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独立行政法人 経済産業研究所(RIETI) BBL セミナー資料 2015 年 9 月 2 日 「平成 27 年経済財政白書について」 村山 裕 http://www.rieti.go.jp/jp/index.html

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独立行政法人 経済産業研究所(RIETI)

BBL セミナー資料

2015 年 9 月 2 日

「平成 27 年経済財政白書について」

村山 裕

http://www.rieti.go.jp/jp/index.html

Page 2: BBLセミナー資料 - RIETI · bblセミナー資料 2015年9月2日 ... 第3節 「量的・質的金融緩和」の進展状況とその効果、 経済と財政の一体的改革に向けて・・・・・・・・・・6

平成 27年度

年次経済財政報告 (経済財政政策担当大臣報告)

―四半世紀ぶりの成果と再生する日本経済―

説 明 資 料

平成 27 年8月

内 閣 府

Page 3: BBLセミナー資料 - RIETI · bblセミナー資料 2015年9月2日 ... 第3節 「量的・質的金融緩和」の進展状況とその効果、 経済と財政の一体的改革に向けて・・・・・・・・・・6

第1節 経済再生の前進と最近の景気動向・・・・・・・・・・2

第2節 好循環の進展とデフレ脱却に向けた動き・・・・・・・4

第3節 「量的・質的金融緩和」の進展状況とその効果、

経済と財政の一体的改革に向けて・・・・・・・・・・6

第1節 国内労働力の更なる活用に向けた課題・・・・・・・・8

第2節 円滑な労働移動と経済成長・・・・・・・・・・・・10

第1節 低成長下でのイノベーション活動・・・・・・・・・12

第2節 イノベーション活動の促進に向けて・・・・・・・・14

第1章 景気動向と好循環の進展

第3章 イノベーション・システムと生産性の向上

目 次

第2章 成長力強化に向けた労働市場の課題

当資料は、「年次経済財政報告」の説明のため暫定的に作成したものであり、引用等に

ついては、直接「年次経済財政報告」本文によられたい。

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日本経済は、2012 年末に持ち直しに転じて以降、総じてみれば、個人消費を中心に内需が主導する形で回復してきた。また、デフレ状況ではなく

なる中、名目GDP成長率は、2015 年1-3月期には現行基準で遡及でき

る 1994 年以降最大の伸びとなった。

また、2014 年度の企業収益は、2013 年度に続き、過去最高水準となった。第1-1-1図 実質GDPの推移 (1)実質GDP累積成長率

(備考)1.(左図)内閣府「国民経済計算」により作成。

2.(右図)財務省「法人企業統計」により作成。

さらに、雇用・所得環境の改善が続くなど、経済の好循環が着実に回り始めており、およそ四半世紀ぶりとなる良好な経済状況。

2014 年末からの原油価格下落を受け、交易条件が改善、交易利得がプラスに寄与し、2014 年 10-12 月期以降、実質GNIは増加。

(備考)1.(左図)総務省「労働力調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。

2.(右図)内閣府「国民経済計算」により作成。

第1節 経済再生の前進と最近の景気動向

第1-1-2図 企業・家計の所得面の動向

第1-1-2図 企業・家計の所得面の動向

(1)企業の経常利益と売上高経常利益率

第1-1-3図 実質GNIの動向

第1章 景気動向と好循環の進展

(3)総雇用者所得

-2

-1

0

1

2

Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

2012 13 14 15

GNI成長率

(折線)

GDP成長率

交易利得

海外からの所得純受取

(前期比寄与度、%)

(期)

(年)

97

98

99

100

101

102

103

1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5

2013 14 15

(2012年=100)

(月)

(年)

1人当たり賃金

雇用者数

名目総雇用者所得

-4

-2

0

2

4

6

8

Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

2012 13 14 15

(2012年10-12月期比寄与度、%)

(期)

(年)

輸出

公需

実質GDP

累積成長率

(折線)

輸入

消費

設備投資

住宅

在庫品増加

0

1

2

3

4

5

6

0

4

8

12

16

20

24

1990 92 94 96 98 2000 02 04 06 08 10 12 14

(兆円)

売上高経常利益率(目盛右)

経常利益

(%)

(年)

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0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

85 90 95 00 05 10 15

長期保有株式

土地

有形固定資産

無形固定資産

(兆円)

その他

(年)

4

6

8

10

12

14

16

18

00 05 10 15

(兆円)

(年)

設備投資

(土地含む、

除くソフトウェア)

