添加された食品、又は内容表示、消費期限及び賞味期限並びに製

造業者、販売業者等の名称及び所在地、使用原材料及び保存方法が明ら

かでない食品については使用しないこと。また、可能な限り、使用原材

料の原産国についての記述がある食品を選定すること。

三 保健所等から情報提供を受け、地域における感染症、食中毒の発生状況

に応じて、食品の購入を考慮すること。

食品の選定には、十分配慮すること

食品の選定に当たっては、衛生的に問題のあるものが使用されることのない

ように、次のことに注意します。

1 過度に加工したものは避け、鮮度の良い衛生的なものを選択するよう常

に配慮すること。有害なものはもちろんのこと、その疑いのあるものも

避けること。

2 不必要な食品添加物(着色料、保存料、漂白剤、発色剤等)が添加され

た食品、又は内容表示、消費期限及び賞味期限並びに製造業者、販売業

者等の名称及び所在地、使用原材料及び保存方法が明らかでない食品は

使用しないようにすること。

3 地場産農畜水産物の使用に当たっては、農薬等(農薬、抗菌薬等)の使用

状況等の生産履歴を確認するなど、生産者等から必要な情報収集を行う

こと。

消費期限

品質劣化が速い食品(概ね 5 日以内に品質が劣化し長期保存ができない食品)

に表示されます。定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗等品

質の劣化に伴い安全性を欠く恐れがないと認められる期限を示す年月日のことで

す。

賞味期限

品質劣化が比較的遅い食品に表示されます。定められた方法により保存した場

合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期

限を示す年月日のことです。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

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第3

(3)食品の検収・保管等

一 検収は、あらかじめ定めた検収責任者が、食品の納入に立会し、品名、

数量、納品時間、納入業者名、製造業者名及び所在地、生産地、品質、

鮮度、箱、袋の汚れ、破れその他の包装容器等の状況、異物混入及び異

臭の有無、消費期限又は賞味期限、製造年月日、品温(納入業者が運搬

の際、適切な温度管理を行っていたかどうかを含む。)、年月日表示、

ロット(一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように

製造された製品の一群をいう。以下同じ。)番号その他のロットに関す

る情報について、毎日、点検を行い、記録すること。また、納入業者か

ら直接納入する食品の検収は、共同調理場及び受配校において適切に分

担し実施するとともに、その結果を記録すること。

二 検収のために必要な場合には、検収責任者の勤務時間を納入時間に合わ

せて割り振ること。

検収責任者を定めて、食品の納入に立会い、検収を確実に実施すること

納入された食品の安全性を確認するため検収は欠かせない業務です。

検収に当たっては、次の点に注意します。

1 あらかじめ検収責任者を定めておくこと。栄養教諭等を検収責任者とし

ない場合には、学校給食調理員等を検収責任者とすること。

2 調理場に納入されるすべての食品について、納入時に点検を行い記録す

ること。

3 食品の検収は、共同調理場及び納入業者から直接食品の納入を受ける受

配校においても実施するとともに、その結果を記録すること。

4 確実に検収ができるよう食品納入業者と納品時間を調整すること。

5 検収責任者と検収担当者等の複数で実施することが望ましい。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

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第3

6 検収時には次のものが用意されていること。

① 60cm以上の高さの検収台

② 60cm以上の高さの台秤

③ 検収表(簿)

④ 温度計(非接触式温度計等)

⑤ 食品の種類ごとの専用容器

⑥ 保存食採取用の清潔で密封できるビニール袋

⑦ 保存食採取用の清潔な器具

7 検収時は、検収用のエプロンを着用すること。

8 検収室用のエプロンは、検収室に専用の衛生的な保管場所を設けて保管

すること。

9 食肉類、魚介類等生鮮食品は、原則として当日納入すること。

10 保存食は、納入時に採取すること。

11 検収室において食品の受け渡しを行うとともに、検収責任者または検収

担当者が必ず立会い、検収表(簿)に基づき十分に点検を行い、記録

し、これを保存すること。

12 校長等は、食品の検収等の日常点検の結果、衛生管理責任者から異常の

発生の報告を受けた場合、食品の返品、献立の変更、調理済み食品の回

収等必要な措置を講じること。

13 食品は、検収室において専用の容器に移し替え、食品の保管室及び下処

理室にはダンボール等汚染されている可能性のあるものを持ち込まない

こと。

置き台に載せた秤

床面から 60cm 以上の例

60cm 以上

検収台

60cm 以上

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

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第3

14 共同調理場の受配校においても、納入業者から直接食品が納入される場

合は、配膳室等において上記と同様に検収を行い、その結果を記録し、

保存すること。

15 検収の際は、「検収表(簿)」を作成して各項目について点検し、その

結果を記録すること。

16 調理を委託している場合は、受託業者の検収責任者が検収し、その結果

を記録すること。さらに、衛生管理責任者が確認すること。

検収表(例) 年 月

日 納品時間 品名 数量 納入業者名 製造業者名 品 質 鮮 度箱・袋等の汚れ、破れ

異物異臭

消費期限賞味期限

製造 年月日 品 温 表示 LotNo 確認者 備考

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良 (所在地) (生産地)

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

良・不良 良・不良 良・不良 有・無 ℃ 良・不良

★ アレルギー食品の表示

食品衛生法では、アレルギー患者の健康被害の発生を防ぐ観点から、アレル

ギー物質が含まれる加工食品には、原材料としてこれらを含む旨を表示するこ

とが義務付けられています。特定原材料として7品目(卵、乳、小麦、えび、

かに、そば、落花生)が表示を義務づけられ、18品目は表示が推奨されていま

す。

<表示義務>

卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生

<表示推奨>

あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、

さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、

ゼラチン

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

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第3

★ 食品ごとの検収留意点

検収時に衛生管理面から品質を確認する場合には、主として次のような点に

注意します。

<食肉、魚介類>

1 鮮度は良いか。

2 品温は適切か。

3 変色はないか。

4 異臭がないか。

5 異物が混入していないか。

6 原産地表示はあるか。

<野菜・果物類>

1 鮮度は良いか。

2 病害痕、くされはないか。

3 変色、異臭がないか。

4 異物(虫、金属類、藁等)が混入していないか。

5 原産地表示はあるか。

<乾物類>

1 よく乾燥しているか。

2 かび等が発生していないか。

3 異臭がないか。

4 異物が混入していないか。

5 包装が破れていないか。

<加工品等>

1 異臭、変色、ぬめり等がないか。

2 包装が破れていないか。

3 異物が混入していないか。

4 大きさ、重さ、形はそろっているか。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

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第3

<冷蔵、冷凍品>

1 保存温度は適切か。

2 包装は破れていないか。

3 冷凍品は、ダンボールや包装内部に霜が付いていないか。(再凍結品で

ないかを見分ける。)

4 異物が混入していないか。

5 異臭、変色等がないか。

★ 卵

ほとんどの卵は、GPセンター(洗卵選別包装施設)においてお湯(30℃以

上で卵の温度より5℃以上高いこと)を吹きかけナイロンブラシでこすり、汚

れを落としています。汚れを落とした後、次亜塩素酸ナトリウムの150ppm溶液

で殺菌し、再びお湯をかけてすすいでいます。その後、直ちに温風などで乾か

してパックに詰めています。汚れが殻の表面に残っていることもあり、それを

気にして再度洗うことがありますが、洗うと気孔という殻にある穴から雑菌が

水と一緒に卵の中に入ってしまうことがあります。目に付くような汚れは、洗

わずに拭き取ったほうが鮮度を保つことができます。

平成11年11月1日から食品衛生法により、卵のパックなどへの「賞味期限表

示」が義務付けられることになりました。この表示は、あくまで「生」(ナ

マ)で食べられる期間を示しています。賞味期限の過ぎたものでも、加熱調理

をすれば食べることができます。卵のパック等への表示項目としては、この

「賞味期限」のほかに農林水産省規格のサイズ(L、Mなど)、卵重(1個当た

りの重さ)、卵重計量責任者、包装場所、保存方法、使用方法があります。

「保存方法」には、「冷蔵庫(10℃以下)で保存して下さい。」というよう

に、必ず10℃以下で冷蔵保存することを明示します。また、「使用方法」に

は、「生食の場合は賞味期限内に使用し、賞味期限後は十分加熱調理して下さ

い。」というように、賞味期限後は、十分に加熱調理して食べることを明示す

る必要があります。

良い卵の選び方は、卵全体のキメがこまかく、なめらかで光沢があり、表面

が汚れていないものを選ぶことです。

中身については、割ったときに卵黄がこんもり盛り上がり、濃厚卵白がたっ

ぷりあるものが新鮮な卵です。濃厚卵白は、厚みがあって、白濁しているこ

と、また、割ったときに殻から離れにくいのが新鮮な証拠です。

(新鮮な卵の卵白は、炭酸ガスが含まれているため、少し白く濁ったように

見えます。)

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

71

第3

★ 液卵

鶏卵を割卵して卵殻を取り除き、中身だけを集めたものです。卵黄の形状

を残したものは、「ホール液卵」、中身を溶き混ぜて均質化したものは、「全

液卵」、卵黄と卵白を分離したものは、「卵黄液」、「卵白液」と呼ばれてい

ます。これらに加糖・加塩したものもあります。液卵は、保存形態で冷蔵液

卵、冷凍液卵があります。製造条件によって殺菌液卵と未殺菌液卵がありま

す。学校給食では安全性の高い殺菌液卵を使用します。

凍結液卵を解凍する場合は、「流水解凍」と「冷蔵庫解凍」で行います。室

温での解凍は、腐敗する恐れがあります。

凍結全液卵の解凍時間の目安は、流水解凍法(20℃)で6時間です。

<液卵の表示基準>

(1)名称(品名)

(2)消費期限又は賞味期限

(3)製造所の所在地・製造者氏名

(4)殺菌、未殺菌の別

(5)全卵、卵黄、卵白の別

(6)凍結しているものはその旨表示

(7)保存方法使用方法

(8)加糖・加塩した場合の糖、塩分割合

(9)殺菌液卵:殺菌温度時間、未殺菌液卵:飲食に供する際加熱殺菌の旨

<液卵の成分規格>

殺菌液卵:サルモネラ属菌 陰性(25gにつき)

