analysis of clumsiness for eye-hand coordination …修士論文...

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修士論文 視覚指標に対応した目と手の協応課題による 不器用さの分析 -視覚刺激に誘導された運動制御を測定する機器の開発- Analysis of clumsiness for eye-hand coordination task corresponding to a visual target - A new device for measuring motor control ability by a visual stimulus - 札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期 理学療法学・作業療法学専攻感覚統合障害学分野 SUGAMA Kosuke 須鎌 康介

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Page 1: Analysis of clumsiness for eye-hand coordination …修士論文 視覚指標に対応した目と手の協応課題による 不器用さの分析 -視覚刺激に誘導された運動制御を測定する機器の開発-

修士論文

視覚指標に対応した目と手の協応課題による

不器用さの分析

-視覚刺激に誘導された運動制御を測定する機器の開発-

Analysis of clumsiness for eye-hand coordination taskcorresponding to a visual target

- A new device for measuring motor control abilityby a visual stimulus -

札幌医科大学大学院保健医療学研究科博士課程前期

理学療法学・作業療法学専攻感覚統合障害学分野

SUGAMA Kosuke須鎌 康介

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要旨

【研究目的】

学習障害児や注意欠陥多動性障害児では,それぞれ教科学習の遅れと行動制御

機能の未熟さがその主症状とされている.一方,臨床的には巧緻運動の未熟さや

目と手の協応性の問題など,いわゆる不器用さが主訴として挙げられることも多

く,疾患との関連性や障害構造に関して解明していく必要がある.しかし,これ

まで疾患との関連性だけでなく不器用さそのものの原因や要因を明らかにする研

究も少ない現状にある.本研究では不器用さの原因や要因を分析するために,水

平に移動する光点指標に従ってつまみ力の調節を行い,運動遂行過程で視覚-運

動系の脳内処理が統合される時系列的な過程を単純なモデルとして測定する機器

を開発した.その機器を用いて健常成人における利き側手および非利き側手にお

ける器用さの差違に寄与する要因として運動のタイミングと力の調節の視点から

測定し,左右手間および片手-両手動作間の運動調節メカニズムの特異性につい

て検討を行った.

【研究方法】

測定機器の信頼性を確認するために,重錘を用いた校正と個人内・個人間にお

ける再現性を確認したのち,右利きの健常成人女性 名( 歳)を対象者に11 19~25測定を行った.使用機器は,小型圧縮型ロードセル ,計装用増幅器LM-5KAWGA-650A 2 A/D,バーゲージをそれぞれ 台(以上,共和電業製 ,カノープス製)

変換器 ,ノート型パソコン ,ニスタモグラフ ,指標ADN-1400 PC9821Nx EN1100追跡装置 が 台(以上,日本電気製)であった.測定方法は,指標追跡装3G31 1置を用い視覚刺激を行い,左右のつまみ力(側腹つまみ(中節部 )を指標として)

運動反応を計測した.視覚刺激-運動制御パターンは水平方向へ光点が移動しそ

れに合わせて運動の切り替えを行うものとした.対象者には前方 にある指60cm標とバーゲージを参考にしながら左右手にそれぞれ保持しているロードセルに負

荷をかけるように指示をした.測定は①片手・右,②片手・左,③両手の順番で

行った. 回の測定時間は 秒間とした.結果の分析は,指標に合わせた運動の1 50, 「 」 , 「 」切り替えを 時間的要素として タイミング を 力の調節能力を 歪度・尖度

. , ,として評価した また 今回開発した測定機器による評価との比較を行うために

南カリフォルニア感覚統合検査の運動正確度検査( ;片手による線引き課MAC-R題)と厚生労働省編一般職業適性検査の組み合わせ検査(両手による物品操作)

を標準的な検査法に準じて実施した.

【結果と考察】

( ) ( )重錘 によるロードセルへの荷重の変動係数が誤差範囲内3.0kgf 0~0.073%に収まったことからロードセルの変位量を測定する本測定器の計器としての信頼

性が確認された.また, 人の対象者に対して 日以上間隔をあけ測定した結果,3 5タイミング,歪度,尖度ともに 標準偏差以内に収まったことから,測定におけ1る個人内の信頼性が確認された.同様に最大つまみ力発揮前 間の 人の50msec 3つまみ力の変動係数を比較したところ, 人とも 以下となり個人間の信頼性3 15%

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も確認された.

測定の信頼性が確認されたのちに行った 人の対象者に対して測定を行った結11, , ,果 運動開始時のタイミングは 片手・右に比べ片手・左の反応が悪くなること

両手では左右手ともに片手よりも反応が向上し左右の差がほとんどなくなること

がわかった.また,力の調整能は,片手では左右手の力の調整に違いはないもの

の加重を増加するときに比べ脱力時の調整能が悪化すること,両手では左右手と

もに片手に比べ力の調整能が向上することがわかった.運動開始のタイミングと

机上検査の関係は, ,組み合わせ検査ともに有意な関連は認められず,片MAC-R手動作と両手動作それぞれに含まれる要素とタイミングの関連を明らかにするこ

とはできなかった.しかし,運動開始のタイミングが指標の動きに合致した対象

MAC-R者と合致しなかった対象者を個別に検討すると,運動開始のタイミングと

の得点の間に一定の関連が推定される結果が得られた.

以上より,今回開発した機器は,つまみ力を測定する計器としての信頼性が確

認され,特に片手動作時と両手動作時のつまみ力という運動遂行過程の時系列的

変化を測定することで運動開始のタイミング,力の調節能についてそれぞれ検討

可能であることが示唆された.また,既存の机上検査の結果と比較したところ,

運動開始のタイミングと との間に一定の関連が推定された.これはタイミMAC-Rング計測によって机上検査の結果に反映できる可能性とともに,本検査機器を使

用することで目と手の協応性を評価できる可能性が示唆されたものと考える.

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目次

第1章 研究動機・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第2章 研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

第3章 研究仮説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

第4章 用語の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

第5章 先行研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第6章 研究方法

1.研究対象・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2.使用機器と測定方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

3.測定データ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

4.測定データの分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

第7章 結果

1.測定の信頼性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

2.つまみ力発揮のタイミングの分析・・・・・・・・・・・・・7

3.片手条件の右手のタイミングを基準とした

つまみ力発揮のタイミング・・・・・・・・・・・・・・・・9

4.つまみ力の調節能・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

5.机上検査の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

6.力の発揮とMAC-R ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

7.両手条件と組み合わせ検査・・・・・・・・・・・・・・・・14

8.片手条件とMAC-R ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

9.代表例によるつまみ力発揮のタイミングの分析と

代表例によるつまみ力の調節能の分析・・・・・・・・・・・14

10.代表例の机上検査の結果・・・・・・・・・・・・・・・・・14

第8章 考察

1.測定機器の信頼性と妥当性 ・・・・・・・・・・・・・15

2.利き側-非利き側、片手ー両手における

器用さに関わる要因について ・・・・・・・・・・・・・15

第9章 今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

図1~図45・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23~45

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第1章 研究動機

「不器用」という語彙は、子どもの日常生活の中では体育の授業で上手く踏切

ができずに跳び箱を跳び越せない場合やはさみを上手に操作できずまっすぐに切

れない時、製作課題などで人よりもできばえが雑になっている時など、様々な場

面で使われる。この様な状況は、単純に巧緻動作が未熟である場合だけでなく、

目と手の協応性や運動方略の問題、課題への集中度など様々な要因が関連してい

ると考えられる。学習障害児や注意欠陥多動性障害児では、それぞれ教科学習の

遅れと行動制御機能の未熟さがその主症状とされているが、臨床的にはこの不器

用さも問題としてあげられていることが多い 。しかし、その原因として中枢1-3)

神経系の何らかの機能障害があると推定されているものの、その根拠となる研究

は少ない。この様な障害を持つ子ども達に対する不器用さについての評価は、線

引き課題、物品操作、模倣動作の正確性や速度など実際の運動結果に基づいてそ

の性質を評価するものがほとんどであり、その症状を呈する要因について分析で

きるような評価は現状では開発されていない。

著者らは不器用が生じる要因の一つとして手指の動作方向の違いによる力の量

の発揮に問題があるのではないかと考え、様々なつまみの型によるつまみ力を若

年健常者と学習障害児で測定し比較した 。その結果、若年健常者と学習障4 5・ )