経常利益

2000

企業部門では、過去最高水準となっている企業収益と比べると、設備投資の回復の動きは弱め。研究開発などの無形資産や海外投資などを高める動きもある。

2013 年末頃からは、減価償却費を上回る設備投資が実行されるようになったことから、国内の有形固定資産が増加に転じる動き。

(備考)財務省「法人企業統計」により作成。

前回消費税率引上げ時と比べ、今回は、雇用者数はほぼ同程度増加する一方、名目賃金の伸びはデフレマインドがなお残る中、結果的に前回を下回った。所

得全体としては前回をやや下回る伸びにとどまった。一方、税率引上げ幅が大

きかったことや輸入物価の上昇等により物価上昇率が前回よりも高かったこ

とから、実質総雇用者所得がマイナスとなり、消費が抑えられた。

低所得者層のうち、60 歳未満の現役世代の回復の遅れが消費の持ち直しの動きが弱かった一因。2015 年に入ってからは、高齢者、現役世代共に増加傾向。

(1)経常利益と設備投資 (3)企業の固定資産の構成

第1-1-7図 所得階層別の消費動向

(2)低所得者層における年齢別の消費支出 第1-1-6図 前回消費税率引上げ時と比較

した個人消費の変動要因

(備考)1.(左図)内閣府「国民経済計算」、総務省「労働力調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」により作成。

2.(右図)総務省「家計調査」により作成。

88

92

96

100

104

108

112

1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4

2012 13 14 15

(2013年1-6月=100)

60歳未満世帯

60歳未満世帯

(3MA)

60歳以上

世帯

60歳以上世帯

(3MA)

(月)

(年)

第1-1-10図 設備投資の動向

▲ 4.0

▲ 3.0

▲ 2.0

▲ 1.0

0.0

1.0

2.0

3.0

個人消費 実質所得 個人消費 実質所得

1997年度 2014年度

物価要因

一人当たり

名目賃金要因

雇用者数要因

駆け込み需要の反動

実質総雇用者所得

その他 民間最終消費支出

(前年比寄与度、%)

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第1-2-1図 労働需給の動向

労働需給は非製造業を中心に引き締まりつつある。 好調な企業収益が賃金の上昇へ波及、経済の好循環が進展。

(2)業種別雇用人員判断DI (1)定期昇給を含む賃金引上げ率

(備考)1.(左図)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」により作成。

2.(右図)厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」、日本労働組合総連合会「春季生活闘争」等により作成。

3.連合調査は最終集計まで数次にわたって集計を行っているため、2015 年については、現時点で判明している6月1日

回答集計を用いている。

物価については、消費者物価(コアコア)は 2013 年春以降、おおむね緩やかに上昇。前回、デフレ状態ではなくなった 2006 年春以降と比較する

と、今回は、サービス価格の安定的なプラス寄与がみられる、という特徴

がある。

(3)消費者物価(コアコア)の要因分解

(備考)総務省「消費者物価指数」により作成。連鎖基準方式。2014 年4月以降、消費税率引上げの影響を除くベース。

第2節 好循環の進展とデフレ脱却に向けた動き

(%)

第1-2-3図 企業の賃金引上げの動き

(年)

第1-2-5図 消費者物価の動向

2013 年以降 2006 年~09 年

-60

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

50

全産業

製造業

非製造業

(「過剰」-「不足」、%ポイント)

(年)0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2.4

2.6

2.8

1998 2000 02 04 06 08 10 12 14

6月上旬調査

(連合)

最終集計結果

(連合)

厚生労働省調査

15

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10

2006 07 08 09

(前年比寄与度、%)

(月)

(年)

他の財

一般のサービス

耐久消費財

コアコア(折線)

食料

家賃公共料金

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 5

2013 14 15

(前年比寄与度、%)

(月)

(年)

他の財

一般のサービス

耐久消費財

コアコア(折線)

食料

家賃

公共料金

(年)

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-10

-5

0

5

10

ⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠ

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

(前年比、%)

労働生産性

単位賃金

製造業

(期)

(年)

ULC(折線)

-10

-5

0

5

10

ⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠⅢⅠ

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

(前年比、%)

労働生産性

単位賃金

(期)

(年)

ULC(折線)

非製造業

GDPデフレーターは上昇傾向。需要面では、2013 年7-9月期以降、民間最終消費要因が押上げに寄与。

所得面では、2014 年4-6月期以降、単位労働費用要因がプラス寄与。同年1-3月期以降、単位利潤要因がプラスに寄与しており、利潤が

雇用者へ配分されることで賃金が上昇していくことが期待される。

(3)製造業及び非製造業別のULCの要因分解(AIAベース)

