日本の指導医養成の課題

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日本の指導医養成の課題. 東京大学医学教育国際協力研究センター 大西弘高. カリキュラム導入への道筋. 学会側 学会としてのカリキュラム完成 プログラム認定委員会の設置 要項の作成(認定医 or 専門医.再認定.評価方法や合否基準.提出書類内容.施設認定) 指導医養成 (指導医はプログラム所属か,専門医を持たない指導医は暫定的にいつまで,何名の指導医が必要か,家庭医療とそれ以外の指導医養成の枠組みの相違) 指導医・責任者認定(現場訪問評価を含めて). 研修施設側 各施設でのプログラム及び管理者認定申請 各プログラムにおける管理者・指導医の設定 - PowerPoint PPT Presentation

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日本の指導医養成の課題

東京大学医学教育国際協力研究センター

大西弘高

カリキュラム導入への道筋 学会側

学会としてのカリキュラム完成 プログラム認定委員会の設置 要項の作成(認定医 or 専門医.再認定.評価方法

や合否基準.提出書類内容.施設認定) 指導医養成(指導医はプログラム所属か,専門医

を持たない指導医は暫定的にいつまで,何名の指導医が必要か,家庭医療とそれ以外の指導医養成の枠組みの相違)

指導医・責任者認定(現場訪問評価を含めて)

研修施設側 各施設でのプログラム及び管理者認定申請 各プログラムにおける管理者・指導医の設定

施設プログラム運営・管理委員会の設置 当該プログラムに参加する後期研修医の学会プログラム委員会への登録

FDに対する指導医・責任者のニーズ 指導医

教育理論とそれに基づいた教育への態度 教育技法

責任者 プログラムやシステムの運営・管理(指導医にも必要か)

プログラム開発 初期臨床研修の指導医養成 FDには必須だが…

カリキュラム開発論について 指導医レベルの必須要件とは言い難い1. 臨床現場での学習は患者との関わりが一番の基盤であり,どのような経験,学習をするかは症例群( case mix)に依存.患者との関わりもコンテクストに依存し,予見困難

2. 指導医の最大の役割は,回診やカンファレンスでの研修医への質問,フィードバックの提供等であり,予定した内容に沿って系統的に教育するようなプログラムは効果が低い

臨床教育後期研修に求められる core value

教育理論 とそれに基づいた教育への態度 成人教育,成人学習理論 潜在的カリキュラム 学習者評価 動機づけ 経験学習

教育技法 症例プレゼンテーションを用いた指導 質問とフィードバックの技法 手技の指導

成人教育,成人学習理論 人生の経験を活かしながら,社会的なニーズを分析し,学習目標を発見し,動機づけられた内容について学ぶ (Knowles)

教育者中心から学習者中心への視点の転換 医師中心の医療から患者中心の医療への転換 教育者の役割は知識や技能の教授から,学習者の援助者,ファシリテーター,メンターへと変化

潜在的カリキュラム 指導者が教育する予定だったこと以外に学生や研修医が学び取っていること

経験としてのカリキュラムとは,学生や研修医が学び取っている内容であり,教えたことは一部しか学ばず,それ以外に学んでいることが多い

負のロールモデリング効果をもたらし,態度教育に悪影響を生じる可能性がある

研修カリキュラム

カリキュラム:学習者が学びとった内容

教科課程    教科外課程学科過程顕在的カリキュラム(教育課程)

潜在的カリキュラム

教育者側が意図したカリキュラム学習者が学びとった内容

学習者評価 形成的評価

上手く出来ているところとそうでないところのフィードバックとして作用し,動機づけにつながり,教育的効果が高い

総括的評価 合否判定などに用いる

※全般的評定尺度( global rating scale): 観察評価,態度評価等頻繁に用いられるが,バイアスが生じて妥当性を損ねやすい点に注意が必要

動機づけ 外発的動機づけ:罰,報酬 内発的動機づけ:知的好奇心,自己効力感

外発的動機づけのみでは長期的に効果が薄れるため,内発的動機づけを高める工夫が必要

経験的学習のサイクル

理論

省察

初診外来研修での例 計画 : 主訴(腹痛)により面接前に 鑑別診断を整理

経験 : 指導医の観察下で面接 省察 : 症例提示.消化器,女性器, 腎臓等に対象を絞り,痛みの 性質や経過を確認

理論 : 臓器別,性質や経過ごとの 訴えの違いを説明

経験

計画

症例プレゼンを用いた指導 診断推論,検査や治療に関する臨床決断の教育 初期研修医の教育において最も重要な目標の1つ 診断推論,臨床決断における診断過誤が最小化され,よりよい医療面接や身体診察の方法を模索することが可能

1-minite preceptor:外来の忙しい現場で,症例プレゼンを通じて経験学習を実践する方法

フィードバック技法 タイミング I-message(アイ・メッセージ:「私は○○と思う」など自分の立場で述べる技法)

褒め方と叱り方 学生や研修医の理解があいまいそうな場合,質問すること

手技(診察や侵襲的検査)の指導 直接観察とフィードバック:教育効果は高い See one, do one, teach oneモデル

各手技において何回観察すれば実施してよいかがあいまいな点など欠点を理解する必要あり

指導医自身が標準的な方法を実践しロールモデルに シミュレーターを用いた教育

患者安全の観点から重要性増加 経験豊富な臨床医が日常的に行っている一つ一つの作業手順を記述することから始める必要

プログラムやシステムの運営・管理 学習環境や潜在的カリキュラムの統制 カンファレンスや回診等の効率的,効果的運営

case mix,診療への参加度の統制

マズローの階層理論

下層の欲求が満たされないと,上層の欲求は求められない

適切な学習環境の確保は学習にとって不可欠

自己実現の欲求

自我の欲求

親和の欲求

安全の欲求

生理的欲求

指導医回診の目的と要素

教育目的 管理目的参加人数 患者に違和感がない人数 管理者と主治医

が存在する必要症例の選択 学習すべき焦点を絞って

症例を選択診療グループの症例全て

診察の仕方 研修医の参加に意義 多くは管理者のみ診察

時間 研修医が余裕を持って学習できるだけの時間が必要

時間効率が問題

症例カンファレンスの目的と要素

教育目的 管理目的参加人数 グループ討論に適し

た人数診療グループのメンバーが参加

指導者 1~2名程度 管理者が存在する必要

症例の選択 学習すべき焦点を絞って症例を選択

診療グループの症例全て

提示の仕方 病歴だけで一旦検討し診察所見へ

時間効率が問題

屋根瓦式研修組織

後期研修医

指 導 医 ( 中堅)

指導責任者

どのレベルの医師が指導管理者となるべきか 指導医層が頭でっかちになり,学習者の参加が阻害されていないか

FDの企画運営,実施 指導医のニーズ把握

指導医がすべからく専門医であるなら自分が経験した教育・学習を踏襲すればよい

そうでない時期には家庭医療の枠組みの理解をも含めて FDを実施していく必要がある

FDの指導は誰がすべきか FDに対するリソース

指導医認定のための評価 現場訪問評価

診療場面:偏りがない.心理社会的な側面も診療,case mixのバランス, EBMの実施

指導場面:指導への熱意はあるが教え過ぎない,自らの限界を知っている(模擬研修医を利用して評価?)

臨床経験,教育経験 生涯学習の態度とスキル

まとめ プログラム実施に向けたロードマップ 指導医と責任者への FDニーズ 指導すべき内容

教育に関する理解・態度 教育技法 プログラムの運営・管理

FDの実施,指導医認定

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