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確率共鳴を用いたレーザレーダ(ライダー)による
物体認識
芝浦工業大学 システム理工学部
機械制御システム学科
教授 伊東 敏夫
平成30年7月5日
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従来技術とその問題点
自動運転用の物体認識センサとして実用化されているものには、LiDARがあるが、
遠距離物体に対しては、LiDARの反射点
密度が低下し認識性能が低下
等の問題があり、広く利用されるまでには至っていない。
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• 自動運転実用化へ向けた研究
いまだに自動運転は実用化できていない
研究背景-自動運転
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自動運転を実現するためには
1. 自己位置推定次の交差点までの距離を正確に計算、自車がどの位置にいるのか把握
2. 外界認識センサ類を複合的に活用し周りの環境を認識
3. 行動計画自車の位置と向き速度など
その他の要素を総合的に判断
4. 車両制御ステアリングやブレーキの操作
研究背景-自動運転
5
車載カメラと比較して計測距離が長く,早い段階で障害物を認知し事故の予防が可能
ミリ波レーダと比較して分解能が高いので,距離情報の精度が高い
LiDAR市場へ複数の企業が参入を表明しているので,今後需要の増加の予想
研究背景-LiDARの利点
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メーカー Velodyne
検出距離 100m
測距精度 ±3cm
走査範囲360°(水平)
15~-15°(垂直)
測定スピード 5~20Hz
研究背景-LiDARの仕様
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①サンプルデータの特徴量を検出②特徴量を用いデータベースの製作
③データベースを用い未分類の物体を認識し検出
従来手法-物体認識の手順
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①サンプルデータの特徴点を検出②特徴点を用いデータベースの製作③データベースを用い未分類の物体を認識し検出
高さ(m)
縦(m)
歩行者:25人,二輪車:25台車両:25台のサンプルデータの特徴点物体の高さ物体の横物体の縦
従来手法-特徴点抽出
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①サンプルデータの特徴点を検出②特徴点を用いデータベースの製作③データベースを用い未分類の物体を認識し検出
.歩行者+ 二輪車* 車両
従来手法-データベースの製作
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.歩行者+ 二輪車* 車両
高さ 1.26横 4.17縦 2.28
特徴量を抽出
①サンプルデータの特徴点を検出②特徴点を用いデータベースの製作③データベースを用い未分類の物体を認識し検出
従来手法-物体の認識
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近距離時
遠距離時
出力される点群
点群をクラスタリング
出力される点群
正確なクラスタの生成が困難
従来手法-問題点
→遠距離時は分布率低下し、正確なクラスタの生成できず認識が困難
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信号の検知能力が向上する現象 ザリガニの水流を感知する能力の向上 人間においても視覚,聴覚が向上
検知閾値
確率共鳴適応前確率共鳴適用後
提案手法-確率共鳴
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出力された点群
雑音を付加 クラスタリング
認識が困難な点群に対してノイズを付加して再び分類
提案手法-確率共鳴
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R
要素 𝑃𝑖𝑘 = 𝑋1,𝑋2, ∙∙∙,𝑋𝑛
平均 μ =1
𝑛
𝑖=1
𝑛
𝑋𝑖
分散 𝜎2 =1
𝑛
𝑖=1
𝑛
(𝑋𝑖 − 𝜇)2
R :遠距離時のクラスタの大きさR’:近距離時のクラスタの大きさ
RとR′の大きさが大きく隔たっているのでRをR′と同一の物体と認識することが困難
𝑋1 𝑋2
提案手法-確率共鳴
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要素 𝑃𝑖𝑘 = 𝑋1,𝑋2, ∙∙∙,𝑋𝑛
平均 μ =1
𝑛
𝑖=1
𝑛
𝑋𝑖
分散 𝜎2 =1
𝑛
𝑖=1
𝑛
(𝑋𝑖 − 𝜇)2
ノイズ 𝑊𝑖 = 𝑤1,𝑤2, ∙∙∙,𝑤𝑘
提案手法-確率共鳴
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要素Ci = 𝑋1,𝑋2, ∙∙∙,𝑤1,𝑤2, ∙∙∙,𝑤𝑘
平均
𝜇′ =1
𝑛 + 𝑘
𝑖=1
𝑛
𝑋𝑖 +
𝑖=1
𝑘
𝑤𝑖
分散
𝜎′2 =1
𝑛 + 𝑘(
𝑖=1
𝑛
𝑋𝑖 − 𝜇′ 2 +
𝑖=1
𝑘
(𝑤𝑖 − 𝜇′)2)
ノイズとR’’の値が合致してR’として検出
R’’:近距離時のデータに対してノイズを付加した時のクラスタの大きさ
提案手法-確率共鳴
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ノイズを付加
クラスタ1 歩行者クラスタ2 車両クラスタ3 歩行者
クラスタ1
クラスタ3
クラスタ2
実験
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ノイズを付加
.歩行者+ 二輪車* 車両
実験
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クラスタ1 二輪車クラスタ2 車両クラスタ3 歩行者
クラスタ1
クラスタ3
クラスタ2
実験
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ノイズ付加前 ノイズ付加後
歩行者 二輪車 車両 歩行者 二輪車 車両
13 0 8 16 18 18
計測地点から20m以上80m以内の距離にある物体(歩行者18人,二輪車18台,車両18台)に対して
分類器を使い分類
歩行者、二輪車、車両の認識性能が改善
実験
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クラスタリング
分離が困難
点群間の距離がどのくらいの距離の時分離が可能になるのか検証
実験-分離可能性
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約90cm
横が約60cm,縦が約80cmの範囲にノイズを付加
約30cm
実験-分離可能性
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実験-分離可能性
→点群間の距離が約30cm以上であれば分離が可能
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新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来技術の問題点であった、LiDARの遠距離認識性能を改良することに成功した。
• 従来はLiDARの遠距離での反射点群密度が低下するため認識距離に限界があったが、確率共鳴を取り入れることで性能が向上した。
• 本技術はハードウエアの変更は不要なため、同一コストで認識性能の向上が期待できる。
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想定される用途
• 本技術の特徴を生かすためには、車載LiDARに適用することでメリットが大きいと考えられる。
• 上記以外に、自動運転ドローンや自律移動ロボットの外界センサへの使用も期待される。
• また、確率共鳴の応用に着目すると、LiDAR
以外の画像処理やレーダーへの応用展開することも可能と思われる。
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実用化に向けた課題
• 現在、特定LiDARについて認識性能向上が可能なところまで開発済み。しかし、一般化の点が未解決である。
• 今後、様々な場合について実験データを取得し、一般的に適用していく場合の条件設定を行っていく。
• 実用化に向けて、LiDARの最大検出距離での認識性能まで向上できるよう技術を確立する必要もあり。
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企業への期待
• 未解決の一般化については、別途適用予定のLiDARへの適合により克服できると考えている。
• LiDARによる認識技術を持つ企業との共同研究を希望。
• また、非接触センサを開発中の企業、自動運転分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :物体認識装置および
物体認識方法
• 出願番号 :特願2018-039126
• 出願人 :芝浦工業大学
• 発明者 :伊東敏夫
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お問い合わせ先
芝浦工業大学
産学官連携コーディネーター 杉野 博之
TEL 048-720 - 6550
FAX 048-720 - 6551
e-mail sugino.hiroyuki@ow.shibaura-it.ac.jp
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