単位労働費用は、製造業では、前回、今回ともに単位賃金がおおむねプラスに寄与。今回は単位賃金の押上げが大きく、2014 年4-6月期以降

おおむねプラス。

非製造業では、前回はおおむねマイナスに寄与していた単位賃金が、今回はおおむねプラスに寄与。

第1-2-10 図 単位労働費用の動向

(備考)経済産業省「全産業活動指数」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、総務省「労働力調査」により作成。

第1-2-8図 GDPデフレーターの動向

(1)GDPデフレーターの要因分解(需要面)(2)GDPデフレーターの要因分解(所得面)

(備考)内閣府「国民経済計算」により作成。

-5

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

2013 14 15

(期)

(年)

GDPデフレーター

(折線)

単位労働費用

単位利潤

(2013年1-3月期比、%、累積寄与度)

-6

-4

-2

0

2

4

6

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

2013 14 15

GDPデフレーター

(折線)民間投資

その他 政府消費

民間最終消費

輸出

輸入

(2013年1-3月期比、%、累積寄与度)

(期)

(年)

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-2.0

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

2012 13 14 15

(%)

消費動向調査

生活意識に関する

アンケート調査

QUICK債券調査

ESPフォーキャスト調査CPI総合(実績)

短期(1年)

量的・質的金融緩和

(月)(年)

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

6M 1Y 2Y 3Y 4Y 5Y 6Y 7Y 8Y 9Y 10Y15Y20Y30Y40Y

(%)

「量的・質的金融緩和」導入前(2013年1月1日、破線)

直近(2015年7月1日、実線)

第1-3-4図 イールドカーブ、実質金利の動向

「量的・質的金融緩和」導入頃から、予想物価上昇率は上昇。 イールドカーブは全体的にフラット化。

(備考)1.(左図)日本銀行「資金循環統計」により作成。

2.(右図)財務省「法人企業統計調査」により作成。

第3節 「量的・質的金融緩和」の進展状況とその効果、

経済と財政の一体的改革に向けて

第1-3-2図 予想物価上昇率の動向

(備考)(左図)Bloomberg、総務省「消費者物価指数」、内閣府「消費動向調査」、日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」、

日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」、株式会社QUICK「QUICK債券月次調査」により作成。

(右図)Bloomberg により作成。

日本銀行以外の主体では、全体として国債からそれ以外の資産へのシフトがみられる。国内銀行では緩やかながらポートフォリオ・リバランス

が進んでいる。

中小企業は、運転資金を中心に資金の調達を増加、企業活動を拡大。

(1)イールドカーブの変化

第1-3-5図 ポートフォリオ・リバランスの動向

(1)日本銀行以外の主体による投資フロー (5)企業の資金需要内訳(中小企業)

第1-3-6図 「量的・質的金融緩和」の

企業活動への影響

-5

0

5

10

15

20

25

30

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

2012 13 14 15

(兆円)

(期)

(年)

設備投資

運転資金

その他

合計(折線)

量的・質的金融緩和

-20.0

-15.0

-10.0

-5.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

2012 13 14 15

量的・質的

金融緩和貸出

対外投資

社債株式・投信

国債

(兆円)

(期)

(年)

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(2)債務残高対GDP比の上昇要因

債務残高対GDP比はデフレ下で持続的に上昇。2011 年度以降、上昇傾向に歯止めがかかりつつあるが、引き続き、デフレ脱却・経済再生と財政健全

化の一体的取組の強化が必要。

(備考)内閣府「国民経済計算」、「中長期の経済財政に関する試算」(平成 27 年2月公表)により作成。

(2)世代種類別のネット受益・負担の変化の内訳(1994 年→2015 年)

我が国の税・社会保障等を通じた受益と負担の構造について、過去約20 年間の変化をみると、①現在、受益が大きい高齢者は、60 代では年

金支給開始年齢引上げに伴い年金支給額が減少する一方、70 代では受

益が増加、②現役世代のうち、子供のいる世帯は、負担が増加する一

方で、教育サービス等の受益も増加、等の特徴。

第1-3-11 図 様々な世帯類型別にみた受益・負担構造

(備考)総務省「全国消費実態調査」により作成。

第1-3-7図 我が国の政府債務残高の動向

世帯主の性別・年齢 30代・男性 30代・男性 40代・男性 40代・男性 50代・男性 50代・男性 60代・男性 70代・女性

配偶者の有無 有 有有

(共働き)有

(共働き)有 有 有 無

子供の数 1人 2人 無 2人 無 1人 無 無

総収入平均値

(-45万円) (-49万円) (-57万円) (-79万円) (-113万円) (-123万円) (-129万円) (+4万円)

