当院での収縮性心膜炎 診断における 心臓カテーテル検査の ......2019/09/12...

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除細動器・AEDの

適正な使用方法と安全管理

大阪大学医学部附属病院 臨床工学部

田靡幸樹

除細動器とは?

致死的な不整脈の治療に用いられる医療機器

自動体外式除細動器: AED

Automated External Defibrillator

直流除細動器:DC

Direct Current Defibrillator

心臓に電気ショックを与え、心臓の異常興奮を抑制する

死亡率・救命率と除細動

カーラーの救命曲線 心停止時間と救命率

除細動が1分遅れるごとに救命率は7~10%低下

目標:院内では3分以内の除細動実施

本日の内容

1.除細動使用の変遷

2. 除細動と関係法規

3. 除細動器について

4. AEDについて

5. 小児に対する除細動

6. 院内の管理上の注意点~当院を例に~

7. 実技

本日の内容

1.除細動使用の変遷

2. 除細動と関係法規

3. 除細動器について

4. AEDについて

5. 小児に対する除細動

6. 院内の管理上の注意点~当院を例に~

7. 実技

除細動使用の変遷

1991年•救急救命士法の成立

1992年

•救急救命士制度が創設⇒ 救急救命士の半自動除細動器使用が認められる(ただし医師の直接指示が必要)

2001年

•日本循環器学会にAED検討委員会が設置される

•航空機内での客室乗務員のAED使用が認められる

2002年

•高円宮殿下が運動中の心室細動により急逝される

• AED検討委員会が厚生労働大臣あてに一般市民のAED使用に関する提言書を提出する

2003年•救急救命士による除細動処置に医師の指示が不要になる

2004年•一般市民のAED使用が認められる

除細動使用の変遷~救急救命士へAEDの使用が認められるまで~

1991年

1992年

2001年

2002年

2003年

2004年

1991年以前救命現場では最新技術を駆使し、迅速に動いても心原性心停止の救命率は3%に過ぎなかった

→ 原因

壁①医師法第17条医師でなければ、医業をなしてはならない。

除細動が行えるのは医師のみであり、除細動は救急隊員に病院に搬送されてからしか行えなかった。

法律による救命の壁

除細動使用の変遷~救急救命士へAEDの使用が認められるまで~

1991年

1992年

2001年

2002年

2003年

2004年

救急救命士制度⇒ 救急救命士に半自動除細動器の使用が認められた。

除細動使用の変遷~救急救命士へAEDの使用が認められるまで~

1991年

1992年

2001年

2002年

2003年

2004年

救急救命士制度⇒ 救急救命士に半自動除細動器の使用が認められた。

壁②救急救命士制度半自動除細動器使用に関する様々な制限

医師の直接指示が必要であること。 「心室細動の除細動」と文面上規定されたため無脈性心室頻拍は禁止されていること。業務中の救急車内か現場から救急車までの間であること。Etc…

法律による救命の壁

除細動使用の変遷~救急救命士へAEDの使用が認められるまで~

1991年

1992年

2001年

2002年

2003年

2004年

壁②救急救命士制度半自動除細動器使用に関する様々な制限

医師の直接指示が必要であること。 「心室細動の除細動」と文面上規定されたため無脈性心室頻拍は禁止されていること。業務中の救急車内か現場から救急車までの間であること。Etc…

