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本書は、Agilent ESA-Lシリーズ(E4411B、E4403B、 E4408B)、ESA-Eシリーズ(E4401B、E4402B、E4404B、 E4405B、E4407B)スペクトラム・アナライザの基本機能 に慣れることを目的とした、セルフデモ・ガイドです。 主に、アナライザ裏面の10MHz基準信号を使用するので、 外部の信号発生器やDUTを用意する必要はありません。 このデモでは、Agilent部品番号10503A 1.2m BNCケーブ ルが必要です。[]で囲んだキー名称はフロントパネル 上のハードキーを、{}で囲んだキー名称はディスプレ イの右側に表示されるソフトキ-を表しています。 Agilent ESAシリーズ・ スペクトラム・アナライザ セルフデモ・ガイド Product Note

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Page 1: Agilent ESAシリーズ・ スペクトラム・アナライザ セルフデ …literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5968-3658JA.pdfします(図4)。[Marker→]{Mkr→CF Step}

本書は、Agilent ESA-Lシリーズ(E4411B、E4403B、E4408B)、ESA-Eシリーズ(E4401B、E4402B、E4404B、E4405B、E4407B)スペクトラム・アナライザの基本機能に慣れることを目的とした、セルフデモ・ガイドです。主に、アナライザ裏面の10MHz基準信号を使用するので、外部の信号発生器やDUTを用意する必要はありません。

このデモでは、Agilent部品番号10503A 1.2m BNCケーブルが必要です。[ ]で囲んだキー名称はフロントパネル上のハードキーを、{ }で囲んだキー名称はディスプレイの右側に表示されるソフトキ-を表しています。

Agilent ESAシリーズ・スペクトラム・アナライザ

セルフデモ・ガイドProduct Note

Page 2: Agilent ESAシリーズ・ スペクトラム・アナライザ セルフデ …literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5968-3658JA.pdfします(図4)。[Marker→]{Mkr→CF Step}

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パート1. 測定の基本:周波数、スパン、振幅スペクトラム・アナライザの基本的な測定パラメータとして、次の3つがあります。

● 周波数(周波数レンジのどの部分を表示するのか)● スパン(どの程度細かく信号を表示するのか)● 振幅(信号振幅の表示の調整)

スペクトラム・アナライザを使用した典型的な測定では、まず最初に中心周波数を設定します。次に、信号にどの程度ズームインするかというスパンを設定します。最後に、振幅を調整して最適な表示を得ます。

このセクションでは、10MHz基準信号を接続して、その信号にズームインします。次に、振幅が一番上の目盛線に来るように基準レベルを調整します。

実習内容 キー操作

BNCケーブルを使用して、リアパネルの キー操作なし

10MHz基準信号をフロントパネルの入力

(50Ωまたは75Ω)に接続します。

注:このデモの間、接続したままに

しておきます。

中心周波数を60MHzに設定します(図1)。 [FREQUENCY]

[60]{MHz}

信号が画面全体で表示されるようにスパンを [SPAN][110]{MHz}

設定します(図2)。

信号のピークが一番上の目盛線に来るように、 [AMPLITUDE]ノブ

基準レベルを設定します。 を回す、[↑]、または[↓]

一番上の目盛線がもっとも高確度なので、

常にこのように設定するのが適切です。

図2. スパンの設定

図1. 10MHz基準信号

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パート2. 作業の保存:ファイル・システムESAシリーズ・アナライザの特長の一つが、使いやすいファイル・システムです。内部のファイル・システムには、50個の機器ステート、200個のトレース、リミット・ライン、振幅補正テーブルを英数字のファイル名で保存できます。それらのファイルには、サイズ、時間、日付の情報が付きます。また、内蔵のフロッピーディスク・ドライブを使用した、ファイルの保存やPCでの使用も可能です。

このセクションでは、後のセクションでリコールして使用するため、測定器のステートを適当なファイル名とともに保存します。

実習内容 キー操作

機器ステートを保存します。

1. ファイル保存メニューを呼び出します。[File]{Save}{State}

2. アルファベット・エディタを使って アルファベット・キーおよび

ファイル名を入力します。 数字キーを使用しファイル名

を入力

3. 内部メモリ・ドライブを選択します。{Dir Select}(ファイル・

ディレクトリが強調表示されて

いる場合は{Dir Select}を

押し、されていない場合は

スキップ)[↑]または[↓]を

使ってCドライブを選択

4. 内部メモリに保存します。 [Enter]