-6

-5

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-120

-100

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80(万円)

ネット受益・負担

(対総収入比、%)

対総収入比(目盛右)

年金等

医療サービス

負担

増加

受益

増加

年金保険料

健保保険料

消費税

所得税・住民税

介護サービス

教育サービス

保育サービス

-10

-5

0

5

10

15

1981 85 90 95 2000 05 10 13 15

(%ポイント)

利払費要因

基礎的財政収支要因

実質GDP成長率要因

政府債務残高

対GDP比前年差

(年度)

GDPデフレーター要因

試算値

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第2章 成長力強化に向けた労働市場の課題

我が国の 30~40 歳台の女性の労働力率はなお低めであり、活躍の余地。 女性のパートが先進諸国並みにフルタイム化する、もしくは出産・育児に専念している女性が労働参加すれば、総労働供給は 1.5%程度増加。

第1節 国内労働力の更なる活用に向けた課題

第2-1-8図 労働分配率の要因分解 第2-1-4図 非正規雇用者の動向

2013 年以降、柔軟な働き方を希望する女性や高齢者の労働参加に支えられ、就業者は増加。女性や高齢者は非正規就業が多いことから、非正規比

率は上昇。足下、若年・中年層の正規化の動きから、同比率は概ね横ばい。

企業は、これまで名目GDPが減少する中で、雇用の維持を図りつつ賃金水準の低い非正規雇用を拡大させること等によって、労働コストを調整。

(備考)1.(左図)OECD.Stat により作成。主要先進5か国(除く日本)は、アメリカ、英国、フランス、ドイツ。

2.(右図)OECD.Stat、総務省「労働力調査」により作成。我が国全体の総労働供給に与える影響を試算。

(備考)1.(左図)総務省「労働力調査」により作成。若年層は 15~34 歳、中年層は 35~64 歳、高齢層は 65 歳以上を表す。

2.(右図)OECD.Stat により作成。名目GDPの減少は、労働分配率の押上げ要因となるため、プラス寄与として表される。

第2-1-1図 女性・高齢者の労働参加

-15

-10

-5

0

5

10

15

2000 05 10 14(年)

労働分配率

1人あたり賃金

雇用者数

交絡項

名目GDP(逆符号)

日本

(2000年対比累積寄与度、%ポイント)

(1)女性の労働力率

(3)非正規雇用者比率の前年差の寄与度分解

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

200304 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

(期)

(年)

(前年差、%ポイント)

構成比

変化要因

非正規雇用者比率前年差

若年層

中年層

高齢層

非正規雇用者比率が高い

属性(女性、高齢者)の

シェアが高まる効果

0102030405060708090100

15〜19歳

20〜24

25〜29

30〜34

35〜39

40〜44

45〜49

50〜54

55〜59

60〜64

65歳以上

(%)

日本

OECD平均

主要先進5か国

(除く日本)

第2-1-1図 女性・高齢者の労働参加 (2)女性の潜在労働力(マンアワーベース)

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

0

5

10

15

20

25

出産・育児に

専念している

女性の労働参加

フルタイム化

(先進諸国並み)

(億時間/年) (%)

増加率(目盛右)総労働供給

(マンアワー)

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0 20 40 60 80 100

有期パート

有期その他

無期パート

無期その他

限定正社員

正社員

賃金水準引き上げ

(%)