法律による救命の壁

電話や無線の通じない場所では除細動が行えない業務外では救助することができない

除細動使用の変遷~救急救命士へAEDの使用が認められるまで~

1991年

1992年

2001年

2002年

2003年

2004年

2001年航空機内での客室乗務員のAED使用が認められる

「ドクターコールを行っても医師の援助が受けられない場合は、医師法に抵触しない」という見解が厚生労働省から出された

→ 矛盾

客室乗務員は医師の判断を待たずにAEDを使用できる一方で、訓練を積んだ救急救命士が除細動を行うには医師の指示が必要

除細動使用の矛盾

除細動使用の変遷~救急救命士へAEDの使用が認められるまで~

1991年

1992年

2001年

2002年

2003年

2004年

2001年航空機内での客室乗務員のAED使用が認められる

「ドクターコールを行っても医師の援助が受けられない場合は、医師法に抵触しない」という見解が厚生労働省から出された

→ 矛盾

客室乗務員は医師の判断を待たずにAEDを使用できる一方で、訓練を積んだ救急救命士が除細動を行うには医師の指示が必要

除細動使用の矛盾

2003年救急救命士による除細動処置に医師の指示が不要になる

除細動使用の変遷~一般市民へAEDの使用が認められるまで~

1991年

1992年

2001年

2002年

2003年

2004年

2001年 「AED検討委員会」発足日本での一般市民による除細動を実現を目指す

2002年 ・「AED検討委員会」がAEDの使用を一般市民にも解禁すべきという内容の提言書を厚生労働大臣宛に提出・高円宮殿下が心室細動で逝去し一般市民による

AED使用の重要性が再認識される

撤廃 ! !

除細動使用の変遷~一般市民へAEDの使用が認められるまで~

1991年

1992年

2001年

2002年

2003年

2004年

撤廃 ! !

2004年 一般市民のAED使用が認められる

除細動使用の変遷~一般市民へAEDの普及~

Public-Access Defibrillation and Out-of-Hospital Cardiac Arrest in Japan

一般市民による除細動を受けた人の割合

一般市民によるAED使用の増加

1.1%

10.7%

16.5%

2005年では1.1%

2009年には10.7%

2013年には16.5%まで増加

Tetsuhisa Kitamura, M.D., D.P.H., et al. N Engl J Med 2016; 375:1649-1659

除細動使用の変遷~一般市民へAEDの普及~

Public-Access Defibrillation and Out-of-Hospital Cardiac Arrest in Japan

一般市民による除細動が大きく貢献し回復したと考えられる1ヶ月生存者の見積もり数

1か月生存者の見積もり数

6人

90人

201人

2005年では6人

2009年には90人

2013年には201人まで増加

Tetsuhisa Kitamura, M.D., D.P.H., et al. N Engl J Med 2016; 375:1649-1659

本日の内容

1.除細動使用の変遷

2. 除細動と関係法規

3. 除細動器について

4. AEDについて

5. 小児に対する除細動

6. 院内の管理上の注意点~当院を例に~

7. 実技

除細動と関係法規厚生労働省通知より「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」

心室細動及び無脈性心室頻拍による心停止者(以下「心停止者」という。)に対するAEDの使用については、医行為に該当するものであり、医師でない者が反復継続する意思をもって行えば、基本的には医師法(昭和23年法律第201号)第17条違反となるものであること。

AEDを用いた除細動の医行為該当性

医師以外のAEDの利用は原則、医師法違反

除細動と関係法規厚生労働省通知より「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」

救命の現場に居合わせた一般市民がAEDを用いることには、一般的に反復継続性が認められず、同条違反にはならないものと考えられること。

非医療従事者によるAEDの使用について

一般市民では反復継続性が認められない⇒医師法違反にならない

除細動と関係法規厚生労働省通知より「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」

一定の頻度で心停止者に対し応急の対応をすることが想定されている者については、医師法違反とならないものとされるための4つの条件、すなわち、① 医師等を探す努力をしても見つからない等、医師等による速やかな対応を得ることが困難であること

② 使用者が、対象者の意識、呼吸がないことを確認していること

③ 使用者が、AED使用に必要な講習を受けていること

④ 使用されるAEDが医療用具として薬事法上の承認を得ていること

非医療従事者によるAEDの使用について

4つの条件を満たせば一定頻度者でも⇒医師法違反にならない

保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があった場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。

保助看法第37条

除細動器の使用⇒診療の補助行為として、認められる。

医師の指示があれば、看護師が診療器械の使用、医薬品の授与その他の医療行為を行うことを許容している

診療の補助

除細動と関係法規~看護師の除細動に関する法律~

除細動(AED)の一般市民への普及を機に救命率は大幅に増加しました。その背景として、法律の壁やそれによる除細動実施の矛盾の撤廃、AED

の普及や安全の確立、周知教育が進んだことが認められると思います。

変遷と関係法規のまとめ

AED使用該当性 使用者

有資格者 医師

医師の指示を受けた

看護師 救急救命士

無資格者(非医療従事者)

一定頻度で心停止者に対し応急の対応をする者

一般市民

変遷と関係法規のまとめ

AED使用該当性 使用者

有資格者 医師

医師の指示を受けた

看護師 救急救命士

無資格者(非医療従事者)