害児では各種つまみ型間におけるつまみ力のバランスに相違があること、また、

学習障害の類型が各種つまみ型間におけるつまみ力のパターンに反映される傾向

があることを明らかにしてきた。また、若年健常者と学習障害児に共通して側腹

つまみ(中節部)のつまみ力が他のつまみ型に比べ大きく発揮されることを確認

した。これまで行ってきた著者らの研究成果は、不器用さを評価する上で規定さ

れた運動条件における力の発揮の大きさを比較することで、その性質の一端を評

価できる可能性を示すものと考えている。しかし、この様な「力の発揮」の程度

や「力のバランス」だけでは、不器用さを生じる原因の諸要因を明らかにするに

は不十分であり、特に、日常生活や遊びなど環境に適応した中での動作との関わ

りが明確ではないため更なる検討の必要性があった。今回の研究では、環境に適

、 、応した力の調節能力という視点で 動作を単純化した視覚運動協応課題を実施し

不器用さを視覚-運動統合のメカニズムという側面から検討を行った。

第2章 研究目的

本研究では研究の動機で示した予備的研究を基に不器用さの原因や要因を分析

するための測定機器開発を目的として研究を行った。環境に適応した中での運動

調節能を測定するために、水平に移動する光点指標に従ってつまみ力を調節する

という視覚刺激-運動反応課題を設定した。特に今回は健常成人における利き側

および非利き側における器用さの差違に寄与する運動調節メカニズムを、運動の

タイミングと力の調節のふたつの視点から視覚-運動系の脳内処理過程の統合メ

カニズムとして扱い、単純なモデルとして検討を行った。

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第3章 研究仮説

研究目的を達成する上での本研究の研究仮説を以下に示す。

①健常成人におけるつまみ活動で利き側と非利き側において視覚刺激を指標と

した運動調節に差違がある。

②この差違は線引き課題などで示される一般的な視覚運動協応課題の測定結果

と関連を持つ。

( 、③①および②との関連には幾つかのタイプがあり 遂行中の速度調節の困難群

切り替え時のタイムラグ群など)非利き側が不器用さを呈するメカニズムが

明確化される。

④左右手の切り替え課題においても③と同様の結果が認められ、運動調節にお

ける半球間の情報連絡と運動調節の関連が明確化される。

第4章 用語の定義

・不器用 :手足や身体それ自体にははっきりとした運動の障害は認められない)のに、微妙な調節能力を要求するような困難があること 6

)・巧緻動作:手指の微細な運動 6

・学習障害:全般的な知的発達には遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計

算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に著しい困難を示

す発達障害。中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されてい)る 7

・ :注意欠陥/多動性障害。不注意、多動、衝動性の つの行動を必須ADHD 3)とする 8

・感覚統合:感覚入力を活用するための組織化。人が環境と効果的に関係し、適

切で満足な経験ができるように神経系のさまざまな部分が共同して)働くようになること 9

)・視覚-運動統合:運動反応と視覚情報を協応させる能力 10

)・利き側 :両手動作時に優位に使う側 11

11)・非利き側:両手動作時に補助的に使う側12)・目と手の協応:視覚入力情報と運動出力である手の運動を協応させること

13)・知覚運動協応:周囲の刺激に誘発されて協応的に運動が誘発される現象

・運動正確度検査( :南カリフォルニア感覚統合検査( )の目とMAC-R SCSIT)

手の協応を評価する検査項目

・厚生労働省編一般職業適性検査( :仕事を遂行する上で必要な9種のGATB)適性能(言語能力、数理能力、空間判断力など)の測定が可能。今

回は指先の器用さに関わる組み合わせ検査を行った6)・個人内差:ひとりのひとのなかのさまざまな能力差

・個人差:ひとりのひとと他者との能力差

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第5章 先行研究

「器用さ」について、加賀 は「身体動作の制御能力の高さ」と定義し認知14)

運動シェマと生得的機構と機能、生後の全経験との関与を推察している。加賀谷

は、器用さは体育用語の調節力に相当し「調整力とは、新しく経験する動作の15)

学習能力」であるとし、神経系と運動の企画と調整について論じており、時間と

努力を要すれば不器用であっても動作の学習は可能であるとしている。しかし、

「とびこしくぐり」のような実際に体育場面で調整力の評価として使われている

ものは運動のできばえを含んでしまい「調整力の適切な測定法」ではないとも述

べている。この様な不器用さに関する研究は障害を持った子ども達を対象として

も行われており、様々な視点からの報告が散見できる。大石 は片足立ちや模16)

倣動作、線引き課題、図形模写などを含むテスト・バッテリーを作成し不器用児

の評価を行っている。その結果、運動系と視覚系の中枢神経機構の統合不全が不

器用さに関与していると推察している。小枝ら も学習障害児のスクリーニン17)

グテストのなかで協応運動と歩行に関する検査を行い、不器用さと中枢神経障害

の関与について推察している。一方、山口 は不器用児の評価に心理検査や神18)

経心理検査のみを用いること 成人の知見を流用することの危険性に言及し 身、 、「

振りの模倣検査」と「象徴的身振りの検査」を通して質的な分析の重要性を述べ

ている。是枝ら は スクリーニングテストの試作を行っている19) Clumsy Childrenが、その調査項目には日常生活や行動特徴、教科の修得状況に関するもので占め

られている。川崎 は不器用と運動機能の障害を神経学的検査と神経心理学的20)

検査を用いて評価し、身体知覚-運動プロセスへの治療的働きかけの有効性につ

いて示している。しかし、これらの先行研究は不器用の障害構造について推察し

ているものは認められるが多くは実際の動作や心理学的評価に基づいた定性的な

研究であり、動作を規定し不器用と運動制御について定量的に研究を行っていな

い。

目と手の協応に関する研究では、 は手と眼球の運動システムが連続的・Fisk21)

並列的情報処理に基づき柔軟に合目的化され、急速に変化する環境条件に適応す

るために必要な情報を相互に交換すると報告している。 は書字に関するExner22)

研究から、運動コントロールには活動耐久性、両側統合、視覚運動統合、巧緻運

動協応性が必要であるとしている。視覚・聴覚・体性感覚刺激を契機として運動

を開始したとき、それらの入力がどのようにして運動指令に変換されるかを調べ

る研究は ら が行っており、彼らは感覚刺激によって開始された運動にKurata 23)

関連して変化するニューロン活動を運動前野・補足運動野・一次運動野から記録

し解析した。 は補足運動野は内的に発現された運動を、運動前野は外Goldberg24)

的な感覚信号をもとに発現された運動に関わると報告している。この様に補足運

動野と運動前野は内的・外的な運動の発現、あるいはその発現に必要な情報処理

を行うことが主要な機能であり、一次運動野は情報源別の入力情報処理よりも最

終運動の指令の生成とそれを脳幹や脊髄などの下位運動に出力することが重要な

役割であることが多くの研究結果より確認されている 。25-28)

感覚情報がどのようにして運動指令まで統合されるかという感覚運動統合の過

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程を調べるために や ら は視覚誘導性到達運動を用いて視空間座Atkeson Wise29) 30)

31)標系から運動座標系への脳内情報処理過程を推察している。更に、 らGrazianoや ら はこの座標変換過程では運動関連活動が存在する運動前野(特Rizzolatti 32)

に腹側部)が運動の開始や遂行に役割を果たしているとともに、視覚刺激に対し

てよく応答をするもの(視覚関連活動)が存在し視覚座標入力を含んでいる可能

性があると報告している。また、 ら 、 ら 、 らによるAndersen Colby Kurata33) 34) 35)

と、運動前野腹側部は視覚空間座標を反映すると考えられる腹側頭頂間溝皮質か

らの投射を受けており、ここからの入力が運動前野腹側部ニューロンの視覚刺激

応答性に寄与する事、更に運動関連活動についても、視覚刺激を契機として開始

された運動に選択的に活動するものが多く、運動前野腹側部が座標交換過程に重

要な役割を果たしていることを示唆している。また、 や らは運動Kurata Orioli36) 37)

前野腹側部は多数の下行性線維を有しているととともに、小脳からの入力を受け

ていることを報告し、運動前野腹側部が視覚座標系から運動座標系への単なるハ

ードワイヤ系としてのみ機能しているのではなく、小脳からのフィードバックに

よって運動前野腹側部の中で視覚座標系と運動座標系の関係を柔軟に変更させる

ことにより、運動学習を可能にしていることを報告している。

蔵田 は一次運動野をはじめとする皮質運動関連領野は運動の開始や遂行に38)

、 、役割を果たすと考えられるが 運動の準備状態の形成にも関係していると報告し

錐体路ニューロンが脊髄α運動細胞や興奮性・抑制性介在細胞にシナプスをし、

、 、 、それらの興奮性を調節することにより 随意運動を早く 正確に開始・遂行する

脊髄反射を昂進・抑制することで目的にかなう運動を効率よく遂行するのに役立

つと推論している。蔵田は補足運動野では来るべき運動そのものの準備というよ

りも、どの運動を選択すべきかというより高次な情報処理が行われ、その結果が

一次運動野に出力されていることを推察している。以上のように視覚刺激からの

運動制御、運動学習についての研究は行われているものの、これらの研究成果を

発達障害児や知的障害児に拡げた研究はほとんど行われていない状況にある。ま

た、今回の視覚刺激に基づく運動協応課題に「つまみ」を用いて、感覚-運動統

合と運動制御機構を明らかにする研究はなく、健常者を対象に研究を行うことは

将来の不器用の評価につながる基礎研究として十分価値のあるものと考える。

第6章 研究方法

1.研究対象

19-25視力 矯正視力を含む が正常で つまみ動作に影響するような既往のない( ) 、

歳の健常成人女性 名を対象者とした。全員が右利きであった。視力は以下に11述べる視覚刺激装置の光点をはっきりと見ることができるかを確認し、手指機能

は筆記動作や物品操作の観察と本人に確認することで判定を行った。利き手の判

定は、利き手判定質問紙 (資料1)と観察にて行った。39)

