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PEACE Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education

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PEACE

Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment

for Continuous medical Education

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
がん性疼痛の評価と治療のセッション スライドの構成 スライド1~4 導入 スライド5~16 がん性疼痛の評価 スライド17~20 薬物治療の導入(WHO方式の説明) スライド21~22 NSAIDsの導入 スライド23~33 オピオイドの導入 スライド34~38 オピオイドの副作用対策 スライド39~41 麻薬処方箋の書き方 スライド42~47 オピオイドを導入してもまだ痛みが続くとき スライド48~54 眠気などの副作用により増量が困難なときに考えること スライド55~60 体動時や突然の痛みにどのように対処したらよいか スライド61~64 ケア スライド65 まとめ

がん性疼痛の評価と治療

2009年1月版

M-3

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
がん性疼痛の評価と治療のセッション スライドの構成 スライド1~4 導入 スライド5~16 がん性疼痛の評価 スライド17~20 薬物治療の導入(WHO方式の説明) スライド21~22 NSAIDsの導入 スライド23~33 オピオイドの導入 スライド34~38 オピオイドの副作用対策 スライド39~41 麻薬処方箋の書き方 スライド42~47 オピオイドを導入してもまだ痛みが続くとき スライド48~54 眠気などの副作用により増量が困難なときに考えること スライド55~60 体動時や突然の痛みにどのように対処したらよいか スライド61~64 ケア スライド65 まとめ

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

臨床疑問

評価

がん性疼痛はどうやって評価したらよいか?

薬物療法

くすりは何をどのように使ったらよいのか?

オピオイドの使い方・注意点は?

非薬物療法・ケア

くすり以外の対処法はどんなものか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
このセッションの目的

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

メッセージ

がん患者の疼痛について正しく評価すること

が重要

抗がん治療と並行して行う

疼痛治療のアルゴリズムに従って治療を行う

ケアとコミュニケーションが重要

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
メッセージは4点あることを伝える。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

目的

この項目を学習した後、以下のことができ

るようになる

がん性疼痛の評価

疼痛のパターン・強さ・性状が評価できる

がん性疼痛の薬物治療

オピオイドの処方のしかたがわかる

がん性疼痛の非薬物療法・ケア

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
このセッションの目的

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

評価

患者さんの苦痛をどのように評価すればよ

いだろうか?

皆さんはどのように問いかけますか?

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

開かれた質問から始める

まず「開かれた質問」で患者が も心配して

いることを聞く

(症状で)一番困っていることは何ですか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
開かれた質問で「もっとも気がかりなこと」を聞くことの重要性について強調する。

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開かれた質問の重要性

開かれた質問 (open-ended question)「いちばん困っていらっしゃることは何ですか?」のように、はい・

いいえで答えることができず、受け手の自由な応答を促す質問

閉じた質問 (closed question)「痛みがありますか?」のように、はい・いいえで答えられる質問

特定の問題についての情報を収集するために有用

痛いのはいいんだけど、もっと違う心配があるんだけどなあ‥

痛いですか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
「開かれた質問」と「閉じた質問」について説明 開かれた質問は、気がかりなことを聞くときに有用であること。閉じた説明は問題がある程度特定されてきたときに情報を収集するために有効であること、両者をうまく組み合わせながら面接をすすめていくことが必要であることを強調する。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

全人的苦痛 (total pain)

がん患者の苦痛は多面的であり、全人的に捉えなければ

ならない

全人的苦痛(total pain)

精神的苦痛

痛み他の身体症状

日常生活動作の支障

身体的苦痛

社会的苦痛

スピリチュアルな苦痛

不安いらだちうつ状態

経済的な問題仕事上の問題家庭内の問題

生きる意味への問い死への恐怖自責の念

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
全人的苦痛(total pain)についての説明 がん患者の苦痛は多面的であり、全人的に捉えなければならないことを強調する

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

生活の支障・満足度を聞く

症状が生活へ及ぼしている影響、今の治療

についての満足度を聞く

症状について今の治療で満足されていますか?

それとも生活に支障があるので対応が必要なくらいですか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

症例1

膵臓がんの54歳女性

1週間前より心窩部から背部にかけて痛み

が出現するようになり、次第に増悪してきた

ため本日外来を受診した

Q1.痛みを評価するためにどのようなこ

とを聞けばよいのだろうか?

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

痛みの部位と経過を聞く

「どこが痛みますか?」と部位を確認し、診察を行う

痛みの原因となる病変があることを、必要なら画像検査などを用いて評価する

がん患者の痛みがすべてがんによる痛みとは限らない

新しく出現した症状は、新しい病変や症状の出現の可能性を考える必要がある

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
がん患者の痛み=がん性疼痛ではないことを確認する。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

痛みの性状と分類

内臓痛腹部腫瘍の痛みなど局在

があいまいで鈍い痛み。

ズーンと重い

オピオイドが効きやすい

体性痛

骨転移など局在がはっきり

した明確な痛み。ズキッと

する

突出痛に対するレスキューの使用が重要になる

神経障害性

疼痛

神経叢浸潤、脊髄浸潤な

ど、びりびり電気が走るよ

うな・しびれる・じんじんす

る痛み

難治性で鎮痛補助薬を必要とすることが多い

侵害受容性疼痛

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
痛みの性状について、侵害受容性疼痛(内臓痛、体性痛)、神経障害性疼痛の3つのパターンに分類することを解説する。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

痛みの強さを聞く

Numeric Rating Scale (NRS)

痛み 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

全くなかった

これ以上耐えられないほど

ひどかった

症状が全くないときを0、これ以上ひどい症状が考えられないときを10とすると、今日の(症状の)強さは

どれくらいになりますか?