一定頻度で心停止者に対し応急の対応をする者

一般市民

除細動(AED)の一般市民への普及を機に救命率は大幅に増加しました。その背景として、法律の壁やそれによる除細動実施の矛盾の撤廃、AED

の普及や安全の確立、周知教育が進んだことが認められると思います。

変遷と関係法規のまとめ

AED使用該当性 使用者

有資格者 医師

医師の指示を受けた

看護師 救急救命士

無資格者(非医療従事者)

一定頻度で心停止者に対し応急の対応をする者

一般市民4つの条件を満たす

ことにより、医師法違反にならない

除細動(AED)の一般市民への普及を機に救命率は大幅に増加しました。その背景として、法律の壁やそれによる除細動実施の矛盾の撤廃、AED

の普及や安全の確立、周知教育が進んだことが認められると思います。

変遷と関係法規のまとめ

AED使用該当性 使用者

有資格者 医師

医師の指示を受けた

看護師 救急救命士

無資格者(非医療従事者)

一定頻度で心停止者に対し応急の対応をする者

一般市民

反復性が無く、医師法違反にならない

除細動(AED)の一般市民への普及を機に救命率は大幅に増加しました。その背景として、法律の壁やそれによる除細動実施の矛盾の撤廃、AED

の普及や安全の確立、周知教育が進んだことが認められると思います。

本日の内容

1.除細動使用の変遷

2. 除細動と関係法規

3. 除細動器について

4. AEDについて

5.小児に対する除細動

6. 院内の管理上の注意点~当院を例に~

7. 実技

除細動器について

除細動器って?

除細動器とは、致死性の不整脈になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器

除細動器は様々な操作モード、出力エネルギー、出力方式で除細動を行える

頻脈に対する処置である除細動に加え、徐脈に対する処置「経皮ペーシング」を行える機種もある

除細動器について

除細動の3パターン

1)除細動(Defibrillation)

2)カルディオバージョン

(Synchronized Cardioversion)

3)自動体外式除細動器(AED)

非同期式

同期式

自動式

除細動器について

除細動の3パターン

1)除細動(Defibrillation)

2)カルディオバージョン

(Synchronized Cardioversion)

3)自動体外式除細動器(AED)

非同期式

同期式

自動式

除細動(Defibrillation)

外部から心筋に対して、直流電流を通電して電気ショックを与えることで、不整脈を改善

心筋を脱分極させ一度心静止させることで、正常調律に回復させることを目的とした治療

目的:心筋を脱分極させ一度心静止させ正常調律に回復させる

除細動の適応

超緊急な不整脈(心停止)

VF(心室細動)

pulseless VT

(無脈性心室頻拍)

asystole(心静止)

PEA(無脈性電気活動)

適応

適応

不適

不適

心停止でも、「心静止」と「PEA」には除細動は行わない

除細動波形

パドル間で単一方向に電流を流す

推奨エネルギー:360J

パドル間で双方向に電流を流す

推奨エネルギー:120~150J以上

単相性波形(モノフェージック)

二相性波形(バイフェージック)

単相性波形よりも二相性波形を推奨する *JRC蘇生ガイドライン2015

除細動の手順

③放電ボタンを押す

充電が完了したら、皆が患者から離れていることを確認し、放電ボタンを押す

除細動器について

除細動の3パターン

1)除細動(Defibrillation)

2)カルディオバージョン

(Synchronized Cardioversion)

3)自動体外式除細動器(AED)

非同期式

同期式

自動式

同期式放電(CARDIOVERSION)

外部から心筋に対して、直流電流を通電して電気ショックを与えることで、不整脈を改善

除細動との違いはR波に同期してショックをかけること

選択的に心室以外に作用し、発生している異常な電気信号をストップする

洞結節からの正常な電気信号

自己のQRS波がある時は必ず同期をかけよう

同期式とは

同期とは、自己のQRS波を認識してR波の直後に放電を行うこと

なぜか?

心電図上、刺激を加えてはいけないところがある!

相対不応期(T波)

絶対不応期

相対不応期

絶対不応期:強い刺激がやってきても反応できない状態

相対不応期:普通より強い刺激がきた時のみ反応できる状態

T波のところで放電すると、「Shock on T」となり、心室細動を誘発する危険がある。

同期式とは

同期とは、自己のQRS波を認識してR波の直後に放電を行うこと

ではどのタイミングが最適か?