対象者には研究の趣旨を文書と口頭にて説明をし 同意書への署名を求めた 資、 (

料2・資料3 。)

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2.使用機器と測定方法

使用する機器は、共和電業製小型圧縮型ロードセル (定格容量 、LM-5KA 50N定格出力ひずみ με、固有振動数約 、共和電業製計装用増幅器2050 32.6kHz)

、共和電業製バーゲージをそれぞれ 台、カノープス製 変換器WGA-650A 2 A/D、日本電気製ノート型パソコン 、日本電気製ニスタモグラフADN-1400 PC9821Nx

、日本電気製指標追跡装置 が 台であった。EN1100 3G31 1機器構成は、指標追跡装置に投影する指標をニスタモグラフが制御し同時にそ

のときの電圧の変化を 変換器へ出力されるようにした。ロードセルのダイA/Dアフラムに荷重が均一に加わるようにアルミニウム製のカバーを取り付けた(図

1 。つまみ動作で発生するロードセルの電圧変化は増幅器へ送られ、リアルタ)

イムに に変換され増幅器のモニタに表示された。同時にそのときの電圧(荷kgf重)が視覚的にバーゲージにも表示された。さらに増幅器から 変換器へ出A/D力されニスタモグラフからの信号とともにパソコンへ取り込まれ、カノープス製

、 。SAPIC MASTER 1kgf=1V 100Hz 50にて サンプリング周波数 で 秒間記録された

測定方法は、指標追跡装置を用い視覚刺激を行い、左右のつまみ力(側腹つま

み(中節部 、図2)を運動反応として計測した。視覚刺激-運動制御パターン)

は水平方向へ光点が移動し、それに合わせて運動の切り替えを行う 型としtraceた。対象者は椅子座位にて顎固定器を使用し、前方 にある指標とバーゲー60cmジを参考にしながら左右手にそれぞれ保持しているロードセルに負荷をかけるよ

うに指示された。その際、対象者には指標とバーゲージ以外の視覚刺激を与えな

いようにした(図3 。)

trace 50 100 /型の視覚呈示刺激は、滑動性追跡眼球運動の限界速度(視覚 ~ °

秒) を参考に、視角 の範囲を7秒周期(約 ° 秒)の水平往復運動を40)41) 30° 8.6 /行う正弦波とした。運動反応は、光点が正中線から左右どちらかの方向に移動す

るにつれて同側に保持したロードセルに対してつまみを行い、光点が正中に戻る

に従いつまみの力を抜き、光点が反対側に移動すると反対側のつまみを行うもの

とした。光点の移動範囲の正中はスクリーン上に常に呈示された。

trace trace測定は①片手で行う 型 片手条件・右 片手条件・左 ②両手で行う( 、 )、

型(両手条件)の順番で行う。各条件ごとに母指と示指の中節部でロードセルを

保持していることを確認し、十分な説明と練習を行ってから測定を行う。 回の1測定時間は 秒間とした。50また、今回我々が開発した評価との比較を行うために、書字機能や手指の巧緻

的な動作の指標として従来から標準化されている南カリフォルニア感覚統合検査

における運動正確度検査( )と厚生労働省編一般職業適性検査の組み合わMAC-Rせ検査を右利き用と左利き用を標準的な検査法に準じて実施した。

3.測定データ

片手条件・両手条件とも、左右それぞれ 回の指標追従課題を測定した。12光点指標が正中線を越えた時を「①立ち上がり」開始、左右どちらかの端に到達

した時を「②つまみ力最大 、端から正中に戻り始めた時を「③つまみ力減少」」

開始、再び正中を越える瞬間を「④立ち下がり」とし、それぞれの段階における

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運動の追従性を、光点指標とつまみ力変化との時間差(タイミングのずれ)とし

。 、 「 」、て算出した また 立ち上がりから最大つまみ力発揮までを ⑤立ち上がり期

減少開始から立ち下がりまでを「⑥減少期」とし、それぞれのつまみ力の変化を

歪度と尖度を用いて分析を行った (図4)。

4.測定データの分析

測定データの分析は 指標に合わせた運動の切り替えを 時間的要素として タ、 、 「

イミング」を、力の調節能力を「歪度・尖度」として評価した。更に、タイミン

グに関しては左右手の比較を行うために、利き側である単独試行における右手の

値を基準として、左手、両手試行での左右手の相対値を用いた検討も行った。ま

た、グループ間の特徴をより明確化するために、特徴的な対象者を抽出し分析を

行った。また、運動正確度検査と厚生労働省編一般職業適性検査との関連につい

て分析を行った。

第7章 結果

1.測定の信頼性

1)測定機器の信頼性

機器の較正は、 の重錘を用いて つのロードセル( 、 )にそれぞれ加3.0kgf 2 I II重し、増幅器のモニタに同一の数値が表示されることと、パソコンに取り込まれ

る電圧の大きさを確認し較正を行った。パソコンに入力された電圧の較正は、

と設定しているので、使用した重錘の重さと記録された電圧から定数を1V=1kgf求め、電圧にその定数を乗することで実際の加重を算出した。それぞれのロード

15 0 0.073% I 0.069セルごとに 秒間の測定を3回行った結果、変動係数は ~ ( :

~ 、 : ~ )であった。変動係数が誤差範囲内に収まったことか0.073% II 0 0.063%ら、ロードセルへの負荷量を測定するという本測定機器の信頼性が認められた。

2)測定条件における信頼性

測定条件の再現性を確認するために、対象者3名( 、 、 )に対して5日以A B C上の間をあけ2回の計測を行いデータの比較を行った。

図5は両手条件における対象者1名の2回の計測データ(計 試行)を重ね24たものである。縦軸と横軸の関係は図4に準ずる。

対象者3名の2回の計測における右手の立ち上がりのタイミングの平均値を図

6に示した。縦軸は指標との時間差、横軸は3名の対象者を示しそれぞれ1回目

。 「 」 、 、と2回目を表す 対象者 は1回目が ± 2回目が ±A 220 80msec 170 150msecB 250 130msec 130 170msec C 20 110msec 100以下同様に「 」は ± 、 ± 「 」は ± 、、

。 、 。± となった また 立ち上がり期の右手の歪度の平均値を図7に示した80msec縦軸が歪度、横軸は3名の対象者を示しそれぞれ1回目と2回目を表す。対象者

「 」 、 、 「 」 、A -0.73 0.18 -0.91 0.41 B -0.31 0.69は1回目が ± 2回目が ± 以下同様に は ±

± 「 」は ± 、 ± となった。さらに、立ち上がり期-0.69 0.34 C -0.56 0.27 -0.71 0.23、

の右手の尖度の平均値を図8に示した。縦軸は尖度、横軸は3名の対象者を示し

A -0.93 0.39 -0.54それぞれ1回目と2回目を表す 対象者 は1回目が ± 2回目が。 「 」 、

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0.69 B -0.97 1.00 -0.94 0.54 C -1.16 0.32 -0.91± 、以下同様に「 」は ± 、 ± 「 」は ± 、、

± となった。0.38図9は対象者3名の右手の最大つまみ力発揮の前 間のつまみ力につい50msec

て変動係数を用いて分析を行ったものである。縦軸は変動係数を横軸は3名の対

象者を示しそれぞれ1回目と2回目を表す。対象者「 」は1回目が 、2A 3.58%回目が 、以下同様に「 」は 、 「 」は 、 となっ5.06% B 12.96% 5.48% C 5.40% 2.68%、

た。

2回の計測を比較すると、タイミング、歪度、尖度ともに1回目と2回目の値

に差は生じるものの、互いに±1標準偏差以内に収まり、最大つまみ力発揮前

間の変動係数も 以下となり個人内、個人間におけるデータの再現性50msec 15%が認められた。

2.つまみ力発揮のタイミングの分析

1)片手条件・右のタイミング

片手条件における右手のタイミングを各段階ごとに求め、図 に示した。縦10( ) 、 「 」、軸は指標との時間差 を表し 指標の動きに対して先行する場合は -msec

遅延する場合は「+」となる。横軸は立ち上がりからつまみ力最大、減少開始、

立ち下がりまでの各段階を表す。対象者 名の内 「立ち上がり時」に遅延する11 、

者は2名と少なく、多くは指標に先行していた。その後 「つまみ最大時 「減、 」

少開始時」には指標に対して遅延する者が増加し 「立ち下がり時」には対象者、

全員が遅延するという結果であった。本研究では「立ち上がり時」の、指標から

の時間的なずれの程度によって、対象者を便宜的に器用群と不器用群に分け示し

ていく。時間的なずれの程度の基準は、単純反応時間に関する先行研究 を参42)

考に立ち上がり時のタイミングが指標に対して± の範囲に収まるもの250msec( ) 、 ( ) 。5名 を器用群 ± の範囲から外れるもの 6名 を不器用群とした250msec器用群は、つまみ力最大時でも4/5名が± 以内に指標に対して反応250msec