未殺菌液卵:一般生菌数 10⁶個以下(1gにつき)

<液卵の保存基準>

液卵は8℃以下(冷凍は-15℃以下)で保存しなければならない。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

72

第3

三 食肉類、魚介類等生鮮食品は、原則として、当日搬入するとともに、一

回で使い切る量を購入すること。また、当日搬入できない場合には、冷

蔵庫等で適切に温度管理するなど衛生管理に留意すること。

食肉類、魚介類等生鮮食品は、原則として、当日搬入するとともに一回で使い

切る量を購入すること

食肉類、魚介類等生鮮食品は、原則として、当日搬入する必要があります。

さらに、食肉類、魚介類、野菜類等食品の分類ごとに区分して、専用の容器で

保管するなどにより、原材料の相互汚染を防ぐとともに、「学校給食衛生管理

基準」別紙「学校給食の原材料、製品等の保存基準」に従い、次の点に注意し

て棚、冷蔵冷凍設備に保管します。

1 食品の保管室は、「学校給食衛生管理基準」別紙3「定期及び日常の衛

生検査の点検票-⑧学校給食日常点検票(第8票)」に基づいて適切な

温度管理がなされ、かつ衛生管理に十分留意されていることを確認し、

記録すること。

2 食品の保管室にねずみ、はえ、ごきぶり等衛生害虫等がいないこと。

3 食品は、60cm以上の高さに置き、床面に直接置かないこと。

4 各食品に 適な温度(「学校給食衛生管理基準」別紙「学校給食用食品

の原材料、製品等の保存基準」等参照)で保存すること。

5 冷蔵庫・冷凍庫が完全に機能していることを作業前に毎日確認し、記録

すること。

6 冷蔵庫・冷凍庫は、いつも清潔が保たれていること。

7 冷蔵庫・冷凍庫の中には食品を詰めすぎないこと。また、冷気がよく環

流するように食品の間隔を十分とること。

8 牛乳については、専用の保冷庫等により10℃以下に保管し、常に新鮮か

つ良質なものが飲用に供されるよう、品質の保持に努めること。

9 開封した食品は、開封日を記入し、密封して保管すること。

10 調味料、乾物等の保存食品は先入れ・先出しを徹底すること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

73

第3

四 納入業者から食品を納入させるに当たっては、検収室において食品の受

け渡しを行い、下処理室及び調理室に立ち入らせないこと。

食品の受け渡しは、検収室で適切に行うこと

納入の際には、検収室において受け渡しを行い、納入業者を下処理室及び調

理室内に立ち入らせることのないようにします。前項に記載したように検収、

記録をした後、専用の容器に移し替え、下処理室及び食品の保管室へ持ち込み

ます。

五 食品は、検収室において、専用の容器に移し替え、下処理室及び食品の

保管室にダンボール等を持ち込まないこと。また、検収室内に食品が直

接床面に接触しないよう床面から60cm以上の高さの置台を設けること。

下処理室及び食品の保管室にダンボール等を持ち込まないこと

食品は、検収室において専用容器に移し替え、下処理室及び食品の保管室に

ダンボール等を持ち込まないようにします。ダンボール等には、流通過程にお

いて様々な汚染を受けたり、衛生害虫等が潜んでいたり、卵を産み付けていた

りするなどが考えられますので、下処理室及び食品の保管室に持ち込まないこ

とが衛生を保つために大切です。さらに専用容器に移し替える時は、床面から

の汚染や調理従業者の身体にかかる負担も考慮し、60cm以上の高さの置台で行

います。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

74

第3

六 食品を保管する必要がある場合には、食肉類、魚介類、野菜類等食品の

分類ごとに区分して専用の容器で保管する等により、原材料の相互汚染

を防ぎ、衛生的な管理を行うこと。また、別紙「学校給食用食品の原材

料、製品等の保存基準」に従い、棚又は冷蔵冷凍設備に保管すること。

食肉類、野菜類等食品の分類ごとに区分して専用の容器で保管する等により、

衛生的な管理を行うこと

食品を保管する必要がある場合には、食肉類、魚介類、野菜類等食品の分類

ごとに区分して専用の容器で保管する等により、原材料の相互汚染を防ぎ、衛

生的な管理を行うこと。また、食品は保管中に変質したり、ねずみ及びはえ、

ごきぶり等衛生害虫に汚染されることがあります。使用前には異常がないこと

を確かめる習慣をつけ点検に当たっては、次のような点に注意します。

1 異臭、変色やかびの発生等がないか。

2 ごきぶりのふん等の異物が混入していないか。

3 乾燥、吸湿していないか。

4 容器にかじり穴が空いていないか。

5 消費期限や賞味期限が過ぎていないか。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (3)食品の検収・保管等

75

第3

七 牛乳については、専用の保冷庫等により適切な温度管理を行い、新鮮か

つ良好なものが飲用に供されるよう品質の保持に努めること。

牛乳専用の保冷庫等はいつも清潔にしておくこと

牛乳専用の保冷庫を常に清潔で衛生的に保つための清掃方法として、次の点

に注意します。

1 保冷庫本体の内外、扉、パッキン部などは、乾いた衛生的な布きん(不

織布が望ましい。)で拭き上げる。

2 汚れがひどい場合は、洗剤を浸み込ませた衛生的な布きん(不織布が望

ましい。)で拭いた後、硬くしぼった別の衛生的な布きんで拭き上げ

る。

3 棚網、受皿を取り外し、洗剤で洗浄して乾燥させる。

4 月に1~2回、フィルターを取り外し、水洗いや掃除機での吸引などで清

掃する。

★ 牛乳専用の保冷庫と食品用冷蔵庫は別にすること

牛乳は児童生徒が直接触れて飲むものなので、他の食品からの汚染を防がな

くてはなりません。また、牛乳が他の食品と一緒に入っていることにより、ド

アが頻繁に開閉され、適切な温度管理ができず、新鮮かつ良好な品質の保持が

困難になります。したがって、牛乳専用の保冷庫は、他の食品用冷蔵庫とは別

に設置する必要があります。

八 泥つきの根菜類等の処理は、検収室で行い、下処理室を清潔に保つこと。

泥つきの根菜類等の処理は、検収室で行うこと

泥がついた根菜類の泥落とし、葉物野菜の根切り等泥つきの野菜の処理は、

下処理室を清潔に保つため検収室で行ないます。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

76

第3

(4)調理過程

①共通事項

一 給食の食品は、原則として、前日調理を行わず、全てその日に学校給食

調理場で調理し、生で食用する野菜類、果実類等を除き、加熱処理した

ものを給食すること。また、加熱処理する食品については、中心部温度

計を用いるなどにより、中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウ

イルス汚染のおそれのある食品の場合は85℃で1分間以上)又はこれ

と同等以上の温度まで加熱されていることを確認し、その温度と時間を

記録すること。さらに、中心温度計については、定期的に検査を行い、

正確な機器を使用すること。

前日調理は行わないこと

前日調理は、保管時に他からの二次汚染を受けたり、時間の経過により細菌

が増殖し、食中毒の発生につながるおそれがあるため原則として行いません。

前日調理の例としては豆類の浸漬等があります。病原微生物であるウエルシ

ュ菌やセレウス菌の芽胞は、加熱しても死滅しません。室温で一晩放冷する間

にこれらの芽胞菌が増殖し、食中毒を起こすことがしばしばあります。特にウ

エルシュ菌の芽胞は煮沸1~4時間の加熱でも死滅しませんので、浸漬したもの

は容器に入れ、冷蔵庫で保管するなど、温度管理を適切に行うことが必要で

す。

作業工程、納入時間、献立内容をよく吟味し、食品は、給食する当日に調理

する必要があります。

生で食用する野菜類、果実類等を除き、給食の食品は加熱処理したものを給

食すること

(「学校給食のおける食中毒防止Q&A(p33-34)」参照)