絶対不応期であるR波の直後である!

絶対不応期(R波)

絶対不応期

相対不応期

絶対不応期:強い刺激がやってきても反応できない状態

相対不応期:普通より強い刺激がきた時のみ反応できる状態

同期式により自己のQRS波を認識し、R波のタイミングに合わせてショックを行う必要があります。

同期式放電の適応

頻脈性の不整脈

AF(心房細動)

AFL(心房粗動)

PSVT(発作性上室性頻拍)

同期式放電の適応

頻脈性の不整脈

AF(心房細動)

AFL(心房粗動)

PSVT(発作性上室性頻拍)

自己のQRS波がある

頻脈性不整脈

同期式放電の手順

⓪同期ボタンを押す

①出力エネルギーを選択する

②ゲルを塗布したパッドをしっかりと患者に当て、充電ボタンを押す

③充電が完了したら、同期ランプが点滅していることを確認し放電ボタンを押す。

同期式放電の注意点

以下の2点を満たさないと放電されない

①放電ボタンが押されている ② R波がある

放電されるまで、放電ボタンは長押しする

除細動器について

除細動の3パターン

1)除細動(Defibrillation)

2)カルディオバージョン

(Synchronized Cardioversion)

3)自動体外式除細動器(AED)

非同期式

同期式

自動式

使い捨てパッドを接続する

使い捨てパッド用ケーブルに繋ぎ変える

除細動パドルを取り外す

除細動器で行うAEDの手順

「2解析ボタン」を押す

「1 モード」をAEDへ

DCで行うAEDの手順

使い捨てパッドから心電図を認識

「3放電」ボタンを押す

除細動が必要な場合指示がある

DCで行うAEDの手順

解析より除細動が必要な場合自動で充電される

患者から離れたのを確認したのち「放電」ボタンを押す

経皮ペーシング

設定されたペーシングレートとペーシング強度に基づいて、パルス発生回路から出力されたパルス

を使い捨てパッ ドへ出力しペーシングを行う

フィクスモード

自発心拍の発生に関わらず設定したレートでペーシングする

デマンドモード

自発心拍がない場合はフィクスモードと同様にペーシングする

自発心拍が発生した時は、自発心拍から設定レートに対応した

時間内に次の自発心拍がないときにペーシングパルスを出力する

経皮ペーシング

経皮ペーシングの適応

JCS2009

徐脈性不整脈

SSS(洞不全症候群)①洞性徐脈②洞停止または洞房ブロック③徐脈頻脈症候群

AVB(房室ブロック)

など、、

経皮ペーシングの手順

ツマミを「デマンド」もしくは「フィクス」に合わせる

ペーシング強度を0mAに合わせる

③心電図を患者に貼付する。

①モードを設定する

②ペーシング強度の設定

経皮ペーシングの手順

パドルを外し、使い捨てパッド用ケーブルに付け替える

ケーブルに使い捨てパッドを接続する

⑥使い捨てパッドを患者に貼付する

④ケーブル接続

⑤パッド接続

経皮ペーシングの手順

ペーシング強度を上げていく

⑨捕捉された電流値から2mA

高い出力電流値に設定する

経皮ペーシングのスタートスイッチを押し、ペーシングを開始する

⑦スタートスイッチ

⑧ペーシング強度の調節

除細動器使用の注意点

Q: 周辺環境は?

A: 操作者および周囲の人は、患者および患者に接続されている装置やコード類、ベッドやストレッチャーなどの金属部分に触れないこと

接触していると

電気ショックを受ける危険性

Q: PMやICD装着患者は?

除細動器使用の注意点

A: すみやかに電気ショックを実施注意としてはICDやPM本体の膨らみ部分を(少なくとも8cm)避けて電極を当てること

PMやICDの電気刺激により、AEDのECG解析

と救助者の判断に混乱をきたしVFの同定が妨

げられる可能性

除細動器使用の注意点

A: 体表面をよく拭き、水気や薬剤をふきとること

Q: 体が濡れているときや、塗り薬があるときは?