できていたが、減少開始時では2名が 以上先行もしくは遅延し、立ち下250msecがり期では全員が 以上遅延し、徐々に指標に対して適切に反応できなく500msecなってくる状況であった。一方、不器用群はつみ力最大時では4/6名が±

の範囲内で反応し時間的なずれの修正がなされていたが、減少開始時で250msecは全員が 以上遅延もしくは先行し、立ち下がり時には更に 以上250msec 500msec遅延するという結果であった。

2)片手条件・左のタイミング

片手条件における左手のタイミングを各段階ごとに求め、図 に示した。縦11軸と横軸の関係は図 と同様である。10対象者 名の内 「立ち上がり時」に遅延する者は4名、指標に先行した者は11 、

7名であった。その後、片手条件・右と同じように「つまみ最大時 「減少開始」

時」には指標に対して遅延する者が増加し 「立ち下がり時」には対象者全員が、

遅延するという結果であった。

器用群は、立ち上がり時に4/5名が± 以内で反応していた。つまみ250msec力最大時では全員が± 以内で指標に対して反応ができていたが、減少開250msec

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始では1名が 以上遅延、立ち下がり期では全員が 以上の遅延、250msec 250msecうち 名が 以上の遅延となり、徐々に指標に対して適切に反応できなく4 500msecなってくる状況であった。

不器用群では、立ち上がり時に2/6名が± 、4名が 以上先250msec 250msec1000msec行して指標へ反応していた 先行して立ち上がりをした者のうち1名は。

250msec 250msec以上の先行であった つまみ力最大時では3名が± 以内 3名が。 、

以上の先行もしくは遅延し、減少開始時では2名が± 以内、4名が250msec以上先行もしくは遅延(2名は 以上先行もしくは遅延)であっ250msec 500msec

た。立ち下がりでは全員が 以上遅延をし、その中で5名が 以上250msec 500msec遅延する結果となり、立ち上がり時から指標に対して適切に対応できない状況が

であった。

3)両手条件・右のタイミング

両手条件における右手のタイミングを各段階ごとに求め、図 に示した。縦12軸と横軸の関係は図 と同様である。10対象者 名の内 「立ち上がり時」に遅延する者は9名、指標に先行した者は11 、

2名であった その後 つまみ最大時 には 名が指標に対して先行をし 減。 、「 」 、「10少開始時」には8名が指標に対して先行をした 「立ち下がり時」には対象者全。

員が遅延するという結果であった。

器用群では立ち上がり時に3/5名が± 以内に指標に対して反応をし250msec2名が 以上遅延していた。つまみ力最大時では1名が± 以内に250msec 250msec反応を示すものの、4名が 以上先行して反応をしていた。減少開始時で250msecは2名が± 以内に反応をし、3名が 以上先行していた。立ち下250msec 250msecがり時では全員が 以上の遅延であった。片手条件・右と比較するとつま500msecみ力最大時、減少開始時により指標に対して適切に反応できなくなっている状況

であった。

不器用群では、立ち上がり時は6名全員が± 以内で指標に対して反応250msec250msec 500msecしていた つまみ力最大時では3名が± 以内に反応をし 3名が。 、

以上の先行であった。減少開始時では3名が± 以内に反応をし、3名が250msec以上の先行であった。立ち下がり時では全員が 以上の遅延とな500msec 250msec

り、うち5名は 以上の遅延であった。片手条件・右と比較すると立ち上500msecがり時に全員が± 以内に指標に反応しており、両手で視覚-運動協応課250msec題を行うことで右手の運動開始のタイミング調節がより正確になされている状況

が明らかになった。

4)両手条件・左のタイミング

両手条件における左手のタイミングを各段階ごとに求め、図 に示した。縦13軸と横軸の関係は図 と同様である。10対象者 名の内 「立ち上がり時」に遅延する者は8名、指標に先行した者は11 、

3名であった。その後 「つまみ最大時 「減少開始時」には8名が指標に対し、 」

て先行をするものの 「立ち下がり時」には対象者全員が遅延するという結果で、

あった。

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器用群では、立ち上がり時には5名全員が± 以内で指標に対して反応250msecがなされ、つまみ力最大時では1名が± 以内、4名が 以上先行250msec 250msecしていた。減少開始では1名が± 以内、4名が 以上先行もしく250msec 250msecは遅延していた。片手条件・左との比較では立ち上がり時と立ち下がり時の指標

に対する反応が向上するものの、つまみ力最大時と減少開始時では指標に対して

適切に反応できなくなっている状況が認められた。

不器用群では6名全員が立ち上がり時に± 以内で指標に対して反応が250msecなされ、つまみ力最大時では3名が± 以内、3名が 以上先行、250msec 250msec減少開始時では2名が± 以内、4名が 以上先行もしくは遅延で250msec 250msecあった。立ち下がり時では2名が± 以内、4名が 以上の遅延で250msec 500msecあった。片手条件・左との比較では立ち上がり時の指標への反応が向上している

ことが認められた。

3.片手条件の右手のタイミングを基準としたつまみ力発揮のタイミング

個人内の左右手のタイミングの差違を明らかにするために、片手条件における

右手のタイミングを基準として、各条件のタイミングを相対値として分析を行っ

た。

1)片手条件・右と片手条件・左のタイミングの比較

片手条件における左手のタイミング(相対値)を図 に示した。縦軸は片手14条件・右のタイミングとの差違(相対値)を表し、右手に比べて先行する場合は

「1以下 、遅延する場合は「1以上」となる。横軸は立ち上がりからつまみ力」

最大、減少開始、立ちさがりまでの各段階を表す。

器用群では、立ち上がり時と立ち下がり時に比べて、つまみ力最大時、減少開

始時に右手に比べて左手が遅延もしくは先行しやすくタイミングがずれる傾向に

あった。しかし、対象者個々人の中では運動の経過の中で変動は小さかった。一

方、不器用群では、立ち上がり時での差が器用群と比べて大きいのが特徴であっ

た。その後、つまみ力最大時と減少開始時では差が小さくなり、立ち下がり時で

の差はさらに小さくなり、個人内での運動の経過の中で変動が認められた。

2)片手条件・右と両手条件・右のタイミングの比較

両手条件における右手のタイミング(相対値)を図 に示した。縦軸と横軸15の関係は図 と同様である。14器用群では、立ち上がり時に遅延する傾向が認められ、つまみ力最大時、減少

開始時、立ち下がり時では先行する傾向が認められたが、対象者個々人の中では

運動の経過の中で変動は小さかった。一方、不器用群では、立ち上がり時での遅

延の程度が器用群に比べて大きいのが特徴であった。その後、つまみ力最大時と

減少開始時では差が小さくなり、立ち下がり時での差はさらに小さくなり、片手

条件・左と同様に個人内での運動の経過の中で変動が認められた。

3)片手条件・右と両手条件・左とのタイミングの比較

両手条件における左手のタイミング(相対値)を図 に示した。縦軸と横軸16の関係は図 と同様である。14器用群では、片手条件・左と同様に立ち上がり時と立ち下がり時に比べて、つ

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まみ力最大時、減少開始時に片手条件・右に比べて両手条件・左が遅延もしくは

先行しやすくタイミングがずれる傾向にあった。しかし、対象者個々人の中では

運動の経過の中で変動は小さかった。一方、不器用群では立ち上がり時での遅延

の程度が器用群に比べて大きいのが特徴であった。その後、つまみ力最大時と減

少開始時では差が小さくなり、立ち下がり時での差はさらに小さくなり、片手条

件左と同様に個人内での運動の経過の中で変動が認められた。

4.つまみ力の調節能

図 ・ ・ は立ち上がり期の指標とつまみ力の推移を ごとに分け、17 18 19 50msec各段階ごとの平均つまみ力を示したものである。縦軸が平均つまみ力を示し、横

軸が時間経過を示す。指標によって示される理想的なつまみ力の推移を歪度で表

すと となり、各対象者が発揮したつまみ力の歪度が に近いほど指標の動-0.5 -0.5きにあった力の発揮がなされていることを表す(図 。図 は不器用群の典17 18)

型的なつまみ力の推移を表したグラフである。立ち上がりが指標に対して先行し

て開始したため運動の持続時間が長いことがわかる。しかし、立ち上がり以降し

ばらくは力の変化は少なく、その後も力の増加はみられるものの緩慢な変化であ

ることがわかる。全体のつまみ力に対して小さなつまみ力が占める割合が大きい

ため歪度が「+」の値( )として現れた。一方、図 は典型的な器用群の0.53 19つまみ力の数を表している。立ち上がりのタイミングが指標にあっているため運

動の持続時間が不器用群(図 )に比べ短いことがわかる。また、立ち上がり18開始後はつまみ力の変化が大きいものの、ある程度のつまみ力になるとそのつま

み力を維持し続けつまみ力の変化は少なくなる。全体のつまみ力に対して大きな

「 」 ( ) 。つまみ力が占める割合が大きいため歪度の値は - の値 として現れた-0.27図 ・ は図 などと同様に立ち上がり期の指標の推移を ごとに分20 21 17 50msec