症状の程度を数値化して聞く (NRS)

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
痛みの評価スケールの紹介 NRSは一つの選択肢であり、これを推奨しているわけではない。 フェイススケール、VASなど紹介してもよい。(説明用のスライドがこれに続く2枚。使用してもしなくてもよい) <インタラクティブ> ・参加者にどのような評価ツールを使っているか聞いてみる

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痛みの強さを聞く

Visual Analog Scale (VAS)

0痛みなし

10想像できる悪の痛み

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
VASについての説明 VASは10cmの直線を書いておき、左はしが痛みがない、右端を想像できる最悪の痛みとしてどれくらいいたいかを患者にさし示してもらい、左はじから患者のさし示したところまでの距離を測定して痛みの強さを判定するスケールである このスライドは使用してもしなくてもよい、

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痛みの強さを聞く

Face Scale

飯村直子ら:日本小児看護学会誌. 2002; 11(2): 21-7Wong, DL,: Wong's Essentials of Pediatric Nursing, ed. 6,2001, p1301

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
Face Scaleについての説明 フェイススケールはAは痛くない顔で、Bはほんの少し痛い顔です、とすべての絵を説明した後に、あなたの痛みの強さはこの顔の絵のうちどれに当てはまりますか?と尋ねることで痛みの強さを判定する評価尺度である このスライドは使用してもしなくてもよい

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痛みのパターンを聞く

疼痛はパターンから、持続痛と突出痛に分

けられる

持続痛 持続痛+突出痛 突出痛

一日中ずっと痛い 時々痛くなる

10

0

10

0

10

0

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
痛みのパターンで。持続痛と突出痛にわけて考えることを強調する。 後で出てくるアルゴリズムもこの分類で考えていくことになる。

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症例1 つづき

1週間前より心窩部から背部にかけて1日中持続する鈍痛 (NRS 5/10)が出現する

ようになったという

画像検査を行ったところ、膵体部に門脈浸

潤を伴う4cm大の膵がんを認め、多発肝

転移、大動脈周囲のリンパ節転移もきたし

ていた

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

症例1に戻ると・・・

どこがいつから痛いのか?

1週間前から心窩部から背部にかけて痛い

どのように痛いのか?

持続する鈍痛 内臓痛の可能性が高い

痛みのパターンと強さ

1日中痛い 強さはNRS 5/10

疼痛の原因となるがん病変があることの確認

腫瘍の腹腔神経叢浸潤を疑う

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P15 シナリオに戻って評価する項目をまとめる。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

症例1 つづき

膵臓がんの54歳女性

1週間前より心窩部から背部にかけて1日中

持続する鈍痛 (NRS 5/10)があり、膵臓が

んによる内臓痛と判断した

Q2.どのようにして痛みをとっていけばよいだ

ろうか?どのような薬剤を選択するか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
2.がん性疼痛治療の開始  ここからのセクションでは、がん性疼痛治療の開始について学んでいく。 導入の問いかけ ワークシートに記入してもらう(1~2分間の時間をとる) 記入してもらったものを数名から発表してもらう。 たとえば「NSAIDs」や「オピオイド」といったような漠然とした回答の場合には、「具体的にはどのような薬を選択されますか?」と問いかけてみるとよい。 何人か問いかけた後、「他にご意見のある方はいらっしゃいますか?」と問いかける。 FAQ FAQ1 このくらいの痛みの場合にはNSAIDsからではなくいきなりオピオイドを使うのではないか?  もちろんオピオイドから導入してもよい。それぞれの参加者の考え方を聞くのが目的であり、NSAIDsから使うことを強要しているわけではない。オピオイドから開始すると答えた場合には、その方法について聞いてみるとよい

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WHO方式がん性疼痛治療の5原則

経口投与を基本とする

時間を決めて定期的に投与する

「疼痛時」のみで使用しない

WHOラダーに沿って痛みの強さに応じた薬剤を

選択する

原則として非オピオイド鎮痛薬をまず投与し、効果が不

十分な場合にはオピオイドを追加する

患者に見合った個別的な量を投与する

患者に見合った細かい配慮をする

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
WHO方式がん性疼痛治療の5原則を再確認 By the clockのところで「毎食後」とあったのを削除しました。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

WHOラダー

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
WHOラダーについて説明する。 ここで強調すること ①いきなり2段階、3段階から開始してもよいこと ②非オピオイドは基本的に中止しないこと