賃金体系見直し

有期から無期 研修・OJTの充実

柔軟な勤務時間制度導入

無期から有期 業務範囲変更

異なる雇用形態への変更機会増大

その他

労働需給が引き締まりつつある中、全体的に正社員に対する雇用スタンスは積極化。加えて、運輸・小売・宿泊・飲食業では、限定正社員や無期パ

ートの雇用を進めることで、人材の定着を図る動きが顕著。

(備考)1.内閣府「企業の人的資本の活用に関する意識調査」により作成。

2.企業からの回答を以下のウェイトにより集計したDI。それぞれの雇用形態別の従業員数の構成比:大きく上昇=1、

やや上昇=0.5、さほど変わらない=0、やや低下=-0.5、大きく低下=-1。

企業は、パート等の無期化や、正社員の能力・成果をより重視した賃金体系への見直しによって、貢献度改善を期待。教育・訓練投資の充実等を労

働生産性向上に結び付けていくことが重要。

好業績企業は、これまで有期雇用者を増やしてきたが、先行きは正社員化や無期化を展望。人的資本の活用方法の見直し等が期待される。

第2-1-11 図 人事制度・処遇に対する考え方

(備考)1.内閣府「企業の人的資本の活用に関する意識調査」により作成。

2.(右図)増益/減益企業は、2013 年度の経常利益が、2010 年度に比べて、増加/減少した企業。

第2-1-10 図 雇用形態別にみた企業の雇用スタンスの変化

(1) 働きぶりや貢献度を改善させるために

効果が大きい施策

第2-1-12 図 企業業績別にみた

雇用スタンスの違い

-5

0

5

10

15

20

25

30

正社員

限定正社員

無期パート

有期その他

有期パート

正社員

限定正社員

無期パート

有期その他

有期パート

全体 運輸・小売・宿泊・飲食業

2013年度から今後

2007~10年度

2010~13年度

(DI、「上昇」-「低下」、%ポイント)

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

正社員

限定正社員

無期パート

有期その他

有期パート

正社員

限定正社員

無期パート

有期その他

有期パート

増益企業 減益企業

2010~13年度

2013年度から今後

2007~10年度

(DI、「上昇」-「低下」、%ポイント)

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10

第2節 円滑な労働移動と経済成長

我が国の労働移動の規模は小さい。限りある労働力をより効率的に配置していくために、失業なき労働移動を促進していくことが求められる。

マクロの労働生産性を高めていくためには、生産性の高い業種への労働移動だけでなく、個別産業ごとに労働生産性上昇率を高めていくことの効果

が大きい。

第2-2-1図 労働移動の国際比較

(2)平均失業期間 第2-2-3図 労働生産性上昇率の

要因分解

(備考)1.(左図)OECD.Stat により作成。

2.(右図)EUKLEMS により作成。2001 年から 2011 年の平均値。デニソン効果は、労働生産性の高い産業の労働投入シェアが

高まる効果、ボーモル効果は、労働生産性上昇率が高い業種の名目付加価値シェアが高まる効果、純生産性要因は、各業

種の労働生産性上昇率が高まる効果。

企業単位でみると、高収益企業(ROAが高い企業)ほど雇用者数の伸び率が高く、生産性の高い企業へと労働力がシフトしている。ただし、こうした

シフトの動きは徐々に弱まっている可能性。

(備考)1.Bureau van Dijk 社 “Osiris”、日経 NEEDS Financial Quest により作成。上場企業が対象。

2.高収益企業はROA上位 25%、低収益企業はROA下位 25%の企業を指す。製造業は、単体ベース。

第2-2-4図 企業の収益率別にみた雇用変動

(1)高収益企業・低収益企業の雇用者数の伸び率

-10

-5

0

5

10

15

2000 02 04 06 08 10 12 13

日本(製造業)(前年比、%)

(年度)

低収益企業

高収益企業

単純平均

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

日本 アメリカ ドイツ

(%)

純生産性要因

ボーモル効果

デニソン効果 労働生産性上昇率

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

(平均失業期間、月)

(失業確率、%)

日本

-10

-5

0

5

10

15

2000 02 04 06 08 10 12

日本(非製造業)(前年比、%)

低収益企業

高収益企業単純平均

13(年度)

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11

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

-15-12 -9-6-3 0 3 6 91215

高収益企業

(企業数割合、%)

2006年度

2013年度

高収益企業と低収益企業の雇用の伸び率格差の縮小は、①製造業では低収益企業で雇用減少が小幅にとどまること、②非製造業では新規上場企業が

少なくなっていること、③製造業・非製造業ともに高収益企業での雇用の

伸びが小さくなっていること、が背景。労働移動の円滑化や、新規事業の

創出、ミスマッチの解消等が必要。

第2-2-5図 製造業のROA別の

雇用者数の伸び率の分布

第2-2-6図 非製造業のROA別の

雇用者数の伸び率の分布

労働生産性が伸び悩む下で、地方ほど労働需給の引締りのペースが速い。地方からの労働力の流出が続くなか、生活基盤を支える個人サービス業に

ついては、集積の効果を高めるほか、地域の特色を活かした稼ぐ力の強化

が必要。

第2-2-10 図 人口流出入と賃金格差

(2)都道府県別の人口流出率と賃金水準

(備考)1.BvD 社 “Osiris”、日経 NEEDS Financial Quest により作成。上場企業が対象。

2.高収益企業はROA上位 25%、低収益企業はROA下位 25%の企業を指す。製造業は単体ベース。

(備考)1.(左図)総務省「住民基本台帳人口移動報告」、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」により作成。