食品には、ある程度の病原微生物が付着していると考えられます。検収した

野菜類などは下処理室の三槽シンクを使い、流水で洗浄することにより付着し

ている病原微生物は少なくなります。しかし、病原微生物を全て取り除くこと

はできませんので加熱調理で、食品に付着している病原微生物を死滅又は減少

させます。食品の中心部が75℃で1分間以上、二枚貝等のノロウイルス汚染の

おそれのある食品は85℃で1分間以上加熱し、その温度と時間を記録すること

が必要です。また、測定には正確な中心温度計を使用するため中心温度計は定

期的に検査が必要です。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

77

第3

二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は 85℃で 1 分間以上

の加熱

ノロウイルス汚染の可能性のある食品は二枚貝です。二枚貝は大量の海水

を吸引しプランクトンを食します。その際の海水にノロウイルス汚染がある

と、二枚貝の内臓である中腸腺にノロウイルスが蓄積・濃縮されます。従っ

て、二枚貝では内臓がウイルスに汚染されている危険性があり、表面を洗っ

てもウイルスを除去できません。内臓の加熱温度が重要となります。 下のグラフはヒトのノロウイルスと類似しているネコカリシウイルスの加

熱温度による不活化実験成績を示しています。100℃では 1 分以内に完全に

不活化されますが(ウイルスの感染する能力が消滅する)、70℃では 5 分間

以上の加熱が必要です。ウイルスの不活化には加熱温度が高ければ時間は短

く、低いときには長い時間を必要とします。 従って学校給食において二枚貝等を使用するときは中心温度 85℃で 1 分

間以上を確認する必要がありますが、通常の食品については、75℃で 1 分間

以上加熱されていることを確認します。

加熱によるネコカリシウイルスの不活化実験成績

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

78

第3

食品は衛生的に取扱うこと

調理時には、食品を二次汚染させないこと、また、付着している病原微生物

を増殖させないことが大切です。このためには次の点に注意します。

1 食肉や魚介類は、他の食品を汚染しないよう専用の容器や器具を使用す

ること。

2 食肉類や魚介類の裁断は極力避け、納入業者で裁断されたものを購入す

ること。

3 野菜等は、汚染作業区域の三槽シンクを使用し流水で十分に洗浄するこ

と。

4 汚染度の低い野菜類から洗浄するよう作業工程を工夫すること。

5 果実類も、汚染作業区域のシンクで洗浄すること。

6 冷凍品(食肉、魚介、野菜類等)を解凍する場合は、解凍時のドリップ

で他の食品や冷蔵庫内などを汚染しないよう注意すること。

① 冷蔵庫解凍・・ 使用する前日から冷凍庫内でゆっくり解凍する。

この場合、専用のふたつき容器を入れて、ドリッ

プの流出と二次汚染を防ぐこと。

② 流水解凍・・・ 当日納入された場合には流水中で解凍する。この

場合、ポリエチレン袋等に密封し、内容物が漏れ

出ないようにすること。

食品の入れ過ぎによる洗浄不足、床の汚染 ×

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

79

第3

7 生の食肉類、魚介類、卵及び加熱前の野菜類等を取り扱った後、他の食

品や器具等に触れる時には、手指を洗浄・消毒すること。

8 食品を入れた容器や調理器具は、床からの跳ね返り水を避けるため、

床面から60㎝以上の場所に置くとともに。食缶に食品を移し替える場合

にも、床面から60㎝以上の場所で行うこと。

9 包丁、まな板は食肉類、魚介類、野菜類、果実類用と区別して使用する

こと。

10 エプロンは用途別、食品別に区分して整備すること。

加熱調理を適正に行い、中心部の温度を確認し、記録すること

加熱調理する食品は、中心部が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚

染のおそれのある食品の場合は85℃で1分間以上)又は、これと同等以上の温

度まで加熱されていることを確認し、その温度と時間を記録します。

加熱調理の際には、次の点に注意します。

1 炒め物は、一回に調理する量が多すぎると加熱ムラが生じる場合がある

ため、一回に調理する量を調整すること。

2 調理機器の温度が上がりやすい部分、上がりにくい部分を把握するこ

と。

3 熱源が、常に一定の状態になるよう整備すること。

4 ザルに食品をいれたまま釜で加熱する場合は、十分な加熱ができるよ

う、ザルに食品を入れすぎないこと。

× 食品の加熱ムラ

他の部分に比べ焼き色が薄く、

温度が上がっていないことが

わかる。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

80

第3

<食品の中心部の温度の測り方>

1 釜、オーブンなどで加熱する食品は加熱ムラができるため、温度が も

上がりにくい部位3点以上の温度を測ることが望ましい。

2 野菜などを茹でる場合は、釜のお湯の温度を測るのではなく食品自体の

温度を測ること。

3 コーンなどの加熱温度は、釜から網じゃくしなどですくいあげて温度を

測ること。

4 中心温度を測定する場合の温度計のセンサーは食品の中心部にさすこ

と。

野菜の正しい温度の測り方

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

81

第3

中心温度計については、定期的に検査を行い、正確な機器を使用すること

(「学校給食における食中毒防止Q&A(p63-64)」参照)

中心温度計は、誤差が生じることがあるため、定期的(月1回)に誤差を補

正します。低温については氷水(0℃)、高温については沸騰水(98℃)に中

心温度計を入れ、誤差を確認します。温度誤差が±1℃以上の場合にはメーカ

ーに相談するなどの対応をとります。

★ 中心温度計の衛生管理

中心温度計の本体と、直接食品に接触する温度センサー部分は、アルコール

で消毒して使用します。真空冷却機や焼き物機等に付属している温度センサー

部分も、同様に管理します。

中心温度計による測定誤差

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

82

第3

★ 冷凍食品の加熱と中心温度

冷凍食品のうち加熱して使用するものには、凍結前に加熱済みのものと未加

熱のものがあります。食品衛生法では、冷凍食品の成分規格を下表のように定

めていますが、未加熱冷凍食品は加熱済みのものに比べてゆるやかな規格にな

っています。したがって冷凍食品を加熱調理する場合には、その食品が加熱済

みか未加熱かをよく確かめ、後者のものについては、調理過程で十分加熱する

ようにします。

特に、未加熱冷凍食品には、クリームコロッケのように、中身の材料は加熱

されていても衣の部分だけは未加熱のものや、魚のフライのように、中身も衣

も未加熱のもの、あるいは、材料の一部が加熱されたもの等様々あります。

また、衣を付けた冷凍とんかつは、冷凍食品ではなく食肉にあたります。冷

凍食品は厳しい衛生管理が求められますが、単に凍結しただけの凍結食品は食

品衛生法による成分規格がありません。調理する場合には、その食品がどのよ

うな方法で加工されたものか事前によく確認し、中身の材料に未加熱のものが

含まれている場合や凍結食品は、中心部が75℃で1分間以上又はこれと同等以

上の温度と時間で十分に加熱します。

冷凍食品の食品衛生法による成分規格

品 名

成分規格

一般生菌数 1g 当たり

大腸菌群 大腸菌

無加熱摂取冷凍食品 10 万以下 陰 性

加熱後摂取冷凍食品 (凍結前加熱済み)

10 万以下 陰 性

加熱後摂取冷凍食品 (凍結前未加熱)

300 万以下 陰 性

*生食用冷凍鮮魚介類 10 万以下 陰 性 * 一般生菌数と大腸菌群による成分規格の他に腸炎ビブリオが 100 個/100g 以下でなければ

なりません。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

83

第3

二 野菜類の使用については、二次汚染防止の観点から、原則として加熱調

理すること。また、教育委員会等において、生野菜の使用に当たっては、

食中毒の発生状況、施設及び設備の状況、調理過程における二次汚染防

止のための措置、学校給食調理員の研修の実施、管理運営体制の整備等

の衛生管理体制の実態、並びに生野菜の食生活に果たす役割等を踏まえ、

安全性を確認しつつ、加熱調理の有無を判断すること。さらに、生野菜

の使用に当たっては、流水で十分洗浄し、必要に応じて、消毒するとと

もに、消毒剤が完全に洗い落とされるまで流水で水洗いすること。

生食する食品は特に衛生的に取扱うこと

生の野菜類及び果実類は、そのままの状態よりも裁断などをして組織が壊れ

た状態の方がはるかに細菌の増殖が速くなります。

生で食用する野菜類及び果実類をカットする調理作業は可能な限り調理工程

の後半に行い、カット後喫食するまでの時間の短縮を図る工夫が必要です。

さらに、調理時に二次汚染されないよう十分注意して取り扱う必要がありま

す。その際には、次のことに注意します。

1 スライサー、包丁、まな板などは、消毒した専用のものを使用するこ

と。

2 容器は消毒した専用のものを用いること。

★ 野菜類の細菌汚染

農産物は堆肥や農業用水あるいは野生動物や野鳥により、病原微生物による

汚染の危険があります。国内産の野菜の安全性を確認するために厚生労働省が

毎年モニタリング調査を実施しており、平成21年に実施した調査ではキュウ

リ、もやし、レタス、トマト、大根、ニンジン、水菜、総計487件中93件(19

%)から大腸菌が検出されています。特にもやしは、大腸菌の陽性率が43%で

サルモネラが1件検出されており細菌汚染の高い食品です。

アルファルファや貝割れ大根も大腸菌汚染率の高い食品であり、サラダなど

の生食により国内で腸管出血性大腸菌O157の食中毒が発生し、米国でもサル

モネラ、腸管出血性大腸菌O157による食中毒の発生がありました。また、米

国ではレタス、サラダ用ほうれん草による腸管出血性大腸菌O157食中毒がし

ばしば報告されています。

したがって、野菜は下処理室で十分な流水で洗浄しなければなりません。泥

付き根菜類は、検収室で処理してから下処理室で洗浄します。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

84

第3

★ 生食する野菜の消毒

生食する野菜には病原微生物が付着していることもあるので、流水で十分洗

浄することが必要です。必要に応じて消毒する場合には、消毒液がよく行きわ

たるように、また、浸漬中に浮きあがらないように注意すること。

消毒は、次亜塩素酸ナトリウム溶液(200mg/L)に5分間以上、次亜塩素酸

ナトリウム溶液(100mg/L)に10分間以上浸漬します。また、一度に大量の野

菜を浸漬すると、期待した消毒効果が得られないことがあります。消毒液の希

釈濃度と浸漬時間を守って、十分効果があがるようにすることが大切です。ま

た、消毒液を十分洗い流すことが重要です。

*「調理場における洗浄・消毒マニュアル PartⅠ」(p19)参照

★ ジャガイモのソラニン

ジャガイモの皮(特に緑色した部分)や芽の部分には有毒なソラニンが含ま

れています。特に、「不適切な栽培によって緑変したもの」、「未成熟で小さ

いまま収穫されたもの」はソラニンが多いと言われています。大人が200mg~

400mg食べると腹痛・吐き気・喉の痛み等の症状を呈するとされていますが、

子どもの場合は、大人に比べて約1/10の量で発症します。加熱によって、未成

熟なジャガイモや芽の部分などのソラニンが完全になくなるということはあり

ません。芽や皮はあらかじめ取り除いて調理してください。特に緑化した部分

は厚く剥き取ります。また、未成熟なジャガイモは使用しないようにします。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