機器ステートをリコール(ロード)します。 [Preset][File]{Load}{State}

ノブでファイル名を強調表示

[Enter]

パート3. 高調波歪みの解析∆マーカとCFステップ高調波歪みは、信号がアクティブ・デバイスを通る場合にはどのような電子システムにも存在します。この高調波歪みは、特に通信エンジニアにとって大きな問題です。例えばセルラ無線システムでは、キャリア信号の高調波を調べなければなりません。これが、同じ周波数で動作する他システムに対して干渉することがあるからです。ESAシリーズ・スペクトラム・アナライザには、高調波歪みの解析を簡単に行える、いくつかの機能があります。

このセクションでは、∆マーカとCFステップという2つの方法を使って、10MHz基準信号の高調波を検出します。∆マーカ機能では、2つの信号の振幅と周波数の差を簡単に調べることができます。CF(中心周波数)ステップ機能では、ディスプレイの中心周波数を段階的に調整できます。CFステップでは、より正確な読み取りと高分解能の高調波が得られます。

実習内容 キー操作

機器ステートをリコール(ロード)します。 [Preset][File]{Load}

{State}ノブでファイル名を

強調表示

[Enter]

∆マーカを使用して7次高調波を検出します [Search][Meas Tools]

(図3)。 {Delta}∆マーカの周波数が

∆マーカは約60MHzを表示し、 約60MHzになるまで

これは7次高調波を示しています。 {Next Pk Right}

終了したら、マーカをオフにします。 [Marker]{Off}

周波数とスパンを調整します。 [FREQUENCY][10]{MHz}

[SPAN][10]{MHz}

CFステップを使用して7次高調波を検出 [Marker][10]{MHz}

します(図4)。 [Marker→]{Mkr→CF Step}

[Marker]{Delta}

1. CFステップをマーカ位置に設定します。[FREQUENCY]

2.高調波間で中心周波数をステップ変化 周波数が約70MHzに

させます。 なるまで[↑]

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パート4. マーカ機能ピーク・テーブルESAシリーズのピーク・テーブル機能を使用すると、複数のピークを同時に測定できます。この機能によって測定時間が短縮できるだけでなく、周波数と振幅データのきれいなプリントアウトも可能です。また、5msの掃引時間と28測定/sという更新速度により、リアルタイムに近いデータ表示が可能です。

実習内容 キー操作

機器ステートをリコール(ロード)します。 [Preset][File]{Load}

{State}ノブでファイル名

を強調表示

[Enter]

ピーク・テーブルをオンにします(図5)。 [Search]{More 1 of 2}

{Peak Table}

マーカは周波数または振幅による 終了したら、{Peak Table off}

ソートが可能です。

図3. ∆マーカ

図4. 7次高調波

図5. ピーク・テーブル

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パート5. ワンボタン測定高調波歪み現在のスペクトラム・アナライザでは、ワンボタン測定は重要な機能です。これらのテスト・ルーチンを使って、複雑な測定を簡単に実行できます。ESAシリーズには隣接チャネル漏洩電力(ACP)、チャネル・パワー、占有帯域幅(OBW)、高調波歪みなど、数多くのワンボタン測定機能が搭載されています。

このセクションでは、高調波歪み測定機能を使用して、10MHz基準信号の高調波を解析します。同様の測定はパート3でも行いましたが、今回はより速く実行できます。中心周波数を基本波信号に設定すれば、後はアナライザが自動的に測定を実行します。アプリケーションに応じた設定条件の変更も可能です。

実習内容 キー操作

機器ステートをリコール(ロード)します。 [Preset][File]{Load}

{State}ノブでファイル名

を強調表示

[Enter]