17け、各段階ごとの平均つまみ力を示したものである。縦軸と横軸の関係は図

と同様である。歪度と同様に指標の動きが理想的なつまみ力の推移となることか

ら、発揮されたつまみ力の尖度が指標の尖度 に近いほど指標の動きにあっ-1.07た力の発揮がなされていることを表す(図 。17)器用群のつまみ力の推移を表す図 は、力の変化は立ち上がり直後に認めら19

れるものの、その後は一定のつまみ力を保ち続けていることがわかる。力の変化

、 「 」が小さく 発揮されるつまみ力があるつまみ力に集中している場合は尖度は +

の値( )として現れる。一方、図 は典型的な不器用群のつまみ力の推移4.35 20を表している。立ち上がり後しばらくは力の変化が小さく、その後徐々につまみ

、 。 、力が大きくなり あるつまみ力で再び一定になる様子がわかる つまみ力増加後

つまみ力が保たれる傾向は器用群と同様であるが、立ち上がりから最大つまみ力

発揮までの運動持続時間全体について検討を行うと、不器用群ではつまみ力が経

時的に変化し続けていることがわかる。このようにつまみ力の発揮が全体に緩慢

になされている場合は尖度が「-」の値( )となって現れる。-1.86以上のように、つまみ力の調整能に関わる立ち上がり期・立ち下がり期の運動

の持続時間は立ち上がり開始や最大つまみ力発揮などそれぞれのタイミングの影

響を受ける。特に立ち上がり開始では器用群と不器用群の間には大きな差が存在

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し、その差がそのまま運動の持続時間の大きさとなって現れてしまう。対象者間

のつまみ力発揮のパターンが波形の違いとして現れるものの、つまみ力調節の量

的な比較は波形そのものからは不可能である。今回は、指標の動きに合わせてつ

まみ力を調節する能力を量的に評価を行うために、各条件の立ち上がり期と立ち

下がり期の歪度と尖度を用いて比較検討した。

1)右手の力の調節能・歪度

右手の調節能を歪度を用いて分析したものを図 に示した。縦軸が歪度を示21し、横軸は左側が片手条件、右側が両手条件となり、それぞれ立ち上がり期と立

ち下がり期を表している。

片手条件・右手での歪度では器用群(5名)と不器用群(6名)の間には、立

ち上がり期と立ち下がり期ともに明確な差違は認められなかった。立ち上がり期

と立ち下がり期の比較では、明らかに立ち下がり期で歪度が大きく、指標に比較

して力の発揮が小さいという結果であった。

両手条件・右手では器用群、不器用群の歪度の差違は明確ではなかった。立ち

上がり期では不器用群の 名が 以上と突出した値を示したものの、他 名1 0.5 10。 ( )は 前後の値であった 立ち下がり期では 名が0以上 うち4名が 以上0.5 10 0.5

の値を示し指標に比べ歪みが大きくなった。

両手条件・右手では、立ち上がり期に比べ立ち下がり期の歪みが大きくなる傾

向が認められたが、片手条件・右手に比較すると立ち上がり期・立ち下がり期と

もに歪みが小さく、指標に近い力の発揮がなされていることが明らかになった。

2)左手の力の調節能・歪度

左手の調節能を歪度を用いて分析したものを図 に示した。縦軸と横軸の関22係は図 と同様である。21片手条件・左手の器用群(5名)と不器用群(6名)の歪度では立ち上がり期

の歪度は全員が 以下となり歪みが少ないものの、立ち下がり期で6/ 名0.5 11中が 以上(うち1名は 以上)の値を記録し指標に比べ歪みが大きく、大0.5 1.0きな力の発揮であることが明らかになった。しかし、立ち上がり期と立ち下がり

期ともに両群の間の明確な差違は認められず、片手条件・右手との差違も認めら

れなかった。

両手条件・左手での歪度は、両手条件・右手と同様に器用群、不器用群の差違

は明確ではなかった。立ち上がり期の値が片手条件に比べ指標の値に近づいてお

-1.0り より指標の動きに近い力の調節がなされていることと 不器用群の1名が、 、

以上の値を示し急速な力の発揮を行っていることがわかった。立ち下がり期も立

0.5ち上がり期同様、指標の値に近づく傾向が認められたが、不器用群の2名が

以上(1名は 以上)の値を示し大きな力の発揮がなされていることがわかっ1.0た。両手条件・右手との比較では、それぞれの群に突出した値を示すものや、左

手の立ち上がり期にばらつきが見られるが、立ち下がり期は同じ値を示す傾向が

認められた。

両手条件・左手では立ち上がり期に比べ立ち下がり期では歪みが大きくなる傾

向が認められたが、片手条件の左右手と比較すると立ち上がり期・立ち下がり期

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ともに歪みが小さくなり、指標の動きに合わせた力の発揮ができていることが明

らかになった。

左右手ともに片手条件よりも両手条件で指標に近い力の発揮がなされることが

明らかになり、立ち上がりに比べ立ち下がりで力の発揮がゆがむ傾向になること

も明らかになった。

3)右手の力の調節能・尖度

右手の調節能を尖度を用いて分析したものを図 に示した。縦軸が尖度を示23し、横軸は左側が片手条件、右側が両手条件となり、それぞれ立ち上がり期と立

ち下がり期を表している。

片手条件・右手での尖度では器用群(5名)と不器用群(6名)の間には、立

ち上がり期と立ち下がり期ともに明確な差違は認められなかった。立ち上がり期

の尖度は全員が指標の尖度である より低値となっており力の発揮としては-1.07やや緩慢に行われているという結果であった。立ち下がり期では器用群の2名と

不器用群の2名は立ち上がり期と同様にやや緩慢な力の調節をしていたが、ほか

の7名は指標に比べ急速な力の調節(脱力)を行っており、立ち上がり期と異な

る力の調節を行っていることが認められた。

両手条件・右手の尖度には器用群、不器用群の差違は明確ではなかった。立ち

11 -0.5 -1.5 10上がり期では 名全員が から の範囲内に値をとり 立ち下がり期でも、

名が から の範囲内に収まり突出した値をとるものは見られず、両手条件-0.5 -1.5では片手条件に比べ、両群ともにより指標の動きに合わせた力の調節ができてい

た。

両手条件・右手では、立ち上がり期に比べ立ち下がり期に力の発揮がばらつく

傾向が認められたが、片手条件・右手に比較すると立ち上がり期の力の発揮がよ

り指標に近いものになることがわかった。

4)左手の力の調節能・尖度

左手の調節能(尖度)を図 に示した。縦軸と横軸の関係は図 に準ずる。24 23-1.07片手条件・左手の立ち上がり期では器用群 不器用群の違いはなく 9名が、 、

よりも低値を示しおり、残りの2名も に近い値をとるなどやや緩慢な力の-1.07発揮がなされていた。立ち下がり期では9名が から の範囲内の値をとり-0.5 -1.5立ち上がり期と同様のやや緩慢な力の発揮がなされているものの、2名が0以上

の値をとり急速な力の発揮(脱力)がなされていた。

片手条件・左手は立ち上がり期と立ち下がり期ともに片手条件・右手と変わら

ないやや緩慢な力の調節をするものの、立ち下がり期に急速な力の発揮(脱力)

を示すものもいることがわかった。

両手条件・左手の尖度は、器用群、不器用群の違いはなく、立ち上がり期では

1名が0以上の値を示し急速な力の発揮を示したが、8名が よりも低い値-1.07を残りの2名も に近い近い値をとるなどやや緩慢な力の発揮がなされてい-1.07

10た。立ち下がり期では1名が0以上の急速な力の発揮(脱力)を示すものの、

名が よりも低い値となりやや緩慢な力の発揮(脱力)がなされていた。-1両手条件・左手との比較では、不器用群に突出した値を示すものがいるものの

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立ち上がり期と立ち下がり期ともに同じ値を示す傾向が認められた。

5.机上検査の結果

目と手の協応に関わる机上検査として実施した、南カリフォルニア感覚統合検

査( )の中の運動正確度検査( )と厚生労働省編一般職業適性検査SCSIT MAC-R( )の中の組み合わせ検査の結果の分析を行った。器用群と不器用群の机GATB上検査の得点間の検討には 、左右差の検討には を行いStudent's t-test paired t-test統計的に比較した。また、視覚協応課題と机上検査の関連については整次多項式

回帰分析を行い検討した。

1)運動正確度検査;MAC-R

の結果を図 に示した。縦軸が の得点を示し値が大きくなるMAC-R 25 MAC-RAccuracy Scoreほど高得点となる 横軸は左側が右手 右側が左手となり それぞれ。 、 、

( )と ( )を表している。Acc Adjusted Score Adj右手の得点は全員が は 点から 点の間、 は 点から 点のAcc 160 180 Adj 150 170