85

第3

三 和えもの、サラダ等の料理の混ぜ合わせ、料理の配食及び盛りつけに際

しては、清潔な場所で、清潔な器具を使用し、料理に直接手を触れない

よう調理すること。

和えもの、サラダ等の料理は特に衛生的に取扱うこと

調理された和えものやサラダはその後に加熱されることがなく、そのまま給

食に提供されることから、絶対に二次汚染を起こしてはならない厳しい衛生管

理が求められます。

混ぜ合わせるためのボウル等の容器、しゃもじ等の調理器具は消毒済みのも

のを使用します。作業台は清潔にし、アルコール消毒をします。担当者は清潔

な専用エプロンと使い捨て手袋(食品が手指に触れないためには長い手袋)を

着用して作業に当たります。

和えもの室がない調理室では人や物が通らない清潔な場所(和えものコーナ

ー)を確保して作業を行いますが、作業動線図を適切に作成することが大切で

す。

四 和えもの、サラダ等については、各食品を調理後速やかに冷却機等で冷

却を行った上で、冷却後の二次汚染に注意し、冷蔵庫等で保管するなど

適切な温度管理を行うこと。また、やむを得ず水で冷却する場合は、直

前に使用水の遊離残留塩素が0.1mg/L以上であることを確認し、

確認した数値及び時間を記録すること。さらに、和える時間を配食の直

前にするなど給食までの時間の短縮を図り、調理終了時に温度及び時間

を記録すること。

和えもの、サラダ等については、各食品を調理後速やかに冷却機等で冷却す

ること

加熱した野菜をそのまま放置するとビタミンなどの栄養素が破壊されるとと

もに細菌は通常20℃~50℃で増殖するため、加熱後は急速に冷却を行い、20℃

以下の温度まで下げます。冷却中に細菌による二次汚染を防止するようふたや

ラップ等で覆います。冷却後は給食に提供するまで冷蔵庫に保管し、細菌の増

殖を防止します。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

①共通事項

86

第3

五 マヨネーズは、つくらないこと。

マヨネーズは、つくらないこと

マヨネーズによるサルモネラ食中毒は、いずれも自分で作ったマヨネーズで

発生しました。

マヨネーズは市販品を使い、調理場でマヨネーズを作らないようにします。

六 缶詰は、缶の状態、内壁塗装の状態等を注意すること。

缶詰は、缶の状態、内壁塗装の状態等を注意すること

缶詰は、膨れているものや、手で軽く押しただけで凹み再び元に戻るもの、

巻締の部分が曲がっているもの、サビのひどいものなどは避けるようにしま

す。巻締の部分が強く曲ったり凹んだりしたものは密封されていないことがあ

るので注意します。

印刷した缶やラベル紙に、名称(品名)、原材料名、内容量、賞味期限、製

造業者又は販売業者の名称と所在地などが、表示されているものを選びます。

缶の内面塗装は、貯蔵中の色や味の変化及び缶の腐食を防ぐために、それぞ

れの内容物に適合したものが使われています。果実缶詰や一部の野菜缶詰は、

缶内面を塗装していないスチールにスズをメッキしたブリキ缶が使われていま

す。缶詰を貯蔵している間に、果実や野菜に含まれている空気により微量のス

ズが溶け出ることによって、内容物の色や香りなどの品質が変化するのを防ぐ

ことができるためです。

★ 缶詰の開缶時に注意すること

開缶時の金属破片混入に注意すること。

1 調理室で開缶などの作業を行う。

2 缶切り機は衛生的なものを使用すること。

3 金属破片混入の原因となるので、2度切りは行わないこと。

4 内面塗装していない缶詰(特に輸入缶詰に多い)については開封後スズ

が溶出することがある。pHが酸性の果物缶詰は特に注意が必要です。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

②使用水の安全確保

87

第3

②使用水の安全確保

一 使用水は、学校環境衛生基準(平成二十一年文部科学省告示第六十号)

に定める基準を満たす飲料水を使用すること。また、毎日、調理開始前

に十分流水した後及び調理終了後に遊離残留塩素が0.1mg/L以上

であること並びに外観、臭気、味等について水質検査を実施し、その結

果を記録すること。

二 使用水について使用に不適な場合は、給食を中止し速やかに改善措置を

講じること。また、再検査の結果使用した場合は、使用した水1Lを保

存食用の冷凍庫に-20℃以下で2週間以上保存すること。

三 貯水槽を設けている場合は、専門の業者に委託する等により、年1回以

上清掃すること。また、清掃した証明書等の記録は1年間保管すること。

使用水は、学校環境衛生基準に定める基準を満たす飲料水を使用すること

学校には水道法を遵守した学校環境衛生基準があります。学校給食で使用す

る水も学校環境衛生基準に従った衛生管理と検査を実施しなければなりませ

ん。

遊離残留塩素が0.1mg/L以上なかった場合は飲用適ではないため使用できま

せん。。

近年、水道水は安全性が高く、事故例はほとんどありませんが、簡易専用水

道や井戸水ではヒ素などの汚染が発見され、一時的に給水が中止になったこと

もあります。また、使用水がノロウイルス、腸管出血性大腸菌O157、カンピ

ロバクターあるいはクリプトスポリジウムに汚染され、水系感染を起こした事

例の報告があります。

使用水の水質検査

1 調理開始前十分に流水した後

2 調理終了後(配缶が終わったら検査を行う。)

3 ゆで野菜等を水で冷却する場合は、冷却する直前に検査を行う。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

②使用水の安全確保

88

第3

調理場で給水されている使用水についてよく理解すること

水の種類によって検査する内容や項目も異るので、設置者は必ず使用水の種

類を把握しておかなければなりません。

水道の水は、「直結給水」と「貯水槽経由給水」(貯水槽:受水槽と高置水

槽を総称していう。)のいずれかの方法で給水されています。

直結給水とは、水道の水が、配水管から蛇口までパイプが切れ目なくつなが

っていて給水している方式をいいます。上水道、簡易水道がこれに当たりま

す。

受水槽式給水とは、水道の水をいったん受水槽に受けて給水する方式をいい

ます。簡易専用水道や専用水道がこれに当たります。受水槽の有効容量が、10

㎥を超えるものを「簡易専用水道」、10㎥以下のものを「小規模受水槽水道」

といいます。

使用水の種類と衛生管理

給水方法 種別 内容 法律

直結給水 上水道 計画給水人口5001人以上 水道法

簡易水道 計画給水人口101~5000人 水道法

貯水槽経由給水

簡易専用水道 貯水槽の有効容量10㎥を超

える 水道法

小規模受水水道 貯水槽の有効容量10㎥以下 条例

専用水道

貯水槽の有効容量100㎥を超

える 病院、社宅等居住人口101人以上

大給水量が20㎥以上

水道法

その他 井戸水

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

②使用水の安全確保

89

第3

使用水の日常検査を行うこと

直結給水や貯水槽経由給水のいずれであっても調理室での使用水の日常検査

は、次の項目を必ず実施します。

1 日常検査では、調理開始前及び調理終了後に蛇口から水を出して、遊離

残留塩素、色度、濁度、臭い、味等について検査を行い、記録を保存す

ること。

2 ゆで野菜等を水で冷却する場合は、直前に使用水の遊離残留塩素が

0.1mg/L以上であることを確認し、その結果と時間の記録を保存するこ

と。

3 日常検査で色度、濁度、臭い、味等について異常があったり、遊離残留

塩素が、0.1mg/L以上なかった場合には、再検査を行い、適となった場

合には、使用水1Lを食品と同様に-20℃以下で、2週間以上保存食用の

専用冷凍庫で保存すること。

4 再検査を行い、不適な場合には、給食を中止し、水を使用しない献立

(パンや牛乳等、水を使用しない献立)に変更する。

5 水質検査の記録については、1年間保管すること。

定期検査を行うこと

日常検査とは別に、次のような項目について外部の専門機関などで検査を行

います。

「学校環境衛生基準」では、次のように飲料水の検査事項、検査回数につい

て定めています。

1 水道水を原水とする飲料水(専用水道を除く)については、毎学年1

回、給水栓から採取し、下記の検査事項について行うこと。

[検査事項]

(ア)遊離残留塩素

(イ)色度・濁度・臭気・味

(ウ)水素イオン濃度(pH 値)

(エ)一般生菌数

(オ)大腸菌

(カ)塩化物イオン

(キ)有機物等(過マンガン酸カリウム消費量又は全有機炭素)

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

②使用水の安全確保

90

第3

2 専用水道及び専用水道に該当しない井戸水等の検査については次の事項

を行うこと。

① 給水栓水について、1 の(ア)から(キ)までの項目について、

毎月 1 回定期に検査を行う。併せて、水道法(昭和 32 年法律第

177 号)第 3 条 6 項に規定する専用水道が実施すべき水質検査の

項目について、毎学年 1 回定期に行う。

② 原水について検査事項(イ)から(キ)について毎学年 1 回定期

に行う。

★ 簡易専用水道

多くの学校は水道水を一旦貯水槽に貯めて使用しており、水道を直結してい

ないために衛生上のさまざまな問題が発生することから、貯水槽の点検や検査

が義務付けられています。

簡易専用水道の水の管理責任は、設置者にあります。貯水槽の点検と、年1

回以上の貯水槽の清掃及び高置水槽がある場合は、その系統ごとに点検し、記

録すること。さらに、毎年1回、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関等によ

る検査を受けなければなりません。

簡易専用水道を使用している場合は記録を以下の期間保存しておく必要があ

ります。

1 設備の配置図及び給水・排水系統図 ·········· 永年

2 貯水槽周辺の構造物の配置図 ················ 永年

3 定期検査票(水道法第34条の2第2項) ······· 3年間

4 水槽清掃記録 ······························ 3年間

5 その他の管理記録 ·························· 3年間

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

②使用水の安全確保

91

第3

★ 貯水槽の点検のポイント

貯水槽を点検する際のポイントは次のとおりです。

1 貯水槽の周囲やマンホールのふたは、むやみに人が立入ったり開閉した

りできないように、鍵をかけること。

2 貯水槽の周りは清潔にし、ごみや汚物等を置いていないこと。

虫やねずみなどの発生源となり、貯水槽に混入する恐れがあります。

貯水槽に鍵が無い 貯水槽の鍵が破損している

貯水槽周辺にごみが置かれている ×

× ×

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

②使用水の安全確保

92

第3

3 貯水槽の上部や外壁に亀裂や漏水、破損がないこと。

貯水槽に亀裂などがあると、有害物や汚水等が混入して事故につながる

危険があります。

4 貯水槽の上部に器具や薬品、清掃用具等を置いていないこと。

5 貯水槽の内部に、汚泥や赤サビが多く発生していないこと。また、異物

が混入していないこと。

貯水槽から水が漏れている

貯水槽内部が錆びている

×

×

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

②使用水の安全確保

93

第3

6 オーバーフロー通気管の防虫網が破損していないこと。

防虫網がないと昆虫などが貯水槽内部に侵入します。

7 屋上にある高置水槽の点検は、高い所にあり危険性が高いので、専門業

者に依頼します。

臨時検査を行うこと

風水害や食中毒の発生等で使用水が汚染された疑いのある場合には、その状

況に応じて必要な検査を行います。

★ 水の定期検査項目(水質基準に関する省令による基準)

厚生労働省では水道法に基づき「水質基準に関する省令」で表のような基準

を定めています。

検査に当たっては学校医、学校薬剤師又は地域の保健所に相談します。

防虫網が破損している ×

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

②使用水の安全確保

94

第3

水質基準に関する省令(平成15年5月30日厚生労働省令第101号)