中心周波数を基本波に設定して、 [FREQUENCY][10]{MHz}

スパンを調整します。 [SPAN][10]{MHz}

ワンボタン測定をオンにします。 [MEASURE]{Harmonic Dist}

画面が分割されて、基本波信号と、

最初の10個の高調波に対する表形式

の測定値が表示されます(図6)。

必要に応じ調整します。 [Meas Setup]{Harmonics}

[5]{Enter}

測定機能をオフにします。 [MEASURE]{Meas Off}

図6. 高調波歪み

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パート6. 低レベル信号の測定分解能帯域幅、入力アッテネータ、ビデオ・アベレージングスペクトラム・アナライザの主な使い方の一つに、低レベル信号(例えば、前例のような発振器の7次高調波など)の検出と測定があります。このような信号を検出するには、アナライザの感度調整が不可欠です。アナライザの画面で表示可能な信号のレベルは、アナライザの入力アッテネータと帯域幅の設定によって左右されます。アッテネータにより、アナライザを通過する信号のレベルが決まります。帯域幅フィルタにより、大きな信号の近くで、どのくらい小さな信号が表示できるかかが決まります。また、アナライザの内部ノイズ・レベルに埋もれた、小さな信号がどれだけ表示できるかが決まります。ESAシリーズは5dBステップのステップ・アッテネータを内蔵しているので、アナライザのダイナミックレンジを設定する際にも最高の柔軟性が得られます。

減衰量と分解能帯域幅を調整しても、まだ信号がノイズの近くにあるときは、ビデオ帯域幅とビデオ・アベレージングを使用して表示を向上させることができます。ビデオ帯域幅機能は、アナライザのポスト検出(ビデオ)ローパス・フィルタの帯域幅を調整します。このフィルタは小さな信号の変動をスムージングするために使用され、トレースを平坦化します。ビデオ・アベレージングは、掃引の際に画面上のトレースを平均化する機能です。信号の正確な周波数を読み取るには、スペクトラム・アナライザ内部の周波数カウンタを使用できます。

実習内容 キー操作

7次高調波にズームインします [Auto Couple][FREQUENCY]

(スパン100kHz)。 [70]{MHz}[SPAN][100]{kHz}

自動的に分解能帯域幅は1kHzに

設定されます。

高調波のピークが、一番上の目盛線に [AMPLITUDE]ノブを

来るようにします(基準レベルの調整)。 反時計回り、または[↓]

基準レベルを設定すると減衰量が

設定されます。

手動で減衰量を小さくします。 {Attenuation}[0]{dB}

ノイズ・フロアが低くなります。

ビデオ帯域幅を1Hzまで下げます。 [BW/Avg]{Video BW}[↓]

減衰量とビデオ帯域幅をデフォルト設定 [Auto Couple]

に戻します。

ビデオ・アベレージングを使用して [BW/Avg]{ Average On}

ノイズをスムージングします(図7)。 終了したら、{Average Off}

周波数カウンタをオンにして、 [Freq Count]{Resolution}

分解能を記録します(図8)。 終了したら、{Marker Count Off}

図7. ノイズのスムージング

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このセクションでは、オプション機能の狭分解能帯域幅を搭載したアナライザについて実習します。狭分解能帯域幅オプションは、最小分解能帯域幅を1kHzから10Hzに狭めます。このような狭帯域ディジタル・フィルタにより、ノイズ・フロアが下がり選択度が向上するので、スペクトラム・アナライザの感度が向上します。この選択度の向上は、一つにはディジタル分解能帯域幅フィルタのシェープ・ファクタから得られます。また、AgilentESAファミリは従来のアナログ分解能帯域幅を使用するスペクトラム・アナライザに比べて、狭帯域測定を225倍も速く実行します。

注:この実習は、オプションの狭分解能帯域幅機能(オプション1DR)を搭載したアナライザでのみで行えます。このオプションが装備されているかどうかは、アナライザのShow Systemにより確認できます。(キー操作:[System]{More 1 of 3}{Show System}[Return])

実習内容 キー操作

周波数とスパンを設定します。 [FREQUENCY][70]{MHz}

分解能帯域幅フィルタは自動的に [SPAN][1]{kHz}

10Hzとなります。

ビデオ・アベレージングを使用して、 [BW/Avg]{Average On}

高調波を十分な分解能で表示します(図9)。 終了したら、{Average Off}

図9. 狭分解能帯域幅

図8. 周波数カウンタ

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パート7. ランダム・ノイズへの対処マーカ・ノイズ機能、ディテクタ・サンプリング、内蔵プリアンプ今日のスペクトラム・アナライザは、ディジタル技術を用いてデータの捕捉と処理を行います。このようなアナライザでは、アナライザ入力におけるアナログ信号は「ビン」に分割され、これをディジタル・サンプリングしてその後のデータ処理や表示を行います(図10)。ここでの当然の疑問は、「ビンのどの部分をデータ・ポイントとして使用するのか」というものです。これに対する答えは、ノイズが関係した測定(S/N比など)では特に重要です。