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疼痛治療の目標

第1目標

痛みに妨げられずに夜は良眠できる状態

第2目標

安静時に痛みがない状態

第3目標

体動時にも痛みがない状態

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
疼痛治療の目標を患者さんと一緒に確認していく。まず第1目標を、次いで第2目標を目指す。 第3目標については、必ず達成できるわけではないが、大幅な緩和は可能である。

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疼痛治療

アルゴリズム

(1) NSAIDsの開始

(2) オピオイドの導入

(3) 残存・増強した痛みの治療

持続的な痛みをとるためにオピオイドを増量する

(持続痛の治療ステップ)

10

0

10

0

10

0

体動時や突然の痛みに対処するためにレスキューを使う(突出痛の治療ステップ)

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
PEACEで用いるアルゴリズムの図について説明する。基本的にはWHO方式を落とし込んだもので、NSAIDs、オピオイドの開始とすすみ、持続痛か突出痛かによって治療ステップが異なることを説明

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

疼痛治療の導入

overview

WHOラダーに沿ってNSAIDsを開始する

NSAIDsの定期投与レスキューの指示胃潰瘍の予防

(1) NSAIDsの開始

(2) オピオイドの導入

(3) 残存・増強した痛みの治療

持続的な痛みをとるためにオピオイドを増量する

(持続痛の治療ステップ)

10

0

10

0

10

0

体動時や突然の痛みに対処するためにレスキューを使う(突出痛の治療ステップ)

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
アルゴリズムの最初、NSAIDsについての説明(続く2枚のスライド)

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

NSAIDsの開始

NSAIDsの定期投与

NSAIDsは、鎮痛効果と副作用から選択する

胃潰瘍の予防

ミソプロストール(サイトテックⓇ)、プロトンポンプ阻害薬

またはH2ブロッカーを併用

レスキューの指示

疼痛の悪化にそなえ、レスキュー指示を出す

NSAIDsの1日 大量を超えない範囲でNSAIDs1回量

アセトアミノフェン

オピオイド

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
NSAIDsについての説明 COX2選択性の薬剤、NSAIDs潰瘍の予防の話 アセトアミノフェンは厳密にはNSAIDsではないが、ここで解説しておく FAQ1 NSAIDsの最大量とは?  基本的には保険診療で認められている最大量としておく。きちんとNSAIDsが使われていないことが多く、常用量が使用されていることを確認することが目的です。

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症例1 つづき

膵臓がんの54歳女性

ロキソニンⓇを3錠分3で開始し、3日後に再診とした

しかし、再診時にも痛みはNRS 4/10と十分にとれていなかった

Q3.どうしたらよいだろうか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
ここからはオピオイドの開始のセクション ワークシートに記入してもらい、会場から意見を聞いてみる。 ここでもオピオイドを開始するといったような漠然とした回答の場合には「具体的には何をどのくらいから開始しますか?」と問いかけ、具体的な処方例を示してもらう。

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オピオイドの導入

overview

(1) NSAIDsの開始

(2) オピオイドの導入

(3) 残存・増強した痛みの治療

持続的な痛みをとるためにオピオイドを増量する

(持続痛の治療ステップ)

10

0

10

0

10

0

体動時や突然の痛みに対処するためにレスキューを使う(突出痛の治療ステップ)

WHOラダーに沿ってオピオイドを開始する

オピオイドの定期投与レスキューの指示嘔気・便秘の予防

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
ここからオピオイドの開始についての解説

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オピオイド

オピオイド受容体と親和性を示す化合物の

総称で、アヘンが結合するオピオイド受容体

に結合する物質として命名

日本で医薬品として用いられるオピオイド

モルヒネ

コデイン

オキシコドン

フェンタニル

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
オピオイドについての説明  医療用麻薬、オピオイドなどの用語について解説する。

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オピオイド導入のポイント

時間を決めて、定期的に投与

NSAIDsは中止しないで併用する

体格が小さい、高齢者、全身状態が不良の

場合には少量から開始

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
オピオイド処方時のポイントについて解説 WHO5原則のBy the Clockについて再度説明 NSAIDsは基本的には中止しないことを再度説明 FAQ1 NSAIDsは必ず併用しなければならないか?  原則としてということである。効果と副作用のバランスをみながら併用を続けるかどうか、個別に判断が必要。

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オピオイドの剤形と製剤の選択

経口

非経口

速放性製剤

徐放性製剤

オプソ・モルヒネ(散・水)

MSコンチン・カディアン・ピーガード・パシーフ・モルペス・MSツワイスロン

注射剤

坐剤

貼付剤

アンペック坐薬

デュロテップ

オキシコンチン

モルヒネ注

フェンタニル注

パビナール

オキノーム

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
日本で使用できるオピオイドを図示 経口、非経口 速放性、徐放性の製剤があることを概観 細かくそれぞれの特徴などについて説明しなくてもよい