間に含まれた。器用群と不器用群の右手における および 得点の平均値にAcc Adjは、それぞれ有意な差がみられなかった( 、 、 、 。ただt=0.24 t=0.38 df=9 p<.05)し、 、 ともに最も得点が低い結果となったのは不器用群の2名であった。Acc Adj左手の得点は が 点から 点の間、 が 点から 点の範囲内にAcc 155 180 Adj 145 165あり、右手と同様に器用群と不器用群の間で平均値に有意な差がみられなかった

( 、 、 、 。t=0.56 t=0.48 df=9 p<.05)、 ( 、左右手間の比較では および 得点ともに有意な差が認められAcc Adj t=3.86

、 、 、 では左手の得点が右手の得点に比べ低くなるとt=5.03 df=10 p<.05 MAC-R)

いう傾向は、器用群と不器用群とも同様であった。

2)組み合わせ検査

組み合わせ検査の結果を図 に示した。縦軸が組み合わせ検査の得点を示し26。 、 。値が大きくなるほど高得点となる 横軸は左側が右手 右側が左手を示している

右手の得点は 点から 点、左手の得点は 点から 点の範囲にあり、器30 60 10 60用群と不器用群の間には有意な差がみられなかった( 、 、 、t=-0.72 t=-0.23 df=9

。また、組み合わせ検査では右手と左手の間にも有意な差違はみられなかp<.05)った( 、 、 。t=1.18 df=10 p<.05)6.力の発揮とMAC-R

力の発揮のタイミングと片手動作との関連を調べるために、立ち上がりと減少

開始時における左右のタイミングと の得点用いて分析を行った。MAC-R片手条件の立ち上がりのタイミングと の得点(図 、片手条件の減MAC-R 27)

少開始のタイミングと の得点(図 、片手条件の左右の立ち上がりのMAC-R 28)タイミングの差違(相対値)と 得点の左右差(図 、片手条件の左右MAC-R 29)の減少開始のタイミングの差違(相対値)と 得点の左右差(図 )をそMAC-R 30

。 、れぞれ図示した それぞれの間における関連性について回帰関数を求めたところ

図 に示した右手の立ち上がりのタイミングと右手の の得点の間27 Adj( 、 )にのみ有意な回帰性が認められた。しy=2E-05x +0.0184x+154.53 R =0.60722 2

かし、立ち上がりのタイミングが先行するほど の得点が高くなるため、MAC-R

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タイミングが合うほど(0 に近づくほど)得点がよくなるという本研究のmsec仮説とは矛盾する結果となった。

7.両手条件と組み合わせ検査

力の調節と両手操作との関連を調べるために、立ち上がり期と立ち下がり期の

歪度と尖度、組み合わせ検査を用いて分析を行った。

両手条件の歪度と組み合わせ検査(図 、両手条件の尖度と組み合わせ検査31)(図 )をそれぞれ図示した。それぞれの間における関連性について回帰関数32を求めが有意な回帰性は認められなかった。

8.片手条件とMAC-R

力の調節と片手動作との関連を調べるために、立ち上がり期と立ち下がり期の

歪度と尖度、 を用いて分析を行った。MAC-R片手の立ち上がり期の歪度と (図 、片手の立ち上がり期の尖度とMAC-R 33)

(図 、片手の立ち下がり期の歪度と (図 、片手の立ち下がMAC-R 34 MAC-R 35) )

り期の尖度と (図 )をそれぞれ図示した。それぞれの間で有意な回帰MAC-R 3633 Acc性が認められたのは、図 に示した左手の立ち上がり期の歪度と左手の

( 、 ) と ( 、y=39.482x +8.8246x+162.3 R =0.6523 Adj y=37.569x +8.9001x+150.582 2 2

R =0.6569 34 Acc2 )、 図 の 左 手 の 立 ち 上 が り 期 の 尖 度 と 左 手 の

( 、 )と ( 、y=103.05x +260.72x+326.12 R =0.7624 Adj y=99.972x +251.88x+307.952 2 2

)の得点との間であった。しかし、いずれも回帰関数が下向きに凸のR =0.76572

形をとり、歪度、尖度の値が指標の値に近づくにつれ の得点も高くなるMAC-Rという本研究の仮説に沿った結果は得られなかった。

9.代表例によるつまみ力発揮のタイミングの分析とつまみ力の調節能の分析

代表的な結果を示した4名(器用群、不器用群それぞれ2名ずつ)の各条件に

おける立ち上がり時のタイミングについて検討を行った。

代表例による片手条件・右のタイミング(図 )と左のタイミング(図 )37 38をそれぞれ図示した。対象者 名の平均値を として示した。11 Average器用群( 、 )と不器用群( 、 )を比較すると、右手では不器用群がつまD E F G

み最大から減少開始に至る運動経過において、また、左では立ち上がり時顕著な

先行を示している不器用群の で、常に力の発揮の時間的な調節が適切に行わGれていない状況が認められた。

代表例による両手条件・右のタイミング(図 )と左のタイミング(図 )39 40では、片手条件とは異なり両群ともに立ち上がり時のタイミングは± の250msec範囲内にあり力の発揮における適切な時間調節が行われていることが窺われた。

また、運動経過中にも群間で明確な差違は認められなかった。

また、つまみ力の調節能を表す歪度と尖度の結果では(図 ・ 、不器用群41 42)の が左手条件で逸脱した値を示していた。しかし、両群間に明確な差違は認Fめられなかった。

10.代表例の机上検査の結果

器用群( 、 )と不器用群( 、 )の の得点と組み合わせ検査の得D E F G MAC-R点をそれぞれ図 ・ に示した。 では指標の動きに± の範囲内43 44 MAC-R 250msec

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で反応していた器用群の得点が、 以上先行してしまう不器用群の得点よ250msecりも高い結果であった。また、時間的要因を加味した の得点も同Adjusted Score様の傾向を示した。片手条件における右手と左手のタイミングの調節能には違い

がないことから、 と のともに運動開始のタイミングAccuracy Score Adjusted Score調節能と、左右手それぞれの片手動作の関わりが認められた。一方、組み合わせ

検査では器用群、不器用群の差違は明確ではなく、片手条件・右のタイミングと

両手条件での左右手のタイミングに違いがないことから、今回の協応課題におけ

るタイミングの調節能と両手動作との関わりはなかった。

第8章 考察

1.測定機器の信頼性と妥当性

今回開発した測定機器は、重錘を用いた測定データの変動係数が誤差範囲内に

収まったことから計器としての信頼性が確認された。対象者に対して行った各条

件設定での測定から、タイミング、歪度、尖度ともに再現性が確認され、測定に

おける個人内の信頼性が確認された。さらに、最大つまみ力発揮前 間の50msecつまみ力の変動係数分析から、個人間の信頼性も確認された。以上の点から今回

開発した測定機器は評価機器として一定の信頼性が確立したものと考えられる。

視覚協応課題との明確な関連は認められなかったものの、本測定機器は利き側と

非利き側の器用さの差違や、学習障害児や軽度発達障害児などの不器用さについ

て、それぞれの原因や要因を運動のタイミングと力の調節という視点から検討で

きる可能性が認められ、リハビリテーションアプローチをより根拠に基づいた有

効なものにすることができる測定機器であると考える。

また、今回は力の調節能を歪度・尖度を用いて検討を行ったところ、力の発揮

と時間要因が歪度・尖度の値に反映されることが明らかになり、経時的な力の調

節の評価に歪度・尖度を用いることの有用性が確認された。

2.利き側-非利き側、片手-両手における器用さに関わる要因について

今回の測定では、指標の動きに対してつまみ力で反応する目と手の協応課題を

実施し、つまみ力発揮のタイミングとつまみ力の調節能を分析した。その結果、

運動開始時のタイミングに関して、片手条件では右手に比べ左手の反応が悪くな

ること、両手条件では左右手ともに片手条件よりも反応が向上し、その差がほと

んどなくなることがわかった。また、片手条件での力の調節能については、左右

手の力の調節に違いはないものの、加重するときに比べ脱力時の調節能が悪化す

ることがわかった。両手条件では片手条件と同様の傾向を示すものの、より指標

に対応した力の調節がなされていることがわかった。

運動開始のタイミングと机上検査の関係は、 、組み合わせ検査ともに認MAC-Rめられず、片手動作と両手動作それぞれに含まれる要素とタイミングの関連を明

らかにすることはできなかった。しかし、器用群と不器用群に分類された対象者

を個別に検討すると、運動開始のタイミングと の得点の間に一定の関連MAC-Rが推定される結果が得られた。以下に、利き側-非利き側、片手-両手における

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器用さに関わる要因について考察を加える。

1)時間的要因

片手条件・右に対する片手条件・左と両手条件・左右の相対値それぞれの条件

において、運動開始(立ち上がり時)のタイミングが他の段階に比べて変動が大

きく、運動開始のタイミングがそれぞれの条件における器用さに関連が深いこと

が示唆されていた。特に、片手条件の非利き側が利き側に比べタイミングの変動

量が大きく、利き側と非利き側の運動調節における相違の重要な要素のひとつと

して反応性の低下(タイミングの悪さ)が推定されることが考えられる結果であ

MAC-Rった。これは、個々の対象者で比較した場合に、机上検査の一つである

の得点が低い対象者ほど、運動開始時の時間的なずれが大きいという結果にも結

びついている。 は目と手の協応性を評価し左右差や利き手の解釈に有用MAC-Rであることが指摘されているが 、協応性の要素としては視覚的に制御された43)

