第2次宗像 環境基本計画(案) · 第3章...

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第2次宗像市環境基本計画(案) 平成 29 6 宗 像 市 資料2

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第2次宗像市環境基本計画(案)

平成 29 年 6 月

宗 像 市

資料2

-目 次-

第1章 計画の概要 ··························································· 1

1.計画策定の背景 ························································ 1

2.計画の位置付け ························································ 3

3.計画の対象範囲 ························································ 4

4.計画の期間 ···························································· 4

5.計画の構成 ···························································· 5

第2章 宗像市の概況 ························································· 6

1.沿革と位置 ···························································· 6

2.気象 ·································································· 7

3.人口 ·································································· 8

4.産業 ·································································· 9

(1)就業人口 ································································ 9

(2)農業 ···································································· 9

(3)漁業 ···································································· 10

(4)工業 ···································································· 10

(5)商業 ···································································· 10

(6)観光 ···································································· 11

5.土地利用 ······························································ 12

第3章 第1次宗像市環境基本計画の実績と評価 ································ 13

1.施策の進捗状況 ························································ 13

2.市民の評価 ···························································· 15

3.第 1次計画に示した取り組みの成果と課題 ································ 17

第4章 目指す環境像 ························································ 18

1.目指す環境像 ·························································· 18

2.施策体系 ······························································ 19

第5章 達成に向けた取り組み ················································ 21

1.自然環境 ······························································ 21

1-1 水 ···································································· 21

1-2 緑 ···································································· 23

1-3 生き物 ································································ 26

2.生活環境 ······························································ 30

2-1 公害 ·································································· 30

2-2 上下水道······························································· 33

2-3 ごみ ·································································· 36

2-4 ペット(犬猫) ························································· 39

3.魅力ある都市環境 ······················································ 41

3-1 美しいまちづくり ······················································· 41

3-2 世界遺産のあるまちづくり ··············································· 43

4.地球温暖化 ···························································· 45

4-1 低炭素社会····························································· 45

4-2 適応策 ································································ 49

5.教育・協働 ···························································· 53

5-1 環境教育······························································· 53

5-2 環境活動の支援 ························································· 55

5-3 協働 ·································································· 56

第6章 計画の推進体制及び進行管理 ·········································· 57

1.計画の推進体制 ························································ 57

(1)環境保全市民協働会議 ····················································· 57

(2)庁内推進組織····························································· 58

(3)環境保全審議会··························································· 58

(4)広域連携による推進 ······················································· 58

2.計画の進行管理 ························································ 59

1

第1章 計画の概要

1.計画策定の背景

今日の環境問題は、地球温暖化の進行、廃棄物問題、生物多様性の損失、エネルギー問

題など、多様化・複雑化しており、新たな課題に直面しています。特に地球温暖化問題は、

各種メディアに取り上げられ、状況が深刻化すれば、生命自体が危ぶまれます。

2014 年 10 月に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報

告書によると、世界平均気温は 1880年~2012年で 0.85℃上昇し、海面水位は 1901年~2010

年で 19 ㎝上昇しています。2015 年に採択されたパリ協定では、産業革命前からの気温上

昇を2℃以内に抑えることが掲げられ、温室効果ガス排出削減目標を5年ごとに更新する

ことが定められました。

日本においても、平均気温は 100年あたり約 1.14℃の割合で上昇しており、世界よりも

高い上昇率となっています。今後、自然災害、健康被害の増加などが懸念されています。

また、国際社会の動きとして、2015年 9月に国連総会で「持続可能な開発目標(SDG

s エス・ディー・ジーズ)が採択されました。SDGsとは、「誰も置き去りにしない」を

基本理念に、国際社会が 2030年までに目標の達成を目指す持続可能な社会のための行動計

画です。「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」など17の目標からなり、達成が求められて

います。日本でも 2016年 12月にSDGs推進本部から「持続可能な開発目標(SDGs)

実施指針」が策定され、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目

指すというビジョンが掲げられました。

宗像市における環境への取り組みとしては、平成 15 年 4 月に環境の保全に関する施策

を総合的かつ計画的に推進するものと定めた「宗像市環境基本条例」を制定しました。そ

の後、平成 20 年 3 月には豊かな宗像の自然と歴史を、市民との協働によって守り、次の

世代へつなげるまちづくりを目指した「宗像市環境基本計画」を策定、平成 25 年 3 月に

中間見直しを行いました。循環型社会の構築、地域資源の保全と活用等の一定の成果があ

りましたが引き続き課題も残されています。今回、策定後 10 年経過し、計画期間が終了す

ることから、第2次宗像市環境基本計画を策定するものです。また、2017 年 7 月に「『神

宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの世界遺産に登録されました。第2次計

画では、世界遺産を守る取組みを環境面から支援していく必要があります。

2

■第 1 次宗像市環境基本計画策定以降の社会の動向

年 (西暦)

国際的な動向 日本の動向 福岡県の動向

2008年

・京都議定書第一約束期間開始(~

2012年) ・G8北海道洞爺湖サミット開催

・第 2次循環型社会形成推進基本計画

閣議決定 ・改正京都議定書目達計画閣議決定 ・省エネ法・温対法改正

・生物多様性基本法公布 ・低炭素社会づくり行動計画閣議決定

・森林環境税施行

2009年

・気候変動枠組条約第 15 回締約国会議(COP15)開催 ・アジア3R推進フォーラム設立

・地球温暖化対策推進法律施行令の一部改正

・ふくおかエコライフ応援サイト HP開設 ・13保健福祉環境事務所を 6保健

福祉環境事務所に統合

2010年

・気候変動枠組条約第 16 回締約国会議(COP16)開催

・第 18 回国連持続可能な・生物多様性条約第 10回締約国会議(COP10)開催

環境教育促進法公布 ・生物多様性国家戦略 2010閣議決定

・環境経済成長ビジョン公表 ・新成長戦略閣議決定 ・エネルギー基本計画改定

・生物多様性地域連携促進法公布

・福岡県土壌汚染対策指導要綱策定

・福岡県省エネルギー推進会議を設立

2011年

・気候変動枠組条約第 17 回締約国会議(COP17)開催

・第 19 回国連持続可能な開発委員会会合開催

★東日本大震災・福島第一原子力発電所事故

・環境影響評価法改正 ・電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法成

・ふくおか省エネ・節電県民運動実施

・福岡県レッドデータブック 2011 発行

2012年

・生物多様性条約第 11 回締約国会議(COP11)開催

・気候変動枠組条約第 18 回締約国会議(COP18)開催 ・京都議定書第一約束期間終了

・放射性物質汚染対処特措法施行 ・第四次環境基本計画閣議決定

・生物多様性国家戦略 2012-2020閣議決定 ・再生可能エネルギーの全量買取制度

開始 ・地球温暖化対策のための税導入

・福岡県廃棄物処理計画改訂 ・ふくおかのエネルギーHP公開

2013年

・気候変動枠組条約第 17 回締約国会議(COP19)開催 ・第 19 回国連持続可能な開発委員

会会合開催

・小型家電リサイクル法施行 ・第 3次循環型社会形成推進基本計画閣議決定

・第三次福岡県環境総合基本計画策定 ・福岡県生物多様性戦略策定

・微小粒子状物質(PM2.5)の注意喚起開始

2014年

・持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議の開催

・生物多様性第 12 回締約国会議(COP12)開催

・鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正 ・グリーンプランパートナーシップの事

業の実施

・ふくおかジビエ研究会の設立

2015年

・気候変動枠組条約第 21 回締約国

会議(COP12)の開催とパリ協定の採択

・「日本」における気候変動による影響

の評価に関する報告と課題について」が中央環境審議会により、具申される

・大気常時監視測定局の 4局増設

3

2.計画の位置付け

本計画は、「宗像市環境基本条例」第 7 条に規定された計画です。

第 2 次宗像市総合計画の目指す将来像である「ときを紡ぎ 躍動するまち」を環境面か

ら実現するための環境行政のマスタープランであり、本市の環境保全・創造に関する各分

野の施策・事業の基本となるものです。

また本計画で、地球温暖化対策の推進に関する法律第 19 条第 2 項に規定された「宗像

市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の内容も包含し、一体的に進行管理します。

■計画の位置付け

4

3.計画の対象範囲

◯対象とする地域

計画の対象地域は宗像市全域としますが、宗像市単独では解決が困難な広域的な問

題については、周辺自治体や国、県と連携、協力して取り組んでいきます。

◯対象とする環境

また、対象とする環境は、自然環境、生活環境、魅力ある都市環境、地球温暖化、

教育・協働の 5 分野とします。

4.計画の期間

計画の期間は、2018 年度を初年度とし、2027 年度を目標年度とする 10 年間とします。

5 年後の 2022 年度には中間見直し作業を行いますが、計画の進捗状況や社会経済状況の変

化、環境問題に関する大きな変化などが生じた場合には改定を行います。

平成30年度(2018年度)

計画初年度

平成31年度(2019年度)

平成32年度(2020年度)

平成33年度(2021年度)

平成34年度(2022年度)

中間見直し 全面改定

平成35年度(2023年度)

平成36年度(2024年度)

平成37年度(2025年度)

平成38年度(2026年度)

平成39年度(2027年度)

■対象とする環境

■計画の期間

5

5.計画の構成

計画の構成は、以下のとおりです。

第3章 第1次宗像市環境基本計画の実績と評価

・施策の実施状況、・市民の評価、・第1次計画に示した取り組みの成果と課題

第1章 計画の概要

・計画策定の背景、・計画の位置付け、・計画の対象範囲、・計画の期間、・計画の構成

第6章 計画の推進体制及び進行管理

・計画の進捗体制

(協働推進組織、庁内推進組織、環境保全審議会、広域連携による推進)

・計画の進行管理

第4章 めざす環境像

・めざす環境像

・施策の体系

第5章 達成に向けた取り組み

・自然環境

・生活環境

・魅力ある都市環境

・地球温暖化

・教育・協働

第2章 宗像市の概況

・宗像市の環境を考える上で参考とすべき基本的項目

(位置及び面積、気象、人口、産業、土地利用)