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各オピオイドの特徴

モルヒネ

剤形が豊富であり、経口(速放性・徐放性製剤)、静注、皮下注、経直腸など様々な投与経路の変更に対応が可能

各投与経路間の換算比が確立している

腎障害がある場合には、活性代謝産物 (M-6-G)が蓄積して、傾眠や呼吸抑制などが生じやすい

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
モルヒネの概説 腎障害のある場合には活性代謝産物が蓄積する可能性があるので注意が必要であることを話す。

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各オピオイドの特徴

オキシコドン

経口(速放性、徐放性製剤)と複合剤である

注射剤がある

活性代謝産物は微量に生成されるが、腎機

能障害による影響を受けにくい

徐放製剤の 小規格5mgで強オピオイドと

しては 低用量での開始が可能

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
オキシコドンの概説 注射剤のことはふれてもふれなくてもよい。 腎機能障害でも使えること説明

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各オピオイドの特徴

フェンタニル

注射剤と経皮吸収型の貼付剤がある。貼付剤は72時間作用が持続するが、増量や減量の際の調節性は劣る

レスキューとして使用できる経口製剤がなく、モルヒネまたはオキシコドンの速放性製剤の併用が不可欠

他のオピオイドに比して、便秘、眠気などの副作用の頻度が低いというメリットがある

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
作用が72時間続く貼付剤(来年度以降は改訂が必要)と注射剤があることを説明 便秘や眠気などの副作用が他のオピオイドに比して少ないことを話す

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経口モルヒネ60mg

オピオイド力価表

アンペック坐40mg

モルヒネ注30mg

フェンタニル注0.6mg

オキシコンチン40mg

デュロテップMT4.2mg/3d

デュロテップ2.5mg/3d==

==

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
経口モルヒネ60mgを基準にして考えることを伝える。 デュロテップについては来年以降は改訂が必要となる。表示方法をどうするかについては検討が必要か?(600μg/dayとしたほうがよいか?) 当面今年度はこれでOK

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投与開始量

経口投与

モルヒネから開始する場合は

速放性製剤を4時間ごとに1回5~10mg徐放性製剤( 12 または 24 時間ごと )を1日20~30mg

オキシコドンから開始する場合は

徐放性製剤を1日10~20mg

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
オピオイドの開始量の紹介 <インタラクティブ> ・「みなさんは何をどのくらいから開始することが多いですか?」といった問いかけで、実際の開始量を聞いてみてもよい

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投与開始量

非経口投与

モルヒネ注から開始する場合は

1日量として10mgを持続静注・皮下注

フェンタニル注から開始する場合は

1日量としてフェンタニル0.2~0.3mgを持続静

注・皮下注

モルヒネ坐薬から開始する場合は

8時間ごとに1回10mg

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
非経口投与については、会場のレベルに応じてどのくらい詳しく説明するかを決めてよい。 注射剤の使用方法を知りたがる参加者が多い場合には、具体的な投与方法について解説してもよい。

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オピオイドの導入

レスキュー

疼痛の悪化にそなえ、レスキュー指示を出す

徐放性製剤と同じ種類のオピオイドを用いる

レスキューの投与量

内服・坐薬はオピオイド1日量の6分の1持続注射は1時間量を早送り

内服は1時間以上あけて、持続注射では15~30分以上あけて繰り返し使用可

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
「レスキュー」ということばが聞きなれないことばであることもあり、参加者の層によっては説明しておいたほうがよいかもしれない。

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オピオイド導入時に注意すること

オピオイドを導入する際にはどのようなこと

に注意すればよいのだろうか?

副作用対策が重要!

どんな副作用があるだろうか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
ここからのセクションは、副作用対策について

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オピオイドの副作用

嘔気・嘔吐

便秘

眠気

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
代表的な副作用について示す。 このほかにも様々な副作用があるが、これらについては成書参照してもらう。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

オピオイドの副作用

嘔気・嘔吐

オピオイド投与初期にみられることがある

出現頻度は30%程度ではあるが、一旦出

現すると継続投与が困難になることが多く

予防対策が必須

プロクロルペラジン(ノバミン®)を3錠分3で投与開始し、1~2週間で漸減・中止可

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
オピオイドの副作用としての嘔気 中枢性制吐薬を使うことが基本であることを伝える。プリンぺランやナウゼリンは通常無効であることを伝える

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オピオイドの副作用

便秘

ほとんどの患者に便秘が生じるため、オピオ

イド導入時にあらかじめ下剤を併用する

便を軟らかくする浸透圧下剤と、腸蠕動を

亢進させる大腸刺激性下剤がある

便が硬いときは浸透圧下剤、腸蠕動が弱

いときには大腸刺激性下剤を用いる

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
便秘については、耐性が生じないので、基本的には下剤の投与はずっと続ける必要がある。 便がゆるくなりすぎるときにはもちろん減量・中止する。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

オピオイドの副作用

眠気

オピオイド開始数日は、眠気や軽い傾眠が

見られることが多い

「眠気は、うとうとしてちょうどいいくらいで

すか?それとも不快な感じですか?」と聞き

不快であれば対処を始める

対処方法としては、オピオイドの減量、オピ

オイドローテーション、他の薬剤の見直し

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
眠気は、「寝不足の解消」の可能性もあり、不快でなければ耐性ができるまで経過をみてよい。 リタリンをこれまで使っていたが、他の方法はないか?のような質問については 「会場のみなさんで、こんな工夫をしているというようなのありませんか?」のように会場に意見を求めればよい。

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症例1 つづき

膵臓がんの54歳女性

ロキソニンⓇを3錠分3で開始し、3日後に再

診としたが、再診時にも痛みはNRS 4/10と十分とれていなかった

Q4.オピオイドを開始するとして、実際の処方

箋を記載してみよう!