サンプリング・モードが表示ノイズ・レベルに与える影響を見るには、アナライザのマルチ・トレース表示機能を使用します。この機能では、アナライザのカラー表示機能の働きもわかります(ESA-Eシリーズ)。カラー表示によって、トレースが簡単に見分けられます。ピーク検出の違いを示すために、トレース1では「正ピーク検出」、トレース2は「負ピーク検出」、トレース3は「サンプリング検出」を表示します。「正ピーク」および「負ピーク」検出はそれぞれビン内の最大および最小パワー・レベルを検出し、「サンプリング検出」は各ビン内の同じポイントでサンプリングを行います。

実習内容 キー操作

周波数、スパン、振幅を設定します。 [Preset][FREQUENCY]

[100]{MHz}[SPAN][30]

{MHz}[AMPLITUDE]

[35]{-dBm}

トレース1をピーク検出モードに設定 [Det/Demod]{Detector>}

します。 {Peak}[View/Trace]

{Trace}(1にアンダーライン

付くまで{Trace}を押します)

{Clear Write}{View}

(Viewコマンドによって

トレースが固定されます)

トレース2を負ピーク検出モードに設定 [Det/Demod]{Detector>}

します。 {Negative Peak}

実行ノイズ・フロアが下がるのを [View/Trace]{Trace}

確認します。 (2にアンダーライン付くまで

{Trace}を押します)

{Clear Write}{View}

(Viewコマンドによって

トレースが固定されます)

トレース3をサンプリング検出モードに [Det/Demod]{Detector>}

設定します(図11)。 {Sample}[View/Trace]

このモードはノイズに対しては最適です。{Trace}(3にアンダーライン

試しに、トレース3(アクティブ・トレース)付くまで{Trace}を押します)

を固定トレースの後にスクロールして {Clear Write}

高調波の相対振幅を比較します。

図10. アナログ信号ビン

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マーカ・ノイズ機能は、1Hzノイズ・パワー帯域幅に基づいて、マーカ位置の平均ノイズ・レベルを正確に計算します。この機能は、ノイズ測定を手早く正確に行うことができる便利なツールです。

オプションの内蔵プリアンプ(オプション1DS)により、非常に小さい信号レベルの測定が可能です。プリアンプは、入力信号をアナライザのノイズ・レベルよりも上に増幅して、低レベル信号の表示を向上させます。次の実習では、プリアンプによっていかに実効ノイズ・レベルが下がるかを見ます。

実習内容 キー操作

フロントパネルの50Ω入力からケーブルを キー操作なし

外します。

周波数、スパン、振幅、減衰量を設定します。[Preset][FREQUENCY]

[500.1]{MHz}[SPAN]

[200]{kHz}[AMPLITUDE]

[-90]{dBm}{Attenuation}

[0]{dB}

ビデオ・アベレージングによってノイズ・ [BW/Avg]{Average ON}

フロアをスムージングします。

マーカ・ノイズ機能を使用してノイズ・ [Marker]{More 1 of 2}

フロアを測定します。 {Function}{Marker Noise}

入力信号を表示するためには、入力信号が このノイズ・レベルを記録

このノイズ・パワー以上でなければ します。

なりません(図12)。

注:次のステップは、プリアンプ

(オプション1DS)を内蔵した

アナライザのみで行えます。

内蔵プリアンプをオンにします(図13)。 [AMPLITUDE]{More 1 of 2}

{Int Preamp On}[Marker]