6

第2章 宗像市の概況

1.沿革と位置

本市は、福岡市と北九州市の両政令指定都市の中間に位置する恵まれた地理的条件と、

北が玄界灘に面し、三方向を山に囲まれ、市中央を釣川が貫流する豊かな自然環境を持つ

都市です。大島、地島、沖ノ島などの離島を有し、離島を含め 119.91 ㎢の広大な市域面積

を有しています。

「日本の白砂青松 100 選」に選ばれている「さつき松原」、地島の一部及び勝島などが

玄海国定公園に指定されているほか、沖ノ島原始林及びカンムリウミスズメ生息地として

同島のほぼ全域が国指定天然記念物に指定されています。また「山田ホタルの里公園」な

どではカノコユリやホタルなど美しい自然環境が楽しめます。

古代から中世にかけては、沖ノ島は海上交通の要所として、数多くの祭祀が行われ、こ

の際に用いられた奉献品は国宝に指定され、海の正倉院と呼ばれています。江戸時代に整

備された唐津街道沿いの宿場町であった赤間宿や原町など古い景観を残す街なみもあり、

歴史・文化的遺産も豊富です。

このような豊かな自然や歴史を基にしたゆとりある住環境が魅力となり 1960 年代以降

には大規模な住宅団地開発や大学の建設が相次いで進み、住宅都市、文化・学術都市とし

て発展してきました。

2003 年 4 月に宗像市と玄海町が合併し、さらに 2005 年 3 月の大島村との合併により、

現在の宗像市が誕生しました。現在は市民と行政が一緒に、地域コミュニティを核とする

市民参画・協働によるまちづくりを進めています。

■宗像市の位置 ■宗像市のコミュニティ範囲図

7

2.気象

宗像市は日本海型気候区に属します。この

地域の最大の特徴は、冬季に曇りや雤の天気

が多いこと、北西の季節風をまともに受けて

風の強い日が多いことなどです。

宗像アメダス観測所の過去 10 年間の平均

値(2007~2016 年)では、年間降水量

1,760mm、平均気温 16.0℃となっています。

[資料:福岡の気象百年(福岡管区気象台)、平成 2年]

■九州山口の気候区分

[資料:気象庁 月ごとの値 【宗像 2007~2016年】]

■宗像市の月別平均気温と降水量(10 年平均)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

降水量 79.1 87.35 113.95 142.5 124.25 205.45 315.55 225.45 149.3 104.2 109.5 102.95

日平均気温 5.61 6.73 9.52 13.74 18.44 22.18 26.36 27.13 23.54 18.4 12.81 7.73

平均日最高気温 9.34 10.81 13.98 18.57 23.59 25.94 29.97 31.01 27.55 22.9 17.11 11.69

平均日最低気温 1.63 2.46 4.64 8.64 13.31 19.07 23.37 24.01 20.09 13.97 8.23 3.52

0

50

100

150

200

250

300

350

0

5

10

15

20

25

30

35

気温(℃) 降水量(mm)

8

3.人口

2015年国勢調査による本市の総人口は96,516人、世帯数は38,995世帯となっています。

人口は緩やかに増加していますが、増加傾向は鈍化しています。また、世帯あたりの人員

は減尐傾向が続いています。これは単独世帯の増加や、核家族化が進行しているものと考

えられます。

一方、2015 年の高齢者人口(65 歳以上)の比率は 26.6%(2010 年国勢調査:22.5%)

となっており、今後さらに高齢化が進行すると予想されます。

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

人口(人) 40,309 56,194 66,985 71,389 78,197 86,938 92,056 94,148 95,501 96,516

世帯数(戸) 10,551 16,060 19,926 21,800 24,796 29,027 32,550 34,914 37,077 38,995

平均世帯人員(人/世帯) 3.82 3.50 3.36 3.27 3.15 3.00 2.83 2.70 2.58 2.48

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

人口(人)、世帯数(戸) 平均世帯人員(人/世帯)

0.0%

0.2%

0.6%

1.9%

3.0%

4.3%

6.1%

8.2%

7.7%

6.5%

5.6%

5.7%

7.0%

6.5%

6.2%

5.1%

4.7%

5.5%

4.8%

5.0%

4.8%

0.6%

0.1%

0.4%

1.5%

3.1%

4.4%

5.0%

5.9%

8.0%

7.5%

6.6%

5.9%

5.8%

6.5%

5.8%

5.5%

4.9%

5.3%

4.9%

4.2%

4.3%

4.0%

0.3%

100歳以上

95~99歳

90~94歳

85~89歳

80~84歳

75~79歳

70~74歳

65~69歳

60~64歳

55~59歳

50~54歳

45~49歳

40~44歳

35~39歳

30~34歳

25~29歳

20~24歳

15~19歳

10~14歳

5~9歳

0~4歳

不明

女性(50,572人)男性(45,944人)

■年齢(5 歳階級)別・男女別人口構成

[出典:平成 27 年国勢調査結果(総務省統計局)]

■人口・世帯数と平均世帯人員、高齢化率の推移

[出典:国勢調査結果(総務省統計局)]

9

4.産業

(1)就業人口

2015 年国勢調査によると、本市の就業人口の構成比は第 1 次産業 3.3%。第 2 次産業

20.3%、第 3 次産業 71.7%で、第 3 次産業への就業者割合が高くなっています。

ただし、市外への通勤・通学の割合は高く、約 26,000 人(就業人口の約 6 割)が流出す

るため、本市においては、地場の産業である農業、林業、漁業などの第 1 次産業の占める

比率が高くなっているものと考えられます。

(2)農業

農業就業者数は、2015 年現在 1,852 人、

農家戸数は 872 戸で農業就業者数、農家

戸数ともに減尐しています。内訳を見る

と、専業農家は横ばいで、兼業農家の減

尐が著しく、農業産出額も減尐傾向にあ

ります。

第1次産業

3.3%第2次産業

20.3%

第3次産業, 71.7%

分類不能の産業

4.7%

農業,林業, 2.3%

漁業, 0.9%鉱業,採石業,砂利採取業,

0.0%建設業, 5.5%

製造業, 14.8%

電気・ガス・熱供給・水道

業, 0.4%

情報通信業, 2.2%

運輸業,郵便業, 4.3%

卸売業,小売業, 15.7%

金融業,保険業, 2.2%

不動産業,物品賃貸業, 1.6%

学術研究,専門・技術サービ

ス業, 2.9%

宿泊業,飲食サービス業, 5.6%

生活関連サービス業,娯楽業, 3.7%

教育,学習支援業, 6.7%

医療,福祉, 13.9%

複合サービス事業, 1.1%

サービス業(他に分類されな

いもの), 6.1%

公務(他に分類されるものを除く), 5.2%

分類不能の産業, 4.7%

産業就業人口

43,407人

[ 資料:平成27年度国勢調査]

■産業大分類別 15 歳以上就業者数の割合

■農家戸数の推移

[資料:農林水産省「農林業センサス」]

1,844

1,612

1,216

1,082

974

872

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500

1990

1995

2000

2005

2010

2015

自給的農家 兼業農家 専業農家 農家総数

(戸)

(年)

10

鐘崎5,655t78.6%

大島1,303t18.1%

地島176t2.4%

神湊 63t0.9%

漁獲量

(2015年)7,197t

(3)漁業

2015 年現在の漁業就業者数は 449 人、漁業経営

体数は332戸、漁獲高は県内2位の7,197tで、2012

年以降増加傾向にあります。2015 年における漁港

別の内訳は、鐘崎 78.6%、大島 18.1%、地島 2.4%、

神湊 0.9%となっています。

(4)工業

2014 年現在、製造業従業者数は 1,467 人で、2000

年をピークに減尐傾向にあります。製造業事業所も

43 箇所で減尐傾向にありますが、製造出荷額(4

人以上事業所のみ)は約 358 億円で、2008 年以降

横ばい傾向にあります。製造業出荷額の内訳を見る

と、食料品(製造業)が出荷額の約 8 割を占めてい

ます。

(5)商業

2014 年現在、商業従業者数は 4,169 人、商店数

は 554 箇所、年間販売額は 932 億円となっていま

す。2011 年から微増傾向に転じています。

本市の大型店は、赤間駅周辺、国道 3 号及び旧国

道 3 号沿いのいずれかに立地しています。また、コ

ンビニエンスストアは、市周縁部での密度は小さい

ですが、ほぼ全域をカバーして出店されています。

[資料:経済産業省「工業統計調査」(平成 19 年~22 年)、総務省統計局「経済センサス」(平成 23 年)

福岡県の工業(H24~H26)]

[資料:経済産業省「商業統計調査」、 総務省統計局「経済センサス」、福岡県の商業]

■年間商品販売額、商店数、従業者数の推移 ※産業(中分類)別卸売業・小売業事業所の合計

[資料:港勢調査、漁協業務報告書]

■漁港別漁獲量(2015 年度)

■製造品出荷額等、従業員数、従業員 1 人当たりの推移 (従業員 4 任意所の事業所)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

製造品出荷額等(千万円) 従業者数(人)

従業者1人当り(万円)

(千万円) (人、万円)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

1999 2002 2004 2007 2011 2014

(店、人) (千万円)

年間商品販売額

(千万円)

商店数

(店)

従業者数

(人)

11

(6)観光

2008 年にオープンした宗像市観光物産館(道の

駅むなかた)の 2016 年度の利用者数は約 173 万人

で高い水準で維持しています。また 2015 年度の観

光入込客数は約 695 万人で、2013 年以降再び増加

傾向にあります。世界遺産登録により、今後、観光

が各産業の成長を促すことが期待されます。

■観光入込客数と「道の駅むなかた」利用者数の推移

[資料:宗像市産業振興部商工観光課]

■道の駅むなかた

1,000

1,250

1,500

1,750

2,000

0

2,000

4,000

6,000

8,000

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

一般行楽

祭・行事

文化財等

その他

道の駅

むなかた

(観光入込客数:千人) (道の駅むなかた利用数:千人)

12

5.土地利用

本市は標高 200~400m前後の山々や丘陵に囲まれ、中央部を海に向けて貫流する釣川に

より形成された盆地状の地形をなします。

田、畑、山林など自然的土地利用が約 7 割を占める自然豊かな都市を形成していますが、

宅地化等の進行により農地は減尐傾向にあります。

住宅地開発は釣川沿いの農地の後背となる丘陵部を中心に行われてきたため、市街地が

分散しています。公共公益施設は、市役所周辺と高次の文化施設である宗像ユリックス周

辺に一定の集積が見られますが、市全体で見ると分散した立地状況となっています。また

個人商店が減尐し、幹線道路沿道などの大

規模店への店舗の集約化が進み、身近な生

活圏における商店の減尐と、徒歩圏内での

利便性の低下が危惧されます。そのため

日々の生活における交通手段としての、自

動車の重要性がますます高まることが想定

されます。

また、日の里、自由ヶ丘など 1960~1970

年代に開発された大規模住宅団地では、建

物の老朽化、住民の高齢化の進行とともに

空き家が増加しているため、地域をあげた

再生への取り組みが始まっている。

※端数を処理したため、合計値の合わないところがある。

※航空写真からの読み取りによる推定値。

スギ・ヒノキ

22.4%

住宅地

21.7%

水田

16.3%

耕作地

14.6%

広葉樹

13.7%

竹林

5.8%

水生植物群

3.1%

クロマツ林

1.4%自然裸地

0.9%砂丘草原

0.1%

2006年度

[資料:国土数値情報ダウンロードサービス(国土交通省)]

■土地利用

[資料:宗像市自然環境調査報告書 平成 28年]