・電気ショックの効果が得られない

・救助者(または操作者)が電気ショックを

受ける危険性

・熱傷の危険性

・使い捨て除細動パッドが患者に貼れない

Q: 体毛が濃い場合は?

除細動器使用の注意点

A: 電極パッドまたはカミソリ等で体毛を除去して下さい

・密着が不十分な場合、電気ショックの効果が得ら

れない可能性

・スパークによって着火する可能性

Q:パッドサイズの選択は?

除細動器使用の注意点

A: 可能な限り、大きなパッドの選択が望ましい

・小さな電極は心筋障害や熱傷を起こす可能性

・電気抵抗が増加の可能性

・除細動の成功率の低下の可能性

Q: パッド・パドルの適正な位置は?

除細動器使用の注意点

A: ①心尖部-前胸部法

A: ②心尖部-背部法

*モニタやAED解析には適さない

Q: パッド・パドルの適正な位置は?

除細動器使用の注意点

A: ③前胸部-背部法

*ペーシングのみに用いる方法で除細動、AED解析、モニタには適さない

Q:最初の電気ショックが成功しなかった場合は?

除細動器使用の注意点

A: 同等もしくはエネルギー量を上げて実施製造会社の指導に従ったエネルギー量で実施

・最初と同じエネルギー量で行うことは許容される

が、可能であればエネルギー量を漸増することが

合理的であると推奨(CoSTR2010)

・初回もしくはそれ以降の電気ショックのエネル

ギー量については製造会社の指導に従うことを

推奨(JRC 蘇生ガイドライン2015)

Q:単回電気ショックと連続電気ショックは、どちらが有効か?

除細動器使用の注意点

A: 除細動が必要な時には単回電気ショックを推奨

・胸骨圧迫の中断は冠動脈灌流圧を低下させる

・胸骨圧迫が中断される回数を最小限に

・単回電気ショック後すぐさま胸骨圧迫を開始する

ことが望ましい

Q:酸素供給装置の近くでの電気ショックは?

除細動器使用の注意点

A: パッド・パドルの接触に注意を払って実施酸素濃度の上昇した環境で行われない

・パドルでは電気スパークが

引火した事例がある

本日の内容

1.除細動使用の変遷

2. 除細動と関係法規

3. 除細動器について

4. AEDについて

5.小児に対する除細動

6. 院内の管理上の注意点~当院を例に~

7. 実技

AEDって?

AED(自動体外式除細動器)とは、心室細動になった心臓に対して、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器

AEDは操作方法を音声でガイドしてくれるため、簡単に使用することが可能

また、心電図を自動解析し、電気ショックが必要な方にのみ電気ショックを流す仕組み

AEDの使用手順

① AEDを持ってくる*ドアを開けるとアラームが鳴る

② フタを開けると自動で電源ON*スイッチを押す必要があるモデルもある

AEDの使用手順

③電極パッドを胸に貼る貼る位置はイラストで表記

④心電図の解析が始まったら患者には触れない

AEDの使用手順

⑤解析の結果、除細動が必要な場合自動で充電がなされます。

⑥ AEDの充電が完了したら、誰も患者に触れていないことを確認し、ボタンを押して電気ショックを行う。

日々のAED適正管理

日々のAED適正管理

Q: 近くで電化製品を使用している場合は?

AED使用の注意点

A: 使用している電化製品の電源を切るか、離すこと

Q: 車内でAEDを使用する、患者を車で搬送中に使用する場合は?

A: AED使用時は車は停車させること

Q: 携帯電話や小型無線機が近くにある場合は?

AED使用の注意点

A: AEDからできるだけ(半径1m以上)離すこと

・周囲に強い電磁波などが存在すると、解析波形

に雑音が混入したり、誤動作を起こす可能性

Q: 使用するAEDは正常か、使って大丈夫か分からない場合は?

AED使用の注意点

A: AEDは毎日セルフテストを行っています。その結果はステータスインジケータで確認できます。

Q: 患者さんが未就学児(小学生以下)かどうか分からない場合は?

AED使用の注意点

A: 成人モードで救助を行って下さい。

・年齢確認に時間をかけることなく直ちにパッドを

貼ってください

・小児モードで行った場合、エネルギーが足りない

可能性

AED使用の注意点

Q: 心電図を調べているときに、心肺蘇生を行うよう指示が出た場合は?