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
実際の処方箋の記載方法についての演習 処方箋を書くことが研修会の開催指針に盛り込まれているため、ここは省略することは不可

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

実際の処方例

オキシコンチン (10) 2錠 分2 (8時、20時)

ロキソニン (60) 3錠 分3 (朝・昼・夕)

タケプロンOD(15) 1錠 分1 (夕)

ノバミン(5) 3錠 分3 (朝・昼・夕)

酸化マグネシウム 1.5g 分3 (朝・昼・夕)

オキノーム (2.5mg) 疼痛時頓用

1時間以上あけて繰り返し使用可

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
実際の処方例 あくまでも処方例であり、「正解」ではないことを強調すること このスライドは処方例がなくてもよい場合には示さなくてもよい。処方箋の記載が難しそうな参加者が多い場合には、このスライドを表示しておき、ここに挙げられた薬品名を処方箋に記載する演習にしてもよい。(研修医が多い場合など、実際の薬品名がわからず処方箋が書けない場合もあるため)

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処方箋の記載方法

麻薬施用者番号を記載

患者の住所を記載

オピオイド副作用対策 をセットで処方レスキュー

署名、捺印

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
処方箋の書き方の実際について 麻薬処方箋には、患者住所と麻薬施用者番号を記載する必要があることを伝える。 病院によっては、麻薬処方箋とその他の処方箋は別々にする必要がある場合もあること、麻薬処方には丸麻マークや赤線をひくなどの対応が必要な場合もあることを伝える。

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

症例1 つづき

膵臓がんの54歳女性

心窩部から背部にかけての持続する鈍痛に対し、オキシコンチンⓇを20mg/日処方し、3日後再診とした

再診時、NRS 3/10とまだ痛みが残存していた

レスキューのオキノームⓇ散2.5mgでNRS 1/10まで改善し、1日4回使っていた。

Q5.どのように対処すればよいだろうか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
ここからのセクションは「残存した痛みの治療」についての解説 ワークシートに記載してもらい、数名から意見を聞く。ここはさまざまな意見がでる可能性がある。 オピオイドの増量については具体的に方法を聞いてみる、神経ブロックや補助薬などの意見も出るかもしれない。それらの意見も尊重し、できるだけ具体的な処方例や対処例を示してもらうとよい。

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持続痛の治療

overview

(1) NSAIDsの開始

(2) オピオイドの導入

(3) 残存・増強した痛みの治療

持続的な痛みをとるためにオピオイドを増量する

(持続痛の治療ステップ)

10

0

10

0

10

0

体動時や突然の痛みに対処するためにレスキューを使う(突出痛の治療ステップ)

持続する痛みをとるためにNSAIDsを 大量まで増量し、さらにオピオイドを増量する

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P14 アルゴリズムでどこの話をしているのかを俯瞰するためのスライド

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

持続痛の治療STEP

放射線治療・神経ブロック

STEP1 STEP2 STEP3

オピオイドローテーションor 鎮痛補助薬

定期オピオイドの増量30~50%/1~3日ごと

NSAIDs大投与量まで増量

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
持続痛の治療ステップを示す。

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持続痛の治療

STEPにかかわらず考える:放射線治療

骨転移による疼痛の緩和と骨折の予防に

放射線照射が有効

3Gy×10frが標準的だが、単回照射でも可

適応について、放射線治療医と相談

骨転移に限らず、責任病巣のはっきりした疼痛

に対しては、適応の可能性がある

局所制御や根治も視野に入れた設定が可能

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
放射線治療が骨転移に有効であることを示す 他に適応となる疾患は

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

持続痛の治療

STEPにかかわらず考える:神経ブロック

膵癌による上腹部痛、骨盤内臓がんによる肛門・

会陰部の痛み、胸壁の痛みなどで適応になる場

合が多い

適応となる疼痛が出現したすべての場合で、適応

を検討する

早期の適応について、専門医と相談

全身状態が悪化してからは、ブロック処置を行うことが

できないことがある

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P133 神経ブロックについての概説 ・適応を検討するために、麻酔科に相談すること ・全身状態が悪化してしまうとブロックを行うことが難しいことが多いこと を説明するとよい。 適応が10%というところを削除しています。

