必ず変わる! 脳卒中の基礎とリスク管理 · web...
Post on 19-Jan-2020
0 Views
Preview:
TRANSCRIPT
2017/7
テキスト
1:脳画像のみかた
2:病態とリスク管理
3:脳卒中の予後予測
講師 | 荒木謙太郎
Copyright © 2017 Kentaro Araki. All Rights Reserved.複製・再販売・オークションなどへの出品を禁止します。
@新大阪@東京
必ず変わる! 脳卒中の基礎とリスク管理
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
CT の見方
救急車で運ばれ脳卒中が疑われた際にまず行われる(短時間で施行可能)
画像の特定:骨が白い(体内の硬いものほど放射線の吸収が高い)
脳卒中の鑑別: 急性期 → 慢性期
脳出血
血の塊(ヘマトクリット値)が白 → 空洞化して密度が薄くなり黒
脳梗塞
あまり写らない(細胞レベルでは変化なし)→壊死した細胞が黒
次のCT画像を4つの何れかに分類してみましょう
Copyright © 2016 Kentaro Araki. All Rights Reserved.2
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
MRI:強力な磁気を当てて脳細胞(水素原子)を揺さぶるCT との見分け:MRI(T1)は右側です。CTとどこが違うでしょうか?
T1、T2、フレア、拡散強調の分類法(荒木 Method)
MRI脳室
T2黒
膜・頭皮
拡散強調 脳表面(脳実質)
T1 フレア暗い 明るい
写らない 写る
白
次の画像を T1、T2、フレア、拡散強調 の何れかに分類しましょう脳梗塞の写り方: 超急性期(1 時間~数日) 慢性期(一ヶ月~)*出血は割愛(CT を見れば分かる)T1、T2、フレア
T1:黒T2:白フレア:白
あまり写らない ハッキリ写る拡散強調 ( DWI ・ デ ィ フ ュ ー ジ ョ ン)
◎白く輝く 写らなくなる唯一、急性期脳梗塞を描写
Copyright © 2016 Kentaro Araki. All Rights Reserved.3
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
脳梗塞の病態とリスク管理
アテローム性:血管に油(プラーク)が溜まる・メタボリック症候群と関連:高血圧 糖尿 脂質異常症 喫煙 多量飲酒 = 血液ドロドロ 血管がしなやかじゃない
・ 好発は、安静時 vs 活動時 (朝起きると麻痺に気がつく)なぜでしょうか? リハビリ介入時のリスク✔ 症状の進行_2~3日かけて徐々に悪化✔ 血圧が低くなりすぎないように✔ 低血糖(糖尿病、血糖チェック&インスリン、食事直前の介入は要注意)
心原性:血の塊(血栓)が飛ぶ・心房細動(Af)
→ 血栓ができる → 剥がれて脳の血管で詰まる
・ 好発は、安静時 vs 活動時(日中の運動時)
リハビリ介入時のリスク (時に多発性)
✔ 出血性梗塞✔ 心房細動(Af)_心電図について聞く→不良→ベッドサイド or 病棟介入)
ラクナ:15mm以下の小梗_穿痛枝の梗塞・症状は最も軽度・高次脳の巣症状は現れないリハビリ介入時のリスク
Copyright © 2016 Kentaro Araki. All Rights Reserved.4
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
✔ 塞栓の原因となる心疾患がないことを確認
脳出血のリスク管理
原因:多くは高血圧
圧力がかかった際に破れ易いのは 皮質枝 vs せんつう
穿通し
枝 なぜでしょうか?
リハビリ介入時のリスク✔ 血圧管理(SBP 180mmHg以下;当院)
オートレギュレーション(自動調節能) 血圧が変化しても、脳血流は一定
* 内包後脚を含む病巣は麻痺重度
・血圧降下(ペルジピン)
✓ 塩分制限 食事のクレーム
間食
Copyright © 2016 Kentaro Araki. All Rights Reserved.5
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
脳梗塞の予後予測1:脳室の形からスライスの高さを推定する(脳室:上→下)
W B 角回←その上(半卵円) ○←側脳室ギリギリ( の字)ㇵ ○ ○←Monro孔 ○ ○ ○←側脳室下角 ○ ←その下(ミッキー) ○
メリット:位置を特定しやすいデメリット:スライスによる個体差
半卵円中心
ハの字レベル
側脳室ギリギリ
側脳室
モンロー孔
側脳室下角
中脳レベル
ミッキー
Copyright © 2016 Kentaro Araki. All Rights Reserved.6
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
Copyright © 2016 Kentaro Araki. All Rights Reserved.7
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
脳梗塞の予後予測2:主幹動脈 を立体的にイメージする
中大脳動脈の走行から失語をとらえる
MCA上行枝:前頭葉に栄養
閉塞すると・・・
ブローカ失語
MCA下行枝:側頭・頭頂葉に栄養
閉塞すると・・・
ウェルニッケ失語
8
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