最終改正平成22年2月17日厚生労働省令第18号

項目 基準値 観点 分類

1 一般細菌 1ml の検水で形成される集落数が 100 以下であること。人の健康に影響を与える項目

微生物 2 大腸菌 検出されないこと。

3 カドミウム及びその化合物 カドミウムの量に関して、0.003mg/l 以下であること。

重金属

4 水銀及びその化合物 水銀の量に関して、0.0005mg/l 以下であること。

5 セレン及びその化合物 セレンの量に関して、0.01mg/l 以下であること。

6 鉛及びその化合物 鉛の量に関して、0.01mg/l 以下であること。

7 ヒ素及びその化合物 ヒ素の量に関して、0.01mg/l 以下であること。

8 六価クロム及びその化合物 六価クロムの量に関して、0.05mg/l 以下であること。

9 シアン化合物イオン及び塩化シアン

シアンの量に関して、0.01mg/l 以下であること。 無機物質

消毒副生成物

10 硝酸態窒素及びエア硝酸態窒素 10mg/l 以下であること。

無期物質11 フッ素及びその化合物 フッ素の量に関して、0.8mg/l 以下であること。

12 ホウ素及びその化合物 ホウ素の量に関して、1.0mg/l 以下であること。

13 四塩化炭素 0.002mg/l 以下であること。

有機物質

14 1,4-ジオキサン 0.05mg/l 以下であること。

15 シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジク

ロロエチレン 0.04mg/l 以下であること。

16 ジクロロメタン 0.02mg/l 以下であること。

17 テトラクロロエチレン 0.01mg/l 以下であること。

18 トリクロロエチレン 0.03mg/l 以下であること。

19 ベンゼン 0.01mg/l 以下であること。

20 塩素酸 0.6mg/l 以下であること。

消毒副生成物

21 クロロ酢酸 0.02mg/l 以下であること。

22 クロロホルム 0.06mg/l 以下であること。

23 ジクロロ酢酸 0.04mg/l 以下であること。

24 ジブロモクロロメタン 0.1mg/l 以下であること。

25 臭素酸 0.01mg/l 以下であること。

26 総トリハロメタン 0.1mg/l 以下であること。

27 トリクロロ酢酸 0.2mg/l 以下であること。

28 ブロモジクロロメタン 0.03mg/l 以下であること。

29 ブロモホルム 0.09mg/l 以下であること。

30 ホルムアルデヒド 0.08mg/l 以下であること。

31 亜鉛及びその化合物 亜鉛の量に関して、1.0mg/l 以下であること。 生活利用上支障を及ぼすおそれのある項目

有機物質

32 アルミニウム及びその化合物 アルミニウムの量に関して、0.2mg/l 以下であること。

33 鉄及びその化合物 鉄の量に関して、0.3mg/l 以下であること。

34 銅及びその化合物 銅の量に関して、1.0mg/l 以下であること。

35 ナトリウム及びその化合物 ナトリウムの量に関して、200mg/l 以下であること。

36 マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して、0.05mg/l 以下であること。

37 塩化物イオン 200mg/l 以下であること。 その他

38 カルシム・マグネシウム等(硬度) 300mg/l 以下であること。 無機物質

39 蒸発残留物 500mg/l 以下であること。 その他

40 陰イオン界面活性剤 0.2mg/l 以下であること。

有機物質

41 ジェオスミン 0.00001mg/l 以下であること。

42 2-メチルイソボルネオール 0.00001mg/l 以下であること。

43 非イオン界面活性剤 0.02mg/l 以下であること。

44 フェノール類 フェノールの量に換算して、0.005mg/l 以下であること。

45 有機物(全有機炭素(TOC)の量) 3mg/l 以下であること。

46 pH 値 5.8 以上 8.6 以下であること。

その他

47 味 異常でないこと。

48 臭気 異常でないこと。

49 色度 5 度以下であること。

50 濁度 2 度以下であること。

注1)1~30の項目:長期的な影響を考慮して基準設定された項目

注2)31~50の項目:基準値を超えると、利用すれば水道水として機能の面で障害を

生じる恐れがあることから設定された項目

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

95

第3

③二次汚染の防止

一 献立ごとに調理作業の手順、時間及び担当者を示した調理作業工程表並

びに食品の動線を示した作業動線図を作成すること。また、調理作業工

程表及び作業動線図を作業前に確認し、作業に当たること。

作業工程や作業動線の確認をすること

調理を実施するに当たっては、特に二次汚染防止について常に意識して作業

を行うことが大切です。

すなわち、栄養教諭等は、献立ごとに調理作業の手順・時間・担当者を示し

た「作業工程表」や、食品の動きを示す「作業動線図」を作成して、学校給食

調理員に指示する必要があります。また、学校給食調理員は、作業工程表及び

作業動線図を作業前に確認し、作業に当たります。

作業工程表作成について

作業工程表の作成に当たっては、次の点が明確になっている必要がありま

す。

(1)汚染作業区域と非汚染作業区域の区分・・・下処理と調理

(2)献立名

(3)時間

(4)担当者・・・・・個別の学校給食従事者

(5)衛生管理点・・・手洗いや専用エプロンの着用、温度の計測・記録

(6)危害リスクが高い食品

下処理は、食品に付着している泥や埃などの異物を除去し、調理室に渡すの

が主たる役割であるため、非加熱調理用食品以外は個別の野菜の洗浄を誰が担

当するのかは重要ではありません。

しかし、調理室における作業は、担当者の作業内容を時間を追って示す必要

があり、しかも汚染している可能性の高い食品(肉、魚、卵など)を扱う作業

と汚染させたくない食品を扱う作業(非加熱調理用食品や和えものなど)を明

確にして区分して、掛け持ち作業を行わないようにしなければなりません。学

校給食従事者の人数等の問題で、掛け持ち作業を行わなければならない場合に

は、次の作成例であれば、野菜サラダ(汚染されたくない食品)とムニエル

(他の食品を汚染する可能性のある食品)の掛け持ちは行わないよう示すこと

が重要です。

さらに、作業工程表は出来上がり時間から逆算して、作業の開始時間を示す

ことにより、調理終了から喫食までの時間の短縮を図ることができます。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

96

第3

調理作業については作業工程表に基づいて調理開始前に綿密な打ち合わせを

行うとともに、調理作業中に担当者やタイムスケジュールの変更が生じた場合

には、赤字等で修正するなど正確に記録する必要があります。

HACCPに基づけば、上記例では「白菜のクリーム煮」、「野菜サラ

ダ」、「ムニエル」を別々の献立ごとに工程表を時間系列で作り、それに基づ

いて危害分析をし、重要管理点を決める作業を行ってみると何処でどのような

管理をすれば も安全な食品を作れるかが浮き彫りになります。

<留意点>

(1)調理室に入るときには、手洗いを実施すること。調理中の手洗いも工

程表に書き入れ、確実な手洗いを行うこと。

*「学校給食調理場における手洗いマニュアル」参照

(2)使い捨ての手袋の必要な箇所も作業工程表に記載し、どこの調理過程

で必要なのか理解をしておくこと。

(3)作業工程によりエプロンの交換、靴の履き替えが必要となるので、な

ぜエプロンや靴の交換をしなければならないのかを理解しておくこと。

(4)調理員が掛け持ち作業をすることがあるが、作業の変わり目の手洗い

などを工程表に記載すること。

(5)シンク、調理台、調理器具・容器などの洗浄・消毒については調理場

における洗浄・消毒マニュアルに従うこと。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

97

第3

作業動線図について

作業動線図の作成に当たっては、作成例に示すように以下の点を明確にしな

ければなりません。

(1)食品の搬入口

(2)食品の保管部分

(3)汚染作業区域・非汚染作業区域の区分及び機械器具等

(4)汚染作業区域から非汚染作業区域に食品を受け渡す場所又は台等

(5)調理後食品の保管場所(配膳棚や配膳室等)

(6)献立名及び使用されている食品名

(7)食品名と動線の凡例

作業動線図については作業工程表と同様、調理開始前に調理従事者全員で綿

密な打ち合わせを行うとともに、調理作業中に変更が生じた場合には赤字等で

修正し、正確に記録する必要があります。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

98

第3

<留意点>

(1)本来は個々の食品の動線を示すものですが、作業動線図が複雑になる

ため、作成例では、白菜のクリーム煮の白菜、人参、玉葱、じゃがいも

は緑の一本の動線(野菜)で示しています。

同一料理に使用する食品は、一本の線にまとめても良いですが、同一

食品であっても別の料理に使用する食品をまとめることは適切ではあり

ません。

(2)調理後、釜から配膳棚への動線は、料理毎に一本の線で示します。例

えば、各調理場において野菜の動線と同色で示すなどと決めます。

(3)二次汚染を起こす可能性の高い食品(肉、魚、卵など)の動線は赤や

黄色、汚染させたくない食品(非加熱調理用食品や和えものなど)は青

などのクリーンな色と決めておくことにより、赤と青が交差する場合は

「注意する」などの意識づけを図ることができます。

(4)二次汚染を起こす可能性の高い食品(肉、魚、卵など)と汚染させた

くない食品(非加熱調理用食品や和えものなど)の動線が交差する場合

は、作業工程表で時間差をつけてタイムスケジュールを組みます。それ

が出来ない場合は献立の変更も検討する必要があります。

下処理室から調理室へ汚れを持ち込まないこと

下処理室の汚染が調理場へ持ち込まれると、場合によっては食中毒の原因に

もなるので、次のことに注意します。

1 下処理室と調理室との間で、必要な時以外は人の往来をしないこと。

2 下処理作業から調理作業へ移る時には、必ず手指を洗浄・消毒し、エプ

ロンや履物は、調理作業用のものに取り替えること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

99

第3

二 調理場における食品及び調理用の器具及び容器は、床面から60cm以上

の高さの置台の上に置くこと。

食品及び調理用器具類は、ドライシステム調理場であっても常に床面から

60cm以上の高さに置くこと

表は、床面からの跳ね水による細菌汚染を実験的に調べたものです。水を

50cmの高さから静かに落としたところ、床面から20cmの高さまで多数の細菌が

跳ね上がっています。また、40cmの高さまで細菌の跳ね上がりが見られます。

60cmの高さでは菌が検出されていません。

水を1mの高さからホースで勢いよく落とした場合では、60cmの高さでも細

菌が跳ね上がっています。ホースによる勢いのついた水撒きでは、四方八方に

少なくとも1m近く跳ね水が起きると考えられます。したがって、調理中に水

撒きは絶対してはいけません。

ドライシステム調理場でも、水が床に落ちる可能性があるため、食品及び調

理用器具類は、常に床面から60cm以上の高さに置く必要があります。

跳ね水による細菌汚染

床面からの距離(cm)