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持続痛の治療

STEP1・2

NSAIDsが 大量まで投与されていることを確

認する

嘔気や眠気が生じない範囲で、オピオイドを増量

する

オピオイドの投与量に絶対的な上限はない

増量幅

経口モルヒネ換算120mg/日以下の場合は50%120mg/日以上・体格が小さい・高齢者・全身状態が

不良の場合には30%

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
NSAIDsの最大量は、保険で認められている最大投与量のこと(十分なNSAIDsが処方されていることを確認することが重要であることを伝える) オピオイドの投与量には絶対的な上限がない(天井効果がない)ことを強調

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症例1に戻ると・・・

定期オピオイドを増量する

基本的には50%増量するので、現在の1日20mgを30mgに増量

前日に使用したレスキュー使用量の合計量を上乗せしてもよい

レスキューを4回使用しているので、2.5×4=10mgを追加して、20mg+10mg=30mgとする

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
具体的なオピオイドの増量方法について解説する

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症例1 つづき

痛みを評価しながらオキシコンチンを徐々

に増量した

1日100mgから120mgに増量したところ、

痛みは軽減したものの眠気が強くなり、不

快に感じていた

Q6.どのように対処すればよいだろうか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
増量しても十分な鎮痛効果が得られない場合の対処方法についてのセクション ワークシートに記載してもらい、数名から意見を聞く。 想定される回答例としては、オピオイドローテーション、補助薬の使用、他の薬剤の見直しなど

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持続痛の治療

STEP3

眠気などの副作用により増量が困難な場

合や、十分な鎮痛が得られないときに考え

ること

オピオイドローテーション

鎮痛補助薬

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
解答例を示す これ以外の方法を否定するものではない。他の意見が出た場合には、なるべく具体的に聞いてみる。(こういった意見が参加者には意外と参考になったと好評でもある)

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持続痛の治療

STEP3:オピオイドローテーション

鎮痛が十分でない、または副作用のために

オピオイドの種類を変更すること

力価表に従って、現在のオピオイドと等価の

新しいオピオイドの投与量を決め変更する

経口モルヒネ換算120mg以上の場合には

原則として一度に変更せずに、30~50%づつ徐々に置き換える

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
オピオイドローテーションについての説明 <インタラクティブ> ・「オピオイドローテーションということばを初めて聞く方、挙手してみてください」と問いかけてみて、知らない人が多い場合には少し詳しく説明するとよい

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経口モルヒネ60mg

オピオイド力価表

アンペック40mg

モルヒネ注30mg

フェンタニル注0.6mg

オキシコンチン40mg

デュロテップMT4.2mg/3d

デュロテップ2.5mg/3d==

==

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
ローテーションを考えるときには、力価表を参考にすることを伝える。 あくまでも基本なので、状況によって増減が必要であることを伝える。

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オピオイドローテーションの実際

大量のオピオイドの場合

例)オキシコンチンⓇ120mg/日 デュロテップⓇ

オキシコンチン120mg/日

レスキュー:オキノーム

20mg/回

オキシコンチン80mg

デュロテップMT4.2mg

オキシコンチン40mg

デュロテップMT8.4mg

デュロテップMT12.6mg

1 2 3 4

• オキシコンチン1回量60mgを内服と同時にデュロテップMT4.2mgを貼付

• 次回内服分からオキシコンチン1回量を40mgに減量

• レスキュー:そのまま

• 次回デュロテップMT貼り替え日、オキシコンチン1回量40mgを内服と同時にデュロテップMT8.4mgを貼付

• 次回からオキシコンチン1回量を20mgに減量

• レスキュー:そのまま

• 次回デュロテップMT貼り替え日、オキシコンチン1回量20mgを内服と同時にデュロテップMT12.6mgを貼付

• レスキュー:そのまま

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P126 具体的な大量オピオイドローテーションの方法の解説 煩雑になり、ややこしいので、なしにしてもよい。さっと示して、こんなかんじでやりますというくらいでもよい。

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持続痛の治療

STEP3:鎮痛補助薬

ビリビリした痛みやじんじんした痛みなど(神経障

害性疼痛)で有効な可能性がある

鎮痛補助薬の有効性:40~60%副作用(主に眠気)があるので、鎮痛効果と副作用とのバランスを

とりながら処方する

十分なエビデンスと保険適応がない薬剤が多い病院・地域の専門家の意見にしたがって使用する

トリプタノールⓇ、ガバペンⓇ、リボトリールⓇ、テグレ

トールⓇ、ケタミンⓇ、リンデロンⓇなど

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P128、129 鎮痛補助薬についての説明 基本的にはエビデンスが十分でなく、保険適応がないことを強調する 具体的な使用方法は、地域の緩和ケア専門家(緩和ケアチームや緩和ケア病棟)に相談することを推奨する 鎮痛補助薬の詳細については、基本的な緩和ケア研修会の到達目標以上のレベルなので詳しくは触れない。