微細な上肢機能の調節という要素が主要な評価内容であるとされている。本研究

で用いた視覚-運動協調課題でも、移動する光源が一定の位置に来たときに運動

を開始することが求められており、視覚に誘導された運動の発現という要因が利

き側と非利き側の器用さに関与している可能性が考えられる。しかし、両手条件

になると利き側と非利き側のタイミングの変動量は大きいものの、タイミングそ

、 。のものの反応性は片手条件に比べ向上し 非利き側の特徴は認められなくなった

これは、左右手が協同して小さいものを素早く正確かつ巧みに扱う能力を評価す

る 組み合わせ検査の得点が利き側、非利き側で差がなくなったことにも認め44)

られた。これらに共通した運動要素は、運動調節が片手条件や のようにMAC-R視覚による運動制御とは異なり、課題遂行において左右手がそれぞれ何らかの運

、 。 、動に関与し 反対側からの運動情報がより関わっていることが考えられる 特に

両手での巧緻動作では、視覚的注意配分が片手動作時よりも少なくなりより固有

受容覚や触覚がその運動制御に関与すること 、また、学習障害児などではこ45)

の感覚系の機能障害が発達性行為障害などの不器用さを示す症候群の原因の一つ

として関与していることも指摘されている。本研究では健常若年者を対象にして

おり結果としては両手動作時により適正化されていたが、今後、不器用さを症状

として示す発達障害児では重要な指標となる可能性が考えられる結果といえる。

2)力の調節能に関する要因

運動の調節能の別の側面である力の発揮の調節能を表す歪度と尖度では、片手

条件の利き側と非利き側の間には差違はなく、両条件でも立ち下がり期で力の調

節能が低下していることが認められた。これは、荷重を増加させることに比べ、

荷重を減少(脱力)させることが、利き側と非利き側それぞれ共通して困難であ

ることを示している。運動抑制には前補足運動野や補足運動野が関与し、運動制

御としては高度であり運動の順序制御との関連も指摘されている 。つま46)47)48)49)

り、このような高次の運動制御機能においては、利き側と非利き側に生じる器用

さとは異なる運動制御機能を評価していける可能性があることも考えられる結果

であった。一方、両手条件と片手条件では時間的要因と同様に、利き側と非利き

側ともに力の発揮に関する調節能は向上していた。力の発揮は運動単位の数や筋

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組成に依存する とされているが、両手動作時に力の発揮が向上していること50)

から、それらの影響よりも時間的要因でも述べたように運動制御に視覚的情報と

固有受容覚や触覚からの情報のどちらが有意に関与しているかということが影響

している可能性が考えられた。

以上述べてきたように、利き側と非利き側の間の器用さの相違に関与する要因

は、視覚が運動制御に関与する割合が重要な要因であることが推察される結果で

あったといえる。また、両手条件と片手条件の相違からは固有受容覚や触覚の関

与が運動調節に関わるタイミングや力の調節いずれをも向上させているという結

果であった。タッピング動作を用いた研究 では、タッピング数では両手交互51)

が最もよい成績を示し、左手のみの場合に最も悪い成績となり、巧みな者ほど歩

調取りのためにタッピング以外の動作が加わる傾向があることが報告されてい

る。また、猪飼 は運動の巧みさは筋活動の時間配列( 、運動単位の独52) timing)立した活動( 、強さの調節( )の3要素のバランスに依るとしてspacing grading)

いる。これらは、本論で述べた両手動作時の一側の運動が他側の運動に対して互

いに影響しあうことで、タイミングや力の発揮の調節が向上するという考察を支

持するものといえる。

本研究と関連する運動制御に関する研究では、手の順モデルと逆モデルに基づ

く運動系の内部モデル研究がある 。順モデルは運動指令が入力されると身53)54)

体運動を予測するモデルであり、逆モデルは身体運動の目標位置を入力したとき

に運動指令を計算するモデルである。視覚的に目標位置が与えられると逆モデル

を用いて運動に必要な運動指令が計算され、運動の位置が決定される。同時に指

令信号をもとに順モデルを使用して運動の予測位置を計算することができ、逆モ

デルと順モデルはともに運動の予測的制御に関わるフィードフォワード系として

働く。また、運動指令信号と感覚フィードバックを用いて実際の運動状態に基づ

いて運動を制御するフィードバック系の存在が考えられる。また、酒田 の手55)

操作運動の視覚的制御モデルによると、下頭頂小葉において運動パターンと視覚

信号が照らし合わされ運動の維持や変更が実施され、頭頂連合野ではいったん開

始された運動指令と視覚信号のずれをチェックし運動をスムーズに完了させると

している。今回の視覚協応課題は、運動の目標位置を光点指標、運動は側腹つま

みの等尺性収縮、視覚的な運動状態の把握はバーゲージを用いて示したことで、

フィードフォワード系とフィードバック系による説明が可能であると考える(図

。光点指標の動きに対して運動開始のタイミングが先行したものはフィード45)フォワード系による運動制御が優位であり、光点指標のタイミングに合っていた

ものはフィードフォワード系の働きに加えてフィードバック系がバランスよく働

いた結果と考える。また、片手条件ではタイミングが合わなかったものも両手条

件では運動開始のタイミングが向上していたことは、片手動作に比べ反対側から

の固有受容覚からのフィードバックが増加している影響によるものと考えられ

る。しかし、本研究では運動結果はバーゲージという間接的な方法で提示され、

身体運動も等尺性収縮を用いたため等帳性の運動などに比べ固有受容覚からのフ

ィードバックが少なく、運動の経過中のつまみ力の比較的大きな変動は認められ

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るものの指標に適応した細かな調節は少なかったことからも、フィードバック制

御は行われたもののフィードフォワード系による運動制御が優位に作用する条件

設定であった可能性がある。

手指の力の発揮の調節能に関する研究は、最大つまみ力の測定や歪み計や筋電

を用いた研究が盛んであるが、用いる運動反応が示指の外転 であったり指腹54)

つまみ を用いることが多く、日常生活との関わりは明確ではないものもあ55)56)

る。今回の測定法は簡便かつ非侵襲的な方法を採用したため、運動単位の働きを

細かく同定することは限界があるが、日常生活で使用する機会が多い側腹つまみ

を用いたことで環境に適応した中での動作という点がより具体的なものになって

いる。さらに、若年健常者と学習障害児に共通して側腹つまみ(中節部)のつま

み力が他のつまみ力に比べ大きく発揮されること からも、今後の研究における5)

比較検討も容易かつ意味のあるものになると考える。

第9章 今後の課題

今回は健常者を対象に測定を行い、運動開始のタイミングと の得点のMAC-R関係が明らかになったものの、力の調節能や両手動作との関わりは明らかな差違

として見いだすことができなかった。対象者が 名と少なく統計的な分析を行11えなかったので、今後は健常者の測定データを増やし、利き側に対して非利き側

が不器用さを呈する健常成人におけるメカニズムの明確化を目指したい。また、

不器用さが認められる学習障害児や軽度発達障害児、整形疾患既往者、中枢神経

系疾患既往者に対象者を拡げ、日常的に生じている不器用という症状である感覚

統合障害と、今回開発した機器で測定される巧緻動作における感覚統合過程の特

性との関連について症例研究を行っていく。さらに、測定方法に用いる巧緻課題

を力だけではなく、相同的な動きや等張性の運動を含むような手指の移動距離と

視覚の協応を設定した課題を加え、力の量と運動範囲のそれぞれの視点から評価

が行える機器の開発を目指していきたい。

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図1 ロードセル

図2 つまみ型

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図3 測定姿勢

図4 指標の動きとつまみ力の推移(抜粋)

縦軸(左)がつまみ力を縦軸(右)が指標の動きを表し、横軸が時間経過を表す。

-6

-4

-2

0

2

4

6

1 51 101 151 201 251 301 351 401 451 501 551 601 651 701 751 801 851

時間(10msec)

つま

み力

(kg

f)

右方

向 

← 

指標

の動

き 

→ 

左方

右手(左軸)

左手(左軸)

指標(右軸)①立ち上がりの時間差 ②つまみ力最大の時間差 ③減少開始の時間差④立ち下がりの時間差

⑤立ち上がり期 ⑥立ち下がり期

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図5 両手条件における右手と左手のつまみ力の推移

図6 両手条件における右手の立ち上がりのタイミング

0

1

2

3

4

5

6

1 51 101 151 201 251 301 351 401 451 501 551 601 651 701 751 801 851

時間(10msec)

つま

み力

(kgf)

右手左手

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

A B C

指標

との

時間

差(m

sec)

1st

2nd

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図7 両手条件における右手の立ち上がり期の歪度

図8 両手条件における右手の立ち上がり期の尖度

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

A B C

歪度

1st

2nd

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

A B C

尖度

1st

2nd

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図9 最大つまみ力発揮前 の変動係数50msec

図 対象者ごとの片手条件・右のタイミング10

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

指標

との

時間

差(m

sec)