A: パッドの付け、はずれが3回以上繰り返されると、心電図解析をやめ、CPRを始めるように促します。

Q: 救命中にバッテリー残量が少なくなった場合は?

A: 最初に「バッテリーが残りわずかです。」の音声通知から9回程度電気ショックが行えます。

除細動器とAED

それぞれの特徴を理解し、安全使用に努める

・適応範囲が広い・様々な設定が可能・通電エネルギーの設定・放電方式の設定・経皮ペーシング…etc

・安全性が高く簡便・医師以外でも使用が可能・保守点検が簡易・価格が安い

除細動器の特徴 AEDの特徴

本日の内容

1.除細動使用の変遷

2. 除細動と関係法規

3. 除細動器について

4. AEDについて

5. 小児に対する除細動

6. 院内の管理上の注意点~当院を例に~

7. 実技

小児に対する除細動

下限は何歳まで?

小児用モード/キーあるいはエネルギー減衰機能付

き小児用パッドの使用年齢の区切りを、未就学児(およそ 6 歳)と規定している

小児モードの適応範囲

改定以前

「1歳未満の乳児には、AEDを使用しないこと」

CoSTR2015の改定後は

「1歳未満の乳児に対してもAEDを使用できる。」

小児に対する除細動

例)

20㎏(5歳11ヶ月の平均値)の男の子に対して

4J/kg×20kg=80J

電気ショックのエネルギー量は、初回も 2 回目以降もともに4J/kgとするが、成人量を上限とする

小児への推奨エネルギー量

JRC 蘇生ガイドライン2015

150J÷4J/kg=37.5kg

80Jが推奨される。

37.5kg以上は150J

本日の内容

1.除細動使用の変遷

2. 除細動と関係法規

3. 除細動器について

4. AEDについて

5. DCとAEDの違い

6. 院内の管理上の注意点当院を例に

7. 実技

当院臨床工学部の巡回点検

2009年4月より開始

(除細動器・AEDともに週1回実施)

2017年4月よりAEDは毎日実施(平日のみ)

・外観点検 ・付属品チェック

・保管場所 ・消耗品チェック

・充電状況 -使い捨てパッド

・日時調整 -DifebPads

・点検記録確認 -ディスポ電極

点検内容

巡回点検の際に見かける不具合

1.充電状況

2. 保管場所

3. 不適切な消耗品

4. 使用期限の切れた消耗品

5. 3P-2P変換プラグ装着

6. AEDのインジケーターが確認できない

除細動器の保管状態

1. 充電状況

充電されているかはインジケーターを確認

2. 保管場所

すぐに取り出せる場所に保管すること

巡回点検の際に見かける不具合

3. 不適切な消耗品

除細動器に備え付けている消耗品

使い捨てパッド ディスポ電極

difibPads 除細動用ゲル

巡回点検の際に見かける不具合

3. 不適切な消耗品

ゲルエイド以外は置かない

エコー用 心電図用心電図用

除細動器用

使い切れない原因となる

月までの表記は、末日まで

巡回点検の際に見かける不具合

4. 使用期限の切れた消耗品

期限切れは未使用品でも破棄すること

使用時は変換プラグは使用しない

電気の逃げ道

巡回点検の際に見かける不具合

5. 3P-2P変換プラグ装着

3P-2P変換プラグを使用→漏れ電流の逃げ道がなくなる→感電の恐れ

医療機器から発生した漏れ電流を大地に逃がすための逃げ道

巡回点検の際に見かける不具合

6. AEDのインジケーターが確認できない

正常

異常

正常

異常

巡回点検の際に見かける不具合

6. AEDのインジケーターが確認できない

常にインジケーターが見えるように保管

中のガーゼ類がせり上がり

インジケーター確認の小窓を隠してしまう

まとめ

患者の救命率に直結する医療機器であり、適正な使用方法を理解し、迅速に対応する必要がある

使用頻度の低い機器であるため、安全使用のためには日々の安全管理が重要

誰でも使用でき、使用方法が簡便なAEDを用

いることで、安全な除細動を施行できると考えられる

本日の内容

1.除細動使用の変遷

2. 除細動と関係法規

3. 除細動器について

4. AEDについて

5.小児に対する除細動

6. 院内の管理上の注意点~当院を例に~

7. 実技

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