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症例1に戻ると・・・

膵臓がんの痛みは、腹腔神経叢ブロックの適応になることがある

必要に応じて専門家にコンサルテーション

オピオイドローテーションを検討

オキシコンチンⓇ120mgをデュロテップMTⓇ

12.6mgに段階的にローテーション

鎮痛補助薬の使用を検討

専門家にコンサルテーション

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
シナリオの解説 緩和ケア研修会の立場としては、基本的な緩和ケアの習得が目標なので、コントロールが難しい症状については、専門家にコンサルテーションをすることを推奨している。

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症例2

乳がん、多発骨転移の50歳女性

ロキソニンⓇの定期内服とデュロテップⓇMTパッチ12.6mgが貼付されており、レスキューとしてオプソⓇ5mgが処方

安静時には特に痛みはないが、トイレに行くときには腰がとても痛い(腰椎の転移部位に一致)

レスキューは使用していない

Q7.どのように対処すればよいだろうか?

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
ここからは、突出痛の治療方法のセクション 各自ワークシートに記入してもらい、数名から意見を聞く。 気づいてもらいたいことは、①レスキューの量が十分でないこと、②骨転移の治療方法(放射線照射、ビスホ)、③レスキューの上手な使い方、④痛みがでないようなケアの4点。 時間があるようならこの4点がでるまで意見を聞いてみるとよい

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突出痛の治療

アルゴリズム

(1) NSAIDsの開始

(2) オピオイドの導入

(3) 残存・増強した痛みの治療

持続的な痛みをとるためにオピオイドを増量する

(持続痛の治療ステップ)

10

0

10

0

10

0

体動時や突然の痛みに対処するためにレスキューを使う(突出痛の治療ステップ)

動いたとき、突然の痛みに対処するためにレスキューをうまく使う

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
アルゴリズムでどこの話をしているのかを俯瞰するためのスライド

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突出痛の治療

エッセンス

定期的にオピオイドを投与されていても、

70%の患者が突出痛を経験する

レスキューの使用法を患者・家族に指導

骨転移の痛みには、放射線照射およびビス

ホスホネート製剤の適応がないか検討

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
突出痛の概説 特に骨転移の痛みなどは突出痛のパターンで出現することが多い。 骨転移に対する治療オプションについては次のスライドで説明

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突出痛の治療

骨転移の痛みの治療

骨転移による疼痛の緩和と骨折の予防に

放射線照射が有効

3Gy×10frが標準的だが、単回照射でも可

ビスホスホネート製剤も疼痛および骨折の

予防に効果がある

処方例)ゾメタⓇ (4mg)の点滴投与

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
骨転移痛の疼痛緩和方法 放射線照射について説明。ストロンチウムについては状況により説明してもよい(必須ではない) ビスホスホネートについても説明。外来でも使用できること話す。

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突出痛の治療

レスキューの必要性の説明

レスキューの使用により「鎮痛薬の必要量を

早く見積もることができること」、「突出痛に

よる苦痛へ対応できること」を説明する

レスキューを使いこなせるようになることで、

患者の「自分で痛みの対処ができる感覚」

が高まり、生活や治療への意欲が増すこと

が期待される

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
レスキューの使い方の説明 頓服薬は、6時間あけるとか8時間あける必要があると思い込んでいる患者(医療者も)が多いことを話すとイメージしやすいかもしれない。

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症例2 つづき

放射線照射を考慮

ビスホスホネートの点滴投与を検討

デュロテップⓇMTパッチ12.6mgはモルヒネ内服

換算で180mg/日となる。

標準的なレスキュー量は180÷6=30mg必要量が処方されておらず、増量が必要

レスキューの使用について十分に説明する

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
シナリオのまとめ これが正解というわけではない。あくまでも1例を示すというスタンスで。

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がん性疼痛の非薬物療法・ケア

痛みに関与する要因は?

どのような時に痛みが強くなり、どのような時

に痛みが軽くなるだろうか?

薬物治療以外の痛みを緩和する方法は?

薬物療法以外の疼痛緩和の方法を考えてみる

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
非薬物治療・ケアについてのセクション 痛みの治療は薬物治療だけでなく、ここの部分を考えないとうまくいかないことを強調。トータルペインについてもう一度思い出してもらう。 看護師任せにしない。 <インタラクティブ> ・「どんなときに痛みが強くなったり、弱くなったりすると思いますか?」  この問いかけで、次のスライドにつないでいく。痛みが強くなる要素、弱くなる要素があることに気づいてもらう。

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痛みを和らげるケア

痛みの閾値に影響する因子

不快 不眠

疲労 不安

恐怖 怒り

悲しみ うつ状態

倦怠感

内向的心理状態

孤独感

社会的地位の喪失

症状緩和睡眠 休憩

周囲の人々の共感理解

人とのふれあい気晴らしとなる行為

不安減退気分高揚

鎮痛薬抗不安薬抗うつ薬

Twycross, et al 著, 武田文和 訳:末期患者の診療マニュアル, 第2版, 1991

これらを高めるケアを考える

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P18 痛みを強めたり弱めたりする様々な因子があることを示す。痛みの閾値を挙げる(痛みを感じにくくなる)方法を考えることをスタッフとともに考えていくことを強調する。