器用群不器用群+250msec-250msec

0

10

20

30

40

50

A B C

変動

係数

1st

2nd

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図 対象者ごとの片手条件・左のタイミング11

図 対象者ごとの両手条件・右のタイミング12

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

指標

との

時間

差(m

sec)

器用群不器用群+250msec-250msec

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

指標

との

時間

差(m

sec)

器用群不器用群+250msec-250msec

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図 対象者ごとの両手条件・左のタイミング13

図 対象者ごとの片手条件・左のタイミング(相対値)14

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

指標

との

時間

差(m

sec)

器用群不器用群+250msec-250msec

0

0.5

1

1.5

2

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

片手

・右と

片手

・左の

タイ

ミン

グの

差違

(相対

値)

器用群不器用群

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図 対象者ごとの両手条件・右のタイミング(相対値)15

図 対象者ごとの両手条件・左のタイミング(相対値)16

0

0.5

1

1.5

2

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

片手

・右と

両手

・右の

タイ

ミン

グの

差違

(相対

値)

器用群不器用群

0

0.5

1

1.5

2

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

片手

・右と

両手

・左の

タイ

ミン

グの

差違

(相対

値)

器用群不器用群

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- 31 -

図 指標によって示される理想的なつまみ力の推移(立ち上がり期)17

図 歪度が「+」の値をとるつまみ力の推移パターン(立ち上がり期)18

時間

つま

み力

歪度=-0.50尖度=-1.07

0

1

2

3

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47

時間(50msec)

平均

つま

み力

(kgf

歪度=0.53

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- 32 -

図 歪度が「- 、尖度が「+」の値をとる19 」

つまみ力の推移パターン(立ち上がり期)

図 尖度が「-」の値をとるつまみ力の推移パターン(立ち上がり期)20

0

1

2

3

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

時間(50msec)

平均

つま

み力

(kgf

歪度=-2.07尖度=4.35

0

1

2

3

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 65

時間(50msec)

平均

つま

み力

(kgf

尖度=-1.86

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- 33 -

図 対象者ごとの右手の歪度21

図 対象者ごとの左手の歪度22

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

片手・右_立ち上がり期 片手・右_立ち下がり期 両手・右_立ち上がり期 両手・右_立ち下がり期

歪度

器用群不器用群指標

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

片手・左_立ち上がり期 片手・左_立ち下がり期 両手・左_立ち上がり期 両手・左_立ち下がり期

歪度

器用群不器用群指標

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- 34 -

図 対象者ごとの右手の尖度23

図 対象者ごとの左手の尖度24

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

片手・右_立ち上がり期 片手・右_立ち下がり期 両手・右_立ち上がり期 両手・右_立ち下がり期

尖度

器用群不器用群指標

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

片手・左_立ち上がり期 片手・左_立ち下がり期 両手・左_立ち上がり期 両手・左_立ち下がり期

尖度

器用群不器用群指標

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- 35 -

図 対象者ごとの の得点25 MAC-R

図 対象者ごとの組み合わせ検査の得点26

145

150

155

160

165

170

175

180

右手_Acc 右手_Adj 左手_Acc 左_Adj

MAC

-Rの

得点

器用群不器用群

0

10

20

30

40

50

60

70

右手 左手

組み

合わ

せ検

査の

得点

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- 36 -

図 片手条件の立ち上がりのタイミングと の得点27 MAC-R

図 片手条件の減少開始のタイミングと の得点28 MAC-R

y = 2E-05x2 + 0.0184x + 154.53

R2 = 0.6072

140

145

150

155

160

165

170

175

180

-1200 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600

片手条件の立ち上がりのタイミング(msec)

MAC-R

の得

右手_Acc 右手_Adj 左手_Acc 左手_Adj 多項式 (左手_Adj)

140

145

150

155

160

165

170

175

180

-1200 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600

片手条件の減少開始のタイミング(msec)

MAC

-Rの

得点

右手_Acc 右手_Adj 左手_Acc 左手_Adj

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- 37 -

図 片手条件の左右の立ち上がりのタイミングの差違と 得点の左右差29 MAC-R

図 片手条件の左右の減少開始のタイミングの差違と 得点の左右差30 MAC-R

-12

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

片手条件における右と左の立ち上がりのタイミングの差違(相対値)

MAC

-Rの

左右

の得

点差

Accuracy

Adjusted

-12

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

片手条件における右と左の減少開始のタイミングの差違(相対値)

MAC

-Rの

左右

の得

点差

Accuracy

Adjusted

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- 38 -

図 両手条件の歪度と組み合わせ検査31

図 両手条件の尖度と組み合わせ検査32

0

10

20

30

40

50

60

70

-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5

両手条件での歪度

組み

合わ

せ検

査の

得点

両手・右_立ち上がり 両手・右_立ち下がり 両手・左_立ち上がり 両手・左_立ち下がり

0

10

20

30

40

50

60

70

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1

両手条件における尖度

組み

合わ

せ検

査の

得点

両手・右_立ち上がり 両手・右_立ち下がり 両手・左_立ち上がり 両手・左_立ち下がり

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- 39 -

33 MAC-R図 片手条件の立ち上がり期の歪度と

34 MAC-R図 片手条件の立ち上がり期の尖度と

y = 39.482x2 + 8.8246x + 162.3

R2 = 0.6523

y = 37.569x2 + 8.9001x + 150.58

R2 = 0.6569

140

145

150

155

160

165

170

175

180

185

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

片手条件の立ち上がり期の歪度

MAC

-Rの

得点

右・Acc 右・Adj 左・Acc 左・Adj 多項式 (左・Acc) 多項式 (左・Adj)

y = 103.05x2 + 260.72x + 326.12

R2 = 0.7624

y = 99.972x2 + 251.88x + 307.95

R2 = 0.7657

140

145

150

155

160

165

170

175

180

185

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1

片手条件の立ち上がり期の尖度

MAC

-Rの

得点

右・Acc 右・Adj 左・Acc 左・Adj 多項式 (左・Acc) 多項式 (左・Adj)

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- 40 -

35 MAC-R図 片手条件の立ち下がり期・歪度と

36 MAC-R図 片手条件の立ち下がり期・尖度と

140

145

150

155

160

165

170

175

180

185

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

片手条件の立ち下がり期の歪度

MAC

-Rの

得点

右・Acc 右・Adj 左・Acc 左・Adj

140

145

150

155

160

165

170

175

180

185

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1

片手条件の立ち下がり期の尖度

MAC

-Rの

得点

右・Acc 右・Adj 左・Acc 左・Adj

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- 41 -

図 代表例による片手条件・右のタイミング37

図 代表例による片手条件・左のタイミング38

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

指標

との

時間

差(m

sec)

D

E

F

G

Average

250

-250

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

指標

との

時間

差(m

sec)

D

E

F

G

Average

250

-250

Page 46: Analysis of clumsiness for eye-hand coordination …修士論文 視覚指標に対応した目と手の協応課題による 不器用さの分析 -視覚刺激に誘導された運動制御を測定する機器の開発-

- 42 -

図 代表例による両手条件・右のタイミング39

図 代表例による両手条件・左のタイミング40

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

指標

との

時間

差(m

sec)

D

E

F

G

Average

250

-250

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

立ち上がり つまみ力最大 減少開始 立ち下がり

指標

との

時間

差(m

sec)

D

E

F

G

Average

250

-250

Page 47: Analysis of clumsiness for eye-hand coordination …修士論文 視覚指標に対応した目と手の協応課題による 不器用さの分析 -視覚刺激に誘導された運動制御を測定する機器の開発-

- 43 -

図 代表例による立ち下がり期の歪度41

図 代表例による立ち下がり期の尖度42

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

片手・右 両手・右 片手・左 両手・左

歪度

D

E

F

G

Average

Target

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

片手・右 両手・右 片手・左 両手・左

尖度

D

E

F

G

Average

Target

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- 44 -

図 代表例による の結果43 MAC-R

図 代表例による組み合わせ検査の結果44

145

150

155

160

165

170

175

180

Rt_Accuracy Lt_Accuracy Rt_Adjusted Lt_Adjusted

MAC

-Rの

得点

D

E

F

G

Average

0

10

20

30

40

50

60

70

右手 左手

組み

合わ

せ検

査の

得点

D

E

F

G

Average

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- 45 -

図 本測定装置における運動制御モデル45

光点指標

(つまみ力の目標)

Feedback制御器

手指 つまみ力(バーゲージ)

予測つまみ力逆モデル 順モデル

運動指令

Feedforward 予測つまみ力の計算

固有受容覚Feedback

誤差信号 誤差

視覚Feedback

光点指標

(つまみ力の目標)

Feedback制御器

手指 つまみ力(バーゲージ)

予測つまみ力逆モデル 順モデル

運動指令

Feedforward 予測つまみ力の計算

固有受容覚Feedback

誤差信号 誤差

視覚Feedback