2.(右図)経済産業研究所「R-JIP データベース(2012)」により作成。

第2-2-11 図 個人サービス業の

生産性と製造業の企業立地

(1)個人サービス業の労働生産性と人口密度

-8.0

-6.0

-4.0

-2.0

0.0

2.0

4.0

6.0

200 250 300 350 400

人口の流出率

流出超過

流入超過

所定内給与

(%)

(万円/年)

y = 0.3527ln(x) + 0.8445

R² = 0.50480

1

2

3

4

5

6

7

10 100 1000 10000

(労働生産性、%)

個人サービス業

(人口密度、人/平方キロメートル)

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

-15-12 -9-6-3 0 3 6 91215

低収益企業

(雇用者数前年比、%)

2006年度

2013年度

0

2

4

6

8

10

12

14

16

-6 -3 0 3 6 9 12 15 18

高収益企業(企業数割合、%)

2006年度

2013年度

0

2

4

6

8

10

12

14

16

-6 -3 0 3 6 9 12 15 18

低収益企業

(雇用者数前年比、%)

2006年度

2013年度

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12

第3章 イノベーション・システムと生産性の向上

1990 年代初以降にみられた長期的な経済停滞の背景には非製造業や中小企業を中心に生産性の伸び悩みがあった。

非製造業については、ICT資本の利活用の遅れが業務効率化の遅れにつながり、TFP上昇率低迷の一因となっている可能性。

第1節 低成長下でのイノベーション活動

(1)名目付加価値に占めるサービス産業の割合

先進国で共通するサービス産業(相対的に生産性上昇が低い)への経済構造のシフトが経済全体の生産性に与える影響は、この 20 年間をみれば限定的。

経済全体の生産性を高めるためには、個別産業の生産性をさらに高めていくことが重要。また、生産性上昇が高い分野への資源配分を促すことも大事。

第3-1-4図 経済に占めるサービス産業

の割合

第3-1-6図 経済構造の変化が生産性に与える影響

第3-1-2図 成長会計分析でみる生産性の動向

(1)1990 年代以降の実質GDP成長率の低迷

とその背景

(2)製造業・非製造業別の成長率の要因分解

-2

-1

0

1

2

3

1990-2000 2000-11 1990-2000 2000-11

製造業 非製造業

(年平均、%)

(年)

実質GDP成長率

(折線)

TFP上昇率

資本の寄与

労働の寄与

(備考)1.OECD "National Accounts"により作成。

2.全産業に占めるサービス産業のシェア。

-1

0

1

2

3

4

5

1970-80 1980-90 1990-2000 2000-11

(年平均、%)

(年)

実質GDP成長率

(折線)

TFP上昇率

資本の寄与

労働の寄与

(備考) 独立行政法人経済産業研究所「JIPデータベース 2014」、財務省「法人企業統計年報」、

内閣府「国民経済計算確報」、「民間企業資本ストック」により作成。

(備考)1.経済産業研究所「JIPデータベース(2014)」により作成。

2.全体はマクロ(住宅・分類不明を除く)。全体以外は寄与度。

3.全体のTFP上昇率は各業種のTFP上昇率をドマーウェイト

(マクロ経済全体の名目付加価値に占める各産業の名目産出額の割合)

を用いて集計した値。

65

70

75

80

85

200001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

(%)

ドイツ

(年)

アメリカ

フランス

日本

-0.6

-0.4

-0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

全体

製造業

電気機械

非製造業

建設

卸小売

金融保険

不動産

運輸

情報通信

教育

医療・福祉

対個人サービス

対事業所サービス

1990年代から2000年代にかけてのTFP上昇率の変化の要因分析(%ポイント)

産業内要因(各産業におけるTFP上昇率の変化による要因)

産業間要因(各産業の経済に占めるウェイトの変化による要因)

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サービス産業では生産性を高める余地が大きいとみられるが、ICT投資の更なる活用や諸外国に比べて低い研究開発活動の促進、経営人材の育成