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ケアは薬物療法と並行して行う

ケアは薬物療法と並行して行う必要がある

患者本人や家族が行っている疼痛時の対

処方法を尋ね、より良いケアの方法をとも

に考える

CopyrightⒸJapanese Society for Palliative Medicine

痛みを和らげるケア

実際の例

ぐっすり眠る

リラックスする

うまく気晴らしする

軽い運動を取り入れる

安静にする

マッサージする

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P18 実際のケアの方法を示す。 安静と運動など、相反することも示しており、患者さんの状況、楽になることを探していくことを強調する

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痛みを和らげるケア

実際の例

環境調整

疼痛が増強するような体動を避けた日常生活、寝床の

工夫など

装具や補助具の工夫

コルセット、頸椎カラー、歩行器、

杖などの使用を検討

ひとりで抱え込まない

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P18 ここも前のスライドと同様

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まとめ

がん患者の疼痛について正しく評価すること

が重要

抗がん治療と並行して行う

疼痛治療のアルゴリズムに従って治療を行う

ケアとコミュニケーションが重要

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
まとめのスライド 4点を再度強調する。

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選択スライド

以下のスライドは状況により使用しても使

用しなくてもよいスライドです

必要なら順番を入れ替えて使用してくださ

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
以下のスライドは使用しても使用しなくてもよいスライド

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それぞれのオピオイドの特徴

モルヒネ オキシコドン フェンタニル

受容体 μ(μ1、μ2)κδ

μ(μ1、μ2)κ

μ (μ1)

極性 水溶性 水溶性 脂溶性

代謝産物 M6G,M3G→薬理活性あり

ノルオキシコドン

→薬理活性なし

薬理活性なし

排泄 M3G,M6Gとして腎臓より

排泄

腎臓より排泄 一部が未変化

体として腎臓よ

り排泄

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
それぞれのオピオイドの特徴をまとめた表 オピオイドの薬理について説明したい場合には使用してもよい

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ペンタゾシン

μ拮抗薬であり、かつκ作動薬である

(agonist-antagonist)

慢性疼痛に対する定期薬として推奨されない

定期的に他のμ作動性のオピオイドを内服してい

る患者に投与した場合、離脱症状を起こすこと

がある

用量依存的に精神症状を呈することがある

Oxford Textbook of Palliative Medicine 3rd Ed, 2004.

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症例1 つづき

膵臓がんの54歳女性

ロキソニンⓇを3錠分3で開始し、3日後に再

診としたが、再診時にも痛みはNRS 4/10と十分とれていなかった

Q4.オキシコンチンⓇ10mg錠1日2回で開始

する実際の処方箋を記載してみよう!

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
実際の処方箋の記載方法についての演習 オピオイドを具体的に指定したほうが処方箋を書きやすいと思われる場合には、こちらのスライドに差し替えてもよい。(研修医など初学者が多い場合にはこちらのほうが使いやすいかもしれません)

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持続痛の治療

STEPにかかわらず考える:補足

疼痛治療と同時に、抗がん治療の可否を

十分に検討する

抗がん治療の目標の設定も根治的なものから

症状緩和を主体とするものまで多様

原疾患、病状、疼痛の責任病巣などに応じて

提供されうる手段も変化する

様々な治療のオプションについて、適宜そ

の可能性を検討する

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
疼痛の治療と同時に原疾患の治療も考えましょうといるスライド 必要に応じて挿入する

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オピオイドローテーションの実際

大量のオピオイドの場合

例)オキシコンチンⓇ120mg/日 デュロテップⓇ

オキシコンチン120mg/日レスキューオキノーム20mg/回

オキシコンチン80mgデュロテップMT4.2mg

オキシコンチン40mgデュロテップMT8.4mg

デュロテップMT12.6mg1 2 3 4

• 次回デュロテップMT貼り替え日、オキシコンチン1回量40mgを内服と同時にデュロテップMT8.4mgを貼付

• 次回からオキシコンチン1回量を20mgに減量

• レスキュー:そのまま

オキシコンチン

デュロテップMT

60 60↓ ↓ 40 40

↓ ↓40 40↓ ↓

40 40↓ ↓ 20 20

↓ ↓20 20↓ ↓

20 20↓ ↓

4.2mg↓

8.4mg↓ 12.6mg

• オキシコンチン1回量60mgを内服と同時にデュロテップMT4.2mgを貼付

• 次回内服分からオキシコンチン1回量を40mgに減量

• レスキュー:そのまま

• 次回デュロテップMT貼り替え日、オキシコンチン1回量20mgを内服と同時にデュロテップMT12.6mgを貼付

• 次回からオキシコンチン中止• レスキュー:そのまま

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
OPTIM「ステップ緩和ケア」P126 具体的な大量オピオイドローテーションの方法の解説 煩雑になり、ややこしいので、なしにしてもよい。さっと示して、こんなかんじでやりますというくらいでもよい。 スライド56の代わりに、こちらのスライドを使用してもよい