ノイズ・レベルを比較

図12. プリアンプなしのノイズ・フロア

図11. ディテクタ・モード

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パート8. 簡単な合否テストリミット・ラインによるマスクの設定製造テスト環境では、信号が周波数、振幅、時間がある範囲内にあるかどうかをテストしなければならない場合が多くあります。例えば無線送信機の製造では、信号キャリアの中心周波数が周波数および振幅「マスク」内にあるかどうかをテストします。そして、範囲内となるまでキャパシタや抵抗の調整を行います。この調整を行うときに、キャリアがマスク内にあるかどうかが、スペクトラム・アナライザから常にフィードバックされることが必要です。このような測定は、リミット・ラインを設定して、アナライザが測定レンジを掃引するときに、トレース・データと一連の振幅および周波数(または時間)のパラメータとを比較することにより、簡単に行うことができます。

このセクションでは、本アナライザの使いやすいリミット・ライン機能を使用した簡単な合否テストを行います。そのために、リミット・ライン(マスク)の上限を10MHz基準信号の近くに設定します。基準信号をアナライザの入力に接続すると、信号がマスクの範囲を超えるためテストは不合格となります。このときに、ディスプレイでは "LIMIT FAIL" が表示されます。基準信号を外せば、"LIMIT PASS" が表示されます。この機能と、プログラム機能とを併用すれば、ESAシリーズは量産テスト用の最適なソリューションとなります。

リミット・ライン機能では、リミット・ラインを構成するポイントを連結するかしないかも設定できます。リミット・ラインの切り離し機能によって、周波数スパンのある部分をテストから除外することができます。デフォルトの設定では、全ポイントが連結されています。

この実習では、ESAファミリの高度なマーカ機能の一つとして、マーカを中心周波数に合わせる機能も使用します。この機能によって、アナライザの中心周波数が自動的にマーカの周波数に設定されます。

図13. プリアンプをオンにしたノイズ・フロア

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実習内容 キー操作

再び10MHz基準信号のBNCケーブルを [Preset][File]{Load}

接続して、機器ステートをリコール(ロード) {State}ノブでファイル名を

します。 強調表示[Enter]

10MHzピーク信号を画面の中心に設定します。[Search][Marker→]

{MKR→CF}

画面全体で10MHz信号が表示されるように [SPAN][1]{MHz}

調整します。

古いリミット・ラインを削除します。 [Display]{Limits>}

{Delete Limits}

{Delete Limits}

上限を設定します。 {Limit 1}{Edit >}

セグメント1 {Point}[1]{Frequency}[9]

{MHz}[50]{-dBm}

{Connected To Previous Pt}

セグメント2 [9.7]{MHz}[50]{-dBm}

{Connected To Previous Pt}

セグメント3 [9.9]{MHz}[10]{-dBm}

{Connected To Previous Pt}

セグメント4 [11]{MHz}[10]{-dBm}

{Return}

リミット・テストをオンにします(図14)。 {More 2 of 2}{Limit On}

LIMIT FAILが表示されます。 {Test On}

フロントパネルの50Ω入力からケーブルを キー操作なし{Limit Off}

外します(図15)。

LIMIT PASSが表示されます。

この実習が終わったら再び接続します。

図14. リミット・テストがFAIL

図15. リミット・テストがPASS

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パート9. Agilent ESAスペクトラム・アナライザのその他の機能内蔵ヘルプ新しい機器を操作していると、よく分からない機能で引っ掛かって、先に進めないことがあります。Agilent ESAファミリでは、そのような機能の働きに関する疑問に対して、ボタンを1つ押すだけで回答が得られます。このオンライン・ヘルプでは、アナライザの機能に関する説明が、そのSCPIリモート・プログラミング・コマンドとともに表示されます。このヘルプ・ツールの使い方は非常に簡単です。

実習内容 キー操作

Ext Amp Gain機能に関するオンライン・ [AMPLITUDE][More 1 of 2]

ヘルプの説明を見つけます。 [Help]{Ext Amp gain}

ヘルプをオフにします。 いずれかのキーを押すと元の

画面に戻ります。

拡張可能ディスプレイ拡張可能ディスプレイは、必要に応じて信号を表示させる、柔軟な機能です。例えばボタンを2回押すだけで、画面からソフトキ-を消して信号を全画面表示できます。また、画面から目盛や注釈を消す機能により、このアナライザの柔軟性がさらに増します。

実習内容 キー操作

ソフトキ-と注釈表示なしで画面を表示 [Display]{Preferences}

します(図17)。 {Annotation Off}[Return]