■2006、2016年度における宗像市の土地利用状況

住宅地

24.8%

スギ・ヒノキ

22.0%水田

14.9%

広葉樹

13.4%

耕作地

13.1%

竹林

5.8%

水生植物群

3.0%

クロマツ林

1.0% 自然裸地

0.9%

ソーラー

0.8%

砂丘草原

0.1%

2016年度

13

第3章 第1次宗像市環境基本計画の実績と評価

1.施策の進捗状況

第 1 次宗像市環境基本計画では、10 年間の計画期間において、4 つの環境目標を軸とす

る施策の体系に位置づけられる延べ 62 の施策と、主要環境プログラムとして設定された

32 のプログラムに取り組んできました。

このうち、施策の体系に位置づけられる施策の実施は 55 を数え、実施率は約 9 割に達

します。実施率の低い施策は「優れた自然環境の保全と活用」、「快適で美しいまちの創造」、

「地球温暖化防止対策」に関するもの等で、特に自然環境の保全や地球温暖化対策は近年、

地球規模での取り組みを期待されている課題です。

■施策の体系に位置づけられる施策の進捗状況

環境 目標

施策の方向性 基本的な施策(要約) 実施状況

※ 施策の数 実施数 実施率

優れた自然と共生する

ために

(1)川を中心とした環境の保全と創造

①「釣川グリーンネット基本構想・計画」の推進 ○ 1 1 100%

(2)優れた自然環境の保全と

活用

①希尐な動植物の保護 △ 3 2

75% ②法に基づく自然環境の保全 △ 2 1

③海や島などの自然とふれあう場・機会の創出 ○ 3 3

(3)多様な生態系の保全と再

①里地里山の保全と再生 ○ 4 4 100%

②農林水産業からみた環境保全 ○ 2 2

住み良いまちを持続するため

(1)循環型社会の構築

①3Rの推進による循環型社会の構築 ○ 3 3

100% ②地産地消の推進(有効資源の再生利用) ○ 1 1

③資源化の推進と再生品の利用促進 ○ 2 2

(2)ごみ減量の推進

①ごみ減量の推進 ○ 1 1

100% ②ごみ処理制度の充実・整備と適正処理 ○ 3 3

③バイオマスの活用検討 ○ 1 1

(3)生活環境の保全

①公害の防止 ○ 3 3

100% ②生活排水等の適正な処理 ○ 2 2

③生活に必要な水の確保 ○ 2 2

うるおいある地域を創

るために

(1)地域資源の保全と活用

①“地域資源”の有効活用 ○ 2 2

100% ②環境に配慮した農業・漁業の推進 ○ 1 1

③歴史・文化資源の保全と活用 ○ 3 3

(2)快適で美しいまちの創造

①環境美化対策の推進 △ 3 2

75% ②身近な公園緑地の整備 △ 3 2

③安全で快適な街なみ空間の整備 ○ 2 2

(3)特徴ある景観の創造 ①都市景観、農村・漁村景観の形成 △ 3 2 67%

美しい地球の

ために

(1)暮らしの中の省エネ対策 ①暮らしの中の省エネ対策 ○ 2 2

100% ②交通手段利用時の省エネ対策 ○ 2 2

(2)地球温暖化防止対策 ①省エネルギー対策の推進 △ 4 3

67% ②二酸化炭素吸収源の確保 △ 2 1

(3)新エネルギーの有効利用 ①新エネルギー活用の促進 ○ 2 2 100%

計 62 55 89%

※: 〇:概ね実施している。△:一部実施している。×:実施していない。

14

一方、主要環境プログラムは、行政や市民との協働を軸に、本市で重点的に取り組むべ

き施策として設定したものです。施策の実施数は 22 で実施率は約 7 割でした。「共同によ

る計画の推進」に関する施策の実施率が低く、第 2 次の計画では、環境教育・環境学習、

環境リーダーの育成など、「協働」に関する施策をさらに展開していく必要があります。

■主要環境プログラムの進捗状況

主要環境 プログラム

実施プログラム 実施状況 実施状況 ※

施策の数

実施数

実施率

1.「釣川グリーンネット基本構想・計画」の推進

水源かん養林の保全・保育 ・新立山にて定期的な下草刈りの実施

・小学校4年生の水辺教室の実施 △ 3 2 67%

農地の保全

・3地区の農業体験農園を整備

・各種農業体験事業を実施 ・ため池や水路など地域との協働で管理

○ 3 3 100%

竹林の管理

・NPO 法人里山の会による竹林の定期的な伐採の実施

・放置竹林モデル対策事業 ・福岡県放置竹林対策連絡会議に加入

○ 3 3 100%

2.循環型社会づくりの推進

3Rの推進 ・分別収集のシステム継続実施 ・マイバッグ普及運動の実施

○ 2 2 100%

地域循環システムの構築(食と農と環境)

・玄海地域のホテル・旅館・飲食店から出る生ごみを肥料化、その肥料で栽培した有機

野菜を販売する循環システムを構築 ○ 2 2 100%

地域循環システムの構築(地産

地消の推進)

・地元農産物の学校給食への提供

・宗像産農水産物活用レシピの作成

3.地域資源活用の推進

地域資源の保全と活用 ・道の駅むなかたを拠点にエコツーリズムを推進

○ 1 1 100%

4.暮らしの中の省エネルギー対策の推進

暮らしの中の省エネ対策 ・エコ出前講座を開催し環境家計簿の普及を行っている ・マイ箸運動の実施

△ 3 2 67%

交通手段利用時の省エネ対策

(自動車以外の交通の利用促進)

・路線バスの時刻改定

・赤間駅等で自転車駐車場を整備 △ 4 2 50%

交通手段利用時の省エネ対策(エコドライブ運動の推進)

・燃料消費の尐ない運転方法の市広報紙に啓発記事を掲載

△ 3 1 33%

5.協働による計画

の推進

市民協働組織の設立 ・地球温暖化対策実行計画(区域施策編)で市民協働会議を開催

○ 1 1 100%

環境リーダーの育成と市民活

動支援

・環境リーダー育成講座を開催 ・宗像環境団体連絡協議会を設立

・各種市民活動団体への情報提供や補助金を交付

△ 3 2 67%

環境教育プログラムの作成 × 1 0 0%

新システムの導入検討(「地域

環境保全協定制度」の導入検討)

・優良環境行動賞の表彰を実施

△ 2 1 50%

新システムの導入検討(「ポイン

トシステム」の導入検討)

× 1 0 0%

計 32 22 69%

※: 〇:概ね実施している。△:一部実施している。×:実施していない。

15

2.市民の評価

第 1 次計画で取り組んできた施策は、その方向性により 13 の取り組みに区分すること

ができます。

これらの取り組みに関する市民評価では、今後優先的に取り組むべき事項に「省エネル

ギー対策の推進」、「再生可能エネルギー活用の促進」、「里地里山の保全と再生」、「環境教

育・学習の推進」、「希尐な動植物の保護や自然環境の保全」が挙げられています。

※市民アンケート調査では、13の取り組み区分毎に満足度と重要度を回答いただいています。上記の図は、それぞ

れを指数化し、二次の平面上にプロットすることで、市民の環境施策に関する評価や今後の意向を整理したもの

です。施策満足度の低い A、Bのフィールドにある施策区分を対象に、重要度の高い Aフィールドに近いものから

優先的に取り組むことが求められています。

●加重平均値の算出方法

5 段階の評価にそれぞれ点数を与え、評価点(満足度)を算出する。重要度も同じ。

この算出方法により、評価点(満足度)は 10 点~-10 点の間に分布し、中間点の 0 点を境に、10 点に近くなるほど

評価は高くなり、逆に-10 点に近くなるほど評価が低くなる。

評価点 =

「かなり満足」の回答者数×10 点

+ 「やや満足」の回答者数×5 点

+ 「どちらともいえない」の回答者数×0 点

+ 「やや不満」の回答者数×(-5 点)

+ 「かなり不満」の回答者数×(-10 点)

「かなり満足」、「やや満足」

「どちらともいえない」、

「やや不満」、「かなり不満」

の回答者数

÷

■環境施策に関する満足度と重要度

(回答者数:1025 人)

16

宗像市では環境基本計画の改定にあたって、市民の視点からみたこれまでの環境行政や環境の状況を把握す

るためのアンケート調査を行っています。本計画はこれらの調査より得られた市民意向を重視した検討を経

て策定したものです。

◇対象 :2,000名

◇対象の抽出方法 :市内にお住まいの 18歳以上の方

から 2,000人を無作為に抽出

◇配布・回収方法 :郵送法

●参考資料 「市民アンケート調査」

■アンケートの内容

・最も興味・関心のある取り組み

・周辺環境の満足度

・環境の保全や創造のための行動について

・市の施策・事業等について

・生物多様性について

・地球温暖化対策について

・家庭でのエネルギー使用状況について ・省エネルギーや新エネルギー設備の導入状況や今後に導入意向について

市民アンケート調査の概要

17

3.第 1 次計画に示した取り組みの成果と課題

第 1 次計画では、指標となる項目(計画指標)と目安となる目標値を設定し、環境目標

の達成状況の把握を行ってきました。

16 の環境目標のうち、目標値を満足しているのが 4 項目(達成率 25%)、目標値は満た

していないが改善の傾向がみられるのが 10 項目(63%)、改善の傾向がみられない項目が

2 項目(12%)でした。

目標達成まで今一歩の項目が多く、特に改善の傾向がみられなかった「リサイクル率」、

「市民 1 人あたりの二酸化炭素排出量」については、今後も引き続き取り組みを進めてい

く必要があります。

■数値目標の達成状況

計画指標 単位 現況値

(現況年) 目標値

(目標年) 実績値 (実績年)

評価注1

自然景観の美しさに満足する市民の割合※1 % 58.5

(2006年度) 66.0

(2017年度) 63.8

(2016年度) △

水や水辺とのふれあいに満足する市民の割合※1 % 28.3

(2006年度)

41.0

(2017年度)

33.9

(2016年度) △

緑とのふれあいに満足する市民の割合※1 % 53.4

(2006年度)

62.0

(2017年度)

59.4

(2016年度) △

野鳥や昆虫等とのふれあいに満足する市民の割合※1 % 43.9

(2006年度) 51.0

(2017年度) 46.8

(2016年度) △

ごみ総排出量※2 トン 36,740

(2004年度) 36,964

(2015年度) 32,608

(2013年度) ○

リサイクル率※2 % 29.2

(2004年度) 36.4

(2015年度) 28.0

(2013年度) ×

ごみ処理量※2 トン 30,722

(2004年度) 27,886

(2015年度) 28,274

(2013年度) △

ポイ捨てなどの散乱ごみの尐なさに満足する市民の割合※1 % 28.6

(2006年度)

46.0

(2017年度)

35.0

(2016年度) △

川や池、海の水のきれいさに満足する市民の割合※1 % 34.7

(2006年度)

49.0

(2017年度)