も重要。

我が国のサービス産業は、多くの分野で米国のサービス品質を上回っているとの評価。他方、スーパーやコーヒーショップ等では品質に対して割高との評価も。

(備考)(左図)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、(右図)総務省「労働力調査(詳細集計)」により作成。 研究開発や特許の出願といった官民合わせた我が国全体のイノベーションへの取組は積極的。他方、イノベーションの効率性には課題も。

イノベーションを生み出しその果実を経済成長に結び付けていく経済社会全体を視野に入れたイノベーション・システム(制度的枠組)の構築が重要。

第3-1-11 図 サービス分野における品質、価格の日米比較

第3-1-12 図 インプット指標からみる

イノベーション

(1)総研究開発費(対GDP比)の推移

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

4.5

1981 84 87 90 93 96 99 2002 05 08 11 13

日本

中国

アメリカ

韓国

(%)

第3-1-13 図 アウトプット指標からみる

イノベーション (1)研究開発活動と生産性の動向に関する国際比較

(備考) 文部科学省 科学技術・学術政策研究所

「科学技術指標 2014」等により作成。

(備考)(左図)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標 2014」により作成。

(右図)財団法人社会経済生産性本部サービス産業生産性協議会「同一サービス分野における

品質水準の違いに関する日米調査報告書」により作成。調査の実施期間は、2008 年~09 年。

(備考)1.OECD. Stat により作成。

2.研究開発投資比率は研究開発投資額の対GDP比。

3.2000 年から 2012 年までの平均値。

(2)サービス価格の日米比較

0.8 0.9 1 1.1 1.2

地下鉄

タクシー

航空旅客

コンビニ

クリーニング

宅配便

郵便

理容・美容

百貨店

ファミレス

レンタカー

旅行サービス

銀行

総合スーパー

ハンバーガーショップ

コーヒーショップ

中高級ホテル

病院

平均

日本人

米国人

←日本が品質に対して割安 日本が品質に対して割高→

第3-1-7図 主要国における製造業と非製造業

の研究開発費の割合

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

0 1 2 3 4

(研究開発投資比率、%)

アイルランド

フィンランド

(全要素生産性(TFP)上昇率、%)

イタリア

フランス

ベルギー

スウェーデン

ドイツオランダ

英国

韓国

デンマーク

アメリカ

オーストラリア

日本

カナダポルトガル

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

10~12 09~11 09~11 09~11 09~11 10~12 09~11

日本 アメリカ ドイツ フランス 英国 中国 韓国

非製造業

製造業

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イノベーション・システムの改善に向け、企業や業種、また産学官といった部門を超えた人材の交流が鍵となる。

イノベーションの創出、産業の新陳代謝の促進に向け、大企業だけではなく、競争力を有する中小企業、特にベンチャー企業への成長資金の供給が重要。

第2節 イノベーション活動の促進に向けて

(1)研究開発費の主体別調達割合と提供先

企業部門で資金調達された研究開発費のほとんどは企業自身で利用され、大学での研究開発に利用された割合はわずか。部門間の連携強化が重要。

海外との連携をみても、特許の出願に占める国際共同出願の割合が低い。オープン・イノベーションの推進に向けた取組が重要。

第3-2-4表 主体別にみる

我が国の総研究開発費の調達と利用 第3-2-5図 オープン・イノベーションの動向

第3-1-9図 イノベーションのための活動を

実施しない企業にとっての阻害要因

第3-2-3図

ベンチャー・キャピタル投資の動向 (1)ベンチャー・キャピタル投資(GDP比)

の国際比較(2010 年代初)

(1)特許の国際出願に占める国際共同出願の割合

(2010 年前後の動向)

(1)研究開発費の主体別調達割合と提供先

政府 大学 企業 合計

政府※1 18.1% 54.4% 40.2% 5.4% 100.0%

大学 5.9% 0.6% 99.3% 0.1% 100.0%

企業 75.5% 0.6% 0.5% 98.9% 100.0%

海外 0.5% 9.6% 1.6% 88.8% 100.0%

研究開発費の主体別調達割合

資金調達された研究開発費の提供先

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0.25

0.3

0.35

イスラエル

アメリカ

フィンランド

韓国

中国

フランス

イギリス

ドイツ

日本

ベンチャー後期

シード期、スタートアップ期含むベンチャー初期・成長期

(対GDP比、%)