{Full Screen}

目盛をオフにします。 [Display]{Preferences}

{Graticule Off}

注釈表示と目盛を再びオンにします。 {Graticule On}{Annotation On}

図17. 拡張可能ディスプレイ

図16. ヘルプ・メニュー

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ランドスケープ印刷ESAファミリ・スペクトラム・アナライザをHP PCL5とともに使用すると、ランドスケープ印刷が可能になります。この機能によって、信号測定値の表示や記録の柔軟性が増します。

実習内容 キー操作

アナライザを印刷用に設定します。 [Print Setup]{Orientation}

{Landscape}

プリンタを接続していれば印刷を実行します プリンタが接続されていれば

(図18)。 [Print]

製品カタログ『ESA-Eシリーズ・スペクトラム・アナライザ、Brochure』カタログ番号5968-3278JA

『 ESA-Lシリーズ・スペクトラム・アナライザ、Product Overview』カタログ番号5965-6309J

『ESA-Eシリーズ・スペクトラム・アナライザ、Data Sheet』カタログ番号5968-3386J

『シグナル・アナライザ・セレクション・ガイド、Selection Guide』カタログ番号5968-3413J

『ポータブル・スペクトラム、EMCアナライザ用PCソフトウェア、Product Overview』カタログ番号5966-0676J

『Agilent E1779A Rechargeable Battery Pack ProductOverview』カタログ番号5966-1851E

『Agilent Application Note 150:Spectrum Analysis』カタログ番号5952-0292

図18. ランドスケープ・モード

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サポート、サービス、およびアシスタンス

アジレント・テクノロジーが、サービスおよびサポートにおいてお約束できることは明確です。リスクを最小限に抑え、さまざまな問題の解決を図りながら、お客様の利益を最大限に高めることにあります。アジレント・テクノロジーは、お客様が納得できる計測機能の提供、お客様のニーズに応じたサポート体制の確立に努めています。アジレント・テクノロジーの多種多様なサポート・リソースとサービスを利用すれば、用途に合ったアジレント・テクノロジーの製品を選択し、製品を十分に活用することができます。アジレント・テクノロジーのすべての測定器およびシステムには、グローバル保証が付いています。製品の製造終了後、最低5年間はサポートを提供します。アジレント・テクノロジーのサポート政策全体を貫く2つの理念が、「アジレント・テクノロジーのプロミス」と「お客様のアドバンテージ」です。

アジレント・テクノロジーのプロミス

お客様が新たに製品の購入をお考えの時、アジレント・テクノロジーの経験豊富なテスト・エンジニアが現実的な性能や実用的な製品の推奨を含む製品情報をお届けします。お客様がアジレント・テクノロジーの製品をお使いになる時、アジレント・テクノロジーは製品が約束どおりの性能を発揮することを保証します。それらは以下のようなことです。● 機器が正しく動作するか動作確認を行います。● 機器操作のサポートを行います。● データシートに載っている基本的な測定に係わるアシストを提供します。● セルフヘルプ・ツールの提供。● 世界中のアジレント・テクノロジー・サービス・センタでサービスが受けられるグローバル保証。

お客様のアドバンテージ

お客様は、アジレント・テクノロジーが提供する多様な専門的テストおよび測定サービスを利用することができます。こうしたサービスは、お客様それぞれの技術的ニーズおよびビジネス・ニーズに応じて購入することが可能です。お客様は、設計、システム統合、プロジェクト管理、その他の専門的なサービスのほか、校正、追加料金によるアップグレード、保証期間終了後の修理、オンサイトの教育およびトレーニングなどのサービスを購入することにより、問題を効率良く解決して、市場のきびしい競争に勝ち抜くことができます。世界各地の経験豊富なアジレント・テクノロジーのエンジニアが、お客様の生産性の向上、設備投資の回収率の最大化、製品の測定確度の維持をお手伝いします。

March 15, 20045968-3658JA

0000-00DEP

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Agilent電子計測ソフトウェアおよびコネクティビティ

Agilentの電子計測ソフトウェアおよびコネクティビティ製品、ソリューション、デベロッパ・ネットワークは、PC標準に基づくツールによって測定器とコンピュータとの接続時間を短縮し、本来の仕事に集中することを可能にします。詳細についてはwww.agilent.co.jp/find/jpconnectivityを参照してください。

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