44.8

(2016年度) △

汚水衛生処理率※3 % 93.2

(2004年度) 96.7

(2015年度) 97.9

(2013年度) ○

住民の環境関するモラルに満足する市民の割合※1 % 26.6

(2006年度) 43.0

(2017年度) 42.5

(2016年度) △

公園や野外レクリエーション地の充実に満足する市民の割合※1

% 41.9

(2006年度) 52.0

(2017年度) 45.7

(2016年度) △

街なみ景観の美しさに満足する市民の割合※1 % 38.3

(2006年度) 50.0

(2017年度) 45.5

(2016年度) △

歴史や伝統に関するまちの雰囲気に満足する市民の割合※1 % 26.7

(2006年度)

36.0

(2017年度)

42.3

(2016年度) ○

文化財、遺跡等の保存・整備状況に満足する市民の割合※1 % 24.5

(2006年度)

33.0

(2017年度)

43.5

(2016年度) ○

市民 1人あたりの二酸化炭素排出量※4、注 2 t-CO2/人 5.10

(2003年度) 4.90

(2017年度) 6.07

(2013年度) ×

※1 市民の満足度の計画策定時数値は「かなり満足」と「やや満足」と回答した人の割合で、目標数値はアンケート調査(2006 年度)

で「やや不満」と回答した市民の半数が満足すると仮定した割合(小数点以下四捨五入)

※2 ごみ総排出量、リサイクル率、ごみ処理量の計画策定時数値及び目標数値は一般廃棄物(ごみ)処理基本計画より引用。

※3 汚水衛生処理率の計画策定時数値及び目標数値は一般廃棄物(生活排水)処理基本計画より引用。

※4 二酸化炭素排出量の計画策定時数値はエネルギー消費量などの活動量に二酸化炭素排出係数を乗じて算出したもの。

注 1: 〇:目標値を満足している。△:目標値は満たしていないが、改善の傾向がみられる。×:改善の傾向が見られない。 注 2:「市民1人あたりの二酸化炭素排出量」の現況値、目標値は算定方法の見直しにあたって数値を変更している。

18

第4章 目指す環境像

1.目指す環境像

◯第 2次宗像市総合計画に示す将来像

将来像:ときを紡ぎ躍動するまち

自然と歴史のふるさと 住みたいまち 宗像

“人とまちとの共生”とは、人がまちを育み、そしてまちの中で人がいきいきと暮らし、元気に活躍している

ことを言います。

”人と自然との共生“とは、人が自然環境を守り、その自然から心和む景観や「山の幸」、「海の幸」といった

恵みを与えられていることを言います。

“まちと自然との共生”とは、海、川、山、田などの豊かな自然と、住宅地としての都市の機能が調和してい

ることを言います。

宗像市は、まちの魅力をさらに高め、豊かな自然を実感でき、人とまちと自然とが互いに共生し、調和が保

たれているまちを目指します。

人がつながることは、市内・市外にかかわらず、人と人とが対話することで共感し、協働することで新たな

想像や創造を生み出し、まちを成長、成熟させていきます。

本市は、アジアを見据えた都市づくりを行っている福岡市、北九州市両政令市の中央に位置し、JR鹿児島

本線や国道3号という九州の大動脈を通じて多くのヒト、モノ、カネ、情報が行き交う立地に恵まれた地域条

件を活かし、市外の人や他の自治体との交流や広域連携を進めることで、まちを躍動させます。

宗像市は、市内の人(市内の多様な担い手)と共に、市外の人とも連携を進め、存在感があり、躍動するま

ちを目指します。

本市には、二千年にわたる歴史があり、沖ノ島や宗像大社などに代表される歴史とともに、守り引き継がれ

てきた歴史文化があります。それらの歴史文化は、世代を超えた共有の財産でもあります。何世代もの先人が

引き継いできた歴史文化を、次世代に引き継いでいきます。

さらに、歴史文化を次世代に引き継ぐだけでなく、新たな文化を生み出し、次世代に残していきます。

宗像市は、貴重な歴史文化を誇りとし、次世代へ引き継ぐとともに、新たな文化を生み出すまちを目指します。

19

◯第 1次宗像市環境基本計画に掲げた目指す環境像

第 1 次宗像市環境基本計画では、「自然と歴史のふるさと 住みたいまち 宗像」を

目指す環境像として 10 年間取り組んできました。

この目指す環境像は、豊かな宗像の自然と歴史を、市民との協働によって守り、育

て、創り、そして次の世代へとつなげていき、心が安らぐふるさとづくり、ずっと住

みたいまちを目指したものです。現在、その成果が徐々に現れ始めています。

2.施策体系

第 2 次宗像市環境基本計画における施策の体系を示します。

20

なお、2019 年 9 月に国連で先進国と開発途上国が共に取り組むべき国際社会の普遍的な

目標として、「2030 アジェンダ」が設定され、17 の持続可能な開発のための目標(SDGs)

が掲げられています。SDGs では“世界中の誰一人取り残されない”を前提条件として、全

ての国、全ての関係者のパートナーシップのもとで行動することが求められます。当然、

自治体の取り組みも期待されています。宗像市では、SDGs の 17 のゴールのうち、環境に

関係する 11 のゴールに向けた取り組みを、本計画を通じて行っていきます。

■宗像市環境基本計画で取り扱う SDGs の 11 のゴール

■宗像市環境基本計画の施策の体系と SDGs の関係

21

第5章 達成に向けた取り組み

1.自然環境

1-1 水

本土全土に広がる釣川水系は水源地の山々と玄界灘を一つにつなげる本市の自然のシン

ボル的な存在の一つです。市民の生活を支

える大切な水源であるだけでなく、陸地の

栄養分を海へ供給する役目も担っており、

本市の豊かな漁場を支えています。沿岸域

の生態資源を持続的に活用するためには

釣川水系の環境保全が必要不可欠であり、

山と海をつなぐ仕組みづくりなど流域の

連続性を考慮した一体的な取り組みが必

要となります。

また、近年全国的に磯焼けと呼ばれる藻

場の減尐が進んでおり、本市の沿岸域にお

いてもその影響が懸念されています。漁業

資源を持続的に活用するためには、海の再

生等対策の検討が必要です。

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

川や池、海の水のきれいさに満足する市民の割合

35.0 (2016 年度)

①川の保全

市内の河川、地下水の環境維持・向上のため、地域における草刈りを推進します。また、

開発等で失われた河川環境を再生し、水生植物・水生生物が住みやすい場所を形成します。

・地域や市民活動団体等による草刈りを推進します。

・河川及び河川周辺の自然再生を行います。

・水源かん養林を守り育てます。

■現状と課題

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

■釣川と主な支流

22

水産業・漁村の多面的機能

②豊かな海づくりの推進

森に蓄えられている養分が、雤などにより海に流れていき、海の生き物のエサとなりま

す。よって、豊かな海を育むために、豊かな森を作り、藻場の再生と生態系の保全に取り

組みます。海が豊かになれば、生き物が増え、宗像の重要な産業である漁業を支えること

ができます。

・魚つき林を保全します。

・藻場再生を推進します。

・稚魚放流など資源管理型漁業を推進します。

・海の環境について協議する場を設けます。

水産業・漁村は、安全で新鮮な食料を安定的に供給するだけでなく、国民生活や国民経済の安

定に貢献するなど、様々な役割を果たしています。これを水産業・漁業の多面的機能と呼びます。

国民の生命・財産の保全

日本の漁船は 23 万隻、漁業集落は約 6 千で、海岸線 150m あたりに 1 隻、5.7mあたりに1か村が配置されており、広大な監視ネットワークが形成されて

います。これにより、国監視、海難救助、災害の防止と救援、海域環境モニタリングに貢献しています。

物質循環

人間生活により陸から海へと排出される栄養素(窒素やリン)の負荷量が増大

しています。海の生態系が正常に機能していれば、栄養塩の一部は水生生物へと再資源化されるとともに、有機物の分解により環境浄化の役割を果たします。 漁業は、再生産された生物を資源として陸に引き上げ再利用することにより、

再資源化の促進と物質循環機能の補完の役割を果たしており、海洋環境を正常に維持する機能を果たしています。

生態系と海域環境保全

海洋には、約 16万種の生物が存在していますが、それぞれの海域環境に適応

しながら、様々な生物が関わりあって作っているひとつの系を生態系といいます。生態系の構造と機能には柔軟性があり、水産業が適切に行われる限り、生態系が崩壊することはありません。

一方、生態系は、水浄化機能や生物多様性維持機能という重要な機能を持っています。 このような生態系の機能は、他に替え難いもので、将来にわたってこれらの機

能が発揮されるよう真摯に取り組んでいく必要があります。

交流などの場の提供

漁村は、海洋性レクリエーション、体験学習、水産物直販、各種イベントなどにより、都市と地方の異なる文化背景を持った人々の交流を促進するとともに、

白砂青松の海岸美などに漁船や養殖筏、天日干しなどの水産業の営みが特徴ある景観を創出しています。

地域社会の形成・維持

漁村は、伝統漁法、魚食文化、海にまつわる信仰行事などの伝統的文化の創造・

継承を行っています。また、漁村の人々は、遊漁、ダイビング、潮干狩りなどを取り込んで、海と水産業に係わる機能を取り込んだ新たな活動を促進しています。

■施策の方向性

■取組事業

コラム

23

1-2 緑

本市は標高 300m 前後の山々に囲まれ、田や畑、玄海国定公園など、市内全域に豊かな

緑が存在します。また、田・畑・山林など、里地里山に分類される土地利用が約7割を占

めています(p〇「第〇章 土地利用」参照)。しかし、都市化や開発などに伴い、緑は減

尐しています。さらに、竹林の拡大や管理の行き届かない山林が増えています。

海岸部では、潮流の変化や供給土砂の減尐に伴う海岸浸食、さつき松原では、松くい虫

による被害が拡大し、白砂青松の美しい景観が失われているため、その保全対策が必要で

す。

また、農地は食料生産機能の他、水資源の供給、防災、生態系保全、景観の形成などの

重要な役割を担っています。しかし近年、農業就業者の減尐や高齢化等により、農地が減

尐し、これらの多面的機能が一部失われています。また、イノシシ・シカ等の有害鳥獣に

よる被害などが拡大する傾向にあります。

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

松の植樹本数(累計) ―

(2016 年度)

10,000

(2027 年度) 本

新規就農者

(2014 年度)

15

(2020 年度)