前・後大脳動脈の走行から失語をとらえる
ACA:前頭葉内側に栄養
閉塞すると・・・前頭葉症状(超皮質性運動失語、脳梁離断、
強制把握、遂行機能障害 など)
PCA:後頭葉に栄養
閉塞すると・・・穿通枝:視床性失語皮質枝:純粋失読・色名呼称(半盲)
【脳動脈の支配領域】
9
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
脳梗塞の予後予測3:シルビウス裂の位置を参照する(下→上が分かり易い)
シルビウスよりも前 = 前頭葉 ブローカ≓シルビウスよりも後ろ = 側頭葉 ウェルニッケ≓
メリット:正確な位置を特定できるデメリット:画像によっては見えにくい
10
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
脳出血の予後予測
圧力がかかった際に破れ易いのは 皮質枝 vs せんつう
穿通し
枝
1:出血する血管による分類<穿通枝> 被殻出血(40%):レンズ核線条体動脈
視床出血(30%):視床穿通動脈・視床膝状体動脈橋出血(10%):橋動脈小脳出血(10%):上小脳動脈
* 失語の種類は非定型的(古典分類に当てはまらない)<皮質枝> 皮質下出血(10%):皮質枝 = 非高血圧
* 失語の種類は定型的(高次脳の巣症状が現れやすい)* 内包後脚を含む病巣は麻痺重症化
2:ミッドラインシフト 3:脳室穿破
11
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
例:1、58歳、男性現病歴:転倒し救急車にて T 病院受診。既往歴:高血圧、糖尿病(血糖チェック・インスリン)、喫煙、多量飲酒画像:発症当日
R L画像:CT MRI(T1・T2・フレア・拡散強調)②③病名:脳梗塞(アテローム・心原・ラクナ) ④ 脳出血(被殻・視床・小脳・橋・皮質下) くも膜下出血、脳挫傷、その他急性期のリスク: ④
部位: 本症例 W(後) B(前) 角回・縁上回(後)脳室 ⑥ 「その上(半卵円中心)」 ( ) ○
「 の字」ㇵ ( ) ○ ○「Monro孔」 ( ) ○ ○ ○「側脳室下角」 ( ) ○「その下(中脳_ミッキー)」 ( ) ○
シルビウス ⑨
予測される言語障害の種類 #失語症 #構音障害 #高次脳機能障害STAD 施行(発症 1 ヶ月時)
12
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
症例:2、64歳 現病歴:朝起きると、歩行障害と言語障害に気付かれ T 病院受診既往歴:特になし 画像:発症当日
L
画像:③CT MRI(T1・T2・フレア・拡散強調)
病名:④脳梗塞(アテローム・心原・ラクナ)
脳出血(被殻・視床・小脳・橋・皮質下) くも膜下出血、脳挫傷、その他
急性期のリスク④:
部位: 本症例 W(後) B(前) 角回・縁上回(後)脳室⑥ 「その上(半卵円中心)」 ( ) ○
「側脳室ぎりぎり」 ( ) ○ ○「Monro孔」 ( ) ○ ○ ○「側脳室下角」 ( ) ○「その下(中脳_ミッキー)」 ( ) ○
シルビウス⑨ ⑦
予測される言語障害の種類 #失語症 #構音障害 #高次脳機能障害 (嚥下除く)STAD 施行(発症 1 ヶ月時)
13
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
症例:3、64歳、男性現病歴:右片麻痺、言語障害にて搬送。既往歴:僧帽弁狭窄症
画像:発症当日・
右前頭葉 =
アーチファクト
画像:CT MRI(T1・T2・フレア・拡散強調)
病名:脳梗塞(アテローム・心原・ラクナ)④脳出血(被殻・視床・小脳・橋・皮質下)
くも膜下出血、脳挫傷、その他
急性期のリスク:
部位: 本症例 W(後) B(前) 角回・縁上回(後)脳室 「その上(半卵円中心)」 ( ) ○
「側脳室ぎりぎり」 ( ) ○ ○「Monro孔」 ( ) ○ ○ ○「側脳室下角」 ( ) ○「その下(中脳_ミッキー)」 ( ) ○
⑦
予測される言語障害の種類 #失語症 #構音障害 #高次脳機能障害 14
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
STAD 施行(発症 2 ヶ月時)
15
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
症例:4、79歳現病歴:???発症し T 病院で急性期治療(保存的加療)。既往歴:糖尿病、高血圧画像:
画像:CT MRI(T1・T2・フレア・拡散強調)病名:脳梗塞(アテローム・心原・ラクナ) 脳出血(被殻・視床・小脳・橋・皮質下) くも膜下出血、脳挫傷、その他予後に関わる要因:脳室穿破(あり、なし) ミッドラインシフト(あり、なし)急性期のリスク: ⑤
予測される言語障害の種類 #失語症 #構音障害 #高次脳機能障害 STAD 施行(発症 2 ヶ月時)
16
必ず変わる!脳卒中の基礎とリスク管理
症例:5、71才、男性現病歴:心カテ(冠動脈血栓吸引術)施行後に見当識障害、呂律障害、右麻痺を認める。既往歴:狭心症、脳梗塞、糖尿病、閉塞性動脈硬化症脳画像:発症二日
画像:CT MRI(T1・T2・フレア・拡散強調)病名:脳梗塞(アテローム・心原・ラクナ) 脳出血(被殻・視床・小脳・橋・皮質下) くも膜下出血、脳挫傷、その他急性期のリスク: 部位:
予測される言語障害の種類 #失語症 #構音障害 #高次脳機能障害STAD 施行(発症 3 ヶ月時)
17
top related