(備考)1.OECD「Economic Surveys:Japan 2015」により作成。

2.韓国は、合計値。

(備考)(左図)1.非営利の研究所も含む。

2."OECD R&D Statistics Database"により作成。

(右図)OECD "Science, Technology and Industry

Scoreboard 2013" により作成。

(2)サービス産業

0 10 20 30 40

自社外、又は自社が属する企業グループ外からの調達資

金が不足した

自社内、又は自社が属する企業グループ内の資金が不足

した

自社が既に実現したイノベーションで足りることが分

かった

イノベーションに掛かるコストが高すぎた

イノベーションの実現に必要な協力相手を見つけること

が困難であった

他社によって市場が支配されていた

イノベーションに対する十分な需要が見込めなかった

新しい製品・サービスへの需要が不確実だった

技術に関する情報が不足した

市場に関する情報が不足した

能力のある従業者が不足した

(備考)1.科学技術・学術政策研究所「第3回全国イノベーション調査報告」より作成。

2.プロダクト又はプロセス・イノベーションのための活動を実施しなかっ

たと答えた企業における、各阻害要因についての回答のうち「決定的に

阻害された」「ある程度阻害された」「わずかに阻害された」のいずれ

かを選択した割合を集計。

オーストラリ

オーストリア

ベルギー

スイス

チリ

チェコ共和国

ドイツ

デンマーク

スペイン

エストニア

フィンランド

フランス英国

ハンガリー

アイスランド

イスラエルイタリア

日本

オランダノルウェー

ニュージーラ

ンド

ポーランド

ポルトガル

スロバキア

スロベニア

スウェーデン

トルコ

ブラジル

ロシア

南アフリカ

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0 5 10 15 20 25 30 35 40

(特許の国際出願に占める自国以外の発明者との共同出願の割合、%)

(共同発明によるイノベーションを行う企業の割合、%)

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日本企業のROEは国際的にみても低い水準で推移。ただし、2013 年以降、こうした収益力指標に改善の動き。他方、欧米と同様、日本企業でも内部

留保が蓄積し、現預金の保有も増加。

企業価値の向上を意識した積極的な経営判断を後押しする仕組みを強化。第3-2-6図 企業の収益力指標の国際比較

(備考)(左図)日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、(右図)総務省「労働力調査(詳細集計)」により作成。

現預金比率と収益の関係をみると、投資を積極的に行う企業ではより高い収益を実現する傾向。好決算を実現する企業には、保有する現預金を新規

の設備投資やM&Aなどに積極的に活用し、資金効率の向上とイノベーシ

ョンにつなげることが期待される。

イノベーションの創出は、潜在需要の開拓を通じ、経済の需要面にも波及。

第3-2-7図 内部留保と現預金保有に関する国際比較

第3-2-8図 現預金比率とROAの関係

第3-2-11 図 イノベーションによる

新製品の登場とその普及

(1)ROEの推移 (1)内部留保率の推移

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1980 85 90 95 2000 05 10 14

乗用車

パソコン

ルームエアコン

電気洗濯機・全自動

携帯電話

DVD

薄型テレビ

(液晶、プラズマ等)

スマートフォン

(年度末)

耐久消費財の普及率

-4

0

4

8

12

16

20

2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

(%)

(年)

日本

アメリカ

EU15か国

(1)投資機会が多い企業群(2)投資機会が少ない企業群

(備考)内閣府「消費動向調査」により作成。

(備考)1.BvD 社 "Osiris" により作成。内部留保率=利益剰余金/総資産。

2.EU15 か国は、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、

アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、英国

の 15 か国。

(備考)

1.BvD 社 "Osiris" により作成。現預金比率=現金又は同額価値/総資産、ROA=純利益/総資産。

2.(1)、(2)の対象は、2000 年~13 年のROA・現預金比率・有形固定資産・総資産の値を

取得可能な日本の上場企業 1,102 社。

3.投資機会の分類については、投資・総資産比率=有形固定資産増加額/前期総資産額の 2000 年以降平均(単

純平均)が、上位3分の1のグループに入る企業群を「投資機会が多い企業群」とし、下位3分の1のグル

ープに入る企業群を「投資機会が少ない企業群」とした。

5

10

15

20

25

30

2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13

(%)

(年)

日本

アメリカ EU15か国

y = 0.2285x + 2.2044

(12.4) (7.5)

R² = 0.2966-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

0 20 40 60 80

(ROA(2000年以降平均)、%)

(前年の現預金比率(2000年以降平均)、%)

y = 0.0589x + 1.4025

(3.7) (4.9)

R² = 0.0358-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

0 20 40 60 80

(ROA(2000年以降平均)、%)

(前年の現預金比率(2000年以降平均)、%)