経営体

宗像市産業振興計画

より

①里地里山の保全

山林については、荒廃森林の再生を図るため、間伐や枝落し、竹の伐採を進めていきま

す。

農業については、むなかた地域農業活性化機構、農協などと連携し、次世代を担う新た

な農業者の育成・確保を行い、里地の保全と再生を行います。

有害鳥獣については、有害鳥獣駆除部会と連携し、駆除・活用を推進します。

・里地里山を守る人材の確保やボランティア活動の支援を行います。

・荒廃森林・放置竹林の整備を進め、竹の活用に向けた調査研究を行います。

・農作物の有害鳥獣対策を推進します。

・耕作放棄の防止などを行い、農地の多面的機能を確保します。

■現状と課題

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

24

農地の多面的機能

農業・農村は私たちが生きていくのに必要な米や野菜などの生産の場としての役割を果たして

います。しかしそれだけではありません。農業が継続して行われることにより、私たちの生活に

色々な「めぐみ」をもたらしています。このめぐみを「農地の多面的機能」と呼んでいます。

洪水を防ぐ 畦に囲まれた田や耕作された畑の土壌には、雨水を一時的に貯留する働きがあ

り、洪水の発生を防止する役割を果たしています。

土砂崩れを防ぐ

斜面に作られた田畑は、日々の手入れによって小さな損傷も初期段階で発見・補

修できるため、土砂崩れを未然に防止することができます。また、田畑を耕作することで、雨が降っても雨水を地下にゆっくりとしみこませ、地下水位が急上昇することを抑える働きがあり、地すべりを防止しています。

土の流出を防ぐ 田畑の作物や田に張られた水は、雨や風から土壌を守り、下流域に土壌が流出す

るのを防ぐ働きがあります。

川の流れを安定させる 田に貯留した雨水等は、一部は排水路から河川に戻り、一部はゆっくりと地下へ浸透し湧出して河川に戻ります。これらは、河川の水量を安定させる役割を果た

しています。耕作された畑にも同じような役割があります。

地下水をつくる 田畑に貯留した雨水等の多くは、地下にゆっくりと浸透して地下水となり、良質な水として下流地域の生活用水等に活用されます。

暑さをやわらげる 田の水面からの水分の蒸発や、作物の蒸散により、空気が冷やされます。この冷涼な空気は周辺市街地の気温上昇を抑える効果もあります。

生きもののすみかになる 田畑は、自然との調和を図りながら継続的に手入れをすることにより、豊かな生

態系を持った二次的な自然が形成され、多様な生物が生息しています。この環境を維持することで、多様な生物の保護にも大きな役割を果たしています。

農村の景観を保全する 農村地域では、農業が営まれることにより、田畑に育った作物と農家の家屋、その周辺の水辺や里山が一体となって美しい田園風景を形成しています。

文化を伝承する 全国各地に残る伝統行事や祭りは、五穀豊穣祈願や収穫を祝うもの等、稲作をはじめとする農業に由来するものが多く、地域において永きにわたり受け継がれて

います。

癒しや安らぎをもたらす 農村の澄んだ空気、きれいな水、美しい緑、四季の変化などが、安心とやすらぎを与え、心と体をリフレッシュさせます。

体験学習と教育 農村で、動植物や豊かな自然に触れることで、生命の大切さや食料の恵みに感謝する心が育まれます。

その他 緑豊かな農村で、土や自然に触れ農作業を行うことは、高齢者や障がい者の機能回復などに役立っています。

コラム

25

②さつき松原の再生

白砂青松 100 選に選ばれたさつき松原の保全・再生を、市民や団体、企業と連携して行

います。アダプト制度や植樹事業等を計画的に実施し、松原の再生、保全を行っていきま

す。

また、松くい虫被害松を適正に処理し、被害拡大防止策を実施します。

・市民参加型の松原再生事業を継続して実施します。

・森林管理署、県等の関係機関と協力し、防除事業や情報交換に取り組みます。

■施策の方向性

■取組事業

26

1-3 生き物

2015 年~2016 年に行った「宗像市自然環境調査」では、宗像市の保全すべき生態系を

有する地域 12 ヶ所のうち 6 ヶ所で、ここ 10 年間に何らかの変化が起こったことが報告さ

れています。それらは自然的土地利用から都市的土地利用への転換による都市化、外来生

物の侵入、地球温暖化などが原因として考えられます。

市民の生物多様性に対する認知度が低いため、その重要性を示唆し、市民一体となって

保全に取り組む必要があります。

また、宗像市には国や県のレッドデータブックに記載されている希尐な動植物が数多く

生息・生育しています。よって、今後も定期的に環境監視を行うとともに、監視体制の構

築、調査する人材の育成に取り組む必要があります。

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

生物多様性について知っているまたは聞いたことがある市民の割合

54.6

(2016 年度)

(2027 年度) %

自然景観の美しさに満足する市民の割合

63.8

(2016 年度)

(2027 年度) %

水や水辺とのふれあいに満足する市民の割合

33.9

(2016 年度)

(2027 年度) %

緑とのふれあいに満足する市民の割合 59.4

(2016 年度)

(2027 年度) %

野鳥や昆虫等とのふれあいに満足する市民の割合

46.8

(2016 年度)

(2027 年度) %

①多様な生態系の維持

定期的な自然環境監視や環境整備などを行うための体制の構築、人材の育成及び関係機

関との連携強化に取り組んでいきます。

生物多様性や特定外来生物について広く啓発を行います。

また、希尐な動植物の保護のため、生息・生育環境の保全を推進します。

・自然環境調査等を行い、環境監視をします。

・宗像の自然についてHP等の内容を充実させ、市民に広く周知します。

・生物多様性や特定外来生物について啓発を行います。

・関係機関との連携を強化し、対策を行います。

・希尐な動植物の保護対策を推進し、生息・生育環境を保全します。

■現状と課題

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

27

②自然とふれあう場・機会の創出

身近に自然とふれあう場・機会を創出し、市民の自然への興味関心・愛着を育みます。

・各種イベントを行い、自然とのふれあいの機会を増やします。

・自然とふれあう施設の活用を拡大します。

■施策の方向性

■取組事業

28

地球上に生きている生き物たちが、すべて直接に、間接的につながり合い、壮大な命の環を織りなしている

ことが分かります。この生き物のつながりを、私たちは「生物多様性」と呼んでいます。生物多様性は「生態

系の多様性」、「種の多様性、「遺伝子の多様性」という 3つのレベルの多様性から成り立っています。

各地に森林、草地、湿原、

干潟、サンゴ礁などのいろい

ろなタイプの自然があること

生態系の多様性

分類 種類

哺乳類 アライグマ

鳥類 ガビチョウ、ソウシチョウ

爬虫類 カミツキガメ

両生類 ウシガエル

魚類 オオクチバス(ブラックバス)、ブルーギル、カダヤシ

クモ・サソリ類 ゴケグモ属(セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ)

昆虫類 アカカミアリ、ツマアカスズメバチ

植物 オオキンケイギク、ミズヒマワリ、ナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、アレチ

ウリ、オオフサモ、ボタンウキクサ、ナルトサワギク

成熟した雌は体長約 7~10mm、全体が黒色で、

腹部の背面に目立った赤色の縦条があります。雄は

無害ですが、雌は神経毒を持ち、咬まれると痛みや

腫れが生じ、まれに重症化することもあります。自

動車や野外に置かれた物の隙間など、さまざまな場

所に営巣し、人為的に運ばれた結果生息域が拡大し

たと考えられています。

発見した場合は、決して素手で捕まえたりせず、

殺虫剤を用いたり、

靴で踏みつぶすことで

駆除してください。

全長約 2~3cm、全体的に黒っぽく、腹

部の先端がオレンジ色のスズメバチです。

昆虫を補食するため、在来のスズメバチと

の競合や養蜂ミツバチへの攻撃、人への刺

傷被害などが懸念されます。日本で初めて

発見された対馬市で急激に分布を拡大し

ていることから、本市への侵入を警戒する

必要があります。

生物多様性とは

セアカゴケグモ ツマアカスズメバチ

県内で確認情報のある特定外来生物

コラム

鳥、魚、植物などいろいろ

な種類の生きものがいること

種の多様性

テントウムシのさまざまな

模様のように同じ種でも模

様、生態などに多様な個性が

あること

遺伝子の多様性

29

分類 文化財保護法 種の保存法 環境省 RDB 福岡県 RDB

植物

(8892種) ― ―

【絶滅危惧ⅠB類】5種 ハナカズラ、

アゼオトギリなど

【絶滅危惧Ⅱ類】20種 オオタニワタ

リ、ヒメタデなど

【準絶滅危惧】15種 マツバラン、ゲ

ンカイミミナグサなど

【情報不足】1種 マルバオウセイ

【絶滅危惧 IA類】19種 コクモウクジ

ャク、ヤシャブシなど

【絶滅危惧 IB類】20種 ミズワラビ、

カシワなど

【準絶滅危惧】12種 ネズミサシ、ウ

ナギツカミなど

【絶滅危惧Ⅱ類】19種 クワノハエノ

キ、コギシギシなど

【絶滅】1種 ヒメビシ

【情報不足】1種 ニラバラン

哺乳類

(25種) ― ― ―

【準絶滅危惧】6種 ハタネズミ、スミ

スネズミなど

【絶滅危惧Ⅱ類】1種 カヤネズミ

鳥類

(189種)

【国指定天然記

念物】2種 カ

ラスバト、カン

ムリウミスズ

【国内希少野

生動植物種】

4種 オオ

タカ、ハヤブ

【絶滅危惧ⅠB類】9種 ヒメウ、サン

カノゴイなど

【絶滅危惧Ⅱ類】17種 ウズラ、トモ

エガモなど

【準絶滅危惧】13種 ヤマドリ、マガ

ンなど

【情報不足】4種 アカツクシガモ、オ

シドリなど

【絶滅危惧 IA類】11種 ヒメクロウミ

ツバメ、ヨシゴイなど

【絶滅危惧 IB類】5種 ミゾゴイ、ク

ロツラヘラサギなど

【準絶滅危惧】35種 オシドリ、カン

ムリカイツブリなど

【絶滅危惧 II類】19種 ミコアイサ、

アカエリカイツブリなど

【情報不足】2種 ウズラ、コサメビタ

爬虫類・

両生類

(27種)