実験回数

1回 2回 3回 4回

20 30 40 50 60

25 10

1 0 0

33 1 3 0 0

150 55

0 2 0

105 10

130 50

6 ※実験条件:1~3回目は、床面より50cmの高さからホースで静かに水を

落下させ、4回目は1mの高さから激しく水を落下させた。

(財団法人東京顕微鏡院 伊藤武氏)

(個/cm2)

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

100

第3

三 食肉、魚介類及び卵は、専用の容器、調理用の機器及び器具を使用し、

他の食品への二次汚染を防止すること。

食肉類、魚介類及び卵は、それぞれ専用の調理器具を備えること

食肉、魚介類及び卵は病原微生物汚染の高い食品です。厚生労働省は生食肉

を対象としたサルモネラ、カンピロバクター及び腸管出血性大腸菌O157の汚

染実態調査を毎年実施しています。平成21年に実施した調査ではサルモネラの

汚染率は、牛のミンチ肉が1%、豚ミンチ肉が3%、鶏ミンチ肉が49%です。カ

ンピロバクターの汚染率は、鶏ミンチが30%です。鶏肉はサルモネラ及びカン

ピロバクターに高く汚染されています。また、本調査では腸管出血性大腸菌O

157は牛肉から2件検出されています。

鶏卵は平成元年よりサルモネラの卵の内部の汚染が指摘され、現在でも汚染

が続いています。

特に食肉は、病原菌微生物汚染が高いため裁断等は調理室で行わず、食肉の

納入業者等に依頼し、専用エプロン、使い捨て手袋を使用して作業を行いま

す。

食肉、魚介類及び卵の調理には専用の器具、容器を用い、他の食品を二次汚

染しないように注意することが必要です。

また、これらの食品を取り扱う時には、使い捨て手袋を使用します。

四 調理作業中の食品並びに調理用の機械、機器、器具及び容器の汚染の防

止の徹底を図ること。また、包丁及びまな板類については食品別及び処

理別の使い分けの徹底を図ること。

調理作業中の食品並びに調理用の機械、機器、器具・容器の汚染の防止の

徹底を図ること

(「調理場における洗浄・消毒マニュアルPartⅠ(p20-47)、PartⅡ(p1-9)」参照)

調理用の機器、器具・容器については洗浄・消毒済みのものを使用し、二次

汚染防止に努めることが必要です。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

101

第3

五 下処理後の加熱を行わない食品及び加熱調理後冷却する必要のある食品

の保管には、原材料用冷蔵庫は使用しないこと。

下処理後の加熱を行わない食品及び加熱調理後冷却する必要のある食品の

保管には、原材料用冷蔵庫は使用しないこと

原材料用冷蔵庫には、下処理後の加熱を行わないで提供する食品及び加熱調

理後冷却する必要のある食品を保管せず、調理用冷蔵庫を整備して保管しま

す。

六 加熱調理した食品を一時保存する場合又は調理終了後の食品については、

衛生的な容器にふたをして保存するなど、衛生的な取扱いを行い、他か

らの二次汚染を防止すること。

食品は衛生的に取り扱うこと

調理時には、食品を二次汚染させないことや付着している細菌を増殖させな

いことが大切です。特に、調理過程で冷却が必要な食品は速やかに冷却し、細

菌が増殖しないようにする必要があります。

次の点に注意します。

1 料理の混ぜ合わせには、必ず清潔な器具を使用するとともに、必要に応

じて使い捨て手袋等を装着して、料理に直接手を触れないようにするこ

と。

2 和えもの等で2種類以上の食品を混ぜ合わせる場合は、温度が上がらな

いようにすること。

3 加熱調理した食品を冷却する場合や、生で食用する野菜類等は、ふた付

き容器に入れたうえで専用の冷蔵庫に一時保存すること。

4 調理終了後の食品は、衛生的な容器にふたをして保存すること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

102

第3

加熱調理した食品は衛生的な場所で保存すること

加熱調理した食品は他からの二次汚染を受けない非汚染区域の衛生的な場所

で保存し、使用する器具類は専用のものにします。

なお、洗浄室では一時保存、配食は行わず、食缶等は、床面から60㎝以上の

場所に置きます。

★ 和えものやサラダ等の温度管理

和えものやサラダ等、冷却した後に加熱調理をしない献立については、病原

微生物の増殖防止のための温度管理が特に重要となります。

冷却に使用する施設・設備、調理機器・器具は、確実に洗浄・消毒したもの

を使用するとともに、一時保存する際は、専用のふた付き容器に入れて、冷蔵

庫等に保管します。

出来上がった和えものをふた付

き容器に入れ冷蔵庫で保管

洗浄機付近で配食 ×

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

103

第3

七 調理終了後の食品は、素手でさわらないこと。

調理終了後の食品は素手による微生物汚染を防ぐために、使い捨ての手袋を

して作業を行うこと

(「調理場における洗浄・消毒マニュアルPartⅡ(p31-35)」 参照)

調理終了後の食品を扱う場合は、素手による微生物汚染を防ぐために、手指

は確実な手洗い・消毒をした後に使い捨て手袋を装着します。

また、使い捨て手袋の容器が汚染されていると、使用前に手袋が二次汚染さ

れる危険性があるため衛生的な保管が必要です。使い捨て手袋をして、食品以

外に触れないようにします。

配食時食品に素手で触れないこと

調理終了後の食品に素手で触れると、二次汚染により病原微生物を付着させ

る原因となりますので、次の点に注意します。

1 和えもの等の混ぜ合わせの時を含め、配食時には食品に素手で触れない

こと。

2 必ず清潔な器具を使用すること。食品に手指が触れるような器具を使用

する場合は、使い捨て手袋等を装着すること。

3 作業工程に配慮し、配食用の手袋をしたまま他の作業をしないこと。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

104

第3

八 調理作業時には、ふきんは使用しないこと。

ふきんは使用せず、ペーパータオルを使用すること

ふきんは、微生物が付着すると増殖しやすく、二次汚染の原因となるため、

調理作業時にはふきんは使用しません。

調理台等の水をとる場合は、清潔な水切りワイパーやペーパータオルを使用

します。

洗浄が不十分なふきんに付着したサルモネラ

(電子顕微鏡写真提供:国立感染症研究所 春日ら)

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

③二次汚染の防止

105

第3

九 エプロン、履物等は、色分けする等により明確に作業区分ごとに使い分

けること。また、保管の際は、作業区分ごとに洗浄及び消毒し、翌日ま

でに乾燥させ、区分して保管するなど、衛生管理に配慮すること。

エプロン、履物等は、色分けする等により明確に作業区分ごとに使い分けること

(「調理場における洗浄・消毒マニュアル PartⅠ(p44)」参照)

(「調理場における洗浄・消毒マニュアル PartⅡ(p36)」参照)

エプロンを介して食品に微生物汚染させる危険性があるため汚染作業区域で

使用したエプロンを非汚染作業区域に持ち込まないことが大切です。また、食

肉類、魚介類、卵は病原微生物汚染の危険性が高い食品ですので、専用のエプ

ロンを使用します。和えものなどの作業時には、その後加熱調理過程がないた

め微生物汚染を避けるため専用のエプロンを着用します。

また、履物は汚染作業区域、非汚染作業区域用に区別することが大切です。

1 エプロンは用途別、食品別に区分して整備すること。

2 エプロンの洗浄・消毒は、調理場における洗浄・消毒マニュアルPartⅠ

に従って行い、乾燥後はそれぞれ用途ごとに汚染作業区域、非汚染作業

区域に区分して保管すること。

3 履物の洗浄・消毒は、調理場における洗浄・消毒マニュアルPartⅡにし

たがって行うこと。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

④食品の適切な温度管理等

106

第3

④食品の適切な温度管理等

一 調理作業時においては、調理室内の温度及び湿度を確認し、その記録を

行うこと。また、換気を行うこと。

調理場内の温度、湿度を適切に管理し、記録を残すこと

調理室内の温度は25℃以下、湿度は80%以下に保ち、調理前、調理中及び調

味料庫等の温度・湿度を確認し記録をします。高湿度では微生物、特にかびの

増殖を促すことから、定められた湿度に保つ必要があります。

二 原材料の適切な温度管理を行い、鮮度を保つこと。また、冷蔵保管及び

冷凍保管する必要のある食品は常温放置しないこと。

食品の常温放置はしないこと

食品は、保存温度が決められているものがあるので、この基準を守る必要が

あります。例えば、食肉では10℃以下、冷凍食品は-15℃以下です。

微生物の増殖の原因となるので、常温放置はしないようにします。

具体的には、次の点に注意します。

1 検収後に温度管理の必要なものについては、冷凍・冷蔵保管すること。

2 冷蔵食品は、調理に使用する分のみを冷蔵庫から小分して出すこと。

3 加熱調理後に冷却した食品を常温放置しないように、直ちに調理用冷蔵

庫等で保管すること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

④食品の適切な温度管理等

107

第3

三 加熱調理後冷却する必要のある食品については、冷却機等を用いて温度

を下げ、調理用冷蔵庫で保管し、食中毒菌等の発育至適温度帯の時間を

可能な限り短くすること。また、加熱終了時、冷却開始時及び冷却終了

時の温度及び時間を記録すること。

加熱調理後、冷却する必要がある食品については冷却開始時及び冷却終了

時の温度と時間を記録すること

加熱調理後冷却する必要のある食品は、食中毒菌等の発育至適温度帯の時間

を可能な限り短くするために、冷却機等を用いて、30分以内に中心温度が20℃

に、または60分以内に中心温度が10℃までに下げることが目安です。すばやく

温度を下げ、冷蔵庫等で保管します。また、加熱終了時、冷却開始時及び冷却

終了時の温度と時間を記録します。

次の点に注意します。

1 真空冷却機等を用いて温度を下げ、冷蔵庫で保管すること。

2 やむを得ず水で冷却する場合は、直前に、使用水の遊離残留塩素が

0.1mg/L以上であることや、色・濁り・臭いに異常がないことを確認

し、その時間と食品の温度を記録を保管すること。

発育至適温度帯とは

微生物には、増殖に適した温度範囲があり、この温度の範囲を発育至適温

度帯といいます。病原菌の発育至適温度帯は、約20℃~50℃で、35℃前後が

もよく増殖します。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

④食品の適切な温度管理等

108

第3

★ 真空冷却機で冷却する場合の注意点

*「調理場における洗浄・消毒マニュアル PartⅠ(p29)」参照

真空冷却機を使用して冷却する場合、その内部が衛生的であることが必要で

す。使用後の真空冷却機の温度センサー、温度センサー格納穴、天井、吸気ス

トレーナーなどは汚れ、微生物が残りやすいので、洗浄・消毒します。

一般生菌数

洗浄不足の真空冷却機の内部

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

④食品の適切な温度管理等

109

第3

★ 扇風機、スポットクーラー等による食品冷却

加熱調理した食品を放冷する際に、扇風機やスポットクーラー等で食品に風

を吹き付けて冷却していることがあります。扇風機やスポットクーラー等は、

食品を冷却する機器ではありません。これらの機器を使用すると、食品に室内

に浮遊している微生物、埃を吹き付けることになります。特に、床が濡れてい

る場合には床に近い場所では汚染された水を吹き付けてしまうこともありま

す。

扇風機による食品の冷却 ×

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

④食品の適切な温度管理等

110

第3

四 配送及び配食に当たっては、必要に応じて保温食缶及び保冷食缶若しく

は蓄冷材等を使用し、温度管理を行うこと。

配送及び配食時は食品の温度管理を行うこと

温かな食品は温かい状態で児童・生徒に提供するために、保温食缶を使用し

てください。ただし保温食缶に入れた食品の温度が50℃以下にならないよう

に、温度管理を徹底します。

和えもの、サラダ等は、保冷食缶や蓄冷材で温度管理をします。

保温食缶による温度管理 保温食缶

保冷食缶

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

④食品の適切な温度管理等

111

第3

五 調理後の食品は、適切な温度管理を行い、調理後2時間以内に給食でき

るよう努めること。また、配食の時間を毎日記録すること。さらに、共

同調理場においては、調理場搬出時及び受配校搬入時の時間を毎日記録

するとともに、温度を定期的に記録すること。

調理後の食品については適切な温度管理を行い、調理後2時間以内に給食す

ること

調理後の食品の取扱う際は、次の点に注意します。

1 和えもの、サラダについては、調理後すみやかに冷却して適切(10℃以

下)な温度管理を行うとともに、和える時間を可能な限り配食の直前に

するために作業工程を工夫して、給食までの時間の短縮を図ること。

2 共同調理場においては、調理場搬出時及び受配校搬入時の温度と時間を

記録すること。適切な配送により温度保持が行われているかどうか、受

配校への搬入時の温度は、定期的(季節ごとに)に確認すること。その

際、調理済み食品を汚染させないこと。

3 調理後の食品については適切な温度管理を行い、調理後2時間以内で給

食できるよう努めること。

保冷食缶

定期的に記録するとは 少なくとも月毎に記録すること。

適切な温度管理とは 厚生労働省から出された「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、「調

理後直ちに提供される食品以外の食品は病原菌の増殖を抑制するために、10

℃以下又は65℃以上で管理することが必要である」とされています。また、

「調理終了後提供までに30分以上要する場合は、温かい状態で提供される食

品については、調理終了後速やかに保温食缶等に移し保存すること。その他

の食品については、調理終了後提供までに10℃以下に保存すること。」とな

っています。

学校給食においては「調理後2時間以内の喫食に努めること。」となって

います。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

④食品の適切な温度管理等

112

第3

★ 和えもの室の整備

和えもの調理において適切な温度管理を行うため、調理室の一区画を和えも

の室として整備することが望まれます。次の点に留意します。

1 他の食品の汚染を受けないよう、配膳室の近くに設けること。

2 真空冷却機が整備されている場合は、和えもの専用冷蔵庫、和えもの専

用釜も整備すること。

六 加熱調理食品にトッピングする非加熱調理食品は、衛生的に保管し、ト

ッピングする時期は給食までの時間が極力短くなるようにすること。

加熱調理食品にトッピングする非加熱調理食品は、最後にトッピングすること

和えもの等のトッピング食品としては、のり、いりごま、糸かつお等があり

ます。これら非加熱調理食品は完全に殺菌できない場合もありますので、 後

にトッピングするようにします。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (4)調理過程

⑤廃棄物処理

113

第3

⑤廃棄物処理

一 廃棄物は、分別し、衛生的に処理すること。

二 廃棄物は、汚臭、汚液がもれないように管理すること。また、廃棄物の

ための容器は、作業終了後速やかに清掃し、衛生上支障がないように保

持すること。

三 返却された残菜は、非汚染作業区域に持ち込まないこと。

四 廃棄物は、作業区域内に放置しないこと。

五 廃棄物の保管場所は、廃棄物の搬出後清掃するなど、環境に悪影響を及

ぼさないよう管理すること。

残菜、廃品処理は正しく行うこと

(第2(1)学校給食施設③その他の区域の施設一(p27)参照)

(第2(2)学校給食設備⑥廃棄物容器等一(p42)参照)

1 廃棄物の処理

① 容器等の材質は、耐水性で清掃しやすく、汚水、悪臭が漏れないものに

すること。

② 容器等の形状は、ふた付きで1日の処理量が十分入るような大きさのも

のを備えること。

③ 返却された残菜は非汚染作業区域に持ち込まないこと。

④ 廃棄物は、適宜集積場に搬出し、調理場に放置しないこと。

⑤ 空き缶、空き瓶、プラスチック等は、残った中身を洗い流すこと。

2 その他の調理に伴うゴミ、廃品の処理

厨芥、雑芥、プラスチック、ガラス、金属くず等及びリサイクル等にそれぞれ区

分し、衛生的に処理すること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (5)配送及び配食

①配送

114

第3

(5)配送及び配食

①配送

一 共同調理場においては、容器、運搬車の設備の整備に努め、運搬途中の

塵埃等による調理済食品等の汚染を防止すること。また、調理済食品等

が給食されるまでの温度の管理及び時間の短縮に努めること。

容器や運搬車はいつも清潔であること

運搬車等は、給食専用にし、内部は常に衛生的に管理します。

配送は適切に行い、搬出、搬入時刻を記録すること

給食は、調理終了後可能な限り早く喫食し、長くても2時間以内に喫食する

ことが必要です。配送に当たっては、次のことに注意します。

1 配送先の学校までの道路事情等をよく調査し、 短時間で配送できるよ

うに計画を立てること。

2 調理作業及び配送のタイムスケジュールを正確に立てること。

★ 受配校での温度確認方法

受配校で直送品(委託炊飯による米飯等、牛乳、デザート等)を検収する際

には、非接触式温度計を使って、温度確認をし、記録します。

釜別、ロット別の配送先を記録すること

万が一、食中毒が発生したときに、原因を追究するため、釜別、ロット別の

配送先を記録することが重要です。共同調理場だけでなく単独調理場において

も各クラスに、どの釜で調理した食品が配缶されたか記録します。例えば表の

ような配送記録票(例)を作成し配送先を記録します。

配送記録票(例)

月 日 ○月○日(○曜日)

受配校名 食品名 釜又は

ロット番号

食品名 釜又は

ロット番号

○○小学校 スープ 釜1 冷凍プリン ◇◇社 A1200

○○中学校 スープ 釜2 ゼリー △△社 B15000

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (5)配送及び配食

②配食等

115

第3

②配食等

一 配膳室の衛生管理に努めること。

二 食品を運搬する場合は、容器にふたをすること。

三 パンの容器、牛乳等の瓶その他の容器等の汚染に注意すること。

配膳室の衛生管理に努めること

調理室の配膳室は、食品や食器を保管する部屋で、調理場の非汚染作業区域

です。

そのため配膳室は、できる限り便所から離れた場所に設置します。また、部

外者の立ち入りを防ぐための施錠設備を整備します。

配膳室において配送コンテナ・ワゴン等から物品を出す場合は、外部からの

汚染を防ぐため、給食開始時間の直前になるようにします。

また、受配校の配膳室には、次のような設備及び備品を整えます。

1 手洗い設備

2 換気設備

3 直射日光を遮る設備

4 衛生害虫等の侵入を防止する設備

5 温度計、湿度計

6 非接触式温度計

日ごろから清掃に努め、食品が直接触れる棚は必要に応じてアルコール等で

消毒するなど清潔にします。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (5)配送及び配食

②配食等

116

第3

食品を入れた食缶を運搬する際は、ふたをすること

運搬中の二次汚染を防止するため、配缶後の食缶はふたをします。

包装・容器の衛生状態の確認をすること

パンの個別包装の破れ、牛乳瓶及びパックの破損等がないかを確認します。

配送された食品は衛生的に取り扱うこと

共同調理場の受配校へ配送された調理済みの食品、米飯、パン、デザート等

の直送品を各クラスに配食する際には、確実な手洗いの徹底、清潔なエプロン

の着用等衛生管理に注意します。

<保 管>

1 牛乳は、必ず専用の保冷庫等に収納すること。

2 保冷庫の温度を確認し、記録すること。

3 直送品は、所定の場所に正しく保管すること。

4 コンテナは、搬入されたときに庫内に異常がないことを確認すること。

5 配膳室は、部外者の立ち入りを防ぐため施錠すること。

業者からの直送品についても検収を行うこと

(第3(3)食品の検収・保管等(p66-75)参照)