― ―

【絶滅危惧ⅠB類】1種 アカウミガメ

【絶滅危惧Ⅱ類】1種 カスミサンショ

ウウオ

【準絶滅危惧】4種 ニホンイシガメ、

アカハライモリなど

【情報不足】1種 ニホンスッポン

【絶滅危惧 IB類】2種 アカウミガメ、

トノサマガエル

【準絶滅危惧】6種 ジムグリ、ブチサ

ンショウウオなど

【絶滅危惧 II類】4種 ニホンイシガ

メ、ニホンヒキガエルなど

【情報不足】1種 ニホンスッポン

甲虫

(769種) ― ―

【絶滅危惧ⅠB類】1種 ヨツボシカミ

キリ

【情報不足】1種 アカマダラコガネ

【絶滅危惧 IA類】1種 ヨツボシカミ

キリ

【絶滅危惧 IB類】3種 ツヤハマベエ

ンマムシ、カラカネハマベエンマムシ

など

【準絶滅危惧】15種 マイマイカブリ、

オサムシモドキなど

【絶滅危惧 II類】10種 ルリエンマム

シ、ニセマグソコガネなど

【情報不足】3種 ムモンシリグロオオ

キノコムシ、ヨツボシハナコブヒメゾ

ウムシなど

(75種) ― ―

【絶滅危惧ⅠB類】1種 ツマグロキチ

ョウ

【準絶滅危惧】7種 ジャノメチョウ、

ヒオドシチョウなど

【絶滅危惧Ⅱ類】2種 ウラナミジャノ

メ、ツマグロキチョウ

水生生物

(126種) ― ―

【絶滅危惧ⅠA類】2種 ニッポンバラ

タナゴ、ワタカ

【絶滅危惧ⅠB類】1種 ニホンウナギ

【絶滅危惧Ⅱ類】1種 メダカ

【情報不足 DD 】1種 ドジョウ

【絶滅危惧 IB類】2種 ニッポンバラ

タナゴ、ニホンウナギ

【準絶滅危惧】6種 マルタニシ、ヘイ

ケボタルなど

希少な動植物

30

2.生活環境

2-1 公害

宗像市には一般環境大気測定局(宗像)があり、大気汚染物質の常時測定が行われてい

ます。本市の大気環境は概ね良好ではありますが、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質、

微小粒子状物質(PM2.5)で一部、環境基準を達成していない状況がみられます。これら

の物質は近年、注意報発令地域が広域化し、全国的に環境基準の達成率が低い状況にあり

ます。

自動車交通騒音については、市内の主要道路に面する地域で測定が行われており、場所

によっては環境基準を達成していない状況がみられます。

河川水質については、釣川の2地点(環境基準点)で測定が行われており、2009 年度以

降は 2 地点とも環境基準を下回っています。

公害苦情の件数は、水質汚染に関するものが多く、年間 3~20 件の苦情が発生していま

す。

市民アンケートによると、「空気のきれいさ」に不満を感じる原因として、PM2.5 が筆

頭に挙げられており、健康被害等への影響に不満を感じている状況がうかがわれます。「周

辺の静けさ」に不満を感じる原因としては、“自動車・オートバイなどからの交通騒音”が

最も多くなっています。

大気環境、水環境、騒音・振動、廃棄物、環境美化などの生活環境は、私たちが生きて

いく上で基本的なものであり、健康で快適な暮らしのためには、これらの環境の正常な状

態での存続が将来にわたって保証される必要があります。

9.1

5.2

3.3

1.7

0

5

10

15

2012 2013 2014 2015

基準超過日数の割合

※(%)

(年度)

■現状と課題

[資料:平成 25~28年版公害関係測定結果 福岡県]

■微小粒子状物質 PM2.5の環境基準の適合状況(一般環境大気測定局 宗像)

31

かなり満足

31.9%

やや満足

39.8%

どちらともいえ

ない9.4%

やや不満

10.9%

かなり不満

2.0%

無回答

6.0%

n=1,025

周辺の静けさ

[資料:平成 20~28年版公害関係測定結果 福岡県]

■釣川の水質の変化(BOD75%値)

[資料:平成 28 年度環境基本計画策定のための基礎調査報告書]

■周辺の静けさに関するアンケート結果

[資料:市民協働環境部環境課]

■生活環境に関する苦情件数の推移

32

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

川や池、海の水のきれいさに満足する市民の割合

49.0

(2016 年度)

(2027 年度) %

住民の環境に関するモラルに満足する市民の割合

43.0

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2016 年度)

(2016 年度)

①公害の発生防止対策

市広報紙や市のホームページに啓発記事を記載し、生活型公害への対応と啓発活動を推

進します。また、自動車騒音、河川水質など公害監視体制の強化に努めます。

・市広報紙、市HPにより公害についての啓発を行います。

・自動車騒音測定、水質調査等を行い公害監視体制の強化に努めます。

②公害発生時の対策

PM2.5及び光化学オキシダントに関する注意報や警報が発令された場合または発令され

そうな場合は、速やかに市民に対して注意を呼びかけます。また、公害発生時には、県の

保健福祉環境事務所など関係部署と連携し、迅速に対処します。

・保健福祉環境事務所など関係部署と連携し、対処します。

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

■施策の方向性

■取組事業

33

2-2 上下水道

上下水道の整備状況は、2015 年度時点で給水人口 84,656 人、普及率 87.8%、給水区域

内の普及率は 89.7%(給水区域内人口 94,342 人)となっています。一人一日平均配水量

は、2015 年度現在 263 リットルで 2008 年度以降横ばいで推移しています。

上水道水源は、釣川、多礼ダム、吉田ダムの釣川水系のほか、2011 年度から北部福岡緊

急連絡菅を通して、北九州市からも受水しています。

公共下水道や漁業集落排水施設の整備率は 100%に近い状況となっています。し尿処理

は、本市と福津市で構成する宗像地区事務組合所管の宗像浄化センターで処理しています。

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度

行政区域内人口 (A) 人 96,164 96,473 96,486 96,449

給水区域人口 (B) 人 93,888 94,286 94,334 94,342

給水人口 (D) 人 84,192 84,594 84,648 84,656

普及率 (D/A) % 87.6% 87.7% 87.7% 87.8%

給水区域内の普及率 (D/B) % 89.7% 89.7% 89.7% 89.7%

■現状と課題

■上水道普及率などの推移(大島、地島の簡易水道を含む)

[資料:宗像地区事務組合]

[資料:宗像地区事務組合]

■上水道の配水状況

34

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

■目安となる数値目標

[資料:都市計画基礎調査(平成 24年度)(第 2 次宗像市国土利用計画基礎資料より抜粋)]

■上水道整備状況

35

①生活排水等の適正な処理

下水道事業計画区域においては、下水道整備を推進します。また、下水道施設の計画的

な改築更新と適切な維持管理を実施します。

・下水道施設(公共下水道事業、漁業集落排水事業)の計画的な改築更新と適切な維持管

理を実施します。

・下水道処理区域外においては合併処理浄化槽の設置を推進します。

②生活に必要な水の確保

水道水の安定供給や安全性の確保に努めます。また、漏水調査の実施と早期発見、逐次

修理を行い、効率的な水利用に努めます。

・水道施設の整備・更新、水道管の漏水調査を行います。

■施策の方向性

■取組事業

■施策の方向性

■取組事業

36

30.129.6 29.4 29.8

28.0 27.9

24.1

20

25

30

35

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

リサイクル率

(%)

(年度)

2-3 ごみ

2015 年度の宗像市のごみ総排出量は 32,350 トンで、2009 年度以降、増減はほとんどあ

りません。同年度の宗像市の 1 人 1 日当たりのごみ排出量は 915 グラムで、福岡県民の 985

グラムと比べると尐なくなっています。

リサイクル率、資源化量は 2012 年度までは横ばい傾向にありましたが、2013 年度は集

団回収量の減尐によりリサイクル率、資源化量ともに減尐しています。

37,073 35,307

33,389 32,645 32,062 32,502 32,848 32,608 32,181 32,350

0

500

1,000

1,500

0

10,000

20,000

30,000

40,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年度)

( g/人日 ) ( t )

宗像市のごみ総排出量

宗像市民1人1日当たりのごみ排出量

福岡県民1人1日当たりのごみ排出量

■現状と課題

[資料:宗像市市民協働環境部環境課]

■リサイクル率の推移

[資料:宗像市市民協働環境部環境課、環境省、一般廃棄物処理実態調査結果]

■ごみ排出量の推移

37

9,827 9,504 9,564 9,793

9,120 8,987

7,787

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

回収量(t/年)

年度

分別収集からの資源回収 不燃・粗大ごみからの回収

ガス化溶融施設からの回収 資源集団回収

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

市民1人1日当たりのごみ排出量 890.9

(2016 年度)

833.6

(2024 年度) g/人日

リサイクル率 26.0

(2016 年度)

30.2

(2024 年度) %

ポイ捨てなどの散乱ごみの尐なさに満足する市民の割合

46.0

(2016 年度)

(2027 年度) %

■目安となる数値目標

[資料:宗像市市民協働環境部環境課]

■資源化・減量化の実績

38

①ごみ減量と資源化の推進

市民の適量購入・適量消費・最小廃棄、事業者の適量生産・最小廃棄といった一連の経

済活動の中での取り組み、すなわち、リデュース(発生抑制)の仕組みをもった社会の構

築を最優先とし、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の3R を推進します。

・3Rを推進し、循環型社会を構築します。

・生ごみの減量対策を行います。

②ごみ処理制度の充実・整備、適正処理の確保

家庭系ごみのより効率的な収集運搬による経費削減に努め、市民負担のあり方を適正に

見直すとともに、市民サービスの向上を図ります。

事業系ごみの自己処理責任に基づく適正処理のあり方を啓発、周知するとともに、事業

者が取り組みやすいごみ減量・リサイクルシステムの構築を目指します。

・資源物受入施設などの運営効率の向上を目指します。

・バイオマスの利用を推進します。

・ごみの広域処理を推進します。

■施策の方向性

■取組事業

■施策の方向性

■取組事業

39

2-4 ペット(犬猫)

ペットは、私たちの心や生活にやすらぎを与えてくれますが、マナーを守らないと様々

なトラブルを発生する原因にもなります。

市民アンケートでは、ペットの飼い方のマナーなどについて、「ペットの糞尿の後始末

をしていない姿を見かける」、「犬猫の糞尿で困っている」、「リードをせずにペットの散歩

をしている姿をよく見かける」といった回答が多くありました。

ペットとの楽しい生活を送るためには、周囲の人に迷惑をかけないことが大切です。

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2027 年度) %

(2016 年度)

(2016 年度)

(2016 年度)

0% 5% 10% 15%

リードをせずにペットの散歩をしている・

姿をよく見かける ・

ペットの糞尿の後始末をしていない姿を・

見かける ・

飼い猫を室内で飼っていない ・

野良猫への餌やりを見かける ・

犬猫の糞尿で困っている ・

近隣の犬などの鳴き声がうるさくて ・

困っている ・

ペットの世話がされていない ・

その他 ・

無回答 ・

■ペットの飼い方のマナーなど 悪い原因

回答者数 773名

かなり良い5.0%

やや良い27.0%

どちらとも

いえない25.2%

やや悪い31.1%

かなり悪い9.2%

無回答2.5%

ペットの

飼い方の

マナーなど

n=1,025

■現状と課題

■目安となる数値目標

[資料:平成 28 年度環境基本計画策定のための基礎調査報告書 平成 28年]

■ペットの飼い方のマナーに関するアンケート結果

40

①人とペットの共生

ペットと共に仲良く暮らすために、飼育マナーの啓発を行うとともに、犬の登録・狂犬

病予防接種の徹底を行います。

・飼育マナーの啓発を行います。

・犬の登録・狂犬病予防接種を徹底します。

■施策の方向性

■取組事業

41

10.39.1

9.9211.21

2.2

4.6

16.7

0

5

10

15

20

国 福岡県 古賀市 福津市 宮若市 岡垣町 宗像市

(㎡/人)