共同調理場方式では納入業者からの直送品は、学校で担当者が必ず立会い、

検収表に基づき検収し記録すること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (5)配送及び配食

②配食等

117

第3

四 はし等を児童生徒の家庭から持参させる場合は、不衛生にならないよう

指導すること。

はし等を児童生徒が持参する場合は、衛生に配慮すること

給食指導の一環として、はし等を児童生徒が管理し、使用する場合は不衛生

にならないように家庭に持ち帰り、洗浄したものを毎回使用するよう指導しま

す。

五 給食当番等配食を行う児童生徒及び教職員については、毎日、下痢、発

熱、腹痛等の有無その他の健康状態及び衛生的な服装であることを確認

すること。また、配食前、用便後の手洗いを励行させ、清潔な手指で食

器及び食品を扱うようにすること。

給食当番等配食を行う児童生徒及び教職員の健康管理に努めること

給食当番等の健康状態等について、「学校給食衛生管理基準」別紙3「定期

及び日常の衛生検査の点検票-⑧学校給食日常点検票(第8票)」に示す点検

項目に基づき、配食前にチェックし記録します。

下痢や腹痛、嘔吐などの症状のある場合は、給食当番を交替させることが必

要です。

1 下痢している者はいない。

2 発熱、腹痛、嘔吐をしていない。

3 清潔なエプロン、マスク、帽子を付けている。

4 爪は短く切っている。

5 手指をは洗浄し、消毒している。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (5)配送及び配食

②配食等

118

第3

★ 人を介してのノロウイルス感染症

給食当番の児童生徒の手指を介して、ノロウイルス感染症になった可能性の

ある事例がありました。

ノロウイルスは食品を介して感染するだけでなく、学校等の集団生活の場で

はヒトからヒトへ二次感染します。患者のおう吐物の処理が不十分だとウイル

スが乾燥して舞い上がり、直接ヒトの口から取り込まれて感染する可能性が指

摘されています。

ノロウイルスに感染した給食当番の児童を介して、クラスの他の児童生徒に

感染が広った事例や、児童生徒の便所に近いクラスでノロウイルス感染者が多

発した事例も報告されています。これは児童生徒の上履きが便所でも使用され

たために廊下や教室の床を汚染し、感染を広げたと考えられています。

六 教職員は、児童生徒の嘔吐物のため汚れた食器具の消毒を行うなど衛生

的に処理し、調理室に返却するに当たっては、その旨を明示し、その食

器具を返却すること。また、嘔吐物は、調理室には返却しないこと。

教職員は、児童生徒の嘔吐物のため汚れた食器具の取り扱いに注意すること

(「学校給食における食中毒防止 Q&A(p51-56)」参照)

児童生徒の嘔吐物のため汚れた食器には、ノロウイルス等が大量に付着して

いる可能性が高いため、その取り扱いには注意します。

1 嘔吐物等は、適正に処理すること。

2 嘔吐物等で汚れた食器具は、次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒等を行っ

た後、調理室等へ返却の際は、その旨を明示し返却すること。

3 嘔吐物等は、調理室に持ち込まないこと。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (6)検食及び保存食等

①検食

119

第3

(6)検食及び保存食等

①検食

一 検食は、学校給食調理場及び共同調理場の受配校において、あらかじめ

責任者を定めて児童生徒の摂食開始時間の30分前までに行うこと。ま

た、異常があった場合には、給食を中止するとともに、共同調理場の受

配校においては、速やかに共同調理場に連絡すること。

二 検食に当たっては、食品の中に人体に有害と思われる異物の混入がない

か、調理過程において加熱及び冷却処理が適切に行われているか、食品

の異味、異臭その他の異常がないか、一食分としてそれぞれの食品の量

が適当か、味付け、香り、色彩並びに形態等が適切か、及び、児童生徒

の嗜好との関連はどのように配慮されているか確認すること。

三 検食を行った時間、検食者の意見等検食の結果を記録すること。

学校給食調理場及び共同調理場の受配校において、検食を実施すること

児童生徒の摂食前に実施する検食は、 終的に摂食に適するかどうかを判断

するという重要な役割があります。次の点に注意します。

1 学校給食調理場及び共同調理場の受配校において、校長、場長等の検食

責任者は、児童生徒の摂食開始時間の30分前までに検食し、時間及びそ

の結果を記録し保存すること。

次の点に注意し検食を行うこと。

① 食品の中に人体に有害と思われる異物の混入がないか。

② 調理過程において加熱・冷却処理が適切に行われているか。

③ 食品の異味、異臭、その他の異常がないか。

④ 一食分として、それぞれの食品の量が適切か。

⑤ 味付けや、香り、色彩、形態が適切になされているか。また、児

童生徒の嗜好との関連はどのように配慮されているか。

2 検食責任者が、不在、または体調不良等の場合は、代理者が実施するこ

と。

3 検食者は、検食であることを理解し、昼食一食分としての給食を全て食

するのではなく、各献立について①~⑤の項目について確認及び記録す

るための検食であることを理解すること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (6)検食及び保存食等

①検食

120

第3

★ 摂食開始時間の 30 分前までに検食すること

摂食の30分前までの検食は、検食時に異常があった場合に適切な対応をと

るために必要な時間として定められたものです。検食責任者は、適切な判断と

指示ができる人を選任しなければなりません。

特に受配校の検食者責任は、児童生徒の嗜好との関連はどのように配慮され

ているかを理解すると共に、摂食状況などを栄養教諭等へ伝え、円滑な学校給

食が運営されるようにします。

検食簿(例)

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (6)検食及び保存食等

②保存食

121

第3

②保存食

一 保存食は、毎日、原材料、加工食品及び調理済食品を食品ごとに50g

程度ずつビニール袋等清潔な容器に密封して入れ、専用冷凍庫に-2

0℃以下で2週間以上保存すること。また、納入された食品の製造年月

日若しくはロットが違う場合又は複数の釜で調理した場合は、それぞれ

保存すること。

二 原材料は、洗浄、消毒等を行わず、購入した状態で保存すること。ただ

し、卵については、全て割卵し、混合したものから50g程度採取し保

存すること。

三 保存食については、原材料、加工食品及び調理済食品が全て保管されて

いるか並びに廃棄した日時を記録すること。

四 共同調理場の受配校に直接搬入される食品についても共同調理場で保存

すること。また、複数の業者から搬入される食品については、各業者ご

とに保存すること。

五 児童生徒の栄養指導及び盛りつけの目安とする展示食を保存食と兼用し

ないこと。

保存食の採取は、衛生的に行なうこと

食中毒及びその疑いが発生した場合、発生原因の調査のために保存食は欠か

せない試料となります。病原微生物検査等を行う際には、50g程度可食部の試

料が必要となります。

また、採取時に他からの二次汚染があると、正確な検査が実施できなくなる

ため、必ず清潔な専用の器具を使用して採取します。

採取にあたっては、次の点に注意します。

1 保存食は、原材料、加工食品及び調理済食品を食品ごとに50g程度清潔

なビニール袋等に入れ、密封して保存食用の冷凍庫に-20℃以下で2週

間以上保存すること。

2 原材料については、洗浄・消毒等は行わないこと。

3 野菜等で生産地が異なる場合は、生産地ごとに採取し保存すること。

4 一定期間分を一括購入している食品は、納入時に採取し保存すること。

5 食品の製造年月日又はロットが違う場合は、それぞれ採取し保存するこ

と。

6 卵は、全てを割卵してから冷蔵保管し、また、調理直前に混合したもの

から50g程度採取し保存すること。

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第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (6)検食及び保存食等

②保存食

122

第3

7 米(アルファ化米)・麦・塩・砂糖・酢・みりん・しょうゆ・酒・ソー

ス・みそ・こしょう等の調味料は保存食から除く。

8 わかめ・干し椎茸・削り節・昆布・春雨・ごま・のり等の常温で保存で

きる乾物、缶詰等は保存食から除く。ただし、児童生徒の教育活動の一

環で加工した食品を給食に活用する場合については、常温保存できる食

品であっても保存食を採取すること。

9 飲用牛乳及び調理用牛乳は、別々に保存食をとること。

10 加工食品及び調理済み食品は、使用している食品すべてが含まれるよう

に、釜別、ロット別に50g程度採取し保存すること。

11 共同調理場の受配校で、主食、牛乳、デザート等が直接、複数の学校に

配送される場合は、学校単位ではなく、業者ごと、ロットごとに共同調

理場でまとめて採取し保存すること。

12 分量、重量の異なる食品(小学生用(低学年・中学年・高学年)、中学

生用等)は、それぞれ別々に採取し保存すること。

13 採取後は、直ちに保存食用の冷凍庫に保存すること。

14 1日分(1食分)の保存食は、日付(採取日、廃棄日時)を記入した専用

の容器やビニール袋等に取りまとめて保存すること。また、記録簿にそ

の記録をすること。

15 児童生徒の栄養指導や盛りつけの目安とする「展示食」を保存食と兼用

しないこと。

16 使用水について日常点検で異常を認め、または残留塩素濃度が基準に満

たない場合は、再検査を行い、その上で適と判定した水を使用した場

合は、使用水1Lを-20℃以下、2週間以上保存食用冷凍庫で保存する

こと。

密封されていない保存食 廃棄部を採取している保存食 × ×

Page 68: 第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (1 ...第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (1)献立作成 58

第3 調理の過程等における衛生管理に係る衛生管理基準 (6)検食及び保存食等

②保存食

123

第3

③残食及び残品

一 パン等残食の児童生徒の持ち帰りは、衛生上の見地から、禁止すること

が望ましい。

児童生徒個人の残食であっても持ち帰らないこと

配食された量が多いなどの理由で、パン等児童生徒が食べ残す場合がありま

す。児童生徒が、残した食品をどのようにしていたか把握することは困難です

ので、衛生面を考えると持ち帰りを禁止することが望まれます。

学校給食の献立は、学校給食摂取基準に基づいて作られていますが、児童生

徒個人の体格や活動量は異なるため、一人ひとり摂取量は異なります。給食指

導及び食に関する指導を通して、各自の適量を理解させるとともに、適量を配

食できるように工夫します。

二 パン、牛乳、おかず等の残品は、全てその日のうちに処分し、翌日に繰

り越して使用しないこと。

パン、牛乳、おかず等の残品は、全てその日のうちに処分すること

給食調理場(室)から搬出されたものについては、温度管理や外部からの汚

染等の確認が困難です。安全を考慮し、翌日に繰り越して使用しないことが大

切です。