3.魅力ある都市環境

3-1 美しいまちづくり

本市の市民1人あたりの公園面積は県内でも高い水準にある反面、市民アンケートによ

ると、公園緑地の管理が行き届いていないという意見も寄せられています。

また、不法投棄や空き家などによる居住空間への悪影響が指摘されており、まち全体の

整備や維持管理体制を充実させる必要があります。

■現状と課題

[資料:「平成 27 年度末都市公園等整備及び緑地保全・緑化の取組の現況(速報)の公表について」 国土交通省、 「都市公園等整備現況調査」 平成 26 年度 福岡県]

■一人当たり都市公園面積

■ふれあいの森

(写真:宗像市ホームページ)

■宗像ユリックス

(写真:宗像市ホームページ)

■明天寺公園

42

計画指標 現況値 (現況年)

目標値 (目標年)

単位 備考

ポイ捨てなどの散乱ごみの尐なさに満足する市民の割合

35.0 (2016 年度)

(2027 年度)

公園や野外レクリエーション地の充実に満足する市民の割合

45.7 (2016 年度)

(2027 年度)

①環境美化の推進

不法投棄の防止と清潔で快適なまちづくりのため、ごみを捨てさせない環境づくりを市

民と協働で推進します。

地域や市民活動団体などとの連携による環境美化活動に取り組みます。

また、空き地・空き家の適正管理を推進します。

・地域や市民活動団体等による清掃活動を始めとする環境美化活動を推進・支援します。

・不法投棄防止対策を強化します。

・空き地・空き家の適正管理を推進します。

②公園緑地の整備

公園は1番身近な緑と接する場であるため、適切な公園緑地の確保・配置を行います。

また、誰もが利用しやすい施設の整備及び計画的な維持管理を地域住民と連携して推進し

ます。

・適切な公園緑地を確保します。

・既設の公園緑地の計画的な維持管理を行います。

・花や緑にあふれたまちづくりを推進します。

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

■施策の方向性

■取組事業

43

3-2 世界遺産のあるまちづくり

市民が誇りと愛着を持ち、来訪者にとっても魅力的で住み良い都市であり続けるために

は、自然や歴史資源を固有の貴重な景観資源として認識し、このような資源と一体となっ

た景観を維持、保全、継承していかなければなりません。特に沖ノ島と宗像大社3宮(沖

津宮・中津宮・辺津宮)は歴史的に重要であり、2017 年 7 月に「神宿る島」宗像・沖ノ島

と関連遺産群として世界遺産登録されたため、これらを活かしたまちづくりを進める必要

があります。

近年、山間地を中心にメガソーラーの建設が進んでおり、景観を始めとする環境への影

響が懸念されます。市全体でより良好な景観を形成するためには、地域特性を活かした景

観の創出に取り組む必要があります。

計画指標 現況値 (現況年)

目標値 (目標年)

単位 備考

まちなみ景観の美しさに満足する市民の割合

45.5 (2016 年度)

(2027 年度)

文化財、遺跡等の保存・整備状況に満足する市民の割合

43.5 (2016 年度)

(2027 年度) %

歴史や伝統に関するまちの雰囲気に満足する市民の割合

42.3 (2016 年度)

(2027 年度) %

①歴史遺産・文化資源の保全・継承

沖ノ島には、国の天然記念物に指定されている沖ノ島原始林があり、このような豊かな

自然環境も歴史遺産を構成する要素であるため、自然も含めて適切に保全し、次の世代に

引き継ぐ必要があります。その普遍的・世界的価値を市内外にアピールする仕組みづくり

を検討します。

また、豊かな自然環境を基礎とした地域の祭りや伝統行事が現在まで受け継がれている

ため、保護・継承に取り組みます。

・地域資源の有効活用を行います。

・宗像の歴史・文化に触れるイベント等を実施します。

・地域の祭り、みあれ祭等の伝統的な行事を保護・継承します。

■現状と課題

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

44

②特徴ある景観の形成

市全体の良好な景観を形成するため、景観計画と景観条例の適切な運用を推進していき

ます。歴史的雰囲気を持つまちなみの整備を進めます。

・自然や歴史を活かした、良好な景観を形成します。

■施策の方向性

■取組事業

45

13.0

13.5

14.0

14.5

15.0

15.5

16.0

16.5

17.0

17.5

1987

1988

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

年平均気温(℃)

年平均値 線形 (年平均値)

4.地球温暖化

4-1 低炭素社会

福岡地点の年平均気温は、100 年間で 2.53℃上昇しており、地球温暖化による上昇や都

市化の影響などを受けた結果と考えられています。本市においても 30 年間で気温が上昇し

ていることがわかります。

統計期間:1898 年~2016 年。

青の細線:各年の年平均気温の基準値からの偏差、青の太線:5年移動平均、赤の直線:長期変化傾向。

基準値は 1981~2010 年の 30 年平均値。

[資料:九州・山口県の気候変動監視レポート 2016(平成 29年 5 月、福岡管区気象台)]

■年平均気温の経年変化(福岡地点)

[資料:気象庁観測データを利用して作成]

■年平均気温の経年変化(宗像地点)

■現状と課題

46

308,251

438,521

581,948 7,367

8,084

4,221

8,789

9,730

4,553

625

1,126

1,171

325,032

457,462

591,891

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

450,000

500,000

550,000

600,000

1990年度

(基準年度)

2009年度

(見直し時)

2013年度

(現況年度)

(t-CO2) 代替フロン類

一酸化二窒素

メタン

二酸化炭素

家庭部門22.5%

業務部門30.1%産業部門

16.0%

運輸部門29.2%

廃棄物部門2.2%

家庭部門22.5%

業務部門30.1%

農林水産業部門3.5%

建設業・鉱業部門0.5%

製造業部門12.0%

自動車部門28.6%

鉄道部門0.4%

国内船舶部門0.2%

一般廃棄物2.2%

地球温暖化の主な原因は、私たちの生活や事業活動に伴って排出される温室効果ガスと

いわれています。宗像市の 2013 年度の温室効果ガス排出量は、591,891t-CO2であり、1990

年度と比較すると 82%増加しています。また、二酸化炭素排出量の内訳をみると、業務部

門、運輸部門、家庭部門の割合が大きいです。

■宗像市の温室効果ガス排出量

■宗像市の二酸化炭素排出量の内訳

47

308,251

581,948 598,261 612,317

325,032

(100)

591,880

(182)

608,176

(187)

622,140

(191)

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

1990年度

基準年度

2013年度

現況年度

2022年度

短期目標年度

2030年度

中期目標年度

二酸化炭素(CO2) メタン(CH4)

一酸化二窒素(N2O) ハイドロフルオロカーボン(HFC)

総排出量(t-CO2換算)

今以上の対策を採らない場合、宗像市の温室効果ガス排出量は 2020 年度には 1990 年度

と比較して 87%増加し、2030 年度には 91%増加します。こうしたことから、宗像市にお

いても温室効果ガスの削減に取り組む必要があります。

■宗像市の温室効果ガス排出量

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

市内の温室効果ガス総排出量

【短期目標】 591,880

(2013 年度)

(2022 年度) t-CO2 2013 年度比●%削減

市内の温室効果ガス総排出量

【中期目標】

(2030 年度) t-CO2 2013 年度比●%削減

市民1人あたりの二酸化炭素排出量 【短期目標】 6.07

(2013 年度)

(2022 年度) t-CO2/人 2013 年度比●%削減

市民1人あたりの二酸化炭素排出量 【中期目標】

(2030 年度) t-CO2/人 2013 年度比●%削減

①省エネルギーの推進

温室効果ガス排出量の大部分を占める二酸化炭素排出量を削減するために、エネルギー

を効率的に利用する省エネルギーを推進します。

■目安となる数値目標

■施策の方向性

48

・地産地消を推進します。

・市民、事業者に対して省エネの啓発促進を行います。

・公共交通の利用促進、コンパクトシティ化を推進します。

②再生可能エネルギーの導入促進

温室効果ガスを発生しない再生可能エネルギーの導入を促進します。

・周辺の自然環境や生活環境に配慮した、再生可能エネルギー設備の導入を推進します。

■取組事業

■施策の方向性

■取組事業

49

●省エネ・再エネ機器の導入●廃棄物の減量・リサイクル●森林・緑地によるCO2吸収

など

●防災対策●高温耐性品種の開発・普及●生物の種の変化の把握●熱中症・感染症対策

など

4-2 適応策

今以上の温暖化対策を採らなかった場合、本市の 21 世紀末の気候は、20 世紀末に比べ

年平均気温が 3℃~6℃程度上昇し、年降水量は 1.1~1.3 倍程度増加するものと予測されて

います。自然環境や人間社会への様々な影響に備え適応策に取り組む必要があります。

[資料:温暖化から日本を守る適応への挑戦 2012 環境省 をもとに作成]

■緩和策と適応策

RCP は、代表的濃度経路を表す略称で、RCP に続く数値が大きいほど地球温暖化を引き起こす効果が大きいことを表

しています。また、数値の後の MIROC、MRI、GFDL、HadGEM は、気候モデルの名称です。

資料:「環境省 気候変動適応情報プラットフォームポータルサイト」(http://www.adaptation-platform.nies.go.jp/)平成 29 年 6月 2 日に利用

■福岡県の年平均気温の将来予測

■現状と課題

50

なし

①適応策の検討

温暖化による影響に備え、自然災害対策、健康に関する対策、農作物に対する対策を進

めていきます。

・避難場所の安全強化と防災機能の充実など、自然災害に対する対策を行います。

・熱中症や感染症に関する情報提供など、健康に関する対策を行います。

・高温障害対策に関する情報提供など、農作物に関する対策を行います。

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

51

地球温暖化の主な原因は、私たちの生活や事業活動で使用する電気や燃料に伴って排出される温室効果ガス

といわれています。省エネすることで、電気料金やガス料金、自動車の燃料費などの節約にもなります。みん

なで省エネに取り組みましょう。

取り組み 年間

節電効果

年間

節約金額

暖房は 20℃、冷房は 28℃を目安にエアコンの温度設定をしている 83.3kWh 1,666円

エアコンは必要な時だけつけている 59.5kWh 1,190円

エアコンフィルターを月に 1~2回清掃している 32.0kWh 640円

電気カーペットの設定温度は低めに調節している 186.0kWh 3,720円

こたつの温度設定は低めに調節している 49.0kWh 980円

人のいない部屋の照明は、こまめな消灯を心がけている 4.4kWh 88円

テレビを見ない時は消している 16.8kWh 336円

冷蔵庫は季節にあわせて温度調整をしている 61.7kWh 1,234円

冷蔵庫はものを詰め込み過ぎないようにしている 43.8kWh 876円

電気ポットを長時間使わない時には、コンセントからプラグを抜くようにしている 107.5kWh 2,150円

温水洗浄便座は低めに温度設定し、寒い時期だけ使うようにしている 26.4kWh 528円

温水洗浄便座のふたは使わないときは閉めるようにしている 34.9kWh 698円

電気製品を使わない時はコンセントからプラグを抜き、待機時消費電力を少なくしている 281.6kWh 5,632円

節約金額は 1kWh=20円で計算

省エネに取り組みましょう

節電の取組

コラム

宗像市の家庭部門の温室効果ガス排出量のうち、約 87%が電気の使用に伴うものです。したがって、家庭

からの温室効果ガス排出量を削減するためには、節電が最も効果的です。次の表を参考に節電に取り組んでみ

ませんか。

朝顔やゴーヤなどのツル植物で作

る緑のカーテンは日射の熱エネルギ

ーを約 80%カットします。これは遮

熱ガラス(約 60%)やすだれ(約 40

~60%)に比べて高い遮熱効果があり

ます。また、葉の蒸散作用や家の周り

に日陰を作ることで、放射熱を抑える

こともできます。このため、夏を涼し

く過ごすことができ、省エネにもつな

がります。

節電の効果

緑のカーテン

エアコン、液晶テレビ、電気冷蔵庫は家電製品の中でもエネル

ギー消費が多い機器です。これらを省エネ性能の優れた製品に買

い替えると、省エネになり、家計にもやさしくなります。古い家

電製品は買い替えを検討しましょう。

資料:省エネ性能カタログ 2016年冬版、経済産業省 資源エネルギー庁

家電製品の買い替え

52

温暖化対策には、大きく分けて「緩和」と「適応」の2つがあります。緩和は省エネや再生可能エネルギー

の導入など温室効果ガスの排出を抑制することで、最優先で取り組む必要があります。そして、緩和を実施し

ても温暖化の影響が避けられない場合、その影響に対して自然や人間社会のあり方を調整していくのが適応で

す。今後数十年間は温暖化が進むと予測されており、緩和とともに適応も重要です。

無降水日の増加や積雪量の

減少による渇水の増加が予測

されています。

水環境・水資源への影響

農業については、高温によ

る農産物の生育障害や品質低

下が予測されています。

水産業については、海水温

の上昇による藻場の構成種や

現存量の変化により、アワビ

などの漁獲量の減少が予測さ

れています。

農業・水産業への影響

適応策とは

温暖化の影響

コラム

短時間強雨(時間雨量が

50mmを超える雨)や大雨の

増加により、水害や土砂災害

の増加が懸念されています。

また、海面水位の上昇や強

い台風の増加による高波・高

潮の被害が予測されていま

す。

自然災害・沿岸域への影響

気温の上昇に伴う熱中症搬

送者数の増加や熱ストレスに

よる死亡リスクが高まること

が予測されています。

気温の上昇や降水の時空間

分布の変化が感染症を媒介す

る動物の分布を変化させ、感

染症のリスクが高まる可能性

があります。

健康への影響

気温上昇や降水量の変化に

よる動植物の生息・生育環境

の変化が懸念されています。

気温や日照などの季節の変

化に反応して動植物が示す現

象を生物季節と呼びますが、

ソメイヨシノの開花日の早期

化など生物季節の変化が予測

されています。

自然生態系への影響

気温の上昇や短時間強雨・

渇水の頻度・強い台風の増加

は、インフラやライフライン

等への被害、快適性の損失な

ど、生活や産業への影響が懸

念されます。

生活や産業への影響

個人でできる適応策

・お風呂の湯の張りすぎに注

意する

・長時間のシャワーを控える

・お風呂の残り湯を再利用す

・食器洗いでは水を流しっぱ

なしにしない

・洗車では流し洗いの時間を

減らす、バケツ洗いにする

渇水リスクに備えた節水

・こまめに水分補給をする

・日傘や帽子を利用する

・日陰を歩く

・涼しい服装で過ごす

・「熱中症予防情報」を参考に

して「暑さ指数」が高い時

は外出を避ける

・涼しい場所や施設を利用す

熱中症対策

・宗像市防災マップで避難場

所を確認しておく

・宗像市防災メールに登録し、

防災情報を得る

・食料品の買い置き、防災用

品の準備

災害への備え

53

5.教育・協働

5-1 環境教育

第5章の1~4で環境問題について色々述べましたが、これらの環境問題の解決のため

には、環境の現状や環境保全について一人ひとりが理解を深め、主体的に考え、行動を起

こしていくことが必要です。

現在、子ども向けの環境教育としては、体験学習「水辺教室」やエコ出前授業などを実

施し、宗像の自然環境、地球温暖化について啓発を行っています。しかし、持続的な環境

教育を行うためには家庭・地域においても学習できる機会の創出が必要となります。

また、大人向けの環境教育については、エコ出前講座などを行っていますが、環境問題

についての認知度は低く、市民全体には広がっていないのが現状です。

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

環境関連の出前授業の開催数

エコファミリー登録数

市民向けの省エネ講座の開催数

①子ども向けの環境教育

環境教育について、学校のカリキュラムに合わせた、継続的な学習ができる体系を構築

し、学習内容を充実させていきます。

・環境関連の冊子・パンフレットを活用し、学習を推進します。

・地域や学校現場へ講師を派遣し、出前講座を行います。

■現状と課題

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

54

②大人向けの環境教育

環境問題の解決のためには、市民一人ひとりが環境問題について知り、考える必要があ

ります。家庭における省エネ活動の啓発、地域の自然環境に触れる場の提供など身近な環

境学習に取り組みます。

・国・県が実施する環境事業を推進します。

・市民向けの環境関連の講座を広く行います。

③教育者の育成

環境教育の指導者の高齢化・後継者不在による人材不足の解消に向けた、教育者の人材

確保・育成の仕組みづくりを行います。

・環境関連の教育者の人材確保・育成を行います。

■施策の方向性

■取組事業

■施策の方向性

■取組事業

55

5-2 環境活動の支援

本市では多くの市民団体が活動しており、環境関連の市民団体は宗像環境団体連絡協議

会という集まりを作り、情報共有・イベントの開催を行っています。しかし、環境関連の

市民団体の構成メンバーの高齢化やイベント内容のマンネリ化が問題となっています。

また、環境リーダー養成講座(以下「環境講座」。)を様々な形で行い、初級・中級・上

級の環境リーダーが数多く輩出され、各地域での環境活動に従事しています。地域での広

がりは尐しずつ進んでいますが、さらなる卒業後の活躍する場の創出や人材の確保が必要

となっています。

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

環境講座受講者数

(H28 年度)

(H39 年度) 人

①地域で活躍する人材の育成

環境分野の取り組みは、地球規模の視点を持ちつつ、地域の特性を見込んだ身近な活動

に展開していく作業です。環境に関する知識と本市の状況をよく知る環境リーダーの役割

が今後さらに期待されます。

環境リーダーの育成を継続するとともに、これら人材が活躍できる場やしくみを検討し

ます。

・環境リーダーの育成と市民活動を支援します。

■現状と課題

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

56

5-3 協働

環境政策を進めていくためには、行政ではできないことを市民や市民団体の力で実施し

たり、逆に市民だけではできないことを行政が支援したり、お互いに助け合いながら望ま

しい環境の姿に向かっていくことが重要です。

本市では、市の施策や取り組みを協働で推進していく組織として「市民協働組織」を立

ち上げ、年に一度開催する“宗像市環境保全市民協働会議”で、実績の報告と今後の活動予

定を確認、関係者間で情報を共有することで、取り組みを進めてきました。

今後は“宗像市環境保全市民協働会議”での報告、検討内容を広く市民に公開するなど、

「市民協働組織」を母体とした取り組みをさらに進めていく必要があります。

計画指標 現況値

(現況年)

目標値

(目標年) 単位 備考

(H28 年度)

(H39 年度)

(H28 年度)

(H39 年度)

(H28 年度)

①市と市民・団体・企業との連携

市と市民・団体・企業との連携組織として「市民協働組織」を母体とした取り組みを進

めていくとともに、活動の実績や今後の取り組み計画を公表することで、参加者を拡大さ

せるなど、取り組みの裾野を広げていきます。

・市民協働組織による協働の推進を行います。

■現状と課題

■目安となる数値目標

■施策の方向性

■取組事業

57

第6章 計画の推進体制及び進行管理

1.計画の推進体制

計画は、宗像市の庁内機関として編成する“庁内推進組織(事務局を含む)”と、市民、

市民団体、事業者等による協働推進組織である“環境保全市民協働会議”、第三者評価組織

である“宗像市環境保全審議会”の連携により推進します。

(1)環境保全市民協働会議

本計画を着実に推進していくためには、市民や市民団体、事業者、行政などの各主体の

協働は欠かすことができません。

旧計画策定後に設立した「環境保全市民協働会議」は、各主体が情報を共有し、活発な

情報交換や交流のためのネットワークを構築しながら、役割分担を明確にして協働による

推進に取り組んでいくことを目的とするものです。

「環境保全市民協働会議」を今後も、行政とともに車の両輪として計画を推進していく

組織として位置づけ、環境基本計画の進捗状況の実績と計画を報告し、意見及び提言を受

けるとともに、各主体の役割を調整することとします。

■計画の推進体制

58

(2)庁内推進組織

本計画の策定にあたって組織した、庁内の環境基本計画策定委員会及びワーキンググル

ープを計画の推進のための「環境基本計画推進委員会」として引き継ぎ、計画の進捗状況

の把握や施策の総合調整などを行います。

具体的には、事務局で作成するチェックシート等を用いて、施策や目標等の進捗状況を

把握、確認します。また、各部署で計画、実施している環境配慮型事業や取り組み等に関

する情報は、部や課、係を超えて連携、協力しながら、情報を共有するためのしくみづく

りを進めていきます。

(3)環境保全審議会

環境基本計画の進捗状況を第三者機関である環境保全審議会に報告し、評価を受けるこ

ととします。報告には、施策や目標等の進捗状況を示したチェックシート等を含む年次報

告書を作成し、審議後は本市のホームページ等で公開します。

(4)広域連携による推進

宗像市単独では推進できない広域的な取り組みなどについては、近隣自治体や福岡県、

国の関係機関などとの調整や連携を図りながら推進する体制を構築していきます。

59

2.計画の進行管理

計画の進行管理にあたっては、Plan(環境基本計画)、Do(計画の推進)、Check(点検及び

評価)、Action(改善及び見直し)という継続的な進行管理を実施する PDCA サイクルによる

進行管理システムを導入し、進めていきます。

また、適切な進行管理を行うためにも、「環境保全市民協働会議」などの協働のための重

要な組織の意見を十分に聴きながら進めていきます。

なお、点検及び評価で実施する施策や目標等の進捗状況については、年次報告書として

とりまとめ、公表するものとします。

